JP2006144078A - スラグの処理方法と処理装置およびランス - Google Patents

スラグの処理方法と処理装置およびランス Download PDF

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Abstract

【課題】
COガスの気泡発生をなるべく抑えながら,溶融スラグ全体を均一に加熱及び改質できる手段を提供する。
【解決手段】
スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaを加熱して処理する装置1であって,溶融スラグaを加熱するバーナ3と,溶融スラグa中でガスを噴射するためのランス4を備え,前記ランス4には,溶融スラグa中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口10が1箇所以上に設けられている。スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaを所定時間静置して粒鉄20を沈降させた後,スラグ鍋2の底部において溶融スラグaを冷却することにより,スラグ鍋2の内面に沿って形成されるスラグの固化層22内に粒鉄20を固定し,その後,溶融スラグaを加熱する工程と溶融スラグaを攪拌する工程とを交互に一回ずつもしくは複数回ずつ行う。
【選択図】 図4

Description

本発明は,製鋼工程などで発生するスラグを溶融状態で改質処理する方法と装置およびランスに関する。
脱りん,脱硫,脱炭精錬によって生成されるスラグ(製鋼スラグ)は,道路路盤材,コンクリート用骨材等に利用される。だが製鋼スラグに含まれる遊離CaOは,水和反応を起こして膨張するため体積安定性が低く,製鋼スラグは,土木工事用の仮設材,道路の地盤改良材,下層路盤材等の低級用途に専ら利用され,より高級用途である上層路盤材,コンクリート用骨材,石材原料等には用いがたい。
このため,自然養生や蒸気エージングによってスラグ中の遊離CaOの水和反応を促進させる方法が,一般に採用されている。しかしながら,このように自然養生や蒸気エージングを行うためには,膨張特性が無視できるようになるまで長期間の養生と広い敷地が必要となる。またこの方法では,遊離CaOを効果的に消滅させることができず,依然としてスラグの用途が限られてしまう。
そこで従来,転炉から排出された脱炭スラグを溶融状態のまま改質する方法が開示されている(非特許文献1参照)。これは,溶融スラグ中に酸素と珪石を浸漬ランスを通じて吹き込み,スラグ中のFeOを酸化して昇熱しながら改質材によってスラグの塩基度を低減し,未滓化石灰を体積安定性のある化合物に変化させる方法である。また同様に,溶融スラグ中に改質材と昇温材を浸漬ランスから吹き込み,スラグを昇熱させつつ改質材によってスラグの塩基度を低減する方法も開示されている(特許文献1参照)。また,電気炉に貯えた溶融スラグに成分調整剤を装入し,ガスバブリングする方法も開示されている(特許文献2参照)。そして,ランスの形状としては,ランスを中心にして2孔で水平方向にガスを吹出す構造も開示されている(特許文献3参照)。その他,溶鋼を入れた取鍋の底部からガスをバブリングする方法も開示されている(特許文献4参照)。
M.Kuehn,et al.,2nd European Steelmaking Congress,Taranto(1997)p445/453 特開平2−204348号公報 特開平8−175853号公報 特開平9−125130号公報 特開2003−222312号公報
