JP2006150972A - 有価証券のレーザーマーキング - Google Patents

Abstract

【課題】レーザー照射と使用される印刷インク系との相互作用に基づく、有価証券のレーザーマーキングを提供すること。
【解決手段】少なくとも１種の印刷インクまたは印刷インク層系が基材に塗布され、前記印刷インクまたは印刷インク系中の少なくとも１層がレーザー感光性成分を含み、前記印刷インクがレーザーによって選択的に除去され、必要であれば、前記選択的に除去された領域に微小刻印／像がレーザーによって追加で形成されることを特徴とする、有価証券のレーザーマーキングである。
【選択図】図１

Description

本発明は、レーザー照射と使用される印刷インク系との相互作用に基づく、有価証券のレーザーマーキングに関する。

レーザーアブレーション工程は、特に銀行券などの有価証券において当業者に長い間知られている。これらの工程は、例えば、ドイツ特許出願第２８３６５２９号で説明されたように、塗布した印刷インクを完全に除去することによってネガの形の連番を形成する。これらの工程は、第１にネガの記号を有する番号付けローラーを得ることが困難であること、第２に、例えばドイツ特許出願第２８３６５２９号に開示された従来の印刷工程を用いて多色印刷された有価証券に白い数字を形成（銀行券用紙が白いと想定して）することが困難であることから、セキュリティ性の利点が提供される。

国際公開第９８／０３３４８号パンフレットは、有価証券自体のレーザーエッチング、すなわち、印刷物の局部的アブレーションまたは印刷領域の漂白と脱色現象とを組み合わせた穿孔さえ開示する。

さらにセキュリティマーキングは、例えば国際公開第２００４／００９３７１号パンフレットに記述されたように、対応する修正されたセキュリティ用紙を黒色化または色彩変化させ、もしくはさせないで、有価証券上の感知可能（触知可能）なレリーフ状のマーキングをレーザーにより形成することによって可能である。
ドイツ特許出願第２８３６５２９号 国際公開第９８／０３３４８号パンフレット 国際公開第２００４／００９３７１号パンフレット

しかし、有価証券マーキングの従来技術に記述された工程は、マーキングを形成する全領域における完全なレーザーアブレーションのみ可能であるという欠点を有する。

したがって、本発明の目的は、上述の欠点のないレーザー技術を用いて、有価証券の偽造防止および複写防止のマーキングを開発することであった。

本発明は、少なくとも１種の印刷インクまたは印刷インク層系が基材に塗布され、印刷インクまたは印刷インク系中の少なくとも１層がレーザー感光性成分を含み、印刷インクがレーザーによって選択的に除去され、必要であれば、選択的に除去された領域に微小刻印／像がレーザーによって追加で形成されることを特徴とする、有価証券のレーザーマーキングである。

基材として紙、厚紙、ボード、プラスチック、プラスチックフィルムまたは積層体が印刷インクまたは印刷インク層系で印刷することができる。印刷インク層系が２層または３層を有しても良い。

更に、３層系が印刷インク−レーザー感光性層−印刷インクを含む層系を有することができる。

２層系が、同一または異なる２層の印刷インクを含み、１層の印刷インク層がレーザー感光性成分を含むことができる。

レーザー感光性成分が、炭素、カーボンブラック、グラファイト、Ｓｎ（Ｓｂ）Ｏ₂、ＴｉＯ₂、アントラセン、赤外線吸収着色剤、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン（ＩＩＩ）およびオキシ塩化ビスマス、層状ケイ酸塩、天然または合成雲母、雲母の金属酸化物被覆フレーク、ガラスまたはＳｉＯ₂、タルク、カオリン、ガラスフレーク、ＳｉＯ₂フレーク、フレーク状酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ＬＣＰ（液晶ポリマー）、ホログラフィック顔料、導電性顔料、被覆グラファイトフレークまたはその混合物からなる群から選択することができる。

