JP2006160879A - ポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤、ポリカーボネート組成物及びポリカーボネート組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤、ポリカーボネート組成物及びポリカーボネート組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノメートルオーダーレベルの無機微粒子の分散性に優れ、十分な重合度を有し、透明性に優れたポリカーボネート組成物に最適な、無機充填材用分散剤を提供する。
【解決手段】ポリカルボン酸とポリカーボネートとを含み、前記ポリカルボン酸のCOOH基の少なくとも一部を前記ポリカーボネートとエステル結合してグラフト化させ、ポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、力学特性に優れかつ工業的に有利なポリカーボネート樹脂組成物を製造する為に極めて有用な添加剤、並びに前記添加剤を配合することによって得られたポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、力学特性、耐熱性、成形性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、自動車、機械、電気、電子、光記録媒体、建材、雑貨など多くの分野において幅広く用いられている。
このポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェノール化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)とホスゲンとを反応させる界面重合法(ホスゲン法)、およびビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを反応させる溶融重合法(エステル交換法)が代表的な製法として知られている。
一方、有機高分子の諸物性を向上させる手法として、有機高分子の特徴である柔軟性、低密度や成形性などを保持しつつ、無機化合物の特徴である高強度、高弾性率、耐熱性、電気特性などを併せ持つ材料の開発が盛んに行われており、このような物性改良手法として、従来のガラス繊維やタルクなどによる強化樹脂に代わり、ナノメートルオーダーレベルの無機微粒子を用いた複合材料、いわゆるポリマーナノコンボジットが注目されてきている。このような複合材料の例としては、「複合材料及びその製造方法(特許第2519045号/豊田中研)」や「ポリアミド複合材料及びその製造方法(特公平7−47644/宇部興産他)」、「ポリオレフィン系複合材料およびその製造方法(特開平10−30039/昭和電工)」などが挙げられる。
上記のようなナノメートルオーダーレベルの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジットでは、いずれの場合も、微細な無機微粒子の分散性向上が物性向上の大きなポイントのひとつであり、無機微粒子の分散性を高効率、低コストで向上させるため、様々な分散方法が検討、提案されている。
このような分散方法の例のひとつとして混練法が挙げられる。前述の特公平7−47644や特開平10−30039がこれにあたり、溶融状態のポリマーとナノメートルオーダーレベルの無機微粒子を混練機などを用いて溶融混練するものである。また混練法において分散性を更に向上させる方法として、層状クレーを極性溶媒に分散しておきこれをポリマーの溶融状態で接触させる「樹脂複合材料の製造方法(特開平11−310643/豊田中研)」や、混練する際に無機微粒子とポリマーに超臨界流体を接触させる「樹脂組成物およびその製造方法(持開2000−53871/東レ)」が提案されている。
これらの方法では、無機徹粒子やポリマーの改質、混練時の溶媒や超臨界流体の添加などの工夫により、比較的低コストでありながら分散性はある程度向上するものの、未だ十分な分散性が得られているとは言い難く、物性の改良代も十分とは言い難い。また、ポリカーボネート樹脂に本方法を適用する場合、例えば極性溶媒の添加は加水分解による分子量低下(耐衝撃性などの低下)が懸念され加えて不十分な分散性は透明性の低下につながる。実際、ポリカーボネート・フルオロマイカ系ナノコンボジットの検討「Intercalated Polycarbonate/Clay Nanocomposites:Nanostructure Control and Foam Processing」(Macromol.Mater.Eng.2003,288,No.7,p.543−548/帝人化成)では、分子量低下防止成分が必須であり、透明性も十分なレベルに至っていない。
他の分散方法の例として溶剤分散法が挙げられる。「樹脂ウィンドウおよびその製法(特開平11−343349)」がこれにあたり、ポリマーを溶剤に溶解し、このポリマー溶液と溶剤に分散した無機微粒子を十分混合した後、コンボジットを析出させる手法が述べられている。しかしながら本方法では無機微粒子の一部が凝集することを避けられず、高い透明性を得るには至っていない。
