JP2006166737A - 酵母由来グルカンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて純度の高い酵母由来グルカンを有利に製造することの出来る方法を提供すること。
【解決手段】 水を電気分解して得られるアルカリ性電解水を磨砕媒体として用い、これに酵母を加えて冷却しつつ、かかる酵母を物理的に磨砕した後、得られた磨砕物を、上記と同様なアルカリ性電解水の存在下、自己消化処理と共に、アルカリ性プロテアーゼを用いて酵素処理し、次いで、その酵素処理されたものを、pHが11以上、酸化還元電位が−800mVよりも低い強アルカリ性電解水にて洗浄し、更に、得られた洗浄処理物を、希酸水溶液にて接触、処理することにより、高純度グルカンを得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酵母由来グルカンの製造方法に係り、特に、水を電気分解して得られるアルカリ性電解水を処理媒体として用いて、酵母細胞壁から多糖類であるβ−グルカンを製造する、改良された方法に関するものである。
β−グルカンは、糖の成分が高分子結合した物質であり、免疫力向上作用や、抗腫瘍作用、コレステロール低減作用、抗ウイルス作用、白血球増加作用等、数多くの有用な生理的作用を有していることが報告されており、近年においては、健康食品や医薬品等として、注目を浴びている。
ところで、上記したβ−グルカンは、酵母菌の細胞壁等に含まれており、そのような酵母の細胞壁から、β−グルカン等の多糖類を得る各種の手法が、これまでに、数多く提案されてきている。例えば、特開2003−197号公報(特許文献1)には、酵母に対して、蛋白質分解酵素、特にグルカナーゼ活性総量が少ない酵素剤を作用させて、酵母を溶菌させることにより、生理活性の高いインタクトな状態のβ−グルカンを多く含む多糖類含有組成物を得る技術が、明らかにされている。更に、特開2002−209598号公報(特許文献2)には、高圧ホモジナイザーを用いて酵母を物理的に破壊した後、自己消化処理を施し、次いで、洗浄した酵母細胞壁画分に、細胞壁溶解酵素を作用させて、可溶性の多糖を得る手法が提案されており、これによって、β−グルカンを多く含む可溶性多糖が、高収率で製造され得ることが明らかにされている。
また、特表平11−508772号公報(特許文献3)には、pH5〜6及び35〜60℃の温度で、6〜48時間、微生物細胞を自己消化して得られる生成物から、固体材料を分離することによって、β−グルカン−マンナン調製物を得る手法が、明らかにされている。加えて、特表平11−500159号公報(特許文献4)には、キチンを含有する微生物を、アルカリ溶液で処理した後、得られた生成物を希鉱酸で処理し、更に、アルカリ度の高いアルカリ溶液で処理することによって、部分的な脱アセチル化を施して、キトサン−グルカン複合体を調製する方法が、明らかにされている。
さらに、特表平9−512708号公報(特許文献5)には、グルカンを含有する酵母細胞を、適切な抽出用水性アルカリ溶液や、加水分解用酸、エタノール等を、それぞれ用いて、不溶性β−(1,3)−グルカン粒子を調製することが、明らかにされている。加えて、特開平9−322795号公報(特許文献6)には、酵母等の水不溶性グルカンを構成成分とする微生物菌体の含有溶液を、特定の濃度の酸化物とかかる溶液のpHを10〜12.5にする水酸化物とで同時に処理することにより、生産菌の細胞破壊、脱色及び粘度低下が同時に実現されて、水不溶性グルカンが効率的に精製され得ることが、明らかにされている。
しかしながら、上述せるように、アルカリや酸、有機溶媒を用いてグルカンを得る手法においては、中和処理や脱塩処理等を行なう必要があり、製造工程が煩雑となる他、食品としての安全性の面からも不安が残るものであり、更には、収率の面でもあまり良好であるとは言い難いものであった。また、酵素剤を用いる手法では、酵素剤に含まれるアミラーゼ等によって、グルカンが分解されてしまう恐れがあり、効能の高い長鎖のグルカンを得ることが難しいといった問題があった。更にまた、かかる手法で得られるグルカンにあっては、酵母細胞内の脂質分を充分に除去することが出来ず、そのような脂質の酸化によって、得られる製品が着色したり、酸化異臭が惹起される恐れも内在するものであった。
このため、本発明者等は、従来の如く、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることなく、安全性が高く且つ酸化異臭を発生することのないグルカンを簡便に製造することの出来る手法を確立すべく、鋭意検討を重ねた結果、酵母細胞からグルカンを取り出す方法において、物理的に破砕した酵母を、その細胞内酵素で自己消化する際や、酵素を添加して蛋白質を分解せしめる際に、媒体として、水道水等の水を電気分解することによって得られる電解水(電解生成水)、中でも、陰極側に生成されるアルカリ性の水(以下、アルカリ性電解水と呼称する)を用いることにより、酸化による着色や酸化異臭のないグルカンを、有利に製造できることを見出し、先に、国際出願番号:PCT/JP2004/001592として、酵母由来グルカンの製造方法を提案した。
