JP2006144131A - クロムフリー金属表面処理用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クロムを使用せず、金属上に密着性、加工後の裸耐食性、塗料密着性に優れた表面処理皮膜を形成することができる金属表面処理用組成物を提供する。
【解決手段】 水酸基含有モノマーを共重合成分として5重量%以上含有する有機樹脂 100重量部に対し、リン酸を2〜60重量部配合し、かつ、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnの1種或いは2種以上をリン酸系化合物として0.015 〜1.5 グラム分子部配合するクロムフリーの金属表面処理用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属、例えば冷延鋼板、Znめっき鋼板、Zn系合金めっき鋼板、Ni、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Ti等の金属板あるいはこれら金属のめっき鋼板あるいはこれら金属の合金めっき鋼板等の表面に塗布、乾燥して防錆皮膜を形成するクロムフリーの防錆性を発揮する金属表面処理用組成物及びそれを用いた防錆皮膜を有する表面処理金属板に関するものである。
冷延鋼板、Znめっき鋼板、Zn-Ni 系、Zn-Ni-Co系、Zn-Ni-Cr系、Zn- Fe系、Zn-Co 系、Zn-Cr 系、Zn-Mn 系等のZn系合金めっき鋼板あるいはNi、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Ti等の金属めっき鋼板あるいはこれら金属の合金めっき鋼板等の耐蝕性を改善するために、クロメート処理してクロメート皮膜を形成することが一般的に行われている。
しかしながら、最近の傾向として環境及び公害問題から、クロムに関する規制が大幅に強化されようとしている。それに応じてクロムを用いない耐食性被覆組成物の開発が行われている。例えば不飽和カルボン酸を特定量含有する重合性不飽和単量体を重合して得られる乳化重合体を被覆するもの(例えば特許文献1参照)、垂下アセトアセチル基含有合成樹脂水性分散液を主剤として被覆するもの(例えば特許文献2参照)、特殊ケト酸と陽イオン、アミン、グアニジン、アミジンから選択される塩基との実質的に非水溶性のモノ- 又はポリ- 塩基性塩の混合物を被覆するもの(例えば特許文献3参照),不飽和カルボン酸- グリシジル基含有不飽和単量体- アクリル酸アルキルエステルと共重合したモノマー- アクリル酸アルキルエステルの共重合体樹脂を被覆するもの(例えば特許文献4参照) 等をあげることができる。いずれも特殊樹脂を被覆するものであるが、耐食性を確保するのにかなり厚く皮膜を形成する必要がある。また、鉄や各種めっき鋼板など各種金属との密着性も必ずしも良くなく、特にウエットな環境下では密着性は著しく低下し、皮膜は剥離し脱落する。ウエットでも優れた密着性を維持できる皮膜は皆無である。
特開平5−222324号公報 特開平5−148432号公報 特開平5−70715 号公報 特開平3−192166号公報
これに対し、本発明は上記従来の技術の欠点を解決し、冷延鋼板あるいはZn又はZn系合金めっき鋼板、Ni、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Ti等の金属板またはこれら金属のめっき鋼板又はこれら金属の合金めっき鋼板の上に極薄い皮膜を形成しても、素材と優れた密着性を示し、かつ、極めて優れた耐食性及び塗料密着性を確保できるクロムフリーの表面処理剤を提供することを第一の目的とするものである。
第二の目的は冷延鋼板あるいはZn又はZn系合金めっき鋼板、Ni、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Ti等の金属板またはこれら金属のめっき鋼板又はこれら金属の合金めっき鋼板の上に上記処理剤によって、加工後の裸耐食性、塗料密着性に優れた皮膜を特定量形成せしめる加工後の裸耐食性、塗料密着性に優れたクロムフリーの表面処理剤を提供するものである。
すなわち、本発明は水酸基含有有機樹脂、リン酸及びCu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnの少なくとも1種の金属を含むリン酸系化合物を含有する組成物であり、該組成物が下記(1)の特性を有する皮膜を形成することができるクロムフリ−金属表面処理用組成物。
(1)Znめっき鋼板上に、前記組成物を塗布して形成させた皮膜が、沸騰水に30分間浸漬後も剥離しない。
本発明における特殊有機樹脂、リン酸、特殊元素のリン酸系化合物を成分とする表面処理液あるいはさらに特殊無機物質を含有せしめた表面処理剤は、冷延鋼板あるいはZn又はZn系合金めっき鋼板をはじめ各種金属上に塗布することにより各種金属と極めて優れた密着性を確保し、加工後の裸耐食性に優れ、かつ、各種有機樹脂との密着性にも優れた表面処理皮膜を形成することができる。
この極めて優れた各種金属との密着性は特殊有機樹脂とリン酸及び特殊元素のリン酸系化合物との組合せによって確保される。
また、極めて優れた裸耐食性は特殊有機樹脂と特殊元素のリン酸系化合物との組合せによって初めて実現できる。
また、優れた塗料密着性は特殊有機樹脂とリン酸及び特殊元素のリン酸系化合物との組合せによって確保される。
