JP2006161736A - 副室式内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】 副燃焼室における燃焼を促進でき、主燃焼室へと強力なトーチ放射を行って希薄燃焼限界を拡大することができる副室式内燃機関を提供する。
【解決手段】 副室式内燃機関は、主燃焼室63と、副燃焼室61と、プラズマジェットイグナイタ70とを備える。副燃焼室61は、主燃焼室63に隣接して設けられる。プラズマジェットイグナイタ70は、主燃焼室63から副燃焼室61に導入された混合気を、プラズマジェットの噴射によって点火させる。そして、副燃焼室61は、プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面で切ったときの断面形状が円形である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、副室式内燃機関、特に、プラズマジェット点火を用いる内燃機関に関する。
従来から、主燃焼室及びその主燃焼室に隣接して設けられる副燃焼室を備えた副室式内燃機関が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。このような副室式内燃機関では、副燃焼室内の燃焼によるトーチ点火を用いて主燃焼室にある希薄混合気を燃焼させることができ、熱効率の向上を図ることができる。
また、特許文献2に示されている副室式内燃機関では、主燃焼室とは別の燃料供給手段が副燃焼室に配備されており、主燃焼室よりも濃い混合気を副燃焼室内に形成し、副燃焼室における燃焼性を確保している。さらに、この特許文献2には、通常の点火栓の代わりにプラズマ点火栓(プラズマジェット点火装置)を用いて副燃焼室内の混合気を着火する構造が開示されている。
特開2002−81321号公報 特開昭60−45716号公報(第3頁、第5図)
上記のような副室式内燃機関においては、副燃焼室内の燃焼によって主燃焼室へのトーチ点火(火炎の噴射)を行うため、副燃焼室内の着火性の向上および燃焼期間の短縮が、主燃焼室における希薄燃焼限界の拡大にとって重要な因子となる。
しかし、特許文献1の内燃機関では、副燃焼室における燃焼を促進するような構成が示されておらず、特に希薄燃焼を行うときには副燃焼室内の燃焼期間の長期化が問題となる恐れがある。
一方、特許文献2では、副燃焼室の点火手段としてプラズマジェット点火装置を用いることが開示されているが、プラズマジェット点火装置の採用が可能であることだけが開示されており、プラズマジェット点火装置の周囲の好ましい構造については何ら開示がされていない。すなわち、特許文献2のプラズマジェット点火装置については、それが有効に機能して副燃焼室における燃焼改善の効果が十分に得られるか否かに関する開示が為されていない。
本発明の課題は、副燃焼室における燃焼を促進することができ、副燃焼室から主燃焼室へと強力なトーチ放射を行うことで主燃焼室における希薄燃焼限界を拡大することができる副室式内燃機関を提供することにある。
本発明に係る副室式内燃機関は、主燃焼室と、副燃焼室と、プラズマジェット点火装置とを備えている。副燃焼室は、主燃焼室に隣接して設けられる。プラズマジェット点火装置は、主燃焼室から副燃焼室に導入された混合気を、プラズマジェットの噴射によって点火させる。そして、副燃焼室は、プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面で切ったときの断面形状が、略円形である。
この副室式内燃機関では、主燃焼室の混合気が副燃焼室に導入され、その混合気にプラズマジェットの噴射が為されて副燃焼室における燃焼が生じる。この副燃焼室における燃焼火炎は、主燃焼室へのトーチ放射となり、主燃焼室の混合気を燃焼させる。
なお、本発明に係る副室式内燃機関において、副燃焼室は、少なくともプラズマジェットの噴射範囲において、その噴射軸線に垂直な面で切ったときの断面形状が略円形であればよい。
