JP2006151238A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 統合ユニット(HU+ECU)に内蔵されたヨーレイトセンサ等の出力値にローパスフィルタ処理を施した値に基づいて車両安定化制御を実行する車両の運動制御装置において、誤作動の発生を抑制し得るものを提供すること。
【解決手段】 この装置は、ハイドロリックユニットHUとは別体のステアリング角度センサにより得られる実ステアリング角度に基づいて得られる舵角ヨーレイトYrtの値に時定数τ2でローパスフィルタ処理を施した値(ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilter)から、HUに内蔵されたヨーレイトセンサにより得られる実ヨーレイトYrの値に時定数τ1(>τ2)でローパスフィルタ処理を施した値(ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilter)を減じることでヨーレイト偏差を求める。そして、このヨーレイト偏差がしきい値Yrthを超えたとき(時刻t3’)アンダーステア抑制制御を開始する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両の運動制御装置に関する。
従来より、旋回時における車両の走行安定性を維持するため車両安定化制御を実行する車両の運動制御装置が広く知られている。具体的には、この種の運動制御装置は、例えば、ステアリング角度センサから得られるステアリング角度(操舵輪の転舵角度)(及び、車体速度、車両の諸元等)に基づいて算出される車両のヨーレイト(以下、「舵角ヨーレイト」と称呼する。)から、ヨーレイトセンサ(或いは、横加速度センサ)から得られる車両のヨーレイト(以下、「実ヨーレイト」と称呼する。)を減じた値(以下、「ヨーレイト偏差」と称呼する。)が所定のしきい値を超えたとき、車両がアンダーステア状態にあると判定する。
そして、この種の装置は、車両がアンダーステア状態にあると判定した場合、一般に、車両のヨーイングの方向と同一方向のヨーイングモーメント(アンダーステア抑制モーメント)を同車両に発生させるため旋回方向内側の後輪にブレーキ液圧による所定の制動力を付与するようになっている。これにより、アンダーステア抑制制御が実行されて、ヨーレイト偏差が上記しきい値以下となるように制御される。
係る装置は、一般に、車輪に付与される制動力を制御するために必要な複数の電磁弁、液圧ポンプ等の複数の液圧機器を搭載した液圧ユニット(ハイドロリックユニット)と、複数の液圧機器を制御するための電気制御装置(ECU)とが一体化されてなる統合ユニットと、同統合ユニットとハーネス、コネクタ等を用いて接続された同統合ユニットとは別体の上記ヨーレイトセンサ、上記ステアリング角度センサ等の各種センサとから構成されていた。この場合、統合ユニットは、所謂CAN通信により各種センサからの信号を受け取ることで上記車両安定化制御を実行するようになっていた。
ところが、近年、ヨーレイトセンサ(或いは、横加速度センサ)を上記統合ユニットに内蔵する技術が開発されてきている(例えば、下記特許文献1を参照)。これによれば、上記ハーネス、コネクタを省略できることに加え、上記CAN通信のために必要であったヨーレイトセンサ内部のCPU、CANドライバ等の電子部品等をも省略することができるから、装置全体の製造コストを低減することができる。
特表2004−506572号公報
ところで、上記統合ユニットには、それ自身に搭載されている液圧ポンプ、電磁弁等の液圧機器の作動により振動が発生する。加えて、統合ユニットは一般に、車両の車体(ボディ)にマウント等を介して間接的に固定されるから、路面等から受ける車体側の振動が共振により統合ユニットに増幅されて伝達され得る。
従って、ヨーレイトセンサが統合ユニットに内蔵されると、統合ユニットが受ける上記各種振動がヨーレイトセンサに直接伝達され得、これにより、ヨーレイトセンサが受ける振動が増大する。ヨーレイトセンサが受ける振動が増大すると、図10に示すように、実ヨーレイトの値(太い破線を参照)が真のヨーレイトの値(2点鎖線を参照)に対して振動的になり易く(振動ノイズが重畳され易く)、この結果、上記ヨーレイト偏差の値も振動的になることで車両安定化制御が適切に実行されなくなる可能性が高くなる。
以上のことから、上記文献に記載の装置は、統合ユニットに内蔵されたヨーレイトセンサから得られる実ヨーレイトの値そのものに代えて同実ヨーレイトの値にローパスフィルタ処理を施した値に基づいてヨーレイト偏差の値を計算し、ヨーレイト偏差がしきい値を超えたとき車両安定化制御(例えば、アンダーステア抑制制御)を開始するようになっている。
しかしながら、これにより、以下のような問題が発生する。いま、図10に示すように、舵角ヨーレイトから真のヨーレイトを減じて得られる真のヨーレイト偏差が時刻t2にてしきい値を越える場合、即ち、時刻t2にて車両安定化制御(具体的には、アンダーステア抑制制御)が開始されるべき場合を考える。
一般に、変動する或る信号(値)にローパスフィルタ処理を施すと、ローパスフィルタ処理された後の値はローパスフィルタの時定数に応じた分だけローパスフィルタ処理される前の値よりも遅れて変動する。従って、図10に示すように、上述した実ヨーレイトの値(太い破線)にローパスフィルタ処理を施した値(ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトの値。細い破線を参照)も、実ヨーレイトの値より遅れて変動する。
このことは、真のヨーレイト偏差が増大する過程、即ち、車両安定化制御が開始されるべき時点が到来する状況下において、ヨーレイト偏差の値(即ち、舵角ヨーレイトからローパスフィルタ処理後実ヨーレイトを減じた値)を大きくする方向に働く。
これにより、真のヨーレイト偏差が時刻t2までしきい値を越えないにもかかわらず、ヨーレイト偏差が時刻t2よりも前の時刻t1にてしきい値を超えてしまい、この結果、時刻t1からアンダーステア抑制制御が早期に開始されるという誤作動が発生し得るという問題があった。
本発明は係る問題に対処するためになされたものであって、その目的は、統合ユニットに内蔵されたヨーレイトセンサ等の出力値にローパスフィルタ処理を施した値に基づいて車両安定化制御を実行する車両の運動制御装置において、誤作動の発生を抑制し得るものを提供することにある。
先ず、本発明に係る車両の運動制御装置は、車両の車輪に付与される制動力を制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニットと、前記複数の液圧機器を制御するための電気制御装置とが一体化されてなる統合ユニットと、前記統合ユニットに内蔵されていて、前記車両の旋回の程度を表すヨーレイト対応値を実ヨーレイト対応値として検出する実ヨーレイト対応値センサと、前記車両の操舵輪の転舵角に対応する舵角対応値を実舵角対応値として検出する実舵角対応値センサとを備えている。
ここにおいて、「液圧機器」とは、例えば、運転者によるブレーキ操作にかかわらず自動的にブレーキ液圧を発生させるための液圧ポンプ(この液圧ポンプを駆動するためのモータを含む。)、及び各車輪のホイールシリンダ液圧を個別に調整するための複数の電磁弁等である。