本発明による表面処理剤はクロムを使用しない、いわゆる無公害のノンクロメート剤として従来自動車、家電、建材分野で使用されている塗布クロメート、電解クロメート、樹脂クロメート及び反応クロメートなど全てのクロメート剤の代替として使用することができる。また、クロムを使用しない無公害の表面処理剤であることから、用途は容器関連、食器関連、玩具類、屋内用建材に至るまでの広い用途が可能である。
以下、本発明に使用する特殊有機樹脂及び特殊元素のリン酸系化合物の内容と特殊有機樹脂、リン酸、特殊元素のリン酸系化合物との組合せによって形成された皮膜の特性がどのように変化するかを示す。
本発明における水酸基含有有機樹脂とは、水酸基含有モノマーを共重合成分として5重量%以上含有する有機樹脂(以後本有機樹脂と言う)を言う。なお、以後単に%と示す場合は重量%を意味し、部とあるのは重量部を示す。
水酸基含有モノマー成分の例としては、(メタ)アクリル酸- ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3− ヒドロキシブチル、アクリル酸−2,2− ビス(ヒドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリル酸−2,3− ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3− クロル−2− ヒドロキシプロピル等の(メタ)サクリル酸ヒドロキシエステル類、アリルアルコール類及びN−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド等のアルコールアミド類の還元性水酸基を含有するモノマー及び酸性液中で水酸基と同様な反応性を期待できるグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、β- メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有するモノマー、アクロレインアミドのアルデヒド基を有するモノマーが使用出来るが、特に好ましくはアクリル酸−2− ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2− ヒドロキシエチルである。なお、(メタ)アクリル酸〜は、メタアクリル酸〜及び/又はアクリル酸〜を表している。
本有機樹脂とは上記水酸基含有モノマー単独、あるいは上記水酸基含有モノマーに他の有機樹脂を水酸基含有モノマーが5%以上になるように共重合した(以下、単に含有すると表現することがある)樹脂を言う。
他の有機樹脂としてはエチレン系不飽和カルボン酸やその他のエチレン系不飽和化合物のいずれか1者或いは2者を同時に使用することが望ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸成分としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等のエチレン系不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等のエチレン系不飽和ジカルボン酸と、それらのカルボン酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が使用できる。
また、エチレン系不飽和化合物としてはエチレン系不飽和カルボン酸成分と水酸基含有モノマー成分の例示以外のエチレン系不飽和化合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びその共重合体樹脂、およびその他のビニル化合物であり、芳香族ビニル化合物などである。
上記以外にポリアクリル酸エステル及びその共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体樹脂、エポキシ及びその共重合体樹脂、アクリル変成エポキシ及びその共重合体樹脂、エステル変成エポキシ及びその共重合体樹脂、ウレタン変成エポキシ及びその共重合体樹脂等も使用することができる。
これらから選ばれた1種又は2種以上を併用することができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で上述した化合物以外の化合物等を含有させておくことも差し支えない。
特殊元素のリン酸系化合物とは、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnのリン酸系化合物を言う。これら特殊元素のリン酸系化合物の1種あるいは2種以上は、0.015 〜1.5 グラム分子部配合することが好ましい。
さらに上記水酸基含有モノマーを主成分とした本有機樹脂100 重量部と、リン酸を2〜60重量部配合することが好ましい。
以下、本有機樹脂、特殊元素のリン酸系化合物、リン酸の共存する浴を作成し、めっき鋼板に皮膜を形成し特性がどのように変化するかを示す。
本有機樹脂としてはヒドロキシエチルアクリレート(水酸基含有モノマ−)50部- メタアクリル酸メチル20部- アクリル酸15部(水酸基含有モノマー:59%)を共重合した樹脂を100 g/l(固形分)(100 重量部) 添加した。また、リン酸を15g/l(15重量部) 添加し、さらにMnの各種化合物(塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mn、リン酸Mn、水酸化Mn、酸化Mn) をそれぞれ種々の割合で添加した。これら水性液よりなる表面処理浴を作成し、電気Znめっき鋼板(Zn 付着量:30g/m2)に全固形分が0.45 g/m2 となるように塗布し、乾燥して形成した場合の皮膜について素材(電気Znめっき鋼板)との密着性、塗料密着性および加工後裸耐食性がどのように変化するかを調べた。
