JP2019119906A - 転炉精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転炉内における媒溶材の滓化と溶融の促進を図ることより、脱珪処理後の中間排滓処理時のスラグ排出量を高めて鉄歩留の向上とCaO粉粒体等の媒溶材原単位を低減させることのできる精錬方法を提案する。【解決手段】同一の転炉によって溶銑の脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なって溶鋼を製造する転炉精錬方法において、まず、転炉内にスクラップと溶銑とを装入してから、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を溶銑浴面に吹き付けて行なう前期脱珪処理に当たり、工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材とを、燃料ガスを用いるバーナー機能をもつ上吹きランスを用いて該媒溶材を加熱して熱媒体とし、溶銑あるいは溶鋼の浴面に吹き付けることにより、脱珪処理スラグを加熱してこれを中間排滓処理する転炉精錬方法。【選択図】図1

Description

本発明は、転炉内に添加する媒溶材の溶融、滓化を促進することにより、脱珪処理後の中間排滓処理時におけるスラグの排出能を高めるのに有効な転炉精錬方法に関する。
近年、製鋼精錬の分野では、高炉から出銑される溶銑中の珪素や燐を転炉での脱炭処理に先立って除去する、いわゆる溶銑予備処理が普及しており、石灰などの媒溶材と製鋼スラグ発生量の低減に寄与することが知られている。しかし、この溶銑予備処理の技術は、たとえば高炉鍋やトピードカーなどの溶銑移送容器で行う場合、溶銑の移し替えに伴う熱損失を伴うため、鉄スクラップなどの冷鉄源の使用割合を抑制しなければならず、このことがCOなどの温室効果ガスの排出量削減の阻害要因となっている。
従来、前述した課題に対し、これを有利に解決する、いわゆる溶銑予備処理によるメリットと主原料選択範囲の増加を両立できる技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示されているような、一つの転炉を用いて溶銑予備処理と脱炭処理の両方を行う方法がある。この方法は、屑鉄や溶銑を転炉に装入する工程、媒溶材(フラックス)の添加と酸素の吹き込みによる脱燐工程、脱燐スラグを傾転排出する工程、フラックス添加と酸素吹き込みにより脱炭、脱燐処理する工程、脱炭、脱燐スラグを残したまま出鋼する工程、脱炭、脱燐スラグに対して炭材を添加してスラグ中の酸化鉄を還元する工程といった6つの工程を繰り返し行うものであり、生産性を阻害することなしに前述の溶銑予備処理のメリットを享受できるとしている。
また、特許文献2には、2つの転炉を用いて脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行う方法が開示されている。この方法は、まず第一の転炉において、精錬用酸素と石灰系媒溶材を含む粉体を上吹きランスから吹き付けて脱珪処理を行い、次に脱珪処理スラグの一部を中間排滓し、脱珪処理後の溶銑に対し精錬用酸素と石灰系媒溶材を含む粉体を吹き付けて脱燐処理を行ない、その後、第二の転炉において、脱燐処理後の溶銑を脱炭処理する方法である。この方法では、脱珪および脱燐処理のいずれか一方もしくは両方の処理において、精錬用酸素、石灰系媒溶材を含む粉体、燃料ガスおよび支燃性ガスを吹き付けることのできるバーナー機能付きランスを用いることで、少量の媒溶材で溶銑の脱珪と脱燐処理ができるという特徴がある。
特開平5−140627号公報 国際公開第2014/112432号
内藤 憲一郎、他3名、「MURC(Multi−Refining Converter)法における中間排滓中の流体挙動に及ぼす各種因子の影響の基礎的検討」、鉄と鋼、新日鐵住金(株)、2014年、第100巻、第4号、p.522−529
上掲の各従来技術のうち、特許文献1に記載の方法については、前述した内容に加えて媒溶材(フラックス)添加と酸素吹き込みによって脱燐処理する工程において、スラグの塩基度を1.0〜2.0、温度を1350℃以下とすることで、塩基度の低下による脱燐能の低下を抑制している。しかし、この技術の場合、塩基度が1.0を超える領域ではスラグの融点が急激に上昇するため、フラックスの溶解を促進するためにはスラグ中のFeO濃度の上昇を抑えると共に、1350℃以上の温度にて処理することが必要になるという問題がある。
