WO2024095562A1 - 車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステム - Google Patents

車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステム Download PDF

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恭平 福士
友輔 安間
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Abstract

本発明に係る車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステムは、その一態様において、車輪に可動部材を介して操舵トルクを付与するモータを備えた車両において、運転者の操舵操作情報から求めた車両の規範走行状態と、車両の実際の走行状態とを比較して第1偏差を出力し、車両の走行速度と車輪の操舵角とから求めた前記可動部材に生じる規範軸力と、前記モータの電流値から求めた前記可動部材に生じる推定軸力とを比較して第2偏差を出力し、前記第1偏差と前記第2偏差とを比較することにより、車両の挙動を推定する。これにより、車両挙動の検知精度を向上させることができる。

Description

車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステム
 本発明は、車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステムに関する。
 特許文献1の車両の旋回挙動制御装置は、操舵角と車速とに基づいて目標ヨーレイトを演算し、ヨーレイトセンサから入力した実ヨーレイトが目標ヨーレイトより低い場合にはアンダーステア状態であると判定し、実ヨーレイトが目標ヨーレイトより高い場合にはオーバーステア状態であると判定する。
特開2011-093489号公報
 ところで、車両挙動であるアンダーステア又はオーバーステアを、車輪の操舵角や車速などから求められる規範ヨーレイトと、実際に車両に発生しているヨーレイトとの偏差であるヨーレイト偏差に基づいて検知する場合、車両が走行している路面の凹凸などの外乱によってもヨーレイト偏差が発生する。
 このため、ヨーレイト偏差に基づく車両挙動の検知では、外乱によって検知精度が低下するという課題があった。
 本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両挙動の検知精度を向上させることができる、車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステムを提供することにある。
 本発明に係る発明に係る車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステムは、その一態様において、車両の運転者の操舵操作情報から前記車両の規範走行状態を求め、前記規範走行状態と、前記車両に実際に発生する走行状態とを比較して第1偏差を出力し、前記車両の走行速度に関する第1物理量と、前記車輪の操舵角に関する第2物理量とから前記可動部材に生じる規範軸力を求め、前記モータの電流値に関する第3物理量から前記可動部材に生じる推定軸力を求め、前記規範軸力と前記推定軸力とを比較して第2偏差を出力し、前記第1偏差と前記第2偏差とを比較することにより、前記車両の挙動を推定する。
 本発明によれば、車両挙動の検知精度を向上させることができる。
ステアバイワイヤ式のステアリングシステムを備えた車両の概略図である。 車両挙動を推定する手順を示す機能ブロック図である。 路面の凹凸領域でのヨーレイト偏差及び軸力偏差の変化を例示するタイムチャートである。
 以下、本発明に係る車両挙動推定方法、車両挙動検出装置、及び、ステアリングシステムの実施形態を、図面に基づいて説明する。
 図1は、ステアバイワイヤ式のステアリングシステム200を搭載した車両100の一態様を示す概略図である。
 車両100は、左右一対の前輪101,102、及び、左右一対の後輪103,104を備えた、4輪自動車である。
