JP2013209703A - 溶融鉄の精錬方法 - Google Patents

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【課題】上吹きランスの下端に火炎を形成し、粉状精錬剤をこの火炎で加熱しつつ、冷鉄源の添加された転炉内の溶銑に吹き付けて溶銑を酸化精錬するにあたり、溶融鉄中の冷鉄源の配合比率を安定して高める。
【解決手段】転炉に収容される溶銑26の浴面に向けて上吹きランス3のノズル前面に火炎を形成する。粉状精錬剤29を、この火炎で加熱しながら溶銑26の浴面に向けて吹き付けつつ、精錬用酸化性ガス供給流路から溶銑26の浴面に向けて精錬用酸化性ガスを供給する。下記(1)式を満足させつつ火炎を形成する。
0.4≦(G/F)/(G/F)st≦1.0・・・(1)
但し、(1)式において、G:燃焼用酸化性ガス供給速度(Nm/分)、F:燃料ガス供給速度(Nm/分)、(G/F)st:燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数との比
【選択図】 図1

Description

本発明は、バーナー機能を有する上吹きランスを用いてこの上吹きランスの先端下方に火炎を形成し、形成された火炎で粉状精錬剤を加熱しつつ加熱された該粉状精錬剤を転炉内の溶融鉄に吹き付けて、酸化精錬処理を溶融鉄に施す溶融鉄の精錬方法に関する。
環境保護の観点から、鉄鋼製造工程におけるCO排出量の抑制が急務となってきている。CO排出量を削減するために、製鋼工程においては、鉄源として鉄スクラップなどの冷鉄源の使用量を増加させて溶融鉄中の溶銑の配合率を低下させるなどの対応が検討されかつ実施されている。冷鉄源の使用量を増加させる理由としては、鉄鋼製品の製造に際して、高炉での溶銑(溶融鉄)の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCOを排出するのに対し、冷鉄源は溶解熱のみを必要とするに過ぎず、この冷鉄源を製鋼工程で多く利用すればするほど、エネルギー使用量及びCO発生量をより抑えることができる点にある。溶融鉄とは、鉄源を溶解したものを意味し、例えば、高炉で製造された溶銑、電気炉で鉄スクラップを溶かした溶鋼、溶銑から脱炭精錬処理がなされた溶鋼をも幅広く意味する。
高炉と転炉との組み合わせからなる鉄鋼製造工程では、冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の有する顕熱、溶銑中の炭素及び珪素の燃焼熱が主体である。このため、この鉄鋼製造工程では、本来、多量の冷鉄源を溶解することはできない。しかも、溶銑に対して予備脱燐処理が実施されるようになり、この処理工程の追加に伴って溶銑の温度が低下する。更には、溶銑中の炭素及び珪素が予備脱燐処理で酸化して、それらの濃度が減少することは、冷鉄源を溶解させることに対して不利な要因となる。なお、溶銑の予備脱燐処理とは、転炉で脱炭精錬処理を行う前に、溶銑段階で予め脱燐処理を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去する工程である。
そこで、予備脱燐処理や転炉での脱炭精錬処理において、溶銑及び溶鋼の熱余裕を高める多数の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、予備脱燐処理中の生成スラグ中に炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで、この炭素源を燃焼させ、この燃焼による燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が提案されている。
特許文献2には、脱燐などの冶金反応特性を改善するために、フラックスの滓化性を高める方法が開示されている。この方法は、酸素ガスの他に天然ガスなどの燃料ガスと生石灰などのフラックスを上吹きランスから供給し、フラックスを燃料ガスの燃焼火炎中を経由させることによって、溶融状態で溶銑に供給することを可能としている。
特開平9−020913号公報 特開平11−080825号公報
しかしながら、上記従来技術には次の問題点がある。特許文献1では、生成スラグ中に炭素源を添加することで、溶銑温度は上昇するが、炭素源に含有される硫黄の混入を招き、鋼中の硫黄濃度が高くなる。また、炭素源の燃焼時間を確保するために精錬時間が長くなり、製造コストが上昇するという問題がある。また更に、炭素源を燃焼させることから、COの発生量が自ずと増加するという問題もある。