他にも、有機−無機ハイブリッド高分子材料の調製方法として、有機重合体に側鎖としてアルコキシシランのような無機官能基を結合させ、その後、これを架橋させる方法などが知られている。しかし、ポリカーボネートに代表される疎水性有機重合体は一般にゾルーゲル反応に溶剤として用いられるアルコール系溶剤に不溶あるいは難溶であることや反応可能な末端官能基が少ないこと等の理由によりハイブリッド化が難しい。
特にポリカーボネートの組成物に注目した場合、分散性に優れたポリカーボネートシリカ系の組成物を合成する方法として、ポリマー末端へのアルコキシシリル基の導入技術「有機無機ハイブリッド高分子材料及びその製造方法(持開平11−209596,特開平11−255883/オリエント化学工業)」がある。この技術はテトラアルコキシシランの導入量を調節することでシリカをポリカーボネート中にナノメートルオーダーで分散できる点で画期的であるが、原料の合成が高コストである上、出来上がった材料は熱硬化性組成物であり、自由な成形が行えないという点で用途が著しく限定される。
更にポリカーボネート組成物に関する他の分散方法の例として、米国Akron大学のHuangらによる研究がある(“Synthesis of Polycarbonate−Layered Silicate Nanoconposites via Cyclic Oligomers,”Huang,X.;Lewis,S.;Brittain,W.J.;Vaia,R.A.Macromolecules2000,33,p.2000−2004)。この技術はポリカーボネートと層状化合物のコンポジットを得る際の分散性の不足を、ポリカーボネートの環状オリゴマーを用いることによって克服したもので、ポリカーボネート環状オリゴマーを層状酸化物と混練後にオリゴマーを開環重合させて高い分散性と物性を実現可能とした。しかしながら、主要原料となるポリカーボネートの環状オリゴマーを安価に製造できないことから、工業的には著しく不利である。
ポリカーボネート・ナノコンボジットの最近の技術としては、界面活性剤存在下でゾルゲル法を行うことにより得た微小シリカを表面処理してポリカーボネート中に配合した「ポリカーボネート樹脂組成物、それからなる成形体およびその製造方法(特開2004−107470/帝人)」があるが、10ミクロン程度の薄膜でのみ透明性を維持しており、1mm以上の厚みにおいては透明性が満足なレベルに達していない。
以上のように、ポリカーボネート系ナノコンボジットの製造方法については多くの検討が成されているが、未だ決定的な方法は確立されておらず、特にポリカーボネート樹脂における透明性、耐熱性、力学特性などの本来的な優れた特徴やコストを考慮しての更なる検討が必要であった。
特許第2519045号 特公平7−47644号 特開平10−30039号 特開平11−310643号 特開2000−53871号 特開平11−209596号 特開平11−255883号 特開2004−107470 Macromol.Mater.Eng.2003,288,No.7,p.543−548 Macromolecules2000,33,p.2000−2004
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、ナノメートルオーダーレベルの無機微粒子の分散性に優れ、十分な重合度を有し、工業的に有利な、透明性、力学特性、耐熱性、成形性に優れたポリカーボネート組成物に最適な、無機充填材用分散剤、および前記無機充填材用分散剤を含むポリカーボネート組成物を提供することを目的としている。
上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、ポリカーボネート中での各種無機充填材の分散性を著しく向上させる化合物の発見に至った。本発明は、無機充填材微粒子の表面に配位・キャッピングさせる基としてCOOH基を有し、かつマトリクスとしてのポリカーボネート中に安定に分散、相溶するために、同一分子中にポリカーボネート鎖を有する化合物を、新規な分散剤として用いるものである。好ましい典型的な分子構造を端的に表現すると、「ポリアクリル酸−グラフトーポリカーボネート」に相当するグラフトコポリマーである。
したがって、母材となるポリカーボネート、無機充填材及び前記無機充填材用分散剤から目的とするポリカーボネート組成物を製造するに際し、前記組成物が前記無機充填材用分散材を含むことによって、前記組成物中の前記無機充填材の凝集を防ぐことができるようになる。また、前記無機充填材は母材であるポリカーボネート中に安定に相溶する。したがって、前記無機充填材用分散材は、母材であるポリカーボネート、さらには目的とする組成物に対して何ら悪影響を与えることなく、前記無機充填材を前記ポリカーボネート中に均一分散できるようになる。この結果、構成要素である芳香族ポリカーボネートの高い数平均分子量と相伴って、目的とするポリカーボネート組成物の透明性、力学特性、耐熱性、成形性を向上できるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、ナノメートルオーダーレベルの無機微粒子の分散性に優れ、十分な重合度を有し、工業的に有利な、透明性、力学特性に優れたポリカーボネート組成物に最適な、無機充填材用分散剤、および前記無機充填材用分散剤を含むポリカーボネート組成物を提供することができる。