非特許文献1や特許文献1〜4に記載されたように,従来から,ランスからガスを吹出して溶融スラグを攪拌することにより,スラグ鍋に入れられた溶融スラグ全体を加熱し,均一な改質を行うことができることが知られている。しかし,転炉などから排出されてスラグ鍋に入れられた直後の溶融スラグ中には粒鉄が懸濁しており,この懸濁粒鉄の表面に付着した炭素と溶融スラグ中の酸化鉄が反応することにより,溶融スラグ中においてCOガスの気泡が発生する。かようなCOガスの発生は,時間経過とともに粒鉄が自重でスラグ鍋の底部に沈降することにより次第に収まっていくが,上述の従来方法のようにランスからガスを吹出して溶融スラグを攪拌した場合,粒鉄の円滑な沈降が妨げられ,COガスの気泡の発生がなかなか収まらなくなってしまう。加えて従来は,スラグ鍋の底部に一旦沈降した粒鉄が,ガスの吹出しによって再び舞い上げられて溶融スラグ中に懸濁した状態となり,COガスの気泡発生が更に長期化するといった懸念もあった。このように,均一な改質という点ではガスの吹出しによって溶融スラグを攪拌することが好ましいが,そうすると,従来方法のようにCOガスの気泡発生がなかなか収まらなくなってしまうという問題があった。
本発明の目的は,COガスの気泡発生をなるべく抑えながら,溶融スラグ全体を均一に加熱及び改質できる手段を提供することにある。
かかる課題を解決するために,本発明によれば,スラグ鍋に入れられた溶融スラグを所定時間静置して粒鉄を沈降させた後,スラグ鍋の底部において溶融スラグを冷却することにより,スラグ鍋の内面に沿って形成されるスラグの固化層内に粒鉄を固定し,その後,溶融スラグを加熱する工程と溶融スラグを攪拌する工程とを交互に一回ずつもしくは複数回ずつ行うことを特徴とする,スラグの処理方法が提供される。
前記溶融スラグを加熱する工程において,スラグの塩基度を低下させる改質材を溶融スラグに溶射しても良い。また,前記粒鉄を沈降させた後,スラグ鍋の底部において溶融スラグ中に冷却ガスを噴射することもできる。この場合,前記冷却ガスは不活性ガスであることが好ましい。
また本発明によれば,スラグ鍋に入れられた溶融スラグを加熱して処理する装置であって,溶融スラグを加熱するバーナと,溶融スラグ中でガスを噴射するためのランスを備え,前記ランスには,溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていることを特徴とする,スラグの処理装置が提供される。
前記噴射口はランスの下端部外周面に配置され,噴射口には,ランスの内部空間に連通する連通路が接続され,連通路はランスの中心から離れるに従って低くなるように傾斜していても良い。また,前記ランスの下端部に水平方向に延びる拡張部を取り付け,この拡張部に溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていても良い。また,前記バーナは,スラグの塩基度を低下させる改質材を溶射できるものであっても良い。
また本発明によれば,溶融金属もしくは溶融スラグ中にガスを噴射するためのランスであって,前記ランスには,溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていることを特徴とする,ランスが提供される。
本発明によれば,粒鉄をスラグ鍋の底部に固定してから,溶融スラグを加熱,攪拌することにより,気泡の発生しにくい伝熱効率が向上した状態で,溶融スラグを効率良く加熱でき,溶融スラグ中に含まれるSiOやバーナから溶融スラグに溶射した改質材によってスラグ中の遊離CaOを低減することが可能となる。溶融スラグ中に浸漬させたランスから,水平方向に対して下方に傾斜した方向に冷却ガスを吹出すことにより,スラグ鍋の底部に沈降させた粒鉄を再び溶融スラグ中に懸濁させずに,スラグ鍋の底部に沈降させた状態を維持させたまま,スラグ鍋の底部において溶融スラグを冷却することができ,これにより,スラグ鍋の内面に沿って形成されるスラグの固化層内に粒鉄を固定することが可能となる。また,このようにスラグ鍋の低部に粒鉄を固定して改質処理を行うことにより,スラグ中から粒鉄を精度良く分離できるようになり,スラグの改質および品質向上がはかれる。
