JP2006153408A - 誘導加熱溶融炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被溶融物の効率的な加熱及び放熱の低減を可能とすることで、効率的な溶融を実現し、各種有害物質の減容化、無害化を可能とする。
【解決手段】 被溶融物を投入する投入口3と、投入口3から投入された被溶融物2を溶融させる溶融部4と、溶融部4内部に設けられ、所定の距離を有して相対向して配置され、溶融部4内部の被溶融物2を加熱する第1及び第2の加熱板5,6と、溶融部4で溶融された被溶融物2の溶融スラグを排出する排出口8と、溶融部4並びに第1及び第2の加熱板5,6を誘導加熱する電磁誘導コイル9とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 被溶融物を投入する投入口3と、投入口3から投入された被溶融物2を溶融させる溶融部4と、溶融部4内部に設けられ、所定の距離を有して相対向して配置され、溶融部4内部の被溶融物2を加熱する第1及び第2の加熱板5,6と、溶融部4で溶融された被溶融物2の溶融スラグを排出する排出口8と、溶融部4並びに第1及び第2の加熱板5,6を誘導加熱する電磁誘導コイル9とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被燃焼物を焼却する際に発生する燃え殻や飛灰を溶融する誘導加熱溶融炉に関する。
一般廃棄物や産業廃棄物のごみ焼却炉の集塵装置から回収された飛灰や、焼却炉下から排出される燃え殻(主灰)には、ダイオキシン類や有害な金属が含まれ、それらの灰の減容化、無害化の手段としてこれら灰等を溶融する溶融炉が注目されている。
灰等を溶融する溶融炉としては、酸素不足雰囲気下で加熱することによりごみの一部をガス化して分離し、そのガスを燃焼させ、残った灰を溶融させるガス化溶融炉、重油や燃料ガスを燃焼させその輻射熱で溶融する燃焼式溶融炉、アークやプラズマ等を利用する電気式溶融炉、またはコークスベッド型溶融炉等が知られている。
これらの溶融炉は、大量の被溶融物を連続的に処理するには適しているが、1日当りの処理量が数トンレベルの小型の溶融炉として使用するには問題がある。
小規模の溶融にも適する方式としては誘導加熱式の溶融炉がある。この誘導加熱式の溶融炉は、小型の溶融炉として適しているとともに制御しやすい等の利点がある。しかしながら、従来の誘導加熱式溶融炉は、加熱効率及び溶融効率が低く、温度保持が難しい、適切な運転を行うためには効率が低い、溶融スラグの排出が難しい等の問題があった。
本発明の目的は、被溶融物の効率的な加熱及び放熱の低減を可能とすることで、効率的な溶融を実現し、各種有害物質の減容化、無害化を可能とする誘導加熱溶融炉を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明に係る誘導加熱溶融炉は、被溶融物を投入する投入口と、投入口から投入された被溶融物を溶融させる溶融部と、溶融部内部に設けられ、所定の距離を有して相対向して配置され、溶融部内部の被溶融物を加熱する第1及び第2の加熱板と、溶融部で溶融された被溶融物の溶融スラグを排出する排出口と、第1及び第2の加熱板を誘導加熱する電磁誘導コイルと、溶融部の上部側に設けられ、溶融部で被溶融物が溶融する際に発生するガスを上方に排出する流路と、流路と溶融部との間に設けられ、ガスを燃焼させる燃焼部と、流路の上部側に設けられ、流路から流入したガスを燃焼させる再燃焼部と、燃焼部に空気を送風する第1の空気送風口と、再燃焼部に空気を送風する第2の空気送風口とを備える。
本発明は、第1及び第2の加熱板により、被溶融物を加熱するので、効率的な加熱を可能とするとともに放熱を低減できるので、効率的な溶融を可能とし、各種有害物質の減容化、無害化を可能とする。