また、特許文献2については、バーナー機能つきの上吹きランスを用いることで、2000℃を超える高温火炎を利用できることから高融点フラックスでも容易に溶解できる利点を有する。しかし、この方法では、二つの転炉を用いることに起因した溶銑の移し替えが発生する。そのため、熱損失が増加し、鉄スクラップの配合範囲が制約されるので鉄スクラップの適正配合範囲を超える場合には新たな熱源が必要となり、熱源コストが増加するという問題を生じさせるおそれがある。
さらに、前記非特許文献1では、転炉の中間排滓工程についての水モデルおよび数値解析シミュレーションを行なった例が記載されているが、ここではスラグの粘度が大きくスラグとメタルの密度差が小さい程、メタルが流出し易く排滓性が低下することを指摘している。したがって、転炉の中間排滓工程において、脱珪あるいは脱燐スラグの排出量を高め、石灰などの媒溶材と製鋼スラグ発生量の低減によるメリットを享受するためには、スラグ粘度の低下が必要になる。
本発明は、従来技術が抱えている前述の課題に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、同一の転炉にて、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体(媒溶材)を転炉内の溶銑に吹き付けて脱珪、脱燐し、さらに脱炭処理することにより溶銑から溶鋼を製造するための転炉精錬に当たり、詳しくは、転炉内における媒溶材の滓化と溶融の促進を図ることにより、脱珪処理後の中間排滓処理時のスラグ排出量を高めて鉄歩留の向上とCaO粉粒体等の媒溶材原単位を低減させることのできる精錬方法を提案することにある。
本発明は、前記課題を解決して上掲の目的を実現するための方法であり、その要旨とするところは、同一の転炉によって溶銑の脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なって溶鋼を製造する転炉精錬方法において、まず、転炉内にスクラップと溶銑とを装入してから、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を溶銑浴面に吹き付けて行なう前記脱珪処理に当たり、工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材とを、バーナー機能を備える上吹きランスを用いて該媒溶材を加熱して熱媒体とし、溶銑あるいは溶鋼の浴面に吹き付けることにより、脱珪処理スラグを加熱してこれを中間排滓処理することを特徴とする転炉精錬方法にある。
また、本発明は、より詳しくは、同一の転炉によって溶銑の脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なって溶鋼を製造するに際し、まず、転炉内にスクラップと溶銑とを装入して、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を該溶銑浴面に吹き付けて溶銑の脱珪処理を行ない、次に、脱珪処理後のスラグの一部を炉外へ排出する一方、炉内を脱珪処理済み溶銑と脱珪処理後スラグの残留分とからなるものにする中間排滓処理を行ない、次に、脱珪処理済み溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸素ガスとともにCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を吹き付けて溶銑の脱燐、脱炭処理を行ない、次いで、炉内に残留する脱燐、脱炭処理後の溶鋼を溶鋼鍋に出鋼する一方、炉内に残留する脱燐、脱炭処理後スラグの一部もしくは全部を炉外へ排出して溶鋼を製造する転炉精錬方法において、
前記脱珪、脱燐および脱炭の各処理に当たり、工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を、バーナー機能を備える上吹きランスを用いて前記CaOを含む粉粒体からなる前記媒溶材を加熱して熱媒体とし、溶銑あるいは溶鋼の浴面に吹き付けることにより、前記脱珪、脱燐および脱炭の各処理スラグを加熱することを特徴とする転炉精錬方法にある。