なお、母材としてのポリカーボネートと無機充填材とは市販のものから任意に選択可能であり、本発明のポリカーボネート組成物用分散剤のみを特別に加えるだけで、煩雑なステップを必要とせず簡便にナノコンボジットが合成できるため、目的とする本発明のポリカーボネート組成物を極めて簡易に得ることができる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
(無機充填材用分散剤)
本発明の無機充填材用分散剤は、ポリカルボン酸とポリカーボネートとを含む。そして、前記ポリカルボン酸のCOOH基の少なくとも一部が前記ポリカーボネートとエステル結合してグラフト化していることが必要である。この際、前記ポリカルボン酸に含まれる全COOH基のうち、5%以上95%以下の比率でグラフト化されていることが好ましく、15%以上85%以下の比率でグラフト化されていることがより好ましい。グラフト率が5%よりも少ないとポリカーボネート・マトリクス中での分散性が悪く、95%よりも多いと無機充填材の被覆が困難となる場合がある。
また、前記無機充填材用分散剤は、上記エステル結合に寄与しないCOOH基を含むことが好ましい。具体的には、前記分散剤、すなわち前記ポリカルボン酸及び前記ポリカーボネートで構成される分子構造体ユニットが3以上のCOOH基を有していることが好ましい。この場合、前記COOH基が前記無機充填材の表面との間に水素結合を主とする結合力を生じ、前記無機充填材の表面を安定に被覆する原動力となる。COOH基が1分子中に1個、あるいは2個しか存在しないと、熱運動や混合時のせん断力によって、前記分散剤が前記無機充填材の表面から解離してしまいやすくなるため、分散剤としての機能が発現されにくく、望ましくない。
前記無機充填材用分散剤に用いるポリカルボン酸は、任意の構造のポリカルボン酸が利用可能であり、ラジカル重合したポリマーでも良いし、3価以上のカルボン酸のCOOH基のうちの一部をエステル結合で高分子化したポリエステルでも良いし、あるいは高分子多糖類を酸化するなどして得ても良い。コスト面を考慮すると、ビニル系ポリカルボン酸が望ましい。このようなビニル系ポリカルボン酸を与えるモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらモノマーは、単独で用いても良いし、他のビニル系モノマーであるアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン、酢酸ビニルなどと同時に重合してコポリマーとしても良い。
前記無機充填材用分散剤において、ポリカルボン酸のCOOH基の一部にエステル結合してグラフト化されているグラフト鎖は比較的短いものでも構わないが、そのグラフト鎖の中に1つ以上のカーボネート結合を有することが望ましい。すなわち、少なくともポリカルボン酸と結合したビスフェノール系化合物の、エステル化していないもう一方のOH基が、カーボネート結合、すなわちO−C(=O)−O結合を介して別のもう1分子のビスフェノール系化合物に結合している構造を有していることが望ましい。一例として、ビスフェノールA型のグラフト鎖の場合、前記条件から規定される分子量は481以上となる。
また、前記無機充填材用分散剤を構成するポリカーボネートの数平均分子量は20,000以下であることが好ましく、さらには10,000以下であることが好ましく、特には6,000以下であることが好ましい。前記ポリカーボネートの数平均分子量が20,000よりも長い場合には、無機充填材に対する分散剤の効果を十分発揮させるために添加すべき前記分散剤の添加量が著しく大きくなってしまい、コスト的に好ましくない。
上述のような数平均分子量のポリカーボネートは、例えば界面重合で得られた高分子量のポリカーボネートを必要に応じてアルカリ触媒などを用いる加水分解反応、或いはフェノール類と混合して加熱、反応させることで目的の分子量まで短く切断することで得られる。この場合、M.R.Corn,M.R.GagneによるMacromolecules 1998(31)4023−4026記載の方法に準じ、末端源としてジフェニルカーボネートの代わりにビスフェノールAに代表されるフェノール類を用いることで調製できる。こうした切断反応は、理論的には切断する分子が水やビスフェノール類の場合は生じる2つの末端基は最終的に共にフェノール性OH基となり、切断する分子が1価フェノール類の場合は生じる2つの末端基のうち1つはフェノール性OH基、もう1つは前記フェノールがカーボネート結合した末端になる。また、溶融重合法においてジアリールカーボネート系モノマーに対するビスフェノール系モノマーの仕込み比率を1以上とすることによってOH末端を多めに導入して得ても良い。