以下,本発明の好ましい実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる処理装置1の概略的な構成を示す説明図である。図2は,この処理装置1に備えられるランス4の下端部における部分拡大縦断面図(図3におけるY−Y断面図)であり,図3は,ランス4の下端部における拡大横断面図(図2におけるX−X断面図)である。図4は,本発明の実施の形態にかかる溶融スラグaの処理方法の工程説明図である。
図1に示すように,スラグ鍋2は,上面が開口し,底面が閉塞された略円筒形状の容器である。後述するように,このスラグ鍋2には,例えば製鋼工程から排出された溶融スラグ(溶銑予備処理スラグ)aが溶融状態のまま入れられる。
スラグ鍋2の上方には,スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaを加熱するためのバーナ3と,溶融スラグaを攪拌するためのランス4が配置される。これらバーナ3とランス4は,それぞれの移動機構(図示せず)によって支持されている。それによって,バーナ3は,スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaの液面から所定の高さの位置に移動させられるようになっている。一方,ランス4は,スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaの液中にランス4先端の噴射口10を浸漬させた位置に移動可能になっている。
バーナ3は,例えばLPG,重油,微粉炭,排プラスチックなどを燃料として,スラグ鍋2に入れられた溶融スラグaに向って火炎を照射する。また,バーナ3は,そのように火炎を噴出して溶融スラグaを加熱すると共に,スラグの塩基度を低下させる改質材を,必要に応じて溶融スラグaの液面に向って溶射できるようになっている。
図2,3に示すように,ランス4は,底面が閉塞した円筒形状のランス本体5と,このランス本体5の外周面及び下面を被覆した耐火物6とで構成されており,ランス4全体も円筒形状に形成される。ランス本体5は例えば鋼製である。ランス4の下端部には,外周面に開口する噴射口10が複数箇所に設けられている。図示の例では,ランス4の下端部外周面に8つの噴射口10が開口しており,各噴射口10同士は,ランス4の中心軸O(鉛直方向)に対して,中心角がほぼ45℃ずつとなる間隔で配置されている。また,これら各噴射口10は,互いに同じ高さに開口している。
各噴射口10には,ランス4の内部空間(ランス本体5の内部空間)11に連通する連通路12が接続される。これら各連通路12は,ランス4の中心軸Oから放射状に延び,かつ,何れもランス4の中心から離れるに従って低くなるように傾斜して設けられている。これにより,後述するようにランス4の内部空間11にガスを圧入すると,噴射口10からランス4の外側に向って,水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスが噴射されるようになっている。
さて,以上のように構成された処理装置1において,例えば転炉から排出された溶融スラグaが溶融状態のままスラグ鍋2に入れられる。なお,このように溶融スラグaをスラグ鍋2に入れる場合は,図示しないそれぞれの移動機構により,バーナ3とランス4を,作業の邪魔とならない位置に退避させておく。
図4(a)に示すように,こうしてスラグ鍋2に入れられた直後の溶融スラグa中には粒鉄20がまだ懸濁しており,この懸濁した粒鉄20の表面に付着した炭素と溶融スラグa中に含有される酸化鉄が反応することにより,溶融スラグa中においてCOガスの気泡21が発生する。なお,このようにスラグ鍋2に溶融スラグaを入れた際には,溶融スラグaがスラグ鍋2の内面に接触して部分的に冷却固化されることにより,スラグ鍋2の内面に沿って,スラグの固化層22が形成されることになる。
