JP3488198B2 - 配管の漏洩検出方法及び装置 - Google Patents

配管の漏洩検出方法及び装置

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JP3488198B2
JP3488198B2 JP2000361666A JP2000361666A JP3488198B2 JP 3488198 B2 JP3488198 B2 JP 3488198B2 JP 2000361666 A JP2000361666 A JP 2000361666A JP 2000361666 A JP2000361666 A JP 2000361666A JP 3488198 B2 JP3488198 B2 JP 3488198B2
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旭郎 岡田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管の漏洩の有無
を検出する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物に配される水道管、ガス管等の配
管は、建設現場で組み立てられるため、現場で組み立て
た後でなければ、漏洩の有無を検査できない。漏洩の有
無の検査は、水道管の場合、配管内に実際に水を導入す
ることが、最も好ましいが、検査が大掛かりとなり、ま
た漏洩箇所では、水漏れしてしまう。そこで、配管に圧
縮空気を充填し、管内圧力の変化によって漏洩の有無を
検査する方法が提案されている。この方法を用いれば、
配管内に空気を充填するため、検査のための装置が単純
であり、また、漏洩箇所で水漏れすることも無い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、空気等
の気体は温度変化によって容積が変化するため、温度変
化により圧力が変化する。一般に、大気温度は常に変動
しており、例えば、30分間で約0.5℃変化することも
よくある。このような大気温度の変化による管内圧力の
変動は、漏洩箇所の検査における圧力変動と比較して極
めて大きい。したがって、従来の配管の漏洩検出方法で
は、圧力変化が、漏洩が有ることによるものか、温度変
化によるものか判別し難い。このため、漏洩検出精度が
良くない。そこで、本発明では、温度変化による気体圧
力変化を考慮することにより、気体を用いながら配管の
漏洩を正確に検出できる漏洩検出方法及び装置方法を提
供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願第一の発明は、請求項1に記載の通りの配管の
漏洩検出方法である。この方法では、配管の管内に気体
を充填し、測定時点における配管の管壁の温度と測定開
始時点における配管の管壁の温度に基づいて、配管に漏
洩が発生していないと仮定した場合の、温度変化のみに
よる測定時点における圧力変化補正値を、管壁から管内
空気への熱伝達を考慮して求める。そして、測定時点に
おける配管の管内圧力と、測定時点における圧力変化補
正値と、測定開始時点の管内圧力とに基づいて配管の漏
洩を検出する。このため、測定中に温度変化が生じた場
合でも漏洩の有無を正しく検出することができる。管壁
の温 度を測定することで配管の漏洩の有無を検出するこ
とができるため、測定が簡単である。本願第二の発明
は、請求項2に記載の通りの配管の漏洩検出方法であ
る。この方法では、配管の管内に気体を充填し、測定時
点における配管の周囲の温度と測定開始時点における配
管の周囲の温度に基づいて、配管に漏洩が発生していな
いと仮定した場合の、温度変化のみによる測定時点にお
ける圧力変化補正値を、管壁から管内空気への熱伝達を
考慮して求める。そして、測定時点における配管の管内
圧力と、測定時点における圧力変化補正値と、測定開始
時点の管内圧力とに基づいて配管の漏洩を検出する。こ
のため、測定中に温度変化が生じた場合でも漏洩の有無
を正しく検出することができる。配管の周囲の温度を測
定することで、配管の漏洩の有無を検出することができ
るため、測定が簡単である。また、複数種類の管材によ
り構成される配管を測定する場合、周囲温度を測定する
だけで、全ての管材について、圧力変化補正値を求める
ことができ、測定が簡単である。
【0005】また、請求項に記載の発明によれば、検
査する配管系の空気充填等による乱れが収まった状態と
なってから測定を開始するため、短時間で精度良く配管
の漏洩を検出できる。
【0006】また、本願の第三の発明は、請求項
載の通りの配管の漏洩検出方法である。配管が複数の管
材から構成されている場合において、各管材毎に圧力変
化補正値を求め、この圧力変化補正値を加算して配管全
体の圧力変化補正値を求める。このため、各管材の熱特
性を反映した圧力変化を補正することができる。また、
請求項に記載の発明では、管材毎に各管材を独立系と
みなして、各管材の熱特性を反映した圧力変化補正値を
求め、管材毎の圧力変化補正値を加算することで配管全
体の圧力変化補正値を得る。また、請求項に記載の発
明では、配管全体を一つの系として管材毎に圧力変化補
正値を求め、管材毎の圧力変化補正値を加算することで
配管全体の圧力変化補正値を得る。このため、各管材に
おいて、隣接する管材部分等の温度、及び熱特性につい
ても考慮した圧力変化補正値を求めることができる。
【0007】また、請求項に記載の発明によれば、空
気を媒体として配管の漏洩を検出できるため、装置が簡
単で、測定にかかるコストを低減することができる。
【0008】また、請求項に記載の装置によれば、配
管内の圧力と、配管の管壁の温度または配管の周囲の
度とを測定することによって、管壁から管内空気への熱
