JP2006160947A - ポリアミド複合材料の射出成形方法 - Google Patents

ポリアミド複合材料の射出成形方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006160947A
JP2006160947A JP2004356849A JP2004356849A JP2006160947A JP 2006160947 A JP2006160947 A JP 2006160947A JP 2004356849 A JP2004356849 A JP 2004356849A JP 2004356849 A JP2004356849 A JP 2004356849A JP 2006160947 A JP2006160947 A JP 2006160947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide resin
polyamide
resin composition
pellets
composite material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004356849A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4726474B2 (ja
Inventor
Koji Fujimoto
康治 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2004356849A priority Critical patent/JP4726474B2/ja
Publication of JP2006160947A publication Critical patent/JP2006160947A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4726474B2 publication Critical patent/JP4726474B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 あらかじめ押出機を用いて溶融混練する工程を経ることなく、強度や弾性率などの機械的特性に優れ、さらに靱性、耐久性、耐摩擦摩耗性、低吸水性にも優れた、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物からなる成形品を低コストで提供する。
【解決手段】 ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物(A)のペレット95〜50質量部と、ポリアミド樹脂(B)のペレット5〜50質量部との混合物からなるポリアミド複合材料(C)を射出成形する方法において、ポリアミド複合材料(C)を構成するポリアミド樹脂(B)のペレットがポリアミド樹脂組成物(A)のペレットに対して、体積比が0.2〜0.9の範囲内にあることを特徴とするポリアミド複合材料の射出成形方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、膨潤性層状珪酸塩を配合したポリアミド複合材料の射出成形方法に関するものである。
ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物は、低比重、高強度、高弾性率で耐熱性や寸法安定性に優れており(特許文献1参照)、既に様々な用途に用いられている。しかし、これまでの膨潤性層状珪酸塩を配合したポリアミド樹脂組成物は耐衝撃性が不十分であり、耐衝撃性を向上させる試みが種々提案されている。
例えば、オレフィン系共重合体からなる耐衝撃性改良材との混合物(特許文献2参照)によれば、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性を大きく向上させることができる。また、ポリアミド樹脂組成物の製造時におけるマトリクス樹脂の高分子量化(特許文献3参照)、あるいは膨潤性層状珪酸塩の陽イオン交換容量や初期粒子径の最適化(特許文献4参照)などによる耐衝撃性改良法などがある。また、耐衝撃性に限らず、さらなる強度、弾性率の向上を目的として、ポリアミド樹脂組成物に繊維状強化材や無機系充填材を加える方法もある(特許文献5)。また、ポリアミド樹脂が有する良好な成形性や材料物性を他種ポリマーの特徴と組み合わせることによりさらなる高度なポリアミド複合材料が得られることが分かっている。例えば特許文献6には、膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂とからなるポリアミド樹脂組成物とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるポリアミド複合材料が提案されており、このような複合材料は成形性と耐熱性、耐衝撃性のバランスに優れるという。
しかし、これらのポリアミド複合材料の一般的な製造方法は、膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂とからなるポリアミド樹脂組成物とその性能改良を目的とする第2の成分(ポリマー、強化材や種々の改良材)とを押出機を用いて溶融混練する方法である。しかし、このような溶融混練工程を設けることは製造工程が煩雑になり、生産コストの上昇を招いていた。
特許第2941159号 特許第2528163号 特開平11-172100号 WO98/49235号 特許第2528163号 特許第2140779号 特開平8-302062号
本発明の課題は、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物からなる成形品を、あらかじめ押出機を用いて溶融混練する工程を経ることなく、強度や弾性率などの機械的特性に優れ、さらに靱性、耐久性、耐摩擦摩耗性、低吸水性にも優れたポリアミド樹脂組成物からなる成形品を射出成形することにより提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂(B)を特定の配合比とし、かつ、ポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂(B)の各々のペレットの体積比を特定の範囲内とした混合物を用いて射出成形することにより、本発明の課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物(A)のペレット95〜50質量部と、ポリアミド樹脂(B)のペレット5〜50質量部との混合物からなるポリアミド複合材料(C)を射出成形する方法において、ポリアミド複合材料(C)を構成するポリアミド樹脂(B)のペレットがポリアミド樹脂組成物(A)のペレットに対して、体積比が0.2〜0.9の範囲内にあることを特徴とするポリアミド複合材料の射出成形方法。