そこで先ず,このように転炉などから排出されてスラグ鍋2に入れられた直後から,溶融スラグaを所定時間静置し,溶融スラグa中に懸濁していた粒鉄20を,図4(b)に示すように,スラグ鍋2の底部に充分に沈降させてしまう。この場合,静置する時間は,粒鉄20の沈降速度と溶融プールの深さ(溶融スラグaの深さ)で決る。つまり,静置時間は溶融プール深さを沈降速度で割った値よりも大きくとれば良い。沈降速度は,ストークスの式に支配され,粒鉄20の大きさと溶融スラグaの粘性で決る。例えば粘性1.43Pa・s(気泡を体積割合で67%含有している発泡スラグを想定)で粒径1.0mmの粒鉄20の沈降速度を計算すると2.21mm/secとなり,溶融プール深さ1000mmとすると,452sec(約7.5分)以上静置すれば粒径1mm以上の粒鉄20はすべて沈降することになる。ここで,粒径1.0mm以上の粒鉄20を対象としたのは,粒径1.0mm未満では沈降に時間がかかりすぎ,実際的でないことや,また,沈降させても鉄原料として使用しにくいことが,その理由である。また溶融プール深さ1000mmというのは,実操業面ではほぼ最小の高さであるため,この高さを目安としたことによる。したがって,溶融プール深さが大きな場合,それに応じて静置する時間を長く設定することが重要である。実際は,発泡によるスラグの流動により,上記推定よりは沈降効率が悪い。そこで,上記推定時間の2倍以上の時間を目安に静置することが望ましい。なお,こうして粒鉄20を沈降させている間に,溶融スラグa中に存在していた気泡21は浮上して排出されるので,溶融スラグaの液面高さは徐々に下がっていく。
こうして粒鉄20をスラグ鍋2の底部に充分に沈降させた後,図示しない移動機構によってランス4を移動させて,図4(c)に示すようにスラグ鍋2のほぼ中央にランス4を挿入する。そして,ランス4をスラグ鍋2に入れられた溶融スラグa中に浸漬させ,スラグ鍋2の底部近傍までランス4を下降させる。その後,ランス4の内部空間11に例えば窒素等の不活性ガスからなる冷却ガスを圧入して,ランス4の下端部外周面に開口している噴射口10から,スラグ鍋2の底部に向けて冷却ガス25を噴射する。
こうしてスラグ鍋2の底部に向けて冷却ガス25を噴射すると,先に図2,3において説明したように,同じ高さに配置された複数の噴射口10からランス4の外側に向って,水平方向に対して下方に傾斜した方向に冷却ガスが放射状に噴射される。これにより,スラグ鍋2の底部において溶融スラグaが広い範囲で冷却されて固化し,スラグ鍋2の内面に沿って形成されるスラグの固化層22の内部に粒鉄20が固定されることとなる。この場合,ランス4下端部の噴射口10から噴射する冷却ガス25の噴射流速は,スラグ鍋2の底部に沈降させた粒鉄20を舞い上げさせない程度に抑制する必要がある。また,このようにスラグ鍋2の底部に噴射する冷却ガスは,粒鉄20の表面に付着した炭素と反応しないものであることが望ましく,窒素等の不活性ガスからなる冷却ガスを用いると良い。
こうしてスラグ鍋2底部において固化層22内部に粒鉄20を固定した後,ランス4を退避させ,次に,溶融スラグaを加熱する工程を行う。即ち,先ず図示しない移動機構によって,バーナ3をスラグ鍋2に入れられた溶融スラグaの液面から所定の高さの位置に移動させる。この場合,バーナ3下端の噴出口から噴出される火炎26の温度の最も高くなる位置が,溶融スラグaの液面付近となるように設定すると良い。次いで,図4(d)に示すように,バーナ3から溶融スラグaの液面に向って下向きに火炎26を噴出し,溶融スラグaを加熱する。これにより,溶融スラグaの液面付近に,溶融スラグaの高温領域a’が徐々に形成される。この場合,前述のように粒鉄20をスラグ鍋2の底部に沈降させる過程で溶融スラグa中に混入していた気泡21を浮上排出させ,粒鉄20を沈降させた気泡の発生しにくい状態で溶融スラグaを加熱しているので,伝熱効率を向上させて溶融スラグaを内部まで効率良く加熱することが可能となる。