本発明に係る副室式内燃機関では、プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面で切ったときの副燃焼室の断面形状が、略円形である。すなわち、本副室式内燃機関の副燃焼室では、プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面において、点火源となるプラズマジェットの噴射領域から副燃焼室の壁面の各部までの距離が概ね等距離となる。したがって、この副燃焼室では、同一の断面積を持ち断面形状が異なる別構造の副燃焼室に比べて、火炎伝播距離が短くなって燃焼期間が短くなる。このため、本副室式内燃機関の副燃焼室は、同一の断面積を持ち断面形状が異なる別構造の副燃焼室に比べ、より強力なトーチ放射を主燃焼室に対して行うことができる。このように、本副室式内燃機関では、副燃焼室における燃焼が促進され、主燃焼室における希薄燃焼限界を拡大することができるようになる。
本発明の一実施形態に係る副室式の内燃機関を、図1に示す。
<内燃機関の概略構成>
副室式の内燃機関1は、主燃焼室63、吸排気機構、燃料噴射弁27、副燃焼室61、プラズマジェットイグナイタ(プラズマジェット点火装置)70、ECU(制御部)40などから構成されている。
主燃焼室63は、シリンダヘッド20,シリンダブロック10およびピストン3に囲まれた室である。ピストン3がシリンダブロック10の側壁に沿って往復運動することにより、主燃焼室63の容積が変化する。シリンダヘッド20には、主燃焼室63に新気を供給するための吸気ポート23と、主燃焼室63から既燃ガスを排気ガスとして排出するための排気ポート24とが形成されている。
また、吸排気機構として、吸気ポート23には吸気バルブ21が、排気ポート24には排気バルブ22が配備されている。クランクシャフトの回転に連動して回転する吸気用カム21a/排気用カム22aは、吸気バルブ21/排気バルブ22の上方に配置されており、吸気バルブ21/排気バルブ22を開閉させる。
燃料噴射弁27は、吸気ポート23内にガソリン燃料を噴射する弁である。燃料配管26を介して燃料噴射弁27に燃料を送り出す燃料ポンプ25は、吸気用カム軸の端部近傍に配備されており、ガソリン燃料を加圧する。
副燃焼室61は、主燃焼室63に隣接して設けられる室であり、図2に示すように、副燃焼室構成部材81および後述するプラズマジェットイグナイタ70の接地プレート73に囲まれた室である。副燃焼室61と主燃焼室63とは、連通孔62によって連通している。なお、副燃焼室61には、主燃焼室63から導入されてくる新気混合気を介してのみ燃料が供給され、内燃機関1では副燃焼室61へ直接ガソリン燃料を供給する機構が存在しない。
プラズマジェットイグナイタ70は、放電回路79によって駆動されるものである。ECU40のイグナイタ制御部42が発する信号に基づいて放電回路79から放電エネルギーがプラズマジェットイグナイタ70に供給されると、プラズマジェットイグナイタ70のオリフィス74から副燃焼室61へとプラズマジェットPJ(図2参照)の噴射が為される。ここでは、プラズマジェットPJの噴射軸線CLはシリンダ軸上にあり、プラズマジェットPJの噴射長さは数センチメートルである。
ECU40は、クランク角センサ51,水温センサ52,アクセル開度センサ53などのセンサからの信号入力を受け、ドライバーの要求するアクセル開度に相当するエンジントルクを出力できるように、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度などを調節し、主燃焼室63における燃焼状態を適切に制御するための制御装置である。ECU40は、燃料噴射弁27、燃料ポンプ25、放電回路79などに電気的に接続されており、例えば負荷演算部41で演算したエンジン負荷に応じて必要な燃料噴射量を決めて燃料噴射弁27に指令(信号)を送る。
<内燃機関の概略動作>
内燃機関1では、吸気行程において、吸気ポート23から主燃焼室63に新気混合気を導入させる。
圧縮行程においては、主燃焼室63で新気混合気が圧縮されるとともに、主燃焼室63の新気混合気の一部が、連通孔62を介して主燃焼室63から副燃焼室61へと導入される。
副燃焼室61では、所定の点火時期にプラズマジェットイグナイタ70からプラズマジェットPJが噴射され、新気混合気が燃焼を始める。副燃焼室61の燃焼ガス(火炎)は、連通孔62を介して主燃焼室63へトーチ状に放射され、主燃焼室63の新気混合気が着火して燃焼を始める。
膨張行程では、新気混合気の燃焼により発生した燃焼圧力が、ピストン3を押し下げる。
排気行程では、主燃焼室63で燃焼された既燃ガスが、排気ガスとして排気ポート24へ排出される。
<プラズマジェットイグナイタおよびプラズマジェットイグナイタの詳細構成>
