JP2006153835A - 漏洩検査方法および漏洩検査装置 - Google Patents

漏洩検査方法および漏洩検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧力式の漏洩検査において、配管またはタンク内の流体の圧力変化における温度起因の変動分を、状況の変化に応じて高精度で確実に除去することが可能な漏洩検査方法および漏洩検査装置を提供する。
【解決手段】 適応的推定部161は、圧力信号ΔP(t)および温度信号x(t)に基づいて、圧力信号ΔP(t)に占める温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定する。減算部162は、これを圧力信号ΔP(t)から差し引いた温度補償圧力(エラー信号e(t))を求める。制御判定部17は、この温度補償圧力の変化に基づいて配管2の漏洩検査を行う。よって、例えば配管2内の流体に温度分布が存在し、それが時々刻々と変化する状況である場合や、配管2の熱特性が未知のものである場合であっても、流体の圧力変化における温度起因の変動分を、適応的にかつ高精度で確実に除去することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、配管やタンクなどからの流体の漏洩を検査する漏洩検査方法および漏洩検査装置に関する。
燃料ガスや石油類などの流体を、配管を用いて輸送、または各種の圧力タンク内に貯蔵する場合、流体の漏洩の有無またはその程度を検査することは非常に重要である。これらの流体の漏洩は、流体自体の損失や、引火の危険、環境の汚染等につながるからである。
これらの漏洩を検査する方法のうち、最も基本的な方法として、圧力式漏洩検査方法が挙げられる。この方法は、配管やタンク内の流体を所定圧力に加圧し、配管やタンクを閉塞した状態で配管やタンク内の流体の圧力変化を測定することで、流体の漏洩の有無またはその程度を検査するものである。
しかしながら、これらの流体は、周囲の温度変化によってもその圧力が変化してしまう。したがって、この圧力式漏洩検査方法において、漏洩検査の精度を向上させ、信頼性のある検査とするためには、配管やタンク内の流体の圧力変化を測定する際に、その圧力変動分が流体の漏洩に起因するものなのか、あるいは流体の温度変化に起因するものなのかを判別し、流体の温度変化に起因する変化分を適切に除去する必要がある。
そこで、測定した流体または配管やタンク壁の温度を用いて温度補正を行うことにより、このような温度起因の変動分を除去しようとする試みがなされている。
例えば、特許文献1には、パイプライン内を所定圧力に加圧して圧力を計測すると共に流体温度を計測し、この流体温度に基づいて温度補正を行い、補正された圧力値に基づいてパイプラインの漏洩を検出する技術が開示されている。
また、特許文献2には、測定の開始時点および測定時点において配管の管壁温度または周囲温度を測定し、測定時点における温度と特定開始時点における温度とに基づいて、圧力変化補正値を管壁から管内空気への熱伝達を考慮して求め、この圧力変化補正値を用いて配管の漏洩を検出する技術が開示されている。
特開2001−27576号公報 特許第3488198号公報
しかしながら、これらの技術はいずれも、流体および配管もしくはタンクの熱的ダイナミックスが既知であることを前提として温度補正を行うものである。したがって、これらの特性をあらかじめ熟知しておく必要があり、特性が未知の場合、あるいは対象の特性が前提とした特性と異なる場合には、高精度に漏洩を検出することはできない。また、実際の配管やタンクは、空間的に大きな広がりを持ち、複雑な境界条件に支配されるため、上記特許文献中に示されているような単純なダイナミックスで記述されるケースは少ない。
また、これらの温度補正方法は、流体および配管もしくはタンクの熱的ダイナミックスが一定であること、すなわち、システムが時間的に不変であることを仮定しており、検査対象の特性自体が変化したときに対応することができない。しかしながら、実際の配管やタンクの熱的ダイナミックスや温度影響は、気象条件など周囲の状況により変化するのが普通である。
このように、熱特性の知識を必要とすると共に、固定的な補正方法を適用している従来の技術では、流体の圧力変化における温度起因の変動分を状況の変化に応じて高精度で確実に除去するのは困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力式の漏洩検査において、配管またはタンク内の流体の圧力変化における温度起因の変動分を、状況の変化に応じて高精度で確実に除去することが可能な漏洩検査方法および漏洩検査装置を提供することにある。
本発明の漏洩検査方法は、容器内の流体の圧力を測定して測定圧力を求め、容器内の流体の温度、容器の容壁の温度、および容器周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定して測定温度を求め、これらの測定圧力および測定温度に基づいて測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定する適応的推定器を構成し、温度起因圧力成分を測定圧力から差し引くことにより、温度補償圧力を求め、この温度補償圧力の変化に基づいて容器の漏洩検査を行うものである。この場合において、上記適応的推定器として、測定温度に基づいて温度起因圧力成分の推定値を出力すると共に、測定圧力と温度起因圧力成分の推定値との差である誤差信号に基づいて推定特性を適応的に変化させるデジタルフィルタを構成し、このデジタルフィルタの出力によって上記温度起因圧力成分を適応的に推定するようにするのが好ましく、さらに上記温度補償圧力として上記誤差信号を用いるようにするのがより好ましい。
