上記「特許文献1」に記載された車両用前照灯においては、可動シェードを遮光緩和位置へ移動させることにより、ハイビーム用配光パターンを形成することができるので、単一の灯具をロービーム用およびハイビーム用として兼用することができる。
しかしながら、この「特許文献1」に記載された車両用前照灯においては、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとが、リフレクタの同一反射領域からの反射光により形成されるので、これをロービーム用配光パターンに適した反射面形状にするとハイビーム用配光パターンとしては必ずしも適切な配光パターンを得ることができず、一方、これをハイビーム用配光パターンに適した反射面形状にするとロービーム用配光パターンとしては必ずしも適切な配光パターンを得ることができない、という問題がある。
このような問題は、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとの切換えを行う場合だけでなく、ロービーム用配光パターンと中間的配光パターン(すなわちロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとの間の中間的な配光パターン)との切換えを行うようにした場合においても、同様に生じ得る問題である。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、可動シェードを備えたプロジェクタ型の車両用前照灯において、ロービーム用配光パターンに悪影響を及ぼすことなく、ハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンを適切な配光パターンとすることができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
本願発明は、シェードのみならずリフレクタについてもその一部も分離して可動式とした上で、その後方近傍に所定の付加リフレクタを配置するとともに、この付加リフレクタからの反射光を投影レンズを透過させる構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、
車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、この投影レンズの後側焦点よりも後方側に配置された光源と、この光源からの光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させるリフレクタと、このリフレクタからの反射光の一部を遮蔽し得るように構成された可動シェードとを備えてなり、
上記可動シェードが、上記後側焦点近傍において上記光軸近傍に上端縁が位置するように配置される遮光位置と、この遮光位置よりも上記リフレクタからの反射光に対する遮蔽量を減少させる遮光緩和位置との間において移動し得るように構成された車両用前照灯において、
上記リフレクタの一部が、可動反射部として該リフレクタにおける他の一般反射部から分離して所定方向へ移動し得るように構成されており、
上記可動反射部の後方近傍に、該可動反射部が上記一般反射部から分離して上記所定方向へ移動したとき、上記可動反射部と上記一般反射部との隙間を通して上記光源からの光を入射させ、この入射光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させる付加リフレクタが設けられており、
上記リフレクタおよび上記付加リフレクタが、該リフレクタおよび該付加リフレクタからの反射光をそれぞれ上記投影レンズを介して前方へ照射するように構成されており、
上記可動反射部の上記所定方向への移動が、上記可動シェードの上記遮光緩和位置への移動と連動して行われるように構成されている、ことを特徴とするものである。
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば、放電バルブの放電発光部やハロゲンバルブのフィラメント等が採用可能である。また、この「光源」は、投影レンズの後側焦点よりも後方側に配置されたものであれば、その具体的な位置や向き等の具体的構成は特に限定されるものではない。
上記「可動シェード」の形状や大きさ等の具体的構成は特に限定されるものではない。また、この「可動シェード」は、リフレクタからの反射光の一部を遮蔽し得るように構成されているが、その際、遮光位置にあるときに上記反射光の一部を遮蔽する構成となっていれば、遮光緩和位置にあるときには、上記反射光の遮蔽を完全に解除する構成となっていてもよいし、上記反射光の遮蔽を部分的に解除する構成となっていてもよい。
上記「可動反射部」は、リフレクタの一部であって、該リフレクタにおける他の一般反射部から分離して所定方向へ移動し得るように構成されたものであれば、その具体的な位置や大きさあるいは反射面形状等は特に限定されるものではない。 上記可動反射部の「移動」の態様は、特に限定されるものではなく、例えば直線運動による移動あるいは回動運動による移動等が採用可能である。
上記「所定方向」の具体的な方向は特に限定されるものではなく、例えば、下方向や上方向あるいは左右いずれかの方向等が採用可能である。
上記「付加リフレクタ」は、可動反射部の後方近傍に設けられ、該可動反射部が一般反射部から分離して上記所定方向へ移動したとき、これら両反射部の隙間を通して光源からの光を入射させ、この入射光を前方へ向けて光軸寄りに反射させるように構成されたものであれば、その大きさや具体的な反射面形状等は特に限定されるものではない。