伝達を考慮して温度変化による圧力変化を除去した補正
した管内空気圧力の変化量に基づいて配管の漏洩を検出
することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、詳細に説明する。本発明の配管の漏洩検出方法は、
建物や船舶等に設けられる種々の配管の漏洩の検査に用
いられ、好ましくは、配管を部分ごとに検査する場合に
用いられる。また、水道管、ガス管など耐圧性を要する
配管の漏洩の検査に用いることができる。
【0010】配管は、一本の管材から形成されていても
良いし、複数本の管材から形成されていても良い。ま
た、複数本の管材で構成されている場合、その管種、管
径や管長は、それぞれ異なっていても良い。
【0011】本方法に基づいて配管の漏洩箇所の有無を
検査するためには、まず、配管の管内に気体を充填す
る。使用するガスは、種々の気体を用い得るが、空気を
用いると、検査に係るコストがかからず、装置が単純と
なるため、好ましい。この時に設定される配管内の気体
の圧力(以下、「管内圧力」という。)は、大気圧に対
して加圧状態でも減圧状態でも良いが、加圧状態とされ
ると、配管使用時と類似の環境とすることができるた
め、好ましい。配管内の圧力は、公知の種々の方法によ
って設定することができる。
【0012】気体充填時の管内圧力は、種々の値を設定
することができるが、配管使用時の圧力と極端に異なる
ことなく設定することが、好ましい。大気圧との差が小
さいと、測定中の圧力変化が小さくなり、漏れの有無を
精度良く判定するのが困難となる。また、あまり高圧で
あると、加圧のための装置にコストがかかったりする。
例えば、建築設備配管では、大気圧より100〜300[kP
a]大きい圧力が好ましい。
【0013】次に、所定の部位の温度及び管内圧力の測
定を開始する。測定は、配管圧力設定後、すなわち気体
を充填した後、すぐに開始しても良いし、所定時間経過
後に開始しても良い。配管内の気体状態が安定し、充填
された気体の温度と周囲の温度とが略一様になった時点
以降に測定を開始するのが好ましい。ガス充填後、配管
の管内圧力が減少し続ける場合は、減少が緩やかになっ
てから測定するのが好ましい。この管内圧力が略安定す
るまで待つことにより、充填気体 の温度(管内温度)と
周囲温度とが平衡に近づき、管内の気体状態が安定す
る。例えば、ガス充填後300〜600秒以上経過すると、
管内圧力、温度ともに略一定の値又は変化を示す。
【0014】管内圧力は、配管内の所定の一箇所以上で
測定することができる。温度を測定する所定の部位は、
配管内部の気体の温度(管内温度)、管材外面の温度
(管壁温度)、又は、配管の周囲の温度(周囲温度)の
いずれかを選択することができる。温度測定部位は、測
定開始時点から測定時点まで、同じ部位とされる。
【0015】管内温度を測定することが、最も好ましい
が、温度測定手段を配管内に設置するのが困難である。
一方、管壁温度を測定する場合は、温度測定手段の設置
が容易である。また、配管内部に温度測定手段を設ける
場合のように温度測定手段の設置に伴う配管内部の気体
の漏洩を考慮する必要がない。また、周囲温度を測定す
る場合は、温度測定手段の設置が容易であるとともに、
管壁温度を測定する場合に比べて、配管全体の温度環境
を把握しやすい。なお、管材の部位によって配管の周囲
の温度が変化する場合は、複数箇所で測定して、平均を
とったり、管材ごとに異なる周囲温度を用いたりするこ
とが好ましい。
【0016】検査する配管が単一の管材からなる場合
は、上記三つの温度のうちいずれか一つを選択して測定
すれば良い。検査する配管が複数の管材から形成されて
いる場合においても、管材毎に、管内温度、管壁温度、
周囲温度のいずれか一つを選択して測定する。ここで、
周囲温度を測定する場合は、各管材ごとに周囲温度を測
定することはなく、一箇所で測定した周囲温度を配管全
体で周囲温度として用いることができる。このため、周
囲温度を用いると、温度測定手段の数が少なくて済む。
例えば、配管を構成する複数の管材のうち、大容量の管
材についてのみ管内温度又は管壁温度を測定し、残りの
管材については一箇所のみの周囲温度を測定することが
できる。
【0017】温度及び圧力の測定は、測定開始時点から
単位時間毎の測定時点で行う。なお、圧力変化補正値を
後述する方法で算出する場合には、温度及び圧力を継続
的に測定するのが好ましい。
【0018】測定開始時点における管内圧力と測定時点
における管内圧力との圧力変化量には、温度変化による
圧力変化量が含まれている。このため、測定時点におけ
る圧力変化量を温度による圧力変化量によって補正しな
いと、漏洩の有無を正確に検出することができない。そ
こで、次に測定時点における温度と測定開始時点におけ
る温度に基づいて、配管に漏洩が発生していないと仮定
した場合の、測定時点における圧力変化補正値を求め
る。
【0019】圧力変化補正値は、温度変化による圧力変
化を補正する値である。圧力変化補正値は、種々の方法
で求めることができる。本実施形態では、管壁温度ある
いは周囲温度と管内圧力との関係を表す微分方程式を用
いて求める方法、及び気体の状態方程式を用いて求める
方法を例に挙げて説明する。
【0020】圧力変化補正値は、気体の温度特性や各管
材の熱特性など種々の物理的性質によって決定される。
管内温度を測定する場合は、気体の状態方程式を利用し
て、圧力変化補正値Δp(t)を求めることができる。
【0021】 Δp(t)=ρRΔT(t) (1) p:管内圧力[Pa] T:管内温度[K] ΔT:測定時点tの管内温度T(t)と測定開始時点
の管内温度T(0)との差[K] ρ:管内の気体の密度[kg/m] R:管内の気体の気体定数[J/(kg・K)]