ここで、「流体」とは、気体または液体からなる単相状態の物質体に加え、気体、液体または固体のうちの二相以上が混在した状態のもの、さらにそれらが複数種類混合したものをも含む意味である。また、「容器」とは、流体をその内部に充填する「器」を意味し、前述の配管や、配管よりも容積の大きいタンクなどを包括する上位概念のものである。また、「容器内の流体の圧力」とは、その容器内の流体の絶対圧力のみならず、他の流体との相対圧力をも含む意味である。また、「適応的に推定」とは、ある一定の関係で画一的に推定するのではなく、例えば検査をする際の時間や検査対象の位置など、その状況に応じて推定の仕方を変化させることを意味する。このように構成することで、その状況に応じた推定をすることができる。また、「適応的推定器」とは、上記のような適応的推定を行う手段を意味し、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタやIIR(Infinite Impulse Response)フィルタなどの「デジタルフィルタ」の他、ニューラルネットワークやファジー推定器などを含むものである。すなわち、「適応的推定器」は、「デジタルフィルタ」を含む上位概念のものである。
本発明の漏洩検査装置は、以下の構成要件(A)〜(E)を備えたものである。
(A)容器内の流体の圧力を測定する圧力測定手段
(B)容器内の流体の温度、容器の容壁の温度、および容器周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定する温度測定手段
(C)圧力測定手段により測定された測定圧力および温度測定手段により測定された測定温度に基づいて、測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定する適応的推定器
(D)適応的推定器により推定された温度起因圧力成分を測定圧力から差し引くことにより、温度補償圧力を求める温度補償手段
(E)温度補償手段により求められた温度補償圧力の変化に基づいて、容器の漏洩検査を行う検査手段
この場合において、上記適応的推定器が、上記測定温度に基づいて上記温度起因圧力成分の推定値を出力すると共に、上記測定圧力と上記温度起因圧力成分の推定値との差である誤差信号に基づいて推定特性を適応的に変化させるデジタルフィルタから構成され、このデジタルフィルタの出力によって温度起因圧力成分を適応的に推定するようにするのが好ましく、さらに上記温度補償手段が、上記温度補償圧力として上記誤差信号を用いるようにするのがより好ましい。
本発明の漏洩検査方法および漏洩検査装置では、測定圧力および測定温度に基づいて、測定圧力に占める温度起因圧力成分が適応的に推定され、この温度起因圧力成分を測定圧力から差し引くことにより、温度補償圧力が求められる。そして容器の漏洩検査が、この温度補償圧力の変化に基づいて行われる。適応的推定器を用いるようにした場合には、この出力によって温度起因圧力成分の適応的推定がなされ、さらに温度補償圧力として誤差信号が用いられる。
本発明の漏洩検査方法および漏洩検査装置によれば、容器内の流体の測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定し、これを測定圧力から差し引いた温度補償圧力の変化に基づいて漏洩検査を行うようにしたので、流体の圧力変化における温度起因の変動分を、状況の変化に応じて高精度で確実に除去することができ、高精度で信頼性の高い漏洩検査を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る漏洩検査システムの概略構成を表すものである。この漏洩検査システムは、検査対象である配管2と、検査を行う漏洩検査装置1とから構成される。
配管2は、例えば燃料ガスや石油類などの流体を輸送する際の経路としての役割を果たすものであり、これらの流体をその内部に充填している。また、この配管2は、所定の位置に一対の弁21A、21Bを有する。これらの弁21A、21Bは、漏洩検査を行う際に、所定の配管領域を閉塞するものである。なお、流体としては上記したもの以外にも種々のものを適用することができる。以下、本実施の形態では、配管2内に充填された流体が気体である場合について説明する。
漏洩検査装置1は、エアーシリンダ11と、ピストン12と、リニアアクチュエータ13と、圧力センサ14と、温度センサ15と、適応的推定部161と、減算部162と、制御判定部17と、駆動部18と、表示部19とを備える。
ここで、本実施の形態における圧力センサ14は本発明における「圧力測定手段」の一具体例であり、温度センサ15は本発明における「温度測定手段」の一具体例であり、適応的推定部161は本発明における「適応的推定器」の一具体例であり、減算部162は本発明における「温度補償手段」の一具体例であり、制御判定部17は本発明における「検査手段」の一具体例である。
エアーシリンダ11は、ピストン12およびリニアアクチュエータ13と共に、配管2内に流入質量流量G(t)(kg/s)の流体を流入させ、配管2内の流体を加圧させるものである。具体的には、リニアアクチュエータ13がエアーシリンダ11およびピストン12を駆動することにより、配管2内に流入質量流量G(t)の流体を流入させるようになっている。このリニアアクチュエータ13はさらに、後述するように駆動部18により駆動されるようになっている。なお、配管2内の流体を加圧するものとしては、リニアアクチュエータ13とエアーシリンダ11との組み合わせには限られず、例えば、コンプレッサーなどの圧力源と電磁バルブとの組み合わせ、電動もしくは手動のポンプ、またはムービングコイルとダイアフラムとの組み合わせなど、他のものを用いるようにしてもよい。
圧力センサ14は、配管2内の流体の圧力を測定するものである。この圧力センサ14は、配管2の所定の位置に配置されている。圧力センサ14において測定された圧力(圧力信号P(t))は、適応的推定部161へ出力され、後述する温度起因圧力成分を適応的に推定する際に用いられるようになっている。なお、この圧力センサ14において測定される圧力は絶対圧力であるとは限られず、後述するように、ゲージ圧力(配管2内の圧力Pと大気圧(外気圧)との圧力差)や、他の流体との相対圧力であってもよい。
