JP2006157093A5 - - Google Patents
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Description
本発明は準マイクロ波帯などの高周波帯域で用いられる高周波スイッチに関する。
近年の携帯電話の普及には目を見張るものがあり、携帯電話の機能、サービス向上が図られている。当初、携帯電話は1つの送受信系で用いられるシングルバンド携帯電話から始まり、そのための高周波部品として、積層体を用いた高周波スイッチが開発された。(例えば特許文献1)。
その後の携帯電話サービスへの加入者数の急増に伴い、デュアルバンド携帯電話等が市場に投入されている。このデュアルバンド携帯電話は、通常の携帯電話が一つの送受信系のみを取り扱うのに対し、2つの送受信系を取り扱うものであって、利用者は特に意識することなく都合の良い送受信系を選択して利用することができるものである。
例えば、デュアルバンド携帯電話では、GSM1800システム(送信Tx:1710〜1785MHz、受信Rx:1805〜1880MHz)、第2の送受信系としてEGSM900システム(送信Tx:880〜915MHz、受信Rx:925〜960MHz)の2つのシステムに対応する。このような携帯電話では、それぞれの周波数に応じた信号経路、および複数の周波数を切り換えるための分波器と高周波スイッチを用いて構成される高周波スイッチモジュールが用いられている(例えば特許文献2)。
特開平06−197040号
特開平11−225088号
例えば、デュアルバンド携帯電話では、GSM1800システム(送信Tx:1710〜1785MHz、受信Rx:1805〜1880MHz)、第2の送受信系としてEGSM900システム(送信Tx:880〜915MHz、受信Rx:925〜960MHz)の2つのシステムに対応する。このような携帯電話では、それぞれの周波数に応じた信号経路、および複数の周波数を切り換えるための分波器と高周波スイッチを用いて構成される高周波スイッチモジュールが用いられている(例えば特許文献2)。
前記高周波スイッチは一般的にデジタル携帯電話などにおいて、送信回路と受信回路を切り換えるスイッチ回路として用いられる。図12は、インダクタンス素子と、スイッチング素子としてダイオードを用いて構成された高周波スイッチの等価回路図である。
第3のポートP3にはダイオードDP2のカソードとインダクタンス素子Lsが接続されている。前記インダクタンス素子Lsは伝送線路として形成される。そしてダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
第3のポートP3にはダイオードDP2のカソードとインダクタンス素子Lsが接続されている。前記インダクタンス素子Lsは伝送線路として形成される。そしてダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
次に、この高周波スイッチを用いた場合の送受信系の動作について説明する。電源端子T1に正電圧を印加した場合は、ダイオードDP1、DP2に対して順方向の正電圧バイアスとして働く。そのためダイオードDP1、DP2はON状態になる。このとき第2のポートP2からの送信信号は前記第1のポートP1に伝送され、前記第3のポートP3にはほとんど伝送されない。なぜなら、送信時、伝送線路Lsとキャパシタンス素子CP1は送信周波数で共振周波数を持つ直列共振回路であり、送信周波数においては、は伝送線路Lsの受信端子Rxから、第2のダイオードDP2への回路は高周波的にグランドに接地された状態になり、また伝送線路Lsの線路長はλ/4線路長になるように設計されているから、反共振によって、第1のポートP1から第3のポートP3へは理論上インピーダンスが無限大になっているためである。
次に、電源端子T1に電圧を印加しない場合には、ダイオードDP1、DP2はOFF状態となる。このとき、第1のポートP1から入った受信信号はダイオードDP1がOFFのため、第2のポートP2へは伝送されない。またダイオードDP2もOFFのため、キャパシタンス素子CP1や抵抗端子RP1側へは伝送されず、第3のポートP3へ伝送される。
前記伝送線路Lsは、外部回路のインピーダンスにあわせた特性インピーダンスに設定される。通常外部回路のインピーダンスは50オームであるので、前記特性インピーダンスも略50オームに調整されることとなる。