【0022】一方、測定温度として、管壁温度又は周囲
温度を測定する場合は、管壁温度又は周囲温度と管内温
度及び管内圧力との関係を各管材の熱伝導率や管表面の
熱伝達率等を考慮した微分方程式で表し、その微分方程
式を利用して管内温度変化による管内圧力の変化を求め
る。例えば、管内空気や管材について、種々の物性値を
集中定数化することができる。管壁が単層により構成さ
れる一つの管材(単層管)で構成されている配管につい
て周囲温度T[K]を入力(測定)する場合には、管内温
度T[K]と管壁温度T[K]、周囲温度T[K]、及
び管内圧力p[Pa]には、以下に示す関係が成立す
る。
【0023】
【数1】 :管内空気の熱容量[J/K] R:表面熱抵抗を含めた管壁の内側1/2部分の熱抵
抗[K/W] R:表面熱抵抗を含めた管壁の外側1/2部分の熱抵
抗[K/W] C:管壁の熱容量[J/K] ρ:管内の気体の密度[kg/m] R:管内の気体の気体定数[J/(kg・K)] t:時間[sec.] これらの方程式に、適当な境界条件(初期条件)、例え
ば、測定開始時点(t=0)における測定値又は予想概算値
を設定して、圧力変化値p(t)を求めることができ
る。
【0024】また、管壁が単層により構成される一つの
管材(単層管)で構成されている配管について管壁温度
[K]を入力する場合には、管内温度T[K]と管壁
温度T[K]、及び管内圧力p[Pa]には、上記式
(2)(3)、及び以下の式(4’)が成立する。
【0025】
【数2】 R':管壁の外側1/2部分の熱抵抗[K/W] この場合も、適当な境界条件を設定することによって、
圧力変化値p(t)を求めることができる。
【0026】また、例えば、管壁がm層(m≧1)によ
り構成される一つの管材(m層管)で構成されている配
管の場合には、管内温度T[K]と管内圧力p[Pa]
には、上記式(2)、(3)の関係が成立し、内側からi番
目の管壁の温度Tpi[K]及び周囲温度T[K]には、
以下に示す関係が成立する。
【0027】
【数3】 :表面熱抵抗を含めた管壁の内側から1番目の層の
内側1/2部分の熱抵抗[K/W] R:管壁の内側から1番目の層の外側1/2部分から
管壁の内側から2番目の層の内側1/2部分の熱抵抗
[K/W] R:管壁の内側から(i−1)番目の層の外側1/2
部分から管壁の内側からi番目の層の内側1/2部分ま
での熱抵抗[K/W] Rm+1:表面熱抵抗を含めた管壁の内側からm番目の
層の外側1/2部分の熱抵抗[K/W] R'm+1:管壁の内側からm番目の層の外側1/2部
分の熱抵抗[K/W] Cpi:管壁の内側からi番目の層の熱容量[J/K]
【0028】周囲温度を入力する場合は、式(2)(3)
(5)〜(7)を用いて、各温度Tに適当な境界条件を設
定してp(t)を求めることができる。また、管壁温
度を入力する場合は、式(2)(3)(5)(6)
(7')を用いて、各温度Tに適当な境界条件を設定す
ることで、周囲温度Tを考慮せずにp(t)を求める
ことができる。なお、これらの方程式は、各系の構成要
を分布定数としてp(t)を求めても良い。
【0029】上記式によって求められるp(t)は、温
度変化のみによる圧力変化値である。ここで、配管の漏
洩検査における温度範囲、すなわち一般的な大気温度の
範囲では、気体の温度変化に対する圧力変化は線形性を
示す。したがって、温度に対する圧力の変化は線形であ
るとすると、気体の密度ρ[kg/m]は温度に依存
しない定数とみなすことができ、例えば、畳み込み積分
等によって圧力変化補正値Δp(t)を求めることがで
きる。すなわち、温度が単位時間の間に単位温度変化し
た時の圧力補正係数u(t)を求めることによって、任意
の温度変化に対する圧力変化補正値Δp(t)を求める
ことができる。
【0030】温度が所定時間の間に単位温度だけ変化し
たときの圧力補正係数u(t)を求めるには、種々の方法
がある。例えば、図1(b)に示すように、ある時間t
において単位温度(本実施例では1℃)だけ上昇させた時
の圧力変化と、図1(c)に示すように、tから所定時
間 (測定の時間間隔Δt、本実施例では1分)後の時間
に単位温度だけ下降させたときの圧力変化とによ
り、求めることができる。すなわち、温度が所定時間の
間に単位温度だけ変化した時の圧力補正係数u(t)は、
以下の式(8)により求めることができる。
【数4】 aa(t):測定温度Tmeaが単位温度だけステップ状に
上昇した時の管内圧力(p)変化 paa(t−Δt):測定温度Tmeaが単位温度だけステッ
プ状に上昇した時点tから所定時間Δt経過後に測定
温度Tmea が単位温度だけステップ状に下降した時の管
内(p)圧力変化 u(t)は、温度変化及び時間変化に依存する係数であ
る。
【0031】測定開始時点における温度T(0)と、各測
定時点mΔt(m=1〜n)における温度T(mΔt)、及
び各測定時点mΔtにおける圧力補正係数u(mΔt)よ
り、測定時点nΔtにおける圧力変化補正値Δp(t)
(=Δpa(nΔt))を求めることができる。すなわ
ち、次式によって測定時点t(=nΔt)における圧力
変化補正値を求めることができる。
【数5】
【0032】圧力変化補正値Δp(t)は、測定時点t
以前の温度変化に基づく圧力変化の総和である。すなわ
ち、k=0である測定時点t(nΔt)より前の温度変化
の影響を受ける。このため、上記した圧力補正係数を用
いて圧力変化補正値を求める場合は、測定開始時点より
所定時間経過した後の時点から補正圧力を求めることが
好ましい。例えば、管内容積が0.015m〜0.2m3程度
の配管で、1秒毎に圧力及び温度を測定する場合には、
300〜600秒以上経過した後であると、データの不足によ
る補正誤差が小さく、良好な圧力変化補正値を得ること
ができる。