温度センサ15は、配管2内の流体の温度、配管2の管壁の温度、および配管2周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定するものである。この温度センサ15は、圧力センサ14と同様、配管2の所定の位置に配置されている。温度センサ15において測定された温度(温度信号x(t))は、圧力信号P(t)と同様に適応的推定部161へ出力され、温度起因圧力成分を適応的に推定する際に用いられるようになっている。
適応的推定部161は、圧力センサ14から出力された圧力信号P(t)、および温度センサ15から出力された温度信号x(t)に基づいて、圧力信号P(t)に占める温度起因圧力成分を適応的に推定する機能を有する。具体的には、温度信号x(t)に基づいて温度起因圧力成分の推定値y(t)を出力すると共に、圧力信号P(t)とこの温度起因圧力成分の推定値y(t)との差であるエラー信号e(t)(=P(t)−y(t))に基づいて推定特性を適応的に変化させ、この適応的推定部161の出力によって温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定するようになっている。適応的推定方法の詳細は後述するが、このように配管2内の流体の測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定することにより、配管2内の流体に温度分布が存在し、それが時々刻々変化するような状況であっても、その状況に応じて、流体の圧力変化における温度起因の変動分を適応的に除去することができる。
減算部162は、適応的推定部161において適応的に推定され出力された温度起因圧力成分y(t)を、圧力センサ14から出力された圧力信号P(t)から差し引くことで、温度補償圧力、つまりエラー信号e(t)を求める機能を有する。このようにして求められたエラー信号e(t)は、制御判定部17へ出力されると共に適応的推定部161へも出力され、上記のように適応的推定部161の推定特性を適応的に変化させる際に用いられるようになっている。
これら適応的推定部161としては、例えば、FIRフィルタやIIRフィルタなどのデジタルフィルタの他、ニューラルネットワークやファジー推定器など、種々の適応的推定器の構成を適用することができる。また、適応アルゴリズム(エラー信号e(t)に基づいて推定特性を適応的に変化させるアルゴリズム)としても、種々の構成を適用することができる。例えば、適応的推定部161をFIRフィルタにより構成した場合、適応アルゴリズムとしては、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムや、RLS(Recursive Least Square)アルゴリズム、ブロック適応アルゴリズムなどを適用することができる。
制御判定部17は、駆動部18を制御する機能と、減算部162から出力されたエラー信号e(t)に基づいて、配管2からの流体の漏洩の有無またはその程度を判定する機能とを有する。判定方法の詳細は後述するが、各時点における温度補償圧力、つまりエラー信号e(t)を用いることで、圧力変化における温度起因の変動分を除去後の真の圧力変化により判定することができるようになっている。制御判定部17において判定された漏洩の有無またはその程度の結果は、表示部19へ出力される。
駆動部18は、制御判定部17からの制御信号に基づいて、リニアアクチュエータ13を駆動する機能を有する。また、表示部19は、制御判定部17において判定された漏洩の有無またはその程度の結果に基づいて、その結果をディスプレイなどに表示し、ユーザへ知らせる機能を有する。なお、ユーザへ知らせる手段としては、ディスプレイなどに表示する代わりに(あるいはそれに加えて)、スピーカなどを用いて音声により行うようにしてもよい。以下の例においても、同様である。
次に、まず流体が気体である場合の一般的な圧力式の漏洩検査方法について説明する。
図2は、配管2内に充填された気体の状態方程式を説明するためのものであり、模式的に示している。この配管2内には、圧力P、容積V0、質量M、分子量m、温度Tの気体が充填されている。また、この配管2には流入質量流量G(t)(kg/s)の気体が流入すると共に、配管2からは漏洩流量Q(m3/s)かつ漏洩密度ρ(kg/m3)の気体が漏洩している。
この場合、この配管2内に充填された気体の状態方程式は、以下の式(1)のようになる。ここで、Rは気体定数を表す。
Figure 2006153835
式(1)を時間tで微分すると、時間変化は以下の式(2)のようになる。また、式(2)の両辺を、式(1)で割ると、以下の式(3)のようになる。さらに、圧力P、質量M、温度Tの時間変化分が小さく、二次微小項を無視することができるとすると、以下の式(4)のようになる。なお、初期圧力P0、初期質量M0、初期温度T0はそれぞれ、初期状態(時間t=0)における値を表す。
Figure 2006153835
ここで、前述のように配管2には、気体の流入および漏洩があるので、配管2内の気体の質量Mは、以下の式(5)のように表すことができる。また、この気体の漏洩がごく微小である場合には、漏洩流量Qは、ポワズイユ流で近似することができる。この場合、図3に示したように、配管2内の圧力をP、大気圧(外気圧)をPatmとすると、漏洩流量Qは以下の式(6)のように、圧力差ΔPに比例する。ここで、圧力差ΔP=P−Patmであり(ゲージ圧力)、ΔLは配管2の管壁の厚み、aは気体が漏洩している部分の等価半径、μは気体の粘性係数を表す。なお、実際の漏洩孔は、円断面でも容壁に垂直でもないが、漏洩流量Qは等価的に式(6)のように記述することができる。
Figure 2006153835
