JP2006057080A - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芳香族ポリカーボネート樹脂とシリカに代表される金属酸化物の粒子を含む熱可塑性樹脂組成物であって、品質の安定した熱可塑化成形加工性を維持したまま、低線膨張係数と高透明性を兼備した熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂および金属酸化物粒子を含有し、厚さ1mmの成形品における全光線透過率が70%以上であり、30℃から80℃に昇温した場合の線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、クロロホルム可溶分の重量平均分子量が7×10〜700×10の範囲である熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、透明性と小さな線膨張係数を兼備し、例えば自動車窓材料に好適に利用することが出来る芳香族ポリカーボネート系熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐熱変形性、耐衝撃性、透明性、熱可塑化成形加工性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、自動車、機械、電気、電子、光記録媒体、建材、雑貨などの分野で広く使用されている。
ところで、芳香族ポリカーボネート樹脂は、その使用による軽量化が可能であることから、例えば自動車の窓などの部材として有望と考えられるが、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂またはその組成物は、高透明性と低線膨張係数の点で十分とはいえない。
線膨張係数を低下させる手法としては、例えば、分子量を上げて分子鎖の絡み合い効果の増強を図る手法が考えられる。重量平均分子量が7×10を超える様な超高分子量成分を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、3官能以上の多官能コモノマー(例えばトリスフェノール類)を併用して分岐ポリマーを生成させる方法(例えば特許文献1参照)や環状オリゴマーの開環重合を利用する方法(例えば非特許文献1)により製造可能である。また、市販の芳香族ポリカーボネート樹脂に上記の様な超高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂をブレンドすることにより、重量平均分子量が7×10を超える様な分子量分布を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることも可能である。しかしながら、本発明者らの検討の結果、実際は、芳香族ポリカーボネート樹脂自身の分子量分布を変化させても、その線膨張係数を低下させることは出来なかった。
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜20μmのシリカ粒子0.01〜30重量部を分散した樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。この技術によりシリカ粒子を多量に添加すれば芳香族ポリカーボネート樹脂の線膨張係数を60ppm/K以下に低下させることは可能である。しかしながら、シリカ粒子の1次粒径が仮に20nm以下程度のナノ粒子であっても、実際に分散している平均粒径を50nm以下のレベルまで小さくすることは2次凝集により困難であり、その結果、芳香族ポリカーボネート樹脂の特徴である透明性が損なわれる欠点がある。一方、シリカ粒子を含有し且つ高い透明性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(例えば厚さ1mmの成形品における全光線透過率(Tt)が70%以上程度の透明性)を得るため、シリカ粒子含有量を1重量%以下とした場合、透明性は高くなるが、線膨張係数は芳香族ポリカーボネート樹脂と殆ど同等となってしまう。
一方、機械的特性および耐水性が高い樹脂組成物として、シリカやチタニア等の金属酸化物粒子(好ましい粒径は0.001〜0.1μm)と、主骨格(重合体主鎖)に炭素原子を必須とし且つ金属酸化物粒子の表面と結合可能な官能基を分子内に有する「第1の有機重合体」(例えば高分子末端にアルコキシシリル基を有する芳香族ポリカーボネート)とを、芳香族ポリカーボネート樹脂と混合して得られる有機無機ハイブリッド材料が提案されている(特許文献3参照)。ここで、この「第1の有機重合体」はマトリクスを構成する芳香族ポリカーボネート樹脂との相溶性が良いので、金属酸化物粒子をマトリクスを構成する芳香族ポリカーボネート樹脂になじませる役割を果たすものであり、「第1の有機重合体」自体がマトリクスを構成する芳香族ポリカーボネート樹脂と反応して結合を生成するものではない。
ところで、本発明者らの検討の結果、上記の提案において実施例として記載された樹脂組成物は、高分子量成分を含有し、線膨張係数が小さいと考えられる。しかしながら、上記の提案に係る技術は、コーティング等の薄膜状態での使用を主に想定したものであり、樹脂組成物の熱可塑性の極端な低下の他、熱可塑化成形時の問題となるゲル状異物を生成するという問題がある。つまり、この有機無機ハイブリッド材料は、金属酸化物粒子が前記「第1の有機重合体」で架橋されて生成するハイブリッド巨大分子を必ず含有するものであり、これはクロロホルム等の芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒に不溶性のゲル状異物である。こうしたゲル状異物は、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱可塑化成形加工時のメヤニ(不融性異物)を発生し、また、湿熱耐久性や色相安定性を悪化させる原因とされており、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の透明性が劣り、品質の安定した熱可塑化成形加工の障害となる。