以下、本発明が適用された誘導加熱溶融炉の実施の形態を図面を参照して説明する。この誘導加熱溶融炉は、主に、燃え殻、飛灰等の被溶融物を溶融して、スラグ化するものであるが、以下、特に、被溶融物を溶融するとともに、被溶融物に含有する未燃焼物、及び、溶融の際に発生する可燃ガスを燃焼することができる所謂誘導加熱溶融焼却炉について説明する。
本発明が適用された誘導加熱溶融炉1は、図1及び図2に示すように、燃え殻、飛灰等の被溶融物2を投入する投入口3と、投入口3から投入された被溶融物2を溶融させる溶融部4と、溶融部4内部に設けられ、所定の距離を有して相対向して配置され、溶融部4とともに被溶融物2を加熱する第1及び第2の加熱板5,6と、溶融部4で溶融された被溶融物2の溶融スラグ7を排出する排出口8と、溶融部4並びに第1及び第2の加熱板5,6を誘導加熱する電磁誘導コイル9とを備える。
また、この誘導加熱溶融炉1は、溶融部4の上部側に設けられ、溶融部4で被溶融物2が溶融する際に発生するガスGを上方に排出する流路11と、流路11と溶融部4との間に設けられ、ガスGを燃焼させる燃焼部12と、流路11の上部側に設けられ、流路11から流入したガスを燃焼させる再燃焼部13と、燃焼部12に空気を送風する第1の空気送風口14と、再燃焼部13に空気を送風する第2の空気送風口15と、第1の空気送風口14及び第2の空気送風口15に空気を送風する送風機16とを有する。
第1の加熱板5と第1の空気送風口14との間には、被燃焼物、すなわち、被溶融物に含有する未燃物を支持して堆積させるための火格子10が略水平方向に設けられる。
さらに、誘導加熱溶融炉1は、溶融部4の上方に、溶融部4より内径の大きな略円筒状に形成され、被溶融物2を溶融部4の上部に保持して保留する本体部21と、本体部21の溶融部4側に設けられ、被溶融物2を溶融部4に導く傾斜面部22と、炉内で発生したガス等及び未燃物が燃焼部12又は再燃焼部13で燃焼されることにより発生する排ガスを本体上部から上方側に排出する煙突23と、本体部21と傾斜面部22を形成する壁面24と、壁面24の外側に設けられる耐火材25と、耐火材25の外側に設けられるシリカボード等の断熱材26と、傾斜面部22と耐火材25との間、本体部21の上面側、及び、後述するシュート51の外側に設けられる保温材27とを有する。また、誘導加熱溶融炉1は、被溶融物2が堆積される本体部21の中間位置に配置される第1の点検口28と、溶融部4に配置される溶融部用の第2の点検口29と、第1の点検口28の上部側に設けられるのぞき窓30とを有する。
投入口3には、スクリュー32を回転させることにより、略水平方向に堆積物を搬送するスクリュー投入機31と、スクリュー投入機31の炉外部の部分の上部に設けられ、スクリュー投入機31に被溶融物2を導く投入ホッパ33と、スクリュー投入機31により炉内部の上方に搬入された被溶融物2を溶融部4側に落下させるための落し口34とが設けられる。スクリュー投入機31により投入口3から誘導加熱溶融炉1内部に搬入された被溶融物2は、スクリュー投入機31に複数箇所設けられた落し口34から溶融部4側に落下される。このとき、この被溶融物2には燃え殻、飛灰の他に、未燃物が含まれている。
溶融部4は、非磁性材料からなる略円筒状に形成されるルツボ41と、ルツボ41内部に配置される第1及び第2の加熱板5,6とからなる。第1及び第2の加熱板5,6は、電磁誘導コイル9が通電されることにより、誘導渦電流が誘起されて、そのジュール熱により炉内部を加熱することができる。
溶融部4の上部の壁面には、温度を管理するための第1の熱電対42が設けられている。この誘導加熱溶融炉1の直上部にセットされた第1の熱電対42は、溶融部4近傍の温度を測定する他に、作業終了後に下降する温度も測定し、溶融部4が溶解雰囲気から固形雰囲気に変わる時間が短くならないようにするための測定を行う。溶融部4の溶融雰囲気の温度は、物体温度が950〜1000℃程度であり、運転を停止する際には、下降時間を1時間程度とする必要である。溶融部4の蓄熱中及び保温中においても、降下速度が速い時は、少量の通電により降下速度を遅くさせてスポーリング現象を防止する。
