JP2006143653A - アルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、下記一般式(II)
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、Aは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜8のアシル基を表し、Xは置換基を有していてもよいアルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。)で示されるアルデヒド化合物[以下、アルデヒド化合物(II)と称する。]の製造方法に関する。本発明の方法により得られるアルデヒド化合物は、医農薬中間体、香料、ポリマー原料、樹脂添加剤などとして有用である。
第8〜10族金属化合物およびリン化合物の存在下、オレフィン性化合物を一酸化炭素および水素ガスと反応(以下、この反応を「ヒドロホルミル化反応」と称することがある。)させることによるアルデヒド化合物の製造方法は古くから知られている。一般に、該金属とリン化合物の組み合わせが、転化率や位置選択性などの反応活性に大きく影響を及ぼすことが知られている(非特許文献1〜3参照)。
一方、分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、かつヒドロキシル基のβ,γ位に炭素−炭素二重結合を有するジエン系アルコールを第8〜10族金属化合物およびリン化合物の存在下にヒドロホルミル化反応させることによるヒドロキシアルデヒドの製造方法が知られており、例えば水素分圧0.5〜20kg/cm2絶対圧力(約50kPa〜2MPa)、一酸化炭素分圧0.1〜5.0kg/cm2絶対圧力(約10〜490kPa)で反応を行なうことで、ジアルデヒドなどの副生成物の抑制、水素化反応および分子末端の炭素−炭素二重結合の異性化を抑制をする方法(特許文献1参照)、リン化合物として単座ホスフィンと二座ホスフィノアルカンを一緒に使用し、目的生成物の選択性増大および第8〜10族金属化合物およびリン化合物からなる錯体触媒の安定化効果を上げる方法(特許文献2参照)などが提案されている。
また、ジエン系化合物のヒドロホルミル化反応において、多座ホスフィンまたは多座ホスファイトを用いることにより、反応活性、目的生成物の選択性および触媒の安定性などを高める方法(特許文献3および特許文献4参照)が提案されている。
一方、分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、かつヒドロキシル基のβ,γ位に炭素−炭素二重結合を有するジエン系アルコールを第8〜10族金属化合物およびリン化合物の存在下にヒドロホルミル化反応させることによるヒドロキシアルデヒドの製造方法が知られており、例えば水素分圧0.5〜20kg/cm2絶対圧力(約50kPa〜2MPa)、一酸化炭素分圧0.1〜5.0kg/cm2絶対圧力(約10〜490kPa)で反応を行なうことで、ジアルデヒドなどの副生成物の抑制、水素化反応および分子末端の炭素−炭素二重結合の異性化を抑制をする方法(特許文献1参照)、リン化合物として単座ホスフィンと二座ホスフィノアルカンを一緒に使用し、目的生成物の選択性増大および第8〜10族金属化合物およびリン化合物からなる錯体触媒の安定化効果を上げる方法(特許文献2参照)などが提案されている。
また、ジエン系化合物のヒドロホルミル化反応において、多座ホスフィンまたは多座ホスファイトを用いることにより、反応活性、目的生成物の選択性および触媒の安定性などを高める方法(特許文献3および特許文献4参照)が提案されている。
ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J. Organometal. Chem.),258巻,1983年,p.343
ジャーナル オブ モレキュラー キャタリシス エー(J. Mol. Cat. A),116巻,1997年,p.49
オルガノメタリックス(Organometallics),14巻,1995年,p.3081
特開昭57−197238号公報
特開昭57−183731号公報
特開昭62−116535号公報
特開平05−178779号公報
本発明者は、前記特許文献1〜4に記載の方法について、ジエン系化合物として2,7−オクタジエン−1−オールを用い、また、前記特許文献1〜4に記載の配位子を用いて反応を詳細に検討した。その結果、反応過程において、副生成中間体として2,7−オクタジエン−1−オールのアリルアルコール部位の炭素−炭素二重結合へのヒドロホルミル化による2−ヒドロキシメチル−7−オクテナール、2−ヒドロキシメチル−1,9−ノナンジアールおよび2−ヒドロキシメチル−7−メチル−1,8−オクタンジアールなどが生成してしまい、これらの化合物にさらに脱水反応が起こることにより、エナール化合物(α,β−不飽和アルデヒド)、具体的にはα−5−ヘキセニルアクロレイン、2−メチリデン−1,9−ノナンジアールおよび2−メチリデン−7−メチル−1,8−オクタンジアールなど(以下、これらを「エナール化合物類」と総称することがある。)が生成して、これらが金属化合物およびリン化合物からなるヒドロホルミル化反応触媒の反応活性を低下させるという問題が生じる場合があることが判明した。また、あらかじめα−5−ヘキセニルアクロレインを反応溶液に添加してヒドロホルミル化反応を実施すると、反応に使用する原料よりはるかに少ない量の添加でもヒドロホルミル化反応の活性が低下し、反応の進行を著しく阻害する場合があることが判明した。即ち、2,7−オクタジエン−1−オールなどの分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、かつヒドロキシル基のβ,γ位に炭素−炭素二重結合を有するジエン系化合物をヒドロホルミル化する場合、エナール化合物類がたとえ少量であっても生成すると、それがヒドロホルミル化反応の進行における被毒物質となり、選択性が低くなるだけでなく、反応の実施に大きな支障をもたらすことがあり、これらの方法には、なお改善の余地があることを確認した。
