JP2006167656A - Frp廃棄物からファイバーを回収する方法、及び、当該方法によって回収されたファイバーを使用したスレート - Google Patents
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Abstract
【課題】 大掛りな設備・装置等を必要とせずに、非常に安価に、且つ、効率良くFRP廃棄物からファイバーを回収できる方法、及び、回収したファイバーを使用することよって、当該ファイバーを有効活用し、安価に製造することができるスレートを提供することを目的とする。
【解決手段】 プラスチック成分が炭化しているFRP廃棄物と、水と、を混ぜ合わせて泥状物を生成してから、当該泥状物を目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通し、その後、当該スクリーンの表面に残渣物として残ったファイバーを回収する。また、回収したファイバーを所定量使用してスレートを製造する。
Description
本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)廃棄物を再利用するための技術に関し、特に、FRP廃棄物からファイバーを回収する方法、及び、当該方法によって回収されたファイバーを使用したスレートに関する。
従来より、建築廃材等から大量に排出されるFRP廃棄物を有効活用するため、FRP廃棄物の再利用を目的とする技術が開発されている。特に、FRPに強化繊維として取り込まれているファイバー(グラスファイバー、炭素ファイバー、アラミドファイバー等)は、再利用が可能であるため、このファイバーをFRP廃棄物から回収するための技術が、数多く開発されている。
例えば、特開2002−307046号公報には、FRP廃棄物を水蒸気爆砕処理することによって、ファイバーとプラスチック成分とを分離させ、ファイバーを回収する方法が開示されている。また、特開2004−2580号公報には、薬剤を使用してFRP廃棄物のプラスチック成分を溶解することによって、溶解せずに残ったファイバーを分離・回収する方法が開示されている。
さらに、上記公報以外にも、FRP廃棄物からファイバーを回収する方法が、特開2001−262158号公報、特開2000−327830号公報、特開平6−127978号公報、特開平7−126430号公報、特開平8−217464号公報等において開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている処理方法は、水蒸気爆砕処理を行うため、当該爆砕処理に耐え得るような、大掛りで堅牢な装置・設備等を準備する必要がある。また、特許文献2に記載されている処理方法は、薬剤による溶解という化学的処理を行うため、薬剤使用についての安全性に配慮した上で、この処理に適した設備を準備する必要がある。
さらに、特許文献3〜7に記載されている処理方法も、有機溶剤を使用するものや、特殊な構造をしたガス化炉を使用するものであるため、これらの処理方法に適した装置・設備等を準備しなければならない。
従って、特許文献1〜7に開示されているような処理方法は、基本的に大掛りな設備・装置等を必要とするため、このような処理方法では、非常に安価に、且つ、効率良くFRP廃棄物からファイバーを回収することはできない、という問題がある。
本発明は、以上のような従来技術の問題を考慮した上で、新たな観点よりなされたものであって、以下に示すような処理方法によって、大掛りな設備・装置等を必要とせずに、非常に安価に、且つ、効率良くFRP廃棄物からファイバーを回収できる方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記方法によってFRP廃棄物から回収したファイバーを使用することより、FRP廃棄物に取り込まれているファイバーを有効活用し、安価に製造することができるスレートを提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明に係るファイバーの回収方法は、プラスチック成分を炭化させたFRP廃棄物と、水とを混ぜ合わせて泥状物を生成してから、当該泥状物を目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通し、その後、当該スクリーンの表面に残渣物として残ったファイバーを回収することを特徴としている。
また、本発明に係るスレートは、上記方法によって回収したファイバーと、セメントとが配合されたスレート材料から構成されていることを特徴としている。
尚、本発明に係るファイバーの回収方法において、プラスチック成分を炭化させたFRP廃棄物と混ぜ合わせる水の量は、当該FRP廃棄物の80〜120重量%に相当するものであることが好ましい。また、本発明において使用されるFRP廃棄物のプラスチック成分は、350〜400℃の温度条件下で熱することによって炭化されていることが好ましい。
