JP2006160613A - シリコーン積層体の製造方法 - Google Patents

シリコーン積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
シリコーン硬化体上にさらに付加硬化性シリコーン組成物を積層、これを硬化させてシリコーン硬化物の積層体を形成するに際し、被着体となるシリコーン硬化体の種類(硬化機構)によらず、また白金触媒等の高価な材料を用いることなく、さらには簡便な方法で強固な接合強度を得る。
【課題】
被着体となるシリコーン硬化体の被着面を120℃以上、好ましくは150〜250℃で1〜3分程度加熱処理し、次いで該被着面に付加硬化性シリコーン組成物を積層後、硬化させる。さらに、加熱処理に先立って、被着面を、アルカリ金属アルコラートのアルコール溶液、水酸化アルカリ等の塩基性溶液で処理すると、より良好な接合性が発現する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコーン積層体の製造方法に関する。詳しくは、シリコーン硬化体からなる義歯裏装材を、さらにシリコーンで追加裏装する際に有用なシリコーン積層体の製造方法に関する。
義歯使用者が義歯を長期にわたって使用していると顎堤を形成する歯槽骨の吸収等が原因となり口蓋の形状が次第に変化することが知られている。この様な場合、義歯床と口腔粘膜との適合が悪くなり、義歯が不安定になる。この場合一般に義歯床を一層削除し、義歯裏装材とよばれる樹脂材料を義歯の粘膜面へ積層する、いわゆる裏装を行うことで義歯と口腔粘膜の適合回復を図る。
このような裏装材の一種として、シリコーンを用いたものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。シリコーン硬化体、いわゆるシリコーンゴムは、長期に渡って適度な弾性が維持され、生体為害性も少なく、特に付加硬化型のシリコーンは、室温でも硬化し、また硬化時に副生成物も生じず、軟質裏装材として優れた特性を有する材料である。
しかし、このようなシリコーン硬化体からなる裏装材には、追加裏装が困難であるという問題がある。即ち、このような裏装材で適合を回復させた場合でも、経時的にさらなる歯槽骨の吸収等が起きてしまい、再度、適合回復を行うための裏装(追加裏装)を行う必要が生じる場合がある。ところが、シリコーン硬化体上に、付加硬化性シリコーン組成物を盛り付けて硬化させても、この追加裏装により形成された積層部は、容易に剥離してしまうという欠点があった。このような場合には、軟質裏装した部分をすべて剥がし、新たに裏装をしなければならず、操作が面倒であり、かつ経済的にも不利であるなどの問題点があった。
そのような欠点を補うために、追加裏装用の接着材として白金触媒を有機溶媒に溶解したプライマーが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平07−041411号公報 特開平10−226613号公報 特開平08−291017号公報 特開平9−040932号公報
しかしながら、白金触媒を含む溶液をプライマーとして用いる技術は、高価な白金を用いるため経済的でない。また、この技術では被着体のシリコーン硬化体が付加硬化型のものでなければ良好な接着性が得られないという欠点があり、追加裏装の必要なオルガノポリシロキサン硬化体が、付加硬化型か縮合型かを判別しなければならないという問題点もある。
従って本発明は、シリコーン硬化体に付加硬化性シリコーン組成物を積層、硬化させるに当たって、被着体であるシリコーン硬化体の種類によらず、かつ安価で簡便な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意検討した結果、シリコーン硬化体の表面を一定以上の温度で加熱することにより、付加硬化型のシリコーンを充分な強度で接合できることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、被着体となるシリコーン硬化体の被着面を120℃以上に加熱処理し、次いで該被着面に付加硬化性シリコーン組成物を積層し、密着させた状態で硬化させることを特徴とするシリコーン積層体の製造方法である。
また他の発明は、上記被着体となるシリコーン硬化体の被着面の加熱処理に先立って、該被着面を塩基性溶液で処理するシリコーン積層体の製造方法である。