【0033】配管が複数の管材で形成されている場合、
同様の微分方程式を用いて配管全体の圧力変化補正値Δ
(t)を求めるには、配管全体を一つの系として求め
る方法と、管材毎を独立した系として求める方法とがあ
る。配管全体を一つの系として求める場合、管内温度T
[K]、管内圧力p[Pa]は、いずれも配管全体で同
一である。このため、管内温度T[K]及び管内圧力p
[Pa]に関する微分方程式は、配管全体でそれぞれ一
つの式で表される。したがって、この方法を用いて圧力
変化補正値を求める場合は、各管材について管壁又は周
囲温度を測定する。
【0034】例えば、m本の単層管とn本の二層管から
構成されている配管の場合、単一の管材から構成されて
いる場合と同様、管内温度T[K]、管内圧力p[P
a]、i番目の単層管の管壁温度Tpi[K]、j番目の
二層管の内側の管壁温度Tp1j[K]、及びj番目の二
層管の外側の管壁温度Tp2j[K]には、以下に示す関
係が成立する。
【0035】
【数6】 1i:i番目の単層管の表面熱抵抗を含めた管壁の内
側1/2部分の熱抵抗[K/W] R2i:i番目の単層管の表面熱抵抗を含めた管壁の外
側1/2部分の熱抵抗[K/W] Cpi:i番目の単層管の管壁の熱容量[J/K] R1j:j番目の二層管における表面熱抵抗を含めた管
壁の内側の層の内側1/2部分の熱抵抗[K/W] R2j:j番目の二層管における管壁の内側の層の外側
1/2部分から管壁の外側の層の内側1/2部分までの
熱抵抗[K/W] R3j:j番目の二層管における表面熱抵抗を含めた管
壁の外側の層の外側1/2部分の熱抵抗[K/W] R'3j:j番目の二層管における管壁の外側の層の外
側1/2部分の熱抵抗[K/W] C1j:j番目の二層管における管壁の内側の層の熱容
量[J/K] C2j:j番目の二層管における管壁の外側の層の熱容
量[J/K]
【0036】単層管の場合は、適当な境界条件を設定し
て、式(10)(11)(12)によって圧力変化値p
(t)が求められ、二層管の場合は、式(10)(1
1)(13)、及び(14)又は(14')によって圧力
変化値p(t)が求められる。このようにして、各管材
毎に選択した測定温度(管壁温度又は周囲温度)に基づい
て、管材ごとの圧力変化値pai(t)又はpaj(t)を
求めることができる。これらの管材ごとの圧力変化値に
対しても、式(8)と同様の方法を用いることによって、
所定時間の間に、単位温度だけ変化したときの圧力変化
に対する圧力補正係数u(t)又はu(t)を求めるこ
とができる。
【0037】そして、これらの圧力補正係数u(t)又
はu(t)を用いて、式(9)と同様にして、各管材毎の
圧力変化補正値Δpai(t)又はΔpaj(t)を求める
ことができる。配管全体の圧力変化補正値Δp (t)
は、管材毎の圧力変化補正値Δpai(t)又はΔpaj
(t)を加算することで得られる。
【数7】
【0038】また、複数の管材で構成されている配管に
おいて、各管材毎に独立した系とする場合は、それぞれ
の管材ごとに、配管が単一の管からなる場合と同様の式
を用いることができる。すなわち、管内温度を測定する
管材については、気体の状態方程式に基づく式(1)を
用いることができ、管壁又は周囲温度を測定する管材に
ついては、微分方程式(2)、(3)、(4)又は
(4')、あるいは(2)、(3)、(5)、(6)、
(7)又は(7')を用いることができる。これらの式
は、管材毎に解かれて、式(1)から圧力変化補正値Δp
(t)が、各一連の微分方程式から独立した圧力変化値
ai(t)又はpaj(t)が求められる。
【0039】そして、各一連の微分方程式から求められ
た管材毎の圧力変化値pai(t)及びpaj(t)から、
それぞれ上述の場合と同様にして、圧力変化補正値Δp
ai(t)又はΔpaj(t)を求める。すなわち、式(8)
と同様にして、それぞれ独立した圧力補正係数u(t)
及びu(t)を求める。さらに、式(9)と同様にして、
測定時点tにおける各測定温度T(t)及びT
(t)、測定開始時点における各測定温度T(0)及び
(0)を用いて任意の測定時点tにおけるそれぞれ独
立した圧力変化補正値Δpai(t)又はΔpaj(t)を
求める。
【0040】この場合、独立した各管材の圧力変化は、
配管全体の圧力に対して、配管全体の内部容積に対する
各管材の内部容積の割合で影響する。したがって、この
圧力変化補正値Δpai(t)又はΔpaj(t)に対して
配管全体の内部容積に対する各管材の内部容積の割合υ
又はυを乗じることで、配管全体における各管材の
圧力変化補正値Δp'(t)又はΔp'(t)が得ら
れる。さらに、各管材の圧力変化補正値Δp'(t)
又はΔp'(t)を加算することで、配管全体の圧力
変化補正値Δp(t)が得られる。
【数8】
【0041】以上のようにして求められた配管全体の圧
力変化補正値Δp(t)と、測定時点tにおける配管の
管内圧力pmea(t)と、測定開始時点(t=0)におけ
る管内圧力p(0)に基づいて配管の漏洩を検出する。
測定時点tにおける管内圧力pmea(t)には、温度変
化による圧力変化が含まれているから、測定時点tにお
ける管内圧力pmea(t)を測定時点tにおける圧力変
化補正値Δp(t)で補正して、温度変化による圧力変
化を除いた圧力p'(t)を求める。すなわち、測定開
始時点から測定時点tまでの温度変化による圧力変化量
を除いた補正圧力pa'(t)は、 p'(t)=pmea(t)−Δp(t) (17) となる。
【0042】そして、得られた補正圧力pa'(t)と
測定開始時点(t=0)における管内圧力p(0)とによ
って配管の漏洩の有無を検出することができる。
【0043】配管の漏洩の有無の検出は、例えば、測定
時点tにおける補正圧力p'(t)と測定開始時点にお
