JP2006159980A - 車両用シート装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
この発明は、リクライニング機構やチルトアップ機構等の快適装備を備えた車両用シート装置において、シートバック及びシートクッションの傾斜角を変化させた場合の、後突時の衝突安全性等を高めることができる車両用シート装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
後突時に上側のテンショナ装置49aを作動させると、チルト歯車44が時計回りに回動して、シートクッション11の前端部を強制的に上方変位させることになる。一方、下側のテンショナ装置49bを作動させると、チルト歯車44が反時計回りに回動して、シートクッション11の前端部を強制的に下方変位させることになる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、車両用シート装置に関し、特にリクライニング機構等の快適装備を備えた車両用シート装置に関する。
従来、車両用シート装置には、乗員が室内で快適に過ごせるように、様々な快適装備を設置することが知られている。
例えば、シートバックの傾斜角を後方に変化させてリクライニング状態とするリクライニング機構や、下記特許文献1のように、シートクッションの前端部を上方に変位させて所謂チルトアップ状態とするチルトアップ機構を設けることが知られている。
特開平7−186793号公報
ところで、このような車両用シート装置に設置される快適装備で、シート装置の形態を変化させると、当然着座した乗員の体勢が変化する。このため、車両の後面衝突(以下、後突)の場合には、チルトアップ状態としない時と異なり様々な問題が生じるおそれがある。
例えば、快適装備で、シートバックやシートクッションの傾斜角を変化させることで、乗員の体勢がシート装置上で略水平状態となったり、足の膝部分が上方に位置するため、後突時に、乗員が後方移動しやすくなったり、膝部分が後上方に変位しやすくなるといった問題が、新たに生じるのである。
そこで、この発明は、リクライニング機構やチルトアップ機構等の快適装備を備えた車両用シート装置において、シートバック及びシートクッションの傾斜角を変化させた場合の、後突時の衝突安全性等を高めることができる車両用シート装置を提供することを目的とする。
この発明の車両用シート装置は、シートバックの傾斜角を変化させるリクライニング機構部と、シートクッションの前端部の位置を上下動してシートクッションの傾斜角を変化させるシートクッション位置変更部とを備えた車両用シート装置であって、車両の後面衝突を検出又は予知する後突判定手段と、該後突判定手段で後面衝突を検出又は予知した際に、シートバックの傾斜角に応じて、前記シートクッション位置変更部の作動を調整する後突時調整手段とを備えたものである。
上記構成によれば、後突判定手段で車両の後面衝突を検出又は予知した際、後突時調整手段によって、シートバックの傾斜角に応じて、シートクッションの前端部の位置を上下動して傾斜角を変化させるシートクッション位置変更部の作動を調整することになる。
すなわち、後突を検出又は予知した際に、シートバックの傾斜角に応じて、シートクッションの傾斜角を変化させるシートクッション位置変更部、例えばチルトアップ機構等の作動を後突時調整手段で調整することになる。
このため、シートバックの傾斜角に応じて変化する乗員の体勢に対して、適切にシートクッションのチルトアップ状態を設定することができる。
なお、後突判定手段は、後突を予知するものの方が、予めチルトアップ機構部の作動を調整できるため、衝突安全性を高めるためには望ましい。
この発明の一実施態様においては、前記後突時調整手段は、前記リクライニング機構部によってシートバックが所定角度より後方の第一角度範囲内に傾斜している場合に、シートクッションの前端部が上方に変位するように前記シートクッション位置変更部を調整するものである。
上記構成によれば、シートバックが所定角度より後方の第一角度範囲内に傾斜している場合に、後突時調整手段で、シートクッション位置変更部をシートクッションの前端部が上方変位するように調整することになる。