 ステアリングシステム200は、車両100の運転者の操舵操作がステアリングホイール310を介して入力される操舵操作入力装置300と、車両100の車輪(詳細にはm、前輪101,102)に操舵トルクを付与する操舵モータ410を備える操舵装置400と、操舵制御装置500とを有する。
 ここで、操舵操作入力装置300と操舵装置400とは機械的に分離されている。
 操舵操作入力装置300は、ステアリングホイール310、ステアリングシャフト320、反力モータ330、操作角センサ340を有する。
 ステアリングホイール310は、車両100の運転者が操作する操舵操作入力部材である。
 反力モータ330は、ステアリングホイール310に操舵反力トルクを疑似的に付与するためのアクチュエータである。
 操作角センサ340は、ステアリングホイール310の操作角θ[deg]を検出するセンサである。
 操舵装置400は、操舵機構420を備える。
 操舵機構420は、ラックアンドピニオン方式によって操舵モータ410の回転運動をラックバー421の直線運動に変換することで、前輪101,102の操舵角を変化させる。
 つまり、操舵モータ410は、可動部材であるラックバー421を介して前輪101,102に操舵トルクを付与する。
 また、操舵装置400は、前輪101,102の操舵角に相関するラックバー421のストローク量であるラックストロークRS[mm]を検出するラックストロークセンサ430、操舵モータ410の回転角θm[deg]を検出するモータ回転角センサ440、操舵モータ410の電流値Cm[Arms]を検出するモータ電流センサ450を備える。
 操舵制御装置500は、MCU(Micro Controller Unit)510を備えた電子制御装置であって、ステアリングシステム200が備えるアクチュエータである反力モータ330及び操舵モータ410を制御することで、ステアリングシステム200の動作を制御する。
 なお、MCU510は、マイクロコンピュータ、プロセッサ、処理装置、演算装置などと言い換えることができる。
 MCU510は、外部から取得した各種信号を演算処理することで、反力モータ330の制御信号及び操舵モータ410の制御信号を求め、求めた制御信号を出力する。
 ここで、操舵制御装置500は、反力モータ330及び操舵モータ410への通電を制御するためのプリドライバやインバータなどを備えることができる。
 また、操舵制御装置500とは別に、プリドライバやインバータなどを含む駆動回路を備えたシステムとすることができる。
 また、車両100は、車輪101-104それぞれの回転速度である車輪速WS1-WS4を検出する車輪速センサ621-624、車両100の前後方向の加速度Gを検出する前後加速度センサ630、車両100に発生するヨーレイトγ[deg/s]を検出するヨーレイトセンサ640を備える。
 そして、操舵制御装置500のMCU510は、操作角センサ340、ラックストロークセンサ430、モータ回転角センサ440、モータ電流センサ450、車輪速センサ621-624、前後加速度センサ630、及び、ヨーレイトセンサ640の出力信号を取得する。
 ここで、操舵制御装置500のMCU510によるステアリングシステム200(詳細には、反力モータ330及び操舵モータ410)の制御内容を概説する。
 MCU510は、ステアリングホイール310の操作角θの情報に基づいて、ラックバー421のストローク量の目標値である目標ラックストロークRStg(換言すれば、操舵角の目標値)を算出する。
 そして、MCU510は、ラックストロークセンサ430が検出した実際のラックストロークRSと目標ラックストロークRStgとの偏差、つまり、操舵角の制御エラーに基づいて操舵モータ410の制御信号を求め、求めた制御信号を操舵モータ410の駆動回路に出力する。
 なお、本実施形態では、ラックストロークセンサ430を使用して実際のラックストロークRSを検出しているが、ラックバー421のストローク量は、モータ回転角センサ440が検出するモータ回転角θmから実際のラックストロークRSを求めてもよい。
 また、ピニオンギアに設けられ、ピニオン軸の回転角を検出する検出器を用いて、実際のラックストロークRSを求めてもよい。
 また、MCU510は、車輪速WS1-WS4から求められた車速VS[km/h]や、ステアリングホイール310の操作角θなどの情報に基づき、反力トルクTRの目標値である反力トルク指令値TRtgを算出する。
