JP2006160994A - 接着剤組成物、金属張積層板およびフレキシブルプリント配線基板 - Google Patents

接着剤組成物、金属張積層板およびフレキシブルプリント配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐マイグレーションと柔軟性とを有する接着剤組成物およびそれを用いた金属張積層板およびフレキシブルプリント配線基板を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂と硬化剤とからなるベース樹脂100重量部に対して、架橋ゴムを5〜50重量部添加した接着剤組成物とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、接着剤組成物、これを用いた金属張積層板およびフレキシブルプリント配線基板に関するものである。
近年、電子機器の小型化に伴い、軽量で三次元的な実装が可能なフレキシブルプリント配線基板が多く用いられている。
フレキシブルプリント配線基板は、可撓性の基材に接着剤層を介して配線層が形成されたものであって、その表面には、配線層を保護する目的で絶縁性のカバーレイフィルムが接着されている。
可撓性の基材としては、たとえばポリイミドフィルムが用いられており、配線層は銅箔などの金属箔などから形成されている。
カバーレイフィルムには、可撓性を有する絶縁フィルム、例えばポリイミドフィルムが用いられている。
これらを接着する接着剤としては、エポキシ樹脂に、高分子成分と硬化剤とを添加したエポキシ樹脂組成物が用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
高分子成分は、接着剤の柔軟性(可撓性)および接着性を高めるためのもので、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴムなどが用いられている。
特公昭64−2639号公報 特開平07−235767号公報
しかしながら、上記従来技術では、高密度化のため配線層が微細化されると、配線層の金属成分が絶縁層中を移動するマイグレーションを起こし、配線間での絶縁抵抗値が低下しやすくなるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐マイグレーション性および柔軟性(可撓性)に優れた接着剤組成物、これを用いた金属張積層板、カバーレイフィルムおよびフレキシブルプリント配線基板を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る接着剤組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有するベース樹脂100重量部に、架橋ゴムを5〜50重量部添加してなることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る接着剤組成物は、請求項1において、前記架橋ゴムが、カルボキシル基変性ゴムであることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る接着剤組成物は、請求項1または2において、前記架橋ゴムの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る金属張積層板は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて、基材に金属箔を接着してなることを特徴とする。
本発明の請求項5に係るカバーレイフィルムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層を、可撓性を有するフィルム基材に積層してなることを特徴とする。
本発明の請求項6に係るフレキシブルプリント配線基板は、請求項4記載の金属張積層板に、請求項5記載のカバーレイフィルムを接着してなることを特徴とする。
本発明の接着剤組成物にあっては、ベース樹脂100重量部に対し5〜50重量部の架橋ゴムを配合することによって、柔軟性(可撓性)および絶縁性に優れた接着剤層を形成することができる。
さらには、耐マイグレーション性に優れた接着剤層を形成することができ、絶縁特性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有してなるベース樹脂に、架橋ゴムを添加したものである。
エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2以上を併用してもよい。
硬化剤としては、例えば脂肪族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2以上を併用してもよい。
この硬化剤の配合量は上記エポキシ樹脂に応じて定めることができるが、例えばエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部とすることができる。
架橋ゴムは、化学架橋剤(硫黄系架橋剤、過酸化物系架橋剤など)、電離性放射線照射(ガンマ線、電子線など)、加熱処理などにより架橋されるゴム材料であり、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM)が好適である。
架橋ゴムとしては、特に、カルボキシル基変性ゴムが好適である。
カルボキシル基変性ゴムとは、少なくとも1分子中にカルボキシル基を1個以上含有する合成ゴムであって、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムのいずれであってもよい。
ジエン系ゴムとしては、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)を挙げることができる。