また,このように溶融スラグaを加熱する工程において,バーナ3から溶融スラグaに向けて,スラグの塩基度を低下させる改質材を溶射しても良い。改質材としては,溶融スラグaよりも塩基度(CaO/SiO(質量比))が低いものであれば特に限定されないが,例えばSiOを含有する物質を溶射しても良い。SiOを含有する物質としては,フライアッシュ,珪砂等が例示できる。また,改質材の溶射量は,溶融スラグaの成分や温度,目標とする改質スラグの成分等から,適宜設定すれば良い。
こうして溶融スラグaの液面付近に高温領域a’を形成させた後,バーナ3を退避させる。次いで溶融スラグaを攪拌する工程を行う。即ち,先ず図示しない移動機構によってランス4を移動させて,図4(e)に示すようにスラグ鍋2のほぼ中央に再びランス4を挿入し,ランス4の先端をスラグ鍋2に入れられた溶融スラグaの液中に浸漬させた状態にする。なお,このように溶融スラグaを攪拌する工程においては,スラグ鍋2の底部近傍までランス4の先端を挿入させる必要はなく,ランス4先端を溶融スラグaの液中のほぼ半分程度の高さにまで下降させれば良い。そして,ランス4の内部空間11に例えば空気,酸素,窒素等のガスを圧入して,ランス4の下端部外周面に開口している噴射口10から溶融スラグa中にガス27を放射状に噴射する。
こうして溶融スラグa中にガスを放射状に勢い良く噴射することにより,スラグ鍋2内の溶融スラグaは攪拌されていく。これにより,溶融スラグaの温度を均一化して流動性を向上させ,溶融スラグa中からの気泡の浮上排出を促進させることができる。また同時に,溶融スラグa中に存在する遊離CaOを溶融スラグa中や溶射した改質材に含まれるSiOなどと反応させて,体積安定性のある化合物(2CaO・SiO等)に変化させることができ,溶融スラグa全体について均一な改質処理を施すことができる。なお,このように溶融スラグaを攪拌する工程においては,ランス4の噴射口10から溶融スラグa中に酸素を吹込むことにより,溶融スラグa中のFeOを酸化させ,その際に発生する酸化熱によって溶融スラグaの流動性が向上し,その結果,溶融改質を更に促進させることができる。
こうしてバーナ3による加熱操作とランス4による攪拌操作を,もしくは,バーナ3による加熱操作および改質材の溶射操作とランス4による攪拌操作を,1回ずつもしくは複数回ずつ適宜交互に行うことにより,気泡の除去と溶融スラグaの改質を行った後,図4(f)に示すように,スラグ鍋2を傾け,改質された溶融スラグaを取鍋30に排出する。この場合,スラグ鍋2の底部に沈降した粒鉄20はスラグ鍋2の内面に沿って形成された固化層22内に固定されているので,スラグ鍋2の傾け角度を多少大きくしても,粒鉄20が取鍋30に流れ出る心配がない。
以上に説明した本発明の実施の形態によれば,溶融スラグaに含まれていた粒鉄20をスラグ鍋2の底部において固化層22内にあらかじめ固定してから溶融スラグa攪拌することにより,スラグ鍋2の底部に沈降させた粒鉄20を舞い上げずに,スラグ鍋2の底部に粒鉄20を固定した状態を維持したまま溶融スラグaを攪拌できる。このため,COガスの気泡発生を抑制しながら,気泡の除去と溶融スラグaの改質を行うことができる。また,スラグ中から粒鉄を精度良く分離できるので,スラグの品質向上がはかれる。こうして改質処理されたスラグは,水浸膨張比が低減され,強度が向上したものとなる。このため,処理されたスラグは,上層路盤材,アスファルト混合道路用材,アスファルト舗装用骨材,コンクリート用骨材,コンクリート二次製品用原料,窯業・タイル用原料,人工石材原料等の各種有用な原料に適用することができ,再生資源として有効利用できるようになる。また,スラグと分離した粒鉄20は,鉄原料として利用できる。
以上,本発明の好ましい実施の形態を例示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,バーナ3による加熱操作とランス4による攪拌操作は,もしくは,バーナ3による加熱操作および改質材の溶射操作とランス4による攪拌操作は,1回ずつ交互に行っても良いし,複数回ずつ交互に繰り返して行っても良い。
