JP2006165107A - 静電チャック用誘電体セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電圧を印加している間は大きな吸着力を有し、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流が小さく、さらに、電圧印加を止めた時には被吸着物が容易に離脱できる静電チャック用誘電体セラミックス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 アルミナを主成分とし、アルミナ粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、アルミナと遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒は3質量%以下になるように遷移金属酸化物原料を添加した混合粉末を還元雰囲気で焼成したことを特徴とする静電チャック用誘電体セラミックス及びその製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体や液晶の製造工程において、シリコン基板、化合物半導体基板やガラス基板の固定、搬送、平面度矯正に用いられる静電チャックに適する静電チャック用誘電体セラミックスに関する。
従来より、半導体や液晶の製造工程において、シリコン基板、化合物半導体基板やガラス基板を固定、搬送するために、静電チャックが用いられてきた。特に、電子ビーム描画装置、ドライエッチング装置、CVD装置、PVD装置など、真空中で基板を固定、搬送する場合には真空チャックが使えないため、気体圧力差が無くても基板を固定、搬送できる静電チャックが有効であった。さらに近年では、デバイスの微細化に伴って基板であるウエハやガラス基板の平坦度が益々重視され、その矯正に静電チャックが利用されつつある。
このような基板の平坦度の矯正には極めて大きな吸着力が必要とされ、そのためにはアルミナ(Al23)のような絶縁体にチタニア(TiO2)等の遷移金属酸化物を混合して誘電体セラミックスの体積固有抵抗率を低下させ、静電吸着力を向上させることが提案されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、特許文献3、特許文献4等参照)。
特開昭62−94953号公報 特開平2−22166号公報 特開平3−147843号公報 特開2003−188247号公報 特開昭37−8579号公報 特開平11−176920号公報 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.32(1993)pp.864−87
以下、遷移金属としてチタン(Ti)を例に説明するが、これに限ったものではない。TiO2を混合したAl23を使用すると、添加したTiがAl23粒子内に固溶し、さらに、Al23粒子間にある粒界相にもTiが固溶するため、母相である誘電体セラミックスの体積固有抵抗率は低下する。この体積固有抵抗率が1×109〜1×1011Ωcmの範囲であれば、誘電体セラミックスと被吸着物との界面の小さなギャップに微少電流が流れ、ジョンソンラーベック効果により吸着力は大幅に向上する。しかしながら、TiO2を混合して焼結すると、誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、アルミニウム(Al)とTiからなる複合酸化物、例えば、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)が同時に形成されてしまう。このAl2TiO5は、Al23−TiO2二成分系において、1150〜1300℃に共析分解温度を有する1012Ωcm以上の高抵抗な化合物である。このように、異なった抵抗率の相が存在すると、被吸着物が吸着面から容易に離脱できなくなってしまうなど、電圧に対する応答特性(吸着力飽和時間、残留吸着力消滅時間)が劣ることを本発明者らは見出した。これは、電荷の動きは抵抗率の比較的低いAl23母相では容易に起こるが、それがAl2TiO5との境界に達したところで阻止されてしまうためである。
特に、特許文献2や特許文献4に開示されている技術では、TiO2等の遷移金属酸化物に加え、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属の酸化物が含まれている。Al2TiO5は、低温域では比較的不安定で分解しやすいが、マグネシア(MgO)等アルカリ土類金属酸化物の添加が分解抑制に効果的であることが古くから知られている(特許文献5)。これは、Al2TiO5とTi、Mgからなる複合酸化物(MgTi25)が各々全率固溶体を形成し、Al2TiO5の共析分解温度を低下させるためであると考えられる。このため、高抵抗な複合酸化物(Al2TiO5、MgAl8Ti625、Mg0.3Al1.4Ti1.35、Mg0.6Al0.8Ti0.65等)がAl23粒子間に安定に存在し、残留吸着消滅時間等の脱着応答特性を劣化させてしまうという問題がある。