一般的な伝送線路の特性インピーダンスと、線路幅、グランドとの間隔の関係は次の通りである。伝送線路の線路幅が細くなることにより、グランドとの寄生容量が減少するため伝送線路の特性インピーダンスは増大し、グランドとの間隔が狭くなるほど伝送線路の特性インピーダンスは増大する。
また線路長が同じであっても、伝送線路の形成方法によって、その特性インピーダンスは変化する。例えば、伝送線路をコイル状に形成した場合、伝送線路の巻数の増加に伴うインダクタンス成分の増大により、その特性インピーダンスが増大することが知られている。
また線路長が同じであっても、伝送線路の形成方法によって、その特性インピーダンスは変化する。例えば、伝送線路をコイル状に形成した場合、伝送線路の巻数の増加に伴うインダクタンス成分の増大により、その特性インピーダンスが増大することが知られている。
前記したように、伝送線路Lsの長さは、通過帯域における信号のλ/4線路長に相当する長さが必要であり、かつ、その伝送線路の特性インピーダンスを、外部回路のインピーダンスと整合するように、線路導体の幅や、グランドとの間隔等により調整する必要がある。
例えば、図12に開示した従来の高周波スイッチを、比誘電率εrが8の誘電体を用いて形成し、GSM900に対応させる場合には、前記伝送線路Lsの長さは約30mm必要である。これを比較的大きなサイズ、例えば6.7mm×5.0mm×1.2mm程度の積層体に形成する場合であれば、線路導体の幅や、グランドとの間隔等により調整の自由度があり、その形成はそれほど困難ではないが、高周波スイッチの更なる小型化、低背化、複合化が進む中で、より小型で、複数のインダクタンス素子やキャパシタンス素子などの回路素子を積層体に形成する場合では、伝送線路の調整変更が困難となる場合があった。
そこで、伝送線路を積層体に構成する場合に、線路導体をコイルのように重ね合わせて接続し、多層にわたって巻回させて線路長を短く構成することが行われている。前記構成方法は、積層体のような限られた空間において、必要な線路長を有する伝送線路を形成するのに有用な方法である。
しかしながら、図13に示すように、このような伝送線路は等価的に分布容量Cdとの並列共振回路として表される。線路導体を多層にわたって密に重ねあわせると、設計上、伝送線路の特性インピーダンスを50オームとしても、インダクタンス成分、導体線路間の分布容量の増加により、実際に積層体に構成した場合には、特性インピーダンスが50オームよりも大きくなり、外部回路とのインピーダンス不整合が生じることが問題となってきた。
また分布容量Cdにより共振周波数が低下し、その結果、第1のポートP1から第3のポートP3を見たインピーダンスが十分大きくならず、送信信号の一部が第3のポートP3に現れ、アイソレーションが劣化すると言った問題もあった。
しかしながら、図13に示すように、このような伝送線路は等価的に分布容量Cdとの並列共振回路として表される。線路導体を多層にわたって密に重ねあわせると、設計上、伝送線路の特性インピーダンスを50オームとしても、インダクタンス成分、導体線路間の分布容量の増加により、実際に積層体に構成した場合には、特性インピーダンスが50オームよりも大きくなり、外部回路とのインピーダンス不整合が生じることが問題となってきた。
また分布容量Cdにより共振周波数が低下し、その結果、第1のポートP1から第3のポートP3を見たインピーダンスが十分大きくならず、送信信号の一部が第3のポートP3に現れ、アイソレーションが劣化すると言った問題もあった。
そこで本発明は、小型の積層体に構成される高周波スイッチにおいて、伝送線路の特性インピーダンスの調整が容易であり、低損失で電気的特性に優れた高周波スイッチを得ることを目的とする。
本発明は、複数の誘電体層と複数の線路導体を積層した積層体に、前記線路導体を積層方向に誘電体層を介して配置し、同一の巻回方向(周回する電流の方向が同方向)となるように電気的に接続してなるインダクタンス素子と、前記積層体に搭載したスイッチング素子を有する高周波スイッチであって、前記インダクタンス素子は前記積層体の水平方向に分かれた領域に形成された、少なくとも2つの線路導体を有し、第1の線路導体と第2の線路導体を直列接続してなる高周波スイッチである。
本発明においては、他の回路素子との干渉を防ぐように、前記インダクタンス素子をマイクロストリップライン、あるいはストリップラインで構成するのが好ましい。