しかして、本発明の目的は、上記エナール化合物類による反応活性の低下を抑制しながら、分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、かつヒドロキシル基のβ,γ位に炭素−炭素二重結合を有するジエン系化合物を高い転化率および選択率でヒドロホルミル化する方法を提供することにある。
しかして、本発明の目的は、上記エナール化合物類による反応活性の低下を抑制しながら、分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、かつヒドロキシル基のβ,γ位に炭素−炭素二重結合を有するジエン系化合物を高い転化率および選択率でヒドロホルミル化する方法を提供することにある。
本発明によれば、上記の課題は、
[1]下記一般式(I)
[1]下記一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、AおよびXは、前記定義のとおりである。)
で示されるジエン系化合物[以下、ジエン系化合物(I)と称する。]を第8〜10族金属化合物の存在下に一酸化炭素および水素と反応させることによる、アルデヒド化合物(II)の製造方法において、下記一般式(III)
で示されるジエン系化合物[以下、ジエン系化合物(I)と称する。]を第8〜10族金属化合物の存在下に一酸化炭素および水素と反応させることによる、アルデヒド化合物(II)の製造方法において、下記一般式(III)
(式中、Y1、Y2は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリーレン基を表し、Z1、Z2、Z3、Z4は、同一または異なっていて置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表し、またZ1とZ2およびZ3とZ4がそれぞれ結合していてもよい。)
で示されるリン化合物[以下、リン化合物(III)と称する。]の存在下に反応を行なうことを特徴とする、反応活性低下を抑制したアルデヒド化合物(II)の製造方法、
[2]リン化合物(III)が、下記一般式(IV)、(V)または(VI)
で示されるリン化合物[以下、リン化合物(III)と称する。]の存在下に反応を行なうことを特徴とする、反応活性低下を抑制したアルデヒド化合物(II)の製造方法、
[2]リン化合物(III)が、下記一般式(IV)、(V)または(VI)
(式中、R4、R11は、それぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す。また、Z1、Z2、Z3、Z4は、上記定義のとおりである。)
から選ばれる1種以上であることを特徴とする、[1]のアルデヒド化合物(II)の製造方法、
を提供することにより達成される。
から選ばれる1種以上であることを特徴とする、[1]のアルデヒド化合物(II)の製造方法、
を提供することにより達成される。
本発明によれば、ジエン系化合物(I)のヒドロホルミル化反応において、反応系内にわずかに生成するエナール化合物類による反応活性の低下を抑制し、医農薬中間体、香料、ポリマー原料、樹脂添加剤などとして有用であるアルデヒド化合物を製造することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
上記一般式中、R1、R2およびR3がそれぞれ独立して表す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などが挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。かかるアリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
Aが表す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。炭素数2〜8のアシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ペンタノイル基、オクタノイル基などが挙げられる。
Xが表すアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基などが挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基などが挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
本発明の原料として用いるジエン系化合物(I)としては、具体的には2,7−オクタジエン−1−オール、1−メトキシ−2,7−オクタジエン、1−エトキシ−2,7−オクタジエン、1−ブトキシ−2,7−オクタジエン、1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、3,7−ジメチル−2,7−オクタジエン−1−オール、3,7−ジメチル−1−メトキシ−2,7−オクタジエン、3,7−ジメチル−1−エトキシ−2,7−オクタジエン、3,7−ジメチル−1−ブトキシ−2,7−オクタジエン、3,7−ジメチル−1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、3,6−ジメチル−2,7−オクタジエン−1−オール、3,6−ジメチル−1−メトキシ−2,7−オクタジエン、3,6−ジメチル−1−エトキシ−2,7−オクタジエン、3,6−ジメチル−1−ブトキシ−2,7−オクタジエン、3,6−ジメチル−1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、2,7−ジメチル−2,7−オクタジエン−1−オール、2,7−ジメチル−1−メトキシ−2,7−オクタジエン、2,7−ジメチル−1−エトキシ−2,7−オクタジエン、2,7−ジメチル−1−ブトキシ−2,7−オクタジエン、2,7−ジメチル−1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−2,7−オクタジエン−1−オール、2,6−ジメチル−1−メトキシ−2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−1−エトキシ−2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−1−ブトキシ−2,7−オクタジエン、2,6−ジメチル−1−アセトキシ−2,7−オクタジエンなどが挙げられるが、特にこれらに制限されない。