すなわち、図8(a)に示すように、シートバック12が所定角度α1より後方の第一角度範囲内に大きく傾斜している場合には、乗員Mの上半身がシート装置1上で略水平状態となっているため、(b)に示すように、後突荷重BFが作用すると乗員Mの上半身は、矢印に示すように、車体に対して車両後方側に移動する。これにより乗員Mの下半身も車両後方側に引きずられて、ふくらはぎ上部がシートクッション11の前端11aに当接する。このため、(c)に示すように、反動で足のスネが跳ね上げられ、さらに下半身も含めて体全体が車両後方側に移動しやすくなるといった問題が生じるのである。
これに対して、本実施形態では、図9(b)(c)に示すように、衝突時調整手段で、シートクッションの前端部を上方変位するように調整するので、乗員の太もも部分や膝が上方に移行して、足のふくらはぎがシートクッションの前端部側に引き付けられる。このため、後突時、足のふくらはぎがシートクッションの前面に当接して、シートクッションの前端部に引っ掛かり、後方移動を抑えることができるのである。
よって、本実施態様では、シートバックの傾斜角を所定角度より後方の第一角度範囲内に大きく傾斜した場合の乗員の後方移動を抑えて、後突時の衝突安全性を高めることができる。
なお、この「所定角度α1」は、鉛直から後方に約40度、好ましくは約45度に設定するのが望ましい。シートバックをこうした角度以上に傾斜させた場合には、乗員の上半身がより水平状態に近くなり、後突時に後方移動しやすくなるため、本実施態様の効果をより確実に享受できるからである
この発明の一実施態様においては、前記後突時調整手段は、前記リクライニング機構部によってシートバックが所定角度より前方の第二角度範囲内に傾斜した場合で、且つ前記シートクッション位置変更部によってシートクッションの前端部が上方変位した場合に、シートクッションの前端部が下方に変位するように前記シートクッション位置変更部を調整するものである。
上記構成によれば、シートバックが所定角度より前方の第二角度範囲内に傾斜し、且つシートクッションの前端部が上方変位した場合に、後突時調整手段で、シートクッション位置変更部をシートクッション前端部が下方変位するように調整することになる。
すなわち、図10(a)に示すように、シートバック12が所定角度α2より前方の第二角度範囲内に小さく傾斜して、且つシートクッション11の前端部が上方変位した場合には、乗員Mの上半身は、シートバック12に拘束され、下半身の膝や太もも部分は上方に位置する。このため、(b)に示すように後突荷重BFが作用すると、後突初期の段階で乗員Mの上半身には、大きく後方側に作用する力が働き、これにより、シートバックのヒンジ部等が弾性変形することで、上半身は、シートバック12と共に一旦後傾すると共に、下半身も後上方に回動し、膝や太もも部分がさらに上方に跳ね上げられる。その後、(c)に示すように後突後期の段階でシートバック12が反動で前方に変位すると、乗員の上半身も前方に移行して、その結果、乗員Mの頭部等と膝や太もも部分が干渉する可能性が生じ、乗員が不快感を感じるといった問題が生じる。
これに対して、本実施態様では、衝突時調整手段で、シートクッションの前端部を下方変位するように調整するので、乗員の太もも部分や膝が下方に移行して、膝や太もも部分の上方への跳ね上げが抑制される。このため、後突時、衝突後期の頭部等と膝や太もも部分の干渉を防止することができる。
よって、本実施態様では、シートバックの傾斜角を所定角度より前方の第二角度範囲内に小さく傾斜させ、且つシートクッションの前端部を上方変位させた場合の、乗員の頭部等と膝や太もも部分の干渉を防止して、乗員の不快感をなくすことができる。
なお、この「所定角度α2」は、鉛直から後方に約30度に設定するのが望ましい。シートバックを30度以下で傾斜させた場合には、乗員の上半身は、確実にシートバックに拘束された状態となり、後突時にシートバックの反動を受けやすくなるため、本実施態様の効果をより多く享受できるからである。
もっとも、この「所定角度α2」は、前述の実施態様と同様に40度等に設定してもよく、特に限定されるものではない。
また、この「所定角度より前方の第二角度範囲内に傾斜した場合」とは、所定角度より前方で傾斜させた場合であればよいため、全くシートバックをリクライニングさせていない通常状態も含む概念である。
この発明によれば、後突を検出又は予知した際に、シートバックの傾斜角に応じて、シートクッションの傾斜角を変化させるシートクッション位置変更部、いわゆるチルトアップ機構部の作動を後突時調整手段で調整することになる。
このため、シートバックの傾斜角に応じて変化する乗員の体勢に対して、適切にシートクッションのチルトアップ状態を設定することができる。
したがって、リクライニング機構やチルトアップ機構等の快適装備を備えた車両用シート装置において、シートバック及びシートクッションの傾斜角を変化させた場合の、後突時の衝突安全性等を高めることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
まず、図1〜図4で本実施形態の車両用シート装置の全体構造について説明する。図1はシート装置の下部を説明する透過斜視図、図2はシート装置の内部構造を説明する透過側面図、図3はその内部構造の作動状態を説明する透過側面図、図4はシート装置の内部構造を示した平面図である。
本実施形態のシート装置1は、シート座面をなす略四角形状のシートクッション11と、シート背もたれをなすシートバック12とを備えている。
シートクッション11は、車両前後方向にスライド移動可能なようにシートスライダー機構13の上に設置されて、その内部には、両側部で車両前後方向に延びる二つのシートクッションフレーム31,31と、その前端と後端で車幅方向に延びて二つのシートクッションフレーム31,31を連結する二本のクロスフレーム32,32とを設けている。このシートクッションフレーム31,31とクロスフレーム32,32とによって矩形形状のシートクッション11の骨格を構成している。
シートスライダー機構13は、シートクッション11下部の両側で車両前後方向に延びる二本のスライドレール15,15と、該スライドレール15,15にスライド自在に嵌合して車両前後方向に延びる二本のベースフレーム16,16と、この二本のベースフレーム16,16を車幅方向に延びて連結するクロスメンバー17とで構成し、このシートスライダー機構13は、二本のスライドレール15,15の前端と後端に設けた四つの固定ブラケット18…によって車室フロアFに固定している。
このシートスライダー機構13は、図示しない係合機構においてベースフレーム16をスライドレール15に対して係止固定して、シートクッション11の前後位置を固定するように構成している。
シートバック12は、その下端をシートクッション11の後端に、回動ヒンジ33を介してリクライニング自在に支持され、鉛直から所定の傾斜角αを有するように上下方向に立設している。
次に、シートクッション11の前端部を上下動させるチルトアップ機構40について説明する。
チルトアップ機構40は、前述のシートクッションフレーム31,31に対して複数の構成要素を組付けることで構成している。
このシートクッションフレーム31,31は、ベースフレーム16,16に対して前端部を前側リンク部材41を介して枢着し、後端部を後側リンク部材42を介して枢着することでベースフレーム16,16に対して、揺動自在に固定している。このシートクッションフレーム31,31の前端部をベースフレーム16,16に対して、上下動させることで、シートクッション11をチルトアップ(シートクッション11の前端部を上方に変位)したり、チルトダウン(シートクッション11の前端部を下方に変位)するように構成している。
シートクッションフレーム31の側方外端部には、乗員によって操作される操作レバー43を設けている。この操作レバー43は車幅方向に延びる回動軸43aを介してチルト歯車44に連結している。このため、操作レバー43からの操作力は、チルト歯車44によってチルトアップ機構40内に伝達される。
このチルト歯車44は、その前方に配置した第一アイドル歯車45に噛合し、その第一アイドル歯車45は、さらにその前方に配置した第二アイドル歯車46に噛合している。そして、この第二アイドル歯車46は前側リンク部材41に形成したラック歯41aに噛合している。このような一連の歯車の噛合によって、チルト歯車44からの操作力は前側リンク部材41に伝達される。
なお、各歯車は、シートクッションフレーム31及びサポートフレーム34に車幅方向に延びる回動軸を介して両持ち支持されて、シートクッションフレーム31に対して強固に支持されている。
一方、操作力が伝達される前側リンク部材41は、その下部の枢着点41bをベースフレーム16に枢着し、中央のピン部41cをシートクッションフレーム31の車両前後方向に穿設した長穴31aに係合固定している。これにより、前側リンク部材41は、ラック歯41aで車両後方側に引き込まれる力を受けると、下部の枢着点41bを中心に上方に回動して、それと同時にシートクッション11の前端部を、上方に移動させる。
こうして、チルトアップ機構40では、図3に示すように乗員が操作レバー43を引き上げることにより、チルト歯車44が時計回りに回動して、その後、第一アイドル歯車45と第二アイドル歯車46がそれぞれ反時計回り、時計回りと回動することで、チルト歯車44からの操作力が前側リンク部材41を車両後方側に引き込む力として伝達される。このため、シートクッションフレーム31の前端部が、図3に示すように上昇する。
また、前側リンク部材41は、スプリング部材等の付勢手段47によって下向きに付勢されるため、常時ラック歯41aを第二アイドル歯車46に噛合させておくことができる。このため、シートクッション11の前端部の上下位置を安定することができる。
さらに、チルト歯車44には、ラチェット機構48が係合し、チルト歯車44の位置(回動角)を保持するように構成している。このため、乗員が操作レバー43から手を離しても、シートクッション11のチルトアップ位置が保持される。
このように、本実施形態のチルトアップ機構40では、操作レバー43による手動操作により、シートクッション11をチルトアップ、チルトダウンできるように構成している。
このチルトアップ機構40では、さらに、後突時に強制的にシートクッション11の前端部の位置を、上下動させて調整する二本のテンショナ装置49a,49bを設けている。
この二本のテンショナ装置49a,49bは、チルト歯車44の後方のシートクッションフレーム31の上下位置に車両前後方向に延びるように設置しており、共にチルト歯車44にそのワイヤの前端を回動軸43aを挟むようにして係止固定している。
このため、例えば、後突時に上側のテンショナ装置49aを作動させると、テンショナ装置の作動力より、チルト歯車44は、ラチェット機構48による係合が解除されて、図3に示す時計回りに回動して、シートクッション11の前端部を強制的に上方変位させることになる。一方、下側のテンショナ装置49bを作動させると、同様にラチェット機構48による係合が解除されて、チルト歯車44が反時計回りに回動して、シートクッション11の前端部を強制的に下方変位させることになる。
また、チルト歯車44の位置を保持するラチェット機構48は、図示しないが、所定の衝撃を感知した場合にチルト歯車44との係合を解除する解除構造を採用している。後突時に、チルト歯車の位置の保持を解放するように構成した方が、テンショナ装置49a,49bの作動を阻害しないからである。
なお、シートクッション11の前端部の位置を後突時に強制的に上下動させる構造は、このテンショナ装置49a,49b以外にも、例えば、スプリング部材等を用いてチルト歯車44を強制的に回動させる構造や、チルトアップ機構自体が電動モータ等で作動する場合には、その電動モータを用いてチルト歯車44を強制的に回動させる構造を採用することも考えられる。また、チルト歯車44を回動する構成ではなく、前側リンク部材41を強制的に上下動させる機構を用いてシートクッション11の前端部の位置を上下動させる構成を採用してもよい。
このシート装置1は、シートバック12の回動ヒンジ33に、具体的には図示しないが、周知のリクライニング機構50を設け、シートバック12の傾斜角αを、乗員の操作によって、約20〜70度の範囲で自由に変更できるように構成している。
また、このリクライニング機構50は、こうして変更したシートバック12の傾斜角αを検出するリクライニングセンサ62を設けている。
次に、このシート装置1の後突時の調整作動システムについて、図5のシステムブロック図、図6の制御フローチャート、図7のマップ表により説明する。
この実施形態では、図5に示すように、シート装置1の後突時の作動を制御する制御手段としてのCPU(中央処理装置)60を備え、このCPU60に対して、入力手段として、後突の予知を行う後突センサ61と、シートバック12の傾斜角度を検出するリクライニングセンサ62と、シート装置1に着座した乗員等の重量を検出する重量センサ63とを連結している。
なお、後突センサ61は、図示しない車両後部の後部バンパーに設置して、重量センサ63は、シートクッション11の内部に設置している。
一方、出力手段としては、シートクッション11の前端部を上下動させるチルトアップ機構40(二本のテンショナ装置49a,49b)をCPU60に連結している。
こうして構成されたシステムブロックは、図6に示す制御フローで制御される。
まず、S1で、前述の各入力手段の各種データをCPU60に読み込む。
次に、S2で所定重量以上かを判断する。所定重量以上でない場合(NO)、例えば、乗員がシート装置1に着座していない場合や、乳幼児が着座している場合には、制御を行うことが無駄となったり、シートクッション11の傾斜角が変位することにより、かえって安全性が害されるおそれがあるため、以下の制御を行わず、そのままリターンに移行する。
次に、S3で後突予知かを判断する。この予知は、後続車との車間距離をレーダーセンサ等で検出し、この距離をその変化度合とに応じて判断する。これにより、例えば、1〜3秒後に後突される可能性が高いと判断したときは、後突予知を判断する。後突予知を判断した場合(YES)には、後突前に予め以下の制御を行う。このように予め制御を行うことで、衝突安全性をより高めることができる。
もっとも、衝突予知を判断しなかった場合(NO)には、そのままリターンに移行し、次の制御にそなえる。
そして、衝突予知を判定した場合(YES)には、S4に移行してシートバック11の傾斜角度が第一角度範囲かを判断する。具体的には、図7のマップ表に示すように、シートバック12の傾斜角度が45度以上に傾いている場合には、第一角度範囲と判断する。
第一角度範囲と判断した場合(YES)には、S5に移行してチルトアップ制御を行う。このチルトアップ制御は、前述のテンショナ装置49a,49bのうち、上側のテンショナ装置49aを作動させることにより行う。この上側のテンショナ装置49aを作動することにより、チルト歯車44は、シートクッション11の前端部を上方に変位させる方向に回動する。
一方、第一角度範囲でないと判断した場合(NO)には、S6に移行してシートバック12の傾斜角度が第二角度範囲かを判断する。具体的には、S4と同様に図7のマップ表に示すように、シートバック12の傾斜角度が30度以下の場合には、第二角度範囲と判断する。
第二角度範囲と判断した場合(YES)には、S7に移行してチルトダウン制御を行う。このチルトダウン制御は、前述のテンショナ装置49a,49bのうち、下側のテンショナ装置49bを作動させることにより行う。この下側のテンショナ装置49bを作動することにより、チルト歯車44は、シートクッション11の前端部を下方に変位させる方向に回動する。
第二角度範囲でもないと判断した場合(NO)、すなわち中間範囲と判断した場合には、そのままリターンに移行し、何らチルトアップ機構40(テンショナ装置49a,49b)を作動させることなく、今回の制御を終了する。
このように、この制御フローでは、図7にも示すように、シートバック12の傾斜角度が45度以上の第一角度範囲であれば、シートクッション11をチルトアップ制御し、30度以下の第二角度範囲であれば、シートクッション11をチルトダウン制御し、さらに30度から45度の中間範囲であれば、なんら制御しないように構成している。
このように構成することで、本実施形態では、リクライニング機構50やチルトアップ機構40等の快適装置を備えた車両用シート1において、シートバック12及びシートクッション11の傾斜角を変化させた場合の、後突時の衝突安全性等を高めることができる。
この後突時の衝突安全性等の向上について、図8〜図11の後突時に乗員の挙動を示した模式図で説明する。図8は、第一角度範囲内にシートバック12を傾斜させた場合の従来の模式図、図9は、第一角度範囲内にシートバック12を傾斜させた場合の本実施形態の模式図、図10は、第二角度範囲内にシートバック12を傾斜させた場合の従来の模式図、図11は、第二角度範囲内にシートバック12を傾斜させた場合の本実施形態の模式図である。
図8の(a)に示すように、従来、シートバック12が所定角度α1(45度)より後方の第一角度範囲内に大きく傾斜している場合には、乗員Mの上半身は、シート装置1上で略水平状態となっているため、(b)に示すように、後突荷重BFが作用すると、乗員Mの上半身は矢印に示すように車両後方側に移動する。これにより乗員Mの下半身も車両後方側に引きずられて、ふくらはぎ上部がシートクッション11の前端11aに当接する。このため、(c)に示すように、反動で足のスネが跳ね上げられ、さらに下半身も含めて体全体が車両後方側に移動しやすくなるといった問題が生じる。
これに対し、本実施形態では、図9の(a)に示すようにシートバック12が所定角度α1より後方の第一角度範囲内に大きく傾斜している場合に、後突を予知すると、(b)に示すように、シートクッション11の前端部を上方変位するように調整するため、乗員Mの太もも部分や膝が上方に移行して、足のふくらはぎがシートクッション11の前端部側に引き付けられる。このため、(c)に示すように後突時、足のふくらはぎがシートクッション11の前面に当接して、シートクッション11の前端部に引っ掛かり、後方移動を抑えることができる。
よって、本実施形態は、シートバック12の傾斜角を45度より後方の第一角度範囲に大きく傾斜した場合に、乗員Mの後方移動を抑えて、後突時の衝突安全性を高めることができるのである。
また、図10の(a)に示すように、従来、シートバック12が所定角度α2(30度)より前方の第二角度範囲に小さく傾斜して、且つシートクッション11の前端部が上方変位した場合には、乗員Mの上半身は、シートバック12に拘束され、下半身の膝や太もも部分は上方に位置する。このため、(b)に示すように後突荷重BFが作用すると、後突初期の段階(後突直後から約0〜100ms経過時)で乗員Mの上半身がシートバック12と共に一旦後傾すると共に、下半身も後上方に回動し、膝や太もも部分が矢印に示すようにさらに上方に跳ね上げられる。その後、(c)に示すように後突後期の段階(後突直後から約150ms〜200ms経過時)でシートバック12が反動で前方に変位すると、シートベルトSから外れた乗員Mの上半身も前方に移行して、その結果、乗員Mの頭部等と膝や太もも部分が干渉する可能性があり乗員Mが不快感を感じるといった問題が生じる。
なお、本実施形態のシートベルトSのショルダーアンカーは、車体側ピラーに設けられているため(図示せず)、後突後期の際に、より乗員Mの肩がシートベルトSから外れ、上半身が反動により前方側に変位しやすくなっている。
これに対して、本実施態様では、図11の(a)に示すようにシートバック12が所定角度α2より前方の第二角度範囲に小さく傾斜して、且つシートクッション11の前端部が上方変位した場合に、後突を予知すると、(b)に示すように、シートクッション11の前端部を下方変位するように調整するため、乗員の太もも部分や膝が下方に移行して、膝や太もも部分の上方への跳ね上げが抑制される。このため、(c)に示すように、後突後期時、乗員Mの上半身がシートベルトSから外れて前方に移行したとしても、衝突後期の頭部等と膝や太もも部分の干渉を防止することができる。
よって、本実施態様は、シートバック12の傾斜角を30度より前方の第二角度範囲に小さく傾斜させ、シートクッション11の前端部を上方変位させた場合において、乗員の頭部等と膝や太もも部分の干渉を防止して、乗員の不快感をなくすことができるのである。
なお、本実施形態で、シートバック12の傾斜角が30度から45度の中間範囲で制御を行っていない。これは、この中間範囲でシートクッション11の前端部をチルトアップ、又はチルトダウンしても、さほど効果を得られず、また乗員の後突時の挙動も一定にならないため、シートクッションの前端部を変位させると、かえって衝突安全性を悪化させる可能性があるためである。もっとも、この中間範囲においても制御を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、シートクッション11の前端部の上下位置を検出することなくチルトアップ機構40を調整しているが、シートクッション11の前端部の位置を検出手段等で検出して、チルトアップ機構40を調整する制御に反映してもよい。例えば、後突予知時に、シートクッション11の前端部の上下位置を検出して、チルトアップ状態であれば、チルトダウン制御のみを行うように構成したり、逆にチルトダウン状態であれば、チルトアップ制御のみを行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、シートバック12の傾斜角を第一角度範囲と第二角度範囲とに分けて、制御を行うように構成しているが、いずれか一方のみの角度範囲で制御を行ってもよい。例えば、シートバックを45度以上に大きく傾斜させた場合のみチルトアップ制御してもよいし、シートバックを30度以下でほとんど傾斜させていない場合で、チルトダウン制御してもよい。
さらに、後突荷重は、後方車両との相対的な速度差によって大きく変動するため、相対速度を検出して、相対速度に応じて、チルトアップ制御とチルトダウン制御の領域を変更するように構成してもよい。
また、後突センサについても、後突を検出した際に、後突判定を行うように構成してもよい。
以上、一つの実施形態について説明したが、この発明はこの実施態様に限定されるものではない。
この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のシートクッション位置変更部は、実施形態のチルトアップ機構40に対応し、
以下同様に、
リクライニング機構部は、リクライニング機構50に対応し、
後突判定手段は、後突センサ61に対応し、
後突時調整手段は、CPU60に対応するも、
この発明は、あらゆる車両用シート装置に適用する実施形態を含むものである。
本実施形態のシート装置の下部の透過斜視図。 シート装置の内部構造を説明する透過側面図。 内部構造の作動状態を説明する透過側面図。 内部構造を示した平面図。 本実施形態のシステムブロック図。 本実施形態の制御フローチャート。 制御の際に用いるマップ表。 第一角度範囲内にシートバックを傾斜させた場合の従来の模式図。 第一角度範囲内にシートバックを傾斜させた場合の本実施形態の模式図。 第二角度範囲内にシートバックを傾斜させた場合の従来の模式図。 第二角度範囲内にシートバックを傾斜させた場合の本実施形態の模式図。
符号の説明
1…シート装置
11…シートクッション
12…シートバック
40…チルトアップ機構(シートクッション位置変更部)
50…リクライニング機構(リクライニング機構部)
51…後突センサ(後突判定手段)
60…CPU(後突時調整手段)

Claims (3)

  1. シートバックの傾斜角を変化させるリクライニング機構部と、シートクッションの前端部の位置を上下動してシートクッションの傾斜角を変化させるシートクッション位置変更部とを備えた車両用シート装置であって、
    車両の後面衝突を検出又は予知する後突判定手段と、
    該後突判定手段で後面衝突を検出又は予知した際に、シートバックの傾斜角に応じて、前記シートクッション位置変更部の作動を調整する後突時調整手段とを備えた
    車両用シート装置。
  2. 前記後突時調整手段は、前記リクライニング機構部によってシートバックが所定角度より後方の第一角度範囲内に傾斜している場合に、シートクッションの前端部が上方に変位するように前記シートクッション位置変更部を調整する
    請求項1記載の車両用シート装置。
  3. 前記後突時調整手段は、前記リクライニング機構部によってシートバックが所定角度より前方の第二角度範囲内に傾斜した場合で、且つ前記シートクッション位置変更部によってシートクッションの前端部が上方変位した場合に、シートクッションの前端部が下方に変位するように前記シートクッション位置変更部を調整する
    請求項1又は2記載の車両用シート装置。
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