また本発明においては、前記第1の線路導体と前記第2の線路導体とを、異なる特性インピーダンスとするステップ線路とすれば、他の回路との整合が容易となるので好ましい。異なる特性インピーダンスとするには、線路導体の幅やグランドとの距離を異ならせて構成すればよい。
本発明の高周波スイッチは、前記第1の回路と前記第3の回路との間に接続される第1のスイッチング素子と、前記第3の回路と前記第2の回路との間に接続されるインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子の前記第2の回路側とグランドとの間に接続される第2のスイッチング素子を具備するのが好ましい。
また本発明においては、前記第1の線路導体と前記第2の線路導体とを、異なる特性インピーダンスとするステップ線路とすれば、他の回路との整合が容易となるので好ましい。異なる特性インピーダンスとするには、線路導体の幅やグランドとの距離を異ならせて構成すればよい。
本発明の高周波スイッチは、前記第1の回路と前記第3の回路との間に接続される第1のスイッチング素子と、前記第3の回路と前記第2の回路との間に接続されるインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子の前記第2の回路側とグランドとの間に接続される第2のスイッチング素子を具備するのが好ましい。
本発明によれば、小型の積層体に構成される高周波スイッチにおいて、インダクタンス素子の特性インピーダンスの調整が容易であり、低損失で電気的特性に優れた高周波スイッチを得ることが出来る。
本発明者等は、高周波スイッチのインダクタンス素子を積層体に構成するにあたり、限られた空間内に、必要な線路長を得ながら分布容量を低減するように、少なくとも2つの線路導体を直列接続して形成することを着想した。
図1は、本発明の一実施例に係る高周波スイッチの等価回路である。この高周波スイッチはスイッチング素子とインダクタンス素子を主構成とするものであり、第1のポートP1と第3のポートP3の間には、ダイオードDP2のカソードとインダクタンス素子Lsが接続されている。ダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
なお前記インダクタンス素子Lpはチョークコイルとして用いられるものであり、図7のスイッチ回路に示すように、線路導体Lpで高インピーダンス線路を構成して置き換えることも可能である。
図1は、本発明の一実施例に係る高周波スイッチの等価回路である。この高周波スイッチはスイッチング素子とインダクタンス素子を主構成とするものであり、第1のポートP1と第3のポートP3の間には、ダイオードDP2のカソードとインダクタンス素子Lsが接続されている。ダイオードDP2のアノード側には、一端がグランドに接続されたキャパシタンス素子CP1が直列回路で接続されており、キャパシタンス素子CP1とダイオードDP2の中間接続点には、抵抗端子RPを介して電源端子T1が接続されている。第1のポートP1はダイオードDP1を介して第2のポートP2と接続しており、ダイオードDP1のカソード側と第2のポートP2の中間接続点からインダクタンス素子Lpを介してグランドと接続している。
なお前記インダクタンス素子Lpはチョークコイルとして用いられるものであり、図7のスイッチ回路に示すように、線路導体Lpで高インピーダンス線路を構成して置き換えることも可能である。
第1の線路導体Ls1と第2の線路導体Ls2は、例えば図2に示すように、複数の誘電体層(図示せず)に、左右に分割されて形成されている1ターン未満の線路導体Ls1−1〜Ls1−6、Ls2−1〜Ls2−6を積層して、スルーホール(図中黒丸で表示)で接続し、線路導体Ls1−1〜Ls1−6で第1の線路導体Ls1、線路導体Ls2−1〜Ls2−6で第2の線路導体Ls2を構成している。第1の線路導体Ls1は外周側から内周側へと時計方向に巻回され、第2の線路導体Ls2は内周側から外周側へと時計方向に巻回される構成となっており、もって前記第1の線路導体と前記第2の線路導体を同じ巻回方向としている。前記第1の線路導体Ls1と前記第2の線路導体Ls2は、接続線路を介して直列接続され、高周波信号のλ/4線路長に相当する長さを有するインダクタンス素子Lsを構成している。