特許文献2では、上吹きランスを用いて、転炉で酸化精錬処理を行う際には、吹錬途中に上吹きランス高さが変動する場合がある。上吹きランス高さが変動する場合には、火炎長さとランス高さが大きく異なってしまう。このことにより、粉状精錬剤に効果的に着熱しないことが考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バーナー機能を有する上吹きランスを用い、この上吹きランスの下端にバーナー火炎を形成させて、上吹きランスを介して粉状精錬剤をこの火炎で加熱しつつ転炉内の冷鉄源の添加された溶融鉄に吹き付けて、予備脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬処理を溶銑に施すにあたり、粉状精錬剤を効率良く加熱し、溶銑中の冷鉄源の配合比率を安定して高めることができる溶融鉄の精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)粉状精錬剤供給流路と、燃料ガス供給流路と、燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路と、精錬用酸化性ガス供給流路とを別々に有する上吹きランスを用いて、前記燃料ガス供給流路から燃料ガスを供給し、かつ、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から燃焼用酸化性ガスを供給して、転炉に収容される溶融鉄の浴面に向けて前記上吹きランスのノズル前面に火炎を形成し、
前記粉状精錬剤供給流路から粉状精錬剤を供給して、該粉状精錬剤を、前記火炎で加熱しながら、溶融鉄の浴面に向けて吹き付けつつ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から溶融鉄の浴面に向けて精錬用酸化性ガスを供給する溶融鉄の精錬方法であって、
燃料ガスと燃焼用酸化性ガスとの流量比を下記の(1)式を満足させつつ前記火炎を形成することを特徴とする溶融鉄の精錬方法。
0.4≦(G/F)/(G/F)st≦1.0 ・・・(1)
但し、(1)式において、G:燃焼用酸化性ガス供給速度(Nm/分)、F:燃料ガス供給速度(Nm/分)、(G/F)st:燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数の比、である。
(2)前記燃焼用酸化性ガスの吐出流速Vが、下記の(2)式を満足するように前記燃焼用酸化性ガス供給速度Gを調整することを特徴とする請求項1に記載の溶融鉄の精錬方法。
0.2≦V/C≦1.0 ・・・(2)
但し、(2)式において、V:燃焼用酸化性ガスの吐出流速(Nm/秒)、
C:音速(Nm/秒)、である。
(3)前記粉状精錬剤は、酸化鉄と石灰系媒溶剤と可燃性物質とのうちの少なくとも1種類を含んでおり、該粉状精錬剤を不活性ガスとともに溶融鉄の浴面に向けて供給して、冷鉄源が添加された溶融鉄に対して酸化精錬処理を行うことを特徴とする、上記(1)または上記(2)に記載の溶融鉄の精錬方法。
(4)前記溶融鉄が溶銑であり、前記酸化精錬処理が溶銑の予備脱燐処理であることを特徴とする、上記(3)に記載の溶融鉄の精錬方法。
本発明によれば、その先端下方にバーナー火炎を形成するための上吹きランスの燃料ガス供給流路から供給される燃料ガスと、燃焼用酸化性ガス供給流路から供給される燃焼用酸化性ガスとの流量比を、燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数の比に対して、所定の範囲となるように制御するので、上吹きランス高さd(m)と火炎長さl(m)との比(l/d)が0.8以上1.2以下となるように設定することが可能となる。その結果、この火炎の熱を、上吹きランスから供給される粉状精錬剤に効果的に伝達させることができるため、加熱された粉状精錬剤によって、溶融鉄の熱余裕が向上し、転炉における溶融鉄の酸化精錬処理において、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増大させることが可能となる。また、溶融鉄への着熱効率が安定して高く維持するための加炭用の炭材を削減でき、COの排出量の低減という効果もある。
本発明を実施する際に用いる転炉設備を示す概略断面図である。 本発明を実施する際に用いる上吹きランスの概略拡大縦断面図である。 プロパンガスと燃焼用酸素ガスとの流量比と、火炎長さ指数との関係を示すグラフである。 ランス高さdに対する火炎長さlの値(l/d)と、火炎長さlとランス高さdとが等しい場合(l/d=1)を基準とした着熱量に対する、各値(l/d)における着熱量の値(着熱指数)との関係を示すグラフである。
本発明は、転炉に収容された溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸化性ガスを供給して行う酸化精錬処理を対象としている。この酸化精錬処理としては、現在、溶銑の予備脱燐処理及び溶銑の脱炭精錬処理が行われており、本発明は、どちらの酸化精錬処理にも適用することができる。本発明を溶銑の脱炭精錬に適用する場合に、予備脱燐処理が施された溶銑に対して本発明を実施しても、予備脱燐処理が施されていない溶銑に対して本発明を実施してもどちらでも構わない。本発明を予備脱燐処理に適用し、この予備脱燐処理によって精錬された溶銑を転炉で脱炭精錬する際にも本発明を適用することができる。
