JP2005195224A - 製鋼スラグの溶融改質炉および溶融改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、排出された製鋼スラグの体積膨張性等を改善するに当たり、簡易な設備であって、さらに短時間で資源化に十分な改質レベルを達成できる製鋼スラグの溶融改質炉および溶融改質方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 炉を傾斜させ上面にバーナーを取り付けた炉に、溶融スラグを供給することを特徴とする製鋼スラグの溶融改質方法。炉の上流側に断熱構造の保温型リザーバーが設けられ、さらに該リザーバーにバーナーが設けられている。リザーバー内へ、改質剤を投入可能な装置、固体状スラグを加熱する機能を有して流動性のあるスラグを流入可能な装置のいずれか一方または双方が設置されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は製鋼工程で発生するスラグを溶融改質して資源化することに関するものである。
一般に、脱りん、脱硫、脱炭精錬によって生成される製鋼スラグ(以下スラグと記載する。)では装入された石灰が完全には溶解せず、未滓化石灰として存在している。そのため体積安定性が低く、長時間経過すると、この未滓化石灰が水和反応を起こして膨張するため、製鋼スラグを例えば道路路盤材、骨材等にそのまま適用することはできない。
その対策として自然養生や蒸気エージングにより未滓化石灰の水和反応を促進させる方法が一般に採られている。
また、転炉から排出された脱炭スラグを溶融状態のまま改質する方法が非特許文献1に開示されている。これは、溶融スラグ中に酸素と珪石を浸漬ランスを通じて吹き込み、スラグ中の(FeO)を酸化して昇熱しながら改質材によって塩基度を低減し、未滓化石灰を化合物に転換する方法である。この様な処理を行った改質スラグは体積安定性も良好で、河川工事の敷石等に利用されている。
M.Kuehn,et al. 2nd European Steelmaking Congress, Taranto(1997) p445/453
しかし、上記の自然養生や蒸気エージングにより未滓化石灰の水和反応を促進させる方法では、膨張特性が無視できるようになるまでに長期間の養生と広い敷地が必要となる。またこの方法は完全に未滓化石灰を消滅させる対策とはなっておらず、そのため製鋼スラグの用途は処理を行った場合でも強い制約を受ける。
また、非特許文献1の方法については、脱炭スラグのように1600℃以上の高温スラグでかつ流動性が確保されている場合には効果的であるものの、 スラグ温度やスラグ中のトータルFe(%T.Fe)が低位であったり、塩基度(%CaO/%SiO2)が高位であった場合には、スラグの流動性が失われ、改質効果が十分に発揮できない。
たとえば脱りんスラグのように精錬温度が1300〜1400℃と低い場合には冶金炉から排出された時点で既に固相率が高く、酸素の吹き込みが困難な状態に、または吹き込んでも酸化反応が継続して起こりにくい状態になる。スラグの温度が上昇しないと粘性が高く、改質材による均一な反応も起こらない。
また、1600℃以上の高温の製鋼スラグであっても、未滓化石灰等の固体を部分的に含有しており、全量を改質する場合、通常は長時間の処理が必要となる。なぜなら、一つの容器内でスラグを改質する場合、溶融部分のみを選択的に加熱、攪拌して改質することは困難であり、溶融部分が改質されると同時に、未改質の固体が溶融するため、十分な改質状態に到達するには、結果的に容器内容物全体を処理せざるを得なくなり、長時間を必要とするためである。
そのため、例えばスラグ搬送容器での処理を前提とすると、操業サイクル、あるいは設備負荷の観点から現実的に困難であり、スラグ改質専用の炉が必要となる。
しかし、限られた時間で、かつ設備負荷をかけないで溶融改質を行うには、すでに融けている部分のみを選択的に改質することが重要である。
また、溶融改質ではスラグの加熱が重要であるが、スラグ自体の熱伝導が極めて悪いため、効率的な加熱のためには、常に被加熱物であるスラグを攪拌し続けねばならず、そのためには例えば底吹き転炉のような専用の炉が必要となる。また、スラグの温度によって粘性の変化が大きいため、攪拌手段もガスだけでなく機械攪拌にも頼らねばならなくなり、設備構成が複雑にならざるを得ない。
現在、改質処理を行っていない製鋼スラグは、体積膨張性に関する規制が比較的緩い土木工事用材料に利用されている。
しかし、上述のように製鋼スラグは未滓化石灰等の影響による体積膨張性が依然として解消できておらず、その資源化用途は縮小傾向にあり、新たな製鋼スラグの用途開発が求められている。