そして、そのような本発明者等の提案になる酵母由来グルカンの製造方法にあっては、アルカリ性電解水中において、破砕された酵母の細胞内酵素による自己消化処理や、アルカリ性プロテアーゼによる酵素処理(蛋白質分解処理)が行なわれることとなるところから、酵母細胞を構成する蛋白質成分が、効果的に分解せしめられ得ると共に、アルカリ性電解水による洗浄効果乃至は界面活性効果が有利に発現され、以て、酵母細胞内の脂質や他の不要な成分がアルカリ性電解水中に効果的に溶解されたり、エマルジョン化されて、目的とするグルカンとの分離が良好に行なわれることとなる。そして、このように、アルカリ性電解水中にグルカン以外の他の成分が溶出せしめられることにより、固形分として残るグルカンから、蛋白質や脂質等の他の成分が効果的に取り除かれて、得られるグルカンの純度が向上せしめられ得るのである。しかも、アルカリ性電解水は、アルカリ性を呈すると共に、酸化還元電位が低く、還元力を有しているところから、処理操作中において、脂質の酸化等が惹起されることもなく、従って、脂質の酸化によって招来される着色や酸化異臭の発生も有利に抑制乃至は防止され得る、等の格別の作用乃至は効果が奏され得ることが明らかとなったのである。
しかしながら、本発明者等が、この先に提案に係る酵母由来グルカンの製造方法について更に検討を進めた結果、そのような方法によって得られる最終的なグルカン製品は、今一つその純度が充分でなく、蛋白質含有量において、5%程度とすることは出来るものの、それよりも低含有量、例えば蛋白質の含有量が2%以下、更には1%以下にまで低減されたグルカン製品を得ることは、極めて困難であるものであった。しかして、β−グルカンの機能乃至は特性をより一層有効に発揮せしめ、また、様々な用途において有利に使用され得るようにするために、前述の如き製造方法に従って得られる酵母由来グルカン製品の純度を更に高めることは、極めて有用なことである。
特開2003−197号公報 特開2002−209598号公報 特表平11−508772号公報 特表平11−500159号公報 特表平9−512708号公報 特開平9−322795号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、極めて純度の高い酵母由来グルカンを有利に製造することの出来る方法を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酵母の物理的な磨砕工程と、その磨砕物を自己消化・酵素処理して得られるものの洗浄工程とに、それぞれ工夫を加えると共に、その得られた洗浄処理物に対する希酸処理工程を、更に採用することによって、得られる酵母由来グルカン(β−グルカン)の純度を極めて高め得ることを見出したのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、(a)水を電気分解して得られるアルカリ性電解水を磨砕媒体として用い、これに酵母を加えて冷却しつつ、かかる酵母を物理的に磨砕する工程と、(b)該磨砕工程で得られる磨砕物を、上記と同様なアルカリ性電解水の存在下、前記酵母の細胞内酵素による自己消化処理に加えて、アルカリ性プロテアーゼを用いて酵素処理する工程と、(c)かかる磨砕物の酵素処理されたものを、pHが11以上、酸化還元電位が−800mVよりも低い強アルカリ性電解水にて洗浄する工程と、(d)該洗浄工程で得られる洗浄処理物を、希酸水溶液にて接触、処理して、高純度グルカンを得る工程とを、含むことを特徴とする酵母由来グルカンの製造方法にある。
なお、このような本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法の望ましい態様の一つによれば、前記磨砕工程は、不活性雰囲気下において実施され、これによって、アルカリ性電解水に配合された酵母が、大気中の酸素に触れることが阻止されて、その酸化が効果的に抑制乃至は防止され得ることとなる。
また、かかる本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法の望ましい態様の他の一つによれば、前記磨砕される酵母が、不活性ガスの液化物に接触せしめられて、凍結されている状態において、前記磨砕操作が、進行せしめられることとなる。このように、酵母が凍結されて、磨砕せしめられることにより、その磨砕操作をより一層容易に行なうことが出来るのである。更にまた、有利には、不活性ガスの極く低温の液化物を添加して、その存在下において、磨砕操作が行なわれることにより、前記した酵母とアルカリ性電解水との配合物の冷却が、効果的に為され得ると共に、酵母やその磨砕物の大気(空気)からの遮断を、そのような液化物から気化する不活性ガスにて、効果的に実現することが出来るのである。