本発明において使用する溶銑(溶融鉄)は、高炉で製造された溶銑(溶融鉄)であり、この溶銑(溶融鉄)を、溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、予備脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。以下、転炉における溶銑の予備脱燐処理を例として、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明を実施する際に用いる転炉設備を示す概略断面図である。図1に示すように、転炉設備1は、炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3と有している。この炉本体2は、その外殻が鉄皮4で構成されている。この鉄皮4の内側に耐火物5が設けられている。炉本体2の上部には、脱燐処理終了後の溶銑26を出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底部には、攪拌用ガス28を吹き込むための複数の底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。転炉は、溶銑鍋またはトピードカーなどの溶銑搬送容器に比べて、フリーボードが大きく、溶銑を強攪拌することが可能であり、これにより、冷鉄源の溶解能力が高いのみならず、少ない石灰系媒溶剤の使用量で迅速に脱燐処理を行うことができる。
上吹きランス3には、粉状精錬剤供給管9と、燃料ガス供給管10と、燃焼用酸化性ガス供給管11と、精錬用酸化性ガス供給管12と、上吹きランス3を冷却するための冷却水を供給及び排出するための冷却水給水管及び排水管(図示せず)とが接続されている。粉状精錬剤供給管9には、窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスとともに、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの少なくとも1種を含む粉状精錬剤29が供給される。燃料ガス供給管10には、プロパンガス、液化天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料が供給される。燃焼用酸化性ガス供給管11には、供給される燃料ガスを燃焼するための、酸素ガスや空気などの燃焼用酸化性ガスが供給される。燃焼用酸化性ガスとしては、一般的に酸素ガスが用いられる。精錬用酸化性ガス供給管12には、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスが供給される。精錬用酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素)、酸素富化空気、酸素ガスと希ガスとの混合ガスが用いられるが、一般的には、酸素ガスが使用される。図1では、燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスとして酸素ガスを供給している。
燃料ガスに代えて、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を使用することも可能であるが、上吹きランス3の流路出口のノズルなどで目詰まりを起こす恐れがあるので、本実施形態では燃料ガス(気体燃料)を使用することが好ましい。気体燃料を使用すれば、ノズルなどの目詰まりを防止できるだけでなく、供給速度の調整が容易である、着火しやすいので失火を防止できるなどの利点がある。
上吹きランス3に接続されていない側の、粉状精錬剤供給管9の他端は、粉状精錬剤29を収容したディスペンサー13に接続されている。また、ディスペンサー13は、粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aに接続されている。粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aを通ってディスペンサー13に供給された不活性ガスが、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29の搬送用ガスとして機能し、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29は粉状精錬剤供給管9を通って上吹きランス3に供給され、上吹きランス3の先端から溶銑26に向けて吹き付けることができるようになっている。図1では、粉状精錬剤29の搬送用ガスとして窒素ガスが上吹きランス3に供給されている。
図2は、本発明に係る上吹きランスの概略断面図である。図2に示すように、上吹きランス3は、円筒状のランス本体14と、このランス本体14の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ15とを有している。このランス本体14は、最内管20、仕切り管21、内管22、中管23、外管24、最外管25の同心円形状の6種の鋼管、即ち6重管で構成されている。
粉状精錬剤供給管9は最内管20に連通し、粉状精錬剤29が搬送用ガスとともに最内管20の内部を通過する。燃料ガス供給管10は仕切り管21に連通し、プロパンガスなどの燃料ガスが最内管20と仕切り管21との間隙を通過する。燃焼用酸化性ガス供給管11は内管22に連通し、燃料燃焼用酸化性ガスが仕切り管21と内管22との間隙を通過する。精錬用酸化性ガス供給管12は中管23に連通し、精錬用酸化性ガスが内管22と中管23との間隙を通過する。冷却水給水管及び排水管はそれぞれ外管24または最外管25の何れか一方に連通しており、冷却水が中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙を通過する。冷却水が中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙を通過するとしたが、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ15の位置で反転するように構成されている。
