JP2006141209A - 納豆の殺菌方法および殺菌された納豆 - Google Patents

納豆の殺菌方法および殺菌された納豆 Download PDF

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Abstract

【課題】
納豆の保存期間あるいは賞味期間を延長し、常温での保存を可能にし、他の食材へのトッピングに用いた場合において、当該他の食材中に存在する菌の作用が阻害されることがない納豆を提供する。
【解決手段】
発酵工程を終って熟成工程に移行した後3時間以内の間であって納豆菌の芽胞の割合が最も少ないタイミングで、殺菌を行なうことによって、生きた納豆菌がいないか非常に少ない納豆を製造する。
【選択図】 図9

Description

本発明は伝統食品である納豆に関する。
納豆の製造は、原料大豆を洗浄後十分に吸水させ、圧力釜で高圧蒸煮し、純粋培養した納豆菌を植菌、発酵容器に充填後適温で保持し製造する。近年はバイオテクノロジーを応用した改良納豆菌の使用も見受けられる。また、業務用など他用途への拡大を目指した工夫も見られる。
糸引き納豆は伝統食品であって、古来より農家で自家用として作られていた。伝統的な納豆製造では、煮熟大豆を藁苞に詰めてそれを様々な方法で保温することにより、稲藁に付着していた納豆菌が煮熟大豆表面で増殖し、粘りと香気を生成して納豆になった。しかし、稲藁の納豆菌数が少なかったり、保温が不十分のために品質の良い納豆にならない場合が多かった。
現在の納豆製造業でも、大豆表面に納豆菌を増殖させる点では伝統的な製造方法と変わらないが、明治以降、製造工程に様々な改良が加えられている。大豆の蒸煮は、水煮や無圧の蒸煮から圧力釜による高圧短時間蒸煮となり、発酵室も、土、石製から繊維強化プラスチック製となり、熱源も木炭や練炭から電熱となり、さらに冷却装置をつけ、自動制御による温度管理をするようになった。容器についても、藁苞から、発泡スチロールや紙カップの容器へと変化してきた。納豆菌についても、純粋培養の菌を使用することにより菌数不足による発酵不良がなくなった。
現在では、工程の自動化がさらに進み、装置産業化しているとともに、納豆菌の改良を行なうなど、納豆の付加価値の向上も目指している。すなわち浸漬工程においては、特公昭61−10101号公報に開示のように、浸漬時の雑菌増殖の防止、限定吸水、副原料の均一な混合、大豆のアルカリ処理等のきめ細かな処理をすることにより、品質の向上を図っている。
蒸煮工程では、特公昭59−40423号公報のような連続蒸煮、特公平4−71506号公報のような蒸煮条件のコンピュータ制御などによって、蒸煮の効率化、バッチ式蒸煮における煮豆性状の均一化を図っている。また、特公昭60−38103号公報に見られるように、蒸煮工程から充填機への煮豆の移動の自動化などもなされ、作業の効率化が進んでいる。また植菌については、集中配管方式なども導入されている。
発酵工程はバッチ式の発酵室が主流であるが、特許第2916507号のような効率化、発酵温度の均一化を図るべく、連続発酵装置の導入もなされている。しかし、商品アイテムが多い場合には、様々な発酵温度経過に対応が困難であること、装置の衛生管理が難しいなどの問題も指摘されている。このために従来のバッチ式室で、内部の気流を調節し、温度ムラの解消を図ったり、納豆菌の増殖を伴い、発生するアンモニアガス量を指標として発酵温度管理を行なうなどの工夫をした発酵室も考案されている。また、特公平8−8839号公報のように、添加物、特開平7−23728号公報のように、包材や温度管理等で発酵調節を行なうことにより、品質の改良を図る、あるいは、特公平8−51号公報に見られるように、発酵前で冷凍し、適宜解凍後以後の発酵をすることにより、省力化を目指すなどの工夫も見られる。
納豆は、家庭の米飯のおかずとして食されていたが、特許第2670981号や、特許第2993941号のように、寿司用の棒状成形納豆、真空フライによるスナック用納豆などの用途の拡大を図った工夫も見られる。