ここで、素材と本発明による表面処理皮膜との密着性は皮膜を乾燥後沸騰水に30分浸漬し、その後2mmゴバン目に皮膜をカットしテープ剥離して、塗膜の剥離面積を評価した。
◎: 皮膜剥離面積 0 %
○: 〃 0 %超〜1 %
△: 〃 1 %超〜10 %
×: 〃 10 %超〜50 %
××: 〃 50 %超
塗料との密着性は得られた表面処理皮膜上にメラミン系低温焼付け塗料(焼付け温度:110℃)を焼付け後30μとなるようにスプレー塗装し、その後沸騰水に30分間浸漬し、その後2mmゴバン目に塗膜をカットしテープ剥離して、塗膜の剥離面積を評価した。
◎: 塗膜剥離面積 0 %
○: 〃 0 %超〜1 %
△: 〃 1 %超〜10 %
×: 〃 10 %超〜50 %
××: 〃 50 %超
加工後の裸耐蝕性は絞り深さ50mmの円筒絞り加工を行い、その後腐食試験を行
い、しごき加工を受けた側面部の赤錆の発生状況で評価した。
腐食試験はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧試験により(塩水濃度5 %,槽内温度35℃、噴霧圧力20PSI)1000時間後の発錆状況を示し、◎、○、△、×、××の5段階で評価し、◎が最良である。
◎: 赤錆発生率 0 %
○: 〃 0 % 超〜1 %
△: 〃 1 % 超〜10 %
×: 〃 10 % 超〜50 %
××: 〃 50 % 超
形成した皮膜のZnめっき鋼板との密着性は添加した化合物の種類及び添加量によって大きく異なり、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mn、水酸化Mnおよび酸化Mnを添加した液ではいずれも添加量を変えても優れた密着性は得られなかった。
これに対し、リン酸Mnを添加した液から形成された皮膜はZnめっき鋼板と優れた密着性が得られ、特にリン酸Mnが0.015 グラム分子/l(部)以上、1.5 グラム分子/l(部)以下で極めて優れた密着性が得られ、上記試験において皮膜の剥離面積は皆無(◎)である。
リン酸Mnが0.015 グラム分子/l(部)未満及び1.5 グラム分子/l(部)超になると密着性は低下する。
また、形成した皮膜の塗料との密着性は添加した化合物の種類及び添加量によって大きく異なり、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mn、水酸化Mnおよび酸化Mnを添加した液ではいずれも添加量を変えても優れた塗料密着性は得られなかった。
これに対し、リン酸Mnを添加した液から形成された皮膜は優れた塗料密着性を示し、リン酸Mnが0.015 グラム分子/l(部)以上、1.5 グラム分子/l(部)以下で特に優れた塗料密着性を示し、上記試験において塗膜の剥離面積は皆無(◎)である。また、0.015 グラム分子/l(部)未満及び1.5 グラム分子/l(部)超で塗料密着性は低下する。
形成した皮膜の加工後の裸耐食性は添加した化合物の種類及び添加量によって大きく異なり、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mn、水酸化Mnおよび酸化Mnを添加した液ではいずれも添加量を変えても優れた加工後の裸耐食性は得られなかった。
これに対し、リン酸Mnを添加した液から形成された皮膜は優れた加工後の裸耐食性を示し、リン酸Mnが0.015 グラム分子/l(部)以上、1.5 グラム分子/l(部)以下で特に優れた加工後の裸耐食性を示し、上記試験において赤錆発生は皆無(◎)である。0.015 グラム分子/l(部)未満及び1.5 グラム分子/l(部)超で加工後の裸耐食性は低下する。
次に本有機樹脂としてヒドロキシエチルアクリレート(水酸基含有モノマー)を種々変えた樹脂を作成し、ヒドロキシエチルアクリレート(水酸基含有モノマ−)α部− メタアクリル酸メチル20部− アクリル酸35部を共重合した樹脂) を100g/l(固形分)(100 重量部) 添加した。また、リン酸を15g/l(15重量部) 添加し、さらにリン酸Mnを0.35グラム分子/l(部)添加した水性液を作成した。
これら水性液よりなる表面処理浴を、電気Znめっき鋼板(Zn 付着量:30g/m2)に全固形分が0.40 g/m2 となるように塗布し、乾燥して形成した場合の皮膜について素材(電気Znめっき鋼板)との密着性、塗料密着性および加工後裸耐食性がどのように変化するかを調べた。
本有機樹脂における水酸基モノマーの割合は形成された皮膜と電気Znめっき鋼板との密着性に影響を及ぼし、5%以上になると向上する(◎)。
本有機樹脂における水酸基モノマーの割合は塗料密着性に影響を及ぼし、5%以上になると塗料密着性は著しく向上し、上記試験で塗膜剥離は皆無である(◎)。5%未満では塗料密着性は低下する。また、本有機樹脂における水酸基モノマーの割合は加工部裸耐食性に大きな影響を及ぼし、5%以上で加工部裸耐食性は著しく向上する(◎)、5%未満では加工部裸耐食性は低下する。
次に本有機樹脂としてはヒドロキシエチルアクリレート(水酸基含有モノマー)15部− メタアクリル酸メチル35部− アクリル酸30部(水酸基含有モノマー:19%)を共重合した樹脂を100 g/l(固形分)(100 重量部) 添加し、リン酸Mnを0.15グラム分子/l(部)添加し、さらにリン酸を種々の割合で添加した。
