図1は、本発明の実施例に係るヘッドランプの断面図である。同図に示すヘッドランプ1は、リフレクタ10と、光源としての放電バルブ13と、リフレクタ10の前方に設けられ、リフレクタ10からの反射光を所定の方向に照射する集光レンズ15と、放電バルブ13と集光レンズ15との間に位置する第1シェード21及び第2シェード41と、これらを一体に固定するフレーム16とから形成されている。また、第1シェード21と第2シェード41とは、共に回動可能にシェードフレーム70に取り付けられており、さらに、シェードフレーム70には駆動手段となるソレノイド80が第1シェード21及び第2シェード41の下方に固定されており、シェードフレーム70は、前記フレーム16に固定されている。
前記リフレクタ10の内面には、アルミ蒸着等によって反射面11が形成されている。また、当該リフレクタ10の後端付近には前記放電バルブ13用の挿通孔12が形成されており、放電バルブ13は挿通孔12より挿通してリフレクタ10に固定する。また、この放電バルブ13には、電源(図示省略)と電気的に接続されているバルブソケット(図示省略)が接続される。
前記反射面11の形状は、中心線(光軸)5上に第1焦点F1及び第2焦点F2の2つの焦点を有し、前記中心線5を中心軸とする回転楕円を基調とする形状の一部となっている。前記放電バルブ13の発光部14は、前記第1焦点F1付近に位置する。前記第2焦点F2付近には、第2シェード41が後述する第2シェード第1位置に位置している状態では第2シェード41の上端付近が位置し、このように第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している場合には、前後方向における第2シェード41の位置は第2焦点F2とほぼ同じ位置となっている。この第1焦点F1及び第2焦点F2は、当該反射面11の形状を決める基準である光学基準点となっている。
また、前記第1シェード21は、前部第1シェード22と後部第1シェード23とから形成されており、前記第1シェード21が後述する第1シェード第1位置に位置している状態では、当該第1シェード21は、上記のように第2シェード第1位置に位置している第2シェード41の近傍で、前部第1シェード22が第2シェード41の前方側、後部第1シェード23が第2シェード41の後方側に位置している。即ち、第2シェード41は、前後方向において前部第1シェード22と後部第1シェード23との間に位置している。
前記リフレクタ10の前方にはフレーム16が設けられており、その前端、つまり第2焦点F2の前方には集光レンズ15が設けられている。また、集光レンズ15は非球面レンズであって透明の物質、例えばガラス等から形成されている。その形状は、ほぼ円形の凸レンズ状の形状となっており、凸側の面を前方に向けて設けられている。
図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2のB−B矢視図である。図4は、第1シェード、第2シェード及びソレノイドの斜視図である。前記第1シェード21は、上述したように前部第1シェード22と後部第1シェード23とから形成されており、前部第1シェード22と後部第1シェード23とは、共に略矩形の板状の形状で形成され、左右方向における両端部で固定されている。その際に、前部第1シェード22の両端部が後方に段差を有するように曲げられ、この部分が後部第1シェード23と固定されているので、前部第1シェード22と後部第1シェード23との間には空間が形成されている。前記第2シェード41も同様に略矩形の板状の形状で形成されており、当該第2シェード41は、前部第1シェード22と後部第1シェード23との間の空間に位置するように設けられている。
また、前記シェードフレーム70には、回転軸90が固定されており、第1シェード21及び第2シェード41は回転軸90に対して回動可能に取り付けされている。詳細には、回転軸90は、当該ヘッドランプ1における左右方向に渡る向きでシェードフレーム70に固定されている。また、前記第1シェード21には、左右方向における両端付近で、前記前部第1シェード22よりも前方側に第1シェード軸受部24が形成されている。このため、第1シェード軸受部24は、第1シェード21の2箇所に設けられている。同様に、前記第2シェード41にも左右方向における両端付近の2箇所に、前方に向けて第2シェード軸受部42が形成されている。
この前記第2シェード軸受部42は、第2シェード41の下方付近から前方に向けて設けられているが、第2シェード41の前方には、前部第1シェード22が位置している。このため、前部第1シェード22のうち、左右方向及び上下方向において前記第2シェード軸受部42が位置する部分に該当する部分には、切欠部25が形成されており、詳細には、この切欠部25は、第2シェード軸受部42に該当する位置の2箇所に、下端部から上方に向けて切り欠かれている。第2シェード軸受部42は、この切欠部25の部分から前方に向けて突出して設けられている。これにより、第2シェード軸受部42は、前部第1シェード22よりも前方に位置している。また、第1シェード21の切欠部25の下方より前方に突出している第2シェード軸受部42のうち上方を向いている面で、前記切欠部25に対向している部分は連動部当接部43として形成されており、切欠部25のうち下方を向いている面で連動部当接部43に対向している面は連動部26として形成されている。
