JP2006169376A - 燃料及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原油スラッジ等の油泥を含浸させた固体燃料であって、原油スラッジ等の油泥の質量割合が大きくても、表面に光沢及び付着性を生じず、貯留時や管路を介した供給時等において優れたハンドリング性を有し、かつ、焼成炉内で着地前に完全燃焼することのできる固体燃料を提供する。
【解決手段】畳の破砕物100質量部と、油泥30〜300質量部と、有機質粉体0〜200質量部を含む有機質混合物からなる、表面に光沢及び付着性を有しない無定形の固体燃料。貯留・定量供給装置9に貯留された燃料12は、ブロア11からの風圧によって所定の流速で管路10内を流通し、焼成炉(セメントキルン)1内に投入される。燃料12は、炉底に着地する前にバーナー8の炎によって完全燃焼する。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃畳、油泥等の有機質廃棄物を利用した燃料及びその使用方法に関する。
原油スラッジ等の油泥は、高いエネルギーを有するため、産業廃棄物として焼却処分または埋め立て処分せずに、燃料として有効利用することが期待されている。
しかし、油泥は、高い粘稠性を有しているものや、常温で流動性がないものや、固形分が沈降分離し固着するものなどがあるため、管路を介した輸送時等におけるハンドリング性が悪く、燃料としての取り扱いが困難である。
そのため、油泥を単独で用いるのではなく、油泥と他の固体材料を混合して、固体燃料(例えば、粒状の固形燃料)として用いることが提案されている。
例えば、燃料組成重量比100%に対して原油スラッジまたは廃油50〜60%、製紙スラッジおよびオガワクズ20〜40%、カーボン5〜10%、プラスター5〜10%、ソーダ灰2〜8%、有煙粉炭2〜8%を必須分とした混合物を乾燥成形したことを特徴とする固形燃料の製造方法が、提案されている(特許文献1)。
また、家具工場で生じたおが屑に、重質炭化水素の如き高い粘稠性を有する物質を含浸させてなる混合物を、セメントキルン内に燃料として投入する技術が、知られている(非特許文献1)。
特開昭54−39401号公報 「CEMENT AMERICAS」1999年10月号 第10〜11頁
上述のように、原油スラッジ等の粘稠性を有する物質と、おが屑等の固体材料とからなる混合物を、固体燃料として用いることが知られている。
しかし、これらの固体燃料には、次のような問題がある。
第一に、セメントキルンは、これらの固体燃料の大口利用先として期待されている。しかし、成形した固形燃料は、セメントキルンの窯尻等へ投入し焼却することはできるものの、セメントキルンの窯前、すなわち、火炎を形成し、着地前に完全に燃焼させる必要がある用途には使用することができない。燃料の代替物として廃棄物を使用し易い、セメントキルンの窯尻での処理能力の余力は、なくなりつつあるため、今後は、セメントキルンの窯前(バーナーの近傍)で使用可能な性状を有する固体燃料を提供する必要がある。なお、前記の非特許文献1の技術において、家具工場で発生するおが屑を使用した固体燃料は、成形を行なわずに、キルンの窯前に設けられたバーナーの代替燃料として用いられている。
第二に、これらの固体燃料において、原油スラッジ等の粘稠性を有する物質の質量割合を大きくすると、固体燃料の表面に光沢及び付着性(表面に滲出した油によって、他の物質に付着し易くなること)が生じ、その結果、貯留タンク内で固体燃料のブリッジが生じたり、燃料供給用の管路内で固体燃料が閉塞するなどの問題が起こりうる。逆に、これらの問題を回避するために原油スラッジ等の粘稠性を有する物質の質量割合を小さくすると、原油スラッジ等の粘稠性を有する物質を燃料として有効利用しようとする本来の趣旨に合致しなくなる。