納豆菌に関しては、変異処理などにより、特公平5−60335号公報のように、温度感受性や、特公平5−83222号公報のように特定の酵素活性の向上、バクテリオファージ耐性などの性質をもった菌株を取得し、その菌を用いて納豆を製造することにより、食味や保存性の向上、機能性の付与を図っている。
現在工業的に行なわれている納豆の製造工程は、大豆の浸漬、納豆菌の接種、発酵、熟成の工程を順次行なうものであって(図1参照)、これにより食品としての納豆が出来上る。納豆は、熟成後も納豆菌が大豆表面に生息し続けている。ここで納豆菌は栄養細胞と芽胞の2つの状態を通り、環境条件に応じて2つの状態を交互に繰返している。
芽胞とは菌が種子類似の形態をとるものであって、小さな形態をとるとともに、表面に表皮を形成して環境ストレスから身を守る形態である。そして環境条件が良くなると、再び栄養細胞に戻り、再び環境条件が悪化すると芽胞に戻る。
このように芽胞化した納豆菌は表皮を形成しているために、熱や紫外線のような外部ストレスに非常に強くなる。加熱殺菌は芽胞化した納豆菌に対して一応の効果はあるが、殺菌効果を生ずるためには115℃で40分以上の殺菌が必要とされている。そして熟成後の納豆に付着する納豆菌は大部分が芽胞状態であり、納豆製造後に殺菌処理を行なっても殺菌が難しい。また温度を上げることによって殺菌効果を高めることは可能になるが、殺菌のために温度を上げると納豆を痛め、これによって納豆の風味をなくし、その商品価値を損う。
納豆菌は浸漬と蒸煮とによって大豆の表面に出てきた糖分をポリグルタミン酸(PGA)に変化させ、貯蔵物質として表面に付着させる。これが納豆の粘り成分である。温度を0℃の低温にすることで菌の活動を鈍くすることができるものの、菌の活動を完全に停止することができないために、流通過程の温度変化でPGAを栄養源として納豆菌が再び活動を開始し、その結果アンモニアが生産されて納豆の品質低下が生じ、賞味期限が短くなっている。
現状においては、風味を残したまま納豆菌を殺菌し、生きた納豆菌がいない納豆を製造する技術は存在しない。また熟成後の納豆でも納豆菌は生きており、繁殖を抑えるために、低温で保存させる必要がある。
このように納豆の風味を残したまま納豆菌を殺菌することが従来の技術においては不可能である。また保存期間あるいは賞味期間を延ばす技術、常温で保存を可能にする技術が存在しない。また他の食材へのトッピング(添加)として納豆を利用した場合に、例えばパン工場でパンに納豆をトッピングする場合に、納豆菌が繁殖すると、納豆菌の混入によりイースト菌の発酵が抑制され、このためにイースト菌発酵に不具合を生ずる可能性がある。また他の食材へ生きた納豆菌を持込んでしまうために、利用用途が限定されていた。
特公平5−60335号公報 特公平5−83222号公報
本願発明の課題は、納豆の風味を残したまま納豆菌を殺菌する納豆の殺菌方法、および殺菌された納豆を提供することである。
本願発明の別の課題は、納豆菌を殺菌することによって、保存期間あるいは賞味期間を延ばすようにした納豆の殺菌方法、および殺菌された納豆を提供することである。
本願発明のさらに別の課題は、常温で保存しても納豆菌が繁殖せず、常温での保存を可能にした納豆菌の殺菌方法、および殺菌された納豆を提供することである。
本願発明のさらに別の課題は、他の食材へのトッピング材として納豆を利用した場合に、他の食材へ生きた納豆菌を持込んでしまうことがないようにした納豆の殺菌方法、および殺菌された納豆を提供することである。
本願発明のさらに別の課題は、他の食材へのトッピング材として納豆を利用した場合に、当該他の食材に存在する細菌に対する不具合を抑制するようにした納豆の殺菌方法、および殺菌された納豆を提供することである。
本願の上記の課題および他の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされよう。
本願の主要な発明は、大豆に納豆菌を接種して発酵させた後に、納豆菌の栄養細胞率が高く芽胞率が低い状態のときに殺菌を行なうことを特徴とする納豆の殺菌方法に関するものである。