前記第1シェード軸受部24も第1シェード21の下方付近から前方に向けて設けられており、この第1シェード軸受部24と第2シェード軸受部42とには、回転軸90よりも若干大きい孔(図示省略)が形成されている。この孔は、左右方向に貫通する方向に開けられており、上記のように前部第1シェード22と後部第1シェード23との間に第2シェード41が位置する状態では、上下方向及び前後方向がほぼ同じ位置になるように形成されている。これにより、前記回転軸90は、第1シェード軸受部24と第2シェード軸受部42の双方の孔を貫通することができ、この回転軸90は、この双方の孔を貫通している。また、シェードフレーム70は、左右方向の両端部が前方に向けて折り曲げられた側壁部71を有しており、回転軸90は、この側壁部71間に位置し、側壁部71に当該回転軸90の両端部が固定されることによってシェードフレーム70に固定されている。これにより、第1シェード21と第2シェード41とは、回転軸90を回転中心としてシェードフレーム70に対して回動可能に取り付けられている。
また、2箇所の側壁部71の、ぞれぞれの左右方向における内側には、位置規制部72が設けられている。つまり、位置規制部72は2箇所に設けられており、2箇所の位置規制部72の左右方向の間隔は、前記2箇所の第1シェード軸受部24の左右方向の幅よりも若干広い間隔を有している。また、位置規制部72にも回転軸90よりも若干大きい孔(図示省略)が形成されており、シェードフレーム70に固定される回転軸90は、この位置規制部72の孔も貫通している。また、前記2箇所の第1シェード軸受部24は、この2箇所の位置規制部72の間に位置している。このため、第1シェード軸受部24は回転軸90の軸方向には移動しないため、これにより、第1シェード21は回転軸90の軸方向、或いは左右方向の位置が規制されている。
さらに、前記回転軸90には第1シェード用バネ61と第2シェード用バネ62とが固定されており、前記第1シェード21は、第1シェード用バネ61によって第1シェード21の上端部分が前方に傾く方向の回動方向に付勢力が与えられている。同様に第2シェード41は、第2シェード用バネ62によって第2シェード41の上端部分が前方に傾く方向の回動方向に付勢力が与えられている。また、前記第1シェード21の下方には、第1シェード押部27が位置している。この第1シェード押部27は、板状の形状で前方に突出し、上下方向に板の平面が向く向きで形成されており、下方側の面は付勢面28として形成されている。
前記第1シェード押部27の下方には前記ソレノイド80が設けられており、ソレノイド80は第1駆動手段となる第1ソレノイド81と第2駆動手段となる第2ソレノイド85とが設けられている。この第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とは、共に前記シェードフレーム70に固定されている。また、第1ソレノイド81は、第1作動部となる第1プランジャ82を有しており、第1プランジャ82は第1ソレノイド81の上方に突出し、上下方向に伸縮可能に設けられている。同様に、第2ソレノイド85は、第2作動部となる第2プランジャ86を有しており、第2プランジャ86は第2ソレノイド85の上方に突出し、上下方向に伸縮可能に設けられている。
また、第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とはサイズが異なっており、第1ソレノイド81よりも第2ソレノイド85の方が大きいサイズで形成されている。このため、第1プランジャ82と第2プランジャ86とでは、それぞれ伸縮のストロークが異なっており、第1プランジャ82のストロークよりも第2プランジャ86のストロークの方が大きくなっている。このように形成される第1ソレノイド81と第2ソレノイド85は、第1プランジャ82及び第2プランジャ86が縮んだ状態のそれぞれの先端部分の上下方向の高さが同じ位置となるように、左右方向に並んで前記シェードフレーム70に固定されている。このため、第1プランジャ82及び第2プランジャ86が伸びる際には共に上方に伸び、これらのストロークは異なっているため、第1プランジャ82より、第2プランジャ86の方が、より上方に向かって伸びる。
図5は、図2のC部詳細図である。前記第1シェード21の上端部分には、当該ヘッドランプ1を点灯した際に、後述するすれ違い用配光パターン100のカットオフライン101を形成するすれ違い用エッジ31が設けられており、第2シェード41の上端部分には、当該ヘッドランプ1を点灯した際に、後述する高速走行用配光パターン110のカットオフライン111を形成する高速走行用エッジ51が設けられている。また、前記すれ違い用エッジ31は、前部第1シェード22と後部第1シェード23に同形状で形成されている。このすれ違い用エッジ31は、左右方向における中心部付近を境として上下方向の高さが異なっており、自動車の左側方向に位置する部分の方が右側方向に位置する部分よりも高さが高くなっている。換言すると、走行車線側に位置している走行車線側すれ違い用エッジ32は、対向車線側に位置している対向車線側すれ違い用エッジ33よりも、上方に位置している。このように上下方向に段差を有している走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33とは、すれ違い用エッジ31の左右方向の中央付近に位置し、走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との間で斜め方向に形成されるすれ違い用エッジ傾斜部34によって接続されている。
また、第2シェード41の上端部分に設けられている高速走行用エッジ51もすれ違い用エッジ31と同様に、左右方向における中心部付近を境として上下方向の高さが異なっており、自動車の左側方向に位置する部分の方が右側方向に位置する部分よりも高さが高くなっている。換言すると、走行車線側に位置している走行車線側高速走行用エッジ52は、対向車線側に位置している対向車線側高速走行用エッジ53よりも、上方に位置しており、走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53とは、高速走行用エッジ51の左右方向の中央付近に位置して斜め方向に形成される高速走行用エッジ傾斜部54によって接続されている。また、走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差は、走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差よりも小さくなっている。