印刷インクがセキュリティ顔料を含むことが好ましい。

セキュリティ顔料が光学可変顔料、真珠箔顔料、干渉顔料、ゴニオクロマティック光沢顔料、多層顔料またはその混合物であることが好ましい。

印刷インクが１種または複数種の着色剤を含でいても良い。

使用されるレーザーがＮｄ：ＹＡＧ、Ｎｄ：ＹＶＯ₄、ダイオードまたはＣＯ₂レーザーであってよい。

本発明を用いることで、銀行券、銀行およびクレジットカード、小切手、小切手カード、証券、証書、身分証明書、切手、証明書、ＩＤカード、試験証明書、鉄道および航空券、入場券、テレホンカード等などの有価証券に、偽造防止および複写防止され恒久的に符号化されたマーキングを行うことを可能にする。

驚くべきことに、有価証券のレーザーマーキングは、それらが特殊な印刷インク層系を有するならば、
１．印刷インクの選択的脱色、
２．触知性を備える／備えない微小刻印の形成
によって可能であることが見出された。

レーザー技術自体、取得のコストが高く装置が複雑であるために偽造が困難であるので、マーキングにおける利点があり、従来の印刷工程では複写が困難な、あるいは、まったく不可能な有価証券のマーキングを形成する。

本発明は、少なくとも１つのインクまたは印刷インク層系を基材に塗布することを特徴とする有価証券のレーザーマーキングに関し、印刷インクまたは印刷インク層系中の少なくとも１層がレーザー感光性成分を含み、印刷インクがレーザーによって選択的に除去され、必要であれば、選択的に除去された領域に追加でレーザーによって微小刻印／像が形成される。

本発明の工程は、銀行券、銀行およびクレジットカード、小切手、小切手カード、証券、証書、身分証明書、切手、証明書、ＩＤカード、試験証明書、鉄道および航空券、入場券、テレホンカード等などの有価証券に、偽造防止および複写防止され恒久的に符号化されたマーキングを行うことを可能にする。

図１ ａ）に示すように、本発明に使用される印刷インク系上への適切なレーザー照射の作用はインク層の選択的除去をもたらす。すなわち、マーキング像内に原色彩から完全除去までの非常に微細な勾配のある色彩勾配が達成される。これは、レーザー偏光法に典型的なほぼ無制限の汎用性と独自性をもって行われる。すなわち、任意の図形意匠、英数字記号（文字、数字等）、不規則的に生成される、または連続的に変化する連番およびコード（バーコード、データマトリックスコード等）について行うことができる。

特殊なセキュリティ顔料と染料を用いることによって偽造防止および複写防止マーキングが可能である。これらは、例えば、蛍光効果のある顔料、多層相互干渉顔料、光学可変顔料など人間の目の可視領域中にあり、あるいは選択的または完全に除去することができ、またはその活性色彩中心で弱めまたは破壊することができ、あるいは最上部の他の色彩層を除去した後に視覚的にもしくは紫外線／赤外線下で検出することのできる着色剤に応じた、人間の目の不可視領域（赤外線、紫外線領域）中にある。

さらに、５００μｍ以下の刻印／像のサイズおよび６０μｍ以下の線厚を有する微小刻印／像は、適切なレーザーを援用して、選択的に除去した印刷領域および除去しない印刷領域の両方で形成することができる（図１ ｂ）。

このマーキングは、印刷インクの除去または脱色／炭素化によって、印刷されたおよび／または既に選択的にアブレージョンされた層系内で行われる。

使用される印刷インクおよびレーザーパラメータに応じて、このようにして形成された微小刻印／像は触知性を有することができる。

本発明の印刷インク系は、様々な基材（図２、層（４））、例えば、紙、厚紙、ボード、プラスチック、プラスチックフィルムおよび積層体上に印刷することができ、レーザーマーキングが行われる。セキュリティのために特に適切なものは、綿（例えば模造皮紙）などの一年生植物からの繊維もしくは綿繊維混合物またはプラスチック繊維を含む紙であり、単層または多層構造を有することができる。