また、改質処理後の製鋼スラグは、資源化に供するための改質レベルにより、売値が大きく変わることから、経済性を考慮すると、十分な改質を行い高付加価値スラグを得ることが望ましい。
本発明は、簡易な設備であって、さらに短時間で資源化に十分な改質レベルを達成できる製鋼スラグの溶融改質炉および溶融改質方法を提供することを目的とする。
本発明の概要は以下の通りである。
(1) 上流側から下流側へ下方に傾斜している樋状の炉であって、該炉の上面に1つ以上のバーナーが取り付けられたことを特徴とする製鋼スラグの溶融改質炉。
(2) 炉内壁の下面側は金属で構成され、上面側は構造体に耐火物を内張りして構成されたことを特徴とする(1)に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
(3) 炉の上流側に断熱構造の保温型リザーバーが設けられ、さらに該リザーバーにバーナーが設けられたことを特徴とする(1)または(2)に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
(4) 前記リザーバー内へ、改質剤を投入可能な装置、固体状スラグを加熱する機能を有して流動性のあるスラグを流入可能な装置のいずれか一方または双方が設置されたことを特徴とする(3)に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の改質炉を用いて、該炉の上流側から流動性のある製鋼スラグを供給しながら、1つ以上のバーナーによりスラグを加熱し、該炉の下流から排出される加熱処理後のスラグを回収することを特徴とする製鋼スラグの溶融改質方法。
(6) 前記の改質炉の下流から排出される加熱処理後のスラグの温度が、所定の温度となるように、バーナーの出力、該炉への製鋼スラグ供給速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする(5)に記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(7) 前記の改質炉内を流動している製鋼スラグ層の厚みが50mm以下になるように、該炉への製鋼スラグ供給速度を調整することを特徴とする(5)または(6)に記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(8) 前記の改質炉内を流動している製鋼スラグに、フライアッシュをバーナーにより溶射で吹き付けることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(9) 流動性のある製鋼スラグを保温型リザーバーを介して、前記の改質炉に供給するに際し、該保温型リザーバーに改質剤を添加することを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(10) 流動性のある製鋼スラグを保温型リザーバーを介して、前記の改質炉に供給するに際し、該保温型リザーバーに、固体状の製鋼スラグを溶融させたものを導入することを特徴とする(5)〜(9)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(11) 前記の改質炉またはリザーバーへ製鋼スラグを供給するスラグとして、予めスラグに改質剤を添加して酸素を吹き込むことにより攪拌、昇熱したスラグのうち流動性のある部分を用いることを特徴とする(5)〜(10)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(12) 前記の改質炉の下流から排出される加熱処理後のスラグを、保温機能を有する箱に注入し、前記箱内でスラグを凝固させることを特徴とする(5)〜(11)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
(13) 流動性のある製鋼スラグに結晶化促進剤を投入することを特徴とする(5)〜(12)のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
製鋼スラグの溶融部分を、底を傾斜させ上面にバーナーを取り付けた炉で溶融改質することにより、簡易に十分なレベルのスラグの改質が可能となった。
以下、本発明の実施の形態について図1〜3を用いて、以下に詳細に説明する。但し、本願発明の詳細な形態は、図1〜3に限定するものではない。
まず、図1は、本発明の最も基本的な形態を示したものであり、上流側から下流側へ下方に傾斜している樋状の炉であって、この炉の上面に1つ以上のバーナーが取り付けられた製鋼スラグの溶融改質炉である。尚、バーナーの数の上限は特に規定するものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