この実施例にかかるヘッドランプ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。前記ヘッドランプ1ですれ違い用ビームを照射する際には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82及び第2ソレノイド85の第2プランジャ86が、共に縮むようにソレノイド80を作動させる。第1ソレノイド81の第1プランジャ82と前記第2ソレノイド85の第2プランジャ86とが共に縮んでいる状態では、上述したように第1プランジャ82と第2プランジャ86は、先端部分の上下方向の位置が同じ位置になるように形成されている。
図6は、図2のD−D断面図であり、すれ違い用ビームの照射時の状態を示す図である。また、前記第1シェード21と第2シェード41とは、それぞれ第1シェード用バネ61と第2シェード用バネ62とによって上述した回動方向に付勢力が与えられている。このため、第1シェード21はすれ違い用エッジ31が上部に位置し、第2シェード41は高速走行用エッジ51が上部に位置し、第1シェード21及び第2シェード41のそれぞれの形状である板が、共に上下方向に沿って形成され、ほぼ平行に並んだ状態になる。第1シェード21のこの状態は第1シェード第1位置となり、第2シェード41のこの状態は第2シェード第1位置となる。この状態は、第1ソレノイド81の第1プランジャ82及び第2ソレノイド85の第2プランジャ86は、共に縮んだ状態となっている。この状態では、上記の状態の第1プランジャ82と第2プランジャ86とは、共に第1シェード21に形成される前記第1シェード押部27の付勢面28に対して付勢力を与えないで接しているか、付勢面28からは離れている。さらに、この状態の第2シェード41は、上端部分に位置する高速走行用エッジ51が前記第2焦点F2上、或いは第2焦点F2近傍に位置し、第1シェード21は、上端部分に位置するすれ違い用エッジ31が第2焦点F2の前方及び後方に位置している(図1参照)。
また、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している状態では、第1シェード21に形成されるすれ違い用エッジ31は、全て第2シェード41に形成される高速走行用エッジ51よりも上方に位置する(図5参照)。この状態で、当該ヘッドランプ1を点灯すると、まず、前記放電バルブ13内の発光部14が点灯をする。発光部14が点灯をすると、発光部14からの光のうちの一部の光は前記リフレクタ10の反射面11方向に向かい、当該反射面11によって反射される。反射面11の形状は、第1焦点F1と第2焦点F2とを光学基準点とする回転楕円を基調とした形状の一部で形成されているため、第1焦点F1付近に位置している前記発光部14からの光が反射面11で反射した場合には、反射したこの光は第2焦点F2の方向に向かう。
また、反射面11は上記のように回転楕円を基調として形成されているため、反射面11で反射した光は、第2焦点F2で交差する。例えば、反射面11の上半側の部分で反射した光は下部方向に向けて反射され、反射面11の下半側の部分で反射した光は上部方向に向けて反射されるため、これらの光のうち反射後に第2焦点F2の方向に向かう光は、第2焦点F2を通過する際に交差する。これにより、第2焦点F2通過後は、反射面11の上半側の部分で反射した光は下部の方向に進み、反射面11の下半側の部分で反射した光は上部の方向に進む。
ここで、第2焦点F2近傍には第2シェード41が設けられており、さらにその前方及び後方には第1シェード21が設けられている。また、第1シェード21及び第2シェード41は上端部分にすれ違い用エッジ31或いは高速走行用エッジ51が設けられており、このすれ違い用エッジ31や高速走行用エッジ51が第2焦点F2付近に位置しているため、第1シェード21と第2シェード41の大部分は第2焦点F2の下方に位置している。このため、反射面11の下半側の部分で反射した光は、この第1シェード21或いは第2シェード41で遮られる。
上記のように反射面11で反射した光のうちの一部を第1シェード21或いは第2シェード41で遮る際には、前記すれ違い用エッジ31が上記のように高速走行用エッジ51よりも上方にあるため、前記反射面11で反射した光は、当該光が遮られる部分との境界部がすれ違い用エッジ31の形状に沿った形状となって遮られる。その際に、すれ違い用エッジ31は、第2焦点F2よりも若干前方及び後方に位置しているため、その境界部は若干ぼやけた状態となる。また、第1シェード21は、第2焦点F2の前後に位置する前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成され、すれ違い用エッジ31は前部第1シェード22と後部第1シェード23との双方に設けられているので、第1シェード21での遮光は、色消しの作用を有する。このため、第1シェード21で遮光した光の境界部への着色が抑制される。
前記反射面11で反射した光はこのように遮られた後、前記集光レンズ15の方向に向かう。前記反射面11で反射した光は、前記第2焦点F2までは集光しながら当該第2焦点F2まで進み、第2焦点F2を通過後は拡散しながら前記集光レンズ15の方向に進む。そして集光レンズ15に到達し、集光レンズ15を透過する際にこれらの光は向きを変えられ、略平行な光となって前方を照射する。