また、「ヨーレイト対応値」とは、車両の旋回の程度を表す値であって、例えば、車両のヨーレイトそのもの、車両の横加速度等である。従って、実ヨーレイト対応値センサは、例えば、実ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、或いは、実横加速度を検出する横加速度センサ等である。「舵角対応値」は、車両の操舵輪の転舵角に対応する値であって、例えば、操舵輪の転舵角そのもの、ステアリング角度等である。従って、実舵角対応値センサは、例えば、実転舵角を検出する転舵角センサ、実ステアリング角度を検出するステアリング角度センサ等である。
本発明の特徴は、係る車両の運動制御装置において、前記電気制御装置が、少なくとも前記検出された実舵角対応値に基づいて得られる前記ヨーレイト対応値である舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値と、前記検出された実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値との相違の程度に基づいて前記車両の旋回に係わる不安定の程度を示すヨーレイト偏差対応値を取得するヨーレイト偏差対応値取得手段と、前記取得されたヨーレイト偏差対応値がしきい値を超えたとき、同ヨーレイト偏差対応値を同しきい値以下とする方向のヨーイングモーメントを前記車両に発生させるための制動力が所定の車輪に付与されるように前記複数の液圧機器を制御する車両安定化制御実行手段とを備えたことにある。
ここにおいて、「舵角ヨーレイト対応値」は、例えば、実舵角対応値としての実ステアリング角度と、車体速度と、車両の諸元(ステアリングギヤ比、ホイールベース)等とに基づいて算出される車両のヨーレイト対応値(即ち、上記舵角ヨーレイト等)である。「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」とは、実舵角対応値センサにより検出された実舵角対応値(例えば、実ステアリング角度等)そのものにローパスフィルタ処理を施した値を使用して計算された舵角ヨーレイト対応値、或いは、実舵角対応値センサにより検出された実舵角対応値そのものを使用して計算された舵角ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値である。
また、「ヨーレイト偏差対応値」は、前記車両の旋回に係わる不安定の程度を示す値であって、例えば、「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」と、「実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値」の差(例えば、上記ヨーレイト偏差)、或いは比等である。
これによれば、ヨーレイト偏差対応値(例えば、ヨーレイト偏差)を取得するに際し、実ヨーレイト対応値のみならず舵角ヨーレイト対応値にもローパスフィルタ処理が施される。ここで、上述したように、「実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値」に基づいてヨーレイト偏差対応値を計算することは、真のヨーレイト偏差が増大する過程においてヨーレイト偏差対応値を大きくする方向に働く。
他方、「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」は、舵角ヨーレイト対応値(ローパスフィルタ処理が施されていない値)よりも遅れて変動する。従って、「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」に基づいてヨーレイト偏差対応値を計算することは、真のヨーレイト偏差が増大する過程においてヨーレイト偏差対応値を小さくする方向に働く(詳細は後述する)。
以上のことから、舵角ヨーレイト対応値に対するローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの特性(応答性)と実ヨーレイト対応値に対するローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの特性(応答性)とを調整することにより、真のヨーレイト偏差が増大する過程において、ヨーレイト偏差対応値(例えば、上記ヨーレイト偏差)を真のヨーレイト偏差対応値(例えば、上記真のヨーレイト偏差)以下に維持することができる。
この結果、真のヨーレイト偏差が増大する過程、即ち、車両安定化制御が開始されるべき時点が到来する状況下において、車両安定化制御が早期に開始されるという誤作動の発生を可及的に抑制することができる。
この場合、前記ヨーレイト偏差対応値取得手段は、前記舵角ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性が前記実ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性よりも高くなるように構成されることが好適である。
即ち、具体的には、前記ヨーレイト偏差対応値取得手段は、前記舵角ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数(以下、「舵角ヨーレイト側時定数」と称呼する。)が前記実ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数(以下、「実ヨーレイト側時定数」と称呼する。)よりも小さくなるように構成されると好ましい。
例えば、舵角ヨーレイト側時定数を実ヨーレイト側時定数と同一の値とする場合について考える。この場合、「実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値」の変動の遅れの程度と、「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」の変動の遅れの程度とが同等となる。
これにより、真のヨーレイト偏差対応値の変動が上記時定数に応じた時間だけ遅れてヨーレイト偏差対応値の変動として現れる。即ち、ヨーレイト偏差対応値がしきい値を越える時点が、真のヨーレイト偏差対応値がしきい値を超える時点よりも上記時定数に応じた時間だけ遅れる。
このことは、車両安定化制御が開始される時点が、車両安定化制御が本来開始されるべき時点よりも必ず上記時定数に応じた時間だけ遅れることを意味する。従って、上記実ヨーレイト対応値に重畳される振動ノイズを十分に除去するため実ヨーレイト側時定数(及び、舵角ヨーレイト側時定数)を大きめに設定すると、車両安定化制御が開始される時点が、車両安定化制御が本来開始されるべき時点よりも大きく遅れてしまう。
これに対し、上記構成のように、舵角ヨーレイト側時定数を実ヨーレイト側時定数よりも小さくすると、舵角ヨーレイト側時定数を実ヨーレイト側時定数と同一の値とする場合に比して、「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」の変動の遅れの程度が小さくなる。
このことは、ヨーレイト偏差対応値を大きくする方向、従って、車両安定化制御が開始される時点を早める方向に働く。この結果、上記実ヨーレイト対応値に重畳される振動ノイズを十分に除去するため実ヨーレイト側時定数を大きめに設定しても、車両安定化制御が開始される時点が遅れる程度を小さくすることができる。
以下、本発明による車両の運動制御装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る運動制御装置10を搭載した車両の概略構成を示している。この車両は、前輪駆動方式の車両である。