図5は、第1、第2の線路導体Ls1、Ls2の他の構成例であり、同一層に形成されたスパイラル状の線路導体Ls1、Ls2を、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。また図6は、複数の層に形成されたスパイラル状の線路導体をスルーホールで接続して線路導体Ls1、Ls2とし、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。
図5は、第1、第2の線路導体Ls1、Ls2の他の構成例であり、同一層に形成されたスパイラル状の線路導体Ls1、Ls2を、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。また図6は、複数の層に形成されたスパイラル状の線路導体をスルーホールで接続して線路導体Ls1、Ls2とし、他の層に形成された接続線路を介して直列接続している。
複数の線路導体を直列に接続し線路導体Lsを構成する場合、その等価回路は図3のように表される。
第1、第2の線路導体Ls1、Ls2には、それぞれ並列に分布容量Cd1、Cd2が等価的に接続している。ここで第1、第2の線路導体Ls1、Ls2を直列接続することで、前記分布容量Cd1、Cd2どうしが直列に接続されるため、線路導体Lsの分布容量Cdは、その合成容量となり著しく小さなものとなる。このため、前記分布容量により特性インピーダンスが大きくなるのを防ぐことが出来る。また、分布容量Cdにより共振周波数が低下することが無いので、アイソレーション特性の劣化を防ぐことが出来、送信信号、受信信号の損失が増加することがない。
また、線路導体が形成される層の垂直方向から線路導体に流れる高周波電流を見た場合、インダクタンス素子に流れる高周波電流の周回方向を、第1、第2の線路導体Ls1、Ls2で同方向にすることで、各スパイラル線路部に発生する逆起電力が、夫々のスパイラル線路へ与える影響を少なく出来る。このため、線路導体に伝送される高周波信号をスムーズに伝送することが出来る。
第1、第2の線路導体Ls1、Ls2には、それぞれ並列に分布容量Cd1、Cd2が等価的に接続している。ここで第1、第2の線路導体Ls1、Ls2を直列接続することで、前記分布容量Cd1、Cd2どうしが直列に接続されるため、線路導体Lsの分布容量Cdは、その合成容量となり著しく小さなものとなる。このため、前記分布容量により特性インピーダンスが大きくなるのを防ぐことが出来る。また、分布容量Cdにより共振周波数が低下することが無いので、アイソレーション特性の劣化を防ぐことが出来、送信信号、受信信号の損失が増加することがない。
また、線路導体が形成される層の垂直方向から線路導体に流れる高周波電流を見た場合、インダクタンス素子に流れる高周波電流の周回方向を、第1、第2の線路導体Ls1、Ls2で同方向にすることで、各スパイラル線路部に発生する逆起電力が、夫々のスパイラル線路へ与える影響を少なく出来る。このため、線路導体に伝送される高周波信号をスムーズに伝送することが出来る。
図4は高周波スイッチの断面図であって、多層基板に本発明に係る高周波スイッチを構成した例である。多層基板は、例えば低温焼結セラミクスを用いて構成される。
低温焼結可能な誘電体材料をドクターブレード法などの公知のシート成形方法によって得られたグリーンシートに、AgやCuといった低抵抗金属材料を用いた導体ペーストで、線路導体Ls1,Ls2や接続線路、コンデンサ電極パターン、グランド電極パターン等を印刷形成する。得られたグリーンシートを、所定の回路構成となるように適宜積層し、加熱圧着して積層体とする。これを焼結して多層基板とした後、前記多層基板の主面に形成された電極パターン(ランド)にダイオードDp1,Dp2、インダクタンス素子Lp、DCカットコンデンサCp2、Cp3、Cp4を実装してはんだ接続した。なお、インダクタンス素子Lpは線路導体として、DCカットコンデンサ電極パターンとして積層基板に形成しても良い。また、ダイオードDp1,Dp2等の実装部品と多層基板に形成された電極パターン、また実装面側に形成された外部端子は、適宜スルーホールで電気的に接続されている。
前記多層基板内において、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2はグランド電極パターンGNDに挟まれた領域に形成されている。第1、第2の線路導体Ls1,Ls2を分割して構成することで、積層基板の厚みを低減することが出来る。また、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2を構成する線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔を広く取ることが出来るため、線路導体の幅を広く構成でき、直流抵抗を低減することが出来る。また、線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔、線路導体の幅の調整等の自由度が従来よりも向上するため、特性インピーダンスの調整も容易となる。