これら水性液よりなる表面処理浴を作成し、電気Znめっき鋼板(Zn 付着量:30 g/m2)に全固形分が0.42 g/m2 となるように塗布し、乾燥して形成した場合の皮膜について素材(電気Znめっき鋼板)との密着性、塗料密着性および加工後裸耐食性がどのように変化するかを調べた。
リン酸の濃度は形成された皮膜と電気Znめっき鋼板との密着性に大きな影響を及ぼし本有機樹脂 100重量部に対し2〜60重量部で優れた密着性を示し、上記試験で皮膜の剥離は皆無である(◎)。2重量部未満あるいは60重量部超で皮膜の密着性は低下する。
リン酸の濃度は塗料密着性に影響を及ぼし、60重量部以下で優れた密着性を示し、上記試験で塗膜剥離は皆無である(◎)。60重量部超で塗料密着性は低下する。また、リン酸の濃度は加工部耐食性にあまり影響を及ぼさない。60重量部超で加工部耐食性はやや低下する。
なお、本発明で言うリン酸とは、浴中でリン酸になるものであれば限定はなく、リン酸ほかに例えばポリリン酸、次亜リン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、第一リン酸、第二リン酸、第三リン酸、ポリメタリン酸、重リン酸などのリン酸系化合物を意味する。
以上の結果から、水酸基含有モノマーを5%以上含有する有機樹脂 100重量部に対し、リン酸Mnを0.015 〜1.5 グラム分子部及びリン酸を2〜60重量部添加した水性液をめっき鋼板に塗布する事により、めっき鋼板との密着性に優れ、しかも塗料密着性及び加工部裸耐食性に極めて優れた皮膜を形成する事ができる。 ここで、水酸基含有モノマーを5%以上含有する有機樹脂 100重量部に対し、リン酸を2〜60重量部添加した液に各種Mn化合物のなかでリン酸化合物を添加した場合のみにめっき鋼板との密着性に優れ、しかも塗料密着性及び加工部裸耐食性に極めて優れた皮膜を形成する事ができる理由ついて充分明確ではないが、次のように考えられる。
一般に、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn及び酢酸Mnなどは水溶液で無機酸が共存する場合にMnCl2 →Mn++ 2Cl- 、MnSO4 →Mn++SO4――、Mn(NO3)2→Mn++2NO3 - 、Mn(CH3COO)2 →Mn++2CH3COO- となって良く溶解し、イオン化する。
これら化合物は溶解後、MnCl2 ではMn++にCl- が、MnSO4 ではMn++にSO4――が、Mn(NO32ではMn++に NO3 - が、Mn(CH3COO)2 ではMn++に CH3COO- が配位する。配位する強度はPO4 3- < NO3 - <Cl- <SO4 --< CH3COO- (強い)であり、PO4 3- が極めて弱く配位するのに対し、 NO3 - 、Cl- 、SO4 --、 CH3COO- はかなり強く配位する。
ここで、水酸基を含有する有機樹脂が共存すると、Mn++はOH基を酸化し、Mn++→Mnとなって自身は架橋の役割を果たし、緻密な皮膜を形成する。
これに対し、 NO3 - 、Cl- 、SO4――、 CH3COO- 等が配位すると、これらイオンの配位が強固なため、配位したイオンの妨害によりMn++はOH基を酸化することが困難となる。つまり塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn及び酢酸Mnを添加した場合にはMn++は架橋剤としての機能を有さない。
一方、リン酸Mnの場合にはMn++に対するPO4 3- の配位は極めて弱いためMn++はOH基を酸化する機能を有する。即ち架橋剤としての機能を有する。また、Mn++に弱く配位したPO4 3- はMn++がOH基の酸化を促進する触媒的機能を有するものと思われる。新たに添加するリン酸は適性なPO4 3- の配位を行うために必要と思われる。しかし、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn及び酢酸Mnの場合には NO3 - 、Cl- 、SO4 --、 CH3COO- の配位が強いためPO4 3- が共存しても、配位している NO3 - 、Cl- 、SO4 --、CH3COO- とPO4 3- が置換されることは無く、従って、PO4 3- は触媒的機能をはたすことが出来ない。
すなわち、水酸基含有有機樹脂、リン酸Mn及びリン酸を共存させた水性液を塗布し、乾燥して造膜する際に、Mn++に弱く配位するPO4 3- の触媒作用とによって水酸基含有モノマ−のOH基をMn++が酸化し、自身は樹脂分子間の架橋の役割をはたし、造膜後極めて緻密な皮膜を形成するものと思われる。
この新たに形成された緻密な皮膜によって素材と皮膜との密着力が、より強化され、かつ、極めて優れた耐食性が確保できるものと思われる。また、Mn++によって酸化されずに残存したOH基とリン酸との相乗効果によって優れた塗料密着性が確保されるものと思われる。水酸化Mn、酸化Mnの場合は無機酸でも殆ど溶解せずMn++イオンは極めて微量しか形成されないため上記機能をはたすことは出来ない。
上記結果はリン酸系化合物としてリン酸Mnについて記した。ここでリン酸系化合物であればいずれもほぼ同じ結果が得られる。例えばリン酸のかわりにポリリン酸、次亜リン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、第一リン酸、第二リン酸、第三リン酸、ポリメタリン酸、重リン酸などのMn化合物を用いれば良い。