製鋼炉から出滓されたスラグのうち、流動性のある部分である溶融スラグ3をバーナー4を複数設置した炉底傾斜型の炉の上流側から注ぐ。注がれたスラグは下流へと薄層となって流れると同時に、バーナーから受熱し温度が上がり、溶融改質が十分に進んだ後、炉の下流側から冷却装置8に排出される。ここで、スラグがバーナーから受熱した際に、スラグ中に含有されるFree CaOと、SiO2や酸化鉄等との反応が促進されることで、スラグ中のFree CaOが減少し、スラグが改質される。
また、流動性のある製鋼スラグとは、炉底傾斜型の炉を自重で流動する程度の流動性を有していれば良く、特に規定するものではない。但し、流動性のある製鋼スラグの目安としては、市販の熱力学計算モデルソフト(例えば、SOLGASMIX)で求めた推定値で表わすと、液相率50〜60%程度以上と考えられる。
この方法の特徴は、熱伝導の悪いスラグを薄層とすることにより高効率の伝熱を実現するとともに、流れをつくることにより薄層内での攪拌効果が得られる点にある。この処理により未滓化石灰をより確実に減少させることができる。
また、スラグ搬送容器1を用いて、溶融スラグ3を溶融改質炉に注入する際には、スラグ搬送容器1を傾けることにより可能であるが、必要に応じて、例えばストッパーの様な固体流入防止装置2をスラグ搬送容器1に取り付けることが好ましい。
また、冷却装置8は必ずしも必要ではなく、スペースがあれば自然冷却でも構わない。但し、実際には自然冷却するスペースがないことが通常であるため、この様に連続的にスラグを改質する場合は、冷却装置8を設置して強制的に冷却することが多い。
図2は、改質炉の断面を示しているもので、炉内壁の下面側5は金属で構成され、上面側6は構造体に耐火物を内張りして構成されている。
炉内壁の下面側5は、金属で出来ているため、流動性のある溶融スラグ3を注入した際に、溶融スラグ3は、まず炉内壁の下面側5の金属の表面で凝固し、スラグ固体層7を形成する。
さらに、スラグ固体層7の上を溶融スラグ3が溶融層を形成して加熱されながら流れる。凝固したスラグ固体層7により、炉の下面は保護されるとともに断熱層となる。
一方、炉内壁の上面側6は断熱性の耐火物を適宜の金属に内張りしており、このような構造とすることにより、熱効率の高いバーナー加熱を実現するとともに、安定してスラグ溶融層を薄く形成して流すことができる。
尚、炉内壁の下面側5の金属は、必要に応じて水冷機能を有しても構わない。
図3は、本願発明の別の形態として、改質炉の上流側に断熱構造の保温型リザーバー9、およびその上方にバーナー15が設けられ、さらにこの保温型リザーバー9へ改質剤を投入可能な装置13、および固体状スラグを加熱する機能を有して流動性のあるスラグを流入可能な装置14が設置された溶融改質炉を示している。
上記の断熱構造の保温型リザーバー9により、改質炉へのスラグ供給速度を安定化させるだけでなく、保温型リザーバー9の上方に設けられたバーナーにより、溶融スラグの温度降下を防ぎつつ、後述の改質材添加を行うことができ、スラグの改質をより効果的に実施できる。
また、上記リザーバー9へ改質剤10を添加することにより、スラグ成分の塩基度(CaO/SiO2)を調整し、スラグ改質の安定化をより一層可能とする。
ここで改質剤10とは、搬送容器1からリザーバー9へ排出されたスラグよりも塩基度が低いものであれば、特に限定するものではないが、具体的にはフライアッシュ、廃ガラス等の産業廃棄物は製鋼スラグよりも塩基度が低いため、これらを用いることは廃棄物を有効に活用できるという観点から好ましい。
また、フライアッシュ等の産業廃棄物にはAl23も存在しており、これもスラグの融点を低下させる作用があるため溶融が促進され、またスラグの粘性が下がるため混合も促進される。
また、その他の改質材として赤泥等を用いても良い。
また、固体状のスラグ11をバーナー15により溶融させ、リザーバー9に導入することも可能である。これにより、製鋼工程で出滓した後に、例えば搬送容器1の底部に固体として残存していたことにより、溶融処理できずに野積されていたスラグの溶融改質処理も可能となり、製鋼スラグをほぼ完全にリサイクルすることが可能となる。
ここで、保温型リザーバー9の断熱構造としては、例えば鋼製の容器に耐火物を内張りする構造等を用いることができる。
また、改質剤10の投入装置13としては、定量的に投入できるものであれば特に規定するものではなく、電磁フィーダー、ロータリーフィーダー等が例示できる。
さらに、固体状スラグ11を加熱する機能を有して流動性のあるスラグを流入可能な装置14については、固体状スラグ11の切り出し口付近にバーナー16を設置し、これにより溶融したスラグが流下することにより流入させることができる。流入が進行し切り出し口付近の固体状スラグが少なくなると、固体状スラグは自重により自動的に供給される。
