JP2005308231A - 廃棄物溶融炉及び廃棄物溶融炉の気体吹込方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】羽口から吹き込まれる気体は通常常温であるため、羽口近傍に滴下してきた溶融スラグは冷却されて、その場で固化してしまう現象が生じる。
【解決手段】炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替えて、炉内容物の攪拌と、可燃性ガスの燃焼とが、交互に行われるようにした。また、空気を吹き込む羽口と、高濃度酸素を吹き込む羽口とを、同時に同数ずつ存在させるとともに、これらの羽口から吹き込む気体の種類を同時に切り替えるようにして、炉内に吹き込まれる気体の総量を一定となるようにした。
【選択図】図6
【解決手段】炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替えて、炉内容物の攪拌と、可燃性ガスの燃焼とが、交互に行われるようにした。また、空気を吹き込む羽口と、高濃度酸素を吹き込む羽口とを、同時に同数ずつ存在させるとともに、これらの羽口から吹き込む気体の種類を同時に切り替えるようにして、炉内に吹き込まれる気体の総量を一定となるようにした。
【選択図】図6
Description
本発明は、廃棄物ガス化溶融炉に関し、特に、炉内へ気体を吹き込む羽口へのスラグ付着や堆積を防止するための技術に関する。
従来、廃棄物を焼却する分野において、ダイオキシンの発生抑制や焼却飛灰(煤塵)処理の簡易性の面から、廃棄物をガス化し、その残渣を溶融スラグ化して排出するガス化溶融炉が採用されている。
この廃棄物溶融炉の一形態として、竪型溶融炉があり、炉体の下部にコークス層を設けてその上部に廃棄物を堆積させて廃棄物層を形成し、該コークス層の熱で廃棄物を酸素欠乏状態で熱分解してガス化及び一部燃焼させ、残渣はコークス層で溶融してスラグ化させるものである。スラグ化した残渣は炉外へ搬出されて、急冷され、セラミック状態となったものが土木資材等に利用されたり、場合により埋め立て処分されたりする。また、炉内で発生したガスは、二次燃焼炉に導入され、さらに分解されたのち放出され、その熱は発電等に利用される。
この廃棄物溶融炉の一形態として、竪型溶融炉があり、炉体の下部にコークス層を設けてその上部に廃棄物を堆積させて廃棄物層を形成し、該コークス層の熱で廃棄物を酸素欠乏状態で熱分解してガス化及び一部燃焼させ、残渣はコークス層で溶融してスラグ化させるものである。スラグ化した残渣は炉外へ搬出されて、急冷され、セラミック状態となったものが土木資材等に利用されたり、場合により埋め立て処分されたりする。また、炉内で発生したガスは、二次燃焼炉に導入され、さらに分解されたのち放出され、その熱は発電等に利用される。
上述のコークス層のコークスの燃焼のためや、炉内の廃棄物等の攪拌・燃焼のために、炉体には上下方向に複数段の羽口が設けられ、これらの羽口から、炉内へ気体が吹き込まれる。
特許文献1に記載の技術では、炉内のガス流れの均一化を図って安定した炉操業を行うことを目的として、炉内に吹き込まれる気体の量を一定に保持するように制御し、また、気体吹込量の切り替えを予め設定されたタイムスケジュールに従って行う方法が提案されている。
また、特許文献2に記載の技術では、高温度でコークス層のコークスを燃焼させるために、炉に設けられた羽口のうち、炉床部近くに配置された羽口からは酸素を富化した空気を吹き込み、その羽口の上方に配置された羽口からは空気を吹き込む方法が提案されている。
例えば、廃車のシュレッダーダスト等の、ガラス等の融点の低い不燃分を多く含む廃棄物では、1000℃以下の比較的低温域でもそれらの一部が溶融する。このため、図8に示す如く、コークス層の上部に堆積した廃棄物層において、廃棄物の部分燃焼や廃棄物層の攪拌を行うために気体を吹き込む羽口の上方で、廃棄物の一部が既に溶融して溶融スラグとなり、羽口の上方や前方に滴下してくるものがある。