本発明のシリコーン積層成形体の製造方法を用いることにより、被着体としてのシリコーン硬化体の種類を選ばず、また、安価かつ簡便に、シリコーン硬化体上に、さらに付加硬化型のシリコーン硬化性が、容易に剥離せず、強固に接合された積層体を得ることができる。
本発明は、被着体であるシリコーン硬化体(被着シリコーン硬化体という)へ、付加硬化性シリコーン組成物を積層、硬化させる際、被着シリコーン硬化体に対して特定の処理を行うことに特徴がある。
本発明の製造方法において被着体となるシリコーン硬化体は特に限定されるものではなく、熱加硫型シリコーン、縮合硬化型液状シリコーン、付加硬化型液状シリコーン、紫外線硬化型シリコーン等の公知の如何なるシリコーンを硬化させた硬化体に対しても本発明の製造方法は効果を有する。特に簡便な操作で容易に高い接合強度を得られるという点で、歯科用の義歯床裏装材として汎用される付加硬化型のシリコーンを硬化させたシリコーン硬化体に適用することが好ましい。
また被着シリコーン硬化体には、シリコーン硬化体における配合成分として公知の他の成分が含まれていてもよい。例えば、煙霧質シリカ、湿式シリカ等のシリカ類を始めとする無機充填材類、紫外線吸収剤、湿潤剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤等が含まれていてもよい。
本発明の製造方法は、上記被着シリコーン硬化体と、付加硬化型のシリコーン硬化体との積層体を製造する方法である。本発明の製造方法においては、該付加硬化型のシリコーン硬化体は、被着シリコーン硬化体の被着面上に付加硬化性シリコーン組成物を積層し、これを硬化させることによって形成される。
当該付加硬化性シリコーン組成物としては、特開平07−041411号公報、特開平10−226613号公報、特開平08−291017号公報等に記載の組成物を用いることができる。
このような付加硬化性シリコーン組成物を具体的に説明すると、代表的には、分子中に末端に脂肪族不飽和結合を有するオルガノポリシロキサン(以下、単に不飽和結合含有シロキサン)、及び硬化反応触媒を主成分とするペースト(又は液体)と、分子中にSiH基を有するオルガノポリシロキサン(以下、単にSiHシロキサン)を主成分とするペースト(又は液体)とに分割して調整、保存され、使用時に両者を混合することにより、SiHが不飽和結合に付加することにより硬化するものである。
上記不飽和結合含有シロキサンは、末端に不飽和結合を有する有機基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであればその構造は制限されず、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、これらの混合物であってもよい。また粘度についても特に制限はされないが、硬化前のペーストの性状、硬化後の硬化体の性状等の点から、10ポイズから10000ポイズ程度の粘度であるのが好ましい。更に好適な粘度は、10〜1500ポイズ、特に10〜500ポイズである。
この末端不飽和結合をもつ有機基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が例示されるが、合成のしやすさからケイ素原子に結合したビニル基が最も有利である。これら末端不飽和結合を有する有機基は、オルガノポリシロキサンの分子鎖の末端または中間のいずれに存在しても、あるいはその両方に存在してもよいが、硬化後の弾性体が優れた物理的性質を有するためには、少なくとも1個は末端に存在していることが好ましい。
不飽和結合含有シロキサンの分子中に存在する上記の“末端に不飽和結合を有する有機基”以外の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基のようなアリール基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換アルキル基等が例示されるが、これらのうち合成し易く、かつ硬化後に良好な物理的性質を与えるという点から、メチル基が最も好まし
上記不飽和結合含有シロキサンの代表的なものを具体的に示せば、
Figure 2006160613
(ただし、Phはフェニル基を示す。)で示されるオルガノポリシロキサン等が挙げられる。尚、上記化合物及び後述する実施例、比較例に用いられる化合物中の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意であり、構造式中に示される繰り返し構成単位の数は単に各構成単位の総量を示すに過ぎない。