また、改質炉への溶融スラグ3の供給速度については、この供給速度が高すぎると、改質炉での滞留時間が短くなるため、スラグの加熱が不十分で改質不良になり易く、逆に溶融スラグ3の供給速度が低すぎると、改質は十分であるが、生産性が下がることになる。
従って、スラグの改質を適正に制御するには、改質炉の下流から排出される加熱処理後のスラグの温度が、所定の温度となるように調整することで、ほぼ一定の改質処理が施されたスラグを得ることができる。
具体的には、改質炉の出口のスラグの温度を温度計12で計測し、その値をもとに、排出されるスラグが所定の温度になる様にバーナーの出力、改質炉への製鋼スラグ供給速度のいずれか一方または双方を調節することで達成できる。
ここで、所定の温度とは、スラグの液相線温度よりも高いことが必要であるが、上限は特に規定するものではなく、コスト等を考慮して設定すれば良い。
また、改質炉内を流動するスラグ層の厚みは、効率的な加熱のための最も重要な指標である。スラグ層が厚すぎるとスラグ自体の伝熱が悪いため加熱不足となり、改質不良となり易く、逆にスラグ層が薄すぎると改質が十分であるが生産性が低下する。
製鋼スラグの物性から伝熱挙動を推定すると、50mm超の厚みになると伝熱効率が悪くなることから、50mm以下に制御することが好ましい。薄層流の厚みを支配する主要な条件としては、炉底の勾配、炉への溶融スラグの供給速度がある。
炉底の勾配が大きくなると、スラグの流れが速くなるため、スラグ層の厚みを薄くなり伝熱しやすくなるが、一方で加熱時間を確保しづらくなる。従って、改質炉の長さを規定すると、それに応じて好ましい勾配の範囲が存在するが、これは例えば小スケールのモデル試験で確認することにより、設定することができる。好ましい勾配の範囲は特に規定するものではないが、目安としては勾配が20〜30°程度以下が推奨される。また、勾配の下限は0°超であれば良い。
更に、フライアッシュ等の廃棄物は、改質剤としてスラグに投入することでも良いが、改質炉内のスラグ層の流れに対して、バーナー4を用いて溶射することにより、より確実にスラグと混合させることができ、有効に処理することが可能となるため好ましい。
前記の改質炉またはリザーバーへ製鋼スラグを供給するスラグとして、予めスラグに改質剤を添加して酸素を吹き込むことにより攪拌、昇熱したスラグのうち流動性のある部分を用いても良い。
予めスラグに改質剤を添加して酸素を吹き込むことは、スラグ搬送容器内で行っても良いし、また製鋼炉からの出滓時に改質剤を添加して、その後スラグ搬送容器内で酸素を吹き込んでも良い。
溶融改質されたスラグは、冷却速度によって、結晶質とガラス質の比率が変化する。すなわち、冷却速度が大きいとガラス質の比率が多く、冷却速度が小さくなるほど結晶質の比率が増加する。
例えば、建築材料等の用途として、強度向上のため、結晶化ガラスが一般的に工業化されているが、改質スラグをこの様な建築材料等の用途に利用する場合、改質スラグを除冷して結晶化を促進させることが有効である。
そこで、改質スラグを徐冷する方法としては、保温機能を有する箱に改質されたスラグを排出することで、箱内でスラグを徐冷させることができ、結晶度の高い、建築材料等に利用可能な結晶化凝固スラグを得ることができる。
上記の箱の保温機能としては、目的とする製品に応じた適切な冷却速度となるように冷却装置8は選択されるが、徐冷の場合は図1に示す様な徐冷却箱タイプ、急冷の場合は水浸式あるいは水噴霧式の様な水冷タイプが例示できる。
また、建築材料等用の結晶度の高いスラグを得るための徐冷速度としては、特に規定するものではなく、目的に応じて適宜設定すれば良いが、2〜10℃/分程度とすることが好ましい。
さらに、スラグの塩基度が低い場合等は、徐冷してもスラグが結晶化しづらいため、必要に応じてスラグに結晶化促進剤を添加させて改質処理させることが好ましい。結晶化促進剤としては、例えば亜鉛酸化物等を用いることができる。
転炉で脱りん吹錬をした後、スラグを鋳鋼製のスラグ搬送容器に約15トン排滓した。このときのスラグ成分、温度を表1に示す。
Figure 2005195224
スラグ搬送容器内で、溶銑脱りんスラグ約15トンに、改質材として廃ガラス約3トンを上置き投入し、2本の浸漬ランスで酸素ガスを合計2000Nm3/hで10分間吹き込み、その後、スラグ搬送容器を傾動させてスラグの溶融部分を改質炉に注ぎ込んだ。
改質炉の形状は、幅0.8m、長さ5.0m、炉底傾斜10°で、90Nm3/hのLPGバーナーが6本設置されている。改質炉への注入直前のスラグ温度は1350℃であった。改質炉から排出時のスラグ温度が1500℃になる様に、LPGバーナーを6本とも使用し、さらに全注入時間(スラグ搬送容器内の18トンのうち、注入できた15トンを改質炉に注入するのにかかった時間)は30分、平均注入速度(注入量/注入時間)は約500kg/分、溶融スラグの流れは平均93mm/sec、スラグ層の厚みは40mmであった。なお、スラグ搬送容器内のスラグのうち、3トンは容器に付着して注入できなかった。