この運動制御装置10は、駆動力を発生するとともに同駆動力を駆動輪FL,FR,RL,RRにそれぞれ伝達する駆動力伝達機構部20と、車輪に運転者によるブレーキ操作に応じたブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生部30と、液圧ユニット40(ハイドロリックユニット。以下、単に「HU40」と称呼する。)と電気制御装置50(以下、単に「ECU50」と称呼する。)とが一体化されてなる統合ユニットと、を含んで構成されている。なお、この統合ユニットは、車両の車体に弾性部材からなる所定のマウントを介して固定されている。
駆動力伝達機構部20は、駆動力を発生するエンジン21と、同エンジン21の吸気管21a内に配置されるとともに吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁THの開度TAを制御するスロットル弁アクチュエータ22と、エンジン21の図示しない吸気ポート近傍に燃料を噴射するインジェクタを含む燃料噴射装置23を備える。
また、駆動力伝達機構部20は、エンジン21の出力軸に入力軸が接続された変速機24と、変速機24の出力軸と連結されエンジン21の駆動力を適宜分配して前輪FL,FRにそれぞれ伝達する前輪側ディファレンシャル25とを含んで構成されている。
ブレーキ液圧発生部30は、その概略構成を表す図2に示すように、ブレーキペダルBPの作動により応動するバキュームブースタVBと、同バキュームブースタVBに連結されたマスタシリンダMCとから構成されている。バキュームブースタVBは、エンジン21の吸気管内の空気圧力(負圧)を利用してブレーキペダルBPの操作力を所定の割合で助勢し同助勢された操作力をマスタシリンダMCに伝達するようになっている。
マスタシリンダMCは、第1ポート、及び第2ポートからなる2系統の出力ポートを有していて、リザーバRSからのブレーキ液の供給を受けて、前記助勢された操作力に応じた第1マスタシリンダ圧Pmを第1ポートから発生するようになっているとともに、同第1マスタシリンダ圧と略同一の液圧である前記助勢された操作力に応じた第2マスタシリンダ圧Pmを第2ポートから発生するようになっている。
これらマスタシリンダMC及びバキュームブースタVBの構成及び作動は周知であるので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。このようにして、マスタシリンダMC及びバキュームブースタVBは、ブレーキペダルBPの操作力に応じた第1マスタシリンダ圧及び第2マスタシリンダ圧をそれぞれ発生するようになっている。
HU40は、その概略構成を表す図2に示すように、車輪RR,FL,FR,RLにそれぞれ配置されたホイールシリンダWrr,Wfl,Wfr,Wrlに供給するブレーキ液圧をそれぞれ調整可能なRRブレーキ液圧調整部41,FLブレーキ液圧調整部42,FRブレーキ液圧調整部43,RLブレーキ液圧調整部44と、還流ブレーキ液供給部45とを含んで構成されている。
上記マスタシリンダMCの第1ポートは、車輪RR,FLに係わる系統に属し、同第1ポートと、RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部との間には、常開リニア電磁弁PC1が介装されている。同様に、マスタシリンダMCの第2ポートは、車輪FR,RLに係わる系統に属し、同第2ポートと、FRブレーキ液圧調整部43の上流部及びRLブレーキ液圧調整部44の上流部との間には、常開リニア電磁弁PC2が介装されている。係る常開リニア電磁弁PC1,PC2の詳細については後述する。
RRブレーキ液圧調整部41は、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁PUrrと、2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁PDrrとから構成されている。増圧弁PUrrは、RRブレーキ液圧調整部41の上流部と後述するホイールシリンダWrrとを連通、或いは遮断できるようになっている。減圧弁PDrrは、ホイールシリンダWrrとリザーバRS1とを連通、或いは遮断できるようになっている。この結果、増圧弁PUrr、及び減圧弁PDrrを制御することでホイールシリンダWrr内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ圧PWrr)が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
加えて、増圧弁PUrrにはブレーキ液のホイールシリンダWrr側からRRブレーキ液圧調整部41の上流部への一方向の流れのみを許容するチェック弁CV1が並列に配設されていて、これにより、操作されているブレーキペダルBPが開放されたときホイールシリンダ圧PWrrが迅速に減圧されるようになっている。
同様に、FLブレーキ液圧調整部42,FRブレーキ液圧調整部43、RLブレーキ液圧調整部44は、それぞれ、増圧弁PUfl及び減圧弁PDfl,増圧弁PUfr及び減圧弁PDfr,増圧弁PUrl及び減圧弁PDrlから構成されており、これらの増圧弁及び減圧弁が制御されることにより、ホイールシリンダWfl,ホイールシリンダWfr及びホイールシリンダWrl内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ圧PWfl,PWfr,PWrl)をそれぞれ増圧、保持、減圧できるようになっている。また、増圧弁PUfl,PUfr及びPUrlの各々にも、上記チェック弁CV1と同様の機能を達成し得るチェック弁CV2,CV3及びCV4がそれぞれ並列に配設されている。
還流ブレーキ液供給部45は、直流モータMTと、同モータMTにより同時に駆動される2つの液圧ポンプ(ギヤポンプ)HP1,HP2を含んでいる。液圧ポンプHP1は、減圧弁PDrr,PDflから還流されてきたリザーバRS1内のブレーキ液を汲み上げ、同汲み上げたブレーキ液をチェック弁CV8を介してRRブレーキ液圧調整部41及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部に供給するようになっている。
同様に、液圧ポンプHP2は、減圧弁PDfr,PDrlから還流されてきたリザーバRS2内のブレーキ液を汲み上げ、同汲み上げたブレーキ液をチェック弁CV11を介してFRブレーキ液圧調整部43及びRLブレーキ液圧調整部44の上流部に供給するようになっている。なお、液圧ポンプHP1,HP2の吐出圧の脈動を低減するため、チェック弁CV8と常開リニア電磁弁PC1との間の液圧回路、及びチェック弁CV11と常開リニア電磁弁PC2との間の液圧回路には、それぞれ、ダンパDM1,DM2が配設されている。
次に、常開リニア電磁弁PC1について説明する。常開リニア電磁弁PC1の弁体には、図示しないコイルスプリングからの付勢力に基づく開方向の力が常時作用しているとともに、RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部の圧力から第1マスタシリンダ圧Pmを減じることで得られる差圧(以下、単に「実差圧」と云うこともある。)に基づく開方向の力と、常開リニア電磁弁PC1への通電電流(従って、指令電流Id)に応じて比例的に増加する吸引力に基づく閉方向の力が作用するようになっている。
