JP2006151022A - 自動車のインストルメントパネル取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 自動車の室内前部に配設されるインストルメントパネル1がカウルインナーパネル2に装着されて取付けられる自動車のインストルメントパネル取付構造であって、インストルメントパネル1に対して自動車の後方向への所定の荷重が作用した時、インストルメントパネル1がカウルインナーパネル2に対して相対的に後方移動可能に装着されている。
【選択図】 図1
Description
具体的には、1次衝突では、フロントグリル等の比較的低位から身体に衝撃を受けることになり、2次衝突では、1次衝突の作用を受けてフロントガラスやピラー等の箇所に頭部や顔面(その他、肩部や背中部)を打付けることがある。詳しくは、2次衝突では、1次衝突の作用により転倒方向に傾く歩行者の身体を、衝突面で受止めるような態様となることが多いため、歩行者は比較的大きな衝撃エネルギを受ける。したがって、その衝撃力により、フロントガラスを突き破って運転席前のインストルメントパネルの上面に衝突することがある。
ここで、インストルメントパネルは、カウルインナーパネルに形成されたフランジ等の所定の取付け箇所にビス止めされて固定されているものや、後記特許文献1に開示されているように、取外し等の組付け性を向上させるためにこれら(カウルインナーパネルとインストルメントパネル)の取付け部分を嵌込み構造にしたものがある。その他にも、車両衝突時における乗員の前方向への衝突を緩和するために、インストルメントパネル部分が前方向荷重に対して変形するようにしたもの(衝撃吸収構造)もある。
すなわち、従来のインストルメントパネルは、カウルインナーパネルにビス止めされるなどして剛固定されているため、このような衝撃力を受けても変形(大変形)や変位(大変位)を伴わない。よって、歩行者がこのような剛体に対して衝突した場合には、その衝撃エネルギがほとんど吸収されず、その代わりに歩行者に衝撃力がそのまま加えられることとなる。
また、インストルメントパネルを嵌込み構造にしたもの(特許文献1に開示されているもの)は、専ら組付性を向上させるための構造であって、組付け後の支持剛性をむしろ高めるようにして、インストルメントパネルが抜け外れることのないようにしている。
ここで、歩行者がインストルメントパネルの上面に衝突した場合には、インストルメントパネルを自動車の後方側に変位させるような衝撃荷重が作用する。すなわち、インストルメントパネルとカウルインナーパネルとの取付部に対して引張り方向の力を作用させる。
先ず、本発明の第1の発明は、自動車の室内前部に配設されるインストルメントパネルがカウルインナーパネルに装着されて取付けられる自動車のインストルメントパネル取付構造であって、インストルメントパネルに対して自動車の後方向への所定の荷重が作用した時、インストルメントパネルがカウルインナーパネルに対して相対的に後方移動可能に装着されているものである。
ここで、インストルメントパネルに自動車の後方向への所定の荷重が作用する場合とは、例えば、自動車の対歩行者との2次衝突時等において、衝突した歩行者がフロントガラスを突き破ってインストルメントパネルの上面に衝突する場合などが挙げられる。
また、インストルメントパネルがカウルインナーパネルに対して相対的に後方移動するとは、例えば、これらの装着構造が、上記所定の荷重の作用を受けた時に、変形(弾性変形や塑性変形)や変位を生じるなどして、全体としてインストルメントパネルがカウルインナーパネルに対して相対的に後方へ移動(変位)することをいう。なお、この装着構造が弾性変形によってカウルインナーパネルとの装着状態を解除されるような場合には、弾性変形によって蓄積されたエネルギは装着状態の解除とともに開放される(結果的に装着構造によってエネルギ吸収される)。
この第1の発明によれば、インストルメントパネルがカウルインナーパネルに対して一定の取付け強度を有して装着され取付けられる。そして、インストルメントパネルは、自動車の後方向への所定の荷重が作用した時にカウルインナーパネルに対して相対的に後方移動する。すなわち、インストルメントパネルが上述した所定の荷重の作用に対応するように変位(移動)する。
ここで、エネルギ吸収構造とは、所定の荷重の作用を受けた時にこのエネルギを減衰させるダンパー(減衰機構)のことであり、例えば、履歴的な塑性変形によるものや、変位に伴う摩擦抵抗によるものや、粘弾性体の剪断抵抗によるものが挙げられる。
この第2の発明によれば、インストルメントパネルの装着は、エネルギ吸収構造によって構成されている。したがって、所定の荷重の作用を受けると、この装着構造(エネルギ吸収構造)が、かかるエネルギを減衰させるように作用する。