また、特定化学構造のシラン系化合物で表面処理されたシリカ粒子とポリカーボネートから成るポリカーボネート樹脂組成物が提案され(特許文献4)、更に、特定化学構造のシランカップリング剤で処理した、特定のSiとAlの存在比Si/Alを有する表面被覆された繊維状酸化アルミニウムフィラーとそれを分散したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。しかしながら、これら2つの技術により、シリカ粒子や繊維状酸化アルミニウムフィラーのポリカーボネート中での分散性は向上するが、このように予めシランカップリング剤で表面処理された無機粒子の添加はマトリクスのポリカーボネートの分子量を高分子量化させる効果はなく、樹脂組成物の線膨張係数の低減は顕著なものとはならない。
従って、芳香族ポリカーボネート樹脂自体を超高分子量化する手段、または、ここにシリカ等に代表される金属酸化物を分散する従来の技術によっては、品質の安定した熱可塑化成形加工性を維持したまま低線膨張係数と高透明性を兼備させることは出来なかった。
特開平5−271400号公報 国際公開第00/034371号パンフレット 特開2000−327930号公報 特開2004−107470号公報 特開2004−149687号公報 Marcel Dekker, Inc.社刊,Donald G. LeGrand and John T. Bendler編,「Handbook of Polycarbonate Science and Technology」,18−19頁(2000年),ISBN:0-8247-9915-1
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂とシリカや酸化アルミニウム類に代表される金属酸化物の粒子を含む熱可塑性樹脂組成物であって、品質の安定した熱可塑化成形加工性を維持したまま、低線膨張係数と高透明性を兼備した熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
芳香族ポリカーボネート樹脂の熱可塑性と高透明性を維持したまま高分子鎖の熱的可動性を抑制する手段を鋭意検討した結果、次の様な知見を得た。すなわち、アルコキシシラン類に代表される金属アルコキシド類とシリカや酸化アルミニウム類などの金属酸化物粒子と芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはその原料(例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートの混合物)とを特定の加熱条件で混合して反応させるならば、意外にも、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱可塑性を損なわず実用的な成形性を保持したままで超高分子量成分を生成させることが出来、熱可塑性と高透明性を維持しつつ低線膨張率の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることが出来る。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その第1の要旨は、芳香族ポリカーボネート樹脂および金属酸化物粒子を含有し、厚さ1mmの成形品における全光線透過率が70%以上であり、30℃から80℃に昇温した場合の線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、クロロホルム可溶分の重量平均分子量が7×10〜700×10の範囲であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、少なくとも、芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはその原料、金属アルコキシド類および金属酸化物粒子を150〜350℃の温度条件で混合することを特徴とする上記の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に存する。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた透明性(Tt)と優れた熱可塑成形性を保持しながら、線膨張係数を顕著に低下させることが出来る。
先ず、説明の便宜上、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の製造方法においては、必須成分として、芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはその原料、金属アルコキシド類および金属酸化物粒子を使用する。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族環とカーボネート構造を有する重合体であり、一般に、1種以上のビスフェノール類と、ビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類または二酸化炭素との反応により製造される重合体である。この際、共重合成分として3価以上の多価フェノール類を併用してもよい。