前記無機充填材において、前記ポリカルボン酸と前記ポリカーボネートとをグラフト化されるに際しては、例えば、前記ポリカルボン酸及び前記ポリカーボネートを、例えば窒素雰囲気下に配置して150℃前後に加熱し、前記ポリカーボネートの末端におけるOH基と前記ポリカルボン酸のCOOH基とを反応させ、エステル結合を生ぜしめることによって行う。なお、このようなグラフト化に際して、前記ポリカーボネートの末端のOH基を予めアセチル化して活性を上げておくこともできるが、コスト的にやや不利となる。また前記COOH基をメチルエステル基(−COOCH)やエチルエステル基(−COOC)として活性化しておき、フェノール性OH基と反応させると好ましい場合がある。
(ポリカーボネート組成物)
本発明のポリカーボネート組成物は、少なくとも、母材としての数平均分子量2,000−100,000の芳香族ポリカーボネートと、所定の無機充填材と、上述した無機充填材用分散剤とを含む。
<芳香族ポリカーボネート>
上述したように、本発明のポリカーボネート組成物は、上述したように数平均分子量が2,000−100,000の芳香族ポリカーボネートを含むことが必要である。数平均分子量が2,000より小さいと前記ポリカーボネート組成物の成形物は極めて脆くなり好ましくない。また、数平均分子量が100,000を超えると溶融流動性が悪くなりがちで、良好な成形物が得にくくなりがちとなる。より好ましくは、数平均分子量が8,000〜30,000の範囲である。かかる数平均分子量は40℃のクロロホルムを溶媒とするGPCでポリスチレン換算の値として測定されるものである。
前記芳香族ポリカーボネートは、ビスフェノール系化合物とホスゲンとから界面重合法で得ても良く、ビスフェノール系化合物とジカーボネート化合物とを微量のアルカリ金属等の触媒の存在下に縮重合させて溶融重合により得ても良い。
前記ビスフェノール系化合物は、各種ビスフェノール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパンなどから任意に選ばれるが、組成物の物性、入手の容易さから、特にビスフェノールAと呼ばれる2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであることが望ましい。
前記ジカーボネート化合物は、ジアルキルカーボネート、ジシクロアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートから選ばれ、中でもジアリールカーボネートが好ましい。特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
また、前記芳香族ポリカーボネートは、その末端がフェノールであっても組成物の母材として適用した場合に十分な耐衝撃強度を有するが、p−t−ブチルフェノール、イソノニルフェノール、イソオクチルフェノール、m−またはp−クミルフェノール、クロマンのようなクロマニル化合物などの嵩密度の高い化合物に由来する末端基を導入すると、低温衝撃性がより優れた、芳香族ポリカーボネート、すなわち目的とする本発明のポリカーボネート組成物を得ることができる。
<無機充填材>
前記無機充填材は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、酸化鉄、酸化セリウム、酸化亜鉛、カーボン、金、銀からなる群より選ばれる材料から構成される少なくとも一種の無機充填材であることが好ましい。本発明においては、いずれの無機充填材を用いてもよいが、入手のし易さ、コスト、分散剤の効果の発揮し易さなどを考慮すると、シリカ、アルミナが好ましい。
前記無機充填材は、粉体状、またはゾル状のものから選ばれるが、市販のゾルタイプのものが取り扱い上望ましく、なかでもポリカーボネートとの相溶性を考慮すると、有機溶媒に分散してあるオルガノゾルが望ましい。オルガノゾルを作製するための有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。
前記無機充填材微粒子の製法は特に限定されず、気相法、ゾルゲル法、コロイド沈殿法、溶融金属噴霧酸化法などの、いずれの方法で得られたものでも構わない。
本発明における無機微粒子の形状は特に限定されず、一般的な略球状だけでなく、直方体や板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状、なども用いることができる。
また、前記無機充填材の大きさは、ポリマーナノコンボジットとして目的とする性能を発現させるため、および物性の向上代、分散のし易さ、入手の容易さ、コスト面などから、その長径が5−200nmであることが望ましい。このように無機充填材の長径を可視光波長下限である380nmよりかなり小さくすることで、前記無機充填材による可視光の散乱はほとんどなくなり、透明性を犠牲にすることなく優れた物性を有するポリカーボネート組成物を得ることができる。前記無機充填材の長径は、より好ましくは100nm以下である。一方、前記長径が5nmより小さくなると、分散が困難になり、コスト高の結果となる。