SiHシロキサンは、上記不飽和結合含有シロキサンを架橋させてゴム弾性体とするはたらきを持つ成分である。不飽和結合含有シロキサンと反応して架橋構造となるためには、ケイ素原子に結合している水素原子が少なくとも3個必要である。3個より少ないと架橋構造とならずゴム弾性体が得られない。かかるSiHシロキサンは、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。
SiHシロキサンの代表的なものを具体的に示せば、
Figure 2006160613
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。上記及び後述する実施例、比較例に用いられるSiHシロキサンにおいても、前記不飽和結合含有シロキサンと同様に分子内の各繰り返し構成単位の結合順序は全く任意である。
上記不飽和結合含有シロキサンとSiHシロキサンの配合比は、その分子量により変化するが、通常、不飽和結合含有ポリシロキサン中の不飽和結合1個に対してSiHシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5個以上、好ましくは1〜5個の割合となるよう配合すればよい。この割合が少なすぎると硬化性が不十分となり、また、多すぎると弾性体が脆くなる傾向にある。
硬化反応触媒としては、白金触媒が一般的であり、例えば塩化白金酸、そのアルコール変性物、白金のビニルシロキサン錯体等を挙げることができる。なお、保存性を高めるためには白金のビニルシロキサン錯体のようなクロル分の少ないものが好適である。具体的には、特公昭47−23679号に記載があるような、白金のテトラビニルシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、あるいは1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等の錯体、塩化白金酸とオクチルアルコールとの反応生成物等が挙げられる。
上記、白金触媒の配合量は、該白金触媒が配合されるペースト総量に対して5〜200ppmの範囲で好適に用いられる。
さらに付加硬化性シリコーン組成物は、シリカ粉末やシリコーン粉末、等の補強用充填材を含むことが好ましい。補強用充填材として使用するシリカ系粉末やシリコーン樹脂粉末の代表的なものを具体的に示せば、粉砕石英、溶融シリカ、乾式シリカ、オルガノポリシルセスキオキサン微粒子等が挙げられる。また、この他にも必要に応じて、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフルオロカーボン樹脂粉末、カーボンブラック、ガラス繊維等の無機フィラー、ポリメチルメタクリレート等の有機フィラー等が挙げられる。
さらにまた、その物性を著しく低下しない範囲で更に他の添加剤を添加しても良い。かかる添加剤としては、反応抑制剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤等が挙げられる。
本発明の製造方法における最大の特徴は、上記付加硬化性シリコーン組成物を被着シリコーン硬化体状に積層するに先立って、該被着シリコーン硬化体における被着面を120℃以上に加熱することにある。このような温度で加熱することにより、上記付加硬化性シリコーン組成物の硬化体と、被着シリコーン硬化体との接合強度が向上する。一方、加熱温度が120℃より低い場合には充分な効果が得られない。
該加熱温度は、120℃以上であれば良いが、150℃以上とすることにより一層良好な効果が得られる。一方、あまりに高い温度では被着シリコーン硬化体の劣化等が生じてしまうことがあるため、300℃以下で行うことが好ましく、250℃以下がより好ましい。なおむろん、ここでいう温度は被着シリコーン硬化体の被着面の表面温度のことであり、被着シリコーン硬化体全体が加熱される必要はない。また上記加熱処理は種々のガス雰囲気下で行ってもよく、また常圧下、加圧下あるいは減圧下のいずれで行ってもよいが、操作が簡単な点、及び高い接合強度が得られやすい点で、常圧下、空気中で行なうことが好ましい。