図2に示すように、プラズマジェットイグナイタ70は、主として、中心電極71と、絶縁体72と、接地プレート73とから構成されている。中心電極71は、シリンダ軸(ピストン3の中心軸)の方向に長く延びる円柱状の細長い電極である。絶縁体72は、円筒形状であり、中心電極71の周囲を被っている。接地プレート73は、シリンダ軸に垂直に配置される円板であり、副燃焼室構成部材81とともに副燃焼室61を形成する。この接地プレート73は、中心電極71の先端部71aと所定の隙間をあけて、その先端部71aよりも主燃焼室63側(図2の下側)に配置されている。接地プレート73と中心電極71の先端部71aとの隙間は、その周囲が絶縁体72に被われており、小室75となっている。また、接地プレート73には、小室75と副燃焼室61とを連通させるオリフィス74が形成されている。オリフィス74は、小室75側の部分74aよりも副燃焼室61側の部分74b(図3参照)が大きくなるように形成されている円孔である。さらに、接地プレート73の外周面は、副燃焼室構成部材81の内周面(副燃焼室61の壁面)81aに接触しており、副燃焼室構成部材81に電気的に接地されている。
また、プラズマジェットイグナイタ70に放電エネルギーを供給する放電回路79は、通電時間の長短によって放電エネルギーを制御可能な回路であり、ECU40のイグナイタ制御部42からの信号に基づいてプラズマジェットイグナイタ70に加える放電エネルギーを大きくしたり小さくしたりする。プラズマジェットイグナイタ70から噴射されるプラズマジェットPJ(図2参照)の噴射長さは、放電エネルギーの大小によって変化する。
副燃焼室61は、上述のように、副燃焼室構成部材81と接地プレート73とに囲まれた空間であり、上部が略円筒形状である。少なくとも、プラズマジェットイグナイタ70から噴射されるプラズマジェットPJの噴射領域においては、図2および図3に示すように、プラズマジェットPJの噴射軸線CLに垂直な断面の形状が円形となっている。このため、図3に示すように、点火源となるプラズマジェットPJの噴射軸線CLから副燃焼室61の壁面81aの周方向各部までの距離は、ほぼ等距離となっている。これにより、同一の断面積を持つ別の副燃焼室形状と比較した場合、副燃焼室61では、火炎伝播距離が最短になり、混合気の燃焼期間が短くなる。
また、副燃焼室61のプラズマジェットPJの噴射領域先端よりも主燃焼室63側においては、副燃焼室構成部材81が中空の半球状となっており、その半球状の部分に複数の連通孔62が形成されている。これらの連通孔62により、副燃焼室61と主燃焼室63との間で新気混合気や燃焼ガスなどが行き来できるようになっている。
<放電回路からプラズマジェットイグナイタに供給する放電エネルギーの制御>
副燃焼室61における混合気の燃焼は、放電回路79からプラズマジェットイグナイタ70に加える放電エネルギーが大きくなるほど促進される。そして、放電エネルギーが大きくなって副燃焼室61における燃焼が促進されるほど、主燃焼室63に放射される火炎のトーチが強くなり、主燃焼室63における混合気の燃焼期間が原則として短くなる。ECU40は、このような特性および別の活性化学種の発生という観点から、以下のような2つの制御方針に基づいて、図6に示すような放電エネルギーの制御を行っている。
(第1の制御方針)
図4に示すように、基本的な制御方針として、高負荷のときよりも低負荷のときに放電エネルギーを大きくし、低回転のときよりも高回転のときに放電エネルギーを大きくするという方針を採る。言い換えれば、高負荷・低回転の領域から低負荷・高回転の領域に近づくにつれて放電エネルギーが大きくなるように、放電エネルギーの制御を行う。この第1の制御方針を採る理由は、以下の通りである。
まず、内燃機関1の運転状態が低負荷のときは、残留ガスの増加等により主燃焼室63の混合気が燃焼しにくい状態となる傾向があるので、副燃焼室61から主燃焼室63に放射される火炎のトーチを強くすることが望まれる。一方、高負荷のときは、主燃焼室63も比較的リッチな空燃比となるため、主燃焼室63に放射されるトーチを強くして燃焼期間を短くしすぎると、発熱量が大きいことも相まって、圧力上昇が急峻となる恐れがある。このような主燃焼室63における急峻な圧力上昇は、騒音や機関破損の原因となる。
このため、低負荷時には、放電エネルギーを大きくして主燃焼室63の燃焼期間を短くし、燃焼しにくい状態を緩和しつつ、高負荷時には、放電エネルギーを小さくして、主燃焼室63の燃焼期間が短くなりすぎるのを抑制することが好ましい。