ける管内圧力p(0)との差と基準値との比較によって
行う。基準値としては、判定式を用いることができる。
例えば、検査する配管に、漏れ孔が存在する場合におけ
る圧力変化量の演算式と比較する。演算式は、漏れ孔が
円形であると仮定した場合における、その円形の直径に
相当する洩れ孔直径(相当漏れ孔直径)dの関数であ
る。この場合、補正後の補正圧力変化量が圧力変化量の
判定式から求めた基準値以下であれば、配管の漏洩は無
いと判定される。また、圧力変化量の判定式から求めた
基準値より補正圧力変化量が大きければ、配管の漏洩が
有ると判定される。このような判定式の一例を、式(1
8)に示す。
【数9】 b:管内圧力と漏れの質量流量間の比例定数[1/(m・
sec)] V:配管全体の内部容積[m] T(0):測定開始時点での管内空気温度[K] R:空気の気体定数[J/(kg K)]
【0044】この方法によれば、管内圧力と、各管材に
対応する管内温度、管壁温度又は周囲温度のいずれかを
測定し、管材の諸特性(管長、口径、管内容積、管壁の
熱伝導率、管表面の熱伝達率等)に基づいて温度変化に
よる圧力変化を補正することができる。このため、本方
法では、配管に気体を充填した場合でも、配管全体の漏
洩の有無を簡単な装置で正確に、短時間で検出すること
ができる。
【0045】例えば、測定中に管内温度より周囲温度又
は管壁温度が高い状態が発生しても、管壁からの熱伝達
によって管内温度が上昇することによる圧力増加を補正
することができる。このため、実際には漏洩が有るの
に、管内圧力は減少していない場合、あるいは、周囲温
度が降下し、管内圧力は減少しているが実際には漏洩が
発生していない場合でも、正確に漏洩の有無を検出する
ことができる。
【0046】また、管内温度によって補正する方法に限
定されず、管壁や周囲の温度によって補正することがで
きるため、温度測定手段の設置が容易である。また、複
数の管材により構成される配管においても、各管材ごと
に求めた圧力変化補正値Δp(t)に基づいて管内圧力
を補正するため、より良好に温度変化による圧力変化を
補正することができ、漏洩の有無を良好に検出すること
ができる。
【0047】次に、配管の漏洩の有無を検出する配管の
漏洩検出装置の一実施の形態について説明する。図2
に、本発明の一実施の形態に係る漏洩検出装置の模式図
を示す。本装置1は、圧力測定手段3と、温度測定手段
5と、処理手段7とを有している。
【0048】圧力測定手段3は、検査する配管20の管
内の圧力を検出する手段で、公知の種々の圧力センサを
用いることができる。圧力測定手段3は、装置1が水配
管の漏洩を検出する場合、好ましくは、1Pa単位まで
測定可能な測定手段が用いられる。
【0049】温度測定手段5は、検査する配管20の管
内温度、管壁温度、又は周囲温度をを測定する温度検出
部5a〜5cを有しており、公知の種々の温度センサを
用いることができる。温度測定手段5は、複数の管材に
より構成される配管や、各部の周囲温度が異なる配管を
検査する場合には、複数の温度検出部を備えているのが
好ましい。温度検出部の数は、好ましくは、検査する配
管に使用されている管材数以上であるが、管材数より少
なくても良い。図2では、温度測定手段5は、3つの温
度検出部(センサ)5a,5b,5cを備えており、配
管の任意の箇所の管内、管壁あるいは周囲の温度を測定
する。温度測定手段5は、好ましくは、小数点以下1位
以上(℃)まで測定可能な測定手段とされる。
【0050】処理手段7は、例えば前記した方法によっ
て、配管の漏洩を検出する。処理手段7は、予め入力又
は選択された配管を構成する各管材の情報(管種、管
径、管長、管壁の熱伝導率、管表面の熱伝達率等)に基
づいて、圧力補正係数u(t)を求める。また、処理手段
7は、圧力測定手段3及び温度測定手段5で測定された
管内圧力及び温度を、例えば、単位時間ごとに受信す
る。処理手段7は、この管内圧力及び温度に基づいて、
処理手段7は、所定時間ごとに測定時点tにおける圧力
変化補正値Δp(t)を求める。この所定時間は、各情
報を受信する単位時間でも良いし、他の任意の時間でも
良い。
【0051】処理手段7は、圧力変化補正値Δp(t)
に基づいて温度変化による圧力変化を補正した補正圧力
値p'(t)を求め、漏洩の有無を検出する。処理手段
7は、例えば、補正圧力変化量(p'(t)−p
(0))と基準値とを比較することによって漏洩の有無
を判定する。この場合、漏洩の有無を判定するための基
準値は、許容漏れ孔直径などの関数である判定式により
求めた値を用いることもできる。なお、本処理手段7
は、所定時間ごとに漏洩の有無を判定したが、測定開始
時点から適当な時間が経過した後に一回又は数回のみ測
定時点tにおける圧力変化補正値Δp(t)を求め、漏
洩の有無を判定しても良い。
【0052】図2の装置1には、表示装置13が設けら
れている。表示装置13は、処理手段7から送信される
温度情報、圧力情報、及び処理手段7の各種処理結果を
表示する手段である。本実施形態では、処理手段7は、
表示装置13に、単位時間ごとに温度情報、圧力情報、
及び処理結果を送信する。表示装置13は、本実施形態
では、図3に示すように、送信された各情報及び処理結
果を、測定時点tに対してプロットされたグラフとして
表示する。
【0053】(実施例1) 次に、本装置1を用いて単一の管材により構成される配
管の漏洩の有無を検査した例について説明する。本実施
例で検査した配管は、外径114.3mm、管長2.16mの
管壁が単層で形成されている配管用炭素鋼鋼管SGP−
100(A)により構成される配管である。まず、配管の
管内に、装置1の圧力測定手段3の圧力センサが取り付
けられる。また、装置1の温度測定手段5の温度センサ