次に、式(4)に式(5)および式(6)を代入すると、以下の式(7)のようになる。また、(ρ/M0)≒(1/V0)であり、(πa4/8μΔL)=k(漏洩係数)と定義すると、以下の式(8)のように表すことができる。さらに、大気圧Patmは定数であることから、(dP/dt)=(d/dt)・ΔPとなるので、式(8)中の圧力Pを圧力差ΔPで記述すると、以下の式(9)のように表すことができる。ただし、P0は絶対圧力で表した初期圧力である。
Figure 2006153835
この式(9)が、圧力式の漏洩検査方法に用いる基本式であり、一般的には、以下のステップS11〜S13により、気体の漏洩の有無またはその程度を判定する。
ステップS11:配管2内へ流入質量流量G(t)を流入させ、配管2内の気体のゲージ圧力ΔPを増加((dΔP/dt)>0とする)させる(加圧工程)。
ステップS12:配管2を閉塞する(流入質量流量G(t)=0とする)。
ステップS13:圧力降下((dΔP/dt)<0の場合における(dΔP/dt)の値)を観測し、気体の漏洩の有無またはその程度を判定する。式(9)において、気体の漏洩がある場合(漏洩係数k≠0)には、第2項により配管2内の圧力差ΔPの降下が起こるからである。
このようにして、式(9)を用いて圧力式の漏洩検査を行うことができる。しかしながら、流入質量流量G(t)=0の場合、式(9)の右辺には、第2項(−(k/V0)・ΔP)の他に、温度起因の変動分である第3項((1/T)・(dT/dt))が存在する。したがって、上記のステップS13のように、この温度起因の変動分を考慮しないでkの値を求めた場合、誤差が生じ、漏洩検査の精度が劣化することとなる。さらに、第2項よりも第3項の値の方が大きい場合には、圧力降下が生じず((dΔP/dt)>0となる)、気体の漏洩を見逃してしまう虞もある。したがって、式(9)中の第3項を適切に求め除去することができれば、温度起因の変動分を考慮した漏洩検査を行うことができ、検査の精度が向上することとなる。本実施の形態の漏洩検査方法では、前述の適応的推定部161および減算部162が、各時点の測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定し除去することで、式(9)中の第3項を適切に求め除去するようになっている。
次に、本実施の形態の漏洩検査方法について、特徴的な部分、つまり各時点の測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定し除去する方法を中心に説明する。
ステップS21:上記のステップS11と同様に、配管2内へ流入質量流量G(t)を流入させ、配管2内の気体のゲージ圧力ΔPを増加させる(加圧工程)。具体的には、リニアアクチュエータ13がエアーシリンダ11およびピストン12を駆動し、配管2内に流入流量G(t)を流入させることで、ゲージ圧力ΔPを増加させる。
ここで、流入質量流量G(t)(kg/s)は、気体の密度をρ(kg/m3)、流入体積流量をV(t)(m3/s)とすると、以下の式(10)のように表すことができる。
G(t)=ρ・V(t) ……(10)
ただし、気体の流入量が配管2内の気体の容積に対して微小なものであり、気体の密度ρの変化は、無視することができる程度のものとする。また、この際、流入質量流量G(t)は、各時点で配管2内の気体の温度が一定とみなせる程度に緩やかに変動するものとする。言い換えれば、配管2内の気体の圧縮および膨張が等温変化とみなせるように、流入質量流量G(t)が設定されているものとする。本実施の形態の場合、例えば、エアーシリンダ11の変位および有効断面積をそれぞれ、L(t)=ΔL・sin(2πf0t)、Sとすると、上記の式(10)を用いて、流入質量流量G(t)は以下の式(11)のように表すことができる。
G(t)=ρ・S・(dL(t)/dt)
=(2πf0・ρSΔL)cos(2πf0t) ……(11)
ステップS22:圧力センサ14により配管2内の気体の圧力を測定し、温度センサ15により、配管2内の流体の温度、配管2の管壁の温度、および配管2周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定する。そして、圧力センサ14および温度センサ15はそれぞれ、ゲージ圧力で表された圧力信号ΔP(t)、温度信号x(t)を、適応的推定部161へ出力する。
ステップS23:適応的推定部161が、圧力信号ΔP(t)および温度信号x(t)に基づいて、圧力信号ΔP(t)に占める温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定する。この温度起因圧力成分y(t)は配管2全体の平均温度で決まるものであり、配管2内の流体の温度、配管2の管壁の温度、および配管2周囲の温度の少なくとも1つを測定したものである温度信号x(t)そのものではないが、密接に関係するものである。言い換えれば、これらは互いにコヒーレントな信号である。そこで、適応的推定部161は、温度信号x(t)に基づいて温度起因圧力成分の推定値y(t)を出力すると共に、減算部162から出力されるエラー信号e(t)に基づいて推定特性を適応的に変化させ、この適応的推定部161の出力によって温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定することができる。具体的には、例えば前述のFIRフィルタなどが温度起因圧力成分の推定値y(t)を出力し、例えば前述のLMSアルゴリズムなどがエラー信号e(t)に基づいて推定特性を適応的に変化させ、エラー信号e(t)を収束させる処理を実行する。
ここで、適応的推定部161をFIRフィルタで構成した場合の一例について説明する。まず、温度信号x(t)を離散時間系で記載すると、N次元ベクトル(N:2以上の自然数)を用いて、以下の式(12)のように表すことができる。
Figure 2006153835
この場合、温度起因圧力成分y(t)およびエラー信号e(t)は、以下の式(13)および式(14)のようになる。