最内管20の内部は、ランスチップ15のほぼ軸心位置に配置された中心孔16と連通し、最内管20と仕切り管21との間隙は、中心孔16の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃料ガス噴射孔17と連通し、仕切り管21と内管22との間隙は、燃料ガス噴射孔17の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃焼用酸化性ガス噴射孔18と連通し、そして、内管22と中管23との間隙は、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の周辺に複数個設置された周囲孔19と連通している。中心孔16は、粉状精錬剤29を搬送用ガスとともに吹き付けるためのノズル、燃料ガス噴射孔17は、燃料ガスを噴射するためのノズル、燃焼用酸化性ガス噴射孔18は、燃料ガスを燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、周囲孔19は、精錬用酸化性ガスを吹き付けるためのノズルである。すなわち、最内管20の内部が粉状精錬剤供給流路31となり、最内管20と仕切り管21との間隙が燃料ガス供給流路32となり、仕切り管21と内管22との間隙が燃焼用酸化性ガス供給流路33となり、内管22と中管23との間隙が精錬用酸化性ガス供給流路34となっている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。すなわち、上吹きランス3は、粉状精錬剤供給流路31と、燃料ガス供給流路32と、燃焼用酸化性ガス供給流路33と、精錬用酸化性ガス供給流路34とを別々に有しており、更に、冷却水の給水流路及び排水流路を有している。
中心孔16はストレート形状のノズルで、周囲孔19は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っているが、中心孔16も、ラバールノズル形状としても構わない。燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環のスリット状に開口するストレート型のノズル、または断面が円形のストレート形状のノズルである。ラバールノズルにおいて、縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体の境界である最も断面が狭い位置をスロートと呼んでいる。
この構成の転炉設備1を用い、冷鉄源の配合比率を高めるために、本発明に係る脱燐処理を、以下に示すようにして溶銑26に対して実施する。
まず、炉本体2の内部へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の配合比率は、装入する全鉄源に対して5質量%以上とすることが好ましい(冷鉄源の配合比率(質量%)=冷鉄源配合量×100/(溶銑配合量+冷鉄源配合量))。冷鉄源の配合比率が5質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO発生量の削減効果が少ないからである。冷鉄源の配合比率の上限は特に決める必要はなく、予備脱燐処理後の溶銑温度が目標範囲を維持できる上限まで添加することができる。冷鉄源の装入完了に前後して、攪拌用ガス28の底吹き羽口7からの吹き込みを開始する。
冷鉄源を炉本体2への装入後、溶銑26を炉本体2へ装入する。用いる溶銑26としてはどのような組成であっても処理することができ、予備脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。因みに、予備脱燐処理前の溶銑26の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.3質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%、硫黄:0.05質量%以下程度である。但し、予備脱燐処理時に炉本体内で生成されるスラグ27の量が多くなると脱燐効率が低下するので、炉内でのスラグ発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、予備脱燐処理前に溶銑中の珪素を予め除去(「溶銑の脱珪処理」という)して、溶銑中の珪素濃度を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで予め低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1400℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。脱珪処理を実施した場合には、脱珪処理時に生成したスラグを脱燐処理の前までに排滓する。