この結果、図3に示したように、上記吸引力に相当する指令差圧ΔPdが指令電流Idに応じて比例的に増加するように決定される。ここで、I0はコイルスプリングの付勢力に相当する電流値である。そして、常開リニア電磁弁PC1は、係る指令差圧ΔPdが上記実差圧よりも大きいときに閉弁してマスタシリンダMCの第1ポートと、RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部との連通を遮断する。
一方、常開リニア電磁弁PC1は、指令差圧ΔPdが同実差圧よりも小さいとき開弁してマスタシリンダMCの第1ポートと、RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部とを連通する。この結果、(液圧ポンプHP1から供給されている)RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部のブレーキ液が常開リニア電磁弁PC1を介してマスタシリンダMCの第1ポート側に流れることで同実差圧が指令差圧ΔPdに一致するように調整され得るようになっている。なお、マスタシリンダMCの第1ポート側へ流入したブレーキ液はリザーバRS1へと還流される。
換言すれば、モータMT(従って、液圧ポンプHP1,HP2)が駆動されている場合、常開リニア電磁弁PC1への指令電流Idに応じて上記実差圧(の許容最大値)が制御され得るようになっている。このとき、RRブレーキ液圧調整部41の上流部、及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部の圧力は、第1マスタシリンダ圧Pmに実差圧(従って、指令差圧ΔPd)を加えた値(Pm+ΔPd)となる。
他方、常開リニア電磁弁PC1を非励磁状態にすると(即ち、指令電流Idを「0」に設定すると)、常開リニア電磁弁PC1はコイルスプリングの付勢力により開状態を維持するようになっている。このとき、実差圧が「0」になって、RRブレーキ液圧調整部41の上流部、及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部の圧力が第1マスタシリンダ圧Pmと等しくなる。
常開リニア電磁弁PC2も、その構成・作動について常開リニア電磁弁PC1のものと同様である。従って、モータMT(従って、液圧ポンプHP1,HP2)が駆動されている場合、常開リニア電磁弁PC2への指令電流Idに応じて、FRブレーキ液圧調整部43の上流部、及びRLブレーキ液圧調整部44の上流部の圧力は、第2マスタシリンダ圧Pmに指令差圧ΔPdを加えた値(Pm+ΔPd)となる。他方、常開リニア電磁弁PC2を非励磁状態にすると、FRブレーキ液圧調整部43の上流部、及びRLブレーキ液圧調整部44の上流部の圧力が第2マスタシリンダ圧Pmと等しくなる。
加えて、常開リニア電磁弁PC1には、ブレーキ液の、マスタシリンダMCの第1ポートから、RRブレーキ液圧調整部41の上流部及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部への一方向の流れのみを許容するチェック弁CV5が並列に配設されている。これにより、常開リニア電磁弁PC1への指令電流Idに応じて実差圧が制御されている間においても、ブレーキペダルBPが操作されることで第1マスタシリンダ圧PmがRRブレーキ液圧調整部41の上流部、及びFLブレーキ液圧調整部42の上流部の圧力よりも高い圧力になったとき、ブレーキペダルBPの操作力に応じたブレーキ液圧(即ち、第1マスタシリンダ圧Pm)そのものがホイールシリンダWrr,Wflに供給され得るようになっている。また、常開リニア電磁弁PC2にも、上記チェック弁CV5と同様の機能を達成し得るチェック弁CV6が並列に配設されている。
以上、説明した構成により、HU40は、右後輪RRと左前輪FLとに係わる系統と、左後輪RLと右前輪FRとに係わる系統の2系統の液圧回路から構成されている。HU40は、全ての電磁弁が非励磁状態にあるときブレーキペダルBPの操作力に応じたブレーキ液圧(即ち、マスタシリンダ圧Pm)をホイールシリンダW**にそれぞれ供給できるようになっている。
なお、各種変数等の末尾に付された「**」は、同各種変数等が各車輪FR等のいずれに関するものであるかを示すために同各種変数等の末尾に付される「fl」,「fr」等の包括表記であって、例えば、ホイールシリンダW**は、左前輪用ホイールシリンダWfl,
右前輪用ホイールシリンダWfr, 左後輪用ホイールシリンダWrl, 右後輪用ホイールシリンダWrrを包括的に示している。
他方、この状態において、モータMT(従って、液圧ポンプHP1,HP2)を駆動するとともに、常開リニア電磁弁PC1,PC2を指令電流Idをもってそれぞれ励磁すると、HU40は、マスタシリンダ圧Pmよりも指令電流Idに応じて決定される指令差圧ΔPdだけ高いブレーキ液圧をホイールシリンダW**にそれぞれ供給できるようになっている。
加えて、HU40は、増圧弁PU**、及び減圧弁PD**を制御することでホイールシリンダ圧PW**を個別に調整できるようになっている。即ち、HU40は、運転者によるブレーキペダルBPの操作にかかわらず、各車輪に付与される制動力を車輪毎に個別に調整できるようになっている。これにより、HU40は、ECU50からの指示により、後述する車両安定化制御(具体的には、アンダーステア抑制制御)を達成できるようになっている。
再び、図1を参照すると、ECU50は、互いにバスで接続されたCPU51、CPU51が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、定数等を予め記憶したROM52、CPU51が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM53、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM54、及びADコンバータを含むインターフェース55等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース55は、統合ユニットと別体の車輪速度センサ61**、アクセル開度センサ62、及びステアリング角度センサ63(実舵角対応値センサ)と、所定のハーネス、コネクタ等を介してCAN通信可能に接続されている。また、インターフェース55は、統合ユニットに内蔵されたヨーレイトセンサ64(実ヨーレイト対応値センサ)とハーネス、コネクタ等を用いることなく電気的に直接接続されている。
車輪速度センサ61fl,61fr,61rl及び61rrは、電磁ピックアップ式のセンサであって、車輪FL,FR,RL及びRRの車輪速度に応じた周波数を有する信号をそれぞれ出力するようになっている。アクセル開度センサ62は、運転者により操作されるアクセルペダルAPの操作量を検出し、同アクセルペダルAPの操作量Accpを示す信号を出力するようになっている。ステアリング角度センサ63は、ステアリングSTの中立位置からの回転角度を検出し、実ステアリング角度θs(実舵角対応値)を示す信号を出力するようになっている。ヨーレイトセンサ64は、車両のヨーレイトを検出し、実ヨーレイトYr(実ヨーレイト対応値)を示す信号を出力するようになっている。