当業者に公知のすべてのプラスチック、特に、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステルエステル、ポリエーテルエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタラート、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン（ＡＢＳ）、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート（ＡＳＡ）、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、およびそのコポリマーおよび／または混合物が適切である。

本発明の印刷インク系について、図２〜４に描いた層系と順序が特に適していることが実証された。

図２は、有価証券（４）に塗布された、印刷インク（１）、レーザー感光性層（２）、さらに他の印刷インク（３）からなる印刷インク系を示す。ここで、層（１）と（３）は同一または異なることができる。

図３においては、レーザー光自体を吸収するか、層（２）のレーザー感光性成分を含むさらに他の印刷インク（５）だけが印刷インク（３）に塗布される。

図４は有価証券に塗布された印刷インク（５）を示す。

層（１）、（２）、（３）の厚さは一般に１〜１５μｍであり、特に２〜１０μｍであり、特に非常に好ましくは４〜８μｍであり、すべての層の総厚さは２５μｍを超えてはならない。ここで、層（１）、（２）、（３）、（５）の厚さは同一または異なることができる。

レーザーへの露出に応じて、印刷インク（１）または（５）は、層（２）または（５）中のレーザー感光性成分によって、微細な勾配を付けて、すなわち選択的にまたは完全に除去される。

さらに、印刷インク（５）によるレーザー光の固有吸収はその黒化または白色化を可能にする。これは適切なポリマー成分、例えばポリフェニレンスルフィド（ＰＰＳ）などの添加によって強化することができ、本質的にマーキングである。

相応じて下地の印刷インク層（３）または有価証券（４）に微細な勾配付けが行われ、かつ／または微小刻印として可視化される。

印刷インクは以下の印刷工程によって塗布されることが好ましい。

− 凸版印刷、
− グラビア印刷、
− フレキソ印刷、
− 直接オフセット印刷、
− 間接オフセット印刷、
− パッド印刷、
− 凹版印刷、
− スクリーン印刷。

さらに、部分的なまたは全面的なインラインもしくはオフライン塗工による塗布が可能である。

印刷インク（１）は、記載された波長範囲のレーザー光に透明および／または半透明であることが理想的な任意の着色剤含有印刷インクとすることができる。

使用される印刷インク（３）は、これらが照射に露出されないので、特にさらに他のセキュリティ上の特徴を有する、有価証券用に考えることのできる任意の印刷インクとすることができる。

適切な着色剤は、レーザー照射によって分解せず光に安定な、当業者に公知のものすべてである。また、着色剤は、２種または複数種の物質の混合物とすることができる。印刷インク中の着色剤の割合は、５〜３５重量％であることが好ましい。

適切な着色剤は、当業者に公知のすべての有機および向き染料および顔料である。特に適切なものは、蛍光効果を有する顔料、多層干渉顔料、光学可変顔料、紫外線染料、例えばモノ−アゾ顔料および染料などのアゾ顔料および染料、ジアリール顔料、イソインドリン、ベンズイミダゾロン、ビスアゾピラゾロン、β−ナフトール、ナフトールＡＳ顔料、ジスアゾ濃縮顔料、ＢＯＮＳ顔料、例えばトリアリールカルボニウム顔料などの多環式顔料および染料、ペリノン、ペリレン、アントラキノン、フラバントロン、イソインドリノン、ピラントロン、アントラピリミジン、キナクリドン、チオインジゴ、ジオキサジン、インダントロノン（ｉｎｄａｎｔｈｒｏｎｏｎｅｓ）、ジケトピロロピロール、キノンフタロン（ｑｕｉｎｏｎｅｐｈｔｈａｌｏｎｅｓ）、例えばβ−銅フタロシアニンなどの金属錯体顔料および染料、アゾメチン、ジオキシムおよびイソインドリノン錯体、金属顔料、酸化物および酸化物水酸化物顔料、酸化物混合相顔料、例えばクロム酸塩およびクロム酸塩−モリブデン酸塩混合相顔料などの金属塩顔料、炭酸塩顔料、硫化物および硫化物−セレン顔料、錯体−塩顔料、ケイ酸塩顔料、ならびにカーボンブラック系顔料である。