上記可動反射部の上記所定方向への移動と上記可動シェードの上記遮光緩和位置への移動との「連動」は、可動反射部を移動させるためのアクチュエータと可動シェードを移動させるためのアクチュエータとを設け、これらを同時に駆動することにより行う構成としてもよいし、可動反射部と可動シェードとを機構的に連結し、これらを同一のアクチュエータで駆動することにより行う構成としてもよい。その際、上記「アクチュエータ」としては、例えばソレノイドやステッピングモータ等が採用可能である。
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、可動シェードを備えたプロジェクタ型の車両用前照灯として構成されているが、そのリフレクタの一部は、可動反射部として、可動シェードの遮光緩和位置への移動と連動して、該リフレクタにおける他の一般反射部から分離して所定方向へ移動し得るように構成されており、また、この可動反射部の後方近傍には、該可動反射部が一般反射部から分離して所定方向へ移動したとき、該可動反射部と一般反射部との隙間を通して光源からの光を入射させ、この入射光を前方へ向けて光軸寄りに反射させる付加リフレクタが設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、可動シェードが遮光位置にあり、可動反射部が分離前の第1の位置にある状態では、リフレクタの可動反射部および一般反射部からの反射光が、投影レンズを介して前方へ照射され、その際、投影レンズの後側焦点近傍において光軸近傍に上端縁が位置するように配置された可動シェードにより、リフレクタからの反射光の一部が遮蔽される。そしてこれにより、可動シェードの上端縁の反転像としてのカットオフラインを上端部に有するロービーム用配光パターンが得られる。
一方、可動シェードが遮光緩和位置へ移動すると、リフレクタからの反射光に対する該可動シェードによる遮蔽の全部または一部が解除されるので、ロービーム用配光パターンのカットオフラインの上方まで光照射が行われ、これによりハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンが得られる。その際、この可動シェードの遮光緩和位置への移動と連動して、リフレクタの可動反射部が一般反射部から分離して所定方向へ移動するので、この移動後の第2の位置にある状態では、リフレクタの可動反射部からの反射光の代わりに付加リフレクタからの反射光が投影レンズを介して前方へ照射されることとなる。したがって、この付加リフレクタの反射面形状を適当な形状に設定しておくことにより、ハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンを、単に可動シェードを遮光緩和位置へ移動させた場合に得られるハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンとは異なった形状や光度分布を有するものとすることができる。
このように本願発明によれば、可動シェードを備えたプロジェクタ型の車両用前照灯において、ロービーム用配光パターンに悪影響を及ぼすことなく、ハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンを適切な配光パターンとすることができる。しかも、このような作用効果を、灯具をコンパクトに構成可能とした上で実現することができる。
上記構成において、付加リフレクタが、投影レンズの後側焦点近傍への集光性が高い反射面形状を有する構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、一般に、ハイビーム用配光パターンとしては、これを遠方視認性に優れた配光パターンとすることが望まれる。また、中間的配光パターンについても、これを遠方視認性に優れた配光パターンとすることが望まれる場合が多いと考えられる。そこで、付加リフレクタの反射面形状を投影レンズの後側焦点近傍への集光性が高いものとすれば、この付加リフレクタからの反射光により形成される配光パターンを、可動反射部からの反射光により形成される配光パターンに比して明るいスポット状の配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンまたは中間的配光パターンを遠方視認性に優れたものとすることができる。
ここで「後側焦点近傍への集光性が高い反射面形状」とは、付加リフレクタで反射した光源からの光の後側焦点近傍への集光性が、リフレクタの可動反射部で反射した光源からの光の後側焦点近傍への集光性に比して高い反射面形状を意味するものであって、その具体的な形状は特に限定されるものではなく、例えば、光源近傍の点を第1焦点とするとともに投影レンズの後側焦点近傍の点を第2焦点とする略回転楕円面形状等が採用可能である。
上記構成において、可動反射部と可動シェードとを機構的に連結し、これら可動反射部および可動シェードの移動を同一のアクチュエータの駆動により行うよ構成とすれば、灯具の製造コストを抑えた上で上記作用効果を得ることができる。ここで「機構的に連結」するための具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えばリンクを用いたものやギヤを用いたもの等が採用可能である。
上記構成において、可動反射部の移動の態様が特に限定されないことは上述したとおりであるが、この移動が、光源近傍の点を回動中心とする回動運動によって行われる構成とすれば、その移動途中に可動反射部からの反射光の一部を投影レンズに入射させて、これを前方へ照射することができるので、ロービームとハイビームまたは中間的配光パターンとのビーム切換え時に配光パターンが大きく乱れてしまうのを未然に防止することができる。