ここで、実ステアリング角度θsは、ステアリングSTが中立位置にあるときに「0」となり、同中立位置からステアリングSTを(運転者から見て)反時計まわりの方向へ回転させたときに正の値、同中立位置から同ステアリングSTを時計まわりの方向へ回転させたときに負の値となるように設定されている。また、実ヨーレイトYrは、車両が左方向(車両上方から見て反時計まわりの方向)へ旋回しているときに正の値、車両が右方向へ旋回しているときに負の値となるように設定されている。
そして、インターフェース55は、センサ61〜64からの信号をCPU51に供給するとともに、同CPU51の指示に応じてHU40の各電磁弁及びモータMT、スロットル弁アクチュエータ22、及び燃料噴射装置23に駆動信号を送出するようになっている。
これにより、スロットル弁アクチュエータ22は、原則的に、スロットル弁THの開度TAがアクセルペダルAPの操作量Accpに応じた開度になるように同スロットル弁THを駆動するとともに、燃料噴射装置23は、筒内(シリンダ内)に吸入された空気量である筒内吸入空気量に対して所定の目標空燃比(例えば、理論空燃比)を得るために必要な量の燃料を噴射するようになっている。また、上述した常開リニア電磁弁PC1,PC2への指令電流Id(通電電流)は、同通電電流のデューティ比を調整することで調整されるようになっている。
(車両安定化制御の概要)
次に、上記構成を有する本発明の実施形態に係る運動制御装置10(以下、「本装置」と云う。)が実行する車両安定化制御(具体的には、アンダーステア抑制制御)の概要について説明する。アンダーステア抑制制御は、車両がアンダーステア状態にあるとき同アンダーステア状態を抑制して旋回トレース性能を維持する制御である。
先ず、舵角ヨーレイトYrt(舵角ヨーレイト対応値)を車両の運動モデルから導かれる理論式を基礎とする下記(1)式に従って定義する。この舵角ヨーレイトYrtは、実ステアリング角度θsに基づいて得られるヨーレイトである。
Yrt=(Vso・θs)/(n・L)・(1/(1+Kh・Vso2)) ・・・(1)
上記(1)式において、Vsoは後述するように設定される推定車体速度であり、Lは車両のホイールベースであり、Khはスタビリティファクタであり、nはステアリングギヤ比である。ホイールベースL、スタビリティファクタKh、及びステアリングギヤ比nは、車両の諸元に従って決定される定数である。
舵角ヨーレイトYrtは、車両が左方向へ旋回しているとき(実ステアリング角度θsが正の値のとき)に正の値、車両が右方向へ旋回しているとき(実ステアリング角度θsが負の値のとき)に負の値となるように設定される。なお、この理論式は、ステアリング角度及び車体速度が共に一定である状態で車両が旋回するとき(定常円旋回時)におけるヨーレイトの理論値を算出する式である。
また、ヨーレイト偏差ΔYrを下記(2)式に従って定義する。即ち、このヨーレイト偏差ΔYrは、上記舵角ヨーレイトYrtの絶対値からヨーレイトセンサ64により得られる実ヨーレイトYrの絶対値を減じた値である。
ΔYr=|Yrt|−|Yr| ・・・(2)
上記(2)式により定義されるヨーレイト偏差ΔYrの値が正の値であることは、車両の真のヨーレイトが舵角ヨーレイトYrtと等しい値となっていると仮定した場合よりも旋回半径が大きくなる状態にあることを意味する。即ち、ヨーレイト偏差ΔYrは、車両の旋回に係わる不安定の程度を示す値となり得る。従って、ヨーレイト偏差ΔYrが或るしきい値Yrth(>0)よりも大きいとき、車両が「アンダーステア状態」にあると判定することができる。
以上のことから、本装置は、上記ヨーレイト偏差ΔYr(実際には、後述するように、上記(2)式に代えて下記(3)式に基づくヨーレイト偏差ΔYr)がしきい値Yrthを超えたとき車両が「アンダーステア状態」にあると判定し、アンダーステア状態を抑制するためのアンダーステア抑制制御(US抑制制御)を実行する。具体的には、本装置は、ヨーレイト偏差ΔYrとUS抑制制御用制御量Gstrとの関係を規定する予め作製されている所定のテーブルと、ヨーレイト偏差ΔYrとに基づいてUS抑制制御用制御量Gstrを求める。
そして、本装置は、上記求めたUS抑制制御用制御量Gstr(≠0)に応じたブレーキ液圧による制動力を旋回方向内側の後輪に付与する。これにより、車両に対してヨーイング方向と同一方向のヨーイングモーメントが強制的に発生する。従って、実ヨーレイトYrの絶対値が大きくなり、実ヨーレイトYrが舵角ヨーレイトYrtに近づくように(即ち、ヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrth以下となるように)制御される。この結果、車両の旋回トレース性能が維持され得る。
更に、本装置は、車両が「アンダーステア状態」にあると判定している場合、上記ブレーキ液圧による制動力の付与に加えて、エンジン21の出力をアクセル操作量Accpに応じた値から所定量だけ低下させるエンジン出力低減制御を実行する。これにより、車体速度が低下することで車両に働く遠心力が小さくなり、これによっても車両の旋回トレース性能が維持され得る。以上が、車両安定化制御(US抑制制御)の概要である。
(誤作動の防止を考慮したヨーレイト偏差の算出)
上述のごとく、統合ユニットは、車両の車体に弾性部材からなる所定のマウントを介して固定されている。従って、路面からの入力等により車体側がマウントの固有周波数近傍の周波数で振動すると車体側の振動が共振により増幅されて統合ユニットに伝達され得る。また、統合ユニットには、それ自身に搭載されている液圧ポンプHP1,HP2、電磁弁PU**,PD**等の作動によっても振動が発生する。
従って、統合ユニットに内蔵されているヨーレイトセンサ64にも統合ユニットが受ける上記各種振動が伝達され得、この結果、実ヨーレイトYrの値が真のヨーレイトYrtrueの値に対して振動的になる。即ち、実ヨーレイトYrの値に振動ノイズが重畳される。
図4は、上記(1)式にて算出される舵角ヨーレイトYrt(太い実線)から真のヨーレイトYrtrue(2点鎖線)を減じて得られるヨーレイト偏差(以下、「真のヨーレイト偏差」と称呼する。)が時刻t2にてしきい値Yrthを越える場合、即ち、時刻t2にてUS抑制制御が開始されるべき場合における、各種ヨーレイトの値の変化の一例を示している。
図4に示すように、実ヨーレイトYrの値(太い実線)は、真のヨーレイトYrtrueの値(2点鎖線)に対して振動的になっている。この結果、上記(2)式で定義されるヨーレイト偏差ΔYrの値も振動的になるから、上記(2)式で定義されるヨーレイト偏差ΔYrの値を上記アンダーステア状態の判定(即ち、US抑制制御の開始判定)に使用することは好ましくない。
ここで、係る実ヨーレイトYrの値に重畳されている振動ノイズを除去するためには、実ヨーレイトYrにローパスフィルタ処理を施せばよい。従って、実ヨーレイトYrにローパスフィルタ処理を施した値(ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilter)を舵角ヨーレイトYrtから減じた値(Yrt−Yrfilter)をヨーレイト偏差ΔYrとし、係るヨーレイト偏差ΔYrの値をUS抑制制御の開始判定に使用することが考えられる。
この場合、ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数(以下、「実ヨーレイト側時定数」と称呼する。)を大きくするほど上記振動ノイズがより確実に除去される。図4に示したローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilter(細い破線)は、実ヨーレイトYrの値に、実ヨーレイト側時定数として上記振動ノイズを十分に除去できる程度に大きい時定数τ1(例えば、30msec)を使用したローパスフィルタ処理を施した値である。