5a〜cが所定の部位に取り付けられる。本実施形態で
は、図2に模式的に示すように、センサ5aを配管の管
内に取りつけ、センサ5bを配管の管壁に取りつけ、セ
ンサ5cを配管の周囲温度を測定できるように配置し
た。処理手段7には、配管の諸性質及び温度測定部位を
設定する。圧力補正係数u(t)は、測定前に予め求めて
おく。
【0054】次に、配管に気体を充填し、密閉する。本
実施形態では、管内圧力が約300kPa.absとな
るまで空気を充填し、密閉した。その後、約5〜10分
放置して、配管内の気体の対流等を安定させた後、測定
を開始した。測定は、測定開始時点及び1秒ごとに圧力
測定手段3、温度測定手段5からの、管内圧力及び所定
部位の温度を処理手段7に取り込む。処理手段7は、例
えば、測定した圧力及び各部の温度を1秒ごとに受信し
て1分間の平均値を計算し、1分毎の圧力補正係数u
(t)を求め、測定時点tにおける圧力変化補正値Δp
(t)を求める。なお、測定は、気体を充填し密閉した直
後から行っても良い。
【0055】処理手段7は、さらに圧力変化補正値Δp
(t)と測定時点tにおける管内圧力pmea(t)とか
ら、漏洩が無い場合の測定時点tにおける補正圧力
'(t)を求める。そして、相当漏れ孔直径d0が許容
漏れ孔直径であるときの測定時点における基準値を、判
定式(18)によって求め、補正圧力p'(t)と測定開
始時点における管内圧力p(0)との差(補正圧力変化
量)と基準値とを比較することによって、漏洩の有無を
検出する。
【0056】処理手段7は、受信した圧力及び各部の温
度と、処理結果、判定結果を、単位時間ごとに表示装置
13に送信する。表示装置13は、受信した圧力、温
度、及び処理結果、判定結果を、逐次グラフにプロット
する形式で表示する。
【0057】補正圧力p'(t)の値が略一定となった
場合又は一定の割合で変化するようになった場合、又
は、判定結果が安定した場合には測定を終了する。
【0058】表示装置13に表示される判定結果を図3
〜図5に示す。図3は、管内温度を用いて式(1)、
(17)によって温度変化による圧力変化を補正した例
であり、図4は、管壁温度を用いて式(2)(3)
(4')(8)(17)によって圧力変化を補正した例
である。また、図5は、周囲温度を用いて式(2)
(3)(4)(8)(17)によって圧力変化を補正し
た例である。
【0059】この実施例の配管の検査では、管内温度、
管壁温度、周囲温度の全てが、測定時間中に上昇してお
り、管内圧力pmea(t)は、温度変化によって時間と
ともに増加していた。このため、測定した管内圧力p
mea(t)からは、漏洩の有無を判定することができな
い。そこで、各圧力補正係数u(t)を求め、各u(t)か
ら圧力変化補正値Δp(t)用いて管内圧力を補正し、
温度変化による圧力変化を除いた補正圧力p'(t)を
求める。これにより、温度変化が無い場合の圧力変化が
分かる。本実施例では、図3〜図5に示すように、補正
圧力p'(t)は、いずれも略水平な直線状のグラフと
なり、管内圧力は、ほとんど変化していなかった。この
ため、dがd=0.3×10-5[m]である場合の判定式
(18)より求めた基準値よりも補正圧力変化量の方が
小さく、配管からの漏洩はないことが分かった。なお、
本実施例及び以下の実施例では、管内圧力が200[kPa.G]
であることから、公知の文献等を勘案して判定式(1
8)においてb=1.71×10-3[1/(m・sec.]とした。ま
た、図3〜4に示すように、いずれの部位の温度を測定
しても、良好に補正が行われており、同様な結果を得る
ことができた。
【0060】(実施例2) 外径114.3mm、管長2.16mの管壁が単層で形
成されているSGP−100(A)により構成される配
管の漏洩の有無について、装置1によって検査した。な
お、本実施例では、周囲温度のみを測定して、実施例1
と同様、午前中に行い、約300kPa.absとなる
まで空気を充填し、5、6分後から測定を開始した。こ
の結果を図6に示す。
【0061】この検査では、管内圧力は、時間とともに
上昇していた。しかし、周囲温度も時間とともに上昇し
ており、圧力変化補正値によって温度変化による圧力変
化を除いた補正圧力は、時間とともに減少していること
が分かる。この補正圧力p'(t)と測定開始時点にお
ける管内圧力p(0)との差である補正圧力変化量を、
0がd=0.3×10−5mとした場合の判定式(16)
により求めた基準値と比較したところ、補正圧力変化量
が基準値を上回っていた。したがって、この配管では、
漏洩が有ることが分かった。このように、一見測定され
る圧力値が上昇している場合でも、温度変化による圧力
変化を補正することで、確実に配管の漏洩を発見するこ
とができる。
【0062】(実施例3) 次に、実施例1と同じ配管SGP−100(A)につい
て、異なる時間に漏洩の有無を検査した場合について示
す。装置1によって、周囲温度と管内温度とを測定する
他は、実施例1の場合と同様にして、配管の漏洩の有無
を検査した。図7に、周囲温度を測定した場合の測定温
度、測定圧力、及び補正圧力の時間変化を示し、図8に
管内温度を測定した場合の測定温度、測定圧力、及び補
正圧力の時間変化を示す。
【0063】この検査では、時間とともに圧力が下降し
ており、漏洩が有るように見える。しかし、各測定温度
も時間とともに下降しており、圧力変化補正値Δp
(t)によって温度変化による圧力変化を補正すると、
補正圧力p'(t)は、ほとんど変化していなかった。
この補正圧力p'(t)と測定開始時点における管内圧
力p(0)とから求められる補正圧力変化量を、d0がd
0=0.3×10−5mである場合の式(18)により求めた
基準値と比較することにより、漏洩が無いことが分かっ