改質炉から溶融排出されたスラグは、断熱性の徐冷箱で3〜5℃/分程度で除冷し、その後断熱性の徐冷箱から排出して凝固させた。
こうして得られた凝固スラグは、Free CaO 0.01質量%以下、吸水率2.0質量%以下のレベルを達成しており、また、結晶度の高いスラグが得られていたので、適当な形状に切断して、建築用タイルとしても適用できた。
本発明の側面図(その1) 本発明の断面図 本発明の側面図(その2)
符号の説明
1 スラグ搬送容器
2 固体流入防止装置
3 溶融スラグ
4 バーナー
5 炉内壁下面側
6 炉内壁上面側
7 スラグ固体層
8 冷却装置
9 保温型リザーバー
10 改質剤
11 固体状スラグ
12 温度計
13 改質剤を投入可能な装置
14 スラグを流入可能な装置
15 バーナー
16 バーナー

Claims (13)

  1. 上流側から下流側へ下方に傾斜している樋状の炉であって、該炉の上面に1つ以上のバーナーが取り付けられたことを特徴とする製鋼スラグの溶融改質炉。
  2. 炉内壁の下面側は金属で構成され、上面側は構造体に耐火物を内張りして構成されたことを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
  3. 炉の上流側に断熱構造の保温型リザーバーが設けられ、さらに該リザーバーにバーナーが設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
  4. 前記リザーバー内へ、改質剤を投入可能な装置、固体状スラグを加熱する機能を有して流動性のあるスラグを流入可能な装置のいずれか一方または双方が設置されたことを特徴とする請求項3に記載の製鋼スラグの溶融改質炉。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の改質炉を用いて、該炉の上流側から流動性のある製鋼スラグを供給しながら、1つ以上のバーナーによりスラグを加熱し、該炉の下流から排出される加熱処理後のスラグを回収することを特徴とする製鋼スラグの溶融改質方法。
  6. 前記の改質炉の下流から排出される加熱処理後のスラグの温度が、所定の温度となるように、バーナーの出力、該炉への製鋼スラグ供給速度のいずれか一方または双方を調整することを特徴とする請求項5に記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  7. 前記の改質炉内を流動している製鋼スラグ層の厚みが50mm以下になるように、該炉への製鋼スラグ供給速度を調整することを特徴とする請求項5または6に記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  8. 前記の改質炉内を流動している製鋼スラグに、フライアッシュをバーナーにより溶射で吹き付けることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  9. 流動性のある製鋼スラグを保温型リザーバーを介して、前記の改質炉に供給するに際し、該保温型リザーバーに改質剤を添加することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  10. 流動性のある製鋼スラグを保温型リザーバーを介して、前記の改質炉に供給するに際し、該保温型リザーバーに、固体状の製鋼スラグを溶融させたものを導入することを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  11. 前記の改質炉またはリザーバーへ製鋼スラグを供給するスラグとして、予めスラグに改質剤を添加して酸素を吹き込むことにより攪拌、昇熱したスラグのうち流動性のある部分を用いることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  12. 前記の改質炉の下流から排出される加熱処理後のスラグを、保温機能を有する箱に注入し、前記箱内でスラグを凝固させることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
  13. 流動性のある製鋼スラグに結晶化促進剤を投入することを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載の製鋼スラグの溶融改質方法。
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