しかし、羽口から炉内へ吹き込まれる気体は通常常温であるため、羽口近傍に滴下してきた溶融スラグは冷却されて、その場で固化してしまう現象が生じる。この現象が継続することによって、固化したスラグは成長を続け、羽口前方に張り出した阻害物となる。これにより、炉の断面積が狭められたり、廃棄物層やコークス層の攪拌・燃焼が阻害されたり、棚吊り現象が発生して廃棄物やコークスの下方への移動(荷下がり)が妨げられたりするという不具合が発生する。なお、棚吊り現象とは、炉内の廃棄物が何らかの原因でブリッジを形成して、それより上方にある廃棄物を支えて廃棄物の炉底部へ向かう動きを阻止する現象である。
そこで、本発明では、このようなスラグの固まりが炉内に堆積することを未然に防ぐ、或いは、スラグの固まりを可能な限り速やかに除去することのできる、炉内への羽口からの気体吹込方法及びこの方法を採用する廃棄物溶融炉を提案する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替える廃棄物溶融炉である。
請求項2においては、前記羽口から吹き込まれる空気の速度より、羽口から吹き込まれる高濃度酸素の速度を小さくするものである。
請求項3においては、前記廃棄物溶融炉に、空気を吹き込む羽口と、高濃度酸素を吹き込む羽口とを、同時に同数ずつ存在させるとともに、これらの羽口からの吹き込み気体の種類を同時に切り替えるものである。
請求項4においては、炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替える廃棄物溶融炉の気体吹込方法である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、各羽口近傍の環境が、炉内容物の攪拌・燃焼と、炉内容物の燃焼・溶融とで周期的に切り替えられることになる。すなわち、空気吹き込み時には炉内容物の攪拌することができ、また、高濃度酸素吹き込み時には羽口周辺の温度環境を、固化した(又は固化しようとする)スラグが最溶融する温度以上として、スラグを溶融して除去することができる。これにより、棚吊り現象の発生や、荷下がりの阻害を防止して、安定した操業を行うことができる。
請求項2においては、酸素の吹き込み速度を大きくすることで、炉内容物の十分な攪拌・燃焼効果を得ることができ、高濃度酸素の吹き込み速度を小さくすることで、可燃性ガスと効果的に気体を混合させることができる。
請求項3においては、羽口より炉内に吹き込まれる気体の総量は、常に一定となり、炉内の気体の流れを安定した状態とすることができる。
請求項4においては、各羽口近傍の環境が、炉内容物の攪拌・燃焼と、炉内容物の燃焼・溶融とで周期的に切り替えられることになる。すなわち、空気吹き込み時には炉内容物の攪拌・燃焼することができ、また、高濃度酸素吹き込み時には羽口周辺の温度環境を、固化した(又は固化しようとする)スラグが最溶融する温度以上として、スラグを溶融して除去することができる。これにより、棚吊り現象の発生や、荷下がりの阻害を防止して、安定した操業を行うことができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る廃棄物溶融炉の全体的な構成を示した図、図2は羽口から空気を吹き込んだときの様子を説明する図、図3は羽口から高濃度酸素を吹き込んだときの様子を説明する図、図4は羽口から高濃度酸素を吹き込んだときの羽口近傍の様子を説明する図である。
図5は羽口からの吹き込み気体の切替構造を示す図、図6は羽口からの気体の吹込量及び切替構成を示す図、図7は羽口からの気体の吹込量及び切替構成の別実施例を示す図である。
図8は羽口近傍にスラグが固化する様子を説明する図である。
図1は本発明の実施例に係る廃棄物溶融炉の全体的な構成を示した図、図2は羽口から空気を吹き込んだときの様子を説明する図、図3は羽口から高濃度酸素を吹き込んだときの様子を説明する図、図4は羽口から高濃度酸素を吹き込んだときの羽口近傍の様子を説明する図である。
図5は羽口からの吹き込み気体の切替構造を示す図、図6は羽口からの気体の吹込量及び切替構成を示す図、図7は羽口からの気体の吹込量及び切替構成の別実施例を示す図である。
図8は羽口近傍にスラグが固化する様子を説明する図である。
まず、本実施例に係る廃棄物溶融炉10の構造について説明する。
図1に示す如く、廃棄物をガス化する廃棄物溶融炉10は、下方から炉底部15とガス化部16とフリーボード部17とが連結されて竪型の炉体13が構成され、該炉体13に一つの連通する内部空間としての炉が形成されている。