上記加熱処理の時間(以下、加熱時間と称す)も特に限定されるものではないが、本発明の効果を顕著に得るためには、30秒以上であることが好ましく、1分以上であることがより好ましい。なお当該加熱時間とは、120℃以上に保持されている時間を指す。一方、加熱時間を5分もしくはそれ以上に長くしても得られる効果はほとんど変わらない。さらに、例えば、シリコーン硬化体で裏装された義歯の追加裏装に本発明の方法を適用する場合など、シリコーン以外の材質の材料も同時に加熱される可能性のある場合などには、該材料の熱劣化などを生じる可能性もある。従って、接合強度の向上効果、経済性等を考慮すると、加熱時間は5分以下とすることが好ましく、3分以下とすることがより好ましい。
本発明の製造方法における加熱処理方法は特に限定されるものではなく、適宜公知の加熱方法を採用すればよく、ヘアドライヤーやヒートガンによる送風加熱、オーブン、送風乾燥機、赤外線ランプ等による加熱が挙げられる。本発明を義歯の追加裏装に用いる場合には、義歯床の耐熱性等を考慮すると、被着シリコーン硬化体の被着面のみを加熱するのが好ましいため、局部的に加熱が可能なヘアドライヤーやヒートガンによる加熱が好適に用いられる。
本発明の製造方法においては、上記加熱処理を行ったあとの被着シリコーン硬化体の被着面上への付加硬化性シリコーン組成物の積層は、即座に行ってもよいが、火傷等の防止のために、室温程度まで放冷してから行うことが好ましい。該放冷の方法も特に限定されるものではなく、自然放冷、送風等の公知の方法を適宜採用すればよい。加熱処理後、放冷を行った後に、付加硬化性シリコーン組成物の積層を行う場合、その積層までの時間は、短い方が好ましい。あまりに長く放置すると、加熱処理の効果が失われてしまう場合がある。好ましくは、加熱処理後、5時間以内に行うことが好ましく、3時間以内に行うことがより好ましく、30分以内に行うことが特に好ましい。
上記加熱処理のみでも接合強度の向上効果が得られるが、さらに該加熱処理に先立って、該被着面を塩基性溶液で予め処理することにより、より良好な接合強度をえることができる。該塩基性溶液における塩基性化合物としては無機塩基、特にアルカリ金属化合物が良好な接合強度を得やすい点で好ましく、具体的に例示すると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート等の金属アルコキシド等が挙げられる。また、上塩基性化合物は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
また上記塩基性化合物を溶解している溶媒は、これら塩基性化合物を溶解し安定に存在する液体であれば特に限定されず、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の脂肪族アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル類等が好適に用いられる。また、上記溶媒は単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
上記塩基性溶液のうち、入手の容易さ、効果の大きさ等から、ナトリウムメチラートのメタノール溶液、ナトリウムエチラートのエタノール溶液等のアルカリ金属のアルコキサイドのアルコール溶液や、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の水酸化アルカリの水溶液が特に好適に持いられる。
本発明における塩基性溶液における塩基性化合物の濃度は特に限定されないが、0.01〜67質量%の範囲で好適に用いられる。特に、1〜33質量%の範囲が好適である。
また、上記塩基性溶液には、該溶液の粘度を調整し、被着シリコーン硬化体塗布時に均一な皮膜を形成させる目的で樹脂化合物を添加してもよい。本発明の塩基性溶液に添加される樹脂化合物は用いる塩基性溶液に可溶であれば公知の化合物を何等制限なく使用することができる。
上記樹脂化合物を例示すると、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等が好適に用いられる。また、上記樹脂化合物は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
上記樹脂化合物の添加量は、塩基性溶液に配合される溶媒に対して0.1〜20質量%の範囲で好適に用いられる。好ましくは1〜10質量%の範囲がより好適である。
塩基性溶液による処理の方法は公知の方法であれば特に限定されないが、刷毛やブラシによる塗布、スプレーによる噴霧、点眼ボトルによる液滴の滴下等が好適に実施しうる。