 なお、MCU510は、車輪速WS1-WS4の信号を車輪速センサ621-624から取得して車速VSを求めることができ、また、他の車載制御装置が、車輪速WS1-WS4の信号に基づき求めた車速VSの情報を、車載ネットワークを介して取得することができる。
 そして、MCU510は、反力トルク指令値TRtgに基づく制御信号を、反力モータ330の駆動回路に出力する。
 このように、MCU510は、前輪101,102に付与する操舵トルク、及び、ステアリングホイール310に付与する反力トルクを制御することで、ステアリングシステム200の動作を制御する。
 また、MCU510は、車両挙動を所定の手順にしたがって推定し、推定した車両挙動を車両100の運転者に知らせる車両挙動通知を行う機能を有している。
 つまり、MCU510は、車両挙動推定方法を実行するコントロール部であって、車両挙動検出装置を構成する。
 ここで、車両挙動は、車両100の旋回挙動であるアンダーステア(U/S)又はオーバーステア(O/S)である。
 ステアバイワイヤ式のステアリングシステム200では、車両100がアンダーステア又はオーバーステアになってもステアリングホイール310の操舵力が変化しないため、運転者がアンダーステア又はオーバーステアを認識し難い。
 そこで、MCU510は、車両100がアンダーステア又はオーバーステアになっているか否かを推定し、車両100がアンダーステア又はオーバーステアになっていることを運転者に警告することで、運転者に修正操舵などの対処を促す。
 図2は、MCU510における車両挙動推定の手順を示す機能ブロック図である。
 図2の機能ブロック図は、第1偏差としてのヨーレイト偏差Dγ[deg/s]を出力する第1ブロック700と、第2偏差としての軸力偏差DAF[kN]を出力する第2ブロック800と、第1ブロック700の出力と第2ブロック800の出力とを比較して、アンダーステア又はオーバーステアの検知信号を、車両挙動通知をオンオフする制御信号として出力する第3ブロック900とに大別される。
 ここで、ヨーレイト偏差Dγを求める第1ブロック700は、規範ヨーレイトγnと実ヨーレイトγaとの偏差であるヨーレイト偏差Dγを求め、ヨーレイト偏差Dγと閾値Dγthとを比較することで、車両100がアンダーステア又はオーバーステアになっているか否かを示す2値信号を出力する。
 一方、軸力偏差DAFを求める第2ブロック800は、ラックバー421の規範軸力AFn[kN]と推定軸力AFe[kN]との偏差である軸力偏差DAF[kN]を求め、軸力偏差DAFと閾値THafとを比較することで、ヨーレイト偏差Dγに影響を及ぼす外乱が生じているか否かを示す2値信号を出力する。
 なお、ヨーレイト偏差Dγに影響を及ぼす外乱とは、たとえば、車両100が走行している路面の状態であり、詳細には、路面の凹凸である。
 そして、第3ブロック900は、第1ブロック700が出力する2値信号と、第2ブロック800が出力する2値信号とを論理演算することで、アンダーステア又はオーバーステアが発生しているか否かを示す2値信号を出力する。
 第1ブロック700におけるヨーレイト偏差Dγに基づくアンダーステア又はオーバーステアの検知は、路面の凹凸などの外乱によってヨーレイト偏差Dγが発生することで、誤検知が生じる可能性がある。
 そこで、第3ブロック900は、第1ブロック700におけるアンダーステア又はオーバーステアの検知結果と、第2ブロック800における外乱の検知結果とを比較して、最終的なアンダーステア又はオーバーステアの検知を行うことで、外乱に因る誤検知を抑止する。
 以下では、第1ブロック700、第2ブロック800、第3ブロック900それぞれの詳細な構成を説明する。
 第1ブロック700は、第1係数設定部701、規範ヨーレイト設定部702、位相制御部703、第2係数設定部704、第3係数設定部705、第1乗算部706、第2乗算部707、偏差演算部708、及び、比較部709を有する。
 第1係数設定部701は、車速VSの信号を取得し、操舵に対する車両挙動の応答遅れの特性値である時間係数Tfを車速VSに基づいて設定する。
 規範ヨーレイト設定部702は、車速VSの信号、及び、操舵操作情報としての目標ラックストロークRStg(換言すれば、目標操舵角)の信号を取得し、これらに基づいて規範ヨーレイトγnの基本値である基本規範ヨーレイトγnbを求める。