前記のように構成される本発明によれば、一つの転炉を用いて脱珪、脱燐および脱炭の処理を行なう精錬において、加熱効率の高い方法の採用、即ちCaOを含む粉粒体にて構成される媒溶材を上吹きランスのバーナーによって熱媒体の状態で被処理溶銑中に供給することにより、熱損失が少なくエネルギー消費量の低減を図ることができると共に、脱珪処理後の中間排滓処理の効率を向上させることができる。そして、そのことによって炉内に残留するスラグ量の低減を図ることができる。
脱珪、脱燐および脱炭の各処理を行なうに際して、バーナー機能を備える上吹きランスを装備してなる転炉設備の概略図である。 バーナー機能を備える上吹きランスを用いて、溶銑浴面に対し精錬用酸素ガスとともにCaO系粉粒体を吹き付けたときの、燃料ガス使用の有無(イ、ロ)と、CaO粉の有無(ロ、ハ)とによって、脱珪処理中のスラグ加熱特性について評価した図である。 バーナー機能を備える上吹きランスを用いて、溶銑浴面に対し精錬用酸素ガスとともにCaO粉を吹き付けたときの、燃料ガス使用の有無(イ、ロ)とCaO粉の有無(ロ、ハ)とによって脱珪処理後の中間排滓率について評価した図である。 バーナー機能を備える上吹きランスを用いて、溶銑浴面に対し精錬溶酸素ガスとCaO粉を吹き付けるに際しての、燃料ガスの有無と、脱珪、脱燐および脱炭処理時に用いた合計の媒溶材(CaO含有粉)原単位との関係を示す図である。
本発明は、単一の転炉を用いて脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なう精錬方法、とくに精錬中に使用するCaOを含む粉粒体である媒溶材を、熱媒体の状態にして溶銑等の表面に供給する点に特徴を有する方法である。この精錬方法の実施に当たって使用する転炉の構成としては、図1に示すようなものが好適に用いられる。即ち、その転炉は、図に示すように、酸素ガスの上吹きが可能で、溶銑の撹拌のためのガスを底吹きすることが可能な、いわゆる一つの上底吹き転炉を用いること、しかもこの上底吹き転炉は、上吹きランスを通じて酸素ガスや媒溶材の他に、天然ガスや都市ガス、プロパンガスなどの炭化水素系の燃料ガスあるいは気化した液体燃料を燃焼させるバーナーつきの上吹きランスを有する炉であって、その上吹きランス直下にバーナーの燃焼による燃焼火炎を形成させることができる炉である。従って、このような転炉の場合、該上吹きランス、とくにバーナーの作用による燃焼火炎中にCaOを含む粉粒体等からなる媒溶材を通過させた場合、該媒溶材は熱媒体の状態となって溶鉄中に吹き付けられることになり、高いエネルギー効率が得られる。
以下、上記のような設備構成を有する同一の上底吹き転炉を用いて行なう本発明に係る転炉精錬方法について説明する。
転炉の精錬は、まず、前記上底吹き転炉内に、鉄スクラップと溶銑とを装入したのち、酸素ガスと媒溶材とを上吹きして脱珪処理を施すことから始まる。
前記脱珪処理は、転炉に付帯して配設される前記上吹きランスを使用した吹錬の開始と同時に、溶銑中の[Si]が、上吹き酸素あるいは底吹き酸素の一部によって酸化され、このとき生成するスラグ中に(SiO)の形で移行する(脱珪処理)ことで進行する。なお、この脱珪処理において転炉内に吹き込まれたが消費されなかった余分の酸素は、溶銑中[C]の酸化による脱炭と溶銑中鉄分の酸化とに使われ、スラグ中に(FeO)の形となって移行する。これらの酸化反応は全て発熱反応であり、その反応熱によって鉄スクラップの溶解が進行すると同時に、溶銑温度も上昇する。
本発明においては、前記脱珪処理の進行と共に、バーナー機能を備える上吹きランスの燃焼火炎によって加熱され溶銑浴面に吹き付けられるCaOを含む粉粒体(媒溶材)は、熱媒体となっているため速やかにスラグ中に(CaO)の形で移行する。なお、このような反応下で炉内に生成する脱珪スラグの塩基度(CaO/SiO)は、(CaO)の溶解速度と(SiO)の生成速度によっても変化する。また、脱珪スラグの融点、粘度などの性状は、該塩基度と(FeO)などのスラグ中の他の酸化物の構成割合によって大きく変化する。なお、これらの脱珪スラグの塩基度やスラグ中(FeO)の割合は、脱珪処理後の中間排滓におけるスラグの流動性を確保する上で重要な操業管理項目となる。例えば、塩基度が高すぎても、あるいは逆に低すぎても融点や粘度が上昇することになるため、脱珪処理温度の範囲内でスラグ塩基度を調整することが好ましい。