さらには、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2で生じる磁束に伴うグランド電極パターンGNDに生じる渦電流で、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2のインダクタンスを減じることが少なく、このためQ値(クオリティーファクター)の大きなインダクタンスとなり、スイッチ回路としての損失(P1−P3間での挿入損失)を低減することが出来る。
低温焼結可能な誘電体材料をドクターブレード法などの公知のシート成形方法によって得られたグリーンシートに、AgやCuといった低抵抗金属材料を用いた導体ペーストで、線路導体Ls1,Ls2や接続線路、コンデンサ電極パターン、グランド電極パターン等を印刷形成する。得られたグリーンシートを、所定の回路構成となるように適宜積層し、加熱圧着して積層体とする。これを焼結して多層基板とした後、前記多層基板の主面に形成された電極パターン(ランド)にダイオードDp1,Dp2、インダクタンス素子Lp、DCカットコンデンサCp2、Cp3、Cp4を実装してはんだ接続した。なお、インダクタンス素子Lpは線路導体として、DCカットコンデンサ電極パターンとして積層基板に形成しても良い。また、ダイオードDp1,Dp2等の実装部品と多層基板に形成された電極パターン、また実装面側に形成された外部端子は、適宜スルーホールで電気的に接続されている。
前記多層基板内において、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2はグランド電極パターンGNDに挟まれた領域に形成されている。第1、第2の線路導体Ls1,Ls2を分割して構成することで、積層基板の厚みを低減することが出来る。また、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2を構成する線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔を広く取ることが出来るため、線路導体の幅を広く構成でき、直流抵抗を低減することが出来る。また、線路導体とグランド電極パターンGNDとの間隔、線路導体の幅の調整等の自由度が従来よりも向上するため、特性インピーダンスの調整も容易となる。
さらには、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2で生じる磁束に伴うグランド電極パターンGNDに生じる渦電流で、第1、第2の線路導体Ls1,Ls2のインダクタンスを減じることが少なく、このためQ値(クオリティーファクター)の大きなインダクタンスとなり、スイッチ回路としての損失(P1−P3間での挿入損失)を低減することが出来る。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
図8は本発明の高周波スイッチ回路を含む、マルチバンド携帯電話のフロントエンド部の回路ブロックであり、図9はその等価回路であり、図10は、図9のフロントエンド回路を多層基板に形成した複合高周波部品の斜視図であり、図11はその多層基板の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、分波回路、フィルタ回路、スイッチ回路を多層基板に構成し、スイッチング素子や、高容量値のキャパシタンス素子や抵抗等のチップ部品を多層基板に搭載して、ワンチップ化した第1乃至4の通信システムに対応した高周波複合部品について説明する。なお説明においては、第1の通信システムをDCS1800、第2の通信システムをPCS1900、第3の通信システムをGSM850、第4の通信システムをGSM900としている。