 換言すれば、規範ヨーレイト設定部702は、操舵操作情報と、車両100の走行速度に関する第1物理量とから、車両100の規範走行状態としての基本規範ヨーレイトγnbを求める。
 なお、規範ヨーレイト設定部702は、車速VS、及び、操舵操作情報としてのステアリングホイール310の操作角θに基づいて、基本規範ヨーレイトγnbを求めることができる。
 位相制御部703は、第1係数設定部701が設定した時間係数Tfの信号、及び、規範ヨーレイト設定部702が求めた基本規範ヨーレイトγnbの信号を取得し、基本規範ヨーレイトγnbの位相を時間係数Tfに応じて遅らせる。
 第2係数設定部704は、前後加速度センサ630が検出した車両100の前後加速度[m/s2]の信号を取得し、車両100が減速するときのヨーレイトγの変化特性に応じた変化係数DCを設定する。
 また、第3係数設定部705は、前後加速度センサ630が検出した車両100の前後加速度[m/s2]の信号を取得し、車両100が加速するときのヨーレイトγの変化特性に応じた変化係数ACを設定する。
 そして、第1乗算部706は、位相制御部703が出力する位相制御後の基本規範ヨーレイトγnbの信号、及び、第2係数設定部704が設定した減速時の変化係数DCを取得し、基本規範ヨーレイトγnbに減速時の変化係数DCを乗算し、乗算結果を減速時補正後の基本規範ヨーレイトγnbとして出力する。
 さらに、第2乗算部707は、第1乗算部706が出力する減速時補正後の基本規範ヨーレイトγnbの信号、及び、第3係数設定部705が設定した加速時の変化係数ACを取得し、減速時補正後の基本規範ヨーレイトγnbに加速時の変化係数ACを乗算し、乗算結果を規範ヨーレイトγnとして出力する。
 偏差演算部708は、第2乗算部707が出力する規範ヨーレイトγnの信号、及び、ヨーレイトセンサ640が検出した実際のヨーレイトγacの信号を取得し、規範ヨーレイトγnから実際のヨーレイトγacを減算した結果を、ヨーレイト偏差Dγ(Dγ=γn-γac)の信号として出力する。
 ここで、規範ヨーレイトγnは、操舵操作情報に基づき求められた規範走行状態であり、ヨーレイトセンサ640が検出する実際のヨーレイトγacは車両100に実際に発生する走行状態である。
 したがって、偏差演算部708は、規範走行状態と実際の走行状態とを比較して、第1偏差を出力する機能部である。
 比較部709は、偏差演算部708が求めたヨーレイト偏差Dγの信号、及び、閾値Dγthの信号を取得し、ヨーレイト偏差Dγと閾値Dγthとを比較することで、アンダーステア又はオーバーステアの状態であるか否かを示す2値信号を出力する。
 ここで、比較部709の出力信号が1(High)である状態は、アンダーステア又はオーバーステアを検知したことを示す。
 一方、比較部709の出力信号が0(Low)である状態は、アンダーステア又はオーバーステアを検知していないこと、換言すれば、規範ヨーレイトγnと実ヨーレイトγacとが近似するナチュラルステアの状態であることを示す。
 ヨーレイト偏差Dγはプラス又はマイナスの値として算出され、閾値Dγthも、プラスの第1閾値Dγth1とマイナスの第2閾値Dγth2とが設定される。
 そして、比較部709は、ヨーレイト偏差Dγが第1閾値Dγth1と第2閾値Dγth2とで挟まれる領域内である場合(Dγth1≧Dγ≧Dγth2)に出力信号を0(Low)に設定する。
 また、比較部709は、ヨーレイト偏差Dγが第1閾値Dγth1よりも大きい場合(Dγth1<Dγ)に出力信号を1(High)に設定し、ヨーレイト偏差Dγが第2閾値Dγth2よりも小さい場合(Dγth2>Dγ)にも出力信号を1(High)に設定する。
 換言すれば、比較部709は、ヨーレイト偏差Dγの絶対値がプラスの閾値よりも大きいときに、出力信号を1(High)に設定する。
 図3の上段は、ヨーレイト偏差Dγと、閾値Dγth1,Dγth2との相関を例示する。
 図3のヨーレイト偏差Dγは、路面の凹凸に影響されて周期的に変動している状態であって、ヨーレイト偏差Dγが第1閾値Dγth1よりも大きい状態と、ヨーレイト偏差Dγが第1閾値Dγth1と第2閾値Dγth2とで挟まれる領域内である状態と、ヨーレイト偏差Dγが第2閾値Dγth2よりも小さい状態とを周期的に繰り返す。
 このとき、比較部709の出力信号は、1(High)と0(Low)とに交互に切り替わることになる。