また、特許文献2では、残留静電吸着力は誘電体セラミックスの体積固有抵抗率の低下によって低減され、残留する体積電荷、表面電荷の消失速度が体積固有抵抗率に反比例して速まるとしている。この発明によると、体積固有抵抗率を例えば、1×108ΩcmにするにはTiO2を25質量%程度混合する必要があるが、半導体や液晶の製造工程においてはこのような不純物の混入は極力さけなければならない。また、体積固有抵抗率が低過ぎると、吸着装置からシリコン基板に大きなリーク電流が流れてウエハの回路が破壊されるという新たな問題が発生してしまう。
特に近年では、半導体や液晶の各種処理工程における処理時間を短くし、生産性を向上することが強く求められており、応答特性の劣化は一枚の基板を処理するのに要する時間(スループット)を劣化させるため大きな問題となっている。例えば、半導体の製造工程においては、残留吸着力消滅時間が10秒以内であることが必要であり、好ましくは、3秒以内とされている。
上記問題を解決するための技術が、特許文献6に提案されている。これによると、Al23に、TiO2を2.5〜5質量%、及び5質量%以下の窒化チタン(TiN)の粉末を添加し、混練、成形、焼成した焼結体とすれば、該焼結体中あるいは粒界でTiO2とTiNまたはAl23とTiNの間等でオキシナイトライド形成が起こり、電荷の移動速度がTiO2だけを添加した場合より速くなり、脱着応答性が速い静電吸着部を形成することができるというものである。しかしながら、前述の発明では、Al2TiO5等の高抵抗な複合酸化物も同時に形成してしまうため、Al23と複合酸化物の界面において電荷の移動速度が遅くなり、結果的には、脱着応答性が十分に改善されていないという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アルミナを主成分とする静電チャック用誘電体セラミックスにおいて、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流の増大を伴うことなく、且つ、高い吸着力を保持したまま、脱着応答性を大幅に改善させることにある。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、電圧を印加している間は大きな吸着力を有し、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流が小さく、さらに、電圧印加を止めた時には被吸着物が容易に離脱できる静電チャック用誘電体セラミックス及びその製造方法を提案することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)アルミナを主成分とする静電チャック用誘導体セラミックスにおいて、前記誘電体セラミックスを構成するアルミナ粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、アルミナと遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒は3質量%以下であることを特徴とする静電チャック用誘電体セラミックス。
(2)遷移金属がチタン、クロム、鉄、ニッケル、ニオブ、ジルコニウムのうちから選定される1種又は数種であることを特徴とする上記(1)に記載の静電チャック用誘電体セラミックス。
(3)誘電体セラミックスの25℃における体積固有抵抗率が、1×109〜1×1013Ωcmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の静電チャック用誘電体セラミックス。
(4)アルミナを主成分とし、アルミナ粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、アルミナと遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒は3質量%以下になるように遷移金属酸化物原料を添加した混合粉末を還元雰囲気で焼成したことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の静電チャック用誘電体セラミックスの製造方法。
(5)前記焼成が、常圧焼成、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成の何れか、又は、それらを組み合わせてなることを特徴とする上記(4)に記載の静電チャック用誘電体セラミックスの製造方法。