なお、前記長径とは、無機充填材の形状が略球状ならその直径、直方体や板状なら最も長い一辺を意味する。
また、前記無機充填材の、ポリカーボネート組成物中における含有量は、灰分として0.2〜60重量%の範囲であることが好ましい。前記無機充填材の含有量が0.2重量%未満では、前記ポリカーボネート組成物の機械的強度などの諸特性の向上が認められ難くなる。前記無機充填材の含有量が60重量%を超えると比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、衝撃強度の低下も無視できないものとなる。ここで灰分とはポリカーボネート組成物を空気中、600℃で120分灰化させた残渣の重量%である。一般に、ポリマーに無機微粒子を大量に配合すると衝撃強度が減少するが、本発明のポリカーボネート組成物は、上述したように、好ましくは5−200nmの長径の無機充填材が均一に分散したものとなるので、一般の組成物に比較して衝撃強度の低下は実用上小さいが、60重量%を超えるとこれが無視できなくなる。前記無機充填材の含有量はより好ましくは2〜30重量%である。
また、前記無機充填材はその表面に疎水基による処理を施してあっても良い。疎水化処理を施し、表面に疎水基を導入すれば、ポリカーボネートの両モノマーとの相溶性が増大し、前記無機充填材分散剤の使用量を少なくすることができる。前記疎水基としては、アルキル基、アリール基を例示することができる。これらは前記無機充填材の表面において、単独で存在していても良いし、複数以上が組み合わされて存在してもよい。
前記無機充填材の表面に上述した疎水基を形成するためには、所定の表面処理剤を用いて表面処理を行う。前記表面処理剤としては、例えば無機充填材としてシリカを例にすると、シラノール基との反応性に優れる、クロロ基、メトキシ基及びエトキシ基の少なくとも一つを有する有機ケイ素化合物を用いることができる。
これらの表面処理剤としては、アルキルトリクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシクロロシラン、ジアルキルアルコキシクロロシラン、トリアルキルクロロシラン、トリアルキルアルコキシシラン、アリールトリクロロシラン、アリールトリアルコキシシラン、ジアリールジクロロシラン、ジアリールジアルコキシシラン、トリアリールクロロシラン、トリアリールアルコキシシランなどを例示することができる。このなかで、入手のしやすさと反応性から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが望ましい。
(ポリカーボネート組成物の製造方法)
本発明のポリカーボネート組成物は、例えば溶媒分散法又は溶融重合法を用いて製造することができる。
溶媒分散法によってポリカーボネート組成物を得る場合、上述した芳春族ポリカーボネート、無機充填材、及び無機充填材用分散剤を所定の有機溶媒に溶解して混合溶液を作製し、その後、室温で攪拌混合した後、前記有機溶媒を除去することによって、目的とするポリカーボネート組成物を得ることができる。なお、前記有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチレンクロライド、1,4−ジオキサン、1,1,1−トリクロロエタンなどが挙げられるが、溶解性からメチレンクロライドが望ましい。
溶融重合法によってポリカーボネート組成物を得る場合、芳香族ポリカーボネートのモノマーとしてのビスフェノール系芳香族ジオール及びジアリールカーボネート、並びに上述した無機充填材及び向き充填材用分散剤を混合して反応溶液を作製し、次いで、前記反応溶液を例えば減圧下で攪拌しながら室温から280℃まで加熱し、重合反応を実行することによって、目的とするポリカーボネート組成物を得ることができる。
(成形体及び部品)
本発明のポリカーボネート組成物は樹脂単体並みの熱時成形性を維持しており、その成形に際しては、大小、曲面形状に応じて、溶融押出成形法、射出成形法、又はブロー成形法を利用することによって所望の成形品に加工することができる。また、ポリカーボネート樹脂が本来的に有する諸特性と、前記無機充填材の均一分散との相乗効果によって、前記ポリカーボネート組成物の機械的強度、耐熱性、耐衝撃性、透明性、寸法安定性を向上させることができるようになるので、前記成形品のこれらの特性をも向上させることができるようになる。
したがって、本発明のポリカーボネート組成物は、上述した特性が要求される成形品、例えば、自動車内装材として計器盤の透明カバーなどに、自動車外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などに、更には家電や住宅に用いられる透明部材・備品・家具に対して好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
合成例1.