本発明者等はさらに検討を重ねた結果、Mn以外の元素Cu、Co、Fe、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnについても、これら元素のリン酸系化合物、リン酸及び水酸基含有有機樹脂を共存するとMnの場合と同様に、これら元素のイオンの周囲に弱く配位した燐酸根の樹脂を酸化する触媒機能の助けを受けながらこれら元素のイオンは樹脂の水酸基を酸化し、自身架橋剤となって極めて緻密な皮膜を形成することがわかった。また、形成された皮膜は素材と優れた密着性を示すとともに、塗料との密着性に優れ、かつ、極めて優れた加工後の裸耐食性を示す。
以上の結果から、本発明では水酸基含有モノマーを5%以上含有する有機樹脂100 重量部に対し、リン酸を2〜60重量部配合し、かつ、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnの1 種あるいは2 種以上をリン酸系化合物として0.015 〜1.5 グラム分子部配合することを特徴とする表面処理用組成剤。
次にヒドロキシエチルアクリレート25部− メタアクリル酸メチル30部− アクリル酸ブチル20部− メタアクリル酸25部(水酸基含有モノマー:25%)の共重合体樹脂 100重量部(67 g/l)、リン酸15重量部(10 g/l)、リン酸Mn 0.4グラム分子部(0.27グラム分子/l)配合した水性液にコロイダルシリカを種々の割合で配合した液を目付が30g/m2の電気Znめっき鋼板に乾燥後の皮膜が0.42g/m2となるように形成し、めっき層と皮膜の密着性、塗料密着性および加工後裸耐食性について調査した。ここで、めっき層と皮膜との密着性及び塗料密着性の評価方法は前掲と同じであるが、加工後の裸耐食性はJIS−2371における塩水噴霧試験において2000時間後の発錆状況で評価した。評価基準は前掲と同じである。
コロイダルシリカを30部超添加するとめっき層と皮膜との密着性は低下する。コロイダルシリカが3〜30部で加工後裸耐食性はさらに向上する。また、コロイダルシリカが30部超になると塗料密着性が低下する傾向にある。
この傾向はコロイダルシリカの代わりに、SiO2粉末又はSnO2、Cr23 、Fe23 、Fe34 、MgO 、Al23 あるいはZrO2のコロイド(ゾル)或いは粉末を配合してもほぼ同様の果が得られた。また、これらのうち2種以上を配合してもほぼ同様な結果が得られた。
従って本発明では水酸基含有モノマーを5%以上含有する有機樹脂 100重量部に対し、リン酸を2〜60重量部配合し、かつ、 Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnの1種あるいは2種以上をリン酸系化合物として0.015 〜1.5 グラム分子部配合し、さらに、SiO2、Cr23 、Fe23 、Fe34 、MgO 、ZrO2、SnO2、Al23 、Sb25 のコロイド(ゾル)或いは粉末の1種或いは2種以上を3〜30重量部配合する事を特徴とする表面処理用組成剤とする。
ヒドロキシエチルアクリレート35部- メタアクリル酸メチル15部− アクリル酸ブチル25部− メタアクリル酸25部(水酸基含有モノマー:35%)の共重合体樹脂100 重量部(60g/l)、リン酸25部(15 g/l)、リン酸Mn0.5 グラム分子部(0.3 グラム分子/l)配合した水性液を目付が30g/m2の電気Znめっき鋼板に付着量を種々変えた皮膜を形成し、素材と皮膜の密着性、塗料密着性及び加工後裸耐食性について調査した。素材と皮膜の密着性及び塗料密着性の評価方法は前掲と同じである。また、加工後裸耐食性は塩水噴霧試験で1500時間後の発錆状態で評価した。評価基準は前掲と同じである。その結果、0.1 g/m2以上で優れた素材との皮膜の密着性、塗料密着性及び加工後裸耐食性を示した。
また、上記浴にコロイダルシリカを配合した場合においても0.1 g/m2以上で優れた素材との皮膜の密着性、塗料密着性及び加工後裸耐食性を示した。
以上の結果、本発明における表面処理組成物の皮膜の付着量は0.1 g/m2以上とし、上限は経済的な観点から3.0g/m2 とする。
本発明はこれまで、電気Znめっき鋼板に処理した場合を主に述べてきた。しかし、本発明は電気Znめっき鋼板以外に、冷延鋼板、溶融Znめっき鋼板及びZn−Ni 系、Zn−Ni−Co系、Zn−Ni−Cr系、Zn−Fe 系、Zn−Co 系、Zn−Cr 系、Zn−Mn 系、Zn− Al系、Zn−Mg 系等の電気あるいは溶融Zn系合金めっき鋼板に使用することができる。また、Ni、Cu、Pb、Cd、Sn、Al、Tiなどの金属板、あるいはこれら金属あるいはこれら金属の合金によるめっき鋼板等にも使用することができる。また、本発明による表面処理剤を各種めっき鋼板に塗布するには、ロールコート、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、カーテンフロー等いずれの塗装方法を用いても良い。
以上示すように本発明による表面処理剤はクロムを使用しないクロムフリー表面処理剤として従来使用されている塗布クロメート、電解クロメート、樹脂クロメート及び反応クロメートなどいわゆるクロメート剤の代替として使用することができるとともに、クロムを使用しない無公害の表面処理剤であることから、用途は容器関連や玩具類など大きく広がるものと思われる。
以下、実施例について詳しく述べる。