第三に、これらの固体燃料において、原油スラッジ等の粘稠性を有する物質を含浸させるための固体材料として、例えば、製材所や家具工場で発生するおが屑を用いた場合、光沢や付着性に影響を与える水分量が不安定であり、固体燃料の品質にばらつきが生じやすいことに加えて、おが屑の多くが有価で取引されることから、固体燃料の材料コストが増大する傾向がある。また、廃材を破砕して製造される大きな粒度を有する木材チップを用いた場合、該木材チップを主体とする固体燃料は、燃焼が完了するまでに比較的長い時間を要するので、セメントキルンの如き炉内の着地前の完全燃焼を要求される燃料としては、不適当である。
そこで、本発明は、原油スラッジ等の油泥を含浸させた固体燃料であって、原油スラッジ等の油泥の質量割合が大きくても、表面に光沢及び付着性を生じず、貯留時や管路を介した供給時等において優れたハンドリング性を有し、かつ、焼成炉内で着地前に完全燃焼することのできる固体燃料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、油泥を含浸させるための固体材料として、廃畳の破砕物を用いればよいことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1]畳の破砕物100質量部及び油泥30〜300質量部を含む有機質混合物からなることを特徴とする燃料。
[2]前記畳の破砕物中の5cm以下の長さを有する破砕物の割合が、80質量%以上である前記[1]の燃料。
[3]前記有機質混合物が、200質量部以下の有機質粉体を含む前記[1]又は[2]の燃料。
[4]前記有機質粉体が、300μm以下の平均粒径を有する粉体である前記[3]の燃料。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかの燃料を、所定の管路を介して焼成炉内に投入し、燃焼させることを特徴とする燃料の使用方法。
本発明の燃料は、油泥を含浸させるための固体材料として、畳の破砕物を用いているため、油泥の質量割合を大きくしても、当該燃料の表面に光沢及び付着性を生じることがなく、その結果、タンク内での貯留時にブリッジを形成したり、焼成炉への供給時に管路の閉塞を引き起こすなどの問題を生じず、常に、優れたハンドリング性を示す。
また、本発明の燃料は、畳の破砕物等を主な材料としているため、セメントキルン等の焼成炉内に投入後、着地前に完全燃焼するものであり、着地後の燃焼に起因する焼成物の品質の低下を招くこともない。
さらに、本発明の燃料は、乾燥や成形等の処理を行なわなくても、材料を混合するだけの無定形の状態のままで、固体燃料として用いることができる。
本発明の燃料は、畳の破砕物100質量部及び油泥30〜300質量部を含む有機質混合物からなるものである。以下、本発明の燃料を構成する材料について詳しく説明する。
[畳の破砕物]
本発明で用いる畳としては、通常、使用後の廃畳が用いられる。
畳は、畳床と、畳床の上面に敷設された畳表からなるものである。畳表は、い草を編んで形成される。
畳は、畳床の材質によって、本畳、ワラサンド畳、化学畳に分類される。
本畳は、稲藁を主体とした畳床を有するものである。
ワラサンド畳は、稲藁からなる層と、稲藁以外の材料(例えば、ポリスチレンフォーム板、インシュレーションボード等)からなる層とを積層してなる畳床を有するものである。ワラサンド畳の畳床の構造の一例として、上層、中間層及び下層の3層からなる畳床であって、上層及び下層が稲藁からなり、かつ、中間層がポリスチレンフォーム板からなるものが挙げられる。
なお、ポリスチレンフォーム板は、ポリスチレン樹脂組成物に発泡剤を添加して膨張させて形成した、所定の厚さを有する板状の成形体である。インシュレーションボードは、木材チップを接着剤によって固めて形成した軟質繊維板である。
化学畳は、稲藁以外の材料(例えば、ポリスチレンフォーム板、インシュレーションボード等)を主体とした畳床を有するものである。化学畳の畳床の構造の一例として、上層がインシュレーションボードからなり、かつ、下層がポリスチレンフォーム板からなるものが挙げられる。