Figure 2006153835
ここで、hN (t)は以下の式(15)に示したようなN次元ベクトルであり、FIRフィルタのインパルス応答を表す。また、式(15)中の添字Tは、そのベクトルの転置を表す。
Figure 2006153835
また、このインパルス応答hN (t)については、適応アルゴリズムにより、その値が適応的に変化するようになっている。具体的には、例えばLMSアルゴリズムの場合、以下の式(16)のようにして、インパルス応答hN (t)の値が適応的に変化する。
Figure 2006153835
ここで、ステップゲインαは、入力信号(この場合、温度信号xN(t))の性質に応じて決定される定数である。したがって、具体的な適応状況に応じて、ある程度経験側的に決定される。また、インパルス応答hN (t)の初期値は、通常ゼロベクトルとすればよい。ただし、システムのインパルス応答がある程度予測される場合、例えば類似の条件下でのフィルタのインパルス応答が分かっているような場合には、フィルタの適応に要する時間の短縮のため、そのフィルタの初期値を用いるようにするのが好ましい。
このようにして、適応的推定部161をFIRフィルタおよびLMSアルゴリズムにより構成した場合、適応的推定部161では、まず、式(13)により、温度信号xN(t)から温度起因圧力成分の推定値y(t)が求められる。そして減算部162では、式(14)により、エラー信号e(t)が求められる。次に、式(16)により、温度信号xN(t)および求められたエラー信号e(t)からインパルス応答hN (t)が更新され、インパルス応答hN (t+1)となる。そして、この更新されたインパルス応答hN (t+1)を用いて、式(13)により、再び温度起因の変動分yの推定値(t)が求められる。このようにして、適応的推定部161の推定特性を適応的に変化させる処理が繰り返されることで、インパルス応答hN (t)は最終的に一定の値に収束する。このときのエラー信号e(t)は、適応的推定部161の「エラー信号」であると共に、前述のように各時点における温度補償圧力でもある。そこでこのエラー信号e(t)を用いることで、圧力変化における温度起因の変動分を除去後の真の圧力変化により、漏洩検査を行うことができる。
ステップS24:前述のステップS13と同様に、圧力変動を観測し、気体の漏洩の有無またはその程度を判定、つまり漏洩検査を行う。この際、適応的推定部161および減算部162により求められた温度補償圧力であるエラー信号e(t)を用いる。この気体の漏洩の有無またはその程度の判定は、制御判定部17が行う。また、この判定には、本実施の形態の場合、温度補償圧力であるエラー信号e(t)と式(11)における流入質量流量G(t)との位相差を利用している。漏洩がない場合、これらの位相差は90度であるが、漏洩が存在する場合には、漏洩の大きさに比例した位相のずれが生じるからである。なお、制御判定部17により判定された結果は、出力部19において、ディスプレイなどに表示される。これにより、ユーザは、漏洩検査の結果を知ることができる。以上で、本実施の形態の漏洩検査方法が終了となる。
以上のように、本実施の形態では、適応的推定部161が、圧力センサ14から出力されたゲージ圧力の圧力信号ΔP(t)および温度センサ15から出力された温度信号x(t)に基づいて圧力信号ΔP(t)に占める温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定し、減算部162がこれを圧力信号ΔP(t)から差し引いた温度補償圧力(エラー信号e(t))を求め、制御判定部17がこの温度補償圧力の変化に基づいて配管2の漏洩検査を行うようにしたので、例えば、配管2内の流体に温度分布が存在し、それが時々刻々と変化する状況である場合や、配管2の熱的ダイナミックスが未知のものである場合であっても、流体の圧力変化における温度起因の変動分を、状況の変化に応じて高精度で確実に除去することができる。よって、高精度で信頼性の高い漏洩検査を行うことができる。
また、漏洩検査を高精度で行うことができるので、検査に費やす時間および費用を、大幅に削減することができる。特に、適応的推定部161をLMSアルゴリズムにより構成した場合には、アルゴリズムが簡潔であるため、安価で小規模なハードウェアを用いて漏洩検査システムを構築することができる。
さらに、一般的な適応的推定器およびアルゴリズムにより適応的推定部161を構成することができ、検査対象の条件に応じて最適な漏洩検査システムを構築することができる。
なお、本実施の形態では、流入質量流用G(t)と温度信号x(t)とが無相関である場合、すなわち、ステップS22において、ステップS12のように配管2を閉塞する(流入質量流量G(t)=0とする)必要がなく、配管2内の流体の圧力を増加または減少させながら温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定することが可能な場合について説明してきたが、流入質量流用G(t)と温度信号x(t)とが相関がある場合には、ステップS12のように配管2を閉塞してから適応的推定を行うようにしてもよい。このように構成した場合でも、本実施の形態と効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
上記第1の実施の形態においては、配管2内に充填された流体についての漏洩検査方法の一例について説明したが、本実施の形態では、配管2よりも容積の大きいタンク5内に充填された流体についての漏洩検査方法の例について説明する。なお、説明の簡潔化を図るため、以下、第1の実施の形態と同様の部位については、同じ符号を付して説明する。
図4は、本実施の形態に係る漏洩検査システムの概略構成を表すものである。この漏洩検査システムは、検査対象であるタンク5と、検査を行う漏洩検査装置4とから構成される。