上記構成において、光源を、光軸から下方に離れた位置において該光軸の側方からリフレクタに挿入固定された光源バルブの発光部で構成すれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、光軸の側方から光源バルブがリフレクタに挿入固定される構成とすることにより、灯具の前後長を短くしてそのコンパクト化を図ることができる。また、光軸から下方に離れた位置で光源バルブの挿入固定が行われる構成とすることにより、リフレクタの反射面における光軸側方領域を配光制御用として有効に利用することができる。すなわち、この光軸側方領域からの反射光により、ロービーム用配光パターンまたはハイビーム用配光パターンもしくは中間的配光パターンの拡散領域を形成して、この拡散領域に十分な明るさを確保することができる。
その際、光源バルブの挿入固定位置の光軸からの下方変位量は特に限定されるものではない。その際、リフレクタの反射面における光軸近傍領域で反射した光源バルブからの光が該光源バルブによって遮蔽されてしまうのを未然に防止する観点からは、下方変位量を10mm以上の値に設定することが好ましく、15mm以上の値に設定することがより好ましい。一方、光源バルブからリフレクタの反射面への入射光束を十分に確保する観点からは、下方変位量を30mm以下の値に設定することが好ましい。
この場合において、可動反射部を光源の略真後ろに配置するとともに、該可動反射部の上端縁と一般反射部の下端縁との分離位置を光軸と略同じ高さの位置に設定すれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、可動反射部を光源の略真後ろに配置することにより、一般反射部、可動反射部および付加リフレクタのいずれに関しても、光源からの光に対する十分な入射光束を確保することができる。また、可動反射部の上端縁と一般反射部の下端縁との分離位置を、光軸と略同じ高さの位置に設定することにより、光軸よりも上方の反射領域をすべて一般反射部として確保することができる。したがって、この一般反射部からの反射光により、ロービーム用配光パターンまたはハイビーム用配光パターンもしくは中間的配光パターンを、その拡散領域が十分明るい配光パターンとして形成することができる。
また上記構成において、投影レンズの後側焦点近傍に、リフレクタからの反射光の一部を遮蔽する固定シェードを設けるとともに、この固定シェードの上端縁の高さ位置を、遮光位置にあるときの可動シェードの上端縁と、遮光緩和位置にあるときの可動シェードの上端縁との間の高さ位置に設定すれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、中間的配光パターンとして、上端縁にカットオフラインを有する配光パターンを得ようとした場合には、遮光位置および遮光緩和位置間における可動シェードの移動量を比較的小さい値に設定する必要があるが、この可動シェードを移動させるためのアクチュエータの駆動制御を精度良く行うことは容易でない。しかも、可動シェードと可動反射部とが機構的に連結されている場合には、可動反射部の移動量が制約されてしまうので、この可動シェードを第2の位置として適した位置まで移動させることができなくなってしまう。その点、投影レンズの後側焦点近傍に固定シェードを設けるようにすれば、その上端縁の位置を中間的配光パターンのカットオフラインの形成に適した位置に設定することにより、遮光緩和位置をある程度任意に設定することができ、これにより灯具設計自由度を高めることができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す側断面図である。
同図に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、車両前後方向に延びる光軸Axを有する灯具ユニット20が、エイミング機構50を介して上下方向および左右方向に傾動可能に収容されてなっている。
そして、このエイミング機構50によるエイミング調整が完了した段階では、灯具ユニット20の光軸Axは、車両前後方向に対して0.5〜0.6°程度下向きの方向に延びるようになっている。
図2および3は、灯具ユニット20を単品で示す側断面図であり、図4および5は、灯具ユニット20を単品で示す平断面図である。
これらの図にも示すように、灯具ユニット20は、プロジェクタ型の灯具ユニットであって、光源バルブ22と、リフレクタ24と、ホルダ26と、投影レンズ28と、固定シェード30と、可動シェード32と、付加リフレクタ34とを備えてなっている。
投影レンズ28は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸レンズからなり、光軸Ax上に配置されている。そして、この投影レンズ28は、その後側焦点Fを含む焦点面上の像を反転像として前方へ投影するようになっている。
光源バルブ22は、放電発光部を光源22aとするメタルハライドバルブ等の放電バルブであって、その光源22aはバルブ中心軸Ax1方向に延びる線分光源として構成されている。そして、この光源バルブ22は、投影レンズ28の後側焦点Fよりも後方側でかつ光軸Axから下方に離れた位置(例えば光軸Axから20mm程度下方に離れた位置)において、光軸Axの右側方からリフレクタ24に挿入固定されている。この挿入固定は、バルブ中心軸Ax1を光軸Axと直交する鉛直面内において水平方向に延びるように設定した状態で、光源22aの発光中心を光軸Axの鉛直下方に位置決めするようにして行われている。