 以上のように、第1ブロック700は、操舵操作情報としてのラックストロークと車速とから求めた規範ヨーレイトγnと、車両100に実際に発生するヨーレイトとを比較してヨーレイト偏差Dγを求め、ヨーレイト偏差Dγに基づいて車両100がアンダーステア又はオーバーステアであるか否かを判定する。
 一方、第2ブロック800は、規範軸力算出ブロック810、推定軸力算出ブロック820、偏差演算部830、及び、比較部840を有する。
 規範軸力算出ブロック810は、基本規範軸力設定部811、ラックストローク速度演算部812、規範軸力切片演算部813、加算部814を有する。
 基本規範軸力設定部811は、ラックストロークRSの信号、及び、車速VSの信号を取得し、これらに基づき、ラックバー421に生じる規範軸力AFnの基本値である基本規範軸力AFnbを求める。
 ラックストローク速度演算部812は、ラックストロークRSの信号を微分して、単位時間当たりのラックストロークの変化量であるラックストローク速度ΔRS[mm/s]を求める。
 規範軸力切片演算部813は、ラックストローク速度ΔRSの信号、及び、車速VSの信号を取得し、基本規範軸力AFnbを補正するための補正値としての切片ΔAFを求める。
 そして、加算部814は、基本規範軸力AFnbの信号、及び、切片ΔAFの信号を取得し、基本規範軸力AFnbに切片ΔAFを加算して最終的な規範軸力AFn(AFn=AFnb+ΔAF)として出力する。
 このように、規範軸力算出ブロック810は、車両100の走行速度に関する第1物理量と、前輪101,102の操舵角に関する第2物理量とから、ラックバー421に生じる規範軸力AFnを求める。
 推定軸力算出ブロック820は、フリクション補償部821、フリクション補償減算部822、軸力変換部823、モータイナーシャ補償部824、推定軸力補正部825を有する。
 フリクション補償部821は、操舵モータ410のモータ回転速度MRS[rpm]の信号を取得し、モータ回転速度MRSに基づきメカフリクション分の電流値CMF[Arms]を求める。
 なお、モータ回転速度MRSは、モータ回転角センサ440が検出する操舵モータ410の回転角θm[deg]に基づき求められる。
 フリクション補償減算部822は、モータ電流センサ450が検出したモータ電流値Cmの信号、及び、フリクション補償部821が求めたメカフリクション分の電流値CMFの信号を取得し、モータ電流値Cmからメカフリクション分の電流値CMFを減算し、メカフリクション分が補正されたモータ電流値Cmとして出力する。
 軸力変換部823は、フリクション補償減算部822が出力するモータ電流値Cmの信号を取得し、取得したモータ電流値Cmに基づいて、ラックバー421に生じると推定される基本推定軸力AFebを求める。
 なお、モータ電流値Cmから基本推定軸力AFebを求める変換特性は、操舵モータ410の定格トルク、定格電流、減速比、さらに、操舵装置400における比ストローク(ラックゲイン)などから決定される。
 モータイナーシャ補償部824は、操舵モータ410のモータ回転速度MRSの信号を取得し、モータ回転速度MRSに基づいて操舵モータ410のイナーシャ(慣性モーメント)分の軸力AFJ[kN]を求める。
 推定軸力補正部825は、軸力変換部823で求められた基本推定軸力AFebの信号、及び、モータイナーシャ補償部824で求められたイナーシャ分の軸力AFJを取得し、基本推定軸力AFebからイナーシャ分の軸力AFJを減算して、最終的な推定軸力AFe(AFe=AFeb-AFJ)を出力する。
 上記のように、推定軸力算出ブロック820は、推定軸力AFeを、操舵モータ410のモータ電流値Cmに関する第3物理量と、操舵モータ410のモータ回転速度MRSに関する第4物理量とから求める。
 そして、偏差演算部830は、加算部814が出力する規範軸力AFnの信号、及び、推定軸力補正部825が出力する推定軸力AFeの信号を取得し、規範軸力AFnから推定軸力AFeを減算した結果を、軸力偏差DAF(DAF=AFn-AFe)の信号として出力する。
 比較部840は、偏差演算部830が求めた軸力偏差DAFの信号、及び、閾値THafの信号を取得し、軸力偏差DAFと閾値THafとの比較に基づいて、路面の凹凸などの外乱の有無を示す2値信号を出力する。