さらに、本発明に係るスレートにおいて、前記スレート材料に配合される前記ファイバーの量は、前記セメントの10〜20重量%に相当するものであることが好ましい。
本発明に係るFRP廃棄物からファイバーを回収する方法は、FRP廃棄物を所定の温度条件下で熱することができる装置、及び、所定の大きさの目を有するスクリーンがあれば実施でき、また、薬品等を使用する化学的処理を必要としない。そのため、この方法によれば、大掛りな設備・装置等を特に必要とせず、非常に安価に、且つ、効率良くFRP廃棄物からファイバーを回収することができる。
また、本発明に係るスレートは、FRP廃棄から回収したファイバーを使用しているので、FRP廃棄物に取り込まれているファイバーを有効活用することができ、さらに、非常に安価なスレートを製造することができる。
従って、本発明は、FRP廃棄物のリサイクル処理を促進し、これまで、単に焼却・埋立処理せざるを得なかったFRP廃棄物の削減に貢献できる。また、これにより、最終処分場における受入容量不足の問題等の解決にも寄与することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。最初に、本発明の第1の実施形態として、グラスファイバーを強化繊維として取り込んでいるFRP廃棄物から、当該グラスファイバーを回収する方法について説明する。
まず、解体工事によって生じた建築廃材等からFRP廃棄物を集める。集めたFRP廃棄物を、炉内温度が350〜400℃に設定された炭化炉内に投入する。このようにして、FRP廃棄物を炭化炉内で熱し、FRP廃棄物のプラスチック成分を炭化させる。
尚、上記の炉内温度であれば、3時間ほど熱することによって、投入したFRP廃棄物のプラスチック成分を炭化させることができる。ここで、炉内温度を350〜400℃に設定しているのは、350℃未満であると、FRP廃棄物のプラスチック成分を十分に炭化できないからであって、また、400℃を超えると、FRP廃棄物中のグラスファイバーも溶融させてしまい、回収しようとするグラスファイバーに損傷を与えてしまうからである。
プラスチック成分が炭化したら、炭化炉内からFRP廃棄物を取り出して放置し、これを自然冷却させる。冷却後、このプラスチック成分が炭化したFRP廃棄物を容器に入れ、ここに当該FRP廃棄物の80〜120重量%に相当する水を加えて混ぜ合わせる。このようにして、炭化したプラスチック成分が泥状化している泥状物を生成する。
尚、この場合において、容器に加える水の量を、FRP廃棄物の90〜110重量%に相当するものとすることが好ましい。こうすることで、さらに、短時間でFRP廃棄物のプラスチック成分を泥状化することができるからである。
また、可能であれば、プラスチック成分が炭化したFRP廃棄物に水を加える前に、当該FRP廃棄物を破砕機によって、その最大寸法が15cm以下の破片となるように破砕することが好ましい。こうすることで、炭化したプラスチック成分をより短時間で泥状化することができ、上記泥状物を、より効率的に生成できるようになるからである。
次に、生成した泥状物を、目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通す。これによって、泥状化しているプラスチック成分はスクリーンを通り、一方で、目の大きさより大きいグラスファイバーは、残渣物としてスクリーンの表面に残る。このようにして、泥状物からグラスファイバーを分離し、これを回収する。
尚、本発明において「目の大きさ」とは、スクリーンが網状のものについては、各網目内側の最大寸法を、また、貫通孔が設けられたスクリーンであるものについては、各貫通孔内側の最大寸法を意味するものとする。
また、本発明に係る「スクリーン」とは、手持ち式の篩のものを意味するだけではない。この「スクリーン」には、例えば、振動機構を備えた「ふるい装置」やトロンメル(回転式ふるい装置)等に設けられているものも含まれている。
尚、目の大きさよりも小さく、スクリーンを通ってしまうような短いグラスファイバーは、残渣物として残らず回収できないが、このようなグラスファイバーは、強化繊維等として再利用するには短すぎる上、回収量全体の中では僅かな量であるため、回収できなくても、特に問題となることはない。
また、本実施形態においては、FRP廃棄物のプラスチック成分を炭化させる際に、炭化炉を使用しているが、FRP廃棄物を350〜400℃の温度条件下において熱することができれば、そのための装置等はこれに限定されるものではない。但し、プラスチックの種類により、FRP廃棄物からダイオキシン等の有害物質が発生してしまう場合には、当該有害物質を無害化できる機能を有するものでなくてはならない。
さらに、本実施形態においては、グラスファイバーを強化繊維として取り込んでいるFRP廃棄物について説明したが、本実施形態に係るファイバーの回収方法は、このようなFRP廃棄物に限られず、炭素ファイバー、アラミドファイバー等を強化繊維として取り込んでいるFRP廃棄物についても適用することができる。