リフレクタ24は、光源22aの略真後ろに位置する可動反射部24Aと、これ以外の一般反射部24Bとからなり、光源22aからの光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させるように構成されている。具体的には、可動反射部24Aの反射面24a1と一般反射部24Bの反射面24a2とは、連続的な表面形状で形成されている。その際、これら反射面24a1、24a2は、略楕円状の断面形状を有しており、その離心率は鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。そしてこれにより、図2および4に示すように、これら反射面24a1、24a2で反射した光源22aからの光を、鉛直断面内においては後側焦点F近傍に略収束させるとともに、水平断面内においてはその収束位置をかなり前方へ移動させるようになっている。
可動反射部24Aの反射面24a1は、灯具ユニット正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、この可動反射部24Aを上方および左右両側から囲むようにして一般反射部24Bの反射面24a2が形成されている。その際、可動反射部24Aの反射面24a1は、光軸Axの左右両側に各々20mm程度の範囲で、かつ光軸Axの高さからその下方25mm程度までの範囲にわたって形成されている。
一般反射部24Bの下部右側領域には、バルブ挿入固定部24bがその反射面24a2から突出するようにして形成されており、このバルブ挿入固定部24bの左側面部にはバルブ挿入孔24cが形成されている。そして、このリフレクタ24は、その3箇所に形成されたエイミングブラケット24dにおいて、エイミング機構50を介してランプボディ12に支持されている。
可動反射部24Aは、一般反射部24Bから分離して下方へ移動し得るように構成されている。すなわち、この可動反射部24Aの下端部には、光源22aの前方近傍(例えばバルブ中心軸Ax1に対して10mm程度前方)まで延びるブラケット24eが一体的に形成されており、このブラケット24eの前端部には、車幅方向に延びる回動軸部材36が圧入固定されている。そして、可動反射部24Aは、この回動軸部材36と共にその軸線回りに、図1において実線で示す第1の位置(すなわち可動反射部24Aが一般反射部24Bから分離していない位置)から、同図において2点鎖線で示す第2の位置(すなわち可動反射部24Aが一般反射部24Bから分離して下方へ所定量移動した位置)まで回動し得るようになっている。
付加リフレクタ34は、リフレクタ24の可動反射部24Aの後方近傍に設けられており、該リフレクタ24の一般反射部24Bと一体的に形成されている。この付加リフレクタ34の反射面34aは、灯具ユニット正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、光軸Axの左右両側に各々20mm程度の範囲で、光軸Axの高さからその下方20mm程度までの範囲にわたって形成されている。そして、この付加リフレクタ34は、リフレクタ24の可動反射部24Aがその一般反射部24Bから分離して下方へ移動したとき、両反射部24A、24Bの隙間を通して光源22aからの光を入射させ、この入射光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させるようになっている。
この付加リフレクタ34の反射面34aは、投影レンズ28の後側焦点F近傍への集光性が高い表面形状を有している。具体的には、この反射面34aの表面形状は、光源22aの発光中心を第1焦点とするとともに投影レンズ28の後側焦点Fを第2焦点とする回転楕円面形状に設定されている。
ホルダ26は、リフレクタ24の前端開口部から前方へ向けて略筒状に延びるように形成されており、その後端部においてリフレクタ24に固定支持されるとともに、その前端部において投影レンズ28を固定支持している。
固定シェード30は、リフレクタ24で反射した迷光が投影レンズ28に入射してしまうのを防止するためのシェードであって、ホルダ26の内部空間に配置されており、該ホルダ26と一体で形成されている。この固定シェード30の後面には、後方へ突出する左右1対のブラケット30aが形成されており、これら両ブラケット30aの後端部において回動軸部材36の両端部を支持するようになっている。
この回動軸部材36は、その左端部が左方向へ延長形成されており、その先端部に設けられたピニオン36aにおいて、アクチュエータ40と係合連結されている。
このアクチュエータ40は、リフレクタ24の可動反射部24Aを上記第1および第2の位置間において移動させるためのものであって、前後方向に延びるプランジャ40aを有するソレノイドで構成されており、そのプランジャ40aにはラック部が形成されている。そして、このアクチュエータ40は、そのプランジャ40aのラック部を回動軸部材36のピニオン36aと噛み合わせるようにして配置された状態で、リフレクタ24の一般反射部24Bの下部左側領域に形成されたアクチュエータ支持部24fにおいてリフレクタ24に固定支持されている。
このアクチュエータ40は、図示しないビーム切換えスイッチの操作が行われたときに駆動して、そのプランジャ40aの前後方向の往復運動を回動軸部材36の回動運動として伝達し、これによりリフレクタ24の可動反射部24Aを第1および第2の位置間において移動させるようになっている。