畳の破砕物中の5cm以下の長さを有する破砕物の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。該割合が80質量%以上であれば、金属、ウエス等の異物の混入や、タンク内でのブリッジの形成を抑制することができ、本発明の燃料のハンドリング性をより向上させることができる。
畳の破砕物中の5cm以下の長さを有する破砕物の割合を80質量%以上にするための方法の一例としては、ロストルを装着した一軸式破砕機を用いて、畳を破砕する方法が挙げられる。この場合、ロストルの目開き寸法が20mm以下であると、畳の破砕物中の5cm以下の長さを有する破砕物の割合は、90質量%以上になる。
[油泥]
本発明で用いる油泥は、オイルスラッジ(例えば、重油スラッジ、原油スラッジ等)、廃油再生残渣(油水分離設備等を用いて廃油を再生した後に残る残渣)、廃塗料、廃インク、廃溶剤、グリース、廃植物油、廃食用油、脱水有機汚泥等の油性物質の一種以上を含むものである。
中でも、オイルスラッジ及び廃油再生残渣は、分子量の大きな炭化水素を主成分とし、粘稠性が高く、固形分が分離し易いため、従来は燃料としての取り扱いが困難で、焼却処分または埋め立て処分されていたものであり、廃棄物の利用促進の観点から、本発明において好ましく用いられる。
油泥の配合量は、畳の破砕物100質量部に対して、30〜300質量部、好ましくは50〜200質量部、より好ましくは80〜150質量部である。該配合量が30質量部未満では、原油スラッジ等の粘稠性を有する物質を燃料として有効利用しようとする本来の趣旨に合致しなくなる。該配合量が200質量部を超えると、本発明の燃料の表面に光沢及び付着性が生じ、ハンドリング性が低下することがある。ただし、固形分を多く含む油泥を用いる場合は、300質量部まで配合可能な場合がある。
[有機質粉体]
本発明の燃料の材料として、畳の破砕物及び油泥に加えて、有機質粉体を用いることができる。有機質粉体を配合することによって、本発明の燃料の嵩密度を増大させて、設備の処理能力を増大させることができる。また、有機質粉体の種類によっては、本発明の燃料中の油泥の使用可能量を増大させることができる。
なお、本明細書中、粉体とは、粒径が1mm以下の固体粒子をいう。
有機質粉体の好ましい例としては、300μm以下(特に好ましくは100μm以下)の平均粒径を有する有機質粉体が挙げられる。
このような300μm以下の平均粒径を有する有機質粉体の例としては、トナー、重油灰、微粉炭、活性炭の粉砕物、肉骨粉の粉砕物等が挙げられる。これらの有機質粉体は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
中でも、トナー及び重油灰は、1〜30μmの平均粒径を有し、油泥の使用可能量の増大、燃料の熱量の増大、及び嵩密度の増大による設備能力の増大の面で優れた効果を有するので、本発明において好ましく用いられる。
有機質粉体の配合量の上限値は、畳の破砕物100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、特に好ましくは120質量部以下である。該値が200質量部を超えると、本発明の燃料の流動性が低下して、貯留タンク内でブリッジが生じたり、管路内で閉塞が生じたりすることがある。
有機質粉体の配合量の下限値は、特に限定されないが、有機質粉体の配合による効果を十分に得るためには、畳の破砕物100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。
[他の材料]
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記の材料以外の他の材料を配合することができる。
他の材料の例としては、木材チップ、廃プラスチックの破砕物等の粒径が1mmを超える有機質粒体が挙げられる。
他の材料の配合量は、畳の破砕物100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