そして、本発明にあっては、有利には、そのような不活性ガスの液化物としては、液体窒素が用いられるのであり、更に、かかる磨砕によって、粒径が1〜30μmの酵母磨砕物が有利に形成されることとなる。
また、本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法の他の望ましい態様においては、前記強アルカリ性電解水による洗浄操作は、複数回、繰り返して実施され、それによって、より有効な洗浄効果が達成されるのである。
さらに、本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法の別の望ましい態様によれば、前記希酸水溶液として、0.001〜0.1N塩酸水溶液が有利に用いられ、これによって、希酸処理効果の有効な実現が図られ得ることとなる。
このように、本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法にあっては、酵母の物理的な磨砕工程において、アルカリ性電解水を磨砕媒体として用いて、その特性を有効に利用することにより、脂質の酸化によって招来される着色や、酸化異臭の発生も有利に抑制乃至は防止され得ることとなることに加えて、磨砕操作にて発生する熱が、冷却操作にて、磨砕系から取り除かれることによって、酵母、ひいては磨砕物の磨砕熱による変性乃至は変質が、効果的に抑制乃至は阻止され得るのである。
しかも、酵母磨砕物の酵素処理されたものに対する洗浄工程においては、所定の強アルカリ性電解水が用いられているところから、そのような強アルカリ性電解水による優れた洗浄作用、特に、蛋白質や脂質を溶解し、乳化して、効果的に洗い流すことが出来ることとなり、これによって、得られるグルカンの純度の向上に大きく寄与し得ることとなるのである。
また、本発明にあっては、強アルカリ性電解水による洗浄工程の後、その洗浄処理物を希酸水溶液にて処理し、そして、その処理物から高純度グルカンを得るようにしていることによって、かかる高純度グルカンの特性が更に高められ、本発明に従って得られるグルカンの品質を高度に確保することが出来る特徴も有している。
特に、本発明において、酵母を不活性ガスの液化物にて凍結せしめる一方、その磨砕操作が不活性ガスの液化物を用いて極く低温で実施されるようにすることにより、磨砕による温度上昇(磨砕熱)により、酵母の菌体内酵素が熱分解乃至は破壊されるのを効果的に阻止することが出来、以て、後の自己消化を有利に進行せしめることが出来る。
ところで、本発明において、目的とするβ−グルカンを得るために用いられる酵母としては、特に限定されるものではなく、例えば、酒類の醸造やアルコールの製造、製パン等に用いられる、サッカロミセス属(Saccharomyces )の酵母である、ビール酵母や清酒酵母、ワイン酵母、パン酵母、醤油酵母、味噌酵母等を挙げることが出来、これらのうちの少なくとも1種以上の酵母が、適宜に選択されて用いられることとなる。なお、これらの酵母は、商業的に入手することが可能であって、例えば、パン酵母、ビール酵母等は、乾燥酵母として市販されている。尤も、乾燥酵母は、そのまま用いられる生酵母とは異なり、後述するアルカリ性電解水を用いて、室温下で膨潤させられたものが、本発明に従う磨砕工程に付されることとなる。
そして、本発明方法に従って、そのような酵母に含まれる水不溶性のグルカンを取り出して、目的とするグルカンが製造(採取)されることとなるのであるが、本発明方法にあっては、かかる酵母の磨砕操作や自己消化処理・酵素処理に際して、媒体として、水を電気分解することによって得られるアルカリ性電解水が、用いられるのである。
具体的には、電解水は、通常の水道水等の水を、隔膜を有する電解槽中で電気分解することによって得られるものであり、かかる電気分解によって、水中に含まれているイオンは、それぞれの持っている電荷とは反対の電荷を有する電極に移動し、電気分解装置の陰極側では、カチオンが集まり、更に水素が生成されることにより、水道水(原水)に比して高pH、高濃度のカチオン及び還元性を有する水が生成される一方、陽極側では、アニオンが集まり、酸素が生成されることにより、水道水(原水)に比して低pH、高濃度のアニオン及び酸化性を有する水が生成される。そして、本発明においては、そのような二種類の電解水の中でも、陰極側に生成されるアルカリ性電解水が有利に用いられることとなる。
