JP2006141296A - 保存性ゲル状酒 - Google Patents
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Abstract
【課題】 醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用いてなるゲル状酒において、その常温下での長期保存性を効果的に高めること。
【解決手段】 醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類に、糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめてなる溶液を、食用ゲル化剤にてゲル化することにより、保存性ゲル状酒を得る。
【選択図】 な し
【解決手段】 醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類に、糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめてなる溶液を、食用ゲル化剤にてゲル化することにより、保存性ゲル状酒を得る。
【選択図】 な し
Description
本発明は、保存性の良好なゲル状酒に係り、特に、醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用いてなるゲル状酒において、その保存性を高める技術に関するものである。
従来から、ビール、清酒、ぶどう酒(ワイン)、焼酎、ウィスキー等の各種の酒類が、液体の形態において飲用に供されてきているが、それら酒類を、所定の形状を与える固形物の形態において、食用に供することは、殆ど行なわれていない。なお、ブランデーを加えたケーキや、梅酒等の酒類を加えた酒精風味ゼリー等は知られているが、それらは酒類を主体としたものではなく、また一般に、酒味が感じられるものの、アルコール濃度が低いために、酒類の固形物として、食用に供されているものではなかった。
そこで、特開昭53−52639号公報(特許文献1)や特開平5−317027号公報(特許文献2)等においては、そのような液状の酒類を食品用ゼリー化剤乃至は食用ゲル化剤にて固形化して、ゼリー状乃至はゲル状の固形酒を製造することが、明らかにされている。
しかしながら、それら公報に提案されている固形酒にあっては、液状の酒類に対して、単に、食用のゲル化剤乃至はゼリー化剤を添加して、固形化せしめただけのものであるところから、アルコール濃度の高いリキュール類由来品以外は、常温での長期保存性に乏しく、特にアルコール分が25%以下の酒類にあっては、液体状態であっても、長期保存性に劣るものであるが、また、そのような性質は、それが固形酒とされた場合にあっても、同様に引き継がれることとなるのである。例えば、清酒やぶどう酒等の醸造酒は、アルコール濃度が通常20%程度以下となるものであるが、それは、常温下での長期保存性に劣るものであって、そのために固形酒とされた場合にあっても、長期保存性に劣るものとなっているのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用いてなるゲル状酒において、その常温下での長期保存性を効果的に高めることにある。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題を解決するために、醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用い、これに糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめてなる溶液を、食用ゲル化剤にてゲル化してなることを特徴とする保存性ゲル状酒を、その要旨としている。
なお、かかる本発明に従う保存性ゲル状酒の望ましい態様の一つによれば、前記糖アルコールとして、キシリトールが、好適に用いらることとなる。
また、そのような本発明に従う保存性ゲル状酒の望ましい態様の他の一つによれば、前記アルコールとして、アルコール分が25%を超える高濃度アルコール液を用い、前記酒類への添加によって、前記溶液全体としてのアルコール分が25%を超えるように調整されることとなるのである。
このように、本発明に従う保存性ゲル状酒にあっては、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用いているにも拘らず、そのような酒類に糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめて、ゲル化しているところから、得られるゲル状酒においては、糖分やアルコール分の濃度が増大せしめられたものとなっているのである。そして、それら糖分やアルコール分の濃度が増すに従って、常温下における長期保存性がより一層高められ得ることとなるのであり、以て、常温で長期保存可能なゲル状酒の実用化が、有利に実現され得たのである。
そして、そのような常温下で長期保存可能なゲル状酒の実用化によって、その保存管理が一層容易となり、また、持ち運びやハンドリングのわずらわしさが軽減され、より広く手軽にアルコールを摂取することが出来ることとなったことに加えて、容器の倒れによる車中等でのこぼれのトラブル等からも開放されることとなったのである。
なお、かかる本発明に従う保存性ゲル状酒において、糖アルコールとして、キシリトールを用いることにより、酒類との混合において、ショ糖ほど味覚を損なうことはなく、また、その濃度を高めるほど、香気をキャッチする力が強くなるという利点を発揮させることが出来、以て、原料としての酒類の特性への影響を軽減したゲル状酒を得ることが出来るという特徴を発揮する。