この第3の発明によれば、カウルインナーパネルにはこの前後方向に対して一体的とされる被取付部位が配設され、インストルメントパネルにはこの前後方向に対して一体的とされる取付部位が配設されている。そして、被取付部位及び取付部位の装着面形状によって、これらは互いに前後方向に相対移動して着脱することが可能となる。また、この両者の相対移動に際しては、両者間に摩擦摺動抵抗が付与される。
この第4の発明によれば、インストルメントパネルの取付部位とカウルインナーパネルの被取付部位とのうち、少なくとも一方側が樹脂製で形成されているため、両者の面接触状態が良好となり、相対移動の際の摩擦摺動抵抗が安定的に付与される。なお、両方側が樹脂製で形成されている場合には、摩擦摺動抵抗は更に安定的に付与される。
この第5の発明によれば、インストルメントパネルの取付部位に係合突起が形成された構成となっている。この係合突起は、被取付部位に取付部位を装着した際に、この被取付部位に係合して抜止め方向に機能する。そして、所定の荷重が作用した時に、これら係合状態を構成する係合力に抗した摩擦摺動抵抗を付与する。
この第6の発明によれば、カウルインナーパネルの被取付部位に設けられた切欠き部によって、インストルメントパネルの取付部位の被取付部位に対する装着状態を適度に弛緩するように作用する。したがって、この切欠き部により、所定の荷重の作用を受けた際に付与する摩擦摺動抵抗の大きさが調整される。
先ず、本発明の第1の発明によれば、一定の取付け強度を有してカウルインナーパネルに装着されて取付けられたインストルメントパネルは、自動車の後方向への所定の荷重が作用する場合に、これに対応して後方移動(変位)し、かかる荷重の作用を緩和させることができる。すなわち、かかる荷重を付与する側の持つエネルギをこの変位に伴って吸収することができる。
次に、本発明の第2の発明によれば、エネルギ吸収構造によって、所定の荷重を付与する側の持つエネルギを内部的に減衰させて吸収することができる。したがって、エネルギを蓄積させるタイプの構造とは異なり、吸収したエネルギを、荷重を付与する側に戻し返すことなく、確実に吸収することができる。
次に、本発明の第3の発明によれば、インストルメントパネルの相対移動に伴って摩擦摺動抵抗が付与されるため、安定したエネルギ吸収が行える。
次に、本発明の第4の発明によれば、装着状態を構成する部材(取付部位と被取付部位)のうち、少なくとも一方側を樹脂製としているため、これらが相対移動する際に付与する摩擦摺動抵抗が安定する。よって、エネルギ吸収がより安定的に行える。なお、両方側が樹脂製である場合には、このエネルギ吸収特性は更に安定する。
次に、本発明の第5の発明によれば、インストルメントパネルとカウルインナーパネルとの装着構造を、係合突起により付与される係合力による構成としているため、この係合力の大きさに合わせたエネルギ吸収が行える。
次に、本発明の第6の発明によれば、被取付部位に切欠き部を設けるという簡単な構成により、かかる摩擦摺動抵抗の大きさを変化させてエネルギ吸収を行うことができる。
また、図3に良く示されるように、装着部21には、挿込んだクリップ10の係合溝11bに係合して抜止め方向に係合力を付与する係合爪21dが形成されている。この係合爪21dは、クリップ10を挿込む操作によってクリップ10の係合溝11b(図1参照)に係合した係合状態となる。ここで、係合爪21dが本発明の係合突起に相当し、かつ、装着面形状に相当するものである。
このようにしてホルダー20をクリップ10に装着することにより、インパネ1がカウルパネル2に取付けられる。
以上のように本実施例の自動車のインストルメントパネル取付構造が構成されている。なお、これらの装着構造は、複数設けられてインパネ1をカウルパネル2に取付けるようになっている。
先ず、カウルパネル2に取付けられた状態のインパネ1に所定の荷重が作用すると、これらの装着構造を構成しているクリップ10とホルダー20との間に抜き外し方向(クリップ10とホルダー20とが前後方向に相対移動する方向)の附勢力が作用する。ここで、クリップ10とホルダー20は、これらの装着面形状を構成するクリップ10の被装着部11やホルダー20の装着部21及び係止爪12bによって、抜止め方向の係合力を作用させている。
しかしながら、上記所定の荷重による附勢力の作用を受けると、クリップ10及びホルダー20は、この係合力に抗して互いに前後方向(抜き外れる方向)に相対移動する方向に作用力を受ける。この際、両者の間には、上記係合力に抗した抵抗力が付与される。すなわち、この附勢により、係止爪12bを始めとした装着構造全体に弾性変形等を伴う抜止め方向の係合力が作用するため、クリップ10及びホルダー20が相対移動しようとすると、この両者の間には係合力に抗した抵抗力が付与される。そして、この抵抗力による作用が、所定の荷重に伴うエネルギを蓄積する機構として作用する。その後、所定の荷重の大きさによっては、両者の間に作用する係合力を超えてクリップ10の被装着部11がホルダー20の係合爪21dを抜けて装着部21から抜き外れる。この際、クリップ10の被装着部11がホルダー20の係合爪12bから抜外れることにより、係止爪12bを始めとした装着構造全体の弾性変形に伴って蓄積されたエネルギが開放される。すなわち、所定の荷重にかかるエネルギが内部的に吸収されることとなる。また、クリップ10の被装着部11がホルダー20の係合爪21dに対して相対移動を伴なうため、両者の間には摩擦摺動抵抗が作用してエネルギ吸収が行われる。そして、両者の係合状態が解除され、インパネ1がカウルパネル2から取外される。このとき、インパネ1がカウルパネル2に対して相対的に後方移動する挙動に伴って、所定の荷重にかかるエネルギが内部的に吸収されることとなる。