XNBRは、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)に少量の(メタ)アクリル酸(エステル)単量体を共重合させたものである。XSBRは、スチレンブタジエンゴム(SBR)に少量の(メタ)アクリル酸(エステル)単量体を共重合させたものである。
非ジエン系ゴムとしては、アクリル酸エステルに、カルボキシル基を有するビニル単量体を共重合させたカルボキシル化アクリルゴム(XACM)を挙げることができる。
本発明の接着剤組成物に配合される架橋ゴムの平均粒径は、10μm以下であることが好ましい。この平均粒径をこの範囲とすることによって、ベース樹脂への分散性を向上させることができる。
特に、厚さ30μm以上の接着剤層を形成する場合には、架橋ゴムの平均粒径を10μm以下とすることによって、表面の平滑性を良好にすることができる。厚さ30μm未満の接着剤層を形成する場合には、より粒径が小さい架橋ゴムが好ましく、例えば平均粒径8μm以下のものが好ましい。
架橋ゴムは、ベース樹脂100重量部に対して5〜50重量部の割合で添加される。
架橋ゴムの添加量が少なすぎると充分な柔軟性(可撓性)を得ることができず、多すぎると電気抵抗値が低下し、充分な絶縁性を得ることができないが、架橋ゴムの添加量を上記範囲とすることによって、柔軟性(可撓性)、絶縁性がともに優れた接着剤層を形成することができる。
本発明の接着剤組成物にあっては、ベース樹脂100重量部に対し5〜50重量部の架橋ゴムを配合することによって、柔軟性(可撓性)および絶縁性に優れた接着剤層を形成することができる。
さらには、耐マイグレーション性に優れた接着剤層を形成することができ、絶縁特性を向上させることができる。
架橋ゴムを用いることによって上記効果が得られる理由については、次の推測が可能である。すなわち、ベース樹脂中にイオン性不純物を溶出させるおそれのある未架橋ゴムを用いずに、架橋ゴムを使用することにより、イオン性不純物の拡散を原因とするマイグレーションの発生が抑制される。
なお、本発明の接着剤組成物中には、必要に応じて、接着性や耐マイグレーション性などの特性を阻害しない範囲内で、硬化促進剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、難燃化剤、分散剤、粘度調節剤、レベリング剤等を適宜添加してもよい。
本発明の接着剤組成物は、例えば、上記各成分を適宜の割合で配合し、有機溶媒を添加して混練することにより調製することができる。
この有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2以上を併用してもよい。
本発明の接着剤組成物は、銅張積層板(CCL)などの金属張積層板、カバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線基板に用いられる接着剤に適用することができる。
図1は、本発明の接着剤組成物を接着剤として使用したフレキシブルプリント配線基板の一例を示す概略断面図である。
フレキシブルプリント配線基板1は、金属張積層板2とカバーレイフィルム8とを積層し一体化したものである。
金属張積層板2は、基材5上に、直接もしくは接着剤層6を介して、銅などの金属からなる配線層7が形成されたものである。
基材5は、電気絶縁性と可撓性を有する樹脂基板であって、たとえばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンからなる。
配線層7は、銅箔等の金属箔からなり、所定の回路パターンをなす。
カバーレイフィルム8は、フィルム基材4の下面に接着剤層3が形成されたものである。
フィルム基材4は、可撓性を有する樹脂材料、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどからなるもので、フィルム状に形成されている。
接着剤層3、6は、本発明の接着剤組成物により形成することができる。
以下、フレキシブルプリント配線基板1を作製する方法について説明する。
図2に示すように、金属張積層板9は、銅箔などの金属箔等からなる金属層10を、接着剤層6を介して基材5に接着してなるもの、もしくは、銅箔などの金属箔等からなる金属層10に基材5を形成してなるものである。
金属張積層板9は、次のようにして作製することができる。
本発明の接着剤組成物を有機溶剤に溶解した原料液を用意し、この原料液をコーターなどで基材5に塗布した後、原料液中の溶媒を蒸発させて接着剤層6を形成し、この接着剤層6表面に金属箔を圧着することなどによって、金属張積層板9が得られる。
原料液の溶媒としては、接着剤組成物を混練、混合する際に使用可能なものと同様の有機溶媒を用いることができる。
金属張積層板9の金属層10にエッチングを施し、所定の回路パターンをなす配線層7を形成することによって金属張積層板2が得られる。
図3に示すように、カバーレイフィルム8は、フィルム基材4に、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層3を積層してなるものである。
接着剤層3は、上記原料液をコーターなどでフィルム基材4に塗布した後、原料液中の溶媒を蒸発させることによって形成することができる。
カバーレイフィルム8を、接着剤層3が配線層7に対面するように、金属張積層板2上に配置し、これらを圧着してフレキシブルプリント配線基板1を得る。
フレキシブルプリント配線基板1にあっては、上記接着剤組成物を用いるので、優れた柔軟性(可撓性)、絶縁性、および耐マイグレーション性が得られる。
従って、電子機器の小型化を図ることができる。
図4は、接着剤層6を備えていないこと以外はフレキシブルプリント配線基板1と同様の構成とされたフレキシブルプリント配線基板11を示す。