可動シェード32は、ホルダ26の内部空間における光軸Axの下方近傍に位置するように設けられており、固定シェード30の上端部に、回動ピン38を介して車幅方向に延びる軸線回りに回動可能に支持されている。そして、この可動シェード32は、図1において実線で示す遮光位置と、この遮光位置から後方側へ所定角度回動した、同図において2点鎖線で示す遮光緩和位置とを採り得るようになっている。この可動シェード32の上端縁32aは、左右段違いで形成されており、可動シェード32が遮光位置にあるとき、投影レンズ28の後側焦点面に沿って水平方向に略円弧状に延びるようになっている。
この可動シェード32は、その後端部においてリンク42を介して回動軸部材36に連結されている。そしてこれにより、可動シェード32は、回動軸部材36の回動により、リフレクタ24の可動反射部24Aが第1の位置から第2の位置へ移動したとき、これと連動して遮光位置から遮光緩和位置へ移動し、一方、リフレクタ24の可動反射部24Aが第2の位置から第1の位置へ移動したとき、これと連動して遮光緩和位置から遮光位置へ移動するようになっている。
この可動シェード32は、その前端部において復帰バネ44を介して固定シェード30に連結されており、これにより常に遮光位置へ向けて弾性付勢されるようになっている。また、この可動シェード32における回動ピン38の前方近傍部位には、該可動シェード32が遮光位置に移動したとき固定シェード30に当接してこれを遮光位置に位置決めするためのストッパ32bが形成されている。
図2および4は、可動シェード32が遮光位置にあり、可動反射部24Aが第1の位置にある状態での光源22aからの光の光路を示しており、図3および5は、可動シェード32が遮光緩和位置にあり、可動反射部24Aが第2の位置にある状態での光源22aからの光の光路を示している。
図2および4に示すように、可動シェード32が遮光位置にある状態では、その上端縁32aが投影レンズ28の後側焦点Fを通るように配置され、これによりリフレクタ24の反射面24aからの反射光の一部が遮蔽されて投影レンズ28から前方へ出射する上向き光の大半が除去される。
また、可動反射部24Aが第1の位置にある状態では、該可動反射部24Aの反射面24a1および一般反射部24Bの反射面24a2からの反射光のみが前方へ照射される。
一方、図3および5に示すように、可動シェード32が遮光位置から遮光緩和位置へ移動すると、その上端縁32aが後方へ向けて斜め下方に変位して、可動反射部24Aの反射面24a1からの反射光に対する遮蔽量が減少する。本実施形態においては、この遮光緩和位置では反射面24a1からの反射光に対する遮蔽量が略ゼロになる。
また、可動反射部24Aが第2の位置に移動した状態では、該可動反射部24Aと一般反射部24Bとの隙間を通して光源22aからの光が付加リフレクタ34の反射面34aに入射するので、一般反射部24Bの反射面24a2からの反射光と付加リフレクタ34の反射面34aからの反射光とが前方へ照射される。このとき、可動反射部24Aは、その回動により反射面24a1の向きがかなり上向きに変化しているので、この反射面24a1からの反射光は、投影レンズ28に入射しない無効な光となる。
その際、可動反射部24Aの移動は、光源22aの前方近傍において車幅方向に延びる回動軸部材36を回動中心とする回動運動によって行われるので、可動反射部24Aからの反射光の向きは、その移動途中で徐々に変化する。
また、付加リフレクタ34は、その反射面34aが、光源22aの発光中心を第1焦点とするとともに投影レンズ28の後側焦点Fを第2焦点とする回転楕円面形状に設定されているので、該反射面34aからの反射光は後側焦点Fに収束する。
図6は、車両用前照灯10から前方へ照射される光により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
同図(a)は、可動シェード32が遮光位置にあり、可動反射部24Aが第1の位置にある状態で形成されるロービーム用配光パターンPLを示しており、同図(b)は、可動シェード32が遮光緩和位置にあり、可動反射部24Aが第2の位置にある状態で形成されるハイビーム用配光パターンPHを示している。
同図(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH−Vを鉛直方向に通るV−V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V−V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V−V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
このロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV−V線との交点であるエルボ点Eは、H−Vの0.5〜0.6°程度下方に位置している。これは、灯具ユニット20の光軸Axが車両前後方向に対して0.5〜0.6°程度下向きの方向に延びていることによるものである。そして、このロービーム用配光パターンPLにおいては、エルボ点Eをやや左寄りに囲むようにして高光度領域であるホットゾーンHZLが形成されている。
このロービーム用配光パターンPLは、可動反射部24Aの反射面24a1および一般反射部24Bの反射面24a2で反射した光源22aからの光によって投影レンズ28の後側焦点面上に形成された光源22aの像を、投影レンズ28により上記仮想鉛直スクリーン上に反転投影像として投影することにより形成され、そのカットオフラインCL1、CL2は、可動シェード32の上端縁32aの反転投影像として形成されるようになっている。また、このロービーム用配光パターンPLのホットゾーンHZLの形成には、主として可動反射部24Aの反射面24a1からの反射光によって形成される配光パターンP1が寄与している。