本発明は、Al23を主成分とする静電チャック用誘導体セラミックスにおいて、前記誘導体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%、Al23と遷移金属酸化物との複合酸化物結晶粒は3質量%以下含むため、シリコン基板やガラス基板を吸着させた場合、吸着力が十分に強く、脱着応答性が極めて優れており、さらに、緻密質の誘導体セラミックスであるため脱粒によるパーティクルの発生も抑えることができ、産業上その利用価値は極めて高いものである。
本発明は、Al23を主成分とする静電チャック用誘電体セラミックスにおいて、前記誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、Al23と遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒(以下、単に複合酸化物という)は3質量%以下含むことを特徴とする静電チャック用誘電体セラミックスを要旨とする。
このように、誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含む静電チャック用誘電体セラミックスとすれば、遷移金属酸化物自身は還元雰囲気焼成で多くの酸素欠損を生じ、体積固有抵抗率が1×100〜1×108Ωcmまで低下する。このため、誘電体セラミックス焼結体は、Al23母相に低抵抗の粒子が分散した状態となり、Al23と遷移金属酸化物の界面において電荷の移動速度が速くなり、脱着応答性の優れた静電チャック用誘電体セラミックスを形成することができる。しかし、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%と少量しか分散、含有しないため、誘電体セラミックス自体の体積固有抵抗率を大きく下げることがない。このため、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流の増大を伴わずに、脱着応答性の優れた静電チャック用誘電体セラミックスを形成することができる。この遷移金属酸化物が0.3質量%よりも少ないと、脱着特性改善の効果が少なくなってしまう。また、遷移金属酸化物が10質量%よりも多いと、その焼結阻害により主成分であるアルミナ質焼結体の優れた機械的特性を劣化させてしまう。また、多くの遷移金属酸化物を添加すると、誘電体セラミックス自体の体積固有抵抗率が大きく低下してしまい、吸着装置から被吸着物に大きなリーク電流が流れてウエハの回路が破壊されるという問題も発生してしまう。
このように、誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含ませて、脱着応答性の優れた静電チャック用誘電体セラミックスを作製しても、高抵抗な複合酸化物が大量に形成されると、Al23と複合酸化物の界面において電荷の移動速度が遅くなり、誘電体セラミックス全体の脱着応答性を劣化させてしまう。本発明では、この複合酸化物の形成を3質量%以下に抑えているためこのような劣化が少なく、最終的に脱着応答性の良い静電チャック用誘電体セラミックスが得られる。
ここで誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、MgO等の焼結助剤、またはセラミックス原料中に含まれる不純物に起因する非晶質相が脱着特性を劣化させない程度に含まれていてもよい。
遷移金属としては、Ti、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)のうちから選定される1種または数種であればよく、特にTiが好ましい。
また、本発明は、誘電体セラミックスの体積固有抵抗率が1×109〜1×1013Ωcmであることを特徴とする静電チャック用誘電体セラミックスを要旨とする。体積固有抵抗率が1×109Ωcm以上であれば十分な絶縁性が得られ、基板に流れるリーク電流は僅かで基板上の回路を損傷することがないので好適である。例えば、誘電体セラミックスの体積固有抵抗率が1×109Ωcm以上であれば、誘電体の厚みが3mm、直径が300mmの静電チャックとした場合、250Vの電圧印加で、リーク電流は1μA/cm2以下となり、基板上の回路を損傷することはない。一方、体積固有抵抗率が1×1013Ωcm以下であれば、ジョンソンラーベック効果により高い吸着力が得られるので好適である。従来の技術では、誘電体セラミックスの体積固有抵抗率が1×1012〜1×1013Ωcmと比較的高抵抗であると、ジョンソンラーベック効果により吸着力は向上し、リーク電流は少なく抑えられるが、脱着特性が大幅に劣ってしまうという問題があった。しかし、本発明の誘電体セラミックスでは、体積固有抵抗率が1×1012〜1×1013Ωcmと比較的高抵抗であっても、誘電体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含むため、Al23単体の場合よりも電荷の移動速度が速くなり、極めて少ないリーク電流と優れた脱着特性を両立することが可能である。