 つまり、比較部840は、軸力偏差DAFに所定閾値を設け、軸力偏差DAFと所定閾値とを比較することで、路面の凹凸などの外乱の有無を切り分ける。
 図3は、車両100が凹凸のある路面を走行しているときのヨーレイト偏差Dγ及び軸力偏差DAFの変動を示す。
 軸力偏差DAFは路面の凹凸に影響されて周期的に変動し、ヨーレイト偏差Dγも路面の凹凸に影響されて周期的に変動する。
 詳細には、路面の凸凹があると、車体の上下振動が発生することで、ヨーレイトセンサ640が実ヨーレイトγaを誤検知することで、ヨーレイト偏差Dγが発生してしまう。
 そして、第1ブロック700は、ヨーレイト偏差Dγが閾値Dγth(第1閾値Dγth1、第2閾値Dγth2)を超えて変動することで、アンダーステア又はオーバーステアを誤検知することになる。
 このため、第2ブロック800は、外乱に影響されたヨーレイト偏差Dγの変化と、アンダーステア又はオーバーステアによるヨーレイト偏差Dγの変化とを切り分けるため、軸力偏差DAFと閾値THafとの比較に基づいて路面の凹凸などの外乱の有無を判定する。
 ここで、路面の凹凸に影響されて軸力偏差DAF及びヨーレイト偏差Dγが変動する場合、ヨーレイト偏差Dγの変動周波数よりも、軸力偏差DAFの変動周波数が高くなるという特性がある。
 そこで、比較部840は、ヨーレイト偏差Dγの変動周波数に基づき、軸力偏差DAFの変動周波数がヨーレイト偏差Dγの変動周波数よりも高いか否かを判定するための周波数閾値THFafを設定する。
 そして、比較部840は、軸力偏差DAFの周波数が周波数閾値THFafよりも高い場合、換言すれば、軸力偏差DAFの周波数がヨーレイト偏差Dγの周波数よりも高い場合、路面の凹凸によって軸力偏差DAFが変動していると判断し、出力信号を0(Low)に設定する。
 つまり、比較部840の出力信号が0(Low)であることは、外乱としての路面の凹凸を検知されていること、換言すれば、ヨーレイト偏差Dγが路面の凹凸に影響されて変動していることを示す。
 一方、比較部840は、軸力偏差DAFの周波数が周波数閾値THFaf以下である場合、ヨーレイト偏差Dγに影響を与えるような路面の凹凸はないと判断して、出力信号を1(High)に設定する。
 つまり、比較部840の出力信号が1(High)であることは、外乱としての路面の凹凸を検知されていないこと、換言すれば、ヨーレイト偏差Dγが外乱に影響されることなく、車両100の挙動、つまり、アンダーステア又はオーバーステアによって変動していることを示す。
 なお、比較部840は、軸力偏差DAFの振幅を判定するための振幅閾値THAafを設定し、軸力偏差DAFの振幅が振幅閾値THAafを超えているときに出力信号を0(Low)に設定し、軸力偏差DAFの振幅が振幅閾値THAaf以下であるときに出力信号を1(High)に設定することができる。
 つまり、比較部840は、軸力偏差DAFの振幅と振幅閾値THAafとの比較によって、外乱としての路面の凹凸の有無を判定することができる。
 さらに、比較部840は、軸力偏差DAFの振幅と振幅閾値THAafとの比較、及び、軸力偏差DAFの周波数と周波数閾値THFafとの比較によって、外乱としての路面の凹凸の有無を判定することができる。
 この場合、比較部840は、軸力偏差DAFの振幅が振幅閾値THAafを超えていて、かつ、軸力偏差DAFの周波数が周波数閾値THFafよりも高いときに、路面の凹凸によって軸力偏差DAFが変動していると判断し、出力信号を0(Low)に設定する。
 そして、比較部840は、軸力偏差DAFの振幅が振幅閾値THAaf以下であるという条件と、軸力偏差DAFの周波数が周波数閾値THFaf以下であるという条件とのうちの少なくとも一方が成立するときに、路面の凹凸はないと判断して、出力信号を1(High)に設定する。
 以上のように、比較部840(第2ブロック800)は、軸力偏差DAFの振幅及び/又は周波数に基づき、外乱としての路面の凹凸の有無を判定する。
 第3ブロック900は、論理積演算部910を有する。
 論理積演算部910は、第1ブロック700の比較部709が出力する2値信号と、第2ブロック800の比較部840が出力する2値信号とを入力し、これらの信号の論理積演算を行ない、演算結果としての2値信号を出力する。
 前述したように、比較部709は、ヨーレイト偏差Dγに基づいてアンダーステア又はオーバーステアを検知している状態で、出力信号を1(High)に設定する。