一方、同図(b)に示すハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLに対して、そのカットオフラインCL1、CL2から上方へある程度拡がるように形成されており、H−V近傍にホットゾーンHZHを有している。このホットゾーンHZHの形成には、主として付加リフレクタ34の反射面34aからの反射光によって形成される配光パターンP2が寄与している。
同図において2点鎖線で示す配光パターンPH´は、仮に可動反射部24Aが第2の位置に移動せずに第1の位置にあるとした場合に形成されるハイビーム用配光パターンである。また、同図において2点鎖線で示す配光パターンP2´は、仮に可動反射部24Aが第2の位置に移動せずに第1の位置にあるとした場合に、該可動反射部24Aの反射面24a1からの反射光によって形成される配光パターンである。このようにした場合には、配光パターンPH´、P2´は、ロービーム用配光パターンPLおよびその配光パターンP1がそのままカットオフラインCL1、CL2の上方へ拡がるように形成されることとなる。
しかしながら、実際には、可動反射部24Aは第2の位置に移動した状態にあり、この可動反射部24Aからの反射光の代わりに付加リフレクタ34からの反射光が前方へ照射されるので、同図において実線で示すように、実際のハイビーム用配光パターンPHは、ハイビーム用配光パターンPH´に比して、その上端縁形状がH−V寄りにひとまわり小さくなり、また、実際の配光パターンP2は、配光パターンP2´よりも小さくて十分に明るい配光パターンとしてHーV寄りの位置に形成されることとなる。
これは、付加リフレクタ34の反射面34aが、光源22aの発光中心を第1焦点とするとともに投影レンズ28の後側焦点Fを第2焦点とする回転楕円面形状に設定されており、該反射面34aからの反射光の後側焦点Fへの集光性が最大限に高められていることによるものである。
そして、このようにハイビーム用配光パターンPHを、その中心光度が十分高められたものとすることにより、車両前方路面の遠距離領域を十分明るく照射することができ、これによりハイビーム時における遠方視認性向上を図ることができる。
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、可動シェード32を備えたプロジェクタ型の車両用前照灯として構成されているが、そのリフレクタ24の一部は、可動反射部24Aとして、可動シェード32の遮光緩和位置への移動と連動して、該リフレクタ24における他の一般反射部24Bから分離して下方へ移動し得るように構成されており、また、この可動反射部24Aの後方近傍には、該可動反射部24Aが一般反射部24Bから分離して下方へ移動したとき、該可動反射部24Aと一般反射部24Bとの隙間を通して光源22aからの光を入射させ、この入射光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させる付加リフレクタ34が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、可動シェード32が遮光位置にあり、可動反射部24Aが分離前の第1の位置にある状態では、リフレクタ24の可動反射部24Aおよび一般反射部24Bからの反射光が、投影レンズ28を介して前方へ照射され、その際、投影レンズ28の後側焦点F近傍において光軸Ax近傍に上端縁32aが位置するように配置された可動シェード32により、リフレクタ24からの反射光の一部が遮蔽される。そしてこれにより、可動シェード32の上端縁32aの反転像としてのカットオフラインCL1、CL2を上端部に有するロービーム用配光パターンPLが得られる。
一方、可動シェード32が遮光緩和位置へ移動すると、リフレクタ24からの反射光に対する該可動シェード32による遮蔽が解除されるので、ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2の上方まで光照射が行われ、これによりハイビーム用配光パターンPHが得られる。その際、この可動シェード32の遮光緩和位置への移動と連動して、リフレクタ24の可動反射部24Aが一般反射部24Bから分離して下方へ移動するので、この移動後の第2の位置にある状態では、リフレクタ24の可動反射部24Aからの反射光の代わりに付加リフレクタ34からの反射光が、投影レンズ28を介して前方へ照射されることとなる。したがって本実施形態のように、この付加リフレクタ34の反射面形状を適当な形状に設定しておくことにより、ハイビーム用配光パターンPHを、単に可動シェード32を遮光緩和位置へ移動させた場合に得られるハイビーム用配光パターンPHとは異なった形状や光度分布を有するものとすることができる。
このように本実施形態によれば、可動シェード32を備えたプロジェクタ型の車両用前照灯10において、ロービーム用配光パターンPLに悪影響を及ぼすことなく、ハイビーム用配光パターンPHを適切な配光パターンとすることができる。しかも、このような作用効果を、灯具をコンパクトに構成可能とした上で実現することができる。