図8は本発明の高周波スイッチ回路を含む、マルチバンド携帯電話のフロントエンド部の回路ブロックであり、図9はその等価回路であり、図10は、図9のフロントエンド回路を多層基板に形成した複合高周波部品の斜視図であり、図11はその多層基板の構成を示す分解斜視図である。本実施例では、分波回路、フィルタ回路、スイッチ回路を多層基板に構成し、スイッチング素子や、高容量値のキャパシタンス素子や抵抗等のチップ部品を多層基板に搭載して、ワンチップ化した第1乃至4の通信システムに対応した高周波複合部品について説明する。なお説明においては、第1の通信システムをDCS1800、第2の通信システムをPCS1900、第3の通信システムをGSM850、第4の通信システムをGSM900としている。
前記高周波複合部品は、図8に示したクワッドバンド携帯電話器のフロントエンド部の、ダイプレクサ回路、フィルタ回路、スイッチ回路を備えるものであり、本発明に係る伝送線路はスイッチ回路6のL20部に対応する。
前記スイッチ回路6のアンテナ側ポートP361(図1の第1ポートP1に対応)にはインダクタンス素子LF1、キャパシタンス素子CF1、CF2を備えたL型のローパスフィルタ3が接続されている。そして、ローパスフィルタ3のアンテナ側ポートP341には2つのフィルタ回路を並列接続したダイプレクサ回路2と接続されている。
前記ダイプレクサ回路2は、GSM850、GSM900或いはDCS1800,PCS1900の送受信信号が、互いの信号経路に回りこまないように、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタから選ばれる複数のフィルタ回路で構成される。4つの通信システムにおいて、相対的に低周波であるGSM850、GSM900の信号経路には、ローパスフィルタを用い、DCS1800,PCS1900の信号経路にはハイパスフィルタを用いることが多い。実施例においても、インダクタンス素子DL1、キャパシタンス素子DC1,DC2で構成されたローパスフィルタと、インダクタンス素子DL2、キャパシタンス素子DC3,DC4、DC5で構成されたハイパスフィルタとでダイプレクサ回路2を構成している。
前記スイッチ回路6のアンテナ側ポートP361(図1の第1ポートP1に対応)にはインダクタンス素子LF1、キャパシタンス素子CF1、CF2を備えたL型のローパスフィルタ3が接続されている。そして、ローパスフィルタ3のアンテナ側ポートP341には2つのフィルタ回路を並列接続したダイプレクサ回路2と接続されている。
前記ダイプレクサ回路2は、GSM850、GSM900或いはDCS1800,PCS1900の送受信信号が、互いの信号経路に回りこまないように、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタから選ばれる複数のフィルタ回路で構成される。4つの通信システムにおいて、相対的に低周波であるGSM850、GSM900の信号経路には、ローパスフィルタを用い、DCS1800,PCS1900の信号経路にはハイパスフィルタを用いることが多い。実施例においても、インダクタンス素子DL1、キャパシタンス素子DC1,DC2で構成されたローパスフィルタと、インダクタンス素子DL2、キャパシタンス素子DC3,DC4、DC5で構成されたハイパスフィルタとでダイプレクサ回路2を構成している。
スイッチ回路5、6は、3つの送受信系を切り替えるもので、制御電源V1、V2、V3、V4から供給される電圧により、第1及び第2の通信システムに共通の送信回路TX1,2と第1の通信システムの受信回路Rx1と第2の通信システムの受信回路Rx2とを切り替えるスイッチであり(スイッチ回路5)、第3及び第4の通信システムに共通の送信回路TX3,4と第3の通信システムの受信回路Rx3と第4の通信システムの受信回路Rx4とを切り替えるスイッチである(スイッチ回路6)。
なお、スイッチ回路5,6は等価回路として実質的に同様の構成であり、動作も同様なので、スイッチ回路5について説明し、スイッチ回路6については、その説明を省く。
本発明に係る高周波スイッチ回路は、第1〜第6のポートを備え、カソードが第1ポートP361に接続されアノードが第2ポートP362に接続された第1ダイオードDg1と、前記第2ポートP362に接続され接地される第1キャパシタンス素子C23と、前記第1ダイオードDg1のアノード側に接続され、第2キャパシタンス素子C21を介して接地される第1インダクタンス素子L21と、前記第1インダクタンス素子L21と第2キャパシタンス素子C21の間に接続される第3ポートV3と、前記第1ポートP361と第4ポートP363との間に接続される第2インダクタンス素子L20(L20−1、L20−2)と、前記第2インダクタンス素子L20の第4ポート側P363とアノードが接続し、並列接続された第3キャパシタンス素子Cg3と抵抗素子Rg1を介して接地される第2ダイオードDg3と、カソードが第1ポートP361に接続され、アノードが第5ポートP364に接続された第3ダイオードDg2と、前記第3ダイオードDg2のアノード側に第4キャパシタンス素子C22を介して接地される第3インダクタンス素子L22と、前記第3インダクタンス素子L22と第4キャパシタンス素子CC22の間に接続される第6ポートV4とを備えるものである。