ここで、スポーリング現象とは、耐火物が亀裂や割れによって表面が剥落することをいうものであり、熱的スポーリング、機械的スポーリング又は構造的スポーリングがあり、ここでは、熱的スポーリングをいうものとする。また、熱的スポーリングは、耐火物を急熱、急冷に起因して発生するものであり、表面と内面の熱膨張、熱収縮の差による歪みが生じ、表面剥落が発生する現象である。上述のように、第1の熱電対42により温度管理を行うことで、温度の降下速度を少なくするように制御してスポーリング現象を防止できる。
第1及び第2の加熱板5,6は、耐溶融スラグ性及び導電性を有した材料、例えば、モリブデン鉱を加工した板材、カーボンを主材料として成形された板材等からなり、火格子10に対向して配置されるとともに、約2cm程度の距離を有して相対向して配置される。この第1及び第2の加熱板5,6は、被溶融物2を堆積することができ、上述のように誘導渦電流が誘起されることにより、溶融部4内部を加熱することができる。尚、ここでは、第1及び第2の加熱板5,6は、略水平方向に配置されるように構成したが、これに限られるものではなく、被溶融物を保持するとともに加熱できるように構成すればよく、所定の傾斜角を有して傾斜して配置されてもよい。
尚、誘導加熱溶融炉1に設ける加熱板は、1枚でもよいが、2枚の板を設けることで、上側の第1の加熱板5から放熱した熱を補うために下側の第2の加熱板6と、上側の第1の加熱板5の間を狭くしてあるので、この間の空間にある熱は、放熱がないから高温に保つことができる。したがって、上側の第1の加熱板5に熱の補充ができる。
第1及び第2の加熱板5,6は、図3に示すように、略中心を通る複数のスリット45、46、47を有する。この複数のスリット45,46,47は、それぞれ隣接する他のスリットとの間の角度が略等しくされている。ここでは、各スリット45,46,47の間の角度は略60°とされている。このスリット45,46,47は、ジュール熱を外周だけでなく内部でも発生させることができ、第1及び第2の加熱板5,6全体が内外共に同一温度となるようにしてある。また、第1及び第2の加熱板5,6は、図3に示すように、被溶融物2を落下させる目的で5mmφ程度の貫通孔48を無数にあけてある。
第1及び第2の加熱板5,6は、加熱板上の略中心を通る複数のスリット45,46,47が、隣接する他のスリットとの間の角度が略等しくされているので、第1及び第2の加熱板5,6の温度を均一化することができる。第1及び第2の加熱板5,6の複数の貫通孔48は、被溶融物2が溶融されることにより発生する溶融スラグ7を排出口8側に落下させるものである。第1及び第2の加熱板5,6は、板間隔を所定の範囲としていることから、第2の加熱板6の放熱を防止し、高温を保持することができる。第1及び第2の加熱板5,6は、溶融部4全体を均一且つ効率的に加熱することができる。
排出口8は、溶融部4の下部に設けられており、十分に保温材27で保温され、円錐形状で下方側に向けて断面形状が小さくなるように形成されたシュート51と、シュート51の下部に連結して案内板として設けられる傾斜部52と、シュート51の下方側に配置され、傾斜部52と、シュート51の一部を浸漬させる冷却水54を貯留する冷却水槽53と、冷却水槽53に貯留される冷却水54の液面を一定に保持するための液面保持手段56とを有する。