なお、そのようなアルカリ性電解水としては、上述せるように、電気分解によって陰極側に生成される電解水であれば良く、特に制限されるものではないものの、そのpHが、好ましくは8.5〜11.0程度、より好ましくは9.5〜10.5であるものが、望ましい。何故なら、pHが上記の範囲よりも低くなると、蛋白質の溶解作用が良好に発揮され得なくなる恐れがあるからであり、また、上記の範囲より高くなると、酵素の至適pHから大きく外れて、酵素の活性が失われる恐れがあるからである。
また、アルカリ性電解水には、陰極で生成された水素ガスが溶存しており、この水素ガスによって、アルカリ性電解水の酸化還元電位は、水道水等の水(原水)に比して低い値となっている。そのようなアルカリ性電解水の酸化還元電位にあっても、特に限定されるものではないものの、好ましくは−100〜−800mV程度、より好ましくは−500〜−800mV程度であるアルカリ性電解水を用いることが望ましい。このように、酸化還元電位の低いアルカリ性電解水を用いれば、アルカリ性電解水の還元力が効果的に作用せしめられて、酵母細胞中の脂質等の成分の酸化が有利に防止され、酸化異臭の発生が極めて効果的に抑制され得ると共に、穏やかな還元漂白によって、酸化による着色のない、良質なグルカンが得ることが出来る。
そして、本発明に従う酵母由来グルカンの製造方法においては、先ず、上記の如きアルカリ性電解水を磨砕媒体として用い、これに、前記した酵母を加えて冷却しつつ、かかる酵母を物理的に磨砕する工程が、実施されることとなる。この物理的な磨砕(乃至は機械的な破砕)の方法としては、特に限定されるものではなく、乳鉢、ホモジナイザー、コロイドミル等を用いた従来から公知の各種の磨砕手法が、適宜に選択されて用いられるのであり、また、磨砕処理温度や処理時間等の磨砕条件も、使用する酵母の量や種類、磨砕方法等に応じて、適宜に設定されることとなる。そして、この磨砕処理によって、一般に1〜30μm程度、好ましくは1〜10μm程度の大きさに磨砕されて、酵母の細胞壁が破砕されることにより、細胞内の蛋白質、糖質、アミノ酸、有機酸、脂質等の各種成分が、細胞外に取り出され得るようになる。また、かかる酵母の磨砕に際して、本発明に従って、アルカリ性電解水が磨砕媒体として用いられ、そのようなアルカリ性電解水中で酵母の磨砕処理が実施されることによって、その細胞内に存在する酵素が、アルカリ性電解水に溶出されると共に、親水性の他の成分も可溶化されることとなる。
なお、そのような磨砕工程においては、酵母の磨砕操作によって、被磨砕物(酵母+アルカリ性電解水)が発熱するようになるところから、本発明にあっては、そのような被磨砕物の冷却が行なわれ、発熱による酵母、更には酵母磨砕物の変性乃至は変質が抑制又は阻止せしめられるようにされる。また、このような被磨砕物の冷却は、磨砕装置の冷却によって、被磨砕物を外部から冷却せしめる手法も採用可能ではあるが、特に本発明にあっては、液化された不活性ガス、例えば液体窒素、液体アルゴン、液体ヘリウム等の、被磨砕物に悪影響をもたらさない液化ガスを、被磨砕物中に添加せしめて、その冷却を行うようにする手法が、効果的に採用されることとなる。そして、このような被磨砕物の冷却操作によって、変性や変質のない磨砕物が有利に得られることとなるのである。
また、本発明にあっては、そのような磨砕工程は、生成する微細な磨砕物の酸化の抑制乃至は阻止を図るべく、不活性雰囲気下において実施されることが望ましく、一般に、磨砕装置内の雰囲気を不活性ガスにして、磨砕操作が実施されることとなるが、特に、酵母とアルカリ性電解水の混合物である被磨砕物に対して、不活性ガスの液化物を添加しつつ、その磨砕操作を進行せしめることが推奨される。かかる不活性ガスの液化物の添加によって、被磨砕物の冷却が効果的に行なわれ得て、磨砕操作による発熱に基づくところの悪影響を有利に回避し得ると共に、被磨砕物の周りの雰囲気を、効果的に不活性雰囲気と為し得るからである。なお、そのような被磨砕物に添加される不活性ガスの液化物の量としては、目的とする被磨砕物の冷却の程度や磨砕装置内における不活性雰囲気の保持の程度等によって、適宜に決定されるものであり、また、その添加方法としても、液化物を連続的に滴下する方式や、液化物を所定時間毎に添加する間欠的方式等の公知の添加方式が、適宜に採用される。
さらに、本発明にあっては、かかる磨砕工程において磨砕される酵母は、凍結せしめられていることが望ましく、それによって、酵母に対する磨砕操作が容易となり、また、より微細な磨砕物を有利に得ることが出来ると共に、磨砕によって生じる熱も効果的に抑制乃至は阻止することが出来るという特徴を発揮する。なお、そのような酵母の凍結は、有利には、不活性ガスの液化物を接触せしめることにより行なわれる。