Y1、Y2がそれぞれ独立して表す炭素数6〜14のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。これらのアリーレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2,3−トリメチルプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式中、Z1、Z2、Z3、Z4が表す炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、Z1およびZ2ならびにZ3およびZ4がそれぞれ結合していてもよいアリール基である場合、かかる基としては、例えば下記式(VII)
で示される基などが挙げられるが、特にこれに限定されない。これらの基は置換基を1つ以上有しているのが好ましく、置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;シアノ基;トリフルオロメチル基などが挙げられる。
R4およびR11がそれぞれ独立して表す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29がそれぞれ独立して表す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などが挙げられ、炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。かかるアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2,3−トリメチルプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
本発明で用いるリン化合物(III)としては、例えば下記式(1)〜(12)
で示される化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、反応速度および目的生成物の選択性の観点から、上記式(4)または(12)で示されるリン化合物が好ましい。
本発明に用いる第8〜10族金属化合物としては、例えば塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、ギ酸ロジウム、塩化ロジウムナトリウム(Na3RhCl6・12H2O)、塩化ロジウムカリウム(K3RhCl6・12H2O)、ロジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、テトラロジウムドデカカルボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、μ,μ’−ジクロロロジウムテトラカルボニルなどのロジウム化合物;シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、層状粘土などの担体に担持させたロジウム;塩化コバルト、酢酸コバルト、ジコバルトオクタカルボニル、コバルトアセチルアセトナート、ステアリン酸コバルトなどのコバルト化合物;塩化白金酸、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、第二白金酸カリウムなどの白金化合物;塩化イリジウム、イリジウムカルボニル、塩化シクロオクタジエンイリジウムなどのイリジウム化合物;塩化ルテニウム、ルテニウムカルボニル、ジクロロシクロオクタジエンルテニウムなどのルテニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、ロジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、テトラロジウムドデカカルボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、μ,μ’−ジクロロロジウムテトラカルボニルなどのロジウム化合物が好ましく、ロジウムアセチルアセトナート、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナートがより好ましい。
第8〜10族金属化合物の使用量に特に制限はないが、通常、ジエン系化合物(I)に対して、金属原子換算で1ppm〜105ppmの範囲であるのが好ましく、5ppm〜103ppmの範囲であるのがより好ましく、反応活性および経済性の観点からは、10ppm〜200ppmの範囲であるのがさらに好ましい。
リン化合物(III)の使用量に特に限定はないが、その使用量は、通常、第8〜10族金属化合物に対して、0.1〜100倍モルの範囲であるのが好ましく、0.5〜50倍モルの範囲であるのがより好ましく、1〜25倍モルの範囲であるのがさらに好ましい。0.1倍モルより少ないと、反応系中で生成するエナール化合物類(α,β−不飽和アルデヒド)によるヒドロホルミル化反応活性の低下を抑制し、かつアリルオキシ部位の炭素−炭素二重結合へのヒドロホルミル化を抑制する効果が得られなくなり、また、100倍モルを超えると、ヒドロホルミル化反応自体の反応速度が低下し、また、分子末端の炭素−炭素二重結合の異性化による副生成物の生成が促進される傾向となり、効率良くアルデヒド化合物(II)を製造することができなくなる。
本発明の方法は、溶媒の存在下または不存在下に実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量は、ジエン系化合物(I)に対して、通常、0.01〜20倍質量の範囲であるのが好ましく、0.1〜10倍質量の範囲であるのがより好ましい。
反応温度は、通常、20〜200℃の範囲であるのが好ましく、50〜150℃の範囲であるのがより好ましい。反応圧力は、0.1〜20MPaの範囲であるのが好ましく、0.5〜10MPaの範囲であるのがより好ましい。反応時間に特に制限はないが、通常、30分〜24時間の範囲であるのが好ましい。
本発明で使用する一酸化炭素と水素のモル比は、通常、一酸化炭素:水素=1:10〜10:1の範囲であるのが好ましく、一酸化炭素:水素=1:5〜5:1の範囲であるのがより好ましく、選択率および反応速度の観点から、一酸化炭素:水素=1:2〜2:1の範囲であるのがさらに好ましい。