[本発明の燃料の使用方法]
本発明の燃料の使用方法の一例として、本発明の燃料を所定の管路を介して焼成炉内に投入し、燃焼させることが挙げられる。
ここで、焼成炉としては、クリンカを製造するためのセメントキルンや、生石灰や軽量骨材を焼成するためのキルン等が挙げられる。
次に、図面を参照しつつ、本発明の燃料の使用方法の一例を説明する。図1は、本発明の燃料を用いるクリンカ製造設備(セメントキルン及びその関連装置)を概念的に示す図である。
まず、クリンカ製造設備を構成する各装置について、簡単に説明する。図1中、焼成炉(セメントキルン)1は、セメント原料4を焼成してクリンカ7を製造するための長尺の円筒状の回転体である。
焼成炉1の原料供給側には、セメント原料4を予熱及び脱炭酸し、かつ焼成炉1で発生した排ガス5を系外に排出するために、複数のサイクロンからなるプレヒーター2、及び仮焼炉3が連結されている。
焼成炉1の焼成物排出側には、焼成物(クリンカ)を冷却するためのクーラー6が連結されている。また、焼成炉1の焼成物排出側には、焼成炉1の原料を最高温度で1,450℃程度の高温雰囲気にするために、バーナー8、及び燃料12の供給用の管路10等が配設されている。
管路10は、一端がブロア11に接続され、他端がバーナー8に接続されている。管路10の所定の地点(ブロア11の近傍)には、燃料12を貯留しかつ管路10に供給するための貯留・定量供給装置9が接続されている。
図1に示すクリンカ製造設備において、まず、プレヒーター2の上部に設けられている原料投入口に、セメント原料4を投入する。セメント原料4は、プレヒーター2及び仮焼炉3内を下方に移動しながら、予熱及び脱炭酸され、次いで、窯尻からセメントキルン1内に移動する。
セメント原料は、緩い傾斜を有しかつ緩やかに回転する焼成炉1内を、バーナー8が配設されている窯前に向かって徐々に移動していき、その過程で焼成されてクリンカ7となる。クリンカ7は、セメントキルン1の窯前からクーラー6内に落下して、クーラー6で冷却された後、排出される。
セメントキルン1の内部は、原料の最高温度(バーナー8の火炎の近傍の原料の温度)が1,450℃程度になるように温度が管理されている。このような高温雰囲気を保持するために、本発明の燃料12は、セメントキルン1の主燃料である微粉炭に代えて、あるいは微粉炭と併用して、バーナー8から炉内に投入される。
燃料12は、表面に光沢及び付着性を有しない無定形の固体燃料であり、当初は貯留・定量供給装置9に収容されている。なお、貯留・定量供給装置9を用いずに、燃料12の製造装置(図示せず)から直接、燃料12を管路10に供給してもよい。
貯留・定量供給装置9内の燃料12は、貯留・定量供給装置9の底部に設けられたロータリーフィーダー等の供給量調整手段によって、所定の供給速度で管路10内に落下する。落下した燃料12は、ブロア11からの風圧によって所定の流速で管路10内をセメントキルン1に向かって移動し、管路10の端部に接続されているバーナー8の燃料噴射口からセメントキルン1内に所定の噴射速度で投入される。
炉内に投入された燃料12は、バーナー8からの炎によって、炉底に着地する前に短時間で完全燃焼する。燃料12の燃焼残渣は、クリンカの成分の一部となる。なお、燃料12は、着地前に完全燃焼するので、クリンカの品質を低下させることはない。
燃料12の粒度が非常に大きい場合や、単位時間当たりの処理量を増大させる場合には、図1中に矢印Aで示すように、セメントキルン1の窯尻から燃料12を投入してもよい。
[実施例1〜11、比較例1〜2]
[1.使用材料]
以下の材料を用いた。
(1)固体材料
(a)化学畳の破砕物
一次破砕機(一軸式破砕機;ロストルの目開き:20mm)を用いて化学畳を破砕し、5cm以下の長さを有する破砕物の割合が90質量%以上である破砕物を調製した。この際、化学畳としては、インシュレーションボードとポリスチレンフォーム板との積層体を畳床として有するものを用いた。