実施例1
Znめっき鋼板(目付量:20 g/m2)にアクリル酸1-ヒドロキシブチル35部− メタアクリル酸メチル20部− アクリル酸ブチル30部− スチレン40部− メタアクリル酸20部− アクリル酸5 部− 有機リンモノマー1 部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマー:23%)60 g/l、リン酸15 g/l、リン酸Cu(Cu: 二価) 0.20 グラム分子/lを配合した水性液をロールで塗布し、130 ℃で乾燥し、全付着量が0.30g/m2となるように皮膜を形成た。
実施例2
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20 g/m2、Ni=11.5%)に 2− ビス(ヒドロキシメチル)エチル10部− メタアクリル酸メチル30部− アクリル酸ブチル50部− グリシジルメタアクリレート10部− メタアクリル酸20部− アクリル酸10部− 有機リンモノマー1部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマー:8 %) 80g/l、リン酸 20 g/l 、リン酸Co 0.32 グラム分子/l、コロイダルシリカ6g/lを配合した水性液をロールで塗布し、135 ℃で乾燥し、全付着量が0.40g/m2となるように皮膜を形成した。
実施例3
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20 g/m2、Ni=12.3%)にメタアクリル酸−2,3− ジヒドロキシプロピル60部− メタアクリル酸メチル25部− アクリル酸ブチル40部− グリシジルメタアクリレート25部− メタアクリル酸30部− アクリル酸10部− 有機リンモノマー1 部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマ−:31%)60g/l、リン酸 15g/l、リン酸第一Fe(Fe:2 価) 1.15 グラム分子/lを配合した水性液を塗布し、75℃で乾燥して全付着量が0.28g/m2となるように皮膜を形成した。
実施例4
Zn−Fe 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Fe=12.8%)にアクリル酸ヒドロキシエステル 90 部− メタアクリル酸メチル50部− アクリル酸ブチル15部− スチレン20部− グリシジルメタアクリレート25部− メタアクリル酸20部− アクリル酸10部− 有機リンモノマー1部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマ−:39%) 60 g/l 、リン酸12g/l 、リン酸Mn 0.6グラム分子/l、コロイダルシリカ20 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、110 ℃で乾燥して全付着量が0.30 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例5
Zn−Mg 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2 、Mg= 1.2%)にN−メチロールアクリルアミド30部− メタアクリル酸メチル20部− アクリル酸ブチル35部− スチレン10部- グリシジルメタアクリレート25部- メタアクリル酸40部- アクリル酸20部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマー:17%)60g/l 、リン酸10g/l 、リン酸Sn(Sn:2 価) 0.2 グラム分子/lを配合した水性液をロールで塗布し,170℃で乾燥して全付着量が0.85 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例6
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=12.4%)にアリルグリシジルエーテル80部− メタアクリル酸メチル15部− アクリル酸ブチル35部- グリシジルメタアクリレート10部− メタアクリル酸35部− アクリル酸10部− ヒドロキシエチルアクリレート10部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマー:41%)80 g/l、リン酸15g/l 、リン酸V 1.4 グラム分子/lを配合した水性液をロールで塗布し、90℃で乾燥して全付着量が1.05 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例7
Zn−Mg 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2 、Mg= 1.2%)にグリシジルメタアクリレート25部- メタアクリル酸エチル25部- アクリル酸ブチル30部- メタアクリル酸40部− ヒドロキシエチルアクリレート15部の共重合体樹脂(水酸基含有モノマ−:30%) 180 g/l 、リン酸25g/l 、リン酸Mg 0.38 グラム分子/l、コロイダルシリカ 15 g/l 、MgO 2g/lを配合した水性液をロールで塗布し、130 ℃で乾燥して全付着量が0.55 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例8