前記着色剤の中で、特に好ましいものはモノアゾ顔料、ジアリール顔料、ベンズイミダゾロン、β−ナフトール、ナフトールＡＳ顔料、ＢＯＮＳ顔料、トリアリールカルボニウム顔料、β−銅フタロシアニン、カーボンブラック（ピグメントブラック７）、真珠箔および光学可変顔料、ならびに金属顔料である。

層（２）中またはレーザー光吸収印刷インク（５）中に使用されるレーザー感光性成分は、記載された波長範囲でレーザー光エネルギーを十分吸収しそれを熱エネルギーに変換する任意の材料とすることができる。

マーキングに適するレーザー感光性成分は、炭素、カーボンブラック、グラファイト、例えばＳｎ（Ｓｂ）Ｏ₂、ＴｉＯ₂などの金属酸化物、アントラセン、例えばペリレン／リレンなどの赤外線吸収着色剤、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン（ＩＩＩ）およびオキシ塩化ビスマス、フレーク形状、特に、例えば層状ケイ酸塩から作られた透明または半透明な基材、例えば合成または天然雲母、タルク、カオリン、ガラスフレーク、ＳｉＯ₂フレーク、または支持体のない合成フレークなどに基づくことが好ましい。また、さらに、適切なものは、例えばフレーク状酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどのフレーク状の金属酸化物、二酸化ケイ素、ＬＣＰ（液晶ポリマー）、ホログラフィック顔料、導電性顔料または被覆グラファイトフレークである。

また、使用されるフレーク状顔料は、被覆しない金属粉、または１種または複数種の金属酸化物層で被覆された金属粉とすることができ、例えば、Ａｌ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｆｅ、Ａｕ、Ａｇ、および鋼フレークが好ましい。例えば、Ａｌ、Ｆｅ、または鉄のフレークなど腐食しやすい金属フレークを被覆しない形で使用する場合、それらは保護ポリマー層で被覆することが好ましい。

フレーク状基材以外に、例えばＡｌ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｆｅ、Ａｕ、Ａｇ、および／またはＦｅから作られた球状顔料を使用することも可能である。

特に好ましい基材は、１種または複数種の金属酸化物で被覆された雲母フレークである。ここで使用される金属酸化物は、特に、二酸化チタン、酸化アンチモン（ＩＩＩ）、酸化亜鉛、酸化スズおよび／または二酸化ジルコニウムなどの無色で高屈折率の金属酸化物、また、例えば酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、および特に酸化鉄（Ｆｅ₂Ｏ₃、Ｆｅ₃Ｏ₄）などの着色金属酸化物の両方である。使用されるレーザー感光性成分は、酸化アンチモン（ＩＩＩ）単独または酸化スズとの組合せが特に好ましい。

これらの基材は既知であり、例えば、Ｍｅｒｋ ＫＧａＡから商品名Ｉｒｉｏｄｉｎ（登録商標）Ｌａｚｅｒｆｌａｉｒで大部分は市場で入手可能であり、かつ／または当業者に公知の標準的な方法で調製することができる。透明または半透明なフレーク状基材に基づく顔料は、例えば、ドイツ特許および特許出願第１４６７４６８号、第１９５９９９８号、第２００９５６６号、第２２１４４５４号、第２２１５１９１号、第２２４４２９８号、第２３１３３３１号、第２５２２５７２号、第３１３７８０８号、第３１３７８０９号、第３１５１３４３号、第３１５１３５４号、第３１５１３５５号、第３２１１６０２号、第３２３５０１７号、第３８４２３３０号、第４４４１２２３号に記載されている。被覆したＳｉＯ₂フレークは、例えば国際公開第ＷＯ９３／０８２３７号パンフレット（湿式化学被覆）およびドイツ特許第ＤＥ−Ａ１９６１４６３７号明細書（ＣＶＤ工程）から知られる。