また、本発明においては、アルコールとして、アルコール分が100%のものが使用される他、アルコール分濃度が高い高濃度アルコール液を用いることも可能であり、その場合において、それが添加されて形成される溶液の全体としてのアルコール分が、25%を超えるように調整されることによって、常温下で長期保存可能なゲル状酒が、有利に形成されることとなる。
ところで、かくの如き本発明に従う保存性ゲル状酒において、対象とされる原料たる酒類としては、アルコール分が25%以下であるために、常温下において長期保存が困難である酒類の何れもが、その対象とされ得るものであるが、特に、本発明にあっては、清酒の他、ぶどう酒(ワイン)、りんご酒等の果実酒を含むアルコール含有量の低い醸造酒が用いられて、それらから、保存性の良好なゲル状酒が製造されることとなる。
そして、本発明にあっては、そのような長期保存性に劣る酒類をゲル化して、目的とするゲル状酒と為すに際して、そのような酒類に対して、糖アルコール及び/又はアルコールを添加し、必要に応じて加温乃至は加熱することにより、溶解せしめて、ゲル化溶液が調製されるのである。このような糖アルコール及び/又はアルコールの添加、溶解によって、糖分が増大し、また、アルコール分が増すこととなり、これによって、保存性が高められることにより、得られるゲル状酒の保存性も向上せしめられることとなるのである。
ここで、かかる酒類に添加、溶解せしめられる糖アルコールとしては、キシリトールを始め、ソルビトール、マルチトール、エルスリトール等の、公知のものを挙げることが出来る。そして、それらキシリトール等の糖アルコールは、保存性の向上に加えて、その溶解濃度が高くなるほど、香気をキャッチする力が強い特徴も併せ有しているのである。中でも、キシリトールは、アルコール飲料との混合において、ショ糖ほど味覚を損なうことがない特徴を有しているのであり、加えて、非発酵性の糖アルコールで、虫歯の原因となることもないところから、本発明にあっては、それ単独で或いはほかの糖アルコールやアルコールと混合された形態において、有利に用いられ得るのである。
また、本発明に従って、長期保存性に劣る酒類にアルコールを添加、溶解せしめれば、かかる酒類中のアルコール分が増すこととなり、これによって、その保存性が向上せしめられるようになる。なお、ここで添加、溶解せしめられるアルコールとしては、100%濃度のアルコールの他、アルコール分を高濃度で含むアルコール液(水溶液)を用いることが出来るが、その場合にあっては、アルコール分が25%を超える、好ましくは30%以上の高濃度アルコール液(水溶液)を用い、その酒類への添加によって形成される溶液の全体としてアルコール分が25%を超えるように調整されることによって、常温下における保存性がより一層高められ得ることとなる。
なお、そのような糖アルコールやアルコールの酒類に対する添加量としては、酒類の種類や目的とする保存性の程度等によって、適宜に決定されることとなるが、一般に、酒類の1重量部に対して、糖アルコールやアルコールは、1重量部を超えない割合において添加、溶解せしめられることとなる。余りにも多い糖アルコールやアルコールの添加は、酒類本来の特性乃至は性質を損なう恐れを生じさせるからである。
また、本発明に従うゲル状酒は、上述の如き糖アルコール及び/又はアルコールが添加、溶解せしめられてなる酒類溶液を、所定のゲル化剤にて、公知の手法に従って、ゲル化することにより、容易に形成され得るものであるが、本発明に従うゲル状酒の主たる用途が、食用であるところから、用いられるゲル化剤としては、食品添加剤として使用規制基準のないものが望ましく、また、製造品(ゲル状酒)の状態、味覚、コスト、腐敗等を考慮して、選定されることとなるが、本発明にあっては、寒天、でんぷんの使用が有用である。尤も、でんぷんを用いた場合にあっては、得られるゲル状酒が糊状となり、粘性が強いものとなる。また、アルギン酸ナトリウム等のイオン化傾向のある塩類からなるゲル化剤の使用は、避けることが望ましい。
なお、このようなゲル化剤の使用量としては、目的とするゲル状酒の硬さに応じて、高範囲に選択することができるが、一般に、酒類溶液(酒類+糖アルコール/アルコール)に対して0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜3重量%程度の割合において、用いられることとなる
そして、そのようなゲル化剤は、長期保存性に劣る酒類に、糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめてなる溶液に更に添加されて、必要に応じて加温乃至は加熱されることによって、均一に溶解せしめられることにより、その溶液のゲル化が行なわれるのである。
かくの如くして得られた本発明に従うゲル状酒は、全体として、所定の形状を保持することの出来るゲル状の物体でありながら、原料として用いた酒類に特有の風味や特性が保持されて、酒類として特有の効能を有するものとなっているのであり、従来の液状の酒類とは異なり、固形の食品として、各種の用途に用いられて、従来の如き「こぼれ」のトラブルから全く開放された食品として、長期間に亘って利用することが出来る等という特徴を発揮することが出来るのである。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した本発明に係る具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えるものであることが、理解されるべきである。
実施例 1
先ず、アルコール分が約17%である清酒(純米酒)を準備し、これに、糖アルコールの一つであるキシリトールを添加して、溶解せしめた。なお、清酒とキシリトールの配合割合は、重量比で、前者の3部に対して、後者が2部となるようにした。