化学畳の破砕物の嵩密度は、0.065kg/リットルであった。なお、本明細書中、嵩密度とは、締め固めをしない状態における嵩密度(ゆるめ嵩密度)を意味する。
(b)本畳の破砕物A(ロストルの目開き:20mm)
一次破砕機(ロストルの目開き:20mm)を用いて本畳を破砕し、5cm以下の長さを有する破砕物の割合が90質量%以上である本畳の破砕物Aを調製した。
本畳の破砕物Aの嵩密度は、0.115kg/リットルであった。
(c)本畳の破砕物B(ロストルの目開き:15mm)
一次破砕機(ロストルの目開き:50mm)を用いて本畳を破砕して破砕物を得た後、この破砕物を、二次破砕機(ロストルの目開き:15mm)を用いて更に破砕し、5cm以下の長さを有する破砕物の割合が90質量%以上である本畳の破砕物Bを調製した。
本畳の破砕物Bの嵩密度は、0.124kg/リットルであった。
(d)木材チップ
粒径2〜5mm程度の木材チップを用いた。
(e)おが屑
粒径0.5〜1mm程度のおが屑を用いた。
(2)油泥
油泥として重油スラッジを用いた。
(3)有機質粉体
(a)廃トナーA
嵩密度が0.22kg/リットルであるトナーを用いた。
(b)廃トナーB
嵩密度が0.65kg/リットルであるトナーを用いた。
(c)微粉炭
セメント焼成用の微粉炭(嵩密度:0.45kg/リットル)を用いた。
[2.燃料の調製及び評価]
(1)化学畳の破砕物を含む燃料(実施例1、2)
化学畳の破砕物6.20kg、及び油泥4.96kg(化学畳の破砕物に対する質量比:0.8)をミキサーに投入し、15秒間撹拌した後、得られた混合物の性状の良否を、目視及び触感で評価した。この混合物の表面に、油泥による光沢及び付着性がないものを「○」とし、油泥による光沢及び付着性があるものを「×」とした。この評価基準は、油泥中の液体(固形分を除く油や水)が固体材料に吸収しきれずに、固体材料の表面に残留したときに、圧送管の内壁と燃料の間に液体架橋が生じて付着し、管路の閉塞を招くことがわかっていることから、良否の基準として採用したものである。また、この場合に、表面が濡れた状態であるため、光沢が見られることも評価指標とした。
評価結果が「○」である場合、ミキサーに油泥1.24kg(化学畳の破砕物に対する質量比:0.2)を追加し、さらに15秒間撹拌して、前記と同様に混合物の性状を評価した。以後、評価結果が「×」になるまで油泥の追加及び撹拌を繰り返した。
その結果、化学畳の破砕物に対する油泥の質量比が1.4になるまで、評価結果は「○」であった。なお、該質量比が1.4の場合を実施例1とし、該質量比が1.2の場合を実施例2とする。
実施例1、2について、(a)混合前の化学畳の破砕物1トン当たりの体積、(b)混合前の化学畳の破砕物1トンに対する配合された油泥の体積、(c)化学畳の破砕物(1トン)と油泥を混合した後の混合物(本発明の燃料)の体積、(d)本発明の燃料の嵩密度を、各々、測定した。
(2)本畳の破砕物Aを含む燃料(実施例3)
化学畳の破砕物に代えて本畳の破砕物Aを用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。
(3)本畳の破砕物Bを含む燃料(実施例4)
化学畳の破砕物に代えて本畳の破砕物Bを用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。
(4)化学畳の破砕物と本畳の破砕物の混合物を含む燃料(実施例5、6)
化学畳の破砕物に代えて、化学畳の破砕物と本畳の破砕物Aの混合物(質量比1:1)を用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。
(5)木材チップを含む燃料(比較例1)
化学畳の破砕物に代えて木材チップを用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。
(6)おが屑を含む燃料(比較例2)