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、公知の方法に準じて(a)ビスフェノール類のアルカリ金属塩とホスゲン等の求核攻撃に活性な炭酸エステル誘導体とを原料とし且つ生成ポリマーを溶解する有機溶剤とアルカリ水との界面にて重縮合反応させる界面重合法(通常、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の末端基の大部分は1価フェノールの末端停止剤で封鎖されている)、(b)ビスフェノール類とホスゲン等の求核攻撃に活性な炭酸エステル誘導体とを原料とし且つピリジン等の有機塩基中で重縮合反応させるピリジン法、(c)ビスフェノール類とビスアルキルカーボネートやビスアリールカーボネート等の炭酸エステルとを原料とし且つ溶融重縮合させる方法などで得ることが出来る。芳香族ポリカーボネート樹脂は複数種を併用してもよい。
なお、上記において、アルカリ金属塩を形成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、好ましくは、リチウム、ナトリウム又はカリウムであり、更に好ましくはナトリウム又はカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。炭酸エステル誘導体としては、ホスゲンやカルボジイミダゾール等の活性の高い遊離基を結合したカルポニル化合物が挙げられるが、中でもホスゲンが好ましい。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類が挙げられ、好ましくはジフェニルカーボネート又はビス(4−メチルフェニル)カーボネートであり、最も好ましくはジフェニルカーボネートである。
上記のビスフェノール類の具体例としては、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわちビスフェノールA)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−isoプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−secブチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’ージヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’ージヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’ージヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタレイン等が例示される。特に、ビスフェノールAを原料とする芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、特に制限されないが、40℃のクロロホルムを溶媒とするGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量として、通常2,000〜100,000であり、その下限は、好ましくは5,000、更に好ましくは8,000であり、その上限は、好ましくは80,000、更に好ましくは70,000である。重量平均分子量が余りに小さい場合は、線膨張係数の低下効果が不十分となり、余りに大きい場合は、溶融流動性や透明性が低下する場合がある。
本発明の製造方法においては、エポキシ基を分子構造中に有する芳香族ポリカーボネート(エポキシ含有PCと略記する場合がある)を併用することが出来る。エポキシ含有PCの併用は線膨張係数の点で好ましい場合がある。
上記のエポキシ含有PCとしては、例えば、エポキシ末端芳香族ポリカーボネート(特開平1−215824号公報参照)、エポキシ基を分子構造中に有するビスフェノール類を共重合し且つエポキシ基が側鎖として分子鎖中に存在する芳香族ポリカーボネート(特開平10−212346号公報参照)等が使用でき、これらは、通常界面重合法またはピリジン法で製造される。
上記のエポキシ含有PCが果たす役割は定かでないが、金属アルコキシド類や金属酸化物粒子が含有する水酸基OHとエポキシ基とが水素結合形成反応やエポキシ基の開環反応を起こして結合する機構、エポキシ基が芳香族ポリカーボネート分子やビスフェノール類と反応する機構などの複合効果により、超高分子量成分の生成に関与し、芳香族ポリカーボネート樹脂マトリクスの可動性を変化させて線膨張係数を低下させるものと推定される。
なお、エポキシ基を分子構造中に有するビスフェノール類は、例えば特開平10−212346号公報にある様に、フェノール性水酸基の保護基(t−ブチルオキシカルボニル基等)を利用し、エピクロロヒドリンによるグリシジルエーテル化反応をトリスフェノール類に適用し、モノグリシジルエーテル化(つまりグリシジルエーテル基を分子構造中に有するビスフェノール類を得る反応)を行う方法などにより調製することが出来る。
エポキシ含有PCの分子量は、前記GPCにおける重量平均分子量として、通常2,000〜80,000であり、線膨張係数や機械的強度の観点から、その下限は、好ましくは5,000、更に好ましくは8,000、溶融流動性の観点から、その上限は、好ましくは70,000、更に好ましくは60,000である。エポキシ含有PCが有するエポキシ基の量は、繰返し単位と末端基を加えた総モル数に対するモル比として、通常0.1〜80モル%であり、線膨張係数の観点から、その下限値は、好ましくは1モル%、更に好ましくは3モル%であり、熱可塑成形性や機械的強度の観点から、その上限値は、好ましくは70モル%、更に好ましくは60モル%である。
本発明で使用する金属アルコキシド類とは、M−OR基(但し、Rはアルキル基または水素原子を、Mは金属酸化物を構成する金属原子を表す)を分子構造中に有する化合物である。ここでいう金属原子としては、例えば、珪素、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、スズ等の4価金属原子、アルミニウム、ホウ素などの3価金属原子が挙げられる。これらの中では、珪素、チタン、アルミニウムが好ましく、珪素が特に好ましい。