図7は、すれ違い用ビームの配光パターンを示す図である。前記反射面11で反射した光は、前記第1シェード21や第2シェード41が無い部分のみの光が前記集光レンズ15に向かい、集光レンズ15から前方に照射されるため、この前方に照射される照射光は、前記第1シェード21や第2シェード41の形状と逆の形状で照射される。また、この照射光は、上記のようにすれ違い用エッジ31の形状で遮光されているため、照射光は第1シェード21の形状の逆の形状で照射される。即ち、照射光は自動車前方の上下方向の中心であるH−H線よりも概ね下方を照射するので、配光パターンはH−H線よりも概ね下方となり、自動車の左側、即ち、走行車線側のみ、H−H線よりも若干上方を照射する。照射光がこの範囲に照射されることにより、当該ヘッドランプ1の照射光はすれ違い用ビームとなるので、配光パターンはすれ違い用配光パターン100となる。
このすれ違い用配光パターン100の上部の形状、つまりカットオフライン101は、カットオフライン101の右側部分である対向車線側水平カットオフライン102が、カットオフライン101の左側部分である走行車線側水平カットオフライン103よりも低く形成されている。また、走行車線側水平カットオフライン103は、H−H線よりも若干上方に位置している。このように上下方向の段差を有する走行車線側水平カットオフライン103と対向車線側水平カットオフライン102とは、これらの間に位置し、斜め方向に傾いて形成される傾斜カットオフライン104によってつながれている。この傾斜カットオフライン104は、前記すれ違い用エッジ傾斜部34に対応している。また、この傾斜カットオフライン104は、自動車前方の左右方向の中心であるV−V線上に位置している。
前記ヘッドランプ1ですれ違い用ビームを照射する場合には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82と第2ソレノイド85の第2プランジャ86との双方を縮め、第1シェード21を第1シェード第1位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第1位置に位置させることにより、配光パターンは上記のようなすれ違い用配光パターン100となる。また、このすれ違い用配光パターン100のカットオフライン101は、上記すれ違い用エッジ31による光の遮蔽が、境界部が若干ぼやけた状態で遮蔽するため、当該カットオフライン101も若干ぼやけた状態となる。また、前部第1シェード22と後部第1シェード23とによって色消しがなされているので、カットオフライン101への着色は抑制されている。
このようなすれ違い用配光パターン100では、V−V線よりも左側がH−H線よりも若干上方を照射し、右側はH−H線よりも下方側に離れているので、V−V線よりも右側のH−H線付近にはすれ違い用ビームが照射されない。右側レーンが対向車線であった場合でも、すれ違い用配光パターン100では、上下方向における中央付近の対向車線側には、このようにすれ違い用ビームは照射されないので、右側レーンを走行する対向車の運転席付近には照射せず、対向車に対して眩光とはならない。また、すれ違い用配光パターン100は、走行車線側水平カットオフライン103のみがH−H線よりも若干上方を照射しているため、先行車のドアミラーを照射することがなく、すれ違い用ビームは先行車に対して眩光とはならない。
図8は、図2のD−D断面図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。前記ヘッドランプ1で高速走行用ビームを照射する際には、第2ソレノイド85は作動させずに、第1ソレノイド81のみを作動させて、第1プランジャ82のみを上方に伸ばす。これにより、第1シェード21に設けられている第1シェード押部27は、第1プランジャ82によって付勢面28が上方に押され、第1シェード押部27に、第1シェード21が後方に傾く方向の回動方向の付勢力が与えられる。第1シェード押部27に対して、この方向の付勢力が与えられた場合には、第1シェード21は、前記回転軸90を中心として上記のように第1シェード21が後方に傾く方向に回動する。この回動は、第1プランジャ82が伸びきるまで回動し、第1プランジャ82が伸びきると、第1シェード21には、第1プランジャ82の付勢力による回動方向と反対方向に、前記第1シェード用バネ61によって付勢力が与えられているため、第1プランジャ82が伸びきった時点で第1シェード21の回動は停止する。
第1シェード21がこのように回動すると、第1シェード21の切欠部25に形成されている連動部26と、第2シェード41の第2シェード軸受部42に形成されている連動部当接部43とは近付くが、第1プランジャ82が伸びきって第1シェード21の回動が停止した状態では、連動部26と連動部当接部43とは当接せずに、僅かに離れた状態となる。また、このように第1ソレノイド81のみを作動させて第1プランジャ82のみが上方に伸び、第1シェード21が上記の方向に回動した場合には、第2ソレノイド85の第2プランジャ86は、第1シェード押部27の付勢面28から離れた状態になる。また、このように第1シェード21が回動して第1シェード21が後方に傾くと、第1シェード21の上端部分、即ち、すれ違い用エッジ31は上下方向における高さが変化し、すれ違い用エッジ31は下方に移動する。第1シェード21のこの状態は、第1シェード第2位置となる。また、第1ソレノイド81のみを作動させて第1プランジャ82のみを上方に伸ばした場合には、第2シェード41は回動しないため、第2シェード41は第2シェード第1位置に位置する。