次いで、ディスペンサー13に不活性ガスを供給し、粉状精錬剤29を、上吹きランス3の中心孔16から不活性ガスとともに溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。この粉状精錬剤29の吹き付けに前後して、上吹きランス3の燃料ガス噴射孔17から燃料ガスを噴射させるとともに燃焼用酸化性ガス噴射孔18から酸素ガスなどの酸化性ガスを噴射させ、溶銑26の浴面に向けて、上吹きランス3のノズル前面の下方に火炎を形成する。
上吹きランス3の先端に火炎を発生させるにあたり、上吹きランス高さdと火炎長さlとの比(l/d)が0.8以上1.2以下となるように、下記の(1)式を満足する範囲で、上吹きランス3に供給する燃料ガス供給量と燃焼用酸化性ガス供給量とを調整して、すなわち、燃料ガスと燃焼用酸化性ガスとの流量比を調整して火炎を発生させて、燃料ガスを転炉のフリーボード内で完全燃焼させる。
0.4≦(G/F)/(G/F)st≦1.0 ・・・(1)
G:上吹きランスの燃焼用酸化性ガス供給速度(Nm/分)
F:上吹きランスの燃料ガス供給速度(Nm/分)
(G/F)st:燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数との比。
ここで、上吹きランス高さdとは、静止時の溶銑26の浴面から、鉛直方向に沿った上吹きランスのノズル前面の先端までの距離である。本発明における上吹きランス高さdの想定値は、2.0〜5.0mの範囲である。溶銑26が装入される転炉におけるフリーボードの値が概ね2.0〜5.0mの範囲となるからである。尚、フリーボードとは、静止時の溶銑26の浴面から転炉等の精練容器の装入口までの高さ(距離)である。
(G/F)/(G/F)stの値が0.4を下回るまたは1.0を超えると、炉本体2内の溶銑26の浴面に到達する前に燃料ガスが燃え尽きてしまい、粉状精錬剤29への着熱効率が悪くなる。(G/F)/(G/F)stの値が0.4以上1.0以下であれば、粉状精錬剤29が上吹きランス3の先端から溶銑26の浴面に到着するまでの距離である上吹きランス高さdに対する、その間で形成される火炎長さlの値(l/d)が0.8以上1.2以下となるように設定することが可能となる。上吹きランス高さdと火炎長さlとの比(l/d)が1に近く、火炎長さlが上吹きランス高さdに対して0.8以上1.2以下の範囲であれば、上吹きランスからの炎によって、火炎に消費される燃料が、粉状精錬剤29を着熱させる目的に照らして効率良く消費されたといえ、かつ、後述する実験2によっても確認されるが、上吹きランスからの炎によって粉状精錬剤29が効果的に着熱され、着熱効率が良好であるといえる。
上記の(1)式に加えて、燃焼用酸化性ガスの吐出流速V(Nm/秒)を下記の(2)式を満足する範囲に維持することが好ましい。
0.2≦V/C≦1.0 ・・・(2)
:燃焼用酸化性ガスの吐出流速(Nm/秒)
C:音速(Nm/秒)
/Cの値が0.2を下回ると、燃料ガスと燃焼用酸化性ガスとの混合状態が悪くなり、溶銑26の浴面と上吹きランス3の先端との間の空間内で燃料ガスが完全燃焼しにくい。また、V/Cの値が1.0を超えると、燃料ガスが溶銑26の浴面に到達する前に、燃え尽きやすく、粉状精錬剤29への着熱効率が悪くなる。その結果、溶銑(溶融鉄)への着熱効率も悪くなり、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めにくくなる。
上記の(1)式を満足する条件で、燃料ガス及び燃焼用酸化性ガスを供給することで、燃料ガス噴射孔17から供給される燃料と、燃焼用酸化性ガス噴射孔18から供給される燃焼用酸化性ガスとは、上吹きランス3の半径方向の全方位で近接しているので、各々干渉し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内にガス濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス3の下方に火炎が形成される。
上記の(1)式を満たすように、燃料ガス及び燃焼用酸化性ガスを供給し、かつ、燃焼用酸化性ガスの供給量を調整することによって、ランス高さに合わせた火炎長さを形成することが可能であるかを実験した。
<実験1>
図1に示す転炉設備1を用いて、燃焼用酸化性ガス供給量を変化させた場合の火炎長さを調査した。転炉設備1の炉本体2は、350トンの溶融鉄を収容することができる。炉本体2に300トンの溶融鉄を収容した。上吹きランス高さdが2.0〜5.0mの範囲となる位置に上吹きランス3を配置した。同じ寸法を有するランス本体14を複数用意し、それぞれ設計変更がなされた複数のランスチップ15を用意した。燃料ガスや燃料ガス燃焼用酸化性ガスの気体を供給して上吹きランス3の下端部に火炎を形成した。
複数のランスチップ15は、中心孔が内径55mmであり、燃料ガス噴射孔が円環状スリットの隙間が6.5mmであり、周囲孔はスロート径が50mmの5孔ラバールノズルでランス中心軸に対して15°の角度で配置されている。一方で、燃焼用酸化性ガス噴射孔18について、複数のランスチップ15の各々は、設計変更がなされている。この燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環状スリットの隙間であり、複数のランスチップ15は、この隙間の幅が16.4mm〜25.4mmの範囲のうちで、それぞれ異なる任意の寸法を有する。