タンク5は、例えば燃料ガスや石油類などの流体を貯蔵する際の貯蔵器としての役割を果たすものであり、これらの流体を内部に充填している。また、このタンク5は、所定の位置に、タンクを閉鎖するための弁51を有する。
漏洩検査装置4は、ポンプ41と、電磁バルブ42と、圧力センサ14と、複数の温度センサ451〜454と、適応的推定部461と、減算部162と、制御判定部17と、駆動部48と、表示部19とを備える
ここで、本実施の形態における温度センサ451〜454は本発明における「温度測定手段」の一具体例であり、適応的推定部461は本発明における「適応的推定器」の一具体例である。
ポンプ41は、タンク5内へ流体を流入させるためのものである。また、電磁バルブ42は、圧力測定中にタンク5を閉塞するためのものである。すなわち、本実施の形態では第1の実施の形態とは異なり、タンク5を閉塞してから適応的推定を行うようになっている。なお、これらポンプ41および電磁バルブ42は、後述するように駆動部48により駆動されるようになっている。
温度センサ451〜454は、第1の実施の形態における温度センサ15と同様に、タンク5内の流体の温度、タンク5の容壁の温度、およびタンク5周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定するものである。これら複数の温度センサ451〜454は、タンク5の所定の位置に配置されている。第1の実施の形態とは異なり、複数の温度センサ451〜454を配置しているのは、上記のように本実施の形態におけるタンク5は第1の実施の形態における配管2よりも大きいので、場所によって異なる温度変動を受ける可能性があるからである。温度センサ451〜454においてそれぞれ測定された温度(温度信号x1(t)〜x4(t))は、第1の実施の形態における温度信号x(t)と同様に適応的推定部461へ出力され、温度起因の圧力変動分を適応的に推定する際に用いられるようになっている。
駆動部48は、制御判定部17からの制御信号に基づいて、ポンプ41および電磁バルブ42を駆動する機能を有する。
適応的推定部461は、圧力センサ14から出力されたゲージ圧力の圧力信号ΔP(t)、および複数の温度センサ451〜454からそれぞれ出力された温度信号x1(t)〜x4(t)に基づいて、圧力信号ΔP(t)に占める温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定する機能を有する。具体的には、複数の温度信号x1(t)〜x4(t)に基づいて温度起因圧力成分の推定値y(t)を出力すると共に、圧力信号ΔP(t)とこの温度起因圧力成分の推定値y(t)との差であるエラー信号e(t)に基づいて推定特性を適応的に変化させ、この適応的推定部461の出力によって温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定するようになっている。第1の実施の形態における適応的推定部161とは異なり、複数の温度信号x1(t)〜x4(t)により推定しているのは、前述のようにタンク5が第1の実施の形態における配管2よりも大きく、場所によって異なる温度変動を受ける可能性があるからである。また、この適応的推定部461における適応的推定器の構成、および適応アルゴリズムの構成についても、適応的推定部161の場合と同様、種々のものを適用することができる。なお、適応的推定方法の詳細については、適応的推定部161の場合と同様であるので、その説明を省略する。
ここで、本実施の形態の適応的推定部461において特徴的なのは、温度起因圧力成分y(t)の適応的推定およびそれに基づく温度補償圧力(エラー信号e(t))を求めるのみで、漏洩検査を行わない期間が設けられている点である。これは、温度変動の統計的性質などによっては適応的推定部461が収束するまでに長い時間を要する場合があることを考慮したものであり、このような期間を設け、あらかじめタンク5の熱的ダイナミックスを推定しておいてから漏洩検査を行うことで、漏洩検査のためにタンク5を加圧しておく期間を大幅に短縮することが可能となる。
以上のように、本実施の形態では、温度起因圧力成分y(t)の適応的推定およびそれに基づく温度補償圧力を求めるのみで、漏洩検査を行わない期間を設けるようにしたので、第1の実施の形態における効果に加え、より効率的に漏洩検査を行うことができる。
以上、第1および第2の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、適応的推定部161,461が、FIRフィルタおよびLMSアルゴリズムにより構成されている場合の適応的推定方法について説明してきたが、適応的推定部161,461および減算部162を、前述した他の適応的推定器およびアルゴリズムにより構成してもよい。この場合でも、上記の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、適応的推定部161,461が、温度信号x(t)を入力とし、圧力信号ΔP(t)に占める温度起因圧力成分の推定値を出力するものについて説明してきたが、逆に、適応的推定部161,461を、圧力信号ΔP(t)を入力とし、その原因信号である温度の推定値を出力するものとして構成するようにしてもよく、さらにこれらを組み合わせて構成するようにしてもよい。これらの場合でも、上記の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、配管2またはタンク5内に充填されている流体が気体である場合について説明してきたが、この流体は液体であってもよく、さらに、本発明は例えば図5に示した漏洩検査システムのように、気体と液体Lqとが混在している流体を含め、気体、液体または固体のうちの二相以上が混在しているもの、さらにはそれらが複数種類混合しているものにも適用することができる。ただし、例えばタンク5内に空気と気液二相の物質が混在しているような場合には、物質の蒸気圧が変化してタンク5内の気体の組成比が変化すると、容器内の流体の圧力が影響を受けてしまう。このように、流体の組成比の影響も考慮しなければならない場合がある。また、例えばタンク5の支持状態などの外的条件の変化に伴って、配管2やタンク5の変形が生じた場合にも、容器内の流体の圧力が影響を受けてしまう。
