JP2006164834A - カソードパネル及び平面型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常放電の発生を防止し、電子放出特性の良好なカソードパネル及び該カソードパネルを用いた平面型表示装置を提供する。
【解決手段】基板10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部15から取り出すカソードパネル1において、ゲート電極ライン14間の露出部分Aは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなる絶縁膜I1とする。
【選択図】図1
【解決手段】基板10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部15から取り出すカソードパネル1において、ゲート電極ライン14間の露出部分Aは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなる絶縁膜I1とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、カーボンナノチューブを利用した微小電子源層を有するカソードパネル及び該カソードパネルを用いたFED等の平面型表示装置に関するものである。
テレビジョン受像機や情報端末機器等の表示措置は、薄型化、軽量化、大画面化、高精細表示化の要求に答えるため、重量や厚みに限界のあるCRTから平面型表示装置(フラットパネル表示装置)への移行する開発が盛んに行われている。情報端末機器のフラットパネル表示装置としては液晶パネルが広く普及しているが、高輝度化、大型化が困難なために家庭用テレビジョン受像器は開発段階に留まっている。
一方、フィールドエミッションディスプレー(以下、FEDと略す)は、少ない電力消耗で高解像度・高輝度のカラー表示が行えるというメリットから有力な大型のフラットパネル表示装置用賭して開発が進んでいる。FEDは電子放出を行うチップ型カソードとカソードから放出された電子が衝突することにより蛍光体を励起発光させて所望のパターン、文字、記号を表示する装置である。
公知のFEDの構成は複数本の行配線につながったカソードと複数本の列配線につながったゲートからなるエミッタアレイパネルと蛍光体を塗布されたアノードパネルを絶縁性のスペーサを挟んで積層するものである(例えば、特許文献1,2参照。)。
また、エミッタアレイパネルはガラス等の誘電体板もしくはSi板上にCVD法、エッチング法、真空蒸着法もしくはスパッタ法及び光リソグラフィー法により所望の画素数に応じたマトリックスをなす行配線・列配線と1画素当り複数のカソードチップ及びカソードチップと誘電体で絶縁されたカソードチップに対応した穴を開口したゲート電極を形成して作成する。
アノードパネルはガラス等の誘電体板にITO等の透明電極を堆積させた上に各1画素に対応した赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体についてそれぞれ遮光格子を介して縞状に塗布して作成する。
従来の電界放出型ディスプレイでは、電子放射エミッタを2次元的に配列し、これに引き出し電極とカソード電圧用配線をマトリックス状に配置し、カソード先端から強電界によって放射されてきた電子により蛍光体を光らせる手法が用いられている。
従来のWを始めとする金属製のエミッタが用いられてきたが、近年になってエミッタ材料の仕事関数を下げることにより低しきい値でのエミッションを可能にする材料としてDLC(ダイヤモンド状カーボン)を始めとするカーボン材料が注目されている。
また、従来の様にエミッタ構造を作ることなく平面から電子放出させる試みが開示されおり(例えば、非特許文献1参照。)、特にカーボンナノチューブと呼ばれる微細構造を有する炭素系構造体は、その良好な電子放出特性を有することから注目を集めている(例えば、非特許文献2参照。)。さらに、これらのカーボンナノチューブの特徴を生かして導電性材料と混合して電子放出源(微小電子源装置)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。カーボンナノチューブを使用することにより、低い閾値電圧かつ低いドライブ電圧で、電子放出の安定性のある電界放出型の表示装置を実現することができる。
しかしながら、このような表示装置内ではしばしば異常放電が発生し、表示装置は電子デバイスとして致命的なダメージを受けることがあった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、異常放電の発生を防止し、電子放出特性の良好なカソードパネル及び該カソードパネルを用いた平面型表示装置を提供することを目的とする。
発明者らは、上記異常放電に関して調査したところ、平面型表示装置内の絶縁層が露出した部分に電子やイオンが衝突してチャージアップを引き起こし、異常放電につながっていることを突き止めた。例えば、蛍光体層に衝突した電子の反射成分(反射電子)がゲート電極間の絶縁層の露出部分に衝突すると、2次電子が放出されてこの部分がプラスに帯電する。これが繰り返されることによりたまったエネルギーが絶縁層とゲート電極と真空空間とからなる3極ジャンクションを介して放出され、異常放電という現象として観察されていた。発明者らは、この現象において2次電子が放出されている点に着目し、それを抑制すべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
すなわち、前記課題を解決するために提供する本発明は、基板上に複数本のカソード電極ラインと、複数本のゲート電極ラインとが絶縁した状態で直交して配置され、前記カソード電極ラインとゲート電極ラインとが重なる領域でカソード電極ライン上に導電性のマトリクスと一端が突出した状態で前記マトリクスに埋まったカーボンナノチューブとを有する微小電子源層を有し、該微小電子源層から放出される電子をゲート電極ラインの開口部から取り出すカソードパネルにおいて、前記ゲート電極ライン間の露出部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とするカソードパネルである(請求項1)。