層状ケイ酸塩に基づく多層顔料は、例えば、ドイツ特許出願第１９６１８５６９号、第１９６３８７０８号、第１９７０７８０６号、第１９８０３５５０号から知られる。以下の構造を有する多層顔料は特に適している。

雲母＋ＴｉＯ₂＋ＳｉＯ₂＋ＴｉＯ₂
雲母＋ＴｉＯ₂＋ＳｉＯ₂＋ＴｉＯ₂／Ｆｅ₂Ｏ₃
雲母＋ＴｉＯ₂＋ＳｉＯ₂＋（Ｓｎ、Ｓｂ）Ｏ₂
ＳｉＯ₂フレーク＋ＴｉＯ₂＋ＳｉＯ₂＋ＴｉＯ₂
特に好ましいレーザー光吸収物質は、アントラセン、例えばｔｅｒ−または第４リレンテトラカルボキシ−ジイミドなどのペリレン／リレン、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン（ＩＩＩ）、オキシ塩化ビスマス、炭素、アンチモン、Ｓｎ（Ｓｂ）Ｏ₂、ＴｉＯ₂、ケイ酸塩、ＳｉＯ₂フレーク、金属酸化物被覆雲母および／またはＳｉＯ₂フレーク、導電性顔料、硫化物、リン酸塩、ＢｉＯＣｌ、またはその混合物である。

また、レーザー感光性成分は、液体印刷インクの総重量に対して０．５〜４０重量％程度存在する２種またはそれ以上の成分の混合物とすることができる。

層系用の適切な結合剤は、例えば、
ａ）水性系には、
アクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および前記物質のコポリマー
ｂ）溶媒に基づく系には、
ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ＰＶＣ−ＰＶＡコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、塩化ゴム、コロホニー修飾フェノール樹脂、マレイン樹脂、カルシウム／亜鉛樹脂酸塩、ＥＨＥＣ、アクリレート、および前記物質のコポリマー
ｃ）放射線硬化（紫外線、ＥＢ）系
エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート
ｄ）油に基づく系
コロホニー修飾フェノール樹脂、マレイン酸修飾フェノール樹脂、アルキッド樹脂（例えばリンシード油アルキッド樹脂）、炭化水素樹脂
結合剤の含有量は液体系の総重量基準で１０〜５０重量％である。

層系の適切な溶媒および共溶媒は、例えば、
ａ）水性系には、
水、水／アルコール混合物
ｂ）溶媒含有系には、
エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−プロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ｎ−プロピル、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、トルエン、脂肪族炭化水素、および前記溶媒の混合物
ｃ）放射線硬化系（反応性希釈剤）には、
ヘキサンジオールジアクリレート、ジ／トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアリレート
ｄ）油に基づく系には、
鉱物油、植物油および２種類の物質の混合物がある。

溶媒含有量は液体系に対して３０〜７０重量％である。

アブレージョンは適切なレーザーを用いて、好ましくはビーム偏向法または適切なマスクを用いるマスク法によって行われる。

使用されるレーザーは、一般に１５７ｎｍ〜１０．６μｍの波長を有し、好ましくは５３２ｎｍ〜１０．６μｍの範囲である。Ｎｄ：ＹＡＧおよびＹＶＯ₄レーザー（それぞれ１０６４および５３２ｎｍ）、ダイオードレーザー、（８０８〜９８０ｎｍ）およびＣＯ₂レーザー（１０．６μｍ）を使用することが特に好ましい。しかし、望ましい結果は、使用されるレーザー光吸収物質による吸収が高い領域に波長を有する、他の従来の種類のレーザーを用いて達成することもできる。