金属原子が珪素の場合の金属アルコキシド類の具体例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類、前記アルコキシシラン類のオリゴマー(例えば三菱化学(株)製「MKCシリケート」(登録商標)シリーズの「MS−51」等のテトラメトキシシランの数量体)が挙げられる。これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、テトラメトキシシランの数量体が好ましい。
本発明で使用する金属酸化物とは、原子番号が13、14、21〜32、38〜51、57〜83、89〜94の何れかに該当する元素の酸化物である。これらの中では、酸化珪素(シリカ)及び酸化アルミニウム類(α−アルミナ、γ−アルミナ、ベーマイト、ダイアスポア、バイアライト、非晶性アルミナ等)が好ましく、シリカ又はベーマイトが特に好ましい。金属酸化物は、複数種の金属元素を含有する混合金属酸化物でもよく、更に、結晶性または非晶性の何れでもよい。また、金属酸化物の粒子はコア−シェル状、海島構造など、異種の金属酸化物が分相した構造であってもよい。金属酸化物のTEM観察像の画像解析による平均1次粒径は、通常1〜100nmであり、その下限は、好ましく3nm、更に好ましく4nm、その上限は、好ましく70nm、更に好ましくは50nmである。ここで平均1次粒径は、数平均1次粒径を表す。平均1次粒径は、金属酸化物粒子が繊維状や薄片状の場合、粒子の短径を意味し、例えば繊維状の場合は、その断面の直径を、薄片状であればその厚さをそれぞれ表す。
本発明の製造方法においては、芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはその原料、金属アルコキシド類および金属酸化物粒子を所定の温度条件で混合する。ここで、芳香族ポリカーボネート樹脂の原料(共重合成分を含む)とは、ビスフェノール類、3価以上の多価フェノール類、ジフェニルカーボネート等のビスアリールカーボネート類、平均重合度が10量体未満のポリカーボネートオリゴマー等である。
エポキシ含有PCの使用量は、原料として使用する全ての芳香族ポリカーボネート樹脂の繰返し単位の総モル数および原料として加えた全ビスフェノール類(芳香族ポリカーボネート樹脂の原料の一部)の総モル数の総和(すなわち、エポキシ基不含有分)に対するエポキシ基のモル数の比として、通常0.01〜30モル%であり、線膨張係数の観点から、その下限値は、好ましくは0.1モル%、更に好ましくは0.3モル%であり、熱可塑成形性や機械的強度の観点から、その上限値は、好ましくは20モル%、更に好ましくは10モル%である。
金属アルコキシド類の使用量は、使用する金属酸化物粒子に対し、通常0.01〜50重量%であり、溶融流動性の観点から、その上限値は、好ましくは40重量%、更に好ましくは30重量%であり、透明性と線膨張係数の観点から、その下限値は、好ましくは0.1重量%、更に好ましくは0.5重量%である。
金属酸化物粒子の使用量は、得られる熱可塑性樹脂組成物における含有量として、通常0.1〜70重量%であり、溶融流動性と透明性の観点から、その上限値は、好ましくは60重量%、更に好ましくは50重量%であり、線膨張係数の観点から、その下限値は、好ましくは0.5重量%、更に好ましくは1重量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、灰分量が通常0.1〜75重量%である。この灰分量は、与えられた熱可塑性樹脂組成物を市販の熱重量分析装置(TG−DTA、例えばセイコーインスツルメント社製「TG−DTA320」)を使用し、空気中、室温から600℃に10℃/分で昇温し、2時間保持した熱減量から測定する。この灰分量の上限値は、溶融流動性と透明性の点で、好ましくは65重量%、更に好ましくは55重量%であり、下限値は、熱膨張係数の点で、好ましくは0.5重量%、更に好ましくは1重量%である。
混合は、通常、加熱式反応器と攪拌翼を備えた通常の溶融重合反応器の他、二軸混練押出機、短軸押出機などの連続溶融混合機、ブラベンダー、ラボプラストミル等の回分溶融混合機などで行う。
混合温度は、150〜350℃であり、下限値は、好ましくは180℃、更に好ましくは200℃、上限値は、好ましくは330℃、更に好ましくは320℃である。混合温度が150℃に満たない場合は反応効率が極端に悪化し、350℃を超える場合は熱分解や酸化劣化などの好ましくない副反応が顕著となる場合がある。なお、加熱混合の際、揮発性分(例えばビスフェノール類とジフェニルカーボネートの溶融重合で生成するフェノール等)を除去して反応を進めるために、減圧機構を装置に設置してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料としてビスフェノールA(以下BPAと略記する場合がある)とジフェニルカーボネート(以下DPCと略記する場合がある)を使用し、これらと金属アルコキシド類と金属酸化物粒子とを混合し溶融重合を行う場合、(1)BPAとDPCの混合物(固体)に金属アルコキシド類と金属酸化物粒子を混合した後に加熱してDPCを融解させ全体を均質液体とする方法、(2)DPCと金属アルコキシド類と金属酸化物粒子を混合して融液とした後にBPAを加える方法、(3)BPAと金属アルコキシド類と金属酸化物粒子を混合して融液とした後にDPCを加える方法などが挙げられる。