た。このように、温度変化によって、配管の漏洩がある
ように見える場合でも、温度変化による圧力変化を除く
ことによって漏洩の有無を確実に検出することができ
た。
【0064】(実施例4) 複数の管により構成される配管について漏洩の有無を検
査した。本実施例で用いた配管は、外径27.2mm、
管長5.21mのSGP−20(A)と、外径34.0
0mm、管長4.16mのSGP−25(A)と、外径
60.6mm、管長1.17mのSGP−50(A)
と、外径48.6mm、管長8.21mのVLP(VA)
−40(A)とが連結されて成る配管である。なお、S
GPは、管壁が単層の鋼管で、VLP(VA)は、管壁が
硬質塩化ビニル樹脂とSGPとの二層により構成される
管である。
【0065】この配管について、夕方に、配管内に空気
を約300kPa.absとなるまで充填して密閉し、
約7分間放置後、装置1によって測定を開始した。な
お、この検査では、比較的内部容積の大きい二つの管材
SGP−25(A)と、VLP(VA)−40(A)の
管壁の温度と、周囲温度とを測定した。
【0066】本実施例では、配管全体を一つの系として
管内圧力を補正する方法と、各管材を独立した系として
管内圧力を補正する方法と、二通りの方法で処理するこ
とができる。前者の方法では、式(10)〜(15)を
用いて配管全体の圧力補正係数u(t)を求めた。また、
後者の方法では、式(2)〜(4')又は式(2)
(3)(5)(6)(7)を用いて各管材の圧力変化値
ai(t)又はpaj(t)を求め、式(16)によって
配管全体の圧力変化補正値Δp (t)を求めた。前者
の検査結果を図9に、後者による検査結果を図10に示
す。なお、本実施例では、d0がd=0.5×10−5
である場合の式(18)によって基準値を求めた。
【0067】この検査では、実施例3と同様、測定した
管内圧力pmea(t)は、時間とともに下降している。
しかし、各測定温度も時間とともに下降しているため、
圧力変化補正値Δp(t)によって補正した補正圧力p
'(t)は、ほとんど変化していなかった。このため、
補正圧力p'(t)と測定開始時点における管内圧力p
(0)との差(補正圧力変化量)を式(18)により求めた
基準値と比較すると、基準値を下回っており、漏洩は無
いことが分かった。また、図9及び図10に示すよう
に、どちらの方法で圧力変化補正値を求めても、略同様
な結果を得ることができた。
【0068】(実施例5) 次に、実施例4と同じ複数の管材により構成される配管
について、温度測定部位を変えて、装置1を用いて同様
に漏洩の有無を検査した。本実施例では、管内容積が最
も大きい管材VLP(VA)−40(A)についてのみ
管壁温度又は管内温度を測定し、他の三つの管材につい
ては、周囲温度を測定した。
【0069】管材VLP(VA)−40(A)について
管壁温度を測定した場合には、配管全体を一つの系とし
て式(10)〜(15)を用いて配管全体の圧力変化補
正値Δp(t)を求めて補正した。この結果を図11に
示す。また、管材VLP(VA)−40(A)について
管内温度を測定した場合には、各管材を独立した系とし
て、管材VLP(VA)については式(1)を用いて、
他の管材については式(2)(3)(4)又は(4')及
び(8)(9)を用いて圧力変化補正値Δpai(t)を
求めた。そして、配管全体の圧力変化補正値Δp(t)
を式(16)を用いて求めた。この結果を図12に示
す。なお、本実施例では、d0がd=0.3×10−5
である場合の式(18)によって基準値を求めた。
【0070】本実施例では、各測定温度が時間とともに
上昇しており、測定した圧力pmea(t)も時間ととも
に上昇している。しかし、各測定温度を用いて圧力変化
補正値を求め、温度変化による圧力変化を除いた補正圧
力p'(t)を求めると、いずれの方法によって補正し
た場合も、圧力が下降していることが分かった。この補
正圧力p'(t)と測定開始時点における圧力p(0)
との差(補正圧力変化量)を式(18)によって求めた基準
値と比較することにより、この配管では、漏洩が有るこ
とが分かった。
【0071】なお、圧力変化補正値を求める方法は実施
の形態で説明した方法に限定されない。また、配管内に
充填される気体は、空気に限定されず、種々の気体を用
いることができる。
【0072】
【発明の効果】本発明では、気体を配管に充填するため
設置が簡易であり、また温度変化による気体の圧力変化
を補正して漏洩の有無を検査するため、正確に漏洩の有
無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、圧力補正係数を求めるための、時間と
温度との関係を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態に係る配管の漏
洩検出装置の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明を用いて配管の漏洩の有無を検
出したときの圧力、温度、及び補正圧力の時間変化を示
すグラフである。
【図4】図4は、図3と同じ配管において、本発明を用
いて配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温度、及
び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図5】図5は、図3と同じ配管において、本発明を用
いて配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温度、及
び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明を用いて配管の漏洩の有無を検