冷却水槽53は、シュート51及び傾斜部52を介して導かれた、溶融部4で溶融された溶融スラグ7を冷却して固形のスラグ55とする。シュート51は、円錐形状で下方側に向けて断面形状が小さくなるような、所謂漏斗(じょうご)の様な形状をしている。すなわち、シュート51の下部は、溶融スラグ7が最初に接触する水面の面積を少なくするような形状とされているので、水蒸気の発生をし最小限に抑えることができる。排出口8は、溶融スラグ7が最初に接触する水面の面積を最小限に抑えることで、高温において非常に酸化反応しやすい第1及び第2の加熱板5,6の酸化を低減することができる。また、傾斜部52は、シュート51の下部の壁面の一部を曲げて、斜め下方側に向けることで形成されている。この傾斜部52は、溶融スラグ7を落下地点から水平方向に移動させることができる。傾斜部52は、溶融スラグ7を冷却する際に、発生する水蒸気をシュート41を通って誘導加熱溶融炉1内部に流入するのを防止できる。また、落下場所の水面、すなわち、シュート51内の水面には、水を含まない化繊製の布が小さなチップ状に形成された図示しない化繊製チップが浮かべてあり、水面を封鎖している。この化繊製チップは、水面を遮蔽することで、水蒸気がシュート51を通って誘導加熱溶融炉1内部に流入することを防止する。
電磁誘導コイル9は、溶融部4のルツボ41の周囲に巻き回される。また電磁誘導コイル9は、この電磁誘導コイル9に電気を供給する電源と、この電磁誘導コイル9と電源とを接続するケーブルと、電磁誘導コイル9に供給する電気量を制御する制御部と、この電磁誘導コイル9を冷却する冷却ポンプとを有する。電磁誘導コイル9は、電源及び制御部により通電されることにより、第1及び第2の加熱板5,6に誘導電流を誘起して発熱させることができる。
流路11は、誘導加熱溶融炉1の壁面24に沿って設けられた複数の略円筒状のパイプ61からなる。本体の壁面24が傾斜されている傾斜面部22においても、壁面24に沿うように折り曲げ部62を有している。流路11は、溶融部4で発生したガス及び第1の空気送風口14から送風された空気を上部側に誘導して流出させることで、溶融部4及び燃焼部12の圧力が過剰に高まるのを防止できるとともに、燃焼部12の温度が上昇しすぎて、壁面24に損傷を与えないように、温度を放出するものである。また、流路11は、後述する溶融部4上部の空間で燃焼できなかった未燃ガスをパイプ61内部で燃焼させながら上部側に流出させることができ、焼却部12を構成する。
燃焼部12は、流路11下部側の端部11aと溶融部4との間の領域12a及び流路11内部の領域12bに構成され、領域12aにおいては、溶融部4に投入される前の被溶融物2に含有される未燃物を燃焼し、また、領域12a及び領域12bにおいては、溶融部4で被溶融物2が溶融される際に発生する可燃性ガスを後述する送風された空気と混合して燃焼する。燃焼部12は、溶融部4と隣接する場所で、第1の空気送風口14から空気が送風されることにより、未燃物及び可燃性ガスを燃焼させることで第1及び第2の加熱板4,5からの放熱を防止することができる。
再燃焼部13は、流路11の上部側の端部11bの上方の領域13aと、炉外部に燃焼後の気体を放出する煙突23の下部の領域13bとから構成される。再燃焼部13は、溶融部4で被溶融物2が溶融される際に発生して、燃焼部12で燃焼されなかった残留可燃性ガスが混入していた場合には、この可燃性ガスに第2の送風口15から送風された空気と混合して完全に燃焼させる。
煙突23の下部には、モリブデン合金製のコイル66と、煙突23から流出する空気の温度を検出するための第2の熱電対67とが設けられる。このコイル66は、十数本ランダム状態に配置されており、通電されることにより高温とされて、領域13bに流入する上述の残留可燃性ガスを加熱して、再燃焼させて煙突23より放出させる。
第1の空気送風口14は、燃焼部12に空気を送風することで、燃焼部12で未燃物や可燃性ガスを燃焼させる。第1の空気送風口14は、上側の第1の加熱板5から10〜15cmの距離だけ離間してノズルにより本体に取り付けられている。第1の空気送風口14は、第1の加熱板5から所定距離を有して配置されることで、送風する空気が燃焼する前に第1の加熱板5に接触することを防止しており、送風された空気は燃焼により昇温されているので上部側に上昇し、主に流路11を通って上部側に導かれる。よって、第1の空気送風口14から送風された空気は加熱板に触れられることはない。