形成すべきアブレーションまたは微小刻印は、照射時間（またはパルスレーザーの場合にはパルス数）とレーザー（パルスレーザーの場合にはパルス出力密度）および使用される層系の照射出力によって決定される。

使用されるレーザーの要因は特定の用途に依存し、個々の事例は当業者であれば容易に決定することができる。

様々なレーザー波長、１０６４ｎｍ、８０８〜９８０ｎｍ、または１０．６μｍのＹＡＧレーザー、ＹＶＯ₄レーザー、ダイオードレーザー、またはＣＯ₂レーザーを使用することが好ましい。マーキングは連続的（ｃｗ）およびパルス動作の両方で可能である。マーキングレーザーの適切な出力スペクトルは、２〜３００ワットにわたり、パルス周波数は１〜２００ｋＨｚの範囲である。

本発明のレーザーマーキングは、有価証券を個別にかつ柔軟に符号化してマーキングするすべての場合に用いることができる。

これらは、銀行券、小切手、証券、証書、身分証明書、切手、証明書、試験証明書、入場券、鉄道および航空券など紙ベースのもの、小切手カード、ＩＤカード、テレホンカード、銀行およびクレジットカードなど適切な紙またはプラスチックからなるもの、また、積層体またはプラスチックおよび紙を含む他の多層構造の有価証券を含む。

以下の実施例は本発明を説明するためであるが、それを制限するものではない。

＜実施例１＞
印刷インク（１，３）の調製
溶媒含有グラビア印刷
Ｃｏｌｏｒｃｏｄｅ（登録商標）Ｔｕｒｑｏｉｓｅ−Ｌｉｌａｃ（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ製のセキュリティ顔料）２５ｇ
ニトロセルロース／アルコール体質顔料７５ｇ
顔料は高い剪断力を避けながら、結合剤系中に攪拌して加える。印刷粘度を続いて設定する（ＤＩＮ４カップ（ＤＩＮ５３２１１）１４〜２５ｓ）。

３５ｇのエトキシプロパノールを６５ｇの濃厚印刷インクに加える（上記参照）。

インクは適切な印刷機械（例えばＭｏｓｅｒ Ｒｏｔｏｔｅｓｔ）上の適切なグラビアスクリーン（例えば、電気的に彫られた６０線／ｃｍ）を用いてグラビア印刷によって印刷する。層の厚さは４〜８μｍである。

＜実施例２＞
レーザー感光性層（２）の製造
酢酸エチル１８．５ｇ
ＰＶＢ（ポリビニルブチラール、Ｐｉｏｌｏｆｏｒｍ（登録商標）、Ｗａｃｋｅｒ−Ｃｈｅｍｉｅ）１．５ｇ
Ｓｎ（Ｓｂ）Ｏ₂（ｄ₅₀値＜１．１μｍ）（Ｄｕ Ｐｏｎｔ）３〜５ｇ
ポリビニルブチラールは最初に導入した溶媒酢酸エチルに溶解し十分攪拌する。続いてレーザー感光性成分Ｓｎ（Ｓｂ）Ｏ₂を攪拌して加え、均一なインクを調製する。

インクは実施例１の説明の通りグラビア印刷によって印刷する。

＜実施例３＞
レーザー感光性層（２）の製造
酢酸エチル１８．５ｇ
ＰＶＢ（ポリビニルブチラール、Ｐｏｌｉｏｆｏｒｍ（登録商標）、Ｗａｃｋｅｒ−Ｃｈｅｍｉｅ）１．５ｇ
ガスブラック（ｄ₅₀値＜１７ｎｍ）（Ｄｅｇｕｓｓａ製Ｓｐｅｃｉａｌ Ｂｌａｃｋ６）２．０ｇ
加工は実施例２のようにして行う。使用するレーザー感光性成分はガスブラックである。