塩基性溶液による処理の際の温度は通常の診療室や技工室の室温(10〜30℃)であれば何等問題なく使用することができる。また、塩基性溶液処理を加熱して行ってもよい。加熱は150℃以下の範囲で好適に行なわれる。加熱温度が150℃を超える場合には、被着シリコーン硬化体を劣化させる可能性があり、また用いる溶媒が揮発や分解するなどの問題が生じる場合もある。塩基性溶液による処理の際の温度は好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温程度である。処理面を加熱する場合には特に加熱方法は限定されないが、処理面を局所的に加熱するのが好ましいことから、ドライヤーやヒートガンによる加熱が好ましい。
塩基性溶液による処理の時間は10秒〜30分の間で選択される。処理時間が30秒を下回る場合には効果にばらつきが生じ、30分以上の処理は歯科臨床的に現実性がない。好適には1〜10分の範囲が好適である。
上記塩基性溶液による処理を行った場合は、該塩基性溶液による処理の後、被処理面から塩基性化合物を除去するために洗浄する必要がある。洗浄方法は、処理に使用した塩基性化合物が実質的に被着面から除去できる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、水による洗浄、アルコールによる洗浄またはその併用が好適である。洗浄の終了は、洗浄、乾燥後の被着シリコーン硬化体の表面にアルカリに基づく固体が残留しているかどうか目視で判断できる。
前述のように、本発明の製造方法において上記塩基性溶液による処理を行う場合には、前記加熱処理は、該塩基性溶液による処理、洗浄の後で行う。上記洗浄により被着シリコーン硬化体の被着面には洗浄溶剤が付着しており、該洗浄溶剤は加熱処理によっても除去することが可能であるが、熱効率を良好なものとするためには、加熱処理に先立って、該洗浄溶剤をふき取り等により大部分除去しておくことが好ましい。
さらに本発明の製造方法においては、公知の他のシリコーン硬化体の表面処理を併用してもよく、例えば、サンドペーパーやサンドブラスト等により表面を荒らす方法、前記白金触媒の溶液を塗布する方法、シランカップリング剤溶液を塗布、その後必要に応じて加熱する方法などが挙げられる。
本発明を具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例および比較例で用いた材料の構造および略号を表1および表2に示した。
Figure 2006160613
Figure 2006160613
[接着試験方法]
被着シリコーン硬化体として表3に示す組成の付加シリコーンペーストおよび縮合シリコーンペーストを調整し、それぞれ表中の硬化条件に示す混練比で混ぜ、50mm四方の穴のあいた3mm厚のポリテトラフルオロエチレン製シートの下面にポリエチレンシートを敷いたモールド内で硬化させて37℃水中で30日間保存したものを被着試験体とした。該被着試験体の被着表面に必要に応じて表面処理を行い、更に表3に示した組成の組成物を混練して硬化が始まる前に上記被着試験体に積層した。積層の際には、上記操作によって得られた被着シリコーンの上に30mm四方の穴のあいた2mm厚のポリテトラフルオロエチレン製シートを載せ、積層用のモールドとして使用した。該積層体が硬化した後、接着界面から金属製スパチュラーを用いて剥離を試み、破壊の様子を観察することにより積層界面の接着性を評価した。被着シリコーン硬化体又は積層した付加硬化性シリコーン組成物の硬化体の凝集破壊が100%である場合には○、凝集破壊と界面破壊の混合破壊である場合には△、100%界面破壊である場合には×とした。
[被着シリコーン硬化体の表面温度測定]
被着シリコーン硬化体の表面温度は、放射温度計(IT−540S;堀場製作所製)にて測定した。
実施例1
被着シリコーン硬化体として、表3のAの組成で硬化体を作製した。該硬化体表面をヒートガンで加熱し、その表面温度が150℃となるよう保持して1分間加熱を続けた。硬化体の表面温度が室温付近まで下がるのを待ち、表4に示した積層用の硬化性組成物Fを混和直後に被着シリコーン硬化体に積層して硬化させた。被着ポリオルガノシロキサン硬化体と積層したオルガノポリシロキサン硬化体の界面部分に金属製スパチュラーにて傷をつけて引き剥がした結果、破壊形態は混合破壊であり、接着性の向上が認められた。
実施例2
被着シリコーン硬化体および積層用硬化性組成物に市販の付加型シリコーン系軟質裏装材である軟質裏装材H(ソフリライナーMS:トクヤマデンタル製)を用いた以外は実施例と同一の操作を行なった。この場合も破壊形態は混合破壊であり、接着性の向上が認められた。