そこで発明者らは、転炉内の溶銑浴面に工業用酸素ガス等を上吹きして溶銑の脱珪処理を行う際のスラグ温度に及ぼす上吹きランスからの燃料ガス吹き付けによる加熱の有無、CaOを含む粉粒体すなわちCaO粉吹き付けの有無の影響について調べた。具体的には、工業用酸素ガス、CaO粉(媒溶材)およびバーナー燃焼火炎を溶鉄浴面に吹き付けることができる上吹きランスを備え、炉底部の底吹き羽口からは攪拌用ガスの吹き込みが可能な300トン容量規模の転炉を用いた試験操業を行ない、この操業時の溶融スラグ温度と溶銑温度を測定した。なお、溶融スラグと溶銑の温度はセンサーランス(サブランス)先端に測温用プローブを装着して、熱電対による熱起電力変化から推定した。
図1は、この試験に用いた転炉設備、すなわちバーナー機能つき上吹きランスを具える転炉設備の概略図を示すものである。なお、図1において、符号1は転炉設備の全体図であり、2は転炉(本体)、3は上吹きランス、4は底吹き羽口、5は溶銑、6は上吹きランスから噴射される酸素ガス噴流、7は天然ガスを燃料とするバーナーの燃焼火炎中を通過するCaO粉噴流、8は上吹きランスへ酸素ガスを供給するための酸素ガス供給管、9は上吹きランスへCaO粉を供給するための粉体搬送管、10は上吹きランスへ天然ガス等を供給するための燃料ガス供給管、11は上吹きランスを冷却する冷却水を供給するための冷却水供給管、12は上吹きランスを冷却した冷却水を排出するための冷却水排出管である。
前記転炉を用いた試験では、上吹きランス3は、その先端に設置される精錬用ノズルの個数が5孔で、噴射角度が15°のラバール型のものである。なお、この上吹きランス3は、中心部に単孔ストレート型の粉体吹き込み用ノズルを有し、その周囲には環状の燃料ガス供給用ノズルを配置したバーナー機能を備えるものである。そして、操業に当たっては、上吹き酸素ガス流量を850Nm/min、ランス高さを3.0m、底吹きガス流量を50Nm/min一定を基本条件とし、CaO粉を吹き込む場合には吹き込み速度を600kg/min、天然ガスを吹き込む場合には40Nm/minとして、脱珪処理終了時点におけるスラグ塩基度が1.9となるように、炉上部よりCaO粉あるいは塊状CaOを添加した。表1に、上吹きランス3に配置したバーナー機能を備える5孔ラバールノズル型噴射ノズルの仕様を示した。なお、噴射ノズルの噴射角度(傾角)とは、噴射ノズルの酸素ガス噴射方向と上吹きランスの軸心方向との相対角度である。
Figure 2019119906
この試験において、前記脱珪処理は、溶銑中の[Si]濃度が0.3mass%の時点から開始し、溶銑中の[Si]濃度が0.01mass%になる時点まで継続した。また、バーナーの有無および粉体吹き付けの有無による溶融スラグ温度の違いを調査するために、
(イ)天然ガスの供給は行なわず、精錬用酸素ガスとCaO粉だけを吹き付けた場合、
(ロ)CaO粉の吹き付けは行なわず、精錬用酸素ガスと天然ガスだけを吹き付けた場合、
(ハ)精錬用酸素ガス、天然ガスおよびCaO粉の全てを吹き付けた場合、
の3水準について比較調査した。
図2は、各水準における脱珪終了時点での溶融スラグの温度と溶銑の温度差を示す。図2中の「(イ)の投射」は、天然ガスの噴射は行なわずに精錬用酸素ガスとCaO粉を噴射した場合であり、図2中の「(ロ)バーナー」はCaO粉の噴射は行なわずに、精錬用酸素ガスと天然ガスを噴射した場合であり、図2中の「(ハ)バーナー+投射」は精錬用酸素ガス、天然ガスおよびCaO粉の全てを噴射した場合である。
図2から明らかなように、溶融スラグの温度は、どの水準も溶銑温度よりも高くなるという結果が得られた。なかでも、上記(ロ)と(ハ)の水準は、(イ)の水準(精錬用酸素ガスとCaO粉だけを吹き付けた場合)よりも溶融スラグの温度が高く、特に(ハ)の水準(バーナー投射)では溶融スラグ昇温の効果が顕著に表れた。なお、この場合において、脱珪吹錬終了時点の溶銑温度はどの水準においても1,300℃〜1,340℃の範囲にあったことから、(ハ)の水準における溶融スラグ温度は約1,600℃以上にもなることがわかった。
次に、上述した脱珪処理に引き続き中間排滓処理を行なった。その結果を図3に示す。図3中の中間排滓率は下記(1)式で定義した値である。
Figure 2019119906