ところで、このような本発明に従う磨砕工程において、酵母とアルカリ性電解水の混合物からなる被磨砕物の冷却に用いられたり、磨砕工程(磨砕系)における雰囲気を不活性雰囲気としたり、磨砕される酵母を凍結せしめたりする不活性ガスの液化物としては、先述せる如く、酵母やその磨砕物に対して悪影響をもたらすことのない不活性ガス、例えば窒素やアルゴン、ヘリウム等の気体の液化物が適宜に用いられ得るが、中でも、本発明においては、液体窒素が有利に用いられることとなる。
そして、かくの如き磨砕処理の後、得られた微細な酵母磨砕物は、上記と同様なアルカリ性電解水の存在下において、所定のアルカリ性プロテアーゼを用いて酵素処理され、これによって、アルカリ性電解水に可溶化していない蛋白質やグルカンに結合する蛋白質等の分解が効果的に促進されるようになるのである。
また、この酵素処理工程においては、アルカリ性電解水中に、酵母磨砕物から酵母の細胞内に存在する酵素が溶出されて、存在しているところから、そのような酵母の細胞内酵素による自己消化も、アルカリ性プロテアーゼによる酵素処理と同時に進行しているものと考えられている。特に、前記した酵母の磨砕によって得られた磨砕物を、その磨砕に用いられたアルカリ性電解水を分離することなく、そのまま存在させた状態において、本発明に従う酵素処理が実施されるようにすることにより、そのような磨砕物中に存在するアルカリ性電解水中には、酵母の細胞内酵素が溶存されているために、そのような溶存酵素を利用して、酵素磨砕物の自己消化処理を有利に進行せしめることが出来る。
なお、かかる酵素処理工程において用いられるアルカリ性電解水の量は、特に制限されるものでないものの、アルカリ性電解水の量が酵母磨砕物に対して少なくなり過ぎると、脂質等の不要な成分をアルカリ性電解水中に充分に可溶化せしめることが出来なくなる恐れがある一方、アルカリ性電解水の量が多くなり過ぎると、アルカリ性プロテアーゼによる酵素処理効果が低下したり、酵母の細胞内酵素による消化が、効率的に行なわれ得ず、酵母細胞を構成する各種成分、例えば、蛋白質、脂質、糖質(グルカンを除く)等を可溶化するまで充分に分解することが出来なくなる恐れがあるところから、アルカリ性電解水は、酵母(乾燥重量)の1重量部に対して、一般に1〜20重量部程度、好ましくは2〜5重量部となる割合において、用いられることが望ましい。
また、この酵素処理に使用されるアルカリ性プロテアーゼ(Alkaline protease )としては、アルカリ性電解水で蛋白質を分解し得ると共に、人体に対する安全性が確保されているものであればよく、公知の各種プロテアーゼの中から、適宜に選択され得るものであり、また、そのようなアルカリ性プロテアーゼは、市販もされており、例えば、プロレザーFG−F(天野エンザイム株式会社製品)等を挙げることが出来る。なお、このアルカリ性プロテアーゼの添加量としては、使用するプロテアーゼの種類等に応じて、適宜に設定され得るものであるが、その添加量が少な過ぎると、アルカリ性プロテアーゼによる蛋白質の分解が充分に実現されず、また、多過ぎると、アルカリ性プロテアーゼによるアレルギーの発症等が懸念されると共に、製造コストの高騰を招く恐れがある。このため、アルカリ性プロテアーゼは、好ましくは、使用する酵母の重量(乾燥重量)の100重量部に対して、一般に0.01〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部となる割合において、添加されることが望ましい。
そして、このようなアルカリ性プロテアーゼによる酵素処理工程において、その処理温度や処理時間としては、目的とする酵素処理と共に、自己消化処理をも同時に実施し得るように、アルカリ性プロテアーゼや酵母の細胞内酵素の特性を勘案して適宜に設定されることとなるが、一般に、処理温度としては40〜70℃程度、好ましくは50〜60℃程度の温度が好適に採用される一方、処理時間としては、通常、1〜48時間程度、好ましくは12〜24時間程度の時間が採用されることとなる。
このように、本発明に従って、酵母磨砕物のアルカリ性プロテアーゼによる酵素処理を実施することによって、また、酵母の細胞内酵素による自己消化処理も進行せしめられることとなるところから、酵母細胞を構成する各種成分、特に蛋白質が、効果的に分解されて、アルカリ性電解水中に可溶化されるのであり、また、アルカリ性電解水の採用によって、水不溶性の長鎖のグルカンが有利に製造され得るのである。しかも、アルカリ性電解水は、通常の水に比して、表面張力が弱く、浸透力やエマルジョン化能が高いといった特性を有しているところから、つまり、アルカリ性電解水には、洗浄作用乃至は界面活性作用があるところから、その作用が有利に発揮されて、酵母細胞の構成成分である脂質等が、アルカリ性電解水中に効果的にエマルジョン化され、以て、脂質等の成分と水不溶性のグルカンとの分離も、極めて良好に実施され得るのである。加えて、アルカリ性電解水は、酸化還元電位が低いところから、本発明に従う酵素処理工程においても、その媒体として用いられるアルカリ性電解水中で酵母細胞の構成成分が酸化するようなことも、極めて効果的に防止され得て、酸化異臭の発生や、酸化によるグルカンの着色も効果的に防止され得るようになっているのである。