 一方、比較部840は、軸力偏差DAFと閾値THafとの比較に基づき、路面の凹凸によって軸力偏差DAFが変動している(換言すれば、外乱としての路面の凹凸が発生している)と判断すると、出力信号を0(Low)に設定する。
 このとき、論理積演算部910の出力信号は0(Low)になる。
 つまり、比較部709が、ヨーレイト偏差Dγに基づいてアンダーステア又はオーバーステアを検知していても、比較部840が、外乱としての路面の凹凸を検知している場合、論理積演算部910の出力信号は、アンダーステア又はオーバーステアが検知されていないことを示す0(Low)になる。
 換言すれば、比較部840が外乱としての路面の凹凸を検知している場合、ヨーレイト偏差Dγが外乱に起因しているとして、アンダーステア又はオーバーステアの検知結果は最終的に無効とされる。
 一方、比較部709がヨーレイト偏差Dγに基づいてアンダーステア又はオーバーステアが検知していて、比較部709の出力信号が1(High)であるときに、比較部840が路面の凹凸を検知していなくて、比較部840の出力信号が1(High)である場合、論理積演算部910の出力信号は1(High)になる。
 つまり、ヨーレイト偏差Dγに基づいてアンダーステア又はオーバーステアが検知されていて、かつ、路面の凹凸が検知されていない場合、論理積演算部910の出力信号は、アンダーステア又はオーバーステアが検知されていることを示す1(High)になる。
 換言すれば、MCU510は、外乱としての路面の凹凸を検知していないときに、ヨーレイト偏差Dγに基づいてアンダーステア又はオーバーステアの有無を判定する。
 したがって、MCU510が実行する車両挙動推定方法によれば、路面の凹凸に影響されてヨーレイト偏差Dγが発生したときに、アンダーステア又はオーバーステアを誤検知することが抑止され、アンダーステア又はオーバーステアの検知精度が向上する。
 MCU510は、アンダーステア又はオーバーステアを検知しているか否かを示す論理積演算部910の出力信号(換言すれば、アンダーステア/オーバーステアの検知信号)を、警報装置としての警報ランプ650にオンオフ制御信号として与える。
 警報ランプ650は、論理積演算部910の出力信号が1(High)であるときに点灯し、車両100の運転者にアンダーステア又はオーバーステアの発生を通知する。
 換言すれば、MCU510は、アンダーステア又はオーバーステアの発生を推定したとき、車両100が備える警報装置である警報ランプ650を作動させる。
 係る警報ランプ650の点灯によって、車両100の運転者は、アンダーステア又はオーバーステアの発生を認知することができ、たとえば、アンダーステア又はオーバーステアに対処する操作を実施できる。
 ここで、MCU510は、路面の凹凸に影響されてアンダーステア又はオーバーステアの発生を誤検知することを抑止できるから、車両100の運転者に対して、アンダーステア又はオーバーステアに関する正確な情報を伝えることができる。
 上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
 また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
 たとえば、比較部709は、ヨーレイト偏差Dγが第1閾値Dγth1を上回っているか否か、さらに、ヨーレイト偏差Dγが第2閾値Dγth2を下回っているか否かを判断することで、車両挙動をオーバーステアとアンダーステアとに区別して検知することができる。
 そして、比較部840が、外乱である路面の凹凸を検知した場合、オーバーステア又はアンダーステアの検知結果を無効とするように構成することができる。
 また、MCU510は、オーバーステアとアンダーステアとを区別して検知する場合、運転者がオーバーステアとアンダーステアとを区別して認識できるように、警報装置を作動させることができる。
 また、MCU510は、オーバーステアとアンダーステアとを区別して検知する場合、検知結果を操舵制御に反映させ、オーバーステア又はアンダーステアに対する修正操舵を自動的に実施することができる。
 オーバーステア又はアンダーステアの発生を車両100の運転者に知らせるための警報装置を、警報ランプ650に限定するものではない。たとえば、警報装置として、警報ブザー、液晶表示装置、音声案内装置などを用いることができる。