図3から明らかなように、中間排滓率(%)は脱珪処理終了時点における溶融スラグ温度が高い(ロ)、(ハ)の水準で向上することがわかった。
その後、脱珪処理ならびにその後の中間排滓処理に引き続き、同じ転炉を用いて脱燐処理および脱炭処理を行なった。これらの処理に際して使用した上吹きランスは、前述の脱珪処理で使用したものと同じバーナー機能つきのものであり、上吹き酸素ガス流量は1,200Nm/min、ランス高さ2.5m、底吹きガス流量を50Nm/min、CaO粉の吹き込み速度を600kg/min、天然ガス量を40Nm/minとして、脱燐および脱炭の終了時点における溶鋼温度が1,650℃、溶鋼中[C]濃度が0.05mass%、溶鋼中[P]濃度が0.010mass%、スラグ塩基度が3.5となるように、CaO粉の吹き込み量、鉄鉱石の添加量を調整した。なお、天然ガスはCaO粉の吹き込みが終了した時点で停止した。
図4は、脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理時に使用したCaO原単位の合計を脱珪処理時における上吹き条件、すなわち、天然ガスの供給は行なわず、精錬用酸素ガスとCaO粉を吹き付けた場合(イ)、CaO粉の吹き付けは行なわず、精錬用酸素ガスと天然ガスを吹き付けた場合(ロ)、精錬用酸素ガス、天然ガスおよびCaO粉全てを吹き付けた場合(ハ)の3水準を比較したものである。
その結果、脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理で使用した総CaO原単位は、脱珪処理後の中間排滓率に応じて低下していた。即ち、脱珪処理時に上吹きランスから精錬用酸素ガス、天然ガスおよびCaO粉全てを吹き付けた場合(ハ)が最も低くなることがわかった。
そこで、本発明に係る転炉精錬方法においては、転炉内の溶銑に上吹きランス3から精錬用酸素ガスおよびCaO粉を含む粉粒体などからなる媒溶材に加えて、天然ガス等の燃料ガスを同時に噴射して脱珪処理を行うことにより、該媒溶材を熱媒体の状態として溶銑に吹き付けることが有効であることが判る。なお、このような精錬を行なうことによって、脱珪処理中の溶融スラグの温度を高めることができるようになるので、媒溶材の組成が比較的高融点のものであっても確実に溶解することができ、その結果、脱珪スラグの粘度の低下と溶解範囲の拡大をもたらし、中間排滓時の排滓効率を向上させることができるようになる。
この実施例は、容量が300トンの図1に示すような上底吹き転炉(酸素ガス上吹き、攪拌用ガス底吹き)を用いて転炉精錬を行なった例である。この例では、上吹きランス3の先端に設置される精錬用ノズルは5孔で、噴射角度が15°のラバール型のものであり、中心部には単孔ストレート型の粉体吹き込み用ノズルとその周囲に円環状の燃料ガス供給用ノズルを配置し、バーナー機能を有するものを用いた。精錬用ノズルは上吹きランスの軸心に対して同一円周上に等間隔で配置したものであり、スロート径(dt)は76.2mm、噴射ノズルの出口径(de)は80.0mmである。
実施に当たり、鉄スクラップを上底吹き転炉内に装入した後、予め脱硫処理を施した1310〜1360℃の溶銑を該上底吹き転炉内に装入した。次いで、底吹き羽口4からは、攪拌用ガスとして窒素ガスを溶銑中に吹き込みながら、前記上吹きランス3から工業用酸素ガス、CaO粉およびバーナーを介して天然ガスの燃焼火炎を溶銑浴面に向けて吹き付けることにより脱珪処理を行ない、その後、生成した脱珪スラグを炉外へ排出(中間排滓)した。そして、脱珪スラグの一部と脱珪処理後の溶銑を炉内に残留させた状態で、底吹き羽口4から撹拌用ガスとしてアルゴンガスを溶銑中に吹き込みながら、前記上吹きランス3からは引き続き工業用酸素ガス、天然ガスおよびCaO粉を溶銑浴面に向けて吹き付けて脱燐および脱炭処理を行なった。このとき使用した溶銑の化学成分を表2に、また脱珪処理、脱燐および脱炭処理中の上吹き−底吹きの条件を表3に示した。
Figure 2019119906
Figure 2019119906
このような条件下で、脱珪処理終了時の溶銑中[Si]濃度が0.01mass%、脱燐および脱炭処理終了の溶鋼温度が1650℃、溶鋼中[C]濃度が0.04mass%となるように、各々の処理時間と鉄鉱石の添加量を調整した。