また、内燃機関1の回転速度が速くなるほど、高い熱効率を得るために要求される燃焼期間が短くなる。一方、低回転速度のときに燃焼期間を短くしすぎると、主燃焼室63の圧力上昇が急峻となり、騒音や機関破損の原因となる。
このため、高回転のときは、放電エネルギーを大きくして燃焼期間を短くし、低回転のときは、放電エネルギーを小さくして主燃焼室63の燃焼期間が短くなりすぎるのを抑制することが好ましい。
(第2の制御方針)
活性化学種の発生促進および発生抑制という観点から、図5の最大負荷の近傍にある所定領域A1および所定空燃比以上の希薄空燃比で運転する領域(以下、希薄運転領域という。)A2において、第1の制御方針とは別の第2の制御方針を、本内燃機関1では採用している。
まず、活性化学種の発生促進の観点から、所定空燃比以上の希薄空燃比で運転する希薄運転領域(「放電エネルギー小エリア」と表示しているハッチング領域)A2においては、その希薄運転領域A2の周囲の領域よりも放電エネルギーを小さくするという制御を行う(図5および図6参照)。
また、活性化学種の発生抑制の観点から、最大負荷の近傍にある所定領域(「放電エネルギー大エリア」と表示しているハッチング領域)A1においては、局所的に放電エネルギーを大きくする制御を行う。さらに詳しく説明すると、高負荷・低回転の領域のうち所定領域A1においては、その所定領域A1を除く高負荷・低回転の領域よりも放電エネルギーを大きくする制御を行う(図5および図6参照)。
これらの第2の制御方針を採る理由は、以下の通りである。
副燃焼室61内で燃焼が進行する際に、副燃焼室61内に未燃混合気が残ると、その一部が燃焼中の火炎と混合・加熱され、着火性の高い活性化学種となる。この活性化学種が主燃焼室63に放射されると、主燃焼室63内の混合気が着火しやすい状態になる。
そして、プラズマジェットイグナイタ70では、放電エネルギーを大きくすると、プラズマジェットPJの噴射長さ(ペネトレーション)が長くなり、副室内の初期の火炎面が広がって未燃混合気が副燃焼室61内に残りにくくなり、主燃焼室63に放射される活性化学種の量が少なくなる。逆に、放電エネルギーを小さくすると、プラズマジェットPJの噴射長さが短くなり、未燃混合気が副燃焼室61内に多く残るようになり、主燃焼室63に放射される活性化学種の量が多くなる。
したがって、放電エネルギーを小さくし、このような活性化学種の発生を意図的に促進させれば、副燃焼室61内で燃焼した火炎が連通孔62からトーチ状に放射されて主燃焼室63の混合気の着火性が向上するという効果とは別に、副燃焼室61から主燃焼室63に多くの活性化学種が放射されることで主燃焼室63の着火性が向上するという効果も生まれることになる。このような活性化学種による主燃焼室63の着火性の向上という作用を、所定空燃比以上の希薄空燃比で運転する希薄運転領域A2において利用すれば、極めてリーンな空燃比とした場合でも主燃焼室63における燃焼の安定を図ることができる。
一方、放電エネルギーを大きくし、活性化学種の発生を抑制する場合には、主燃焼室63に放射される活性化学種の量が少なくなり、主燃焼室63における着火性が抑えられる。この主燃焼室63における着火性の抑制という作用を、ノッキングが生じやすい最大負荷の近傍にある所定領域A1において利用すれば、低回転で負荷が極めて高いときに生じる恐れのあるノッキングを抑制することができる。
(第1および第2の制御方針に基づく放電エネルギーの制御)
上記の基本的な制御方針である第1の制御方針および活性化学種の発生促進および発生抑制という観点に基づく第2の制御方針を合わせることで、本内燃機関1におけるプラズマジェットイグナイタ70への放電エネルギーの制御が決められる。この放電エネルギーの制御について、図6を参照して説明する。
図6では、ハッチングが濃いほど放電エネルギーが大きく、ハッチングが薄いほど放電エネルギーが小さいことを示している。ここでは、基本的には、第1の制御方針に鑑み、高負荷・低回転の領域から低負荷・高回転の領域に近づくにつれて放電エネルギーが大きくなるように、放電エネルギーの制御を行う。
但し、高負荷・低回転の領域のうち所定領域A1においては、ノッキングを抑制するために、所定領域A1を除く高負荷・低回転の領域よりも放電エネルギーを大きくする制御を行って、副燃焼室61での活性化学種の発生を抑制させる。