また、装着構造を構成するホルダー20及びクリップ10が樹脂製であるため、これらが相対移動する際の接触抵抗が安定する。したがって、摩擦摺動抵抗が安定的に付与される。
更に、装着状態を保持するための係合力を係合爪21dによって付与するようにしているため、この係合爪21dの突出量を変化させることによって、かかるエネルギ吸収特性を調整して使用することができる。
また、本実施例においては、実施例1の自動車のインストルメントパネル取付構造と同様の構成及び作用を奏する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、相異する箇所について詳しく説明することにする。
詳しくは、樹脂製のピン機構60は、図6に良く示されるように、先端にピン61が突出した構成とされており、その根元側がインパネ1のブラケット1aに対してビス等の締結部材によって締結されて固定されている。また、ピン61は、後述するソケット50の被装着部51(図5参照)に対して挿入することにより装着状態となる構成とされている。したがって、ピン機構60を固定状態のインパネ1は、ソケット50を固定状態のカウルパネル2に対してピン61をソケット50の被装着部51に挿入することにより取付状態とすることができる。
ここで、ピン機構60が本発明の取付部位に相当し、ソケット50が本発明の被取付部位に相当する。また、ピン61が本発明の装着部に相当し、かつ、装着面形状に相当するものである。
詳しくは、被装着部51は、ピン61を挿入案内する形状の案内片51aと、挿込まれたピン61を受止める受止片51b(図4参照)と、を有している。また、案内片51aの周面には、切欠き部53が複数形成されている。この被装着部51は、その装着面形状によって、挿込まれたピン61に係合して抜止め方向に係合力を作用させる。また、この装着状態は、案内片51aの周面に形成された切欠き部53によって、適度(所定の荷重以上の作用を受けなければ抜け外れることがない程度)に弛緩された状態とされている。ここで、被装着部51(案内片51a及び受止片51b)及び切欠き部53が本発明における装着面形状に相当する。
また、掛着部52は、幅長方向(挿入方向に垂直な方向)に弾性的に拡開或いは収縮変形可能な翼形状の係止爪52aを有している。したがって、ソケット50をカウルパネル2の挿込孔2eに挿込むと、掛着部52の係止爪52aが挿込孔2eの大きさ形状によって弾性的に窄められ、挿込まれた後に復元(拡開)して挿込孔2eに係止するように作用する。これにより、掛着部52の係止爪52aの係止力が安定して作用するため、ソケット50は挿込孔2eの前後方向(自動車の前後方向)に対して抜け外れない一体的な状態となる。すなわち、ソケット50がカウルパネル2に前後方向に対して一体的に配設された状態となる。
以上のように本実施例の自動車のインストルメントパネル取付構造が構成されている。なお、これらの装着構造は、インパネ1をカウルパネル2に取付ける部位に複数設けられている。
先ず、カウルパネル2に取付けられた状態のインパネ1に所定の荷重が作用すると、これらの装着構造を構成しているピン機構60とソケット50との間に抜き外し方向(ピン機構60とソケット50とが前後方向に相対移動する方向)の附勢力が作用する。ここで、ピン機構60とソケット50は、これらの装着面形状を構成するピン機構60のピン61やソケット50の被装着部51(案内片51a及び受止片51b)によって、抜止め方向の係合力を作用させている。なお、ソケット50の被装着部51に形成された切欠き部53によって、両者の係合状態は適度に弛緩された状態とされている。
しかしながら、上記所定の荷重による附勢力の作用を受けると、ピン機構60及びソケット50は、この係合力に抗して互いに前後方向(抜き外れる方向)に相対移動する。この際、両者の間には、上記係合力に抗した摩擦摺動抵抗が付与される。すなわち、この附勢により、被装着部51を始めとした装着構造全体に弾性変形等を伴う抜止め方向の係合力が作用するため、ピン機構60及びソケット50が相対移動することにより、この両者の間には係合力に抗した摩擦摺動抵抗が付与される。そして、この摩擦摺動抵抗が、所定の荷重に伴うエネルギを減衰させるダンパー機構として作用し、したがって、このエネルギが装着構造によって内部的に吸収されることになる。その後、所定の荷重の大きさによっては、ピン機構60のピン61がソケット50の被装着部51から抜き外れることにより両者の係合状態が解除され、インパネ1がカウルパネル2から取外される。すなわち、インパネ1がカウルパネル2に対して相対的に後方移動する挙動に伴って、所定の荷重にかかるエネルギが内部的に吸収されることとなる。