そこで、このように容器の形状変化や容器内の流体の組成比の変化も考慮して漏洩検査を行う場合には、例えば図5に示した漏洩検査システムのように、タンク7の所定の位置に、前述の複数の温度センサ451〜453に加え、タンク7の形状変化量を測定する歪みセンサ655や、タンク7内の流体の組成比を流体の蒸気圧により測定する蒸気圧センサ656などを配置するように構成すればよい。具体的には、この漏洩検査装置6内の適応的推定部661が、温度センサ451から出力される複数の温度信号x1(t)〜x3(t)に加え、歪みセンサ655から出力される形状変化量信号x5(t)および蒸気圧センサから出力される蒸気圧信号x6(t)にも基づいて、温度起因圧力成分y(t)を適応的に推定するように構成すればよい。このように構成した場合でも、適応的推定部661の構成および適応アルゴリズムの観点からは、適応的予測部661に入力される信号のベクトルにおける次元数が増加するだけであるので、上記第2の実施の形態において複数の温度信号x1(t)〜x4(t)を用いた場合と原理上の相違はなく、上記の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、図5においては、歪みセンサ655および蒸気圧センサ656の両者が設置されているが、どちらか一方のみを設置するようにしてもよい。また、図5に示した蒸気圧センサ5の代わりに(あるいはこれに加えて)、タンク7内の流体の組成比を直接測定する組成センサや、この流体の組成比をその密度により測定する密度センサなどを配置するように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、圧力センサ14において測定された絶対圧力(圧力信号P(t))またはゲージ圧力(圧力信号ΔP(t))を用いて、温度起因圧力成分を適応的に推定する場合について説明してきたが、例えば図5に示した漏洩検査装置6のように、検査対象であるタンク7とは別個に基準容器8を配置すると共にこの基準容器8内の圧力とタンク7内の圧力との差圧を測定する差圧センサ64を設け、この差圧センサ64において測定された差圧(圧力信号P'(t))を用いるように構成してもよい。この漏洩検査装置6では、まず電磁バルブ43,43を開くことで、タンク7および基準容器8が同じ圧力となるよう、ポンプ41により加圧する。そしてその後、これら電磁バルブ43,44を閉じることで、基準容器8内の圧力とタンク7内の圧力との差圧を測定するようになっている。ここで、タンク7および基準容器8の周囲温度は同一であることから、それぞれの内部の流体の圧力は、ほぼ同程度の温度影響を受けることとなる。したがって、このように基準容器8内の圧力とタンク7内の圧力との差圧を測定するような構成とすることで、温度影響を取り除く効果をより一層高めることができる。また、このような差圧を測定する図5の構成では、差圧センサ64に要求される温度測定範囲が小さくなることから、より感度の高い(分解能の小さい)センサを用いることができ、タンク5内のわずかな圧力変動をも検知することが可能となる。さらに、ゲージ圧力による測定において問題となるような、大気圧変動の影響を受けなくなるという効果も奏する。
なお、図5に示したように、基準容器8内に充填されている流体もタンク7の場合と同様に、気体と液体Lqとが混在しているものを含め、気体、液体または固体のうちの二相以上が混在しているように構成することができる。また、この基準容器8がタンク7内に配置されているように構成してもよい。また、タンク7の場合と同様に、基準容器8の所定の位置にも前述の温度センサや歪みセンサ、蒸気圧センサなど種々のセンサを配置するようにしてもよい。さらに、図5に示した例では、差圧センサ64によって、基準容器8内の圧力とタンク7内の圧力との差圧を直接測定しているが、それぞれの圧力を別個に測定して差圧を求めるようにしてもよい。
また、本発明では、温度センサ15,451〜454で測定される配管2,タンク5内の流体の温度、配管2,タンク5の壁の温度、または配管2,タンク5周囲の温度を、強制的に変化させるようにしてもよい。このように温度を強制的に変化させるようにした場合、使用する適応アルゴリズムに対して最適な性質の温度変動を加えることができるので、漏洩検査の効率および精度をより向上させることが可能となる。
本発明の漏洩検査方法および漏洩検査装置は、燃料ガス配管設備、各種の圧力容器、工業用品の品質検査など、漏洩検査が行われているあらゆる産業分野で利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る漏洩検査システムの概略構成図である。 配管内に充填された気体の状態方程式を説明するための模式図である。 漏洩流量と圧力との関係を説明するための模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る漏洩検査システムの概略構成図である。 本発明の変形例に係る漏洩検査システムの概略構成図である。
符号の説明
1,4,6…漏洩検査装置、11…エアーシリンダ、12…ピストン、13…リニアアクチュエータ、14…圧力センサ、15,451〜454…温度センサ、161,461,661…適応的推定部、162…減算部、17…制御判定部、18,48…駆動部、19…表示部、2…配管、21,51…弁、41…ポンプ、42,43…電磁バルブ、5,7…タンク、64…差圧センサ、655…歪みセンサ、656…蒸気圧センサ、8…基準容器、P(t),ΔP(t)…圧力信号、x(t)…温度信号、y(t)…温度起因圧力成分(の推定値)、e(t)…誤差信号(温度補償圧力)、Lq…液体。

Claims (16)