図4に示すように、ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterの値は、実ヨーレイトYr(或いは、真のヨーレイトYrtrue)の値より時定数τ1に応じた時間だけ遅れて変動する。このことは、「真のヨーレイト偏差」が増大する状況下において、上記ヨーレイト偏差ΔYr(=Yrt−Yrfilter)の値を上記「真のヨーレイト偏差」よりも大きくする方向に働く。
これにより、ヨーレイト偏差ΔYrが時刻t2よりも前の時刻t1にてしきい値Yrthを超えてしまい、この結果、時刻t1からアンダーステア抑制制御が早期に開始されるという誤作動が発生し得る。
係る誤作動の発生を防止するためには、「真のヨーレイト偏差」が増大する状況下において、US抑制制御の開始判定に使用されるヨーレイト偏差ΔYrの値を「真のヨーレイト偏差」の値以下に維持する必要がある。このため、実ヨーレイトYrのみならず舵角ヨーレイトYrtにもローパスフィルタ処理を施し、ローパスフィルタ処理がなされた舵角ヨーレイトYrtの値(ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilter)から上記ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterを減じた値(Yrtfilter−Yrfilter)をヨーレイト偏差ΔYrとし、係るヨーレイト偏差ΔYrの値をUS抑制制御の開始判定に使用することが考えられる。以下、舵角ヨーレイトYrtの値に対するローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数を「舵角ヨーレイト側時定数」と称呼する。
図4に示したローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilter(細い実線)は、舵角ヨーレイトYrtの値に、舵角ヨーレイト側時定数として上記実ヨーレイト側時定数と同じ上記時定数τ1を使用したローパスフィルタ処理を施した値である。
このように、ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterの値も、舵角ヨーレイトYrtの値より舵角ヨーレイト側時定数(図4に示す場合、時定数τ1)に応じた時間だけ遅れて変動する。このことは、「真のヨーレイト偏差」が増大する状況下において、このヨーレイト偏差ΔYr(=Yrtfilter−Yrfilter)の値を上述したヨーレイト偏差ΔYr(=Yrt−Yrfilter)よりも小さくする方向に働く。
従って、実ヨーレイト側時定数(例えば、上記時定数τ1)に対して舵角ヨーレイト側時定数を調整することにより、US抑制制御の開始判定に使用されるヨーレイト偏差ΔYr(=Yrtfilter−Yrfilter)の値が「真のヨーレイト偏差」の値以下に維持され得る。
しかしながら、図4に示す場合のように、舵角ヨーレイト側時定数を実ヨーレイト側時定数と同一の値(時定数τ1)とすると、ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterの値の変動の遅れの程度と、ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterの値の変動の遅れの程度とが同等となる。
これにより、「真のヨーレイト偏差」の変動が上記時定数τ1に応じた時間だけ遅れてヨーレイト偏差ΔYr(=Yrtfilter−Yrfilter)の変動として現れるから、同ヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthを越える時点である時刻t3が、「真のヨーレイト偏差」がしきい値Yrthを超える時刻t2(即ち、US抑制制御が開始されるべき時刻)よりも時定数τ1に応じた時間だけ遅れる。
他方、上述したように、時定数τ1は、実ヨーレイトYrの値に重畳される上記振動ノイズを十分に除去できる程度に大きい値である。以上のことから、この場合、US抑制制御が開始される時点である時刻t3が、US抑制制御が本来開始されるべき時刻t2よりも大きく遅れ得る。
このように、US抑制制御が開始される時点が大きく遅れることを防止するためには、舵角ヨーレイト側時定数を実ヨーレイト側時定数よりも小さい値に設定すればよい。図5は、舵角ヨーレイト側時定数を、実ヨーレイト側時定数である上記時定数τ1(例えば、30msec)よりも小さい値(時定数τ2。例えば、20msec)に設定した場合を示している。
この場合、図4に示した場合に比して、ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterの値の変動の遅れの程度が小さくなる。このことは、ヨーレイト偏差ΔYr(=Yrtfilter−Yrfilter)の値を大きくする方向に働くから、同ヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthを越える時点である時刻t3’を図4に示す時刻t3よりも早めることができる。
この結果、実ヨーレイト対応値に重畳される振動ノイズを十分に除去するため実ヨーレイト側時定数を十分に大きい値(時定数τ1)に設定しつつ、US抑制制御が開始される時点が遅れる程度を小さくすることができる。
以上のことから、本装置は、US抑制制御の開始判定に使用するヨーレイト偏差ΔYr(ヨーレイト偏差対応値)を、上記(2)式の代わりに下記(3)式に従って算出する。下記(3)式において、ローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterに施されているローパスフィルタ処理の時定数(即ち、舵角ヨーレイト側時定数)は時定数τ2であり、ローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterに施されているローパスフィルタ処理の時定数(即ち、実ヨーレイト側時定数)は時定数τ1(>τ2)である。以上、誤作動の防止を考慮したヨーレイト偏差の算出について説明した。
ΔYr=|Yrtfilter|−|Yrfilter| ・・・(3)
(実際の作動)
次に、以上のように構成された本発明の実施形態に係る運動制御装置10の実際の作動について、ECU50のCPU51が実行するルーチンをフローチャートにより示した図6〜図8を参照しながら説明する。
CPU51は、図6に示した車輪速度等の算出を行うルーチンを所定時間(実行間隔時間Δt。例えば、6msec)の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU51はステップ600から処理を開始し、ステップ605に進んで、車輪**の現時点での車輪速度(車輪**の外周の速度)Vw**をそれぞれ算出する。具体的には、CPU51は車輪速度センサ61**の出力値の変動周波数に基づいて車輪速度Vw**をそれぞれ算出する。
次いで、CPU51はステップ610に進み、アクセル開度センサ62から得られるアクセルペダル操作量Accpが「0」よりも大きいか否か(即ち、車両が駆動状態にあるか制動状態にあるか)を判定し、「Yes」と判定する場合(駆動状態にある場合)、ステップ615に進んで車輪速度Vw**のうちの最小値を推定車体速度Vsoとして算出する。一方、CPU51は「No」と判定する場合(制動状態にある場合)、ステップ620に進んで車輪速度Vw**のうちの最大値を推定車体速度Vsoとして算出する。