化学畳の破砕物に代えておが屑を用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。
以上の結果を表1及び表2に示す。なお、表1中、油泥による光沢及び付着性の有無の評価は、単に「付着性の評価」と記載している。
Figure 2006169376
Figure 2006169376
表1から、本発明の燃料(実施例1〜6)は、固体材料(畳の破砕物)に対して質量比で1.0以上の油泥を使用しているものの、表面に光沢及び付着性を有さず、貯留時や管路を介した供給時等において優れたハンドリング性を示すことがわかる。
これに対し、畳の破砕物以外の固体材料を用いた燃料(比較例1、2)は、固体材料(木材チップ、おが屑)に対して質量比で1.0の油泥を使用した場合に、表面に光沢及び付着性を生じ、ハンドリング性が劣ることがわかる。
また、表2から、本発明の燃料は、固体材料である畳の種類として、化学畳と本畳のいずれを用いた場合であっても、混合前の畳の単位質量(1トン)当たりの本発明の燃料(混合物)の嵩密度及び体積が、比較的狭い数値範囲内に収まり、品質の均一性が高いことがわかる。
例えば、化学畳の破砕物を用いた実施例1、2と、本畳の破砕物を用いた実施例3、4を比較すると、混合前の各材料の体積の合計量については、実施例1、2(16.6〜16.8m3)と実施例3、4(9.1〜9.9m3)の間に大きな差が認められる。一方、混合後の混合物(燃料)の体積については、実施例1、2(16.4〜17.3m3)と実施例3、4(13.3〜15.5m3)の間に大きな差はない。また、混合後の混合物(燃料)の嵩密度についても、実施例1、2(0.13〜0.14kg/リットル)と実施例3、4(0.14〜0.15kg/リットル)の間に大きな差はない。
(7)畳の破砕物及び有機質粉体を含む燃料(実施例7〜11)
化学畳の破砕物100質量部に代えて、表3に示す畳の破砕物及び有機質粉体(合計量100質量部)を用いた以外は、前記(1)と同様にして実験を行なった。その結果を表3に示す。
表3中の実施例7〜11(固体材料に対する油泥の質量比:1.0〜1.2、嵩密度:0.21〜0.29kg/リットル)と、表1及び表2中の実施例4(固体材料に対する油泥の質量比:1.0、嵩密度:0.15kg/リットル)を比較すると、有機質粉体を配合することによって、有機質粉体を配合しない場合と比べて、固体材料(畳、有機質粉体)に対する油泥の使用可能量を同等以上に維持しつつ、嵩密度を増大させうることがわかる。
表3中の実施例11(固体材料に対する油泥の質量比:1.4、嵩密度:0.20kg/リットル)と、表1及び表2中の実施例5(固体材料に対する油泥の質量比:1.4、嵩密度:0.11kg/リットル)を比較しても、同様のことがわかる。
Figure 2006169376
本発明の燃料を用いるクリンカ製造設備の一例を概念的に示す図である。
符号の説明
1 焼成炉(セメントキルン)
2 プレヒーター
3 仮焼炉
4 セメント原料
5 排ガス
6 クーラー
7 焼成物(クリンカ)
8 バーナー
9 貯留・定量供給装置
10 管路
11 ブロア
12 燃料

Claims (5)

  1. 畳の破砕物100質量部及び油泥30〜300質量部を含む有機質混合物からなることを特徴とする燃料。
  2. 前記畳の破砕物中の5cm以下の長さを有する破砕物の割合が、80質量%以上である請求項1に記載の燃料。
  3. 前記有機質混合物が、200質量部以下の有機質粉体を含む請求項1又は2に記載の燃料。
  4. 前記有機質粉体が、300μm以下の平均粒径を有する粉体である請求項3に記載の燃料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料を、所定の管路を介して焼成炉内に投入し、燃焼させることを特徴とする燃料の使用方法。
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