図9は、図2のC部詳細図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。この状態の第1シェード21の詳細な位置は、すれ違い用エッジ31の全ての部分が、高速走行用エッジ51よりも下方に位置している。具体的には、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差は、第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差よりも大きいので、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32を第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52よりも下方に位置させることにより、すれ違い用エッジ31の全ての部分は、高速走行用エッジ51よりも下方に位置する。このように第1シェード21が第1シェード第2位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した場合の第2シェード41の対向車線側高速走行用エッジ53は、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の当該第1シェード21の対向車線側すれ違い用エッジ33の位置と上下方向における位置が、ほぼ同一となっている。
また、第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差は、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差よりも小さいので、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の走行車線側すれ違い用エッジ32の上下方向における位置よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した場合の第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52の方が下方に位置している。これらにより、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した状態で、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置した場合と、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合とを比較すると、シェード上部の対向車線側の部分は、第1シェード21の対向車線側すれ違い用エッジ33、或いは第2シェード41の対向車線側高速走行用エッジ53が、ほぼ同じ高さで位置している。
これに対し、シェード上部の走行車線側の部分は、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の走行車線側すれ違い用エッジ32よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合の第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52の方が下方に位置する。つまり、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合には、概ねシェード上部の走行車線側の部分のみが、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置した場合と比較して下方に位置することになる。
図10は、高速走行用ビームの配光パターンを示す図である。前記放電バルブ13が点灯し、発光部14で照射された光は、前記反射面11で反射して上記のように第2焦点F2の方向に向かい、この方向に向かった光のうち、前記反射面11の下半側の部分で反射した光は、第2シェード41或いは第1シェード21で遮られる。その際、前記すれ違い用エッジ31は全ての部分が前記高速走行用エッジ51よりも下側に位置しているため、前記反射面11で反射した光は、当該光が遮られる部分との境界部が高速走行用エッジ51の形状に沿った形状となって遮られる。その際に、高速走行用エッジ51は、前後方向における位置が第2焦点F2とほぼ同じ位置となっているので、その境界部ははっきりと明暗が分かれるようにして遮られる。また、前記反射面11で反射し、第2焦点F2通過後の光は、すれ違い用ビーム照射時と同様に集光レンズ15の方向に向かい、集光レンズ15を透過する際に略平行な光となって前方を照射する。この照射光は、前記第2シェード41によって遮光されているため、当該第2シェード41の形状の逆の形状で照射される。詳細には、照射光の大部分は自動車前方のH−H線よりも下方を照射する。
さらに、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合のすれ違い用エッジ31の走行車線側すれ違い用エッジ32よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置している場合の高速走行用エッジ51の走行車線側高速走行用エッジ52の方が、上下方向における位置が低いので、配光パターンの上部の対向車線側の部分は、すれ違い用配光パターン100の対向車線側水平カットオフライン102よりも高くなる。また、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合のすれ違い用エッジ31の対向車線側すれ違い用エッジ33と、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置している場合の高速走行用エッジ51の対向車線側高速走行用エッジ53とは、上下方向における位置がほぼ同一となっているので、配光パターンの上部の走行車線側の部分は、すれ違い用配光パターン100の走行車線側水平カットオフライン103とほぼ同一の位置になる。配光パターンがこのように形成されることにより、第1シェード21を第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している場合の配光パターンは、高速走行用配光パターン110となる。