本発明によれば、あらかじめ押出機を用いて溶融混練する工程を経ることなく、強度や弾性率などの機械的特性に優れ、さらに靱性、耐久性、耐摩擦摩耗性、低吸水性にも優れた、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物からなる成形品を低コストで提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物(A)とは、ポリアミド樹脂マトリックス中に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されたものである。ここで珪酸塩層とは、膨潤性層状珪酸塩を構成する基本単位であり、膨潤性層状珪酸塩の層構造を崩すこと(以下、「劈開」という)によって得られる板状の無機結晶である。本発明において、ポリアミド樹脂マトリックス中に分散した珪酸塩層は、必ずしも一枚一枚にまで剥離されている必要はない。また分子レベルで分散されるとは、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層がポリアミド樹脂マトリックス中に分散する際に、それぞれが平均1nm以上の層間距離を保ち、互いに塊を形成することなく存在している状態をいう。ここで塊とは原料である膨潤性層状珪酸塩が劈開していない状態を指す。また層間距離とは珪酸塩層の距離である。ポリアミド樹脂マトリックス中の珪酸塩層が分散状態は、例えば透過型電子顕微鏡観察を行うことにより確認することができる。
本発明において用いられる膨潤性層状珪酸塩は、珪酸塩を主成分とする負に帯電した結晶層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、後述する方法で求めた陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上であることが望ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、膨潤能が低いためにポリアミド複合材料の製造時に実質的に未劈開状態のままとなり、得られるポリアミド複合材料の性能の向上が認められない。本発明においては陽イオン交換容量の値の上限に特に制限はなく、現実に調製可能な膨潤性層状珪酸塩の中から適当なものを選べばよい。
膨潤性層状珪酸塩としては、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられるが、本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトが特に好適に用いられる。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
M((MgxLi()Si4yz
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、(、(、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦(≦0.5、0≦(≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0、である)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
一方、タルク〔Mg3Si410(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。
この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲をはずれる場合には膨潤性フッ素雲母の収率が低下する傾向にある。
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
aSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH2
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
本発明においては、膨潤性層状珪酸塩の初期粒子径について特に制限はない。ここで初期粒子径とは本発明において用いる(A)ポリアミド樹脂組成物を製造するに当たって用いる原料としての膨潤性層状珪酸塩の粒子径であり、複合材料中の珪酸塩層の大きさとは異なるものである。しかしこの粒子径もまた得られたポリアミド複合材料の物性、特に剛性や耐熱性に少なからず影響を及ぼす。従って、上記した膨潤性層状珪酸塩の混合比率を選択するに当たってはこの点も考慮するのが望ましく、必要に応じてジェットミル等で粉砕して粒子径をコントロールすることが好ましい。
ここで、膨潤性フッ素雲母系鉱物をインターカレーション法により合成する場合には、原料であるタルクの粒子径を適切に選択することにより初期粒子径を変更することができる。粉砕との併用により、より広い範囲で初期粒子径を調節することができる点で好ましい方法である。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物(A)のポリアミド樹脂マトリックス、およびポリアミド樹脂(B)におけるポリアミドとは、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれる)を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。その原料の具体例としては、アミノカルボン酸としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等がある。またラクタムとしてはε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等がある。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等がある。またジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等がある。またこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
ポリアミド樹脂の好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンテレフタルアミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6、ナイロン66が特に好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物(A)の製造方法は、基本的には、適宜選択した膨潤性層状珪酸塩の存在下、所定量のモノマーをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度240〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合法によればよい。ナイロン6を樹脂マトリックスとする場合には、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂組成物に残留しているポリアミドのモノマーを除去するために、ポリアミド樹脂組成物のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましい。この場合、好ましくは90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理を行えばよい。