また、前記課題を解決するために提供する本発明は、基板上に複数本のカソード電極ラインと、絶縁層と、前記カソード電極ラインに直交する複数本のゲート電極ラインとが順に積層されてなり、前記カソード電極ラインとゲート電極ラインとが重なる領域で該ゲート電極ライン及び絶縁層を貫通する開口部と、該開口部の底部に形成され導電性のマトリクスと一端が突出した状態で前記マトリクスに埋まったカーボンナノチューブとからなる微小電子源層を備えるカソードパネルにおいて、前記ゲート電極ライン間の絶縁層の露出部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されてなることを特徴とするカソードパネルである(請求項2)。
ここで、請求項2の発明において、前記開口部の内壁面は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されていることが好ましい(請求項3)。
また、請求項1〜3の発明において、前記絶縁材料は、MgOおよび/またはAl3N4であることが好適である(請求項4)。
また、請求項1〜3の発明において、前記絶縁材料は、MgOおよび/またはAl3N4であることが好適である(請求項4)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載のカソードパネルと、透明基板上に前記微小電子源層に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型表示装置である(請求項5)。
ここで、請求項5の発明において、前記透明基板の微小電子源層に対向して露出する部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されていることが好ましい(請求項6)。
本発明のカソードパネルによれば、電子やイオンがゲート電極ライン間の露出部分に衝突しても、その部分の絶縁材料から2次電子が大量に放出されることがないため、その露出部分周辺のゲート電極ラインの帯電を防止することができる。
本発明の平面型表示装置によれば、カソードパネルにおいて電子やイオンがゲート電極ライン間の露出部分に衝突しても、その部分の絶縁材料により2次電子が大量に放出されることがないため、ゲート電極ラインの帯電、ひいてはそれによる異常放電を防止することができ、電子デバイスとしてダメージを受けることが回避できる。
本発明の平面型表示装置によれば、カソードパネルにおいて電子やイオンがゲート電極ライン間の露出部分に衝突しても、その部分の絶縁材料により2次電子が大量に放出されることがないため、ゲート電極ラインの帯電、ひいてはそれによる異常放電を防止することができ、電子デバイスとしてダメージを受けることが回避できる。
以下に、本発明に係るカソードパネルの第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るカソードパネルの第1の実施の形態における構成を示す断面図である。
カソードパネル1は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部15から取り出す構成であり、ゲート電極ライン14間の露出部分Aは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とする。
図1は、本発明に係るカソードパネルの第1の実施の形態における構成を示す断面図である。
カソードパネル1は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部15から取り出す構成であり、ゲート電極ライン14間の露出部分Aは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とする。
すなわち、カソードパネル1は、基板10と、この基板10上にカソード電極ライン11、絶縁層13、絶縁膜I1、ゲート電極ライン14が順に積層されてなり、ゲート電極ライン14、絶縁膜I1及び絶縁層13を貫通して形成された開口部15と、開口部15の底部に形成された微小電子源層12とからなる微小電子源装置を複数備え、ゲート電極ライン14間の領域Aで絶縁膜I1が露出している構造である。
カソード電極ライン11及びゲート電極ライン14は、導電材料からなる導電膜である。例えばスパッタリング法により形成される厚み0.2μm程度のクロム(Cr)層である。
微小電子源層12は、カーボンナノチューブ12aとバインダ材料(マトリクス)12bとを含む複合層が加工されてなるものであり、前記カーボンナノチューブ12aが導電性のマトリクス12b中に埋め込まれ、該カーボンナノチューブ12aの一端が前記マトリクス12bから突出した状態となっている。
カーボンナノチューブ本体は、例えば平均直径1nm、平均長さ1μmといった非常に細長いチューブ構造(繊維状)を有するものを用いる。あるいは、例えば平均直径30nm、平均長さ1μmのファイバー構造を有するカーボンナノファイバーを用いてもよい。
微小電子源層12を構成するマトリクス12bは、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤からなることが好ましい。
絶縁層13は、例えばシリコン酸化物(SiO2)からなる層間絶縁膜である。
開口部15は、ゲート電極ライン14に形成された第1の開口部15Aと、この第1の開口部15Aに連通する状態で絶縁層13及び絶縁膜I1に形成された第2の開口部15Bとから構成される孔あるいは溝であり、微小電子源層12から放出される電子が通過する空間である。
絶縁膜I1は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなり、例えばMgOおよび/またはAl3N4からなる。また、絶縁膜I1は下層の絶縁層13が露出しない程度の連続した膜であればよく、その厚みは例えば0.2μm程度でよい。
上記構成のカソードパネル1を例えば平面型表示装置に組み込んだ場合、電子やイオンがゲート電極ライン14間の露出部分Aに衝突しても、絶縁膜I1から2次電子が大量に放出されることがないため、ゲート電極ライン14の帯電、ひいてはそれによる異常放電を防止することができ、ダメージを受けることを回避できる。
本発明のカソードパネルは次の手順で作製する。
(S11)基板10上にカソード電極ライン形成用の導電膜11Lを形成する(図2(a))。導電膜11Lは、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのCr等からなる。また、必要に応じて導電膜11L上に抵抗層を形成する。抵抗層は、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのアモルファスSi,SiCN等からなる後述の微小電子源層12への放電電流を安定化させる役目を果たす薄膜である。