本発明の方法で使用する反応器としては、攪拌型反応器、気泡塔型反応器、ループ循環型反応器などが挙げられる。反応方式に特に制限はなく、例えば回分方式、連続方式などにより実施できる。例えば、本発明を回分方式で実施する場合、攪拌型反応器に所定量の第8〜10族金属化合物、リン化合物(III)および必要に応じて溶媒を仕込み、そこに所定量のジエン系化合物(I)を添加してから、反応器を所定割合の一酸化炭素および水素で置換し、所定温度、所定圧力で所定時間攪拌し、反応を行なう(但し、常時一酸化炭素および水素を供給し、系内の圧力を一定に保ちながら反応を行なう。)ことによりアルデヒド化合物(II)を製造することができる。
反応終了後、得られた反応混合液からのアルデヒド化合物(II)の分離方法に特に制限はなく、例えば抽出、蒸留などの方法により実施できる。また、反応終了後、アルデヒド化合物(II)などの生成物を除去した後の触媒成分を含む残留物は、その一部または全部を再び本発明の製造方法に使用することができる。
分離したアルデヒド化合物(II)は、そのまま、または蒸留などにより純度を高めてから、一般的に知られている水素添加反応に付し、相当するアルコールを容易に製造することができる(例えば、水素圧0.5〜1MPa、反応温度80℃で、アルデヒド化合物(II)に対してラネーニッケルを約1質量%使用し、約10時間反応させる。)。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート31mg(0.12mmol)、上記式(4)で示されるリン化合物2.16g(2.4mmol)およびトルエン100mlを仕込み、27℃で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「A液」と称する。)。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口およびガス排出口を備えた内容量300mlのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)およびA液5ml(ロジウム原子換算で0.006mmolに相当)を仕込み、オートクレーブ内を一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、攪拌しながら125℃まで昇温した。反応の開始に伴いガスの消費が始まるので、反応系内の全圧を5MPaに維持するよう一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給した。125℃で3.5時間反応させた後、オートクレーブを冷却し、反応混合液を取り出した。該反応混合液をガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所製 GC−14A、カラム:G−100 (財)化学物質評価研究機構製)により分析した結果、未反応の2,7−オクタジエン−1−オールが3.23g(0.026mol)、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが156.2g(1.00mol)、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが3.13g(0.020mol)、2−ヒドロキシメチル−1,9−ノナンジアールと2−ヒドロキシメチル−7−メチル−1,8−オクタンジアールの合計が1.40g(0.008mol)、1,9−ノナンジアールが9.78g(0.063mol)、エナール化合物類が0.2g(0.001mol)生成していた。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は98%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は79.8%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.1%であった。結果を表1に示す。
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート31mg(0.12mmol)、上記式(4)で示されるリン化合物2.16g(2.4mmol)およびトルエン100mlを仕込み、27℃で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「A液」と称する。)。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口およびガス排出口を備えた内容量300mlのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)およびA液5ml(ロジウム原子換算で0.006mmolに相当)を仕込み、オートクレーブ内を一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、攪拌しながら125℃まで昇温した。反応の開始に伴いガスの消費が始まるので、反応系内の全圧を5MPaに維持するよう一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給した。125℃で3.5時間反応させた後、オートクレーブを冷却し、反応混合液を取り出した。該反応混合液をガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所製 GC−14A、カラム:G−100 (財)化学物質評価研究機構製)により分析した結果、未反応の2,7−オクタジエン−1−オールが3.23g(0.026mol)、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが156.2g(1.00mol)、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが3.13g(0.020mol)、2−ヒドロキシメチル−1,9−ノナンジアールと2−ヒドロキシメチル−7−メチル−1,8−オクタンジアールの合計が1.40g(0.008mol)、1,9−ノナンジアールが9.78g(0.063mol)、エナール化合物類が0.2g(0.001mol)生成していた。