  1. 容器内の流体に対して加圧または減圧を行ったときの圧力変化に基づいて、この容器からの流体の漏洩の有無またはその程度を検査する漏洩検査方法であって、
    前記容器内の流体の圧力を測定して測定圧力を求め、
    前記容器内の流体の温度、前記容器の容壁の温度、および前記容器周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定して測定温度を求め、
    前記測定圧力および前記測定温度に基づいて前記測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定する適応的推定器を構成し、
    前記温度起因圧力成分を前記測定圧力から差し引くことにより、温度補償圧力を求め、
    前記温度補償圧力の変化に基づいて前記容器の漏洩検査を行う
    ことを特徴とする漏洩検査方法。
  2. 前記適応的推定器として、前記測定温度に基づいて前記温度起因圧力成分の推定値を出力すると共に、前記測定圧力と前記温度起因圧力成分の推定値との差である誤差信号に基づいて推定特性を適応的に変化させるデジタルフィルタを用い、
    前記デジタルフィルタの出力によって前記温度起因圧力成分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  3. 前記温度補償圧力として前記誤差信号を用いる
    ことを特徴とする請求項2に記載の漏洩検査方法。
  4. 前記測定圧力として、内部に流体が充填された基準容器内の流体の圧力と、前記容器内の流体の圧力との差を用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  5. 前記容器の形状変化量を測定して測定形状変化量をさらに求め、
    前記適応的推定器は、前記測定形状変化量も考慮して、前記温度起因圧力変動分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  6. 前記容器内の流体の組成比を測定して測定流体組成比をさらに求め、
    前記適応的推定器は、前記測定流体組成比も考慮して、前記温度起因圧力変動分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  7. 前記温度起因圧力成分の適応的推定および前記温度補償圧力を求めることのみを行い、前記漏洩検査を行わない期間を設ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  8. 前記容器内の流体の温度、前記容器の容壁の温度、または前記容器周囲の温度を強制的に変化させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査方法。
  9. 容器内の流体に対して加圧または減圧を行ったときの圧力変化に基づいて、この容器からの流体の漏洩の有無またはその程度を検査する漏洩検査装置であって、
    前記容器内の流体の圧力を測定する圧力測定手段と、
    前記容器内の流体の温度、前記容器の容壁の温度、および前記容器周囲の温度のうちの少なくとも1つを測定する温度測定手段と、
    前記圧力測定手段により測定された測定圧力および前記温度測定手段により測定された測定温度に基づいて、前記測定圧力に占める温度起因圧力成分を適応的に推定する適応的推定器と、
    前記適応的推定器により推定された温度起因圧力成分を前記測定圧力から差し引くことにより、温度補償圧力を求める温度補償手段と、
    前記温度補償手段により求められた温度補償圧力の変化に基づいて、前記容器の漏洩検査を行う検査手段と
    を備えたことを特徴とする漏洩検査装置。
  10. 前記適応的推定器は、前記測定温度に基づいて前記温度起因圧力成分の推定値を出力すると共に、前記測定圧力と前記温度起因圧力成分の推定値との差である誤差信号に基づいて推定特性を適応的に変化させるデジタルフィルタから構成され、このデジタルフィルタの出力によって前記温度起因圧力成分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。
  11. 前記温度補償手段は、前記温度補償圧力として前記誤差信号を用いる
    ことを特徴とする請求項10に記載の漏洩検査装置。
  12. 前記圧力測定手段は、内部に流体が充填された基準容器内の流体の圧力と、前記容器内の流体の圧力との差を測定する
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。
  13. 前記容器の形状変化量を測定する形状変化量測定手段をさらに備え、
    前記適応的推定器は、前記形状変化量測定手段により測定された測定形状変化量も考慮して、前記温度起因圧力変動分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。
  14. 前記容器内の流体の組成比を測定する組成比測定手段をさらに備え、
    前記適応的推定器は、前記組成比測定手段により測定された測定流体組成比も考慮して、前記温度起因圧力変動分を適応的に推定する
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。
  15. 前記適応的推定器による温度起因圧力成分の適応的推定および前記温度補償手段による温度補償圧力を求めることのみを行い、前記漏洩検査を行わない期間が設けられている
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。
  16. 前記容器内の流体の温度、前記容器の容壁の温度、または前記容器周囲の温度を強制的に変化させる温度変化手段を備えた
    ことを特徴とする請求項9に記載の漏洩検査装置。

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