第1、第3ダイオードDg1、Dg2には、OFF状態でのアイソレーション特性の改善のため、直列接続されたインダクタンス素子Lg1,Lg2、キャパシタンス素子Cg1,Cg2が、第1、第3ダイオードDg1,Dg2と並列接続されている。
なお、スイッチ回路5,6は等価回路として実質的に同様の構成であり、動作も同様なので、スイッチ回路5について説明し、スイッチ回路6については、その説明を省く。
本発明に係る高周波スイッチ回路は、第1〜第6のポートを備え、カソードが第1ポートP361に接続されアノードが第2ポートP362に接続された第1ダイオードDg1と、前記第2ポートP362に接続され接地される第1キャパシタンス素子C23と、前記第1ダイオードDg1のアノード側に接続され、第2キャパシタンス素子C21を介して接地される第1インダクタンス素子L21と、前記第1インダクタンス素子L21と第2キャパシタンス素子C21の間に接続される第3ポートV3と、前記第1ポートP361と第4ポートP363との間に接続される第2インダクタンス素子L20(L20−1、L20−2)と、前記第2インダクタンス素子L20の第4ポート側P363とアノードが接続し、並列接続された第3キャパシタンス素子Cg3と抵抗素子Rg1を介して接地される第2ダイオードDg3と、カソードが第1ポートP361に接続され、アノードが第5ポートP364に接続された第3ダイオードDg2と、前記第3ダイオードDg2のアノード側に第4キャパシタンス素子C22を介して接地される第3インダクタンス素子L22と、前記第3インダクタンス素子L22と第4キャパシタンス素子CC22の間に接続される第6ポートV4とを備えるものである。
第1、第3ダイオードDg1、Dg2には、OFF状態でのアイソレーション特性の改善のため、直列接続されたインダクタンス素子Lg1,Lg2、キャパシタンス素子Cg1,Cg2が、第1、第3ダイオードDg1,Dg2と並列接続されている。
前記第1インダクタンス素子L21、第3インダクタンス素子L22は線路導体、あるいはインダクターで形成されており、チョークコイルコイルとして機能するものである。
前記第2インダクタンス素子L20(L20−1、L20−2)はインダクタンス素子を直列に接続して形成されており、それぞれ線路導体で形成されている。
前記第2インダクタンス素子L20(L20−1、L20−2)はインダクタンス素子を直列に接続して形成されており、それぞれ線路導体で形成されている。
GSM850あるいはGSM900の送信時(第1ポートP361と第2ポートP362を接続)には、第3ポートV3に接続された制御電源から与えられた電圧により、第1、第2ダイオードDg1,Dg3がON状態となり、第2インダクタンス素子L20高周波的に接地される。このためGSM850、GSM900の送信周波数において、第1ポートP361から第4ポートP363を見たインピーダンスが、高インピーダンス(オープン状態)となり、送信信号が第4ポートP363に表れない。また、第1ポートP361と第5ポートP364の間の第3ダイオードDg2はOFF状態であるので、そのアイソレーション特性により、第5ポートP364にも送信信号が表れず、高出力増幅器からの送信信号は第1ポートP361に表れる。
GSM900の受信時(第1ポートP361と第5ポートP364を接続)には、第6ポートV4に接続された制御電源から与えられた電圧により、第3、第2ダイオードDg2,Dg3がON状態となり、第2インダクタンス素子L20高周波的に接地される。このためGSM900の受信周波数において、第1ポートP361から第4ポートP363を見たインピーダンスが、高インピーダンス(オープン状態)となり、送信信号が第4ポートP363に表れない。また、第1ポートP361と第2ポートP362の間の第1ダイオードDg1はOFF状態であるので、そのアイソレーション特性により、第2ポートP362にも受信信号が表れず、アンテナ1からの送信信号は第5ポートP364に表れる。