第2の空気送風口15は、再燃焼部13に空気を送風することで、再燃焼部13に流入された残留可燃性ガスを再燃焼させて、完全燃焼させることにより無害化して煙突23を通って外部に排出させる。
以上のように構成された誘導加熱溶融炉1は、溶融部4と第1及び第2の加熱板5,6とにより、被溶融物を加熱するので、効率的な加熱を可能とするとともに放熱を低減できるので、効率的な溶融を可能とし、各種有害物質の減容化、無害化を可能とする。
また、誘導加熱溶融炉1は、溶融部4上部に設けられた燃焼部12と、燃焼部12に空気を送風する第1の空気送風口14により、溶融部4に投入される被溶融物に含有される未燃物を燃焼するとともに、被溶融物の溶融により発生する可燃性ガスを燃焼することができるので、灰等の被溶融物の溶融の際に発生するガスを他の機器に搬入する必要がない。さらに、誘導加熱溶融炉1は、流路11の上部に設けられた再燃焼部13と、再燃焼部13に空気を送風する第2の空気送風口15と、再燃焼部13内の領域を加熱するコイル66とにより、燃焼部12で燃焼されなかった残留可燃性ガスを完全燃焼することができるので、この誘導加熱溶融炉1の排ガス処理等の後処理をする機器等を必要とせず、排出する排ガスを無害化することができる。
次に、投入口3から投入された被溶融物2が誘導加熱溶融炉1で溶融される状態について説明する。
投入口3から投入された燃え殻、飛灰等の被溶融物2は、図示しない選別機により形状を整えられている。この被溶融物2は、投入ホッパ33からスクリュー投入機31により、炉内に投入され本体部21内に堆積される。その量は、流路11を構成するパイプ61の下端切断面11aの近傍に設けた火格子10上であって、第1及び第2の加熱板5,6からの熱と、第1の空気送風口14から送風される空気とによって燃焼できる状態に堆積すればよい。
誘導加熱溶融炉1の壁面24の複数箇所に流路11として配置されたパイプ61により、本体部21の水平方向の断面の領域が分けられていることから炉内に堆積された被溶融物2に棚吊現象が発生することを防止できる。ここで、棚吊現象とは、被溶融物の堆積層の大部分が溶融温度よりもはるかに低温であるので、互いに絡み合った箇所で固化し、被溶融物が下部の溶融部に落下してこなくなる現象をいう。
第1及び第2の加熱板5,6及び溶融部4は、電磁誘導コイル9が通電されることにより誘導電流が誘起され、ジュール熱により1800℃近傍まで加熱され、この熱により被溶融物2を溶融させる。第1及び第2の加熱板5,6及び溶融部4の温度は、高いほど被溶融物2の溶融量が増加する。
運転開始直後は、第1及び第2の加熱板5,6と接触している被溶融物2のみが溶融し、その上に堆積している被溶融物2が第1及び第2の加熱板5,6と接触するまでには多少の時間が必要である。このように、パイプ61の下端切断面11aの上部迄のものが処理されるが、パイプ61の下端切断面11aより上に堆積した固形状の被溶融物2は、第1及び第2の加熱板5,6上に落ちてこない。ここまでの時間は約5分程度かかる。
この状態で、燃焼部12は、第1の空気送風口14から空気が送風され、パイプ61下端11a近傍の火格子10上に堆積した被溶融物2に含有した未燃物である有機物を燃焼させて、灰にすることで被溶融物間の摩擦を低減させることで、被溶融物2を落下させる。このような現象によって、第1及び第2の加熱板5,6上に被処理物が供給される。この時に発生する燃焼ガス及び溶融ガスの一部は、被溶融物の中に入るが、ほとんどのガスは、ガス抜き用のパイプ61内で空気と反応しながら再燃焼部13、すなわち、スクリュー投入機41より上部側の空間に流入する。
この再燃焼部13には、第2の空気送風口15から再燃焼用の空気が供給されており、煙突23下部に取り付けてある再燃焼用のヒーターとなるコイル66で完全に燃焼して煙突23より放出される。尚、煙突23下部の領域13bは、このコイル66及び第2の熱電対67により、常時800℃以上保っているので、ダイオキシンの発生を防止できる。