出したときの圧力、温度、及び補正圧力の時間変化を示
すグラフである。
【図7】図7は、本発明を用いて配管の漏洩の有無を検
出したときの圧力、温度、及び補正圧力の時間変化を示
すグラフである。
【図8】図8は、図7と同じ配管において、本発明を用
いて配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温度、及
び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明を用いて複数の管材により構成
される配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温度、
及び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図10】図10は、図9と同じ配管において、本発明
を用いて配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温
度、及び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明を用いて複数の管材により
構成される配管の漏洩の有無を検出したときの圧力、温
度、及び補正圧力の時間変化を示すグラフである。
【図12】図12は、図11と同じ配管において、温度
測定箇所を換えて、本発明を用いて配管の漏洩の有無を
検出したときの圧力、温度、及び補正圧力の時間変化を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 装置 3 圧力測定手段 5 温度測定手段 7 処理手段 13 表示装置

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配管の漏洩検出方法であって、 配管の管内に気体を充填し、 測定開始時点で配管の管壁温度及び管内圧力を測定し、 測定時点で配管の管壁温度及び管内圧力を測定し、 測定時点における管壁温度と測定開始時点における管壁
    温度に基づいて、配管に漏洩が発生していないと仮定し
    た場合の測定時点における圧力変化補正値を、管壁から
    管内空気への熱伝達を考慮して求め、 測定時点における管内圧力と測定時点における圧力変化
    補正値、及び測定開始時点における管内圧力に基づいて
    配管の漏洩を検出する、 配管の漏洩検出方法。
  2. 【請求項2】配管の漏洩検出方法であって、 配管の管内に気体を充填し、 測定開始時点で配管の周囲温度及び管内圧力を測定し、 測定時点で配管の周囲温度及び管内圧力を測定し、 測定時点における周囲温度と測定開始時点における周囲
    温度に基づいて、配管に漏洩が発生していないと仮定し
    た場合の測定時点における圧力変化補正値を、管壁から
    管内空気への熱伝達を考慮して求め、 測定時点における管内圧力と測定時点における圧力変化
    補正値、及び測定開始時点における管内圧力に基づいて
    配管の漏洩を検出する、 配管の漏洩検出方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の配管の漏洩検
    出方法であって、測定開始時点は配管の管内に気体を充
    填してから所定時間経過した以降である配管の漏洩検出
    方法。
  4. 【請求項4】 複数の管材により構成される配管の漏洩
    検出方法であって、 複数の管材の管内に気体を充填し、 測定開始時点で温度及び管内圧力を測定し、 測定時点で温度及び管内圧力を測定し、 測定時点における温度と測定開始時点における温度に基
    づいて、管材に漏洩が発生していないと仮定した場合
    の、測定時点における圧力変化補正値を各管材毎に求め
    るとともに、測定時点における各管材の圧力変化補正値
    を加算して総圧力変化補正値を求め、測定時点における
    管内圧力と測定時点における総圧力変化補正値及び測定
    開始時点における管内圧力に基づいて配管の漏洩を検出
    する、 配管の漏洩検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項に記載の配管の漏洩検出方法で
    あって、各管材を独立した系として、測定時点における
    各管材の圧力変化補正値を求める、配管の漏洩検出方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の配管の漏洩検出方法で
    あって、配管全体を一つの系として、測定時点における
    各管材の圧力変化補正値を求める、配管の漏洩検出方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜のいずれかに記載の配管の
    漏洩検出方法であって、気体として空気を用いる配管の
    漏洩検出方法。
  8. 【請求項8】 配管の管内に気体を充填した後の配管の
    管内圧力に基づいて配管の漏洩を検出する配管の漏洩検
    出装置であって、 配管の管内圧力を測定する圧力測定手段と、配管の管壁
    または周囲の温度を測定する温度測定手段と、処理手段
    とを備え、 処理手段は、測定時点における温度と測定開始時点にお
    ける温度に基づいて、配管に漏洩が発生していないと仮
    定した場合の、測定時点における圧力変化補正値を管壁
    から管内空気への熱伝達を考慮して求め、測定時点にお
    ける配管の管内圧力と測定時点における圧力変化補正値
    と測定開始時点における管内圧力に基づいて配管の漏洩
    を検出する、配管の漏洩検出装置。
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