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は98%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は79.8%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.1%であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、上記式(12)で示されるリン化合物1.01g(1.2mmol)およびトルエン100mlを仕込み、25℃で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「B液」と称する。)。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口およびガス排出口を備えた内容量300mlのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)およびB液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmolに相当)を入れ、オートクレーブを一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、攪拌しながら125℃まで昇温した。反応の開始に伴いガスの消費が始まるので、反応系内が全圧を5MPaに維持するよう一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給した。125℃で3.5時間反応後、オートクレーブを冷却し、反応混合液を取り出した。該反応混合液を実施例1と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した結果、未反応の2,7−オクタジエン−1−オールが1.61g(0.013mol)、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが139.4g(0.893mol)、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが5.93g(0.038mol)、7−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールと8−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールの合計が8.25g(0.044mol)、1,9−ノナンジアールが15.8g(0.101mol)、エナール化合物類が0.2g(0.001mol)生成していた。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は99%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は70.5%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.1%であった。結果を表1に示す。
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、上記式(12)で示されるリン化合物1.01g(1.2mmol)およびトルエン100mlを仕込み、25℃で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「B液」と称する。)。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口およびガス排出口を備えた内容量300mlのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)およびB液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmolに相当)を入れ、オートクレーブを一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、攪拌しながら125℃まで昇温した。反応の開始に伴いガスの消費が始まるので、反応系内が全圧を5MPaに維持するよう一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給した。125℃で3.5時間反応後、オートクレーブを冷却し、反応混合液を取り出した。該反応混合液を実施例1と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した結果、未反応の2,7−オクタジエン−1−オールが1.61g(0.013mol)、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが139.4g(0.893mol)、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが5.93g(0.038mol)、7−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールと8−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールの合計が8.25g(0.044mol)、1,9−ノナンジアールが15.8g(0.101mol)、エナール化合物類が0.2g(0.001mol)生成していた。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は99%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は70.5%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.1%であった。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)の代わりに1−メトキシ−2,7−オクタジエン179g(1.28mol)を使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、2,7−オクタジエン−1−オール162g(1.28mol)の代わりに1−メトキシ−2,7−オクタジエン179g(1.28mol)を使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、A液5mlに対してα−5−ヘキセニルアクロレイン4g(30mmol、ロジウムに対して5000倍モル)を添加した以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、A液5mlに対してα−5−ヘキセニルアクロレイン4g(30mmol、ロジウムに対して5000倍モル)を添加した以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