ランス4に設けられる噴射口10は,スラグ鍋2の底部に向って冷却ガス25を噴射できるものであれば良く,必ずしも水平方向から下方に傾斜した方向にガスを噴射しないものであっても良く,例えば鉛直下向きにガスを噴射するものであっても良い。但し,そのように鉛直下向きに冷却ガスを噴射する場合は,スラグ鍋2内においてランス4を移動させるなどして,スラグ鍋2の底部全体に冷却ガスが供給されるようにすると良い。また,いずれの場合も,冷却ガス25の噴射流速は,スラグ鍋2の底部に沈降させた粒鉄20を舞い上げさせない程度に抑制する必要がある。なお,水平方向から下方に傾斜した方向に冷却ガスを噴射した場合は,鉛直下向きに冷却ガスを噴射する場合に比べて,沈降させた粒鉄20を舞い上げにくいため,噴射速度を大きくでき,その結果,短時間で効果的に冷却可能であり,冷却効果が大きいと考えられる。また,噴射口10の個数は必ずしも8箇所である必要はなく,ランス4下端部の1箇所もしくは任意の複数箇所に噴射口10が設けられていても良い。また,各噴射口10の高さは必ずしも同じでなくても良く,異なる高さにある複数の噴射口10から,スラグ鍋2の底部に向って冷却ガス25を噴射しても良い。また,溶融スラグaを攪拌する工程においては,ランス4とは別のランスを用いて任意の方向に攪拌しても良く,またランス4の代りに,例えば攪拌羽根を用いて,溶融スラグaを機械的に攪拌しても良い。
ここで,ランスの他の実施の形態を示す。図5は,他の実施の形態にかかるランス4’の正面図であり,図6は,図5におけるZ−Z断面図である。この実施の形態にかかるランス4’は,垂直方向に配置されるランス軸部35と,ランス軸部35の下端部に取付けられた水平方向に延びる円筒形状の拡張部36を備えている。図示はしないが,先に図2,3で説明した場合と同様に,これらランス軸部35と拡張部36も,例えば鋼製の本体の外面を耐火物で被覆した中空の構成になっている。拡張部36の下面には,水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口37が複数箇所に設けられている。
先に図4(c)で説明したようにスラグ鍋2の底部に向けて冷却ガス25を噴射するに際し,この図5,6に示した実施の形態のランス4’を用いて,各噴射口37からスラグ鍋2の底部に向けて冷却ガスを噴射することにより,溶融スラグaをより広い範囲で冷却して固化させることができ,スラグ鍋2の内面に沿って形成されるスラグの固化層22の内部に粒鉄20を速やかに固定することができる。この場合,スラグ鍋2の底部において拡張部36を回転させながら各噴射口37から冷却ガス25を噴射すれば,スラグ鍋2の底部全体を確実に冷却でき,スラグ鍋2の底部に形成した固化層22内に粒鉄20を漏れなく固定できるようになる。
図1〜3で説明した処理装置において,製鋼工程からの溶銑予備処理スラグ20tonをスラグ鍋に排滓し,15分間静置して粒鉄をスラグ鍋の底部に沈降させた。その後,ランスを溶融スラグ(溶銑予備処理スラグ)中に浸漬させて噴射口を浴底から200mmの高さに位置させ,ランスを中心に放射方向斜め下向きに,冷却ガスとして窒素ガスを100Nm/hで1分間バブリングすることにより,スラグ鍋の内面に沿って形成されるスラグの固化層内に粒鉄を固定した。次いで,バーナによって溶融スラグを加熱しながら,改質材としてフライアッシュを6400kg/hの速度で5分間溶射した後,直ちにランスを溶融スラグに浸漬させて放射状にガス(空気)を600Nm/hで吹き込み,溶融スラグを攪拌した。バブリング時間(攪拌時間)は1分間である。こうして,5分のバーナによる加熱とフライアッシュの溶射,1分のランスによるガス攪拌を交互に3回繰り返した。その後,スラグ鍋を傾けて,改質された溶融スラグを排出した。加熱および溶射をする工程と,攪拌する工程の何れにおいても発泡現象は起こらず,得られたスラグは吸水率1.0質量%であり,骨材として十分使用可能であった。
(比較例)