この高速走行用配光パターン110の上部の形状、つまりカットオフライン111は、すれ違い用配光パターン100のカットオフライン101と同様に、対向車線側水平カットオフライン112が、走行車線側水平カットオフライン113よりも低く形成されている。また、走行車線側水平カットオフライン113は、H−H線よりも若干上方に位置している。さらに、走行車線側水平カットオフライン113と対向車線側水平カットオフライン112とは、高速走行用エッジ傾斜部54に対応して斜め方向に傾いて形成され、且つ、自動車前方の左右方向の中心であるV−V線上に位置する傾斜カットオフライン114によってつながれている。
前記ヘッドランプ1で高速走行用ビームを照射する場合には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82は伸ばして、第2ソレノイド85の第2プランジャ86は縮めることにより、第1シェード21は第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41は第2シェード第1位置に位置させる。これにより、配光パターンは上記のような高速走行用配光パターン110となる。また、この高速走行用配光パターン110のカットオフライン111は、上記高速走行用エッジ51による光の遮蔽が、境界部がはっきりと明暗が分かれた状態で遮蔽するため、当該カットオフライン111もはっきりした状態となる。
このような高速走行用配光パターン110では、対向車線側水平カットオフライン112がすれ違い用配光パターン100の対向車線側水平カットオフライン102よりも上方に位置しているので、この部分はすれ違い用ビームよりも高速走行用ビームの方が遠方を照射することになる。このため、遠方を視認し易くなる。また、高速走行用配光パターン110の対向車線側水平カットオフライン112は、すれ違い用配光パターン100の同一部分よりも上方を照射しており、このため、対向車線側はすれ違い用ビーム照射時よりも上方を照射するが、高速走行用配光パターン110のカットオフライン111は明暗がはっきりしているため、対向車に対して眩光とはならない。また、高速走行用配光パターン110の走行車線側水平カットオフライン113は、すれ違い用配光パターン100の走行車線側水平カットオフライン103とほぼ同一の高さであるため、高速走行用ビームは先行車に対して眩光とはならない。
図11は、図2のD−D断面図であり、走行用ビームの照射時の状態を示す図である。前記ヘッドランプ1で走行用ビームを照射する際には、第2ソレノイド85を作動させて、第2プランジャ86を上方に伸ばす。これにより、前記第1シェード押部27は、第2プランジャ86によって付勢面28が上方に押され、第1シェード押部27に、第1シェード21が後方に傾く方向の回動方向の付勢力が与えられ、第1シェード21は、高速走行用ビームを照射する場合と同様に、前記回転軸90を回動の中心として第1シェード21が後方に傾く方向に回動する。第1シェード21は、第2プランジャ86が伸びきるまで回動するが、第2プランジャ86は、第1プランジャ82よりもストロークが長い。このため、第1シェード21の回動する角度は大きく、第1シェード21は、高速走行用ビームを照射する際の後方への回動よりも、後方に傾く方向に大きく回動する。このため、第1シェード21が回動する際に、前記切欠部25に形成された連動部26は、前記第2シェード41の連動部当接部43に当接する。第1シェード21は、連動部26が連動部当接部43に当接した後も回動し、第2プランジャ86が伸びきった時点で第1シェード21の回動は停止する。
第1シェード21が回動し、連動部26が連動部当接部43に当接すると、第1シェード21の回動により連動部当接部43に対して連動部26から付勢力が与えられる。この付勢力は、前記回転軸90を回動の中心として第2シェード41が後方に傾く方向に第2シェードを回動させる力となり、第1シェード21の回動時に連動部26が連動部当接部43に当接することにより、第2シェード41は第1シェード21と共に第1シェード21の回動方向と同方向に回動する。第2シェード41のこの回動は、第2プランジャ86が伸びきって第1シェード21の回動が停止すると同時に停止する。
また、このように第2プランジャ86が伸びることにより第1シェード21及び第2シェード41が回動して、それぞれ後方に傾くと、第1シェード21と第2シェード41の上端部分、即ち、すれ違い用エッジ31と高速走行用エッジ51は、上下方向における高さが変化し、すれ違い用エッジ31、高速走行用エッジ51共に下方に移動する。また、すれ違い用エッジ31は、第1シェード21が高速走行用ビーム照射時よりも後方へ大きく傾いているので、高速走行用ビーム照射時よりも下方に位置する。さらに、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置していた際には第2焦点F2の近傍に位置していた高速走行用エッジ51は、第2シェード41が後方に傾くことにより、第2焦点F2よりも下方に位置する。これにより、すれ違い用エッジ31と高速走行用エッジ51とは、共に第2焦点F2よりも下方に位置する。第1シェード21のこの状態は、第1シェード第3位置となり、第2シェード41のこの状態は、第2シェード第2位置となる。なお、この状態における前記第1ソレノイド81の第1プランジャ82は、縮めた状態でも上方に伸ばした状態でも第1シェード押部27に接触せず、第1シェード21や第2シェード41の回動に対して影響を与えないため、第1プランジャ82は縮めた状態でも伸ばした状態でもどちらでもよい。