また、脱珪処理中、脱燐および脱炭処理中に添加するCaOの一部は炉上ホッパー(図示せず)から投入し、残部を上吹きランス3から吹き込んで、炉内に生成するスラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO2)が脱珪処理時には1.9、脱燐および脱炭処理時には3.5となるように、その合計の添加量を調整した。
そして、炉内スラグの加熱効果を最大限にして本発明の効果を得るために、上吹きランス3からの燃料用天然ガスとCaO粉の吹き込みを完全に同期させると共に、CaO粉の吹き込みが終了した時点で天然ガスの吹き込みも停止するようにし、炉上のホッパーからの塊状CaOの添加に併せて脱珪処理時のみ上吹きランス3からの天然ガスとCaO粉の吹き込み(本発明例1)を行なうが、脱珪、脱燐および脱炭の各処理段階の全てにおいて上吹きランス3から天然ガスとCaO粉の吹き込みを行なった(本発明例2)。
また、比較のために、転炉設備と操業方法は上述した本発明例に従うが、上吹きランス3からは天然ガスの吹き込みを行わず、バーナー火炎を形成させずに炉上ホッパーから塊状CaOの添加に併せてCaO粉のみを脱珪処理中あるいは脱燐、脱炭処理中に吹き込んだ例(比較例)も実施した。
以下、上述した本発明例及び比較例における操業条件と操業結果を下記表4に示す。
Figure 2019119906
表4から明らかなように、発明例と比較例とは製鋼時間(鉄スクラップ装入から出鋼、排滓終了までに要した時間)は、ほぼ同等であったが、比較例では本発明例と比較してCaO原単位が増加し、鉄歩留が低下した。
このように、本発明方法を適用した精錬を行なうことで、鉄歩留を向上させると同時にCaO原単位を低減させる転炉の操業が可能となることが確認できた。
1 転炉設備
2 転炉(本体)
3 上吹きランス
4 底吹き羽口
5 溶銑
6 酸素ガス噴流
7 CaO粉噴流
8 酸素ガス供給管
9 粉体搬送管
10 燃料ガス供給管
11 冷却水供給管
12 冷却水排出管

Claims (2)

  1. 同一の転炉によって溶銑の脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なって溶鋼を製造する転炉精錬方法において、まず、転炉内にスクラップと溶銑とを装入してから、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を溶銑浴面に吹き付けて行なう前記脱珪処理に当たり、工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材とを、バーナー機能を備える上吹きランスを用いて該媒溶材を加熱して熱媒体とし、溶銑あるいは溶鋼の浴面に吹き付けることにより、脱珪処理スラグを加熱してこれを中間排滓処理することを特徴とする転炉精錬方法。
  2. 同一の転炉によって溶銑の脱珪処理、脱燐処理および脱炭処理を行なって溶鋼を製造するに際し、まず、転炉内にスクラップと溶銑とを装入して、上吹きランスから工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を該溶銑浴面に吹き付けて溶銑の脱珪処理を行ない、次に、脱珪処理後のスラグの一部を炉外へ排出する一方、炉内を脱珪処理済み溶銑と脱珪処理後スラグの残留分とからなるものにする中間排滓処理を行ない、次に、脱珪処理済み溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸素ガスとともにCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を吹き付けて溶銑の脱燐、脱炭処理を行ない、次いで、炉内に残留する脱燐、脱炭処理後の溶鋼を溶鋼鍋に出鋼する一方、炉内に残留する脱燐、脱炭処理後スラグの一部もしくは全部を炉外へ排出して溶鋼を製造する転炉精錬方法において、
    前記脱珪、脱燐および脱炭の各処理に当たり、工業用酸素ガスとCaOを含む粉粒体からなる媒溶材を、バーナー機能を備える上吹きランスを用いて前記CaOを含む粉粒体からなる前記媒溶材を加熱して熱媒体とし、溶銑あるいは溶鋼の浴面に吹き付けることにより、前記脱珪、脱燐および脱炭の各処理スラグを加熱することを特徴とする転炉精錬方法。
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