<比較例1>
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(13)
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(13)
で示されるリン化合物4.14g(6.0mmol)およびトルエン100mlを仕込み、25℃で攪拌して溶解させた(以下、この混合液を「C液」と称する。)。
実施例2において、B液5mlをC液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例2と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例2において、B液5mlをC液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例2と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
<比較例2>
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(14)
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下にロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(14)
で示されるリン化合物4.21g(6.0mmol)およびトルエン100mlを仕込み、25℃で攪拌して溶解させた(以下、この混合液を「D液」と称する。)。
実施例2においてB液5mlをD液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例2と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例2においてB液5mlをD液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例2と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
<比較例3>
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下でロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(15)
内容量200mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下でロジウムジカルボニルアセチルアセトナート15.5mg(0.06mmol)、下記式(15)
で示されるリン化合物2.87g(6.0mmol)およびトルエン100mlを仕込み、25℃で攪拌して溶解させた(以下、この混合液を「E液」と称する。)。
実施例3においてA液5mlをE液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例3と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例3においてA液5mlをE液5ml(ロジウム原子換算で0.003mmol相当)に代えた以外は、実施例3と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
<実施例5>
内容量200mLの三口フラスコに、窒素雰囲気下でロジウムジカルボニルアセチルアセトナート11.6mg(0.045mmol)、上記式(4)で示されるリン化合物404.8mg(0.450mmol)およびトルエン97.5mLを仕込み、室温で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「F液」と称する。)。また、内容量1000mLの三口フラスコに、窒素雰囲気下で2,7−オクタジエン−1−オール700mLおよびF液48.8mLを入れ、室温で攪拌し均一にした(以下、この溶液を「原料液」と称する。)。なお、この原料液はロジウム濃度0.03mM、上記式(4)で示されるリン化合物濃度0.30mMである。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口、ガス排出口、気液分離管および留出受槽を備えた内容量300mLのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、F液6.5mLおよびトルエン93.5mLを仕込み、オートクレーブ内を一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、オフガスを24L/hの速度で流し、さらに1500rpmで攪拌しながら昇温した。125℃に達した時点で、ガス吹込み口に接続した定量ポンプから原料液を22.5mL/hの速度で供給開始した。反応の開始に伴ってガスの消費が始まるため、反応系内の全圧を5MPaに維持するよう、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給し、同時に反応温度を125℃に、攪拌速度を1500rpmに、オフガスを24L/hに、原料供給速度を22.5mL/hに維持し、連続方式による反応を実施した。反応器内の全液量が200mLを超えるとオーバーフローするように設置したガス排気口から、反応器内の反応混合液を反応器内のガスと共に連続的に気液分離管へ留出させた後、ガスと液体に分離し、ガスはガス流量計を通して排気し、液体は留出受槽に滞留させ、留出受槽が一杯にならないよう1時間ごとに液抜きした(滞留時間8.9時間)。