このとき膨潤性層状珪酸塩の配合量は、ポリアミド樹脂を形成するモノマーに対して0.5〜20質量%とすることが好ましく、0.5〜10質量%とすることがより好ましい。この配合量が0.5質量%未満では、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層によるポリアミド樹脂マトリックスの補強効果に乏しい。一方、膨潤性層状珪酸塩の配合量が20質量%を越える場合には、オートクレーブから生成したポリアミド複合材料を払い出すことが困難となり、収率が大きく低下するため好ましくない。
また、膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂の重合に要するポリアミドモノマーの一部とを、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の分散媒中で混合させる工程を設けることが望ましい。一般的に、この工程における温度条件は室温、あるいは必要に応じて室温以上、分散媒の沸点以下で行い、ホモミキサーや超音波式分散機、高圧分散機等を用いることが望ましい。
ポリアミド樹脂組成物(A)を製造するに当たっては酸を添加してもよい。酸を添加することにより、膨潤性層状珪酸塩の劈開が促進されポリアミド樹脂マトリックス中への珪酸塩層の分散がより進行するため好ましい。
酸としては、pKa(25℃、水中での値)が0〜6または負の酸であるなら有機酸でも無機酸でもよく、具体的には安息香酸、セバシン酸、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸等が挙げられる。
酸の添加量は、使用する膨潤性層状珪酸塩の全陽イオン交換容量に対して1.0〜5.0モル量程度とすることが、膨潤性層状珪酸塩の劈開およびポリアミド樹脂マトリックスにおける重合触媒としての作用の点から好ましい。
本発明において用いられるポリアミド樹脂(B)は、バッチ式、連続式を問わず通常の溶融重合法によるものでよい。その製造方法は、所定量のモノマーをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度240〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合すればよい。ナイロン6を樹脂マトリックスとする場合には、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂に残留しているポリアミドのモノマーを除去するために、ポリアミド樹脂のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましく、この場合には90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理を行えばよい。
本発明においては、ポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂(B)をペレット同士で混合する。すなわち、本発明においては、ポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂(B)からなるポリアミド複合材料(C)は、ペレット同士の混合物を射出成形時の可塑化工程で溶融混錬され、あらかじめ押出機を用いて溶融混練する工程が省略される。
本発明においては、ポリアミド樹脂(B)のペレットがポリアミド樹脂組成物(A)のペレットと比べて体積比で0.2〜0.9の範囲内とすることが必要であり、望ましくは0.3〜0.7の範囲内とすることが好ましい。このようなペレット体積比とすることにより、得られるポリアミド複合材料からなる成形品中の珪酸塩層の均一分散性を向上させることができる。前記の体積比が0.2未満では、ポリアミド樹脂(B)のペレットが小さくなりすぎるため、例えば射出成形機のホッパー内でポリアミド樹脂組成物(A)のペレットと分離してしまい均一分散性が低下する。一方、体積比が0.9を越えても均一分散性が低下する。
また、本発明においては、ポリアミド樹脂組成物(A)のペレット95〜50質量部と、ポリアミド樹脂(B)のペレット5〜50質量部を混合することが必要である。
ポリアミド樹脂組成物(A)の比率が95質量部を越えるとポリアミド樹脂(B)による改質効果に乏しくなり、ポリアミド樹脂(B)の比率が50質量部を越えると、剛性、耐熱性などが低下する。さらに望ましい混合比率は、ポリアミド樹脂組成物(A)のペレット90〜60質量部と、ポリアミド樹脂(B)のペレット10〜40質量部である。
本発明におけるポリアミド樹脂(B)には必要に応じて、繊維状強化材、粒子状強化材、板状強化材などを配合したものを用いることができる。
このような強化材としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
また、本発明におけるポリアミド樹脂(B)には、必要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよい。
本発明においては、ポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂(B)のペレットを所定の比率に従ってタンブラー等を用いて混合したものを射出成形すればよく、装置上あるいは操作条件上の制限は特にない。
さらに、本発明におけるポリアミド複合材料には、他の熱可塑性樹脂が混合されていてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えばポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルコ゛ム、塩素化ポリエチレン等のエラストマーまたはこれらの無水マレイン酸等による変性物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリレート等が挙げられる。これらの樹脂は予めポリアミド樹脂(B)と混合されていることが望ましい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例で用いた材料および物性試験の測定方法は次の通りである。
1.材料