a.グラフト鎖用低分子量ポリカーボネートの調製
a−1:高分子ポリカーボネート切断法
M.R.Corn M.R.Gagne Macromolecules 1998(31)4023−4026記載の方法に準じ、末端源としてジフェニルカーボネートの代わりにビスフェノールAを用いた。バイエル(株)製ポリカーボネート「マクロロン3100」20gをテトラヒドロフラン200gに溶解し、末端源としてビスフェノールA(関東化学製4,4’−Isopropylidenediphenol)を1.1g、触媒としてカリウムt−ブトキシド(アルドリッチ製)を20mg加え、マグネチックスターラーを用いて60℃で5時間攪拌を続けた。
その後、2Lのメタノール中に注入して生成したポリカーボネート成分を再沈殿させ、濾紙にて濾過後、100℃で10mTorr以下の減圧下12時間乾燥することで低分子量ポリカーボネート1を得た。GPC(クロロホルム溶媒、ポリスチレン換算分子量、ポンプ:昭和電工製ShodexDS−4、カラム:ウォーターズ製Ultrastyragel、検出機:昭和電工製ShodexRI−101)にて分子量を測定した結果、数平均分子量は2300であった。
合成例2.
a−2:モル比調節溶融重合法
ビスフェノールA(関東化学製)を13.7g(0.06mol)、ジフェニルカーボネート(関東化学製)を10.7g(0.05mol)、触媒として酸化亜鉛(和光純薬製)を2.5mg加え、窒素ガス雰囲気下、攪拌翼とスリーワンモーター(HEIDON社製BL300R)により攪拌しながら160℃まで加熱した。両モノマー成分の溶融を確認後230℃に昇温した。その後、温度を保持したまま30分かけて内圧30kPaまで減圧し、230℃・30kPaで1時間攪拌を続けた。続いて、30分かけて250℃・3kPaまで昇温・減圧し、この温度と減圧度で30分間攪拌した。更に280℃・10Paまで昇温・減圧し、この温度と減圧度で30分間攪拌した後、窒素ガスにより常圧に戻し、放冷することで低分子量ポリカーボネート2を得た。前記GPCにて分子量を測定した結果、数平均分子量は1100であった。
合成例3.
b.グラフトコポリマー分散剤(無機充填材用分散剤)の合成
b−1:前記a−1で合成した低分子量ポリカーボネート1を5g、ポリアクリル酸(平均重合度5000、和光鈍薬製)を5g、溶媒としてシクロペンタノン(日本ゼオン製)を50g量り取り、窒素ガス雰囲気下、攪拌翼とスリーワンモーター(HEIDON社製BL300R)により攪拌しながら140℃まで加熱した。溶媒の還流を確認し、4時間攪拌を続けた。その後、温度を保持したまま30分かけて内圧10Paまで減圧し、3時間攪拌を続け、グラフト化を完了させ、目的とするポリアクリル酸−グラフトーポリカーボネート型のグラフトコポリマー分散剤(無機充填材用分散剤)1を得た。この分散剤をピリジン中に溶解して2wt%溶液としたのち、フェノールフタレインを指示薬として0.1NのKOH溶液にて滴定した結果、原料のポリアクリル酸のCOOH基のうち、22%が置換されていた。
合成例4.
b−2:前記a−2で合成した低分子量ポリカーボネート2を5g用いて、合成例3と同様の操作をし、目的とするポリアクリル酸−グラフト−ポリカーボネート型のグラフトコポリマー分散剤(無機充填材用分散剤)1を得た。この分散剤を前記b−1同様に0.1NのKOH溶液にて滴定した結果、原料のポリアクリル酸のCOOH基のうち、37%が置換されていた。
実施例1(溶媒分散法).
三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ポリカーボネート「ノバレックス7020AD2」(数平均分子量8000)100gをメチレンクロライド300g中に溶解した後、日産化学工業(株)製「IPA−ST」(イソプロピルアルコール分散シリカゾル、粒径15nm、固形分30%)を33g、合成例3の無機充填材用分散剤1を0.5g加えて、攪拌翼とスリーワンモーター(HEIDON社製BL300R)により攪拌しながら室温で1時間混合した。その後、10Lのメタノール中に注入してコンボジット成分を再沈殿させ、加圧濾過機にて濾過後、100℃で10mTorr以下の減圧下12時間乾燥することでポリカーボネート組成物を得た。
生成物の灰分は9.5wt%であり、添加したシリカがほぼ全量コンボジット化されていることを確認できた。この組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚みに成形した板のA光の全光線透過率は88%、Haze値は4%であった(村上色彩研究所製ヘイズメーターHM−65を用いて測定)。結果を表1に示す。
実施例2(溶媒分散法).
実施例1のポリカーボネート組成物用分散剤1の代わりに合成例4の無機充填材用分散剤2を0.5g加えたほかは、実施例1と同様の操作を行った。得られた組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は89%、Haze値は3%であった。結果を表1に示す。
実施例3(溶媒分散法).