先ず、アルコール分が約17%である清酒(純米酒)を準備し、これに、糖アルコールの一つであるキシリトールを添加して、溶解せしめた。なお、清酒とキシリトールの配合割合は、重量比で、前者の3部に対して、後者が2部となるようにした。
次いで、かかるキシリトール溶解清酒に対して、その0.8重量%となる割合の粉末寒天を加えて、混合分散させた後、加熱し、寒天を溶解せしめ、その後、室温まで冷却することによって、透明感のあるゲル状体(ゲル状酒)を得た。
このようにして得られたゲル状体を食した結果、甘味は感じられるものの、敬遠されるような嫌味な甘味ではなく、清酒風味の保持も良好であることを認めた。また、このゲル状体を蓋付プラスチック容器(本体:ポリプロピレン製、蓋部:ポリエチレン製)に収容し、真夏の時期の3ヶ月間、台所の流し台下の収納に放置したところ、そのようなゲル状体に、腐敗やカビの発生は何等認められなかった。
実施例 2
醸造酒として、アルコール分が約14%の赤ワイン(酸化防止剤無添加品)を準備し、これに、キシリトールを溶解せしめた。なお、ワイン:キシリトールの配合比は、重量比にて、3:2とした。そして、そのキシリトール溶解赤ワインに対して、粉末寒天を、かかる赤ワイン溶液に対して0.8重量%となるように加えて、混合分散させた後、加熱して、寒天を溶解せしめ、更に、その後、室温まで冷却することにより、透明感のあるワイン色のゲル状体(ゲル状酒)を得た。
醸造酒として、アルコール分が約14%の赤ワイン(酸化防止剤無添加品)を準備し、これに、キシリトールを溶解せしめた。なお、ワイン:キシリトールの配合比は、重量比にて、3:2とした。そして、そのキシリトール溶解赤ワインに対して、粉末寒天を、かかる赤ワイン溶液に対して0.8重量%となるように加えて、混合分散させた後、加熱して、寒天を溶解せしめ、更に、その後、室温まで冷却することにより、透明感のあるワイン色のゲル状体(ゲル状酒)を得た。
このようにして得られたワイン色のゲル状体には、甘味は感じられるものの、敬遠されるほどの嫌味のある甘味ではなく、また、ワイン風味保持も良好であった。更に、かかるゲル状体を蓋付のプラスチック容器(本体:ポリプロピレン製、蓋部:ポリエチレン製)に収容し、真夏の時期の3ヶ月間、台所の流し台下の収納に放置したところ、ゲル状体には、何等の腐敗も、カビの発生も何等認められなかった。
実施例 3
清酒(純米酒;アルコール分約17%)と焼酎(甲類;アルコール分約35%)とを重量比で1:1となるように混合した後、その全量に対して1.2重量%となる割合において、粉末寒天を加え、混合分散させた後、更に加熱して、かかる寒天を溶解せしめ、その後、室温まで冷却することにより、透明感のあるゲル状体(ゲル状酒)を得た。
清酒(純米酒;アルコール分約17%)と焼酎(甲類;アルコール分約35%)とを重量比で1:1となるように混合した後、その全量に対して1.2重量%となる割合において、粉末寒天を加え、混合分散させた後、更に加熱して、かかる寒天を溶解せしめ、その後、室温まで冷却することにより、透明感のあるゲル状体(ゲル状酒)を得た。
このようにして得られたゲル状体にあっては、焼酎の配合によってアルコール分が増したものとなっており、口当たりに幾分変化はあるものの、清酒風味保持は良好であった。また、このゲル状体を蓋付プラスチック容器に収容して、真夏の時期の3ヶ月間、台所の流し台下の収納に放置したところ、かかるゲル状体には、腐敗やカビの発生は何等認められなかった。
実施例 4
清酒(純米酒;アルコール分約17%)に対して、キシリトールを、清酒:キシリトール=3:2(重量比)において、添加、溶解せしめた後、その全量に対して10重量%となる割合において、ゲル化剤としてのでんぷん(コーンスターチ)を加えて、混合分散せしめた後、加熱し、でんぷんを溶解させ、その後、室温まで冷却することにより、透明感のある糊状ゲル体を得た。
清酒(純米酒;アルコール分約17%)に対して、キシリトールを、清酒:キシリトール=3:2(重量比)において、添加、溶解せしめた後、その全量に対して10重量%となる割合において、ゲル化剤としてのでんぷん(コーンスターチ)を加えて、混合分散せしめた後、加熱し、でんぷんを溶解させ、その後、室温まで冷却することにより、透明感のある糊状ゲル体を得た。
このようにして得られた糊状ゲル体には、甘味は感じられるものの、それは敬遠されるほどの嫌味な甘味ではなく、清酒風味保持も良好であることを認めた。また、この糊状ゲル体を蓋付プラスチック容器に収容し、真夏の期間の3ヶ月間、台所の流し台下の収納に放置した結果、そのようなゲル体には、腐敗やカビの発生は何等認められなかった。
Claims (3)
- 醸造酒等の、アルコール分が25%以下の長期保存性に劣る酒類を用い、これに糖アルコール及び/又はアルコールを添加、溶解せしめてなる溶液を、食用ゲル化剤にてゲル化してなることを特徴とする保存性ゲル状酒。
- 前記糖アルコールとして、キシリトールが用いられている請求項1に記載の保存性ゲル状酒。
- 前記アルコールとして、アルコール分が25%を超える高濃度アルコール液を用い、前記酒類への添加によって、前記溶液全体としてのアルコール分が25%を超えるように調整されている請求項1又は請求項2に記載の保存性ゲル状酒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004336502A JP2006141296A (ja) | 2004-11-19 | 2004-11-19 | 保存性ゲル状酒 |
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