次いで、CPU51はステップ625に進み、ステアリング角度センサ63により得られる実ステアリング角度θsを時定数τ2でローパスフィルタ処理してローパスフィルタ処理後ステアリング角度θsfilterを求める。
続いて、CPU51はステップ630に進んで、ヨーレイトセンサ64により得られる実ヨーレイトYrを時定数τ1(>時定数τ2)でローパスフィルタ処理してローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterを求める。この値が「実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値」に相当する。
次に、CPU51はステップ635に進んで、上記ステップ615、或いはステップ620にて算出された推定車体速度Vsoと、上記求めたローパスフィルタ処理後ステアリング角度θsfilterと、上記(1)式に相当する式とに基づいてローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterを算出する。この値が「舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値」に相当する。
続いて、CPU51はステップ640に進み、上記求めたローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterと、上記求めたローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterと、上記(3)式とに基づいてヨーレイト偏差ΔYr(ヨーレイト偏差対応値)を算出した後、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。このステップ640がヨーレイト偏差対応値取得手段に相当する。以降も、CPU51は本ルーチンを実行間隔時間Δtの経過毎に繰り返し実行することで各種値を逐次更新していく。
また、CPU51は、図7に示したUS抑制制御用の目標液圧の設定を行うルーチンを所定時間(例えば、6msec)の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU51はステップ700から処理を開始し、ステップ705に進んで、先のステップ640にて計算されているヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthよりも大きいか否かを判定し、「No」と判定する場合(即ち、車両がアンダーステア状態にないとき)、ステップ710に進んで、総ての車輪についてのUS抑制制御用の目標液圧Pwt**を「0」に設定した後、ステップ795に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
いま、ヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthよりも大きいものとすると(即ち、車両がアンダーステア状態にあるものとすると)、CPU51はステップ705の判定にて「Yes」と判定してステップ715に進んで、ヨーレイト偏差ΔYrの値と、図9に示したヨーレイト偏差ΔYrとUS抑制制御用制御量Gstrとの関係を規定する予め作製されているテーブルMapGstrとに基づいてUS抑制制御用制御量Gstrを求める。これにより、ヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthよりも大きい場合において、ヨーレイト偏差ΔYrが大きくなるほどUS抑制制御用制御量Gstr(>0)が大きくなるように設定される。
続いて、CPU51はステップ720に進み、ヨーレイトセンサ64により得られる実ヨーレイトYrが正の値であるか否か(即ち、旋回方向が左方向か右方向か)を判定する。
CPU51は車両が左方向に旋回している場合、ステップ720にて「Yes」と判定してステップ725に進み、旋回方向内側の後輪に対応する左後輪RLについてのUS抑制制御用の目標液圧Pwtrlを、上記求めたUS抑制制御用制御量Gstrにアンダーステア抑制制御用係数Kus(正の定数)を乗じた値に設定し、残りの3輪についてのUS抑制制御用の目標液圧Pwt**を「0」に設定した後、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPU51は車両が右方向に旋回している場合、ステップ720にて「No」と判定してステップ730に進み、旋回方向内側の後輪に対応する右後輪RRについてのUS抑制制御用の目標液圧Pwtrrを、上記求めたUS抑制制御用制御量Gstrに上記アンダーステア抑制制御用係数Kusを乗じた値に設定し、残りの3輪についてのUS抑制制御用の目標液圧Pwt**を「0」に設定する。これにより、旋回方向内側の後輪に対応する車輪についての目標液圧Pwt**はヨーレイト偏差ΔYrに応じた値(>0)に設定される。
また、CPU51は、図8に示したUS抑制制御を実行するためのルーチンを所定時間(例えば、6msec)の経過毎に繰り返し実行している。このルーチンの実行により車両安定化制御実行手段の機能が達成される。
所定のタイミングになると、CPU51はステップ800から処理を開始し、ステップ805に進み、総ての車輪の目標液圧Pwt**が「0」であるか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、ステップ810に進んでHU40の総ての電磁弁を非励磁状態とし、モータMTを非駆動状態とする指示を行い、ステップ895に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPU51はステップ805にて「No」と判定する場合、ステップ815に進んで、車輪**のホイールシリンダ圧Pw**がそれぞれ上記設定された目標液圧Pwt**になるように、HU40の電磁弁、モータMTへの制御指示を行う。これにより、ブレーキ液圧による制動力の付与に基づくUS抑制制御が達成される。
続いて、CPU51はステップ820に進んで、先のステップ715にて求められているUS抑制制御用制御量Gstrに応じた分だけエンジン21の出力を低下する指示を行う。これにより、US抑制制御に基づく上記エンジン出力低減制御が実行される。そして、CPU51はステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る車両の運動制御装置によれば、HU40とは別体のステアリング角度センサ63により得られる実ステアリング角度θsの値に時定数τ2でローパスフィルタ処理を施した値(ローパスフィルタ処理後ステアリング角度θsfilter)を使用して得られるローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterから、HU40に内蔵されたヨーレイトセンサ64により得られる実ヨーレイトYrの値に時定数τ1(>τ2)でローパスフィルタ処理を施した値であるローパスフィルタ処理後実ヨーレイトYrfilterを減じることでヨーレイト偏差ΔYrを求める。そして、このヨーレイト偏差ΔYrがしきい値Yrthを超えたときアンダーステア抑制制御(US抑制制御)を開始する。