図12は、走行用ビームの配光パターンを示す図である。前記放電バルブ13が点灯し、発光部14で照射された光は、前記反射面11で反射して上記のように第2焦点F2の方向に向かう。この光のうち、前記反射面11の下半側の部分で反射した光は、すれ違い用ビーム照射時や高速走行用ビーム照射時には、第1シェード21或いは第2シェード41で遮られるが、走行用ビーム照射時には、第1シェード21及び第2シェード41は、共に全ての部分が第2焦点F2よりも下方に位置している。これにより、すれ違い用ビーム照射時や高速走行用ビーム照射時には第1シェード21や第2シェード41には遮蔽される光が、第2焦点F2よりも前方に向かう。これらのように、前記反射面11で反射した光の大部分は、第1シェード21や第2シェード41に遮られることなく集光レンズ15の方向に向かい、集光レンズ15を透過する際に略平行な光となって前方を照射する。この照射光は、第1シェード21や第2シェード41によってほとんど遮光されていないため、自動車前方のH−H線の上方と下方の双方を照射する。
すれ違い用ビームや高速走行用ビームでは、前記反射面11で反射した光の一部は第1シェード21や第2シェード41で遮光していたため、前方を照射する照射光は、ほとんど自動車前方の下半側のみであるが、走行用ビームでは、反射面11で反射した光を第1シェード21や第2シェード41で遮光しないため、照射光は自動車前方の下半側のみでなく、上半側も照射する。このため、配光パターンは、すれ違い用配光パターン100、或いは高速走行用配光パターン110に、H−H線の上側も照射範囲として追加した形態となる。配光パターンがこのように形成されることにより、第1シェード21を第1シェード第3位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第2位置に位置させた場合の配光パターンは、走行用配光パターン120となる。即ち、前記ヘッドランプ1で走行用ビームを照射する場合には、第2ソレノイド85の第2プランジャ86を伸ばすことにより、第1シェード21を第1シェード第3位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第2位置に位置させる。これにより、配光パターンは上記のような走行用配光パターン120となる。このような走行用配光パターン120では、H−H線よりも上方を照射しているため、走行用ビームは遠方まで照射することができる。これにより、遠方が視認し易くなる。
以上のヘッドランプ1は、すれ違い用配光パターン100を形成する第1シェード21と、高速走行用配光パターン110を形成する第2シェード41を設けている。これらの第1シェード21と第2シェード41とは、ストロークが異なる2つのプランジャ、即ち第1プランジャ82と第2プランジャ86とを有するソレノイド80で作動させ、第1シェード21と第2シェード41及びソレノイド80によって、配光パターンを変化させる。つまり、2つのプランジャの双方を縮めた場合には、第1シェード21で照射光をすれ違い用配光パターン100にする。また、短いストロークのプランジャである第1プランジャ82を伸ばした場合には、第2シェード41で照射光を高速走行用配光パターン110にする。また、長いストロークのプランジャである第2プランジャ86を伸ばした場合には、第1シェード21及び第2シェード41で照射光を遮蔽せずに、照射光を走行用配光パターン120にする。これにより、3種類の配光パターンで照射することができ、また、2位置停止ソレノイドを用いることができるので、製造コストを抑えることができる。この結果、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることができる。
また、第1シェード21と第2シェード41とは、それぞれ独立して回動するので、それぞれ他のシェードが回動した際でも、その動きに互いに影響されることがない。これにより、シェードの光学的な位置精度を向上させることができ、より精度の高い配光パターンで照射することができる。この結果、照射した際の視認性の向上を図ることができ、また、対向車など外部への眩光を抑制できるので、外部を照射して走行する際の安全性の向上を図ることができる。
また、第1プランジャ82と第2プランジャ86とを、それぞれ独立した第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とを用いているので、より仕事量に適した駆動手段を用いることができる。即ち、第1プランジャ82は、第1シェード21を回動させるのみであるが、第2プランジャ86は、第1シェード21と第2シェード41とを同時に回動させる。このため、第1プランジャ82が作動する際には、第1シェード用バネ61の付勢力による負荷が作用するのみであるが、第2プランジャ86が作動する際には、第1シェード用バネ61の付勢力による負荷と第2シェード用バネ62の付勢力による負荷とが作用する。これにより、第2プランジャ86の作動時には、第1プランジャ82の作動時よりも大きな負荷が作用するため、第2プランジャ86は、第1プランジャ82よりも作動時に大きな力が必要になる。反対に、第1プランジャ82を作動させる場合には、第2プランジャ86を作動させる場合よりも、小さな出力で作動させることができる。
そこで、ソレノイド80をそれぞれ独立して設けることにより、第1プランジャ82を有する第1ソレノイド81と第2プランジャ86を有する第2ソレノイド85とで大きさを変えることができ、第1プランジャ82での出力と第2プランジャ86での出力とを、それぞれ異ならせることができる。これにより、必要以上に大きい出力を有するソレノイド80を設けることを抑制でき、仕事量に適した性能を有するソレノイド80を用いることができるので、製造コストを抑えることができる。この結果、製造コストをより安価にすることができる。また、このように第1プランジャ82の出力は第2プランジャ86の出力よりも小さくてよいので、第1プランジャ82を有する第1ソレノイド81は、第2プランジャ86を有する第2ソレノイド85よりも出力を小さくすることができる。これにより、第1ソレノイド81の小型化や軽量化を図ることができる。この結果、ヘッドランプ1の小型化や軽量化を図ることができる。