特に本実施形態においては、付加リフレクタ34の反射面34aからの反射光の後側焦点Fへの集光性が最大限に高められているので、この付加リフレクタ34からの反射光により形成される配光パターンP2を、可動反射部24Aからの反射光により形成される配光パターンP2´に比して明るいスポット状の配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンPHを遠方視認性に優れたものとすることができる。
また本実施形態においては、可動反射部24Aと可動シェード32とがリンク42を介して連結されており、これら可動反射部24Aおよび可動シェード32の移動が同一のアクチュエータ40の駆動により行われるように構成されているので、灯具の製造コストを抑えた上で上記作用効果を得ることができる。
さらに本実施形態においては、可動反射部24Aの移動が、光源22aの前方近傍において車幅方向に延びる回動軸部材36を回動中心とする回動運動によって行われるようになっているので、その移動途中に可動反射部24Aからの反射光の一部を投影レンズ27に入射させて、これを前方へ照射することができ、これによりロービームとハイビームとのビーム切換え時に配光パターンが大きく乱れてしまうのを未然に防止することができる。
また本実施形態においては、光軸Axの側方から光源バルブ22がリフレクタ24に挿入固定されているので、灯具の前後長を短くしてそのコンパクト化を図ることができる。
さらに本実施形態においては、光軸Axから下方に離れた位置で光源バルブ22の挿入固定が行われているので、リフレクタ24の反射面24aにおける光軸側方領域を配光制御用として有効に利用することができる。すなわち、この光軸側方領域からの反射光により、ロービーム用配光パターンPLおよびハイビーム用配光パターンPHの拡散領域を形成して、この拡散領域に十分な明るさを確保することができる。
本実施形態においては、光源22aがバルブ中心軸Ax1方向に延びる線分光源として構成されており、また、可動反射部24Aは光源22aの略真後ろに配置されているので、バルブ中心軸Ax1と直交する方向へ向かう最も光度が高い光線束を、可動反射部24Aの後方近傍に位置する付加リフレクタ34に入射させることができ、これにより配光パターンP2を十分明るいものとすることができる。
また本実施形態においては、可動反射部24Aの上端縁と一般反射部24Bとの分離位置が、光軸Axと略同じ高さの位置に設定されているので、光軸Axよりも上方の反射領域をすべて一般反射部24Bとして確保することができ、この一般反射部24Bからの反射光により、ロービーム用配光パターンPLおよびハイビーム用配光パターンPHを、その拡散領域が十分明るい配光パターンとして形成することができる。
ところで、上記実施形態においては、付加リフレクタ34からの反射光により形成される配光パターンP2がスポット状の配光パターンであるものとして説明したが、付加リフレクタ34の反射面34aの表面形状を適宜変更することにより、これ以外の配光パターン(例えば左右方向に大きく拡散する広拡散用配光パターン等)を形成するようにすることも可能である。
また、上記実施形態においては、付加リフレクタ34が、リフレクタ24の一般反射部24Bと一体的に形成されているものとして説明したが、これと別体で形成されたものとしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、光源バルブ22がリフレクタ24に対して真横の方向から挿入されているものとして説明したが、この真横の方向に対して多少挿入角度がずれていても、その上下方向あるいは前後方向のズレが30°程度以下であれば、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態のように光源バルブ22がリフレクタ24に対して真横の方向から挿入固定された構成とする代わりに、光源バルブ22が光軸Ax上においてリフレクタ24に対して後方側から挿入固定された構成とすることも可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
図7および8は、本変形例に係る灯具ユニット120を示す、図2および3と同様の図である。
これらの図に示すように、この灯具ユニット120は、その基本的な構成は上記実施形態に係る灯具ユニット20と同様であるが、投影レンズ28の後側焦点F近傍に固定シェード146が設けられている点で、上記実施形態に係る灯具ユニット20と異なっている。
この固定シェード146は、可動シェード32の前面に近接するようにして水平方向に略円弧状に延びるとともに光軸Ax近傍において下方へ延びる略T字状のプレートで構成されており、その下端部において固定シェード30に固定支持されている。これを実現するため、可動シェード32には、固定シェード146を挿通させるための開口部32cが形成されている。また、固定シェード30には、固定シェード146を位置決めするための位置決めリブ30bが形成されている。
この固定シェード146の上端縁146aは、可動シェード32の上端縁32aと同様、左右段違いで形成されており、その高さ位置は、遮光位置にあるときの可動シェード32の上端縁32aと、遮光緩和位置にあるときの可動シェード32の上端縁32aとの間の高さ位置に設定されている。具体的には、この固定シェード146の上端縁146aは、遮光位置にあるときの可動シェード32の上端縁32aよりも0.3〜0.4mm程度下方に位置設定されている。