そして、本発明にあっては、かくの如き酵素処理工程が終了した後、必要に応じて、所定の熱処理が実施される。この熱処理によって、各種酵素が失活され、酵素による各種成分の分解反応が終了せしめられる。なお、この熱処理の条件は、特に限定されるものではなく、一般的な熱処理条件が採用され得るのであり、通常、80〜100℃で、5〜60分程度の加熱操作が施されることによって、アルカリ性電解水中の酵素が失活させられるのである。また、そのような失活操作を実施することなく、前記酵素磨砕物の酵素処理されたものに対して、以下の如き洗浄操作を行なうことにより、かかる酵素処理物中に存在する酵素を除去せしめることによっても、同様な効果を得ることが可能である。
上記の酵素処理工程において得られた酵素磨砕物の酵素処理されたものに対する洗浄操作は、先ず、そのような酵素処理物から各種不要な成分が溶出せしめられたアルカリ性電解水が、遠心分離や濾過等の固液分離操作によって分離、除去された後、得られた固形分に対して、本発明に従って、前記したアルカリ性電解水よりもpHが高く、且つ酸化還元電位が低い強アルカリ性電解水、具体的にはpHが11以上、酸化還元電位が−800mVよりも低い強アルカリ性電解水を用いた洗浄操作が実施され、これによって、固形分中に残存する脂質等の性分がより一層効果的に除去されることとなり、以て、得られるグルカンの純度が、より一層有利に高められることとなるのである。特に、酵素処理までの工程において用いたアルカリ性電解水とは異なり、それよりも高pH、低酸化還元電位の強アルカリ性電解水を用いていることによって、より一層優れた洗浄効果と共に、有効な還元状態において洗浄処理を実施することが出来ることから、この洗浄処理においても、酸化による製品の劣化を有利に防ぐことが出来ることとなる。なお、この洗浄操作は、所定の強アルカリ性電解水にて固形分をすすぎ、その後、遠心分離を行なうことによって実施され、その回数は、適宜に設定されるものの、1〜8回程度、望ましくは複数回、繰り返して実施されることとなる。
なお、この本発明に従う洗浄工程において用いられる強アルカリ性電解水は、先に説明した磨砕工程や酵素処理工程で用いられる通常のアルカリ性電解水と同様にして、原水を電気分解して得られるものであるが、かかる通常のアルカリ性電解水の製造に用いられる原水が、水道水等の通常の水を用いていることとは異なり、所定の濃度で塩化ナトリウムを含む水溶液を原水として、これを有隔膜電解槽において電解することにより、その陰極側から得られるpHが11以上、好ましくは11.3以上、より好ましくは11.5以上、酸化還元電位が−800mVよりも低い、好ましくは−850mV以下の電解水として生じたものが、本発明において、強アルカリ性電解水として用いられることとなる。このような強アルカリ性電解水は、成分に微量の水酸化ナトリウムを含んでいるところから、蛋白質の溶解や油脂を乳化させる力が強く、これによって、固形分に対する洗浄処理が有効に行なわれ得て、より純度の高いグルカンからなる固形分を得ることが出来るのである。
さらに、本発明にあっては、上述の如き洗浄処理の施されたグルカンからなる固形分(洗浄処理物)が、希酸水溶液を用いて、接触処理されることとなる。このような希酸水溶液による処理は、前記した強アルカリ性電解水による固形分(グルカン)の洗浄処理によって取り込まれたナトリウムイオン(Na+ )を除去しようとするものであって、このような希酸水溶液による処理によって、得られるグルカンの特性乃至は活性が、効果的に高められ得ることとなる。なお、ここで用いられる希酸水溶液は、前記洗浄処理された固形分中のナトリウムイオンを水素イオン(H+ )に置換し得る公知の各種酸の希薄水溶液が用いられ得るものであるが、特に本発明にあっては、0.001〜0.1N塩酸水溶液が好適に用いられることとなる。酸の濃度が極端に低くなると、ナトリウムイオンの置換効果が乏しく、また、高濃度の場合には、固形分中に酸が残存したり、固形分の変質を惹起する恐れがある等の問題を内在する。
そして、このようにして、希酸水溶液による処理が施された固形分に対しては、その後、遠心分離により、希酸水溶液の除去が行われた後、蒸留水にて複数回の洗浄操作が施され、更に、その後、真空凍結乾燥等の適当な乾燥操作によって、目的とするβ−グルカンからなる高純度な製品が、固形分として採取されるのである。