そして、溶融重合法において金属アルコキシド類と金属酸化物粒子を混合する場合は、通常、加熱および減圧が可能な攪拌翼付きの回分式反応器を使用し、通常、温度は室温から最大350℃まで上昇させ、この昇温過程で減圧を行って重縮合反応を進行させる。この溶融重合法の昇温の上限は、熱分解や酸化劣化などの好ましくない副反応を抑制するため、好ましくは330℃、更に好ましくは320℃である。減圧度は、到達最大真空度として通常0.01〜100kPaであり、重合度を上げる目的では到達最大真空度は可及的に小さいことが好ましい。しかし、反応器からの抜き出しや移送が困難という問題を生じる場合があるため、比較的小さな溶融粘度の段階でプレポリマーとして抜き出し、次いで、当該プレポリマーの重合度を更に上げるため、メガネ翼や格子翼などの高粘度での混合効率に優れる攪拌機構を有する後重合装置で加熱減圧する後重合工程を行うことが好ましい場合もある。
通常の回分式反応器で製造するプレポリマーの最大溶融粘度は、温度280℃、剪断速度10/秒において、通常1,000〜20,000ポイズであり、その下限は、好ましくは2,000ポイズ、更に好ましくは3,000ポイズであり、その上限は、好ましくは15,000ポイズ、更に好ましくは10,000ポイズである。プレポリマーの最大溶融粘度が余りに低い場合は後重合工程での重合度上昇に支障を来し、余りに高い場合は抜き出しや移送に支障を来す場合がある。また、後重合工程にプレポリマーを使用するには、ストランドやチップ(ペレット)として一度単離してもよく、または、プレポリマー製造装置を後重合装置に直結し単離することなく回分もしくは連続式で移送してもよい。
溶融重合法において、芳香族ポリカーボネート樹脂の原料と金属アルコキシド類を混合する場合、必要に応じ、別途調製した芳香族ポリカーボネート樹脂をペレット等の状態で混合してもよい。
なお、エポキシ含有PCを使用する場合、エポキシ基を分子構造中に有さない芳香族ポリカーボネート樹脂またはその組成物中にエポキシ基を分子構造中に有する芳香族ポリカーボネートを混合するのが好ましいが、芳香族ポリカーボネート樹脂原料、金属アルコキシド及び金属酸化物粒子を混合する段階など、任意の段階で混合してもよい。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば前述の方法で得られが、任意の段階(例えば重合段階、押出機によるペレット化段階等)で添加された金属アルコキシド類は、芳香族ポリカーボネート樹脂と結合し、熱可塑性樹脂組成物中において超高分子量成分を形成する。そして、次の(1)〜(3)の様な物性を備えている。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、通常、芳香族ポリカーボネート樹脂が連続相を形成している。
(1)厚さ1mmの成形品における全光線透過率が70%以上である。ここでいう全光線透過率は、JISのK−7361及びK−7136号規格の「A光」で測定される値であり、当業者が常用する市販の濁度計(例えばスガ試験機(株)製タッチパネル式ヘーズコンピューターHZ−2)でTtとして測定される数値である。全光線透過率とは、平行光線透過率(Tp:散乱されずに透過する光線の割合)と散乱光線透過率(Td)の和の百分率であるので、全光線透過率が大きいほど透明性は高い。従って、本発明において、全光線透過率は、好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。この測定に使用する厚さ1mmの成形品の成形方法は、特に制限されないが、通常、射出成形、押出成形または熱プレス成形が採用される。
(2)30℃から80℃に昇温した場合の線膨張係数が30〜60ppm/Kである。線膨張係数は、本発明の目的から可及的に小さいことが好ましいので、その上限は好ましくは50ppm/Kである。一方、下限は、透明性の観点から、好ましくは35ppm/K、更に好ましくは40ppm/Kである。なお、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂の線膨張係数は70ppm/K程度である。線膨張係数の測定は、与えられた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を円筒形成形体(底面の直径5mm、高さが10mm)に成形し、昇温速度を5℃/分とした熱機械分析(TMA)又はディラトメータ測定により行う。
(3)クロロホルム可溶分の重量平均分子量が7×10〜700×10の範囲である。斯かる超高分子量成分は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により次の手順で決定される。
先ず、与えられた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物をクロロホルムに溶解する。次に、このクロロホルム溶液を0.5μm以下のテフロン(登録商標)性メンブレンフィルターで濾過してクロロホルム可溶分の溶液とする。このフィルター済みの溶液を試料とし、40℃のクロロホルムを溶媒とするGPC測定を行い、単分散分子量を有するポリスチレンを標準とした重量平均分子量を求める。
クロロホルム可溶分の重量平均分子量が7×10〜700×10の範囲であることは、本発明の熱可塑性樹脂組成物の線膨張係数と溶融流動性に影響を与える。斯かる超高分子量成分の存在効果の発現機構は定かでないが、芳香族ポリカーボネート樹脂マトリクスの可動性を変化させて線膨張係数を低下させるものと推定される。クロロホルム可溶分の重量平均分子量が小さすぎる場合は線膨張係数の低下が不十分となり、大きすぎる場合は溶融流動性が極端に悪化する。クロロホルム可溶分の重量平均分子量の下限は、好ましくは10×10、更に好ましくは15×10であり、上限は、好ましくは500×10、更に好ましくは300×10である。