また、本発明の静電チャック用誘電体セラミックスは、Al23を主成分とし、Al23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、複合酸化物結晶粒は3質量%以下含むように遷移金属酸化物原料を添加した混合粉末を還元雰囲気で焼成することによって、吸着力が十分に高く、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流は小さく、且つ、脱着応答性に優れた静電チャック用誘電体セラミックスが得られる。
これらの出発原料としては、純度99%以上、平均粒径2.0μm以下、好ましくは平均粒径1.0μm以下のAl23粉末、平均粒径5μm以下、好ましくは平均粒径2μm以下の遷移金属酸化物粉末を用いるのが好ましい。
また、この出発原料の成型法としては、通常の金型プレス、冷間静水圧プレス(CIP)、シート成形など通常の成型法を用いることができる。
焼成は、還元性雰囲気で行う必要があり、還元雰囲気としては、H2、Ar、N2、カーボンヒーター、カーボン容器など還元源を有する雰囲気、またはその組み合わせを用いることができ、その還元雰囲気中で焼結温度1200〜1700℃に1〜10時間程度保持する。焼成方法としては、常圧焼成、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成の何れか、または、その組み合わせを用いることができる。
Al23粒子間に存在する遷移金属酸化物は、上記還元雰囲気の焼成で多くの酸素欠損を生じ、その結果、Al23母相よりも低い1×100〜1×108Ωcmの体積固有抵抗率になる。例えばTiO2の場合には、TiO2-X(X≧0.1)の非化学量論組成において、1×100〜1×105Ωcmの低い体積固有抵抗率を示す事が知られている。この酸素欠損量Xは、通常のX線回折装置を用いてTiO2の格子定数を測定すれば求めることができる。この酸素欠損は、熱平衡状態では形成されず、より強い還元雰囲気では遷移金属酸化物の抵抗率も大きく低下するため、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成など、より非平衡な雰囲気で焼成することが望ましい。さらに通常、Al23粒内、及び粒界に多くの遷移金属酸化物が残留していると焼結阻害を引き起こし、緻密な焼結体が得られない。そのため、緻密な誘電体セラミックスを得るためにもガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成を行うことが好適である。
Al23と遷移金属酸化物の複合酸化物は、例えばAl23−TiO2二成分系では、1150〜1300℃にAl2TiO5からAl23とTiOへの共析分解反応が存在する。このため、1300℃以上の焼成温度では、Al23とTiO2が反応し複合酸化物であるAl2TiO5が生成してしまうが、焼成後の冷却速度を遅くするなど焼成条件を最適化することにより、再度Al23とTiO2に再分解させることが可能である。しかし、Al2TiO5の共析分解反応は体積収縮を伴うため、常圧焼成では緻密な焼結体が得られ難く、緻密な誘電体セラミックスを得るには、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成を行うことが好適である。
また、共析分解温度以下で焼成すれば、Al2TiO5の生成を抑えることができるが、前記温度ではAl23の焼結が進まず、緻密な焼結体が得られない。そのため、緻密な誘電体セラミックスを得るためには、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成を行うことが好ましい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明にこれらに限定されるものではない。本発明者らは、十分に吸着力が強く、吸着装置から被吸着物に流れるリーク電流が少なく、且つ、残留吸着消滅時間等の脱着特性が優れた静電チャック用の誘導体セラミックスを得るためには、誘導体セラミックス層の材質を改善することが必要であると考え、誘導体セラミックスを構成するAl23粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%、複合酸化物結晶粒は3質量%以下含む誘導体セラミックスとすれば、所望の静電チャック用誘導体セラミックスが得られることを見出し、諸条件を精査して本発明を完成させたものである。