図1に示す如く、廃棄物をガス化する廃棄物溶融炉10は、下方から炉底部15とガス化部16とフリーボード部17とが連結されて竪型の炉体13が構成され、該炉体13に一つの連通する内部空間としての炉が形成されている。
炉体13の内部には、炉底から上層へ向って順に、溶融した廃棄物により形成される溶融スラグ層25、主にコークス等の燃料となる固形炭素とほぼ溶融した廃棄物とにより形成されるコークス層20、及び、主にコークス層20の上部に堆積した廃棄物により形成される層である廃棄物層19の、各層が形成されている。溶融スラグ層25は炉底部15に保持され、コークス層20は炉底部15及びガス化部16に保持され、廃棄物層19はガス化部16に保持されている。
前記炉体13の炉底部15には、鉢状に炉の底部が形成されており、炉底に投入されるコークス等の固形炭素を加熱するための加熱手段(図示せず)が備えられている。また、炉底部15には、炉の底部と外部とを連通する残渣取出口18が形成されている。
前記ガス化部16は、炉底部15の上部に連結された筒状体であって、炉体13の胴部を形成している。
また、前記フリーボード部17は、ガス化部16の上部に連結され、炉体13の頭部を形成している。該フリーボード部17の頂部には、水冷されている廃棄物投入筒12が略鉛直方向に挿入されている。廃棄物投入筒12は搬送投入装置11接続され、また、該廃棄物投入筒12の下端は炉内に廃棄物を投入する投入口12aが形成されている。該投入口12aは、フリーボードFに位置して、ガス化部16内に位置する廃棄物層19と離間されている。
そして、前記フリーボード部17の上部には、排出ガスを溶融炉10より排出するガス排出口14が形成されている。ガス排出口14は図示せぬ二次燃焼炉にダクトを介して接続されている。
前記ガス化部16は、炉底部15の上部に連結された筒状体であって、炉体13の胴部を形成している。
また、前記フリーボード部17は、ガス化部16の上部に連結され、炉体13の頭部を形成している。該フリーボード部17の頂部には、水冷されている廃棄物投入筒12が略鉛直方向に挿入されている。廃棄物投入筒12は搬送投入装置11接続され、また、該廃棄物投入筒12の下端は炉内に廃棄物を投入する投入口12aが形成されている。該投入口12aは、フリーボードFに位置して、ガス化部16内に位置する廃棄物層19と離間されている。
そして、前記フリーボード部17の上部には、排出ガスを溶融炉10より排出するガス排出口14が形成されている。ガス排出口14は図示せぬ二次燃焼炉にダクトを介して接続されている。
前記炉体13の炉壁には、上下方向に複数段の羽口が設けられており、各段において複数の羽口が放射状に備えられている。
なお、本実施例においては、上下方向に4段の羽口を設けているが、これに限定されるものではなく、炉体13の規模や処理する廃棄物の成分に応じて、段数や各段の羽口数を変更することが好ましい。
なお、本実施例においては、上下方向に4段の羽口を設けているが、これに限定されるものではなく、炉体13の規模や処理する廃棄物の成分に応じて、段数や各段の羽口数を変更することが好ましい。
最も下方に位置する下段羽口24は、ガス化部16の下部において、コークス層20に気体を吹き込むために設けられている羽口であり、各下段羽口24は炉の略中央部であって幾分下方へ向かって吹き込むように角度が付けられている。下段羽口24からは、気体として、酸素と空気とが吹き込まれ、コークスの燃焼が促され、不燃分を溶融するために十分な温度が確保される。
前記下段羽口24の上方に位置する下から二段目の羽口である上段羽口23と、該上段羽口23の上方に位置する上段羽口22は、廃棄物層19に気体を吹き込むために設けられている羽口であり、各上段羽口22・23は炉の水平断面略中央部へ気体を吹き込むように配置されている。なお、上段羽口を上下方向に複数段設けて、廃棄物層19の高さや成分に応じて、気体の吹き込みを行う羽口と行わない羽口とを適宜変更することもできる。