なお、前記(1)〜(3)のそれぞれの物性とするための方法は、金属酸化物粒子の含有量、その平均一次粒径、金属アルコキシド類の使用量、超高分子量成分の分子量などが相互に関係するため、一概には言えないが、前記(1)の全光線透過率とするためには金属酸化物の含有量と平均一次粒径を前記の範囲でコントロールすることにより、前記(2)の熱膨張係数とするためには金属酸化物の含有量と平均一次粒径を前記の範囲でコントロールし、また、超高分子量成分のコントロールにより、前記(3)の重量平均分子量は金属アルコキシド類の使用量や必要に応じて使用されるエポキシ含有PCの使用量を前記の範囲でコントロールすることにより得られる傾向がある。中でも好ましくは、それぞれ前記において好ましいとして記載した数値を選択することにより、前記(1)〜(3)の物性を満足する本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、上記のクロロホルム可溶分が金属原子を含有することが好ましい。これは、前記金属アルコキシド類と芳香族ポリカーボネート樹脂との結合により、線膨張係数の低減と溶融流動性の確保の観点から一層有効な超高分子量成分を生成するためであると推定される。クロロホルム可溶分(固形分)中の金属原子含有量は、通常0.01〜30重量%であり、その上限は、好ましくは20重量%、更に好ましくは25重量%であり、その下限は、好ましくは0.1重量%、更に好ましくは1重量%である。クロロホルム可溶分(固形分)中の金属原子含有量が余りに少ない場合は線膨張係数の低下が不十分となる場合があり、余りに多い場合は樹脂組成物の透明性が低下する場合がある。ここで好ましい金属原子は珪素原子である。
また、熱可塑性樹脂組成物中に分散した金属酸化物の形態は、好ましくは透過型電子顕微鏡(TEM)観察で芳香族ポリカーボネート樹脂マトリクスと区別される数平均分散粒径が1〜100nmであるものである。この分散粒径の上限値は、樹脂組成物の透明性の観点から、好ましくは70nm、更に好ましくは50nmであり、その下限値は、樹脂組成物の線膨張係数と熱可塑成形に好適な溶融流動性の観点から、好ましくは3nm、更に好ましくは4nmである。
以下に本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。以下において採用した物性の測定方法は次の通りであり、測定結果は表1にまとめた。なお、以下の記載において、芳香族ポリカーボネートをPCと略記することがある。
(1)全光線透過率(表1では「Tt」と記載):
厚さ1mmの熱プレス成形による平板をスガ試験機社製タッチパネル式ヘーズコンピューターHZ−2により測定し、「C光」での実測値から算出される「A光」の値を採用した。
(2)線膨張係数:
円筒状成形体(底面の直径5mm、長さ10mm)とした実施例および比較例の各材料をディラトメータ(ブルカーエイエックスエス(旧マックサイエンス)社製「TD5000」)を使用し、窒素雰囲気下で昇温速度5℃/分で測定した30℃から80℃までの長さ方向の寸法変化から決定した。
(3)クロロホルム可溶分の重量平均分子量(表1では「可溶分Mw」と記載):
0.5μmメンブレンフィルターでクロロホルム溶液を濾過して試料(濾液)調製し、40℃の試薬特級クロロホルムを溶媒とするGPC(装置:東ソー社製「ビルトアップシステムSECシステム」、カラム:「TSKgel GMHhr−M」(30cm×2)、流速1.0mL/分)にてポリスチレン換算の値として測定した。
(4)灰分量:
セイコーインスツルメンツ社製「TG−DTA320」により、白金パンを使用し、空気中、室温(約23℃)から600℃に10℃/分で昇温し2時間保持した熱減量から測定した。
(5)熱可塑成形性:
ISO規格1133による溶融粘度の指標であるMVR(Melt volume flow rate;300℃、1.2kg荷重)が3.5cc/10分以上であれば合格、それ未満であれば不合格とした。
合成例1(エポキシ末端PC樹脂):
特開平1−215824号公報に記載の方法を使用した。すなわち、ビスフェノールAのエピクロルヒドリン溶液を加熱還流しながら濃水酸化ナトリウム水溶液をフェノール性水酸基に対して1当量滴下することによりビスフェノールAモノグリシジルエーテルを合成し、これを末端停止剤として使用し、公知の界面重合法(原料として使用するPCオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析値は、クロロホルメート基濃度:0.5モル/L、水酸基濃度:0.06モル/L、固形分濃度:22重量%)により、20℃の塩化メチレン中で測定される粘度平均分子量Mvが約2×10であるエポキシ末端PC樹脂を得た。
合成例2(両末端トリエトキシシリル化PC樹脂):
前述の特許文献3に記載の方法に準じ、以下の合成操作を行なった。すなわち、数平均分子量4,000(前述のクロロホルムを展開溶媒とするGPCによる測定値)、水酸基当量1.8のビスフェノールAポリカーボネートジオール70gをクロロホルム500mLに溶解し、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン13gを添加し、還流下で10時間加熱した後、室温に冷却した。こうして得られた反応液をメタノール7L中に滴下し、生成物を沈殿させた。得られた沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した。生成物が両末端トリエトキシシリル化PC樹脂であることは、プロトンNMRにより確認した。エトキシシリル基当量は1.8、数平均分子量は4,600であった。
合成例3(ベーマイト粒子):