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2 、Ni=13.9%)にグリシジルメタアクリレート15部− メタアクリル酸エチル60部− アクリル酸ブチル40部− メタアクリル酸50部− アクリル酸35部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー: 8%)60g/l 、リン酸15g/l 、リン酸Ba 0.8グラム分子/l、コロイダルシリカ15g/l 、MgO 1g/lを配合した水性液をロールで塗布し、100 ℃で乾燥して全付着量が0.75 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例9
Zn−Cr 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Cr=10.8%)にメタアクリル酸−3− クロル−2− ヒドロキシプロピル35部− メタアクリル酸メチル25部− アクリル酸ブチル30部− グリシジルメタアクリレート25部− アクリル酸50部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:36%)75g/l 、リン酸15g/l 、リン酸Al 0.7グラム分子/l、コロイダルシリカ6g/l、MgO 0.5 g/l 配合した水性液をロールで塗布し、 110℃乾燥して全付着量が0.45 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例10
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=12.1%)にN−ブトキシメチロールメタアクリルアミド40部− メタアクリル酸メチル20部− アクリル酸ブチル55部− メタアクリル酸35部− アクリル酸10部− ヒドロキシエチルアクリレート30部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:37%)100 g/l 、リン酸25g/l 、リン酸Ca 0.20 グラム分子/l、コロイダルシリカ25 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、80℃で乾燥して全付着量が0.50 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例11
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=12.1%)にアリルグリシジルエーテル45部− メタアクリル酸メチル30部− アクリル酸ブチル40部− メタアクリル酸10部− ヒドロキシエチルアクリレート35部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:50%)80g/l 、リン酸15g/l 、リン酸Sr 0.75 グラム分子/l、コロイダルシリカ20 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、115 ℃で乾燥して全付着量が0.75 g/m2 なるように皮膜を形成した。
実施例12
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=12.1%)にβ- メチルグリシジルアクリレート50部− スチレン40部− アクリル酸ブチル50部− ヒドロキシエチルアクリレート15部− メタアクリル酸25部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:36%)90 g/l、リン酸25g/l 、リン酸Nb(Nb:3 価) 0.05 グラム分子/l、コロイダルシリカ10 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、 100℃で乾燥して全付着量が0.45 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例13
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=12.8%)に3,4−エポキシシクロヘキシルメタアクリレート55部− メタアクリル酸メチル40部− アクリル酸ブチル40部− スチレン40部− メタアクリル酸20部− ヒドロキシエチルアクリレート20部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:35%)75g/l 、リン酸15g/l 、リン酸Y 0.15グラム分子/l、コロイダルシリカ 9 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、85℃で乾燥して全付着量が0.40 g/m2 となるように皮膜を形成した。
実施例14
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(目付量:20g/m2 、Ni=13.2%)にアクリル酸-2− ヒドロキシエチル40部− アクリル酸ブチル50部− メタアクリル酸35部− ヒドロキシエチルアクリレート35部を共重合して得られた有機樹脂(水酸基含有モノマー:47%)90g/l 、リン酸30g/l 、リン酸Zn 0.37 グラム分子/l、コロイダルシリカ6 g/lを配合した水性液をロールで塗布し、115 ℃で乾燥して全付着量が0.40 g/m2 となるように皮膜を形成した。