また、高回転の領域を除く低負荷領域にある希薄運転領域A2においては、活性化学種によって主燃焼室63の着火性を向上させて燃焼の安定化を図るため、希薄運転領域A2の周囲の領域よりも放電エネルギーを小さくする制御を行って、副燃焼室61での活性化学種の発生を促進させる。
なお、ノッキングが発生しやすく放電エネルギーを大きくする所定領域A1を設定する方法としては、実験によって放電エネルギーを小さくした状態で高回転または低負荷の状態から低回転または高負荷の状態へと運転状態を変えていき、ノッキングが発生した場合はノッキングが発生しなくなるまで放電エネルギーを大きくして、その放電エネルギーの量をその運転状態での放電エネルギーの大きさと決め、ECU40に記憶させていくという方法が採られる。希薄空燃比で放電エネルギーを小さくする希薄運転領域A2を設定する方法についても、同様に、放電エネルギーが大きい状態で空燃比をリーンにしていき、燃焼変動率の増大などで運転が不可能となれば、運転が可能になるまで放電エネルギーを小さくし、その放電エネルギーの量をその運転状態での放電エネルギーの大きさと決め、ECU40に記憶させていくという方法が採られる。
<特徴>
(1)
特許文献2(特開昭60−45716号公報)の内燃機関では、主燃焼室とは別の燃料供給手段を副燃焼室に配備し、副燃焼室内に主燃焼室よりも濃い混合気を形成することで、副燃焼室内の燃焼を改善している。
しかし、このような構成を採る場合には、副燃焼室内の混合気がリッチになるため、NOx排出の増加などの問題が生じる恐れがある。また、主燃焼室とは別の燃料供給手段を副燃焼室に配備する必要が生じる。
これに対し、本実施形態に係る内燃機関1では、副燃焼室61に直接燃料を噴射するような手段を設けず、その代わりに副燃焼室61における点火装置としてプラズマジェットイグナイタ70を採用している。これにより、副燃焼室61における着火性や燃焼の安定化を図っている。
なお、副燃焼室61の容積は、かなり主燃焼室63よりも小さい。そして、プラズマジェットイグナイタ70は、小さな副燃焼室61にある混合気だけに点火を行う点火装置であればよい。このため、プラズマジェットイグナイタ70の耐久性を適度なコストで確保することが容易となっている。
(2)
内燃機関1では、副燃焼室61のプラズマジェットPJの噴射範囲において、その噴射軸線CLに垂直な面で切ったときの副燃焼室61の断面形状を円形にしている。これにより、プラズマジェットPJの噴射軸線CLに垂直な面において、点火源となるプラズマジェットPJの噴射軸線CLから副燃焼室61の壁面81aの各部までの距離が等距離となっており、同一の断面積を持ち断面形状が異なる別構造の副燃焼室に比べて火炎伝播距離が短くなり燃焼期間が短くなっている。
このため、内燃機関1の副燃焼室61は、同一の断面積を持ち断面形状が異なる別構造の副燃焼室に比べ、より強力なトーチ噴射(トーチ放射)を主燃焼室63に対して行うことができている。これにより、内燃機関1では、副燃焼室61における燃焼が促進され、主燃焼室63における希薄燃焼限界を拡大することができるようになっている。
(3)
内燃機関1では、ECU40により、プラズマジェットイグナイタ70に供給する放電エネルギーの基本制御として、高負荷・低回転の領域から低負荷・高回転の領域に近づくにつれて放電エネルギーが大きくなるような制御を行っている。
このように、主燃焼室63が比較的リッチな空燃比となっており主燃焼室63に放射されるトーチを強くして燃焼期間を短くしすぎると圧力上昇が急峻となる恐れが高い高負荷のときに、プラズマジェットイグナイタ70への放電エネルギーを小さくして、主燃焼室63の燃焼期間が短くなりすぎるのを抑制しているため、高負荷時における主燃焼室63の急激な圧力上昇が回避され、騒音等が抑えられている。
また、残留ガスの増加等により混合気が燃焼しにくい状態となる低負荷のときに、プラズマジェットイグナイタ70への放電エネルギーを大きくして、副燃焼室61から主燃焼室63に放射される火炎を大きくして主燃焼室63の燃焼期間を短くするため、ここでは低負荷時の燃焼しにくい状態が緩和されている。
また、高い熱効率を確保するために燃焼期間の短縮化が要求される高回転のときに、プラズマジェットイグナイタ70への放電エネルギーを大きくして主燃焼室63の燃焼期間を短くしているため、高回転時における高い熱効率の確保が維持されている。
また、燃焼期間を短くしすぎると圧力上昇が急峻となる恐れが高い低回転のときに、放電エネルギーを小さくして主燃焼室63の燃焼期間が短くなりすぎるのを抑制しているため、低回転時における主燃焼室63の急激な圧力上昇が回避され、騒音等が抑えられている。