従って、このようにして製造された酵母由来のグルカンにあっては、従来のβ−グルカンが、高々90数%程度の純度のものであるのに対して、β−グルカンの純度が99%或いはそれ以上の極めて高い純度のものとして得られるのであり、しかも、酸化異臭の発生や酸化による着色も、有利に抑制乃至は防止されたものとなっているのである。従って、本発明に係る製造方法に基づいて製造される酵母由来グルカン(β−グルカン)は、従来のβ−グルカン製品と同様な健康食品や医薬品等の用途において、より一層有利に使用されることとなるのである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、酵母と二種の電解水(通常のアルカリ性電解水及び強アルカリ性電解水)とを、以下の如く、準備した。
−酵母−
酵母菌としては、家庭用の乾燥パン酵母として市販されているドライイースト(日清スーパーカメリヤドライイースト)を準備した。
−電解水A(通常のアルカリ性電解水)−
松江市の上水道水から、ホシザキ電機(株)製電解水生成装置(HOX−40A)を用いて、電解水を製造した。電解条件は、電解強度が3〜4A、流量が3〜4L/minであった。また、得られた電解水の酸化還元電位は、酸性電解水が約+580mV、アルカリ性電解水が約−700mVであった。
−電解水B(強アルカリ性電解水)−
ホシザキ電機(株)製電解水生成装置(ROX−10WA)を用いて、塩化ナトリウム濃度が0.2%以下とされた食塩水の電解を行ない、陰極側より、pHが約11.5、酸化還元電位が約−900mVの強アルカリ性電解水を得た。
先ず、上記で準備した乾燥パン酵母の10gと上記で準備した電解水A(pH10の通常のアルカリ性電解水)の30mLとを混合し、室温下において、30分間放置することにより、かかるパン酵母の膨潤を行なった。そして、その膨潤物に対して、3000rpm×30分間の遠心分離操作を施し、除水を行なった。
次いで、かかる膨潤せしめられたパン酵母に対して、液体窒素を振りかけ、凍結せしめた。そして、この凍らせた酵母細胞に対して、等量の電解水A(通常のアルカリ電解水)を加えて、自動乳鉢粉砕装置:モルターグラインダー(独国レッチェ社製)によって磨砕を行ない、1〜10μmの大きさの磨砕物を得た。なお、この磨砕操作において、被磨砕物である凍結酵母とアルカリ性電解水の混合物に対して、その磨砕操作を行ないつつ、時々、液体窒素を滴下して、冷却し、−70℃で磨砕が行なわれるようにした。また、かかる磨砕される混合物の周りの雰囲気は、液体窒素の気化によって生じた窒素雰囲気(不活性雰囲気)となるものである。
そして、上記の磨砕操作によって得られた磨砕物を磨砕装置(モルターグラインダー)から取り出し、それに、前記電解水A(通常のアルカリ電解水)の約10mLを加え、更に、アルカリ性プロテアーゼとして、プロレザーFG−F(天野エンザイム(株)製)の0.1gを加えた後、55℃の温度で24時間の間、保持することにより、酵素処理と自己消化処理を実施した。
その後、かかる酵素処理及び自己消化処理された磨砕物に対して、3000rpm×3分間の遠心分離操作を施し、その除水を行なって得られる固形分を用いて、それに、前記準備された電解水B(強アルカリ性電解水)の約100mLを混合して、その洗浄を行ない、更に、その洗浄後、3000rpm×3分間の遠心分離操作を実施して、除水した。更に、この洗浄−遠心分離操作を6回繰り返すことにより、固形分中のグルカン以外の成分の除去を行なった。
次いで、かかる洗浄された固形分に対して、更に、N/100HCl水溶液の50mLを用いた洗浄を行ない、そして3000rpm×3分間の遠心分離操作にて除水した後、蒸留水にて数回の洗浄を行ない、その後、真空凍結乾燥にて、目的とする高純度のグルカン(本発明製品)を得た。
かくして得られた本発明製品(精製β−グルカン)について、その評価を、下記の方法に従って行なった。
−β−グルカンの純度の評価(蛋白質)−
精製したβ−グルカンに残存する蛋白質量を、Bio−Rad社の蛋白質量測定試薬(Bradford法)により評価した。種々の濃度の牛血清アルブミン(BSA)を利用して、標準曲線を作成し、比色により、β−グルカン中の蛋白質量を評価した。
−β−グルカンの免疫賦活作用の評価−
マウス・マクロファージ由来のRaw264.7細胞(米国ATCCより入手)を24wellプレートにより、10%牛胎児血清入りDulbeco's MEM メディウム(Sigma社製)中で、5%CO2 存在下、37℃で4時間培養した(0.5×106cells/well)。培養開始時に種々の濃度のβ−グルカンを添加して、腫瘍壊死因子(TNFα)の誘導産生能を、後述の酵素免疫測定法(ELISA)により、評価した。陽性対照群として、大腸菌由来の100ng/mlのリポポリサッカライド(LPS)を添加した。なお、TNFα産生の評価は、独立した実験を実験を3度試行し、その平均値を求めることにより、行なった。