(1)ポリアミド樹脂組成物(P−1)
ボールミルにより平均粒子径が4.0μmとなるように粉砕したタルクに対し、平均粒子径が10μmの珪フッ化ナトリウムを全量の15質量%となるように混合した。これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて850℃で1時間反応させることにより、平均粒径4.0μmの膨潤性フッ素雲母を得た。この膨潤性フッ素雲母の組成は、Na0.60Mg2.63Si4101.77であり、後述する測定方法により得られた陽イオン交換容量は110ミリ当量/100gであった。
この膨潤性フッ素雲母400g(全陽イオン交換容量は0.44モルに相当する)と、ε-カプロラクタム1kgおよび水1kgとを混合して得た溶液中に加え、室温下、ホモミキサーを用いて1.5時間かく拌した。この膨潤性フッ素雲母分散液の全量を、予めε-カプロラクタム9kgおよび85質量%リン酸水溶液50.7g(0.44モル)中に仕込み、これらを95℃で溶融させておいた内容積30リットルのオートクレーブに投入し、撹拌しながら260℃に加熱し、圧力0.7MPaまで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出しつつ温度260℃、圧力0.7MPaを1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、窒素気流下、さらに30分間重合した。
重合が終了した時点で、上記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリアミド樹脂組成物(P−1)からなるペレットを得た。次いでこのペレットを95℃の熱水で8時間精錬した後、乾燥した。
灰分測定によるP−1中の珪酸塩層の含有量は4.2質量%であった。また後述するペレットサイズ測定の結果、平均的な寸法は直径2.4mm、長さ(高さ)1.9mmであった。
(2)ポリアミド樹脂(P−2)
ユニチカ社製「A1030BRT」を用いた。ペレットサイズの変更のために小型2軸押出機(池貝鉄工社製PCM30型)を用いて、バレル温度250℃の条件下に3種類のサイズを有するペレットを得た。得られたペレットの平均的な寸法は直径1.5mm、長さ1.8mmのもの(以下、「小径ペレット」と呼ぶ)、直径2.4mm、長さ1.9mmのもの(以下、「標準ペレット」)および直径2.8mm、長さ3.4mmのもの(以下、「大径ペレット」)となった。
2.測定方法
(1)陽イオン交換容量
日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイト(粉状)の陽イオン交換容量測定方法(JBAS-106-77)に基づいて求めた。
すなわち、浸出液容器、浸出管および受器を縦方向に連結した装置を用いて、まず初めに、層状珪酸塩をpH=7に調製した1N酢酸アンモニウム水溶液により、その層間のイオン交換性カチオンの全てをNH4 +に交換する。その後、水とエチルアルコールを用いて十分に洗浄してから、前記したNH4 +型の層状珪酸塩を10質量%の塩化カリウム水溶液中に浸し、試料中のNH4 +をK+へと交換する。引き続いて、前記したイオン交換反応に伴い浸出したNH4 +を0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定することにより、原料である膨潤性層状珪酸塩の陽イオン交換容量(ミリ当量/100g)を求めた。
(2)ポリアミド樹脂組成物の無機灰分率
ポリアミド樹脂組成物の乾燥ペレットまたはポリアミド複合材料の成形品断片を磁性ルツボに精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した後の残渣を無機灰分として、次式に従って無機灰分率を求めた。
無機灰分(質量%)={無機灰分質量(g)}/{焼却処理前の試料の全質量(g)}×100
(3)ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物のペレットサイズ
試験に用いたポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物のペレットを100粒抜き出し、その形状を円筒であると仮定して、ノギスを用いた直径および長さ(高さ)の測定から平均の体積を計算し、その値を用いてポリアミド樹脂とポリアミド樹脂組成物のペレットの体積比を計算した。
(4)ポリアミド複合材料の剛性(曲げ弾性率)
ASTM D-790に基づいて測定した。
(5)ポリアミド複合材料の耐熱性(荷重たわみ温度)
ASTM D-648に基づいて、荷重0.45MPaで測定した。
(6)ポリアミド複合材料の耐衝撃性(面衝撃強さ)
デュポン式衝撃試験機にて、図1に示すような成形品に所定の高さから重錘を落下させて衝撃強度を評価した。この際、成形品に直接衝撃力を与える部分は直径30mm、厚さ5mmの円盤とし面衝撃を加えた。耐衝撃性は所定の高さおよび重錘荷重の組み合わせからなる条件下に、−30℃の雰囲気下、成形品が破壊しない最大の付与エネルギーG(J)を計算して定量化した。
G(J)=(試験片が破壊しない最高高さ(m))×(重力加速度(m/sec2)×(重錘荷重(g))
実施例1〜3
表1に示した組成のポリアミド複合材料を用いて、東芝機械社製IS-100型成形機により種々の試験片を射出成形し、それぞれ試験に供した。
得られた成形品の各種物性を測定した結果を表1に示した。
実施例1〜3においては、耐衝撃性、剛性、耐熱性のバランスに優れたポリアミド複合材料が得られ、ポリアミド樹脂組成物の改良として十分効果があることが分かる。
比較例1〜9
表2に示した組成のポリアミド複合材料を用いて、東芝機械社製IS-100型成形機により種々の試験片を射出成形し、それぞれ試験に供した。
得られた成形品の各種物性を測定した結果を表2に示した。
比較例1、8および9はポリアミド樹脂組成物単独あるいはポリアミド樹脂単独の場合をそれぞれ示しているが、いずれも材料物性のバランスに欠ける傾向にある。一方、「標準ペレット」や「大径ペレット」を用いた場合は前記した「小径ペレット」を用いた場合に比べると、耐衝撃性の改善効果に乏しく、ポリアミド樹脂組成物の改良を目的とした本願発明の効果が発現しないといえる。
耐衝撃性評価試験に用いた試験片の形状を示す斜視図である。

Claims (1)

  1. ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分子レベルで分散されてなるポリアミド樹脂組成物(A)のペレット95〜50質量部と、ポリアミド樹脂(B)のペレット5〜50質量部との混合物からなるポリアミド複合材料(C)を射出成形する方法において、ポリアミド複合材料を構成するポリアミド樹脂(B)のペレットがポリアミド樹脂組成物(A)のペレットに対して、体積比が0.2〜0.9の範囲内にあることを特徴とするポリアミド複合材料の射出成形方法。