そして、フリーボード部17の炉壁には、投入口12aとガス排出口14との上下方向の間において、フリーボードFに気体としての部分燃焼用空気を吹き込むための、少なくとも一段の羽口(上部羽口21)が備えられている。上部羽口21より吹き込まれた部分燃焼用空気によって、フリーボードFは高温の還元雰囲気となり、ダイオキシンの発生を抑制するとともにタールが分解される。また、上部羽口21から吹き込まれた気体により、フリーボードFに上昇方向の気流だけでなく略水平方向の気流を形成することにより、旋回流の形成が促されている。
上述の溶融炉10において、搬送投入装置11及び廃棄物投入筒12を通じて投入口12aより炉体13内部へ投入される廃棄物は、水分・可燃分・不燃分から構成されるが、水分・揮発分は炉下部のコークス層20で発生した高温ガス及び上段羽口22・23による廃棄物自体の部分燃焼熱によりガス化され、上部のフリーボードFでガス改質される。
不燃分はコークス層20で、主に下段羽口24からの酸素富化空気により同伴する固定炭素とコークスを熱源として高温燃焼・溶融され、スラグ・メタルとして残渣取出口18より炉外に排出される。
不燃分はコークス層20で、主に下段羽口24からの酸素富化空気により同伴する固定炭素とコークスを熱源として高温燃焼・溶融され、スラグ・メタルとして残渣取出口18より炉外に排出される。
上述の構成の廃棄物溶融炉10において、前記上段羽口22・23より、炉体13内へ吹き込まれる気体は、高濃度酸素(例えば、酸素濃度90%以上程度の高濃度で酸素を含む気体)と空気とを、同一の羽口において切り替え可能に構成されている。
羽口から吹き込まれる気体の種類の切り替えは、予め設定されたタイムスケジュールに沿って行われる。
なお、本実施例では、吹き込まれる気体の切り替えが行われる羽口は、上段羽口22・23としているが、これに限定されるものではなく、上部羽口21や下段羽口24においても、吹き込まれる気体の切り替えを行うことができる。
羽口から吹き込まれる気体の種類の切り替えは、予め設定されたタイムスケジュールに沿って行われる。
なお、本実施例では、吹き込まれる気体の切り替えが行われる羽口は、上段羽口22・23としているが、これに限定されるものではなく、上部羽口21や下段羽口24においても、吹き込まれる気体の切り替えを行うことができる。
図2に示す如く、羽口より吹き込まれる気体が空気である場合、廃棄物層19の攪拌及び廃棄物の部分燃焼を主目的として、廃棄物層19の内部まで到達可能であって、燃焼処理量を確保するために十分な量の気体が、羽口より吹き込まれる。
加熱されているコークス層20では、COを主体とする可燃性ガス34が発生し、廃棄物層19側へ上昇する。この可燃性ガス34及び廃棄物の一部が廃棄物層19において燃焼し、この熱により廃棄物の不燃分が溶融され、可燃分が燃焼される。しかし、羽口から空気が吹き出された直後は、羽口前方の領域では、可燃性ガス34と空気32との混合気体が、燃焼するための環境に至らず、燃焼しないか燃焼しても激しいものではないため、羽口前方の領域はスラグ31を溶融するに十分な温度環境にない。
加熱されているコークス層20では、COを主体とする可燃性ガス34が発生し、廃棄物層19側へ上昇する。この可燃性ガス34及び廃棄物の一部が廃棄物層19において燃焼し、この熱により廃棄物の不燃分が溶融され、可燃分が燃焼される。しかし、羽口から空気が吹き出された直後は、羽口前方の領域では、可燃性ガス34と空気32との混合気体が、燃焼するための環境に至らず、燃焼しないか燃焼しても激しいものではないため、羽口前方の領域はスラグ31を溶融するに十分な温度環境にない。
一方、図3に示す如く、羽口より吹き込まれる気体が高濃度酸素33である場合、空気32の吹込量と比較して少ない量で、速度の小さい気体が吹き込まれる。高濃度酸素33吹き込みの主目的は、廃棄物層19の攪拌・燃焼ではなく、可燃性ガス34の燃焼だからである。このため、可燃性ガス34と混合しやすい小さい速度で、また、爆発的燃焼が発生しない程度の量の高濃度酸素33が、羽口より吹き込まれる。
図4に示す如く、加熱されているコークス層20から発生した可燃性ガス34は、その上昇過程において羽口前方で羽口から吹き込まれた高濃度酸素33と混合し、羽口近傍で燃焼する。この可燃性ガス34の燃焼による熱によって、羽口前方に滴下して固化しようとする又は固化したスラグ31が、再溶解温度となり溶解される。また、可燃性ガス34の燃焼による熱によっても、廃棄物の不燃分が溶解され、可燃分が燃焼される。