一方、溶融部4で溶融された溶融スラグ7は、第1及び第2加熱板5,6に設けられた複数の貫通孔48から幾筋もの柱を作って、直接又はシュート51に当たって水中に落ちてスラグ55となり、案内板として設けられた傾斜部52によってシュート51部の垂直方向から離れて堆積する。水槽53内の水量はシュート部内でも発生する水蒸気を防ぐために多い程よく、蒸発した水を補充するために液面保持手段56により注水され、常に同一液面とされている。
このように、本発明を適用した誘導加熱溶融炉1は、誘導電流により加熱される溶融部4と第1及び第2の加熱板5,6とにより、被溶融物を加熱するので、溶融部を均一且つ高温に保持することができ、有害物質の発生を防止できるとともに溶融スラグの排出性を高めることができる。よって、本発明を適用した誘導加熱溶融炉1は、効率的な加熱を可能とするとともに放熱を低減できるので、効率的な溶融を可能とし、各種有害物質の減容化、無害化を可能とする。
また、本発明を適用した誘導加熱溶融炉1は、溶融部4上部に設けられた燃焼部12と、燃焼部12に空気を送風する第1の空気送風口14により、溶融部4に投入される被溶融物に含有される未燃物を燃焼するとともに、被溶融物の溶融により発生する可燃性ガスを燃焼することができるので、被溶融物の溶融の際に発生するガスを他の機器に搬入する必要がない。さらに、誘導加熱溶融炉1は、流路11の上部に設けられた再燃焼部13と、再燃焼部13に空気を送風する第2の空気送風口15と、再燃焼部13内の領域を加熱するコイル66とにより、燃焼部12で燃焼されなかった残留可燃性ガスを完全燃焼することができるので、この誘導加熱溶融炉1の排ガス処理等の後処理をする機器等を必要とせず、排出する排ガスを無害化することができる。
1 誘導加熱溶融炉、 2 被溶融物、 3 投入口、 4 溶融部、 5 第1の加熱板、6 第2の加熱板、 7 溶融スラグ、 8 排出口、 9 電磁誘導コイル、 10 火格子、 11 流路、 12 燃焼部、 13 再燃焼部、 14 第1の空気送風口、 15 第2の空気送風口、 16 送風機、 21 本体部、 22 傾斜面部、 23 煙突、 24 壁面、 25 耐火材、 26 断熱材、 27 保温材、 28 第1の点検口、 29 第2の点検口、 30 のぞき窓、 31 スクリュー投入機、 41 ルツボ、 42 第1の熱電対 45,46,47 スリット、 48 貫通孔、 51 シュート、 53 冷却水槽、 61 パイプ
Claims (3)
- 被溶融物を投入する投入口と、
上記投入口から投入された被溶融物を溶融させる溶融部と、
上記溶融部内部に設けられ、所定の距離を有して相対向して配置され、上記溶融部内部の被溶融物を加熱する第1及び第2の加熱板と、
上記溶融部で溶融された被溶融物の溶融スラグを排出する排出口と、
上記第1及び第2の加熱板を誘導加熱する電磁誘導コイルと、
上記溶融部の上部側に設けられ、上記溶融部で被溶融物が溶融する際に発生するガスを上方に排出する流路と、
上記流路と上記溶融部との間に設けられ、上記ガスを燃焼させる燃焼部と、
上記流路の上部側に設けられ、上記流路から流入したガスを燃焼させる再燃焼部と、
上記燃焼部に空気を送風する第1の空気送風口と、
上記再燃焼部に空気を送風する第2の空気送風口とを備える誘導加熱溶融炉。 - 上記第1の加熱板と上記第1の空気送風口との間に、上記投入口から投入される被溶融物に含有する被燃焼物を支持する火格子を有することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱溶融炉。
- 上記第1及び第2の加熱板は、略中心を通る複数のスリットを有し、
上記複数のスリットは、隣接する他のスリットとの間の角度が略等しくされていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱溶融炉。
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