比較例1
Znめっき鋼板にクロム酸(6価Cr100%クロム酸) 15g/l 、リン酸10g/l 配合の水性液をロールで塗布し、175 ℃で乾燥して付着量がCr換算で45 mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
比較例2
Zn−Ni 系合金鍍金鋼板(目付量:20 g/m2、Ni=12.8%)にクロム酸(6価Cr100%クロム酸)15g/l、リン酸15g/l 、コロイダルシリカ 5g/l の水性液をロールで塗布し、195 ℃で乾燥して付着量がCr換算で57 mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
比較例3
Zn−Ni 系合金鍍金鋼板(付着量:20 g/m2、Ni=12.9%)ニクロム酸(6価Cr100%クロム酸)20g/l、リン酸30g/l 、アクリルエマルジョン(水酸基含有率:0%)80g/l 配合した水性液をロールで塗布し、180 ℃で乾燥して付着量がCr換算で48mg/m2 のクロメート皮膜を形成した。
比較例4
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(付着量:20 g/m2、Ni=12.3%)にクロム酸(6価Cr100%クロム酸)25g/l、リン酸15g/l 、アクリルアマイド樹脂 60 g/l 配合した水性液をロールで塗布し、130 ℃で乾燥して全付着量が0.55g/m2となるように皮膜を形成した。
比較例5
Zn−Ni 系合金めっき鋼板(付着量:20 g/m2、Ni=12.9%)にクロム酸(3価Cr/(3 価Cr+6 価Cr) ×100=30(%))25 g/l、リン酸10g/l 、アクリルエマルジョン 60 g/l 、コロイダルシリカ15 g/l配合した水性液をロールで塗布し、175 ℃で乾燥して全付着量が0.65g/m2となるように皮膜を形成した。
Figure 2006144131
Figure 2006144131
表1はZnあるいはZn系合金めっき鋼板に処理した場合の実施例1〜14及び表2は比較例1〜5の沸水30分浸漬後の皮膜の密着性、塩水噴霧試験による加工後の裸耐蝕性、メラミン系低温焼付型(焼付温度: 110 ℃)を30μ塗布した場合の塗料密着性を示したものである。表1から明らかなように、Znめっき鋼板あるいはZn系合金めっき鋼板に本発明による表面処理を実施した場合、形成された皮膜の密着性は良好で剥離は皆無である。Znめっき鋼板に本発明による表面処理を実施した場合の加工後の裸耐蝕性は1000時間で殆ど変化無く、1500時間で僅かに赤錆が発生する。Zn系合金めっき鋼板に本発明による表面処理を実施した場合、加工後の裸耐蝕性は2000時間で殆ど変化無く、3000時間で僅かに赤錆が発生するに過ぎない。
これに対し、表2から明らかなように公知のクロメート皮膜組成の場合(比較例1、2、3、4、5)形成された皮膜の密着性は悪く、沸水中でかなりクロムが溶出したり、あるいはいずれの処理剤も皮膜はかなり剥離する。
また、公知のクロメート皮膜組成のうち無機系クロメートの場合(比較例1、2)、加工後の裸耐食性はSST100時間で赤錆がかなり発生している。樹脂クロメートの場合(比較例3、4)、加工後の裸耐食性はSST600時間で赤錆がかなり発生している。
また、塗膜の密着性も同様で、本発明による表面処理剤を実施した場合、塗料密着性の得にくい低温焼付型(110℃焼付)でも極めて優れた密着性を示す。
これに対し、公知のクロメート皮膜の場合(比較例1、2、3 の場合)は塗料密着性は極めて悪い。また、さらにその上に有機樹脂を被覆した場合でも(比較例4、5)かならずしも充分ではなく、塗膜の剥離が認められる。
以上示したように本発明による表面処理剤はクロムを使用しない、いわゆる無公害のノンクロメート剤として従来自動車、家電、建材分野で使用されている塗布クロメート、電解クロメート、樹脂クロメート及び反応クロメートなど全てのクロメート剤の代替として使用することができる。また、クロムを使用しない無公害の表面処理剤であることから、用途は容器関連、食器関連、玩具類、屋内用建材に至るまでの広い用途が可能である。

Claims (4)

  1. 水酸基含有有機樹脂、リン酸及びCu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 及びZnの少なくとも1種の金属を含むリン酸系化合物を含有する組成物であり、該組成物が下記(1)の特性を有する皮膜を形成することができるクロムフリー金属表面処理用組成物。
    (1)Znめっき鋼板上に、前記組成物を塗布して形成させた皮膜が、沸騰水に30分間浸漬後も剥離しない。
  2. 水酸基含有有機樹脂中の水酸基を持つ構成成分の含有量が5重量% 以上である請求項1のクロムフリー金属表面処理用組成物。
  3. 水酸基含有有機樹脂100 重量部に対し、リン酸が2〜60重量部、リン酸系化合物が0.015 〜1.5 グラム分子を含有する請求項1のクロムフリー金属表面処理用組成物。
  4. SiO2、Cr23 、Fe23 、Fe34 、MgO 、ZrO2、SnO2、Al23 、Sb25 のコロイド(ゾル) 或いは粉末の少なくとも1種を含有せしめた請求項1のクロムフリー金属表面処理用組成物。
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