次に、本発明の第2の実施形態として、上記第1の実施形態で説明した方法によって回収したファイバー(但し、グラスファイバー以外のファイバーも含む。以下同じ。)を使用したスレートについて説明する。尚、本発明において、「スレート」とは、繊維強化されたセメント製品のすべてを意味しており、波板、平板等の形状によって、これから除外されることはない。また、この「スレート」には、建材として特定の位置・用途だけに使用されている「役物」等も当然含まれている。
本実施形態に係るスレートは次のようにして製造される。まず、適当な量のセメントを用意し、これを適当な容器に入れる。次に、上記第1の実施形態で説明した方法によって回収したファイバーを前記セメントの10〜20重量%に相当する量用意し、当該容器に加える。さらに、この容器に、当該セメントの80〜120重量%に相当する水を加えてよく混ぜ、スレートを構成するためのスレート材料を得る。
得られたスレート材料を、所定の型に流し込み成型した後に、これを乾燥させて所望の形状をしたスレートを得る。このようにして、上記第1の実施形態で説明した方法によって回収したファイバーを使用したスレートを製造する。
尚、本実施形態において、容器に加えるファイバーの中に、25mmを超える大きさのファイバーの塊がある場合には、これを分離除去することが好ましい。これは、25mmを超える大きさのファイバーの塊を残したままスレート材料を得て、これからスレートを製造した場合、その強度を弱める原因となってしまうからである。このようなファイバーの塊も、適当な目の大きさを有するスクリーンによって分離除去することができる。
また、本実施形態では、セメント及び回収したファイバーだけでスレート材料を得て、これからスレートを製造したが、当該スレート材料には、一般的材料であるパルプを加えても構わない。この場合、加えるパルプの量は、スレートの強度との関係から、スレート材料に配合されているセメントの4〜6重量%に相当する量とすることが好ましい。
また、スレート材料に、石膏ボードの廃棄物から再生した石膏(以下、これを「再生石膏」という。)を加えても構わない。このようにして再生石膏を利用することによって、石膏ボード廃棄物についてもリサイクル処理を促進することができる。この場合、加える再生石膏の量は、スレートの強度との関係から、スレート材料に配合されているセメントの4〜6重量%に相当する量とすることが好ましい。
尚、このような再生石膏は、石膏ボード廃棄物から次のような方法によって製造することができる。まず、解体工事等によって生じた建築廃材から石膏ボードの廃棄物を集め、これを、破砕機及び粉砕機に通して微粉砕する。その後、これをミキサーに投入し、ここに微粉砕後の石膏ボード廃棄物とほぼ同量の水を加えて混合する。混合し終わったら、これを含水率が15%以下となるまで乾燥させる。このようにして、石膏ボード廃棄物から再生石膏が得ることができる。
Claims (5)
- プラスチック成分が炭化しているFRP廃棄物と、水と、を混ぜ合わせて泥状物を生成してから、当該泥状物を目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通し、その後、当該スクリーンの表面に残渣物として残ったファイバーを回収することによって、FRP廃棄物からファイバーを回収する方法。
- プラスチック成分が炭化しているFRP廃棄物と、当該FRP廃棄物の80〜120重量%に相当する水と、を混ぜ合わせて泥状物を生成してから、当該泥状物を目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通し、その後、当該スクリーンの表面に残渣物として残ったファイバーを回収することによって、FRP廃棄物からファイバーを回収する方法。
- FRP廃棄物を350〜400℃の温度条件下において熱することによって、当該FRP廃棄物のプラスチック成分を炭化させ、このプラスチック成分が炭化しているFRP廃棄物と、当該FRP廃棄物の80〜120重量%に相当する水と、を混ぜ合わせて泥状物を生成してから、当該泥状物を目の大きさが4〜8mmのスクリーンに通し、その後、当該スクリーンの表面に残渣物として残ったファイバーを回収することによって、FRP廃棄物からファイバーを回収する方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された方法によって回収されたファイバーと、セメントと、が配合されたスレート材料から構成されていることを特徴とするスレート。
- 前記スレート材料に配合される前記ファイバーの量が、前記セメントの10〜20重量%に相当するものであることを特徴とする、請求項4に記載のスレート。
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2004
- 2004-12-17 JP JP2004366242A patent/JP2006167656A/ja active Pending
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