GSM850の受信時(第1ポートP361と第4ポートP363を接続)には、第3、第6ポートV3、V4に接続された制御電源から与えられた電圧により、第1〜第3ダイオードDg1〜Dg3をOFF状態とする。このため、ダイオードのアイソレーション特性により、第2ポートP362、第5ポートP364にも受信信号が表れず、アンテナ1からの送信信号は伝送線路L20を介して第4ポートP363に表れる。
本発明において、ダイプレクサ回路2、ローパスフィルタ回路3,4の構成については、特に限定されるものではなく、公知の他の回路構成を採用しても良い。
多層基板の内部構造について図11をもとに説明する。図11に付与した符号は、図9に付与した符号と対応し一致するものである。図11中に示されていない回路素子は、実装部品200として多層基板100に実装されている。
高周波スイッチ回路6を構成する第2インダクタンス素子L20は電極パターンで形成されたコイル状のラインパターンで、多層基板内の第3層から第6層にかけて形成されている。前記第2インダクタンス素子L20は、図9の等価回路でインダクタンス素子L20−1.L20−2として表した、積層体の水平方向に分かれた領域に形成された少なくとも2つの伝送線路で構成され、同一の巻回方向となるように第1の伝送線路L20−1と第2の伝送線路L20−2を直列接続して構成される。
高周波スイッチ回路6を構成する第2インダクタンス素子L20は電極パターンで形成されたコイル状のラインパターンで、多層基板内の第3層から第6層にかけて形成されている。前記第2インダクタンス素子L20は、図9の等価回路でインダクタンス素子L20−1.L20−2として表した、積層体の水平方向に分かれた領域に形成された少なくとも2つの伝送線路で構成され、同一の巻回方向となるように第1の伝送線路L20−1と第2の伝送線路L20−2を直列接続して構成される。
以上の構成により、5.4mm×4.0mm×0.7mmの積層基板にダイプレクサ回路、ローパスフィルタ回路、スイッチ回路を配置した複合高周波部品を構成することが出来た。
本実施例によれば、複合高周波部品を小型に構成出来るとともに、スイッチ回路としての損失(P361−P363間での挿入損失)を低減することが出来た。
本実施例によれば、複合高周波部品を小型に構成出来るとともに、スイッチ回路としての損失(P361−P363間での挿入損失)を低減することが出来た。
本発明によれば、小型の積層体に構成される高周波スイッチにおいて、伝送線路の特性インピーダンスの調整が容易であり、低損失で電気的特性に優れた高周波スイッチを得ることができる。
1 アンテナ
2 分波器
3,4 フィルタ
5,6 高周波スイッチ
2 分波器
3,4 フィルタ
5,6 高周波スイッチ
Claims (4)
- 複数の誘電体層と複数の線路導体を積層した積層体に、前記線路導体を積層方向に誘電体層を介して配置し、同一の巻回方向となるように電気的に接続してなるインダクタンス素子と、前記積層体に搭載したスイッチング素子を有する高周波スイッチであって、
前記インダクタンス素子は、前記積層体の水平方向に分かれた領域に形成された少なくとも2つの線路導体を有し、第1の線路導体と第2の線路導体を直列接続してなることを特徴とする高周波スイッチ。 - 前記インダクタンス素子が、マイクロストリップライン、あるいはストリップラインで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波スイッチ。
- 前記第1の線路導体と前記第2の線路導体とが、異なる特性インピーダンスを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波スイッチ。
- 第1の回路と第3の回路との間に接続される第1のスイッチング素子と、前記第3の回路と第2の回路との間に接続されるインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子の前記第2の回路側とグランドとの間に接続される第2のスイッチング素子を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波スイッチ。
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