さらに、第1シェード21を第1シェード第3位置に位置させる場合には、第2ソレノイド85のみを作動させればよいので、第1ソレノイド81には負荷が作用しない。このように、第1ソレノイド81への負荷を低減させることができるので、第1ソレノイド81の耐久性の向上を図ることができる。この結果、シェードを作動させる構造にした場合における耐久性の向上を図ることができ、高品質なヘッドランプ1にすることができる。
また、2位置停止のソレノイド80を用いて3種類の配光パターンで照射できるので、3つの配光パターンで照射する際の精度の向上を図ることができる。即ち、3つ以上の配光パターンで照射する際に、3位置停止のソレノイド80など、3つ以上の停止位置を有するソレノイド80を用いると、中間で停止させた際の精度が低減する虞がある。そこで、2位置停止のソレノイド80を複数設けて3種類の配光パターンで照射することにより、全ての配光パターンでの精度が向上する。この結果、3種類の配光パターンで照射する際の配光パターンの精度の向上を図ることができる。
また、第1プランジャ82と第2プランジャ86とは、共に第1シェード押部27を押すことにより第1シェード21を回動させ、第2シェード41は、第1シェード21の連動部26と第2シェード41の連動部当接部43とが当接することにより回動しているので、第1シェード21と第2シェード41との相対的な位置精度を、容易に向上させることができる。これにより、第1シェード21と第2シェード41との組立て時の位置合わせがし易くなり、組立て易くなる。この結果、より確実に製造コストの低減を図ることができる。
また、第1シェード21の動きに合わせて第2シェード41を連動させる際に、第1シェード21に形成した連動部26が、第2シェード41に形成した連動部当接部43に当接することにより第2シェード41は作動している。さらに、この連動部26は、第1シェード21に形成され、第2シェード41が有する第2シェード軸受部42を前方に突出させる部分である切欠部25のうち、下方を向いている面に形成されている。また、連動部当接部43は、第2シェード軸受部42のうち上方を向いている面で、連動部26に対向している部分に形成されている。これらにより、第2シェード41を第1シェード21の作動に連動させる際に複雑な構造にする必要がなく、第2シェード41を第1シェード21の作動に対して容易に連動させることができる。この結果、製造コストをより安価にすることができる。
また、第1シェード21を、前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成し、これらの間に第2シェード41を設けているので、1つのヘッドランプ1ですれ違い用配光パターン100と高速走行用配光パターン110とで照射する場合でも、照射光の着色を抑制できる。この結果、ヘッドランプ1で外部を照射した際の視認性が悪化することなく、良好な視認性と、複数の配光パターンでの照射との両立を図ることができる。
なお、第1シェード21は、前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成しているが、第1シェード21は、1枚で形成してもよい。第1シェード21を1枚で形成した場合でも、第1シェード押部27と連動部26とを設けることにより、第1シェード21の回動に連動させて第2シェード41を回動させることができ、2つのソレノイド80で3種類の配光パターンを得ることができる。
また、ソレノイド80は、第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とに分かれておらず、1つのソレノイド80で、それぞれ異なるストロークの2つのプランジャを有するソレノイド80を用いてもよい。2つのプランジャのストロークが異なっていれば、短いストロークのプランジャで第1シェード21のみを回動させ、長いストロークのプランジャでは第1シェード21と第2シェード41とを回動させることができるので、3種類の配光パターンを得ることができる。
また、駆動手段としては、ソレノイド80以外のものを用いてもよい。例えば、ステッピングモータを用いて第1シェード21及び第2シェード41を回動させてもよい。回動させる際に、第1シェード21を直接回動させて、第2シェード41は第1シェード21の回動に連動して回動する構造であれば、3種類の配光パターンを得ることができるので、第1シェード21を回動させることのできるものであれば、駆動手段の種類は問わない。
また、実施例のヘッドランプ1は、光源として放電バルブ13を使用しているが、光源はハロゲン電球、白熱電球など、放電バルブ13以外のものを用いてもよい。放電バルブ13以外の光源を用いた場合でも、光源の発光部を第1焦点F1付近に位置させることにより、光源からの光の遮蔽の度合いを第1シェード21及び第2シェード41で変化させることができ、上記の効果を得ることができる。
また、上記の説明では、左側通行の道路で走行をする自動車に装備されるヘッドランプ1ついて説明しているが、右側通行の道路を走行する自動車に装備する自動車に本発明のヘッドランプ1を装備する際には、各シェードのエッジ部の形状を、左右逆の形状にするとよい。これにより、配光パターンのカットオフラインの形状が左右逆となるので、右側走行に適した配光パターンとなり、右側走行の道路を走行する場合でも、上記の効果を得ることができる。