(4)
さらに、内燃機関1のECU40は、ノッキングが生じやすい最大負荷の近傍にある所定領域A1において、放電エネルギーを大きくし、副燃焼室61から主燃焼室63に放射される活性化学種の量を少なくして、主燃焼室63における着火性の向上を意図的に抑えている。これにより、低回転で負荷が極めて高いときに生じる恐れのあるノッキングが、内燃機関1では効果的に抑制されている。
(5)
さらに、内燃機関1のECU40は、所定空燃比以上の希薄空燃比で運転する希薄運転領域A2において、放電エネルギーを小さくし、副燃焼室61における活性化学種の発生を意図的に促進させている。このため、副燃焼室61から主燃焼室63に多くの活性化学種が放射されることで主燃焼室63の着火性が向上するという効果が得られている。これにより、極めてリーンな空燃比とした場合でも、主燃焼室63における燃焼の安定が図られる。
<変形例A>
図2に示す形状の副燃焼室61に代えて、図7に示す形状の副燃焼室161を採用することもできる。
副燃焼室161は、副燃焼室61と同様に、主燃焼室63に隣接して設けられる室であり、副燃焼室構成部材81およびプラズマジェットイグナイタ170のすり鉢状接地部材173に囲まれた室である。副燃焼室161と主燃焼室63とは、連通孔62によって連通する。
プラズマジェットイグナイタ170は、プラズマジェットイグナイタ70の接地プレート73の代わりにすり鉢状接地部材173を用いた点火装置である。すり鉢状接地部材173は、中心電極71の先端部71aと所定の隙間をあけて、その先端部71aよりも主燃焼室63側(図7の下側)に配置されている。このすり鉢状接地部材173と中心電極71の先端部71aとの隙間は、その周囲が絶縁体72に被われており、小室75となっている。このように中心電極71の先端部71aの先に配置されたすり鉢状接地部材173には、小室75と副燃焼室161とを連通させるオリフィス174が形成されている。オリフィス174は、小室75側よりも副燃焼室161側が大きくなるように形成されている円孔である。また、すり鉢状接地部材173は、副燃焼室構成部材81に電気的に接地されている。
そして、すり鉢状接地部材173は、図7に示すように、主燃焼室63側にいくほどプラズマジェットPJの噴射軸線CLから離れる円錐状(すり鉢状)の内面173aを有しており、噴射軸線CLから等距離にある外面の各部が副燃焼室構成部材81に接触している。
このため、すり鉢状接地部材173および副燃焼室構成部材81に囲まれる副燃焼室161の形状は、プラズマジェットイグナイタ170の近傍において、噴射軸線CLに垂直な面で切ったときの円形断面の面積が、プラズマジェットイグナイタ170のオリフィス174に近づくほど小さくなっている。すなわち、副燃焼室161は、その一部がプラズマジェットイグナイタ170のオリフィス174に向かって細くなる形状となっている。
プラズマジェットPJは一般にオリフィス174から遠ざかるほど噴射軸線CLから離れるように拡大する傾向を持つが、ここでは、上記のように、副燃焼室161の形状をプラズマジェットイグナイタ170のオリフィス174に近づくにつれて細くなる形状としている。このように、オリフィス174から離れるにつれて拡大するプラズマジェットPJの噴射形状と、副燃焼室161の壁面となるすり鉢状接地部材173の内面173aがオリフィス174から離れるにつれて噴射軸線CLから離れる形状とが、同じ傾向のものとなる。これにより、副燃焼室161では、火炎伝播距離が短くなり、副燃焼室161の燃焼期間の短縮化が図られ、強力なトーチ噴射を主燃焼室63に行うことが可能となっている。
<変形例B>
吸気ポート23内にガソリン燃料を噴射する燃料噴射弁27に代えて、主燃焼室63に直接ガソリン燃料を噴射する燃料噴射弁を採用することも可能である。すなわち、ポート噴射タイプの内燃機関ではなく、主燃焼室に直接燃料を噴射する直噴タイプの内燃機関に対して本発明を適用することもできる。
本発明に係る副室式内燃機関は、副燃焼室における燃焼を促進し、主燃焼室における希薄燃焼限界を拡大することができ、プラズマジェット点火を用いる内燃機関として有用である。