この複数のランスチップ15と、複数のランス本体14とをそれぞれ溶接して、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の隙間が相異なる複数の上吹きランス3を準備した。このようにして、火炎の形成に際して、燃焼用酸化性ガスの同一流量(m/秒)においても、燃焼用酸化性ガスの噴出速度(吐出速度(Nm/秒))を変更させることが可能となった。
燃料ガスとしてはプロパンガス(発熱量:100.5MJ/Nm)を用い、プロパンガスの供給流量(供給速度)Fは、12Nm/分とした。燃料ガス燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスとしては、酸素ガスを用いた。燃料ガス燃焼用酸化性ガスの供給流量(供給速度)Gは0Nm/分〜75Nm/分、精錬用酸化性ガスの供給流量は485Nm/分〜560Nm/分とし、炉本体2に吹き込んだ全酸素の供給流量は560Nm/分と一定にした。プロパンガスと、このプロパンガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性とガスの化学量論係数との比の値(G/F)stは、5.0となった。
また、複数の上吹きランス3のうち、適宜1つの上吹きランス3を選択し、選択した上吹きランス3から燃料ガスと燃焼用酸化性ガスとを吹き込み、安定的な火炎を形成させた後、各条件における火炎長さを目視にて測定した。上吹きランス高さdが2.5mである測定結果を図3に示す。図3中の縦軸の「火炎長さ指数」は、目視で測定した場合における、上吹きランス3の先端部から形成された火炎の先端までの火炎の長さlと、化学量論比での火炎長さlstとの比の値である「l/lst」を意味する。図3中の横軸の「(G/F)/(G/F)st」は、(G/F)stに対する、プロパンガスと、燃焼用酸化性ガスとの流量比である。
図3に示すように、燃焼用酸化性ガスの供給量を変化させることによって、火炎長さが変化することが分かった。即ち、燃焼用酸化性ガスの供給量を調整することによって、上吹きランス高さdに合わせた適正な火炎長さlを形成することが可能であることがわかった。
次に、上記の実験1における理論燃焼比「(G/F)/(G/F)st=1」の条件において、上吹きランス高さdを変更し、溶銑への着熱挙動を調査した(実験2)。
<実験2>
理論燃焼比が1である場合には、理論燃焼比「(G/F)/(G/F)st=1」とした以外は実験1と同様の条件で、燃料ガスや燃料ガス燃焼用酸化性ガスの気体を供給して上吹きランス3の下端部に火炎を形成した。粉状精錬剤に着熱させた。上吹きランス高さdが変更されている各条件における、溶融鉄への着熱量は、溶融鉄の温度上昇から算出した。
ランス高さdに対する火炎長さlの値(l/d)と、火炎長さlとランス高さdとが等しい場合(l/d=1)を基準とした着熱量に対する、各値(l/d)における着熱量の値(着熱指数)との関係を図4に示す。火炎による着熱された粉状精錬剤による溶銑への着熱が、着熱指数0.8を超えると一応、効率のよい着熱が達成されたと想定するが、図4によれば、そのような(l/d)の値は、0.8〜1.2の範囲となったことが確認される。
中心孔16から不活性ガスとともに噴射される粉状精錬剤29は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱されまたは溶融した状態で溶銑26の浴面に吹き付けられる。これにより、溶銑26に粉状精錬剤29の熱が着熱し、溶銑26の温度が上昇して、添加した冷鉄源の溶解が促進される。粉状精錬剤29は、酸化鉄と石灰系媒溶剤と可燃性物質とのうちの少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
また、その際に、上吹きランス3の周囲孔19から、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。溶銑26の脱燐反応は、溶銑中の燐が酸化性ガスまたは酸化鉄と反応して燐酸化物(P)を形成し、この燐酸化物が石灰系媒溶剤の滓化によって形成されるスラグ27に吸収されることで進行する。しかも、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度が速くなる。従って、粉状精錬剤29としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))などの石灰系媒溶剤を使用することが好ましい。生石灰に蛍石(CaF)またはアルミナ(Al)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。また、溶銑26の脱炭吹錬工程で生成する転炉スラグ(CaO−SiO系スラグ)を石灰系媒溶剤の全部または一部として使用することもできる。
粉状精錬剤29として溶銑26の浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグ27を形成し、また、供給された精錬用酸化性ガスと溶銑中の燐とが反応して燐酸化物が形成される。攪拌用ガス28によって溶銑26とスラグ27とが強攪拌されることも相まって、形成した燐酸化物が滓化したスラグ27に迅速に吸収されて、溶銑26の脱燐反応が速やかに進行する。石灰系媒溶剤を粉状精錬剤29として使用しない場合には、石灰系媒溶剤を炉上ホッパーから別途上置き投入する。