本発明の静電チャック用誘導体セラミックスの一例として、α−Al23粉末にTiO2粉末を所定量秤量し、蒸留水、成型用有機バインダー、分散剤を加えてボールミル混合した。得られたスラリーをスプレードライヤーで造粒し、造粒粉とした。これを円盤状にCIP成形した後、大気中500℃で脱脂を行い、成形体を得た。この成形体をアルゴンガス中で表1に示した温度において、圧力30MPaで2時間ホットプレス焼成を行い、焼結体を得た。得られた焼結体を□40mm、厚さ3mmに加工し、誘導体とした。誘導体の焼結密度をアルキメデス法により測定、さらに体積固有低効率を三端子法で測定した(印加電圧250V、室温)。また、X線回折により構成相の同定、及び、得られたX線強度比からその含有量を定量的に分析した。次いで、誘導体の片側の表面にTiをスパッタし、導体層としての電極を付与した。これに絶縁体基板(アルミナ)を導体層が中間に挟まれるようにエポキシ系接着剤で接着した。この際、誘導体を2.5mmの厚みまで研削、ラップ加工し、リード電極をつけて静電チャックを作製した。
Figure 2006165107
表1の本発明例1〜7は、TiO2,Al2TiO5の含有量がともに適正範囲内にある。比較例は1〜5は、TiO2、もしくは、Al2TiO5の含有量が本発明の適正範囲外にある。
これら静電チャックについて、シリコンウエハを静電チャックの吸着面に載せ、リード電極から250Vの電圧を2分間印加した後の静電吸着力、及びリーク電流を測定した。さらに、各種静電チャックの応答特性は、250Vの電圧でシリコンウエハを2分間印加した後、電圧印加を止め、吸着力が20gf以下となる時間(残留吸着時間)を測定した。
表1に、吸着力、リーク電流、残留吸着時間の結果を誘電体の焼結密度、体積固有抵抗率の値とともに示す。
表1より、本発明例1〜7は、吸着力が十分に高く、且つ、残留吸着時間が極めて短いことが分かる。それに対して、比較例1〜4では、残留吸着時間が非常に長く、吸着力も低いことが分かる。比較例5では、誘導体の体積固有抵抗率が低いため、残留吸着時間は短いが、リーク電流が非常に多いことが分かる。
本発明例1と比較例1を比較すると、誘導体の体積固有抵抗率は5×109Ωcmと同じであるにもかかわらず、TiO2とAl2TiO5の含有量の違いから、本発明例1では、吸着力が十分に高く、脱着応答性が極めて優れているのに対し、比較例1では、吸着力、脱着特性ともに大きく劣っていることが分かる。
これは、特許文献2における、残留吸着力は誘導体セラミックスの体積固有抵抗率の低下によって低減されることに反しており、誘導体セラミックスにおける相構成が脱着特性に極めて大きな影響を及ぼしていることを示唆している。この材料制御方法の場合には、残留吸着力が極めて小さな誘導体セラミックスを製造できる利点があり、逆電圧や交流を印加して残留吸着力を取り除いたり、スリット加工を施して容量成分を減少させて残留吸着力を小さくする等の特性加工を施す必要が全くない。
また、本発明例1〜7は、焼結体の密度が非常に高く緻密であるため、真空中で使用した場合の吸着気体の離脱による真空度の低下や、脱粒によるパーティクルの発生を抑えることができる。

Claims (5)

  1. アルミナを主成分とする静電チャック用誘導体セラミックスにおいて、前記誘電体セラミックスを構成するアルミナ粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、アルミナと遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒は3質量%以下であることを特徴とする静電チャック用誘電体セラミックス。
  2. 前記遷移金属がチタン、クロム、鉄、ニッケル、ニオブ、ジルコニウムのうちから選定される1種又は数種であることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック用誘電体セラミックス。
  3. 前記誘電体セラミックスの25℃における体積固有抵抗率が、1×109〜1×1013Ωcmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャック用誘電体セラミックス。
  4. アルミナを主成分とし、アルミナ粒子間に、遷移金属酸化物結晶粒を0.3〜10質量%含み、アルミナと遷移金属酸化物の複合酸化物結晶粒は3質量%以下になるように遷移金属酸化物原料を添加した混合粉末を還元雰囲気で焼成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電チャック用誘電体セラミックスの製造方法。
  5. 前記焼成が、常圧焼成、ガス圧焼成、ホットプレス焼成、HIP焼成の何れか、又は、それらを組み合わせてなることを特徴とする請求項4に記載の静電チャック用誘電体セラミックスの製造方法。
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