インクは実施例１の説明の通りグラビア印刷によって印刷する。

＜実施例４＞
レーザー感光性層（２）の製造
Ｍａｓｔｅｒｂｌｅｎｄ５０（ＳＩＣＰＡ−ＡＡＲＢＥＲＧ社）２０ｇ
Ｉｒｉｏｄｉｎ（登録商標）Ｌａｓｅｒｆｌａｉｒ８２５（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ製顔料）１５ｇ
酢酸エチル／エタノール（１：１）１０ｇ
レーザー光吸収剤Ｉｒｉｏｄｉｎ（登録商標）Ｌａｓｅｒｆｌａｉｒ８２５を緩やかな条件でＭａｓｔｅｒｂｌｅｎｄ５０に組み込み、有価証券の印刷に適した紙の上にグラビア印刷によって印刷する。所望の粘度は溶媒混合物酢酸エチル／エタノールを用いて設定する（ＤＩＮ４カップ（ＤＩＮ５３２１１）１４〜２５ｓ）。塗布割合は０．５〜１ｇ／ｃｍ²である。層の厚さは４〜８μｍである。

＜実施例５＞
レーザー感光性層（２）の製造
Ｗｅｉｌｂｕｒｇｅｒ Ｓｅｎｏｌｉｔ ＨＧＬ４５〜４７．５ｇ
Ｂｕｄｉｔ３２２（Ｂｕｄｅｎｈｅｉｍ製水酸化銅リン酸塩）２．５〜５．０ｇ
レーザー感光性のＢｕｄｉｔ３２２を粉の形で印刷媒体に組み込み、有価証券の印刷に適した紙の上にグラビア印刷によって印刷する。塗布割合は０．５〜１ｇ／ｃｍ²である。層の厚さは４〜８μｍである。

＜実施例６＞
レーザー感光性層（２）の製造
Ｗｅｉｌｂｕｒｇｅｒ Ｓｅｎｏｌｉｔ ＨＧＬ４５〜４７．５ｇ
Ｃｏｌｏｒｃｏｄｅ（登録商標）ＬＭ（粒子サイズ＜５μｍ）（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ）２．５〜５．０ｇ
レーザー光吸収剤Ｃｏｌｏｒｃｏｄｅ（登録商標）ＬＭを緩やかな条件でＷｅｉｌｂｕｒｇｅｒ Ｓｅｎｏｌｉｔに組み込み、有価証券の印刷に適した紙の上にグラビア印刷によって印刷する。塗布割合は０．５〜１ｇ／ｃｍ²である。層の厚さは４〜８μｍである。

＜実施例７＞
レーザー感光性印刷インク（５）の調製
水性スクリーン印刷
Ｃｏｌｏｒｃｒｙｐｔ（登録商標）Ｒｅｄ−Ｇｏｌｄ（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ製のセキュリティ顔料）９．７５ｇ
Ｓａｎｄｏｓｐｅｒｓ Ｙｅｌｌｏｗ ＷＦ０１３（顔料濃度３８％、Ｃｌａｒｉａｎｔ）０．７５ｇ
Ｃｏｌｏｒｃｏｄｅ（登録商標）ＬＭ（粒子サイズ＜５μｍ）（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ）５ｇ
Ｈｅｌｉｚａｒｉｎ ＭＴ９２（ＢＡＳＦ）８７．５ｇ
顔料および顔料組成物を高い剪断力を回避して結合剤系中に攪拌して加える。印刷は単フィラメントスクリーン織物を備える８０Ｔスクリーンを用いて、平床スクリーン印刷によって行う。印刷インクの粘度は２〜１０Ｐａ・ｓである。層の厚さは８〜２０μｍである。