機械的攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M濃度、40mL)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ攪拌しながら水酸化ナトリウム(5.1M濃度、40mL、25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後、更に10分間攪拌を続け、攪拌終了後、液のpHがほぼ中性(約7.1)であることを確認した。液を、テフロンライナーを備えたオートクレーブに移し替えて密栓し、オーブン中で120℃、24時間熟成した(第1の熱処理)。次いで、前記オートクレーブごとオイルバス中に設置し180℃で30分間急加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理後、前記オートクレーブごと流水中に入れて急速冷却して約10℃とした(第3の熱処理)。第3の熱処理後、前記オートクレーブごと再びオーブン中に移し150℃で1日加熱した(第4の熱処理)。その後、流水でオートクレーブを冷やし、内容物を遠心分離(30000rpm、30分)して上澄み液を除去し、純水を加えては遠心分離と上澄み液除去を繰り返す水洗を3回、純水の代わりに水/メタノール(0.5/9.5体積比)混合液を用いた同様洗浄を1回行った。得られたベーマイト(X線回折で結晶構造を確認)は凍結乾燥して粉状にした。
実施例4(ベーマイトとシリケートオリゴマーを併用して得たPC樹脂組成物):
実施例2において、コロイダルシリカのイソプロピルアルコール分散液の代わりに、合成例3で得たベーマイト(短径の数平均1次粒径は6nm)に対して8重量%のp−トルエンスルホン酸を分散剤として使用したテトラヒドロフラン分散液(ベーマイト15gを含有する量)を用いた他は、実施例2と同様の操作を行い、透明性の高い熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
実施例1(コロイダルシリカとフェニルトリメトキシシランを併用して得たPC樹脂組成物):
重合用ガラス管に、ビスフェノールA100g(0.44モル)、ジフェニルカーボネート101g(0.47モル)、触媒として0.1重量%炭酸セシウム水溶液0.07mL、平均1次粒径が約20nmであるコロイダルシリカのイソプロピルアルコール分散液(シリカ重量6gを含有する量)、フェニルトリメトキシシラン1gを仕込んだ。
反応系雰囲気を窒素ガスで置換した後、イカリ型攪拌翼をスリーワンモーター(HEIDON社製「BL300R」)で攪拌しながら大気圧下オイルバスで加熱し160℃で保持して原料を溶融させた。溶融後、更に、大気圧下230℃まで昇温させ60分攪拌し、その後、30分間で大気圧(100kPa)から内圧26kPaまで減圧し、230℃内圧26kPaの状態を保持して60分攪拌し、続いて、30分間で内圧3kPaまで減圧しながら250℃まで昇温し、250℃内圧3kPaで30分間攪拌した。更に、30分間で内圧を約0.7kPaまで減圧しながら270℃まで昇温し、その後、270℃内圧0.01kPaで攪拌を継続した。反応系の粘度はスリーワンモーターの攪拌トルクから判断し、その回転速度は、200rpm、100rpm、50rpmと徐々に小さくし、最終的に25rpmでのトルクが0.025N・mとなったところで系内に窒素ガスを導入して大気圧に復圧して反応を終了し、透明感の高い熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
実施例2(コロイダルシリカとシリケートオリゴマーを併用して得たPC樹脂組成物):
実施例1において、フェニルトリメトキシシランの代わりに、三菱化学社製のテトラメトキシシランオリゴマー「MKCシリケート(登録商標)MS51」1gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、透明感の高い熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
実施例3(エポキシ末端PC樹脂を原料として含有しコロイダルシリカとシリケートオリゴマーを併用して得たPC樹脂組成物):
実施例2において、「MKCシリケート(登録商標)MS51」の使用量を0.5gとし、合成例1で得たエポキシ末端PC樹脂5gを原料として追加した以外は、実施例2と同様の操作を行い、透明感の高い熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
比較例1(金属酸化物微粒子不含有の超高分子量のPC樹脂):
合成例1で使用したPCオリゴマーの塩化メチレン溶液と末端停止剤として4−tert−ブチルフェノールを使用し、公知の界面重合により、重量平均分子量が約10×104である金属酸化物微粒子不含有の超高分子量のPC樹脂を合成した。物性測定の結果を表1に示す。
比較例2(ヒュームドシリカを分散したPC樹脂組成物−1):
実施例1において、フェニルトリメトキシシランを使用せず、コロイダルシリカの代わりに、日本アエロジル社製のヒュームドシリカ「アエロジル300CF」(アエロジルは登録商標)12gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、白濁した熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
比較例3(ヒュームドシリカを分散したPC樹脂組成物−2):
比較例2において、「アエロジル300CF」の使用量を0.1gとした以外は、比較例2と同様の操作を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
比較例4(コロイダルシリカのみを分散したPC樹脂組成物−1):
実施例1において、フェニルトリメトキシシラン1gを使用しない以外は、実施例1と同様の重合操作を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。物性測定の結果を表1に示す。
比較例5(コロイダルシリカのみを分散したPC樹脂組成物−2):