粉状精錬剤29として、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶鋼中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。酸化鉄として高炉ダストや転炉ダストなどの可燃性物質を含有するものを使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。
また、粉状精錬剤29として、アルミ灰(Alの地金やスクラップを溶解炉で溶かした時に、Alと空気中の酸素とが反応して生成した、金属Alを30〜50質量%含有するAl酸化物)やコークスなどの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃料の燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。粉状精錬剤29として、石灰系媒溶剤、酸化鉄及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。
上吹ランス3からの火炎によって加熱されているまたは加熱されることによって溶融している粉状精錬剤29の熱が溶銑26に伝達する。更には、溶銑26の上方に存在する、上吹きランス先端の火炎の燃焼熱が溶銑26に伝達する。これらの溶銑26に伝達する熱に加えて溶銑26が激しく攪拌されることも相まって、溶銑中の冷鉄源の溶解が促進される。装入した冷鉄源の溶解が脱燐処理を行っている間に終了する。
その後、溶銑26の燐濃度が目的とする値かそれ以下になったなら、上吹きランス3から溶銑26への全ての供給を停止して脱燐処理を終了する。脱燐処理後、炉本体2を傾動させて予備脱燐処理の施された溶銑26を、出湯口6を介して、取鍋、転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯し、出湯した溶銑26を次工程の設備に搬送する。
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス先端下方にバーナー火炎を形成するための燃料ガスと酸素ガスの供給量を適正に調節することで、様々なランス高さに対応した火炎長さに制御することが可能となる。その結果、上吹きランス3を介して炉本体2内に供給される粉状精錬剤29を溶銑26の浴面に到達するまでの間、連続的に安定して加熱することが実現され、粉状精錬剤29の熱は溶銑26に確実に着熱するので、溶銑26の熱余裕が向上し、転炉設備1における溶銑26の酸化精錬処理において、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増大することが実現される。
前述の実験1,2と同様の寸法を有する転炉設備1及び上吹きランス3を用いて、転炉設備1に溶銑と鉄スクラップを装入し、ランス高さを2.5mとして上吹きランス3を炉本体2に挿入し、脱燐吹錬(溶銑の予備脱燐処理)を行った。上吹きランス3には、前述の実験と同様に、燃料としてはプロパンガスを供給し、かつ、燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスとして酸素ガスを供給した。上吹きランス3は、中心孔は内径55mmであり、燃料ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が6.5mmであり、燃焼用酸化性ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が16.4〜25.4mmであり、周囲孔はスロート径が50mmの5孔ラバールノズルでランス中心軸に対して15°の角度で配置されているものである。円環状スリットの隙間を変化させることで、同一供給速度においても吐出流速を変化させることができる。脱燐吹錬の際、上吹きランス高さdと火炎長さlとの比(l/d)が0.8以上1.2以下となるように、燃料ガス供給流路から供給されるプロパンガスとの供給速度(Nm/分)と、燃焼用酸化性ガス供給流路から供給される燃焼用酸化性ガスとの供給速度(Nm/分)との流量比(G/F)を、燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数の比(G/F)stに対して、0.4〜1.0の範囲内となるように、燃焼用酸化性ガスを供給した(本発明例1〜5)。比較のために、(G/F)/(G/F)stの値を、0.4〜1.0の範囲外となるように、燃焼用酸化性ガスの供給量を完全燃焼に要する量の40%を下回る、または、100%を上回る条件での操業も行った(比較例1,2)。また、本発明例2〜3では、燃焼用酸化性ガスの吐出流速V(Nm/秒)を調整して、V/Cを、0.2〜1.0の範囲内となるように、燃料ガス燃焼用酸化性ガスが供給されている。一方で、本発明例4〜5では、V/Cを、0.2〜1.0の範囲外となった。ここで、Cは、音速(Nm/秒)であり、1350℃の溶銑の周りでは、概ね1150m/秒となる。