JP2004356849A 2004-12-09 2004-12-09 ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法 Expired - Fee Related JP4726474B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004356849A JP4726474B2 (ja) 2004-12-09 2004-12-09 ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004356849A JP4726474B2 (ja) 2004-12-09 2004-12-09 ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006160947A true JP2006160947A (ja) 2006-06-22
JP4726474B2 JP4726474B2 (ja) 2011-07-20

Family

ID=36663327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004356849A Expired - Fee Related JP4726474B2 (ja) 2004-12-09 2004-12-09 ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4726474B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011122300A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物、該ポリアミド樹脂組成物の製造方法および該ポリアミド樹脂組成物を用いてなる成形体

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09241505A (ja) * 1996-03-04 1997-09-16 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物
JPH1171517A (ja) * 1997-06-20 1999-03-16 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物、並びにこれを用いてなる成形品

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09241505A (ja) * 1996-03-04 1997-09-16 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物
JPH1171517A (ja) * 1997-06-20 1999-03-16 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物、並びにこれを用いてなる成形品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011122300A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物、該ポリアミド樹脂組成物の製造方法および該ポリアミド樹脂組成物を用いてなる成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4726474B2 (ja) 2011-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH1171517A (ja) ポリアミド樹脂組成物、並びにこれを用いてなる成形品
JP5553495B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品
WO1998049235A1 (fr) Composition de resine polyamide et procede de production de cette derniere
JP5059750B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP4884714B2 (ja) エンジンカバー用ポリアミド樹脂混合物および該混合物を用いて製造されたエンジンカバー
TW574315B (en) Polyamide resin composition for fuse element
JP5191154B2 (ja) ポリアミド成形品の製造方法およびエンジンカバー
JPH11315204A (ja) ポリアミド複合材料
JP5548349B2 (ja) ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
JPH06248176A (ja) 強化ポリアミド樹脂組成物およびその製造法
JP2009035592A (ja) ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
JP4726474B2 (ja) ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法
JP5290527B2 (ja) 船舶本体または船舶に付属する部材を構成する樹脂成形品
JP2006131832A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2007217714A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2006131831A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2009001746A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2003020400A (ja) ポリアミド複合材料およびその製造方法
JP4263929B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2002249659A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP3385096B2 (ja) 強化ポリアミド樹脂製コネクター
JP2002309079A (ja) ポリアミド複合材料およびその製造方法
JPH11172100A (ja) 強化ポリアミド樹脂
JP5319884B2 (ja) ポリアミド/ポリオレフィン系樹脂組成物
JP4030169B2 (ja) ポリアミド複合材料及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees