JP2006157093A - 高周波スイッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の誘電体層と複数の線路導体を積層した積層体に、線路導体を積層方向に前記誘電体層を介して配置し、同一の巻回方向となるように電気的に接続した伝送線路と、積層体に搭載したスイッチング素子を有する高周波スイッチであって、伝送線路は、前記積層体の水平方向に分かれた領域に形成した少なくとも2つの伝送線路を有し、第1の伝送線路と第2の伝送線路を直列接続した。
【選択図】 図1
Description
例えば、デュアルバンド携帯電話では、GSM1800システム(送信Tx:1710〜1785MHz、受信Rx:1805〜1880MHz)、第2の送受信系としてEGSM900システム(送信Tx:880〜915MHz、受信Rx:925〜960MHz)の2つのシステムに対応する。このような携帯電話では、それぞれの周波数に応じた信号経路、および複数の周波数を切り換えるための分波器と高周波スイッチを用いて構成される高周波スイッチモジュールが用いられている(例えば特許文献2)。
第3のポートP3にはダイオードDP2のカソードとインダクタンス素子Lsが接続されている。前記インダクタンス素子Lsは伝送線路として形成される。そしてダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
また線路長が同じであっても、伝送線路の形成方法によって、その特性インピーダンスは変化する。例えば、伝送線路をコイル状に形成した場合、伝送線路の巻数の増加に伴うインダクタンス成分の増大により、その特性インピーダンスが増大することが知られている。
しかしながら、図13に示すように、このような伝送線路は等価的に分布容量Cdとの並列共振回路として表される。線路導体を多層にわたって密に重ねあわせると、設計上、伝送線路の特性インピーダンスを50オームとしても、インダクタンス成分、導体線路間の分布容量の増加により、実際に積層体に構成した場合には、特性インピーダンスが50オームよりも大きくなり、外部回路とのインピーダンス不整合が生じることが問題となってきた。
また分布容量Cdにより共振周波数が低下し、その結果、第1のポートP1から第3のポートP3を見たインピーダンスが十分大きくならず、送信信号の一部が第3のポートP3に現れ、アイソレーションが劣化すると言った問題もあった。
また本発明においては、前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路とを、異なる特性インピーダンスとするステップ線路とすれば、他の回路との整合が容易となるので好ましい。異なる特性インピーダンスとするには、伝送線路の幅やグランドとの距離を異ならせて構成すればよい。
本発明の高周波スイッチは、前記第1の回路と前記第3の回路との間に接続される第1のスイッチング素子と、前記第3の回路と前記第2の回路との間に接続される伝送線路と、前記伝送線路の前記第2の回路側とグランドとの間に接続される第2のスイッチング素子を具備するのが好ましい。
図1は、本発明の一実施例に係る高周波スイッチの等価回路である。この高周波スイッチはスイッチング素子とインダクタンス素子を主構成とするものであり、第1のポートP1と第3のポートP3の間には、ダイオードDP2のカソードと伝送線路Lsが接続されている。ダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
なお前記インダクタンス素子Lpはチョークコイルとして用いられるものであり、図7のスイッチ回路に示すように、伝送線路Lpで高インピーダンス線路を構成して置き換えることも可能である。
図5は、第1、第2の伝送線路Ls1、Ls2の他の構成例であり、同一層に形成されたスパイラル状の伝送線路Ls1、Ls2を、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。また図6は、複数の層に形成されたスパイラル状の線路導体をスルーホールで接続して伝送線路Ls1、Ls2とし、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。
第1、第2の伝送線路Ls1、Ls2には、それぞれ並列に分布容量Cd1、Cd2が等価的に接続している。ここで第1、第2の伝送線路Ls1、Ls2を直列接続することで、前記分布容量Cd1、Cd2どうしが直列に接続されるため、伝送線路Lsの分布容量Cdは、その合成容量となり著しく小さなものとなる。このため、前記分布容量により特性インピーダンスが大きくなるのを防ぐことが出来る。また、分布容量Cdにより共振周波数が低下することが無いので、アイソレーション特性の劣化を防ぐことが出来、送信信号、受信信号の損失が増加することがない。
また、伝送線路が形成される層の垂直方向から伝送線路に流れる高周波電流を見た場合、伝送線路に流れる高周波電流の周回方向を、第1、第2の伝送線路Ls1、Ls2で同方向にすることで、各スパイラル線路部に発生する逆起電力が、夫々のスパイラル線路へ与える影響を少なく出来る。このため、伝送線路に伝送される高周波信号をスムーズに伝送することが出来る。
低温焼結可能な誘電体材料をドクターブレード法などの公知のシート成形方法によって得られたグリーンシートに、AgやCuといった低抵抗金属材料を用いた導体ペーストで、伝送線路Ls1,Ls2や接続線路、コンデンサ電極パターン、グランド電極パターン等を印刷形成する。得られたグリーンシートを、所定の回路構成となるように適宜積層し、加熱圧着して積層体とする。これを焼結して多層基板とした後、前記多層基板の主面に形成された電極パターン(ランド)にダイオードDp1,Dp2、インダクタンス素子Lp、DCカットコンデンサCp2、Cp3、Cp4を実装してはんだ接続した。なお、インダクタンス素子Lpは伝送線路として、DCカットコンデンサ電極パターンとして積層基板に形成しても良い。また、ダイオードDp1,Dp2等の実装部品と多層基板に形成された電極パターン、また実装面側に形成された外部端子は、適宜スルーホールで電気的に接続されている。
前記多層基板内において、第1、第2の伝送線路Ls1,Ls2はグランド電極パターンGNDに挟まれた領域に形成されている。第1、第2の伝送線路Ls1,Ls2を分割して構成することで、積層基板の厚みを低減することが出来る。また、第1、第2の伝送線路Ls1,Ls2を構成する線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔を広く取ることが出来るため、線路導体の幅を広く構成でき、直流抵抗を低減することが出来る。また、線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔、線路導体の幅の調整等の自由度が従来よりも向上するため、特性インピーダンスの調整も容易となる。
さらには、第1、第2の伝送線路Ls1,Ls2で生じる磁束に伴うグランド電極パターンGNDに生じる渦電流で、第1、第2の伝送線路Ls1,Ls2のインダクタンスを減じることが少なく、このためQ値(クオリティーファクター)の大きなインダクタンスとなり、スイッチ回路としての損失(P1−P3間での挿入損失)を低減することが出来る。
図8は本発明の高周波スイッチ回路を含む、マルチバンド携帯電話のフロントエンド部の回路ブロックであり、図9はその等価回路であり、図10は、図9のフロントエンド回路を多層基板に形成した複合高周波部品の斜視図であり、図11はその多層基板の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、分波回路、フィルタ回路、スイッチ回路を多層基板に構成し、スイッチング素子や、高容量値のキャパシタンス素子や抵抗等のチップ部品を多層基板に搭載して、ワンチップ化した第1乃至4の通信システムに対応した高周波複合部品について説明する。なお説明においては、第1の通信システムをDCS1800、第2の通信システムをPCS1900、第3の通信システムをGSM850、第4の通信システムをGSM900としている。
前記スイッチ回路6のアンテナ側ポートP361(図1の第1ポートP1に対応)にはインダクタンス素子LF1、キャパシタンス素子CF1、CF2を備えたL型のローパスフィルタ3が接続されている。そして、ローパスフィルタ3のアンテナ側ポートP341には2つのフィルタ回路を並列接続したダイプレクサ回路2と接続されている。
前記ダイプレクサ回路2は、GSM850、GSM900或いはDCS1800,PCS1900の送受信信号が、互いの信号経路に回りこまないように、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタから選ばれる複数のフィルタ回路で構成される。4つの通信システムにおいて、相対的に低周波であるGSM850、GSM900の信号経路には、ローパスフィルタを用い、DCS1800,PCS1900の信号経路にはハイパスフィルタを用いることが多い。実施例においても、インダクタンス素子DL1、キャパシタンス素子DC1,DC2で構成されたローパスフィルタと、インダクタンス素子DL2、キャパシタンス素子DC3,DC4、DC5で構成されたハイパスフィルタとでダイプレクサ回路2を構成している。
なお、スイッチ回路5,6は等価回路として実質的に同様の構成であり、動作も同様なので、スイッチ回路5について説明し、スイッチ回路6については、その説明を省く。
本発明に係る高周波スイッチ回路は、第1〜第6のポートを備え、カソードが第1ポートP361に接続されアノードが第2ポートP362に接続された第1ダイオードDg1と、前記第2ポートP362に接続され接地される第1キャパシタンス素子C23と、前記第1ダイオードDg1のアノード側に接続され、第2キャパシタンス素子C21を介して接地される第1インダクタンス素子L21と、前記第1インダクタンス素子L21と第2キャパシタンス素子C21の間に接続される第3ポートV3と、前記第1ポートP361と第4ポートP363との間に接続される第2インダクタンス素子L20(L20−1、L20−2)と、前記第2インダクタンス素子L20の第4ポート側P363とアノードが接続し、並列接続された第3キャパシタンス素子Cg3と抵抗素子Rg1を介して接地される第2ダイオードDg3と、カソードが第1ポートP361に接続され、アノードが第5ポートP364に接続された第3ダイオードDg2と、前記第3ダイオードDg2のアノード側に第4キャパシタンス素子C22を介して接地される第3インダクタンス素子L22と、前記第3インダクタンス素子L22と第4キャパシタンス素子CC22の間に接続される第6ポートV4とを備えるものである。 第1、第3ダイオードDg1、Dg2には、OFF状態でのアイソレーション特性の改善のため、直列接続されたインダクタンス素子Lg1,Lg2、キャパシタンス素子Cg1,Cg2が、第1、第3ダイオードDg1,Dg2と並列接続されている。
高周波スイッチ回路6を構成する第2インダクタンス素子L20は電極パターンで形成されたコイル状のラインパターンで、多層基板内の第3層から第6層にかけて形成されている。前記第2インダクタンス素子L20は、図9の等価回路でインダクタンス素子L20−1.L20−2として表した、積層体の水平方向に分かれた領域に形成された少なくとも2つの伝送線路で構成され、同一の巻回方向となるように第1の伝送線路L20−1と第2の伝送線路L20−2を直列接続して構成される。
本実施例によれば、複合高周波部品を小型に構成出来るとともに、スイッチ回路としての損失(P361−P363間での挿入損失)を低減することが出来た。
2 分波器
3,4 フィルタ
5,6 高周波スイッチ
Claims (4)
- 複数の誘電体層と複数の線路導体を積層した積層体に、前記線路導体を積層方向に前記誘電体層を介して配置し、同一の巻回方向となるように電気的に接続してなる伝送線路と、前記積層体に搭載したスイッチング素子を有する高周波スイッチであって、
前記伝送線路は、前記積層体の水平方向に分かれた領域に形成された少なくとも2つの伝送線路を有し、第1の伝送線路と第2の伝送線路を直列接続してなることを特徴とする高周波スイッチ。 - 前記伝送線路が、マイクロストリップライン、あるいはストリップラインで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波スイッチ。
- 前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路とが、異なる特性インピーダンスを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波スイッチ。
- 第1の回路と第3の回路との間に接続される第1のスイッチング素子と、前記第3の回路と第2の回路との間に接続される伝送線路と、前記伝送線路の前記第2の回路側とグランドとの間に接続される第2のスイッチング素子を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波スイッチ。
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