先ず、比較例4において、コロイダルシリカの添加量を3倍にした以外は、比較例4と同様の重合操作を行い高濃度樹脂組成物を得た。次いで、この高濃度樹脂組成物と比較例1の超高分子量PC樹脂とを1:2の重量比で溶融混練した。溶融混練は、島津製作所製ラボプラストミル「10C100」(内容積60mLのセグメントミキサ搭載)を使用し、280℃で5分間行った。物性測定の結果を表1に示す。
Figure 2006057080
表1に示す様に、高分子量PC樹脂で金属酸化物不含有の比較例1は線膨張率が大であり、金属酸化物微粒子(ヒュームドシリカ)を多めに含有する比較例2は、クロロホルム可溶分の分子量が小さく、線膨張係数が低めであるが不十分であり、しかも透明性が劣る。金属酸化物微粒子(ヒュームドシリカ)を少なめに含有する比較例3は、クロロホルム可溶分の分子量が小さく、透明性が良好であるものの、線膨張係数が大であり、金属酸化物微粒子(コロイダルシリカ)を含有する比較例4は、クロロホルム可溶分の分子量が小さく、透明性が良好であるものの、線膨張係数が大である。金属酸化物微粒子(コロイダルシリカ)を含有し、超高分子PC樹脂を配合することによりクロロホルム可溶分の分子量を本願発明と同程度とした比較例5は、線膨張係数が低めであるが、不十分であり、しかも透明性が劣る。
比較例6:
前述の特許文献3の記載に準じ、以下の合成操作を行なった。すなわち、合成例2で得た両末端トリエトキシシリル化PC樹脂0.4gとテトラエトキシシラン0.2gをテトラヒドロフラン10mLに溶解し、1規定濃度の塩酸0.1gを添加し、1時間室温で攪拌した。得られた反応液を三菱エンジニアリング社製のビスフェノールAポリカーボネート樹脂「ユーピロンS2000」2gのジクロロメタン溶液40mLに滴下した後、1時間攪拌を継続し、減圧濃縮して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を粉砕し、120℃で一晩真空乾燥した後、(株)井元製作所製の微量混練機を使用し、280℃で溶融押出しを行なった結果、白濁したストランドが得られ、その表面は平滑性がなくざらざらしており、不透明であった。このことから、得られた樹脂組成物には粗大ゲル成分が多量に含有されていることが分かる。
比較例7:
前述の特許文献1の記載に準じ、以下の合成操作を行なった。すなわち、合成例2で得た両末端トリエトキシシリル化PC樹脂15gとテトラエトキシシラン15gを混合した後、島津製作所製「ラボプラストミル10C100」(内容積60mLのセグメントミキサ搭載)を使用し、200℃で10分間混合した。次いで、得られた混合物に三菱エンジニアリング社製のビスフェノールAポリカーボネート樹脂「ユーピロンS2000」20gを添加し、更に、280℃で10分間溶融混練して複合材料を得た。この際、280℃での溶融混練の途中で顕著な増粘があった。また、得られた複合材料は、不透明であり、粗大ゲル成分が多量に含有されていることが分かった。

Claims (14)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂および金属酸化物粒子を含有し、厚さ1mmの成形品における全光線透過率が70%以上であり、30℃から80℃に昇温した場合の線膨張係数が30〜60ppm/Kであり、クロロホルム可溶分の重量平均分子量が7×10〜700×10の範囲であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 金属酸化物粒子の数平均粒径が1〜100nmである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 金属酸化物粒子がシリカ粒子である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 金属酸化物粒子がベーマイト粒子である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. クロロホルム可溶分が金属原子を含有する請求項1〜4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. クロロホルム可溶分中の金属原子含有量が0.01〜30重量%である請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 灰分量が0.1〜75重量%である請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 少なくとも、芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはその原料、金属アルコキシド類および金属酸化物粒子を150〜350℃の温度条件で混合することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. 金属アルコキシド類がアルコキシシラン類である請求項8に記載の製造方法。
  10. 金属酸化物粒子の平均1次粒径が1〜100nmである請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 金属酸化物粒子がシリカ粒子である請求項8〜10の何れかに記載の製造方法。
  12. 金属酸化物粒子がベーマイト粒子である請求項8〜11の何れかに記載の製造方法。
  13. 金属酸化物粒子を樹脂組成物中の含有量が0.1〜70重量%となる割合で使用する請求項8〜12の何れかに記載の製造方法。
  14. 更に、エポキシ基を分子構造中に有する芳香族ポリカーボネートを混合する請求項8〜13の何れかに記載の製造方法。
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