原料液の供給開始から連続28時間反応させ、1時間ごとにサンプリングした液を、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した結果、定常状態において、トルエン6.5%、2,7−オクタジエン−1−オール10.0%、2,7−オクタジエン−1−オールの異性体が4.2%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが60.9%、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが0.6%、7−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールと8−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールの合計が2.8%、1,9−ノナンジアールが8.3%、エナール化合物類が0.2%、それ以外に同定不能の化合物が6.5%となった。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は90%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は73.0%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.2%であった。
内容量200mLの三口フラスコに、窒素雰囲気下でロジウムジカルボニルアセチルアセトナート11.6mg(0.045mmol)、上記式(4)で示されるリン化合物404.8mg(0.450mmol)およびトルエン97.5mLを仕込み、室温で攪拌して溶解させた(以下、この溶液を「F液」と称する。)。また、内容量1000mLの三口フラスコに、窒素雰囲気下で2,7−オクタジエン−1−オール700mLおよびF液48.8mLを入れ、室温で攪拌し均一にした(以下、この溶液を「原料液」と称する。)。なお、この原料液はロジウム濃度0.03mM、上記式(4)で示されるリン化合物濃度0.30mMである。
圧力計、温度計、攪拌装置、ガス吹込み口、ガス排出口、気液分離管および留出受槽を備えた内容量300mLのステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下、F液6.5mLおよびトルエン93.5mLを仕込み、オートクレーブ内を一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで置換した後、5MPaに加圧し、オフガスを24L/hの速度で流し、さらに1500rpmで攪拌しながら昇温した。125℃に達した時点で、ガス吹込み口に接続した定量ポンプから原料液を22.5mL/hの速度で供給開始した。反応の開始に伴ってガスの消費が始まるため、反応系内の全圧を5MPaに維持するよう、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスを常時供給し、同時に反応温度を125℃に、攪拌速度を1500rpmに、オフガスを24L/hに、原料供給速度を22.5mL/hに維持し、連続方式による反応を実施した。反応器内の全液量が200mLを超えるとオーバーフローするように設置したガス排気口から、反応器内の反応混合液を反応器内のガスと共に連続的に気液分離管へ留出させた後、ガスと液体に分離し、ガスはガス流量計を通して排気し、液体は留出受槽に滞留させ、留出受槽が一杯にならないよう1時間ごとに液抜きした(滞留時間8.9時間)。原料液の供給開始から連続28時間反応させ、1時間ごとにサンプリングした液を、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した結果、定常状態において、トルエン6.5%、2,7−オクタジエン−1−オール10.0%、2,7−オクタジエン−1−オールの異性体が4.2%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールが60.9%、8−ヒドロキシ−2−メチル−6−オクテナールが0.6%、7−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールと8−ホルミル−9−ヒドロキシノナナールの合計が2.8%、1,9−ノナンジアールが8.3%、エナール化合物類が0.2%、それ以外に同定不能の化合物が6.5%となった。2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は90%、9−ヒドロキシ−7−ノネナールの選択率は73.0%であった。また、エナール化合物類の選択率は0.2%であった。
上記表1より、リン化合物(III)を用いた場合(実施例1〜4)、高い転化率および選択率が得られており、また、反応系におけるエナール化合物類の生成量が抑えられている。実施例4では、反応系内に故意にエナール化合物であるα,β−不飽和アルデヒドを混入させたが、反応挙動に変化は観測されず、リン化合物(III)により反応活性低下が抑制されている。さらに、実施例5の結果から、リン化合物(III)を用いた長時間の連続反応においても、高い転化率および選択率を維持し続けることが確認でき、アルデヒド化合物(II)を安定して製造することが可能である。一方、その他のリン化合物を使用した場合(比較例1〜3)では、転化率および選択率が大幅に低下しており、さらにエナール化合物類の生成量が増加している。かかる比較例1〜3では、多少反応は進んだものの、生成するエナール化合物類により反応活性が低下したため、反応の進行が停止したものと考えられる。
Claims (2)
- 下記一般式(I)
で示されるジエン系化合物を第8〜10族金属化合物の存在下に一酸化炭素および水素と反応させることによる、下記一般式(II)
で示されるアルデヒド化合物の製造方法において、下記一般式(III)
で示されるリン化合物の存在下に反応を行なうことを特徴とする、反応活性低下を抑制したアルデヒド化合物の製造方法。 - リン化合物が、下記一般式(IV)、(V)または(VI)
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