＜実施例８＞
内部に微小刻印を有する選択的にアブレーションされた刻印の製造
顔料としてＩｒｉｏｄｉｎ（登録商標）１２３（Ｍｅｒｃｋ ＫＧａＡ製のＴｉＯ₂／雲母顔料）、結合剤としてニトロセルロース、およびＰＶＣ粉（例えばＳｏｌｖｉｎ０７２ＧＡ、Ｓｏｌｖａｙ）またはＰＡ粉（Ｖｅｓｔｏｓｉｎｔ２０７０、Ｄｅｇｕｓｓａ）を含む印刷インク（５）を有価証券の印刷に適した紙の上にスクリーン印刷によって塗布し、バナジウム酸Ｎｄレーザー（１０６４ｎｍ）を用いてレーザー加工する。選択的にアブレーションされた文字配列を形成するために、バナジウム酸Ｎｄレーザーのレーザー出力は、５００ｍｍ／ｓの速度および周波数４０〜６０ｋＨｚのパルス動作で、３０〜８０％に１０％段階で変化させる。

さらに微小刻印によるマーキングがこのマーキングに組み込まれる。刻印高さ５００μｍ未満、および線厚４０μｍの微小刻印が、５００ｍｍ／ｓおよび４０ｋＨｚで８０％のレーザー出力で達成される。

本発明に使用される印刷インク系上への適切なレーザー照射によるインク層の選択的除去を示す図。 有価証券に塗布された、印刷インク系を示す図。 印刷インク系の他の構成を示す図。 有価証券に塗布された印刷インクを示す図。

符号の説明

１ 印刷インク
２ レーザー感光性層
３、５ 印刷インク
４ 有価証券

Claims (10)

1. 少なくとも１種の印刷インクまたは印刷インク層系が基材に塗布され、前記印刷インクまたは印刷インク系中の少なくとも１層がレーザー感光性成分を含み、前記印刷インクがレーザーによって選択的に除去され、必要であれば、前記選択的に除去された領域に微小刻印／像がレーザーによって追加で形成されることを特徴とする、有価証券のレーザーマーキング。
2. 基材として紙、厚紙、ボード、プラスチック、プラスチックフィルムまたは積層体が前記印刷インクまたは印刷インク層系で印刷されることを特徴とする、請求項１に記載の有価証券のレーザーマーキング。
3. 前記印刷インク層系が２層または３層を有することを特徴とする、請求項１または２に記載の有価証券のレーザーマーキング。
4. ３層系が印刷インク−レーザー感光性層−印刷インクを含む層系を有することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
5. ２層系が、同一または異なる２層の印刷インクを含み、１層の印刷インク層がレーザー感光性成分を含むことを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
6. 前記レーザー感光性成分が、炭素、カーボンブラック、グラファイト、Ｓｎ（Ｓｂ）Ｏ₂、ＴｉＯ₂、アントラセン、赤外線吸収着色剤、ペンタエリスリトール、水酸化銅リン酸塩、二硫化モリブデン、酸化アンチモン（ＩＩＩ）およびオキシ塩化ビスマス、層状ケイ酸塩、天然または合成雲母、雲母の金属酸化物被覆フレーク、ガラスまたはＳｉＯ₂、タルク、カオリン、ガラスフレーク、ＳｉＯ₂フレーク、フレーク状酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ＬＣＰ（液晶ポリマー）、ホログラフィック顔料、導電性顔料、被覆グラファイトフレークまたはその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
7. 前記印刷インクがセキュリティ顔料を含むことを特徴とする、請求項１から６のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
8. 前記セキュリティ顔料が光学可変顔料、真珠箔顔料、干渉顔料、ゴニオクロマティック光沢顔料、多層顔料またはその混合物であることを特徴とする、請求項１から７のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
9. 前記印刷インクが１種または複数種の着色剤を含むことを特徴とする、請求項１から８のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。
10. 前記使用されるレーザーがＮｄ：ＹＡＧ、Ｎｄ：ＹＶＯ₄、ダイオードまたはＣＯ₂レーザーであることを特徴とする、請求項１から９のいずれか一項に記載の有価証券のレーザーマーキング。

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