実施例3
被着シリコーン硬化体に市販の縮合型シリコーン系軟質裏装材である軟質裏装材I(エヴァタッチ:ネオ製薬製)硬化体を用い、積層用硬化性組成物に軟質裏装材Hを用いたこと以外は実施例1と同一の操作を行なった。この場合も破壊形態は混合破壊であり、接着性の向上が認められた。このように、従来公知の方法では接着できなかった、縮合型のオルガノポリシロキサン硬化体への接着も可能であることがわかった。
実施例4
被着シリコーン硬化体の前処理として、加熱処理に先立って、ナトリウムメチラートのメタノール溶液(28質量%)を塗布し、3分間保持後、塗布面を水洗したこと以外は実施例1と同様な操作を行なった。この場合、破壊形態は凝集破壊であり強固な接着性が認められた。
実施例5〜9
塩基性溶液による処理に用いる溶液として表5に示したものを用いたこと以外は実施例4と同様な操作を行なった。いずれも破壊形態は凝集破壊であり強固な接着性が認められた。
実施例10〜15、17、18
表4に示したように被着シリコーン硬化体の種類、および積層用硬化性組成物の種類を変更したこと以外は実施例4と同様な操作を行なった。いずれの場合も破壊形態は凝集破壊であり強固な接着性が認められた。
実施例16
加熱処理を行った後、さらに白金ビニルシロキサン錯体の塩化メチレン溶液(500ppm)を塗布したこと以外は実施例15と同様の操作を行なった。この場合、破壊形態は凝集破壊であり、強固な接着性が確認された。
比較例1
加熱処理を行なわなかったこと以外は実施例1と同様な操作で積層体を作製し、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。
比較例2
加熱処理を行なわなかったこと以外は実施例13と同様な操作で積層体を作製し、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。
比較例3
加熱処理を行なわなかったこと以外は実施例4と同様な操作を行なった。この場合、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。この結果より、被着シリコーンの前処理として塩基性溶液による処理では不充分であり、加熱処理が不可欠であることがわかった。
比較例4
積層の前処理として加熱処理を60℃で行ったこと以外は実施例1と同様な操作を行なった。この場合、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。
比較例5,6
加熱処理を行なわなかったこと以外は、実施例2あるいは3と同様な操作を行なった。この場合、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。
比較例7,8
被着シリコーン硬化体として縮合型のシリコーン硬化体を用い、加熱処理を行わず、代わりに白金ビニルシロキサン錯体の塩化メチレン溶液(500ppm)塗布したこと以外は実施例1あるいは2と同様な操作を行なった。この場合、剥離試験を行った結果、界面から容易に剥離が起こった。この結果より、縮合型のオルガノポリシロキサン硬化体を被着体とした場合、従来公知の接着方法では接着性の高い積層成形体ができないことがわかった。
Figure 2006160613
Figure 2006160613
Figure 2006160613
このように、本発明の製造方法を用いることにより、被着シリコーン硬化体の硬化機構によらず、付加硬化型のシリコーンを強固に接合させた積層物を製造可能であることは明らかである。また、本発明におけるシリコーン硬化物の積層体の製造方法は、特に歯科用シリコーン系軟質裏装材の追加裏装に有効な方法であることが明らかである。

Claims (3)

  1. 被着体となるシリコーン硬化体の被着面を120℃以上に加熱処理し、次いで該被着面に付加硬化性シリコーン組成物を積層後、硬化させることを特徴とするシリコーン積層体の製造方法。
  2. 被着体となるシリコーン硬化体の被着面の加熱処理に先立って、該被着面を塩基性溶液で処理する請求項1のシリコーン積層体の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の方法を用いる、シリコーン硬化体により裏装された義歯床を追加裏装する方法。
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