これにより、実ヨーレイトYrに重畳される振動ノイズを十分に除去するため上記時定数τ1を十分に大きい値に設定しながら、US抑制制御が本来開始されるべき時点よりも前の時点でUS抑制制御が開始されるという誤作動の発生を防止しつつUS抑制制御が開始される時点が遅れる程度を小さくすることができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、HU40にヨーレイトセンサが内蔵されていて、ヨーレイト偏差対応値としての上記ヨーレイト偏差ΔYrを使用してUS抑制制御の開始判定を行っていたが、HU40に横加速度センサが内蔵されていて、ヨーレイト偏差対応値としての横加速度偏差を使用してUS抑制制御の開始判定を行ってもよい。ここで、横加速度偏差とは、実ステアリング角度θsに基づいて下記(4)式に従って得られる舵角横加速度であってローパスフィルタ処理がなされている値から、横加速度センサにより得られる実横加速度Gyにローパスフィルタ処理を施した値を減じた値である。
Gyt=(Vso2・θs)/(n・L)・(1/(1+Kh・Vso2)) ・・・(4)
また、上記実施形態においては、実ステアリング角度θsの値に時定数τ2でローパスフィルタ処理を施した値であるローパスフィルタ処理後ステアリング角度θsfilterを上記(1)式に適用することでローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterを求めているが、実ステアリング角度θsの値そのものを上記(1)式に適用することで得られる上記舵角ヨーレイトYrtに時定数τ2でローパスフィルタ処理を施すことでローパスフィルタ処理後舵角ヨーレイトYrtfilterを求めてもよい。
また、上記実施形態においては、舵角ヨーレイトYrt側のローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性を実ヨーレイトYr側のローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性よりも高くするため、舵角ヨーレイトYrt側のローパスフィルタの時定数(即ち、舵角ヨーレイト側時定数)が実ヨーレイトYr側のローパスフィルタの時定数(即ち、実ヨーレイト側時定数)よりも小さくなるように構成されているが、舵角ヨーレイトYrt側のローパスフィルタのカットオフ周波数が実ヨーレイトYr側のローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高くなるように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、上記ヨーレイト偏差対応値(ヨーレイト偏差ΔYr)を制御開始判定に使用する車両安定化制御としてアンダーステア抑制制御のみが実行されているが、オーバーステア抑制制御、横転防止制御等の他の制御が実行されてもよい。
本発明の実施形態に係る車両の運動制御装置を搭載した車両の概略構成図である。 図1に示したブレーキ液圧発生部、及びハイドロリックユニットの概略構成図である。 図2に示した常開リニア電磁弁についての指令電流と指令差圧との関係を示したグラフである。 舵角ヨーレイトの値、舵角ヨーレイトの値に時定数τ1のローパスフィルタ処理がなされた値、実ヨーレイトの値、実ヨーレイトの値に時定数τ1のローパスフィルタ処理がなされた値、及び真のヨーレイトの値の変化の一例を示したタイムチャートである。 舵角ヨーレイトの値、舵角ヨーレイトの値に時定数τ2(<τ1)のローパスフィルタ処理がなされた値、実ヨーレイトの値、実ヨーレイトの値に時定数τ1のローパスフィルタ処理がなされた値、及び真のヨーレイトの値の変化の一例を示したタイムチャートである。 図1に示したCPUが実行する車輪速度等を算出するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するUS抑制制御用の目標液圧を設定するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するUS抑制制御を行うためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが参照するヨーレイト偏差とUS抑制制御用制御量との関係を規定するテーブルを示したグラフである。 舵角ヨーレイトの値、実ヨーレイトの値、実ヨーレイトの値にローパスフィルタ処理がなされた値であるローパスフィルタ処理後実ヨーレイト、及び真のヨーレイトの値の変化の一例を示したタイムチャートである。
符号の説明
10…車両の運動制御装置、30…ブレーキ液圧発生部、40…ハイドロリックユニット、50…電気制御装置、51…CPU、61**…車輪速度センサ、63…ステアリング角度センサ、64…ヨーレイトセンサ、HP1,HP2…液圧ポンプ、PU**,PD**,PC1,PC2…電磁弁、MT…モータ

Claims (3)

  1. 車両の車輪に付与される制動力を制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニットと、前記複数の液圧機器を制御するための電気制御装置とが一体化されてなる統合ユニットと、
    前記統合ユニットに内蔵されていて、前記車両の旋回の程度を表すヨーレイト対応値を実ヨーレイト対応値として検出する実ヨーレイト対応値センサと、
    前記車両の操舵輪の転舵角に対応する舵角対応値を実舵角対応値として検出する実舵角対応値センサと、
    を備えた車両の運動制御装置において、
    前記電気制御装置は、
    少なくとも前記検出された実舵角対応値に基づいて得られる前記ヨーレイト対応値である舵角ヨーレイト対応値であってローパスフィルタ処理がなされている値と、前記検出された実ヨーレイト対応値にローパスフィルタ処理を施した値との相違の程度に基づいて前記車両の旋回に係わる不安定の程度を示すヨーレイト偏差対応値を取得するヨーレイト偏差対応値取得手段と、
    前記取得されたヨーレイト偏差対応値がしきい値を超えたとき、同ヨーレイト偏差対応値を同しきい値以下とする方向のヨーイングモーメントを前記車両に発生させるための制動力が所定の車輪に付与されるように前記複数の液圧機器を制御する車両安定化制御実行手段と、
    を備えた車両の運動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーレイト偏差対応値取得手段は、
    前記舵角ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性が前記実ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの応答性よりも高くなるように構成された車両の運動制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の運動制御装置において、
    前記ヨーレイト偏差対応値取得手段は、
    前記舵角ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数が前記実ヨーレイト対応値に対する前記ローパスフィルタ処理におけるローパスフィルタの時定数よりも小さくなるように構成された車両の運動制御装置。
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