鉄スクラップを脱燐処理後に溶け残りが無いようを炉本体2に装入した後、温度が1350℃である300トンの溶銑を装入する。次いで、上吹きランス3から生石灰と鉄鉱石と製鋼ダストとの混合粉、燃料ガス、燃焼用酸化性ガス、精錬用酸化性ガスを溶銑面に向けて吹き付けながら、底吹き羽口7からアルゴンガスを攪拌用ガスとして溶銑中に吹き込んだ。
鉄スクラップの装入量は、予備脱燐処理終了温度が1400℃となるように調整した。生石灰は、炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)が2.5となるように添加量を調整した。
予備脱燐処理で使用した溶銑の組成を表1に示す。
Figure 2013209703
使用した製鋼ダストの組成を表2に示す。
Figure 2013209703
予備脱燐処理における粉状精錬剤吹き込み量、上吹きランスへの各種ガス流量および底吹きガス流量、火炎長さは、表3に示すように設定した。燃料ガス燃焼用酸化性ガスの供給量を調整して、(G/F)/(G/F)stの値及びは、V/Cの値は、表3に示す値となった。
Figure 2013209703
以上に示した操業条件と操業方法による予備脱燐処理結果を表4に示す。鉄スクラップ配合率を様々に変化させ、装入した鉄スクラップが脱燐処理後に溶け残らない上限の鉄スクラップ配合比率を示している。
Figure 2013209703
表4から明らかなように、本発明例1〜5と比較例1,2とで吹錬時間と鉄スクラップの配合比を比較すると、本発明の方法に従えば溶銑の予備脱燐処理に要する吹錬時間が8分と同じ場合でも、鉄スクラップの配合比を高めた操業が可能となっていることがわかる。このことから、本発明によれば、高能率で溶銑の予備脱燐処理を行うことが可能であることが予測される。
また、V/Cの値が、0.2以上1.0以下を満たす本発明例1〜3では、満たさない本発明例4,5に比べて、鉄スクラップの配合比を高めた操業が可能となっていることがわかる。このことから、V/Cの値が、0.2以上1.0以下である方が、高能率で溶銑の予備脱燐処理を行うことが可能であることが予測される。
1 転炉設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 粉状精錬剤供給管
9A 精錬剤搬送用ガス供給管
10 燃料ガス供給管
11 燃焼用酸化性ガス供給管
12 精錬用酸化性ガス供給管
13 ディスペンサー
14 ランス本体
15 ランスチップ
16 中心孔
17 燃料ガス噴射孔
18 燃焼用酸化性ガス噴射孔
19 周囲孔
20 最内管
21 仕切り管
22 内管
23 中管
24 外管
25 最外管
26 溶銑
27 スラグ
28 攪拌用ガス
29 粉状精錬剤
31 粉状精錬剤供給流路
32 燃料ガス供給流路
33 燃焼用酸化性ガス供給流路
34 精錬用酸化性ガス供給流路

Claims (4)

  1. 粉状精錬剤供給流路と、燃料ガス供給流路と、燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路と、精錬用酸化性ガス供給流路とを別々に有する上吹きランスを用いて、前記燃料ガス供給流路から燃料ガスを供給し、かつ、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から燃焼用酸化性ガスを供給して、転炉に収容される溶融鉄の浴面に向けて前記上吹きランスのノズル前面に火炎を形成し、
    前記粉状精錬剤供給流路から粉状精錬剤を供給して、該粉状精錬剤を、前記火炎で加熱しながら、溶融鉄の浴面に向けて吹き付けつつ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から溶融鉄の浴面に向けて精錬用酸化性ガスを供給する溶融鉄の精錬方法であって、
    燃料ガスと燃焼用酸化性ガスとの流量比を下記の(1)式を満足させつつ前記火炎を形成することを特徴とする溶融鉄の精錬方法。
    0.4≦(G/F)/(G/F)st≦1.0 ・・・(1)
    但し、(1)式において、G:燃焼用酸化性ガス供給速度(Nm/分)、
    F:燃料ガス供給速度(Nm/分)、
    (G/F)st:燃料ガスと、該燃料ガスを完全燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスとの化学量論係数の比、である。
  2. 前記燃焼用酸化性ガスの吐出流速Vが、下記の(2)式を満足するように前記燃焼用酸化性ガス供給速度Gを調整することを特徴とする請求項1に記載の溶融鉄の精錬方法。
    0.2≦V/C≦1.0 ・・・(2)
    但し、(2)式において、V:燃焼用酸化性ガスの吐出流速(Nm/秒)、
    C:音速(Nm/秒)、である。
  3. 前記粉状精錬剤は、酸化鉄と石灰系媒溶剤と可燃性物質とのうちの少なくとも1種類を含んでおり、該粉状精錬剤を不活性ガスとともに溶融鉄の浴面に向けて供給して、冷鉄源が添加された溶融鉄に対して酸化精錬処理を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶融鉄の精錬方法。
  4. 前記溶融鉄が溶銑であり、前記酸化精錬処理が溶銑の予備脱燐処理であることを特徴とする請求項3に記載の溶融鉄の精錬方法。
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