図7に示すように、可動反射部24Aが第1の位置にあるときには、可動シェード32は遮光位置にあるので、リフレクタ24からの反射光は、その一部が可動シェード32によって遮蔽され、その残りが投影レンズ28に入射する。このとき、固定シェード146は、可動シェード32の前面に近接しており、かつ、その上端縁146aは可動シェード32の上端縁32aよりもやや下方に位置しているので、該固定シェード146により遮蔽されるリフレクタ24からの反射光は、すべて可動シェード32によっても遮蔽されることとなる。したがって、このときには、固定シェード146は光学的な意味を特に有していない。
一方、図8に示すように、可動反射部24Aが第2の位置に移動すると、可動シェード32は遮光緩和位置に移動するが、固定シェード146は元の位置にあるので、リフレクタ24からの反射光は、その一部が固定シェード146によって遮蔽され、その残りが投影レンズ28に入射する。このとき、リフレクタ24からの反射光として、その一般反射部24Bの反射面24a2からの反射光と付加リフレクタ34の反射面34aからの反射光とが前方へ照射されるので、投影レンズ28の後側焦点面における集光度合は高いものとなる。
図9は、本変形例に係る灯具ユニット120を備えた車両用前照灯から前方へ照射される光により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
同図(a)は、可動シェード32が遮光位置にあり、可動反射部24Aが第1の位置にある状態で形成されるロービーム用配光パターンPLを示しており、同図(b)は、可動シェード32が遮光緩和位置にあり、可動反射部24Aが第2の位置にある状態で形成される中間的配光パターンPMを示している。
同図(a)に示すロービーム用配光パターンPLは、上記実施形態の場合と全く同様の配光パターンとなる。
一方、同図(b)に示す中間的配光パターンPMは、ロービーム用配光パターンPLとハイビーム用配光パターンPHとの間の中間的な配光パターンであって、ロービーム用配光パターンPLと形状は似ているが、そのカットオフラインCL3、CL4は、ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2よりも0.3〜0.4°程度上方に位置している。
これは、可動シェード32が遮光位置から遮光緩和位置に移動したことにより、可動シェード32によるリフレクタ24からの反射光に対する遮蔽は解除されるが、固定シェード146による遮蔽は依然として残っていることによるものである。また、カットオフラインCL3、CL4は、固定シェード146の上端縁146aの反転投影像として形成されるものである。
同図(b)において実線で示す配光パターンP3は、付加リフレクタ34の反射面34aからの反射光によって形成される配光パターンであり、また、2点鎖線で示す配光パターンP3´は、仮に可動反射部24Aが第2の位置に移動せずに第1の位置にあるとした場合に、該可動反射部24Aの反射面24a1からの反射光によって形成される配光パターンである。
中間的配光パターンPMは、その全体的な拡散角はロービーム用配光パターンPLと略同じであるが、そのホットゾーンHZMはロービーム用配光パターンPLのホットゾーンHZLに比してエルボ点E寄りに縮小しており、かつホットゾーンHZLに比してかなり明るいものとなっている。これは、可動反射部24Aが第2の位置に移動した状態にあり、この可動反射部24Aからの反射光の代わりに付加リフレクタ34からの反射光が前方へ照射されることによるものである。
このように中間的配光パターンPMは、ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2に対してやや上方へ変位したカットオフラインCL3、CL4を有しており、しかも、そのホットゾーンHZMはロービーム用配光パターンPLのホットゾーンHZLに対してエルボ点E寄りに縮小しておりかつ明るいものとなっているので、対向車ドライバ等に大きなグレアを与えないようにした上で、車両前方路面における遠距離領域の視認性を高めることができる。
本変形例の構成を採用した場合には、ロービーム用配光パターンPLに悪影響を及ぼすことなく、中間的配光パターンPMを高速走行用に適した配光パターンとすることができる。
また、このように上端縁にカットオフラインCL3、CL4を有する中間的配光パターンPMを、仮に可動シェード32のみで得ようとした場合には、その遮光位置および遮光緩和位置間の移動量を比較的小さい値に設定する必要があるが、この可動シェード32はリンク42を介して可動反射部24Aと連結されているので、可動反射部24Aの移動量が制約されてしまい、可動反射部24Aを第2の位置へ移動させることができなくなってしまう。その点、本変形例に係る灯具ユニット120は、その投影レンズ28の後側焦点F近傍に固定シェード146が設けられており、その上端縁146aの位置が中間的配光パターンPMのカットオフラインCL3、CL4の形成に適した位置に設定されているので、遮光緩和位置をある程度任意に設定することができ、これにより灯具設計自由度を高めることができる。
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
図10は、本変形例に係る灯具ユニット220を示す側断面図である。
同図に示すように、この灯具ユニット220は、その基本的な構成は上記実施形態の灯具ユニット20と同様であるが、リフレクタ24および付加リフレクタ34以外に、4つの付加リフレクタ262、264、266、268が設けられているとともに、該灯具ユニット220を左右方向に回動させるための支軸部材272および駆動軸受け部材274が同一鉛直線上に配置されている点で、上記実施形態の灯具ユニット20と異なっている。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。