実施例1の日産化学工業(株)製「IPA・ST」の代わりに同「MEK・ST」(メチルエチルケトン分散シリカゾル、トリメチルシリル基にて数area%表面処理品、粒径15nm、固形分30%)を33g用いたほかは、実施例1と同様の操作を行った。得られた組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は88%、Haze値は3%であった。結果を表1に示す。
実施例4(溶媒分散法).
実施例1の日産化学工業(株)製「IPA・ST」の代わりにシーアイ化成(株)製「ナノテックアルミナ−アルコール分散品」(粒径31nm、固形分15%)を20g用いたほかは、実施例1と同様の操作を行った。得られた組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は83%、Haze値は7%であった。結果を表1に示す。
実施例5(溶媒分散法).
実施例1の日産化学工業(株)製「IPA−ST」の代わりにシーアイ化成(株)製「ナノテックチタニア−トルエン分散品」(粒径30nm、固形分15%)を20g用いたほかは、実施例1と同様の操作を行った。得られた組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は81%、Haze値は6%であった。結果を表1に示す。
実施例6(溶融重合法).
ビスフェノールA(関東化学製)を50.4g(221mmol)、ジフェニルカーボネート(関東化学製)を49.6g(232mmol)、シーアイ化成(株)製「ナノテックシリカーアルコール分散品」(粒径26nm、固形分15%)66g、合成例4の無機充填材用分散剤2を0.5g、触媒として酸化亜鉛(和光純薬製)を5mg加え、窒素ガス雰囲気下、攪拌翼とスリーワンモーター(HEIDON社製BL300R)により攪拌しながら160℃まで加熱した。両モノマー成分の溶融を確認した後230℃に昇温し、この温度で30分かけて内圧30kPaまで減圧し、230℃・30kPaで1時間攪拌を続けた。
続いて、30分かけて250℃・3kPaまで昇温・減圧し、この温度と減圧度で30分間攪拌した。更に280℃・10Paまで昇温・減圧し、この温度と減圧度で30分間攪拌した後、窒素ガスにより常圧に戻し、放冷した。得られたポリカーボネート組成物は淡黄色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は85%、Haze値は6%であった。結果を表1に示す。
実施例7(溶融重合法).
実施例6のシーアイ化成製「ナノテックシリカーアルコール分散品」の代わりに(株)フジミインコーポレーテッド製「COMPOL20」(水分散シリカゾル、粒径15nm、固形分40%)を10g用い、相溶性向上剤としてエチレングリコール(関東化学製)を10g加えたほかは、実施例6と同様の操作を行った。得られた組成物は無色でほぼ透明の外観を有し、2mm厚み板のA光の全光線透過率は87%、Haze値は4%であった。結果を表1に示す。
実施例8〜15(溶液重合法).
実施例6のシーアイ化成(株)製「ナノテックシリカーアルコール分散品」の代わりにそれぞれ下記の無機充填材及び添加量にて、実施例6と同様の操作を行った。それぞれの実施例における全光線透過率及びHaze値を表1に示す。
実施例8:水酸化アルミ−昭和電工(株)製「ハイジライトH42MJ」0.5g
実施例9:炭酸カルシウム−丸尾カルシウム(株)製「カルファイン500」1g
実施例l0:酸化鉄−シーアイ化成(株)製「ナノテック酸化鉄」3g
実施例ll:酸化セリウム−シーアイ化成(株)製「ナノテック酸化セリウムトルエン
分散品」30g
実施例12:酸化亜鉛−シーアイ化成(株)製「ナノテック酸化亜鉛キシレン分散品」
50g
実施例13:カーボン−フロンティアカーボン(株)製「ナノムブラック」2g
実施例14:金−田中貴金属工業(株)「金クエン酸コロイド溶液」100g
実施例15:銀−日本ペイント(株)「銀コロイドペースト」20g
比較例1(溶媒分散法).
実施例1において、無機充填材用分散剤1を用いずに、同様の操作を行ってポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物は黄褐色で曇っており、2mm厚み板のA光の全光線透過率は56%、Haze値は44%と高い値であった。結果を表1に示す。
比較例2〜5(溶媒分散法).
実施例2〜5において、無機充填材用分散剤1あるいは2を用いずに、同様の操作を行ってポリカーボネート組成物を得た。結果を表1に示す。
比較例6〜15(溶液重合法).