(S11)基板10上にカソード電極ライン形成用の導電膜11Lを形成する(図2(a))。導電膜11Lは、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのCr等からなる。また、必要に応じて導電膜11L上に抵抗層を形成する。抵抗層は、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのアモルファスSi,SiCN等からなる後述の微小電子源層12への放電電流を安定化させる役目を果たす薄膜である。
(S12)つぎに、カソード電極ライン上、すなわち導電膜11Lの所望の領域に電子エミッタ材料としてカーボンナノチューブ分散液を塗布する。塗布はスプレー噴霧、スピンコートなどいずれの方法でもよい。
カーボンナノチューブ分散液は、複数のカーボンナノチューブと、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、揮発性溶媒(例えば、酢酸ブチル)とを所定量混合して調製されたものである。熱分解性有機金属である有機スズ及び有機インジウム化合物(ITO溶液)およびカーボンナノチューブを揮発性溶媒、例えば、酢酸ブチル中に分散させて調製する場合の組成例を以下に示す。
カーボンナノチューブ分散液は、複数のカーボンナノチューブと、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、揮発性溶媒(例えば、酢酸ブチル)とを所定量混合して調製されたものである。熱分解性有機金属である有機スズ及び有機インジウム化合物(ITO溶液)およびカーボンナノチューブを揮発性溶媒、例えば、酢酸ブチル中に分散させて調製する場合の組成例を以下に示す。
(カーボンナノチューブ分散液)
・結合剤(ITO溶液) :固形分10〜50重量%
・カーボンナノチューブ :0.01〜20重量%
・溶媒(酢酸ブチル) :30〜80重量%
・分散剤(例えばドデチル硫酸ナトリウム):0.1〜5重量%
・結合剤(ITO溶液) :固形分10〜50重量%
・カーボンナノチューブ :0.01〜20重量%
・溶媒(酢酸ブチル) :30〜80重量%
・分散剤(例えばドデチル硫酸ナトリウム):0.1〜5重量%
上記のようにカーボンナノチューブの分散性を向上させるために分散剤を添加してもよいし、超音波処理を施してもよい。また、希釈剤には水系、非水系のどちらを添加しても構わないが、それに応じて分散剤も変わることを前提とする。また、カーボンナノチューブは、例えば平均直径1nm、平均長さ1μmのチューブ構造を有し、アーク放電法により作製されたものを用いればよい。
(S13)上記カーボンナノチューブ分散液を塗布した後、焼成により結合剤からなる導電性のマトリクス中に前記カーボンナノチューブが分散して埋め込まれた状態である複合層12Lを形成する(図2(b))。焼成は例えば、つぎのような2段階で行うとよい。
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
(S14)次に、複合層12Lを所定形状に加工する。具体的には、レジスト材料層をスピンコート法にて全面に成膜した後、リソグラフィー技術に基づき、複合層12Lのうち残されるべき領域以外の表面が露出したマスク層を形成する。このとき、例えば開口部15が略円柱形状の孔の場合には直径65μm程度の複合層12Lが1サブピクセルに5つ配置されるようにマスク層を形成する。また、開口部15が溝の場合には、幅65μm程度の帯形状の複合層32Lが1サブピクセルに1つ配置されるようにマスク層を形成する。
ついで露出した複合層12L領域を、例えば、HClを用いてエッチング温度10〜60℃、エッチング時間10秒〜30分の条件でエッチングする。
ついで露出した複合層12L領域を、例えば、HClを用いてエッチング温度10〜60℃、エッチング時間10秒〜30分の条件でエッチングする。
なお、上記処理後に所望の領域以外にカーボンナノチューブが存在する場合は、酸素プラズマもしくは、酸化溶液を使用して、カーボンナノチューブのエッチングを行う。このときのエッチング条件例を以下に示す。
(酸素プラズマエッチング)
・装置:RIE
・導入ガス:酸素を含むガス
・プラズマ励起パワー:500W
・バイアスパワー:0〜150W(DCでもRFでも構わないがRFが好ましい)
・時間:10秒以上
・装置:RIE
・導入ガス:酸素を含むガス
・プラズマ励起パワー:500W
・バイアスパワー:0〜150W(DCでもRFでも構わないがRFが好ましい)
・時間:10秒以上
(酸化溶液エッチング)
・溶液: KMnO4
・温度:20〜80℃
・時間:10秒から20分
・溶液: KMnO4
・温度:20〜80℃
・時間:10秒から20分
(S15)ついで、周知のフォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜11Lをエッチング加工してカソード電極ライン11とする(図2(c))。この時点で基板10上には複数本のストライプ状のカソード電極ラインが形成される。
(S16)基板10上において、カソード電極ライン11、複合層12Lの積層部を覆うように層間絶縁膜13Lを形成し、さらに該層間絶縁膜13L上に絶縁膜I1を形成する。ついで、絶縁膜I1上に例えば膜厚0.2μmのCrからなるゲート電極ライン形成用の導電膜14Lを形成する(図3(d))。例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により、基板10の全面に例えばSiO2からなる厚み12μmの層間絶縁膜13Lを形成し、ついで、層間絶縁膜13Lの上にスパッタリング法によりMgOからなる厚み0.2μmの絶縁膜I1を形成し、最後にCrからなる導電膜14Lをスパッタリング法によって形成すればよい。
(S17)導電膜14L上にレジストマスク層を形成し、このレジストマスク層を利用して反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜14Lの所定部位をエッチング加工することにより、絶縁膜I1上でゲート電極ライン14とするとともに、このゲート電極ライン14を貫通する第1の開口部15Aを形成する(図3(e))。このとき、ゲート電極ライン14は絶縁膜I1上でカソード電極ライン11と略直交する状態のストライプ形状に加工されている。また、導電膜14Lのエッチングされた部位は絶縁膜I1が露出している。
(S18)つぎに、ゲート電極ライン14の第1の開口部15Aを通して絶縁膜I1及び層間絶縁膜13Lを反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング加工により、複合層12Lが露出するように第2の開口部15Bを形成する。これにより、第1,第2の開口部15A,15Bからなる開口部(ゲートホール)15が得られる(図3(f))。
微小電子源装置は、電子放出はピクセル(画素)ごとに選択できるアセンブリでなければならない。そのために、カソード電極ライン11と電子取り出し電極であるゲート電極ライン14とが直交して重なる部分でひとつのサブピクセルを形成する。開口部15は、そのサブピクセルを構成するためのものであり、例えば直径60μmの略円柱形状の孔として形成されており、1サブピクセル当たり5個形成される。あるいは、幅60μmの溝として形成されており、1サブピクセル当たり1個形成される。
(S19)次に、開口部15の底部に露出した複合層12L上層部のマトリックスを虚弱化させる。複合層12Lの上層部を虚弱化させる際の手法としては、ウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング法(ライトエッチング)を好ましく用いることができる。ライトエッチングは例えば、エッチャント:10%HCl水溶液、エッチング時間5〜60秒の条件で行えばよい。このエッチングにより複合層12Lの上層部でマトリクス材料を選択的に除去することにより、表面に多数のカーボンナノチューブを露出させることができる。
(S1a)その後、エッチングされた複合層12Lの表面で各々のカーボンナノチューブが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの配向処理を行う。具体的には、例えば基板10上で図示しないアクリル樹脂からなるフィルムをゲート電極ライン14の上から貼り付けた後、UV照射して該フィルムを硬化させ、ついで硬化したフィルムを引き剥がすことにより、基板10に対してカーボンナノチューブの長手方向をほぼ垂直に配向させる。カーボンナノチューブを配向させる際の方向は、基板10の面方向に対してほぼ垂直な方向とする。このとき、複合層12Lの表面には多数のカーボンナノチューブが露出した状態となっている。そのため、フィルムの貼り付け及び引き剥がしを行うことにより、多数のカーボンナノチューブを垂直に配向させることができる。これにより、前記カーボンナノチューブ12aが導電性のマトリクス12b中に埋め込まれ、該カーボンナノチューブ12aの一端がマトリクス12bから突出してなる微小電子源層12となる(図3(g))。
なお、カーボンナノチューブの配向処理方法としては、上述した粘着テープの貼り付け及び引き剥がしによる方法以外にも、例えば、カソード電極ライン11に電圧を印加することにより、カソード電極ライン11とカーボンナノチューブを同じ極性で帯電させ、これに伴う反発力により各々のカーボンナノチューブを互いに分離した状態で垂直に配向させることも可能である。
このようにして、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極ライン11、絶縁層13、絶縁膜I1及びゲート電極ライン14と、ゲート電極ライン14、絶縁膜I1及び絶縁層13に形成された開口部(ゲートホール)15と、この開口部15の底部に形成された微小電子源層12とを有する微小電子源装置を複数備えるカソードパネル1が完成する。なお、ゲート電極ライン14間の領域Aでは従来露出していた絶縁層13に代わって絶縁膜I1が露出している。
次に、本発明に係るカソードパネルの第2の実施の形態について説明する。
図4は、本発明に係るカソードパネルの第2の実施の形態における構成を示す断面図である。
カソードパネル4は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部45から取り出す構成であり、ゲート電極ライン14間の露出部分Bは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とする。
図4は、本発明に係るカソードパネルの第2の実施の形態における構成を示す断面図である。
カソードパネル4は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10上に複数本のカソード電極ライン11と、複数本のゲート電極ライン14とが絶縁した状態で直交して配置され、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でカソード電極ライン11上に導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとを有する微小電子源層12を有し、微小電子源層12から放出される電子をゲート電極ライン14の開口部45から取り出す構成であり、ゲート電極ライン14間の露出部分Bは、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とする。
すなわち、カソードパネル4は、基板10上に複数本のカソード電極ライン11と、絶縁層13と、カソード電極ライン11に直交する複数本のゲート電極ライン14とが順に積層されてなり、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14とが重なる領域でゲート電極ライン14及び絶縁層13を貫通する開口部45と、開口部45の底部に形成され導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとからなる微小電子源層12を備える構造であり、ゲート電極ライン14間の絶縁層13の露出部分Bは2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなる絶縁膜I2が被覆されてなることを特徴とする。
カソードパネル4は、第1の実施の形態のカソードパネル1において絶縁膜I1がなく、代わりにゲート電極ライン14の上から絶縁膜I2が被覆されている点で構成が異なる。また、カソードパネル4における基板10、カソード電極ライン11、導電性のマトリクス12bと一端が突出した状態でマトリクス12bに埋まったカーボンナノチューブ12aとからなる微小電子源層12、絶縁層13、ゲート電極ライン14は、第1の実施の形態と同じ構成である。
開口部45は、ゲート電極ライン14に形成された第1の開口部45Aと、この第1の開口部45Aに連通する状態で絶縁層13に形成された第2の開口部45Bとから構成される孔あるいは溝であり、微小電子源層12から放出される電子が通過する空間である。
絶縁膜I2は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなり、例えばMgOおよび/またはAl3N4からなる。また、絶縁膜I2はゲート電極ライン14間の露出部分Bにおいて絶縁層13が露出しない程度の連続した膜であればよく、その厚みは例えば0.2μm程度でよい。
また、開口部45の内壁面は、絶縁膜I2が被覆されていることが好ましく、とくに第2の開口部45Bの内壁面、すなわち絶縁層13の露出部分が被覆されていることが好ましい。
上記構成のカソードパネル4を例えば平面型表示装置に組み込んだ場合、電子やイオンがゲート電極ライン14間の露出部分Bに衝突しても、絶縁膜I2から2次電子が大量に放出されることがないため、ゲート電極ライン14の帯電、ひいてはそれによる異常放電を防止することができ、ダメージを受けることを回避できる。また、本実施形態では、開口部45の内壁面に電子が衝突する場合に対しても、2次電子の大量放出を防止することができる。
本発明のカソードパネルの作成手順は、第1の実施の形態におけるステップS15までは同じである。以下、それ以降の作製手順を説明する。
(S26)基板10上において、カソード電極ライン11、複合層12Lの積層部を覆うように層間絶縁膜13Lを形成し、ついで、層間絶縁膜13L上に例えば膜厚0.2μmのCrからなるゲート電極ライン形成用の導電膜14Lを形成する(図5(h))。
(S27)導電膜14L上にレジストマスク層を形成し、このレジストマスク層を利用して反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜14Lの所定部位をエッチング加工することにより、層間絶縁膜13L上でゲート電極ライン14とするとともに、このゲート電極ライン14を貫通する第1の開口部45Aを形成する。このとき、ゲート電極ライン14は層間絶縁膜13L上でカソード電極ライン11と略直交する状態のストライプ形状に加工されている。また、導電膜14Lのエッチングされた部位は層間絶縁膜13Lが露出している(露出部分B)。
(S28)つぎに、ゲート電極ライン14の第1の開口部45Aを通して層間絶縁膜13Lを反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング加工により、複合層12Lが露出するように第2の開口部45Bを形成する。これにより、第1,第2の開口部45A,35Bからなる開口部(ゲートホール)35が得られる(図5(i))。
(S29)次に、露出部分Bの絶縁層13及び開口部45のない壁面に絶縁膜I2を被覆する(図5(j))。絶縁膜I2の被覆方法としては、例えば図6に示すような斜め蒸着法によればよい。このとき、被処理物であるステップS28までの処理が施されたものを、蒸発源Vに対して複合層12Lに蒸発源Vからの蒸気が当たらないように傾けて被処理物を回転させながら処理を行うとよい。なお、このときにゲート電極ライン14上にも絶縁膜I2が被覆されるが、絶縁膜I2が薄膜であるためにゲート電極ライン14の電界機能を阻害しないためこのままでよい。
(S2a)ついで、開口部45の底部に露出した複合層12L上層部のマトリックスをウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング法(ライトエッチング)により虚弱化させる。このエッチングにより複合層12Lの上層部表面に多数のカーボンナノチューブを露出させる。
(S2b)その後、エッチングされた複合層12Lの表面で各々のカーボンナノチューブが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの配向処理を行う。これにより、前記カーボンナノチューブ12aが導電性のマトリクス12b中に埋め込まれ、該カーボンナノチューブ12aの一端がマトリクス12bから突出してなる微小電子源層12となる(図5(k))。
このようにして、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極ライン11、絶縁層13及びゲート電極ライン14と、ゲート電極ライン14及び絶縁層13に形成された開口部(ゲートホール)35と、この開口部45の底部に形成された微小電子源層12とを有する微小電子源装置を複数備えるカソードパネル4が完成する。なお、ゲート電極ライン14間の領域Bでは従来露出していた絶縁層13に代わって絶縁膜I2が露出している。
つぎに、本発明に係る平面型表示装置の構成を説明する。
本発明の平面型表示装置は、上記本発明のカソードパネルを用いて組み立てるものである。
以下、本発明のカソードパネルの第1の実施の形態であるカソードパネル1を用いた場合を例に取り説明する。具体的には、蛍光体層22と微小電子源装置とが対向するようにアノードパネル2とカソードパネル1とを配置し、アノードパネル2とカソードパネル1(より具体的には、基板21と基板10)とを、枠体3を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体3とアノードパネル2との接合部位、及び枠体3とカソードパネル1との接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450℃で10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とフリットガラスとによって囲まれた空間を、貫通孔及びチップ管を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、図7に示す平面型表示装置を完成させる。
本発明の平面型表示装置は、上記本発明のカソードパネルを用いて組み立てるものである。
以下、本発明のカソードパネルの第1の実施の形態であるカソードパネル1を用いた場合を例に取り説明する。具体的には、蛍光体層22と微小電子源装置とが対向するようにアノードパネル2とカソードパネル1とを配置し、アノードパネル2とカソードパネル1(より具体的には、基板21と基板10)とを、枠体3を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体3とアノードパネル2との接合部位、及び枠体3とカソードパネル1との接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450℃で10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とフリットガラスとによって囲まれた空間を、貫通孔及びチップ管を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネル2とカソードパネル1と枠体3とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、図7に示す平面型表示装置を完成させる。
図7は本発明に係る平面型表示装置のパネル構造の一例を示す断面図である。
図7に示すように、カソードパネル(カソード基板)1とアノードパネル(アノード基板)2とを所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それらのパネル1,2を枠体3によって一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。
図7に示すように、カソードパネル(カソード基板)1とアノードパネル(アノード基板)2とを所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それらのパネル1,2を枠体3によって一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。
カソードパネル1上には本発明の微小電子源装置が複数形成されている。これら複数の微小電子源装置は、カソードパネル1の有効領域(実際に表示部分として機能する領域)に2次元マトリックス状に多数形成されている。
図8に示すように、カソード電極ライン11は、複数の電極ラインでありストライプ状に形成されている。ゲート電極ライン14は、カソード電極ライン11それぞれと交差(直交)するようにストライプ状に形成されている。
一方、アノードパネル2は、ベースとなる透明基板21と、この透明基板21上に形成された蛍光体層22及びブラックマトリックス23と、これら蛍光体層22及びブラックマトリックス23を覆う状態で透明基板21上に形成されたアノード電極24とを備えて構成されている。蛍光体層22は、赤色発光用の蛍光体層22Rと、緑色発光用の蛍光体層22Gと、青色発光用の蛍光体層22Bとから構成されている。ブラックマトリックス23は、各色発光用の蛍光体層22R,22G,22Bの間に形成されている。アノード電極24は、カソードパネル1の電子放出素子と対向するように、アノードパネル2の有効領域の全域に積層状態で形成されている。
これらのカソードパネル1とアノードパネル2とは、それぞれの外周部(周縁部)で枠体3を介して接合されている。また、カソードパネル1の無効領域(有効領域の外側の領域で、実際に表示部分として機能しない領域)には真空排気用の貫通孔16が設けられている。貫通孔16には、真空排気後に封じ切られるチップ管17が接続されている。ただし、図7は表示装置の組み立て完了状態を示しているため、チップ管17は既に封じ切られた状態となっている。また、図7、図8においては、各々のパネル1,2間のギャップ部分に介装される耐圧用の基板(スペーサ)の表示を省略している。
上記構成のパネル構造を有する表示装置においては、カソード電極ライン11に相対的な負電圧がカソード電極制御回路18から印加され、ゲート電極ライン14には相対的な正電圧がゲート電極制御回路19から印加され、アノード電極24にはゲート電極ライン14よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路20から印加される。かかる表示装置において、実際に画像の表示を行う場合は、例えば、カソード電極ライン11にカソード電極制御回路18から走査信号を入力し、ゲート電極ライン14にゲート電極制御回路19からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電極ライン11にカソード電極制御回路18からビデオ信号を入力し、ゲート電極ライン14にゲート電極制御回路19から走査信号を入力する。
これにより、カソード電極ライン11とゲート電極ライン14との間に電圧が印加され、これによって微小電子源層12の先鋭部(カーボンナノチューブ12aの先端部)に電界が集中することにより、量子トンネル効果によって電子がエネルギー障壁を突き抜けて微小電子源層12から真空中へと放出される。こうして放出された電子はアノード電極24に引き付けられてアノードパネル2側に移動し、透明基板21上の蛍光体層22(22R,22G,22B)に衝突する。その結果、蛍光体層22が電子の衝突により励起されて発光するため、この発光位置を画素単位で制御することにより、表示パネル上に所望の画像を表示することができる。
また、このときに蛍光体層22に衝突した電子には反射する成分(反射電子成分)があり、ゲート電極ライン14間の露出部分Aの絶縁膜I1に衝突するが、そこから放出される2次電子は少ないため、ゲート電極ライン14間は異常放電が発生するまで帯電することはない。
なお、この作用効果は、本発明のカソードパネルの第2の実施の形態であるカソードパネル3を用いても同様に得られる。この場合には、さらに開口部45の内壁面に電子が衝突する場合に対しても帯電を防止することができる。
なお、この作用効果は、本発明のカソードパネルの第2の実施の形態であるカソードパネル3を用いても同様に得られる。この場合には、さらに開口部45の内壁面に電子が衝突する場合に対しても帯電を防止することができる。
ところで、本発明の平面型表示装置では、アノードパネル2について、図9に示すように、透明基板21の微小電子源層12に対向して露出する部分Cが、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなる絶縁膜I3で被覆されていることが好ましい。
この絶縁膜I3は、例えばMgOおよび/またはAl3N4からなる。また、絶縁膜I3は露出部分Cにおいて透明基板21が露出しない程度の連続した膜であればよく、その厚みは例えば0.2μm程度でよい。
この絶縁膜I3は、例えばMgOおよび/またはAl3N4からなる。また、絶縁膜I3は露出部分Cにおいて透明基板21が露出しない程度の連続した膜であればよく、その厚みは例えば0.2μm程度でよい。
これにより、上記反射電子成分が露出部分Cの絶縁膜I3に衝突しても、そこから放出される2次電子は少ないため、透明電極21の帯電は抑制され異常放電を防止することができる。
このアノードパネル2は次の手順で作製する。
(S31)洗浄した透明基板21上に絶縁膜I3を形成する。例えば、スパッタリング法などにより絶縁膜I3として厚み0.2μmのMgOを形成すればよい。ついで、周知のフォトリソグラフィ技術及び塩酸などによるウェットエッチングにより絶縁膜I3をエッチング加工して透明基板21の外縁領域に絶縁膜I3が残るようにする(図10(a))。
(S31)洗浄した透明基板21上に絶縁膜I3を形成する。例えば、スパッタリング法などにより絶縁膜I3として厚み0.2μmのMgOを形成すればよい。ついで、周知のフォトリソグラフィ技術及び塩酸などによるウェットエッチングにより絶縁膜I3をエッチング加工して透明基板21の外縁領域に絶縁膜I3が残るようにする(図10(a))。
(S32)次に周知のフォトリソグラフィ技術により透明基板21の絶縁膜I3を形成した面で該絶縁膜I3の内側領域にストライプ状のマスク層を形成する。ついで、全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾燥・焼成した後、マスク層及びその上のカーボン剤を除去することにより、透明基板21上にカーボン剤からなるブラックストライプ23を形成する(図10(b))。
(S33)次にブラックストライプ23間の透明基板21上に、赤、緑、青3色の蛍光体層22を形成する(図10(c))。具体的には、各発光性結晶粒子(蛍光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば赤色、緑色、青色の順番でその色に対応する感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を透明基板21上全面に塗布し、感光し現像することを繰り返せばよい。
(S34)次に蛍光体層22及びブラックストライプ23の上に、アクリル酸系エマルジョン(40重量部)及び水(残余)からなる有機膜形成用塗料を塗布して有機膜24aを形成し、ついで該有機膜24a上にスパッタリング法により例えば厚さ0.07μmのアルミニウムからなる金属薄膜24bを形成する(図10(d))。
(S35)次に焼成を行って有機膜24aを除去する処理を行い、蛍光体層22及びブラックストライプ23の上にアノード電極24のあるアノードパネル2を完成する。なお、アノード電極24は、蛍光体層22及びブラックストライプ23の上の有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆したものとしてもよいし、1または複数の微小電子源装置、あるいは1または複数の画素に対応するアノード電極ユニットが集合したものとしてもよい。
本発明の実施例を以下に示す。なお、本実施例は例示であり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
(実施例)
つぎの手順で本発明のカソードパネルの第1の実施の形態であるカソードパネル1を作製した。
(S41)ガラス基板である基板10上にカソード電極形成用の導電膜11Lとしてスパッタリング法により膜厚0.2μmのCr層を形成した(図2(a))。
つぎの手順で本発明のカソードパネルの第1の実施の形態であるカソードパネル1を作製した。
(S41)ガラス基板である基板10上にカソード電極形成用の導電膜11Lとしてスパッタリング法により膜厚0.2μmのCr層を形成した(図2(a))。
(S42)つぎに、導電膜11Lの所望の領域に以下の組成のカーボンナノチューブ分散液をスプレー塗布した。
(カーボンナノチューブ分散液)
・結合剤(ITO溶液) :固形分2重量%
・カーボンナノチューブ :0.2重量%
・分散剤(ドデチル硫酸ナトリウム) :0.1重量%
・溶媒(酢酸ブチル) :残余
(カーボンナノチューブ分散液)
・結合剤(ITO溶液) :固形分2重量%
・カーボンナノチューブ :0.2重量%
・分散剤(ドデチル硫酸ナトリウム) :0.1重量%
・溶媒(酢酸ブチル) :残余
(S43)上記カーボンナノチューブ分散液を塗布した後、以下の条件で焼成し、複合層12Lを形成した(図2(b))。
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
(S44)次に、複合層12L上にレジスト材料層をスピンコート法にて全面に成膜した後、リソグラフィー技術に基づき、複合層12Lのうち残されるべき領域以外の表面が露出したマスク層を形成した。このとき、直径65μmの円形の複合層12Lが1サブピクセルに5つ配置されるようにマスク層を形成した。
ついで露出した複合層12L領域を、HClを用いてエッチングし、複合層12Lを円形に加工した。
ついで露出した複合層12L領域を、HClを用いてエッチングし、複合層12Lを円形に加工した。
(S45)ついで、周知のフォトリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜11Lをエッチング加工してストライプ状のカソード電極ライン11とした(図2(c))。
(S46)基板10上において、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により、カソード電極ライン11、複合層12Lの積層部を覆うように膜厚10μmのSiO2からなる層間絶縁膜13Lを形成し、ついで該層間絶縁膜13L上にスパッタリング法により膜厚0.2μmのMgOからなる絶縁膜I1を形成し、さらに膜厚0.2μmのCrからなるゲート電極形成用の導電膜14Lを形成した(図3(d))。
(S47)導電膜14L上にレジストマスク層を形成し、このレジストマスク層を利用して反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜14Lの所定部位をエッチング加工することにより、層間絶縁膜13L上でストライプ形状のゲート電極ライン14とするとともに、このゲート電極ライン14を貫通する第1の開口部15Aを形成した(図3(e))。このとき、ゲート電極ライン14の間の露出部分Aから絶縁膜I1が露出している。
(S48)つぎに、ゲート電極ライン14の第1の開口部15Aを通して層間絶縁膜13Lを反応性イオンエッチング(RIE)のドライエッチング加工により、複合層12Lが露出するように第2の開口部15Bを形成した。これにより、直径60μmの第1,第2の開口部15A,15Bからなる略円筒形状の孔である開口部(ゲートホール)15が得られた(図3(f))。
(S49)次に、エッチャント:10%HCl水溶液を用いたウェットエッチング法により、開口部15の底部に露出した複合層12L上層部のマトリックスを虚弱化させた。
(S4a)その後、エッチングされた複合層12Lの表面で各々のカーボンナノチューブが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの配向処理を行い、微小電子源層を形成してカソードパネル1とした(図3(g))。
この微小電子源装置サンプルを用いて、図7に示す構成の平面型表示装置を組み立てた。そして、以下の条件で動作中の平面型表示装置について、ゲート電極ラインの1つへの電圧印加をオフにして、該ゲート電極ライン周辺の放電の状態を観察した。
・観察画面サイズ:対角2インチ
・アノード電極−カソード電極間距離:1.1mm
・アノード電圧:6.6kV
・ゲート電圧(全ライン):42V
・カソード電圧(全ライン):GND
・観察画面サイズ:対角2インチ
・アノード電極−カソード電極間距離:1.1mm
・アノード電圧:6.6kV
・ゲート電圧(全ライン):42V
・カソード電圧(全ライン):GND
(比較例)
上記実施例において、絶縁膜I1を省略し、それ以外は実施例と同じ条件で平面型表示装置を作製した。
上記実施例において、絶縁膜I1を省略し、それ以外は実施例と同じ条件で平面型表示装置を作製した。
以上の結果、比較例ではゲート電極ラインへの電圧印加をオフにすると、このゲート電極ラインの部位で電位差が生じて異常放電が観察され、当該部位がダメージを受けることを確認した。また、この電圧印加オフの状態を継続させると続けてさらに異常放電の発生が認められた。これに対して実施例ではゲート電極ラインへの電圧印加をオフにして、その状態を10sec継続させても異常放電は認められなかった。
また、本発明のカソードパネルの第2の実施の形態のカソードパネル3を上記平面型表示装置に組み込んで同様の試験を行ったところ、上記実施例を同じように異常放電は認められなかった。
また、本発明のカソードパネルの第2の実施の形態のカソードパネル3を上記平面型表示装置に組み込んで同様の試験を行ったところ、上記実施例を同じように異常放電は認められなかった。
1,4・・・カソードパネル、2・・・アノードパネル、10・・・基板、11・・・カソード電極ライン、11L,14L・・・導電膜、12・・・微小電子源層、12L・・・複合層、12a・・・カーボンナノチューブ、12b・・・マトリクス、13・・・絶縁層、13L・・・層間絶縁膜、14・・・ゲート電極ライン、15,45・・・開口部(ゲートホール)、15A,45A・・・第1の開口部、15B,45B・・・第2の開口部、16・・・貫通孔、17・・・チップ管、18・・・カソード電極制御回路、19・・・ゲート電極制御回路、20・・・アノード電極制御回路、21・・・透明基板、22,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・ブラックマトリクス、24・・・アノード電極、24a・・・有機膜、24b・・・金属薄膜、露出部分・・・A,B,C、絶縁膜・・・I1,I2,I3、蒸発源・・・V
Claims (6)
- 基板上に複数本のカソード電極ラインと、複数本のゲート電極ラインとが絶縁した状態で直交して配置され、前記カソード電極ラインとゲート電極ラインとが重なる領域でカソード電極ライン上に導電性のマトリクスと一端が突出した状態で前記マトリクスに埋まったカーボンナノチューブとを有する微小電子源層を有し、該微小電子源層から放出される電子をゲート電極ラインの開口部から取り出すカソードパネルにおいて、
前記ゲート電極ライン間の露出部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料からなることを特徴とするカソードパネル。 - 基板上に複数本のカソード電極ラインと、絶縁層と、前記カソード電極ラインに直交する複数本のゲート電極ラインとが順に積層されてなり、前記カソード電極ラインとゲート電極ラインとが重なる領域で該ゲート電極ライン及び絶縁層を貫通する開口部と、該開口部の底部に形成され導電性のマトリクスと一端が突出した状態で前記マトリクスに埋まったカーボンナノチューブとからなる微小電子源層を備えるカソードパネルにおいて、
前記ゲート電極ライン間の絶縁層の露出部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されてなることを特徴とするカソードパネル。 - 前記開口部の内壁面は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されてなることを特徴とする請求項2に記載のカソードパネル。
- 前記絶縁材料は、MgOおよび/またはAl3N4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載のカソードパネル。
- 請求項1〜4のいずれか一に記載のカソードパネルと、透明基板上に前記微小電子源層に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型表示装置。
- 前記透明基板の微小電子源層に対向して露出する部分は、2次電子放出係数が1.2以下の絶縁材料が被覆されてなることを特徴とする請求項5に記載の平面型表示装置。
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JP2008198580A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-28 | Shinshu Univ | 炭素繊維−導電性ポリマー複合電極およびその製造方法 |
-
2004
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