図5は、接着剤層6を備えていないこと以外は金属張積層板9と同様の構成とされた金属張積層板12を示す。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
(接着剤の調製)
ベース樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂77wt%に4,4−ジアミノジフェニルスルフォン23wt%を添加した樹脂を用意した。
カルボキシル基変性架橋NBRとして、三洋貿易製NarpowVP−501を用意し、カルボキシル基変性未架橋NBRとして、日本ゼオン製Nipol1072を用意した。これらを表1に示した割合で配合して各接着剤組成物とした。
(可撓性の評価)
各接着剤組成物を、厚さ25μmのポリイミドフィルム上に乾燥厚が30μmとなるように塗布して、実施例1〜3および比較例1〜3の各評価用シートとした。
評価シートを各2枚ずつ用意し、これら2枚の評価シートの互いの接着剤層同士を貼り合わせて、170℃、40kg/cmで40分間プレスして一体化させた。
この一体化された評価シートを角度180°で折り曲げた後に観察し、次のように評価した。結果を表1に示す。
×:割れや白化の起きているもので、可撓性に欠けるもの。
○:変化のないもので、充分な可撓性を有するもの。
(絶縁性の評価)
各接着剤組成物を、厚さ25μmのポリイミドフィルム上に、乾燥厚が10μmとなるように塗布した後、厚さ18μmの圧延銅箔を貼り合わせて片面金属張積層板とした。
この積層板の銅箔を、線間100μm、線幅100μm(L/S=100μm/100μm)のくし型パターンに形成した。
一方、上記接着剤組成物を厚さ25μmのポリイミドフィルム上に乾燥厚が30μmとなるように塗布してカバーレイフィルムを作製した。
このカバーレイフィルムの接着剤層が上記くし型パターンに対面するように、片面金属張積層板上にカバーレイフィルムを載せて、これらを170℃、40kg/cmで40分間プレスして一体化させて、評価用配線基板とした。
この評価用配線基板に、85℃、85%RHの雰囲気下で250時間、DC50Vを印加した後、絶縁抵抗値を測定した。結果を表1に示す。絶縁抵抗値は、フレキシブルプリント配線基板として、実使用上、問題ないレベルとして、1×10Ω以上を良好な値と評価した。
(耐マイグレーション性)
上記絶縁性の評価に用いた各評価用配線基板を顕微鏡で観察し、デンドライト発生の有無を調べ、その結果を次のように評価した。
×:デンドライトが発生しており、耐マイグレーション性が低いと評価したもの。
○:デンドライトが全く発生しておらず、耐マイグレーション性が高いと評価したもの。
Figure 2006160994
以上の結果より、次のことがいえる。
(1)比較例1の結果から、架橋ゴムを使用しない場合にはデンドライトが発生しやすくなり、耐マイグレーション性が低下したことがわかる。
これに対して、架橋ゴムを添加した実施例1〜3では、デンドライトの発生がなく、耐マイグレーション性に優れた結果が得られた。
(2)比較例2の結果から、架橋ゴムの添加量が5重量部より少なくなると、耐マイグレーション性は充分であっても、可撓性が低下することがわかる。
(3)比較例3の結果から、架橋ゴム成分の配合量が50重量部を超えると、可撓性と耐マイグレーション性は良好であっても、絶縁性が低下することがわかる。これは、架橋XNBR自身の絶縁抵抗があまり高くないためであると思われる。
(4)実施例1〜3の結果から、ベース樹脂100重量部と架橋ゴム成分5〜50重量部とからなる接着剤組成物は、いずれも可撓性、絶縁性、耐マイグレーション性に優れていることがわかる。
本発明は、フレキシブルプリント配線基板などの配線基板を備えた各種電子機器に適用できる。
本発明のフレキシブルプリント配線基板の一例を示す概略断面図である。 本発明の金属張積層板の一例を示す概略断面図である。 本発明のカバーレイフィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の金属張積層板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のカバーレイフィルムの他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、11…フレキシブルプリント配線基板、2…金属張積層板、3…接着剤層、4…フィルム基材、5…基材、6…接着剤層、7…配線層、8…カバーレイフィルム、9、12…金属張積層板

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤とを含有するベース樹脂100重量部に、架橋ゴムを5〜50重量部添加してなる接着剤組成物。
  2. 前記架橋ゴムは、カルボキシル基変性ゴムであることを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 前記架橋ゴムの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の接着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて、基材に金属箔を接着してなることを特徴とする金属張積層板。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着剤層を、可撓性を有するフィルム基材に積層してなることを特徴とするカバーレイフィルム。
  6. 請求項4記載の金属張積層板に、請求項5記載のカバーレイフィルムを接着してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
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