実施例6〜15において、無機充填材用分散剤2を用いずに、同様の操作を行ってポリカーボネート組成物を得た。結果を表1に示す。
また実施例1〜15、比較例1〜5の組成物についてASTM D−790に基づいて曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。

Figure 2006160879
表1から明らかなように、本発明に従って、芳香族ポリカーボネートに対して本発明の無機充填材用分散剤とともに所定の無機充填材を配合して得たポリカーボネート組成物は、前記無機充填材用分散剤を配合することなく、所定の無機充填材のみを配合させて得たポリカーボネート組成物に比較して、全光線透過率が高く、Haze値が低いことがわかる。すなわち、本発明のポリカーボネート組成物は高い透明性を有することが分かる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。
具体的には、熱安定性を向上させるため、イルガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノール類、スミライザーGS、GM(住友化学社製)に代表される部分アクリル化多価フェノール類、イルガフオス168(チバガイギー社製)等のホスファイト類に代表される燐化合物などの熱安定剤を適量加えてもよい。

Claims (15)

  1. ポリカルボン酸とポリカーボネートとを含み、前記ポリカルボン酸のCOOH基の少なくとも一部が前記ポリカーボネートとエステル結合してグラフト化していることを特徴とする、ポリカーボネート組成物用の無機充填材用分散剤。
  2. 前記ポリカルボン酸に含まれる全COOH基の5−95%が前記ポリカーボネートと前記エステル結合を介して前記グラフト化していることを特徴とする、請求項1に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  3. 前記ポリカルボン酸がビニル系ポリカルボン酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  4. 前記ポリカルボン酸と前記ポリカーボネートとの間に形成されるグラフト鎖が、少なくとも1以上のカーボネート結合を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  5. 前記ポリカーボネートの数平均分子量が20,000以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  6. 前記ポリカーボネートは、所定の高分子量ポリカーボネートとフェノール類を混合して加熱して得ることを特徴とする、請求項5に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  7. 前記ポリカーボネートは、溶融重合法による重合の際に、ジアリールカーボネート系モノマーに対するビスフェノール系モノマーの仕込み率を1以上とすることによって得ることを特徴とする、請求項5に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤。
  8. 数平均分子量2,000−100,000の芳香族ポリカーボネートと、
    無機充填材と、
    請求項1〜7のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物の無機充填材用分散剤と、
    を含むことを特徴とする、ポリカーボネート組成物。
  9. 前記無機充填材は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、酸化鉄、酸化セリウム、酸化亜鉛、カーボン、金、銀からなる群より選ばれる材料から構成される少なくとも一種の無機充填材であることを特徴とする、請求項8に記載のポリカーボネート組成物。
  10. 前記無機充填材の長径が5−200nmであることを特徴とする、請求項9に記載のポリカーボネート組成物。
  11. 前記無機充填材の含有量が、固形分として0.2−60重量%であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物。
  12. 前記無機充填材の表面が疎水化処理されていることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物。
  13. 前記芳香族ポリカーボネートの末端基が、p-t-ブチルフェノール、イソノニルフェノール、イソオクチルフェノール、m-又はp-クミルフェノール、及びクロマニル化合物から選ばれる少なくとも一種に由来する基であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物。
  14. 請求項8〜13のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物の製造方法であって、
    前記芳香族ポリカーボネート、前記無機充填材及び前記無機充填材用分散剤を所定の有機溶媒に溶解して混合溶液を作製する工程と、
    前記混合溶液を室温で攪拌混合した後、溶媒を除去し、前記ポリカーボネート組成物を得る工程と、
    を具えることを特徴とする、ポリカーボネート組成物の製造方法。
  15. 請求項8〜13のいずれか一に記載のポリカーボネート組成物の製造方法であって、
    ビスフェール系芳香族ジオール、ジアリールカーボネート、前記無機充填材及び前記無機充填材用分散剤を混合して反応溶液を作製する工程と、
    前記反応溶液を減圧下攪拌するとともに所定温度にまで加熱して溶融重合を行い、前記ポリカーボネート組成物を得る工程と、
    を具えることを特徴とする、ポリカーボネート組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008056826A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Canon Inc 複合材料及び分散剤の製造方法
JP2008101191A (ja) * 2006-09-22 2008-05-01 Idemitsu Kosan Co Ltd 末端に反応基を有するポリカーボネート樹脂を用いた複合材料
JP2009084544A (ja) * 2007-01-25 2009-04-23 Nissan Motor Co Ltd 樹脂組成物とその製造方法
JP2012511097A (ja) * 2008-12-08 2012-05-17 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) 厳密に1.0より大きい形状ファクターを有する無機ナノ粒子を含む透明ポリマー材料の製造方法

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