図4に示す如く、加熱されているコークス層20から発生した可燃性ガス34は、その上昇過程において羽口前方で羽口から吹き込まれた高濃度酸素33と混合し、羽口近傍で燃焼する。この可燃性ガス34の燃焼による熱によって、羽口前方に滴下して固化しようとする又は固化したスラグ31が、再溶解温度となり溶解される。また、可燃性ガス34の燃焼による熱によっても、廃棄物の不燃分が溶解され、可燃分が燃焼される。
上述の如く、羽口より吹き込まれる気体が、空気32であるか高濃度酸素33であるかによって、廃棄物層19とそのスラグ31に対する作用が異なる。
本発明では、この作用を利用して、炉体13に設けられた羽口から送風される気体を、空気32と高濃度酸素33との間で周期的に切り替えることによって、羽口近傍における溶融スラグ31の固化を防止し、また、固化したスラグ31が存在したとしても再溶融させて羽口近傍にスラグ31からなる阻害物を除去することを図っている。これにより、棚吊り現象の発生の防止や、廃棄物層19の断続的に良好な荷下がりが実現される。
本発明では、この作用を利用して、炉体13に設けられた羽口から送風される気体を、空気32と高濃度酸素33との間で周期的に切り替えることによって、羽口近傍における溶融スラグ31の固化を防止し、また、固化したスラグ31が存在したとしても再溶融させて羽口近傍にスラグ31からなる阻害物を除去することを図っている。これにより、棚吊り現象の発生の防止や、廃棄物層19の断続的に良好な荷下がりが実現される。
なお、同一時において、空気を吹き込む羽口の数と、高濃度酸素を吹き込む羽口の数とを、等しくすることが好ましい。さらに、これらの羽口より吹き込まれる気体の種類の切り替えは略同時に行うことが好ましい。これらを実現することによって、炉内に吹き込まれる気体の総量が常に一定となり、炉内の気体の流れが安定することになり、安定した操業に寄与することができるからである。
次に、上記の如く羽口から吹き込む気体を切り替える構造及び切替方法の一例について説明する。
図6に示す如く、ここでは一例として、炉体13において下方から二段目に位置する上段羽口23が炉体13の周方向に六本配置されている例を用い、右回りにそれぞれ、羽口A、羽口B、羽口C、羽口D、羽口E、羽口Fとする。そして、一つおきに配置された羽口どうしをグループに分け、羽口Aと羽口Cと羽口Eとが第一羽口グループとし、羽口Bと羽口Dと羽口Eとが第二羽口グループとして、各羽口グループごとに同様に気体が吹き込まれるように構成されている。
羽口Aと羽口Cと羽口Eとから成る第一羽口グループには、空気用風箱からの空気供給管46と、高濃度酸素用風箱からの酸素供給管48とが接続されている。また、羽口Bと羽口Dと羽口Eとから成る第二羽口グループには、空気用風箱からの空気供給管47と、高濃度酸素用風箱からの酸素供給管49とが接続されている。そして、空気供給管46・47に設けられたバルブ41・42と、高濃度酸素供給管48・49に設けられたバルブ43・44とが、それぞれ開閉制御されることによって、各羽口から吹き込まれる気体が切り替え制御される。なお、バルブ41・42・43・44は制御装置45に電気的に接続されており、制御装置45の制御を受けてバルブ41・42・43・44の開閉が行われる。
各羽口から吹き込まれる気体は、予め設定された切替時間tごとに、空気と高濃度酸素との間で周期的に切り替えられる。そして、第一グループに属する羽口(羽口A・羽口C・羽口E)から吹き込まれる気体が空気であるときは、第二グループに属する羽口(羽口D・羽口E・羽口F)から吹き込まれる気体は高濃度酸素であり、逆もまた同じとする。
空気の吹込量に対して高濃度酸素の吹込量は少なく設定され、各羽口グループによって同一時の気体の吹込量は異なるが、炉内に供給される気体の総量は常に一定として、炉内の気体の流れを安定した状態としている。
空気の吹込量に対して高濃度酸素の吹込量は少なく設定され、各羽口グループによって同一時の気体の吹込量は異なるが、炉内に供給される気体の総量は常に一定として、炉内の気体の流れを安定した状態としている。
上述の如く、切替時間tごとに、羽口から吹き込まれる気体が空気と高濃度酸素との間で周期的に切り替えられることで、各羽口近傍の環境が、廃棄物層19の攪拌と、廃棄物層19の溶融・燃焼との間で周期的に切り替えられることになる。