例えば、第1実施例及び第2実施例においては、インストルメントパネルに取付けられる取付部位(実施例1においてはホルダー20、実施例2についてはピン機構60)及びカウルインナーパネルに掛着される被取付部位(実施例1においてはクリップ10。実施例2においてはソケット50)が共に樹脂製とされたものを示したが、このうち一方側のみが樹脂製とされた構成のものであっても構わない。
1a ブラケット
2 カウルインナーパネル
2a ダッシュアッパーパネル
2b ダッシュロアーパネル
2c フランジ部
2d 係止孔
2e 挿込孔
3 フロントガラス
4 クッション材
10 クリップ(被取付部位)
11 被装着部(装着面形状)
11a 軸片(装着面形状)
11b 係合溝(装着面形状)
12 掛着部
12a 挟持片
12b 係止爪
20 ホルダー(取付部位)
21 装着部
21a 案内片(装着面形状)
21b 支持片(装着面形状)
21c 受止片(装着面形状)
21d 係合爪(係合突起,装着面形状)
22 固定部
50 ソケット(被取付部位)
51 被装着部(装着面形状)
51a 案内片(装着面形状)
51b 受止片(装着面形状)
52 掛着部
52a 係止爪
53 切欠き部(装着面形状)
60 ピン機構(取付部位)
61 ピン(装着部、装着面形状)
Claims (6)
- 自動車の室内前部に配設されるインストルメントパネルがカウルインナーパネルに装着されて取付けられる自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記インストルメントパネルに対して自動車の後方向への所定の荷重が作用した時、該インストルメントパネルがカウルインナーパネルに対して相対的に後方移動可能に装着されていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。 - 請求項1に記載の自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記インストルメントパネルのカウルインナーパネルへの装着がエネルギ吸収構造によって構成されており、該インストルメントパネルのカウルインナーパネルに対する相対的な後方移動は、エネルギが吸収されて行われることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。 - 請求項2に記載の自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記インストルメントパネルのカウルインナーパネルへの装着構造は、カウルインナーパネルに前後方向に対して一体的として配設され前後方向に着脱可能な装着面形状とされた被取付部位と、インストルメントパネルに前後方向に対して一体的として配設され前記カウルインナーパネルの被取付部位の装着面形状に対応した装着面形状とされた取付部位とからなり、該取付部位と被取付部位との装着が前後方向の相対移動に際して摩擦摺動抵抗が付与される装着構成とされていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。 - 請求項3に記載の自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記インストルメントパネルの取付部位と前記カウルインナーパネルの被取付部位とのうち、少なくとも一方側が樹脂製で形成されていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。 - 請求項3又は請求項4に記載の自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記インストルメントパネルの取付部位の装着面には係合突起が形成されており、該係合突起は前記カウルインナーパネルの被取付部位と係合して抜止め方向に機能し、前記所定の荷重が作用した時に該係合力に抗した摩擦摺動抵抗が付与される構成となっていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。 - 請求項3又は請求項4に記載の自動車のインストルメントパネル取付構造であって、
前記カウルインナーパネルの被取付部位は、前記取付部位との装着状態を弛緩する切欠き部が設けられた構成となっていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル取付構造。
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