−酵素免疫測定法(ELISA)によるTNFαの測定−
抗マウスTNFαモノクローナル抗体を利用したサンドウィッチELISA法を原理とするTNFα測定キット(Duo−Set,R&Dシステム社製)を利用して、Raw264.7細胞が分泌した培養上清中のTNFαを測定した。このシステムの感度は、16pg/mlで、マウスTNFα以外の抗原(蛋白質)を認識しない、極めて特異性の高い測定法である。種々の濃度の組み換え型マウスTNFαを基準として、標準曲線を得て、培養上清中に分泌したTNFαを、ELISAリーダーにより測定した。
上記した測定方法に従って、本発明製品(精製β−グルカン)のTNFα産生の誘導能について検討した結果、本発明製品が、濃度依存的に標的細胞であるRaw264.7のTNFα産生を誘導することを認めた。これにより、RAW264.7によるTNFα産生は、本発明製品により誘導されたと解釈することが出来る。また、種々の濃度の精製β−グルカンについて、検証した結果、100μg/mlにおいて、最も強くTNFα産生を誘導した。なお、100μg/mlより高濃度では、精製β−グルカンの示す不溶性から、実験は困難であった。更に、100μg/mlの精製β−グルカンは、3700pg/mlのTNFα産生を促し、既知のTNFα誘導体として知られている100ng/mlLPSの4250pg/mlと比べて、87%の誘導能を示した。なお、希酸水溶液による処理効果を確認するために、電解水Bによる洗浄処理の後、N/100HCl水溶液処理が施されていない固形分(β−グルカン)について、その100μg/ml濃度でのTNFα産生能を調べたところ、1300pg/mlと、極めて低い値を示した。
また、本発明製品(精製β−グルカン)の純度について、前述せるBradford法による精製β−グルカン中の蛋白質量を測定した結果、その含有量が、0.5%以下であることを確認した。一方、市販のβ−グルカン製品の場合にあっては、それに混在している蛋白質量は、約5%であることを認めた。このことより、本発明製品(精製β−グルカン)は、市販製品に比べて、蛋白質含有量は1/10であって、その純度が極めて高くなっていることを認めた。
なお、かかる得られた本発明製品(精製β−グルカン)は、5分間の煮沸処理により、その活性が約56%に低減したが、70℃で15分間の処理では、殆ど活性を損なうことがないことを認めた。

Claims (8)

  1. 水を電気分解して得られるアルカリ性電解水を磨砕媒体として用い、これに酵母を加えて冷却しつつ、かかる酵母を物理的に磨砕する工程と、
    該磨砕工程で得られる磨砕物を、上記と同様なアルカリ性電解水の存在下、前記酵母の細胞内酵素による自己消化処理に加えて、アルカリ性プロテアーゼを用いて酵素処理する工程と、
    かかる磨砕物の酵素処理されたものを、pHが11以上、酸化還元電位が−800mVよりも低い強アルカリ性電解水にて洗浄する工程と、
    該洗浄工程で得られる洗浄処理物を、希酸水溶液にて接触、処理して、高純度グルカンを得る工程とを、
    含むことを特徴とする酵母由来グルカンの製造方法。
  2. 前記磨砕工程が、不活性雰囲気下において実施される請求項1に記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  3. 前記磨砕される酵母が、不活性ガスの液化物に接触せしめられて、凍結されている請求項1又は請求項2に記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  4. 前記磨砕操作を進行せしめつつ、前記酵母と前記アルカリ性電解水の混合物に対して、不活性ガスの液化物が連続的に又は間欠的に添加されて、該混合物の冷却が行なわれる請求項1乃至請求項3の何れかに記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  5. 前記不活性ガスの液化物が、液体窒素である請求項3又は請求項4に記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  6. 前記磨砕によって、粒径が1〜30μmの酵母磨砕物とされる請求項1乃至請求項5の何れかに記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  7. 前記強アルカリ性電解水による洗浄操作が、複数回、繰り返して実施される請求項1乃至請求項6の何れかに記載の酵母由来グルカンの製造方法。
  8. 前記希酸水溶液が、0.001〜0.1N塩酸水溶液である請求項1乃至請求項7の何れかに記載の酵母由来グルカンの製造方法。
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