これにより、空気送風時には廃棄物層19が攪拌され、高濃度酸素送風時にはスラグ31が溶解されて羽口へのスラグ31の付着やスラグ31による羽口の閉塞が防止され、棚吊り現象が発生したり、荷下がりが阻害されたりすることなく、廃棄物溶融炉10の良好な炉操業が保持される。
これにより、空気送風時には廃棄物層19が攪拌され、高濃度酸素送風時にはスラグ31が溶解されて羽口へのスラグ31の付着やスラグ31による羽口の閉塞が防止され、棚吊り現象が発生したり、荷下がりが阻害されたりすることなく、廃棄物溶融炉10の良好な炉操業が保持される。
上述の効果を実現する気体の吹込量と切替時間の設定の一例として、例えば、処理能力400kg/hの廃棄物溶融炉10において、全ての羽口23からの、総空気吹込量を600Nm3/h、総高濃度酸素吹込量30Nm3/hとし、切替時間t=5minとすることができる。つまり、第一グループに属する各羽口から200Nm3/hの空気を吹き込むとき、第二グループに属する各羽口から10Nm3/hの高濃度酸素を吹き込み、これを5分間隔で切り替えるのである。なお、この場合、総空気吹込量に対して、総高濃度酸素吹込量が1/20となるように設定されている。
また、気体の吹込量と切替時間の設定パターンとして、上下に複数段設けられている羽口の各段で、羽口から吹き込まれる気体を空気と高濃度酸素との間で切り替えるようにすることもできる。
本実施例に係る炉体13では、上下に二段の上段羽口22・23が設けられている。この場合の気体の吹込量と切替時間の設定の一例として、図7に示す如く、例えば、処理能力400kg/hの廃棄物溶融炉10において、上段側の上段羽口22から合わせて600Nm3/hの空気を吹き込むとき、下段側の上段羽口23から合わせて30Nm3/hの高濃度酸素を吹き込み、これを5分間隔で切り替えることができる。
本実施例に係る炉体13では、上下に二段の上段羽口22・23が設けられている。この場合の気体の吹込量と切替時間の設定の一例として、図7に示す如く、例えば、処理能力400kg/hの廃棄物溶融炉10において、上段側の上段羽口22から合わせて600Nm3/hの空気を吹き込むとき、下段側の上段羽口23から合わせて30Nm3/hの高濃度酸素を吹き込み、これを5分間隔で切り替えることができる。
上述の如く、気体の吹込量と切替時間とを設定することができる。羽口からの気体の吹込量やその切替パターンは、炉体13の形状や上段羽口22・23の配置によって、適宜変更することが好ましい。また、切替時間は、廃棄物溶融炉10で処理しようとする廃棄物の成分に応じて、適宜変更することが好ましい。
10 廃棄物溶融炉
13 炉体
21 上部羽口
22 上段羽口
23 上段羽口
24 下段羽口
13 炉体
21 上部羽口
22 上段羽口
23 上段羽口
24 下段羽口
Claims (4)
- 炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、
同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替え制御することを特徴とする廃棄物溶融炉。 - 前記羽口から吹き込まれる空気の速度より、羽口から吹き込まれる高濃度酸素の速度を小さくする、
請求項1に記載の廃棄物溶融炉。 - 前記廃棄物溶融炉に、空気を吹き込む羽口と高濃度酸素を吹き込む羽口とを同一時に同数ずつ存在させるとともに、これらの羽口から吹き込む気体の種類を同時に切り替える、
請求項1又は請求項2に記載の廃棄物溶融炉。 - 炉内に気体を吹き込む羽口を複数備えた廃棄物溶融炉において、
同一の羽口から炉内へ吹き込む気体を、空気と高濃度酸素とで周期的に切り替えることを特徴とする廃棄物溶融炉の気体吹込方法。
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- 2004-04-16 JP JP2004121493A patent/JP2005308231A/ja active Pending
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