本発明の一実施形態に係る副室式内燃機関の全体概略図。 副燃焼室およびプラズマジェットイグナイタの縦断面図。 図2のIII-III断面図。 内燃機関の負荷および回転速度に基づく、プラズマジェットイグナイタに供給する放電エネルギーの大小の傾向を示す基本制御マップを示す図。 内燃機関の負荷および回転速度に基づく、希薄燃焼のための活性化学種の活用およびノッキング対策を考慮した放電エネルギーの局所制御マップを示す図。 図4のマップおよび図5のマップを重合した、内燃機関の負荷および回転速度に基づく制御マップを示す図。 変形例の副燃焼室およびプラズマジェットイグナイタの縦断面図。
符号の説明
1 内燃機関(副室式内燃機関)
40 ECU(制御部)
61 副燃焼室
63 主燃焼室
70 プラズマジェットイグナイタ(プラズマジェット点火装置)
71 中心電極
71a 中心電極の先端部
72 絶縁体
73 接地プレート(接地部材)
74 オリフィス
75 小室
81 副燃焼室構成部材
173 すり鉢状接地部材
A1 所定領域
A2 希薄運転領域
CL プラズマジェットの噴射軸線
PJ プラズマジェット

Claims (10)

  1. 主燃焼室と、
    前記主燃焼室に隣接して設けられる副燃焼室と、
    前記主燃焼室から前記副燃焼室に導入された混合気をプラズマジェットの噴射によって点火させるプラズマジェット点火装置と、
    を備え、
    前記副燃焼室は、前記プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面で切ったときの断面形状が略円形である、
    副室式内燃機関。
  2. 前記プラズマジェット点火装置への放電エネルギーの調節を行う制御部をさらに備え、
    前記制御部は、高負荷のときよりも低負荷のときに前記放電エネルギーを大きくする、
    請求項1に記載の副室式内燃機関。
  3. 前記プラズマジェット点火装置への放電エネルギーの調節を行う制御部をさらに備え、
    前記制御部は、低回転のときよりも高回転のときに前記放電エネルギーを大きくする、
    請求項1に記載の副室式内燃機関。
  4. 前記プラズマジェット点火装置への放電エネルギーの調節を行う制御部をさらに備え、
    前記制御部は、高負荷・低回転の領域から低負荷・高回転の領域に近づくにつれ前記放電エネルギーを大きくする、
    請求項1に記載の副室式内燃機関。
  5. 前記制御部は、最大負荷の近傍にある所定領域においては、局所的に前記放電エネルギーを大きくし、前記所定領域を除く領域においては、高負荷になるほど前記放電エネルギーを小さくする、
    請求項2に記載の副室式内燃機関。
  6. 前記制御部は、最大負荷の近傍にある所定領域を除く高負荷・低回転の領域においては、低負荷・高回転の領域よりも前記放電エネルギーを小さくし、高負荷・低回転の領域のうち前記所定領域においては、前記所定領域を除く高負荷・低回転の領域よりも前記放電エネルギーを大きくする、
    請求項4に記載の副室式内燃機関。
  7. 前記制御部は、所定空燃比以上の希薄空燃比で運転する希薄運転領域において、前記希薄運転領域の周囲の領域よりも前記放電エネルギーを小さくする、
    請求項2から6のいずれか1項に記載の副室式内燃機関。
  8. 前記副燃焼室は、少なくとも前記プラズマジェット点火装置の近傍において、前記プラズマジェットの噴射軸線に垂直な面で切ったときの断面面積が、前記プラズマジェット点火装置に近づくほど小さくなる、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の副室式内燃機関。
  9. 前記プラズマジェット点火装置は、
    細長い中心電極と、
    前記中心電極の周囲を被う絶縁体と、
    前記中心電極の先端部の先に、前記先端部と所定の距離をあけて配置され、前記副燃焼室を構成する部材に電気的に接地され、前記中心電極の先端部との間に形成される空間を前記副燃焼室に連通させるオリフィスが形成されている接地部材と、
    を有している、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の副室式内燃機関。
  10. 前記副燃焼室には、前記主燃焼室から前記副燃焼室に導入される混合気を介してのみ燃料が供給される、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の副室式内燃機関。
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