上記実施例と同様の装置を用いて製鋼工程からの溶銑予備処理スラグ20tonをスラグ鍋に排滓し,直ちにバーナで溶融スラグを加熱しながら,改質材としてフライアッシュを6400kg/hの速度で5分間溶射し,更に,溶融スラグに浸漬させた単管ランスから下向きに空気を600Nm/hで1分間バブリングして溶融スラグを攪拌した。こうして,5分のバーナによる加熱とフライアッシュの溶射,1分の単管ランスによる攪拌を交互に3回繰り返した。その後,スラグ鍋を傾けて,改質された溶融スラグを排出した。加熱および溶射をする工程と,攪拌する工程の何れにおいても激しい発泡現象が継続して発生した。排出されたスラグには多数の気泡,粒鉄が目視でも確認でき,崩壊しやすいスラグであった。また,吸水率は6.5質量%であった。
本発明は,製鋼工程等で発生するスラグの処理などに利用される。
本発明の実施の形態にかかる処理装置の概略的な構成を示す説明図である。 ランスの下端部における部分拡大縦断面図(図3におけるY−Y断面図)である。 ランスの下端部における拡大横断面図(図2におけるX−X断面図)である。 本発明の実施の形態にかかる溶融スラグの処理方法の工程説明図である。 他の実施の形態にかかるランスの正面図である。 図5におけるZ−Z断面図である。
符号の説明
1 処理装置
2 スラグ鍋
3 バーナ
4,4’ ランス
5 ランス本体
6 耐火物
10 噴射口
11 内部空間
12 連通路
20 粒鉄
21 気泡
22 スラグの固化層
25 冷却ガス
26 火炎
27 ガス
30 取鍋
35 ランス軸部
36 拡張部
37 噴射口
a 溶融スラグ
a’ 高温領域

Claims (9)

  1. スラグ鍋に入れられた溶融スラグを所定時間静置して粒鉄を沈降させた後,スラグ鍋の底部において溶融スラグを冷却することにより,スラグ鍋の内面に沿って形成されるスラグの固化層内に粒鉄を固定し,その後,溶融スラグを加熱する工程と溶融スラグを攪拌する工程とを交互に一回ずつもしくは複数回ずつ行うことを特徴とする,スラグの処理方法。
  2. 前記溶融スラグを加熱する工程において,スラグの塩基度を低下させる改質材を溶融スラグに溶射することを特徴とする,請求項1に記載のスラグの処理方法。
  3. 前記粒鉄を沈降させた後,スラグ鍋の底部において溶融スラグ中に冷却ガスを噴射することを特徴とする,請求項1または2に記載のスラグの処理方法。
  4. 前記冷却ガスは不活性ガスであることを特徴とする,請求項3に記載のスラグの処理方法。
  5. スラグ鍋に入れられた溶融スラグを加熱して処理する装置であって,
    溶融スラグを加熱するバーナと,
    溶融スラグ中でガスを噴射するためのランスを備え,
    前記ランスには,溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていることを特徴とする,スラグの処理装置。
  6. 前記噴射口はランスの下端部外周面に配置され,噴射口には,ランスの内部空間に連通する連通路が接続され,連通路はランスの中心から離れるに従って低くなるように傾斜していることを特徴とする,請求項5に記載のスラグの処理装置。
  7. 前記ランスの下端部に水平方向に延びる拡張部を取り付け,この拡張部に溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていることを特徴とする,請求項5に記載のスラグの処理装置。
  8. 前記バーナは,スラグの塩基度を低下させる改質材を溶射できることを特徴とする,請求項5〜7のいずれかに記載のスラグの処理装置。
  9. 溶融金属もしくは溶融スラグ中にガスを噴射するためのランスであって,
    前記ランスには,溶融スラグ中において水平方向に対して下方に傾斜した方向にガスを吹出す噴射口が1箇所以上に設けられていることを特徴とする,ランス。
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