 また、ステアバイワイヤ式のステアリングシステム200は、ステアリングホイール310と前輪101,102とをクラッチなどで機械的に結合するバックアップ機構を備えることができる。
 また、ステアバイワイヤ式のステアリングシステム200は、操舵モータ410の制御信号を出力する第1制御装置と、反力モータ330の制御信号を出力する第2制御装置を個別に備えることができる。
 係るステアリングシステム200においては、第1制御装置と第2制御装置とのいずれか一方が、車両挙動検出方法を実行するコントロール部を備え、車両挙動検出装置として機能することができる。
 また、ステアリングシステム200(換言すれば、反力モータ330及び操舵モータ410)の制御機能を備えない電子制御装置が、車両挙動検出方法を実行するコントロール部を備え、車両挙動検出装置として機能することができる。
 100…車両、101,102…前輪、200…ステアリングシステム、300…操舵操作入力装置、340…操作角センサ、400…操舵装置、410…操舵モータ、421…ラックバー(可動部材)、430…ラックストロークセンサ、500…操舵制御装置(車両挙動検出装置)、510…マイクロコンピュータ(コントロール部)

Claims (8)

  1.  車両の車輪に可動部材を介して操舵トルクを付与するモータを備えた前記車両に搭載されたコントロール部が実行する車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記車両の運転者の操舵操作情報から前記車両の規範走行状態を求め、
     前記規範走行状態と、前記車両に実際に発生する走行状態とを比較して第1偏差を出力し、
     前記車両の走行速度に関する第1物理量と、前記車輪の操舵角に関する第2物理量とから前記可動部材に生じる規範軸力を求め、
     前記モータの電流値に関する第3物理量から前記可動部材に生じる推定軸力を求め、
     前記規範軸力と前記推定軸力とを比較して第2偏差を出力し、
     前記第1偏差と前記第2偏差とを比較することにより、前記車両の挙動を推定する、
     車両挙動推定方法。
  2.  請求項1に記載の車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記可動部材に生じる推定軸力を、前記第3物理量と、前記モータの回転速度に関する第4物理量とから求める、
     車両挙動推定方法。
  3.  請求項1に記載の車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記規範走行状態としての規範ヨーレイトを、前記操舵操作情報と前記第1物理量とから求め、
     前記規範ヨーレイトと前記車両に実際に発生するヨーレイトとを比較して前記第1偏差を出力する、
     車両挙動推定方法。
  4.  請求項3に記載の車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記第2偏差に所定閾値を設ける、
     車両挙動推定方法。
  5.  請求項4に記載の車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記第1偏差に基づいて前記車両がアンダーステア又はオーバーステアであるか否かを判定し、
     前記第2偏差が前記所定閾値を超えたときは、前記第1偏差が外乱に起因していると判定する、
     車両挙動推定方法。
  6.  請求項4に記載の車両挙動推定方法であって、
     前記コントロール部は、
     前記第2偏差が前記所定閾値を超えないときに、前記第1偏差に基づいて前記車両がアンダーステア又はオーバーステアであるか否かを判定する、
     車両挙動推定方法。
  7.  請求項1に記載の車両挙動推定方法を実行する前記コントロール部を有した車両挙動検出装置であって、
     前記コントロール部は、推定した前記車両の挙動に応じて、前記車両が備える警報装置を作動させる、
     車両挙動検出装置。
  8.  請求項7に記載の車両挙動検出装置と、前記可動部材と、前記モータとを備えた、
     ステアリングシステム。
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