ここで、発酵工程に次いで行なわれる熟成工程開始後から3時間の間に殺菌を行なってよい。また芽胞率が30%以下のときに殺菌を行なってよい。また殺菌が加圧、オゾン、高周波、超音波、超臨界、蒸気、紫外線、赤外線の何れかの方法により行なってよい。また殺菌に先立って納豆に対して発芽処理を行なってよい。また発芽処理がヒートショック、アミノ酸添加、グルコース添加の何れかの方法により行なってよい。
本願の別の主要な発明は、上記の何れかの方法によって殺菌された納豆に関するものである。
本願発明の好ましい態様は、納豆の製造過程における納豆菌の栄養細胞率と芽胞率の変化に着目し、栄養細胞率が高く芽胞率が低いポイントで効果的に殺菌を行なうものである。殺菌は菌や大豆の種類によって発酵・熟成条件が異なる。殺菌は納豆としての発酵がほぼ完了し、かつ栄養細胞率と芽胞率とを測定し、栄養細胞の比率が高く芽胞率が低いところで実施する。よってそれぞれの発酵と熟成の工程で大豆表面の納豆菌を採取して、栄養細胞率と芽胞率を測定することにより決定することができる。また殺菌方法は、納豆の品質を劣化させない方法と時間とであれば、加熱、オゾン、高周波、超音波、超臨界、蒸気、紫外線、赤外線等の各種の殺菌方法を任意に選択できる。
本願の主要な発明は、大豆に納豆菌を接種して発酵させた後に、納豆菌の栄養細胞率が高く芽胞率が低い状態のときに殺菌を行なうようにしたものである。
従ってこのような納豆の殺菌方法によれば、芽胞率が低く納豆菌がほとんど栄養細胞の状態で殺菌を行なうために、殺菌条件を緩和しても効果的に納豆菌の殺菌を行なうことが可能になり、これによって納豆菌が存在しないか存在したとしても少ない納豆菌しか残存していない納豆を提供できるようになる。そして納豆菌がほとんど存在しないために、納豆の風味が損われず、とくにアンモニアの発生が抑制される。また納豆菌がほとんど存在していない納豆は、保存期間あるいは賞味期間が長くなる。また納豆菌がほとんど存在しない納豆は、常温での保存が可能になる。さらにこのような納豆菌を殺菌した納豆は、他の食材へのトッピング材として用いた場合にも、該他の食材中に含まれる菌の作用を抑制することがなく、このために納豆の利用用途を拡大できる。
以下本願発明をその実施の形態によって、図面を参照して説明する。
納豆の製造
本実施の形態において、納豆の原料としての大豆として、有機栽培の大豆を用意した。またこの大豆に対して接種する菌として、高橋菌(市販)を用いた。
次に納豆の製造方法を図1、図2〜図6、および図7を参照しながら説明する。
(1)水洗:大豆を必要量量り、水道水で軽く3回程水洗する。
(2)浸漬:大豆の約3倍量の水を加え、15℃前後で10〜15時間浸漬する。大豆が水で膨潤する。
(3)蒸煮:圧力鍋の内側の底に、アルミホイルを棒状に丸め、底上げをし、水道水を約90ml入れ、クッキングシートを内側に敷いた上に、水を切った煮豆を移し、蓋をして強火にかける(図2)。圧力が0.15〜0.20MPaに上がってから(圧力鍋の重りが蒸気を出しながら回り始めてから)約30分間蒸す(火は圧力鍋の重りが適度に回る程度に調整しておく)。図3は蒸煮後の大豆を示している。
(4)接種:蒸し終ったら直ちに水を切り、容器に移し、納豆菌懸濁液(胞子を含んだ水または培養液)をかけ、納豆菌が万遍なく大豆につくように混ぜる(図4)。
(5)発酵:ラップ等で蓋をし、空気穴をあけ、40℃のインキュベータに入れ、24時間置く(蓋は通気性を良くする)(図5)。
(6)熟成:冷蔵庫に移し、20〜50時間放置する。この熟成工程の初期において、殺菌を行なう。そして殺菌後に再び熟成を行ない、上記の時間を過ぎた段階で冷蔵庫から取出す(図6)。なお通常大豆1個当り1億個の納豆菌を有する。
芽胞率の測定
次に栄養細胞率と芽胞率の測定について説明する。栄養細胞と芽胞との割合は、栄養細胞と芽胞の染色によって行なう。芽胞の染色は、Wirtz法とグラム染色法とを組合わせて実施した。以下にその工程を示す。
(1)スライドグラスをエタノールに漬け、洗浄し、火で炙り、エタノールを飛ばす。
(2)滅菌水を一滴スライドグラスの上に垂らす。
(3)大豆表面を滅菌済みのつまようじで掻取り、スライドグラス上の水に懸濁し、広げて風乾する。
(4)バーナの炎の上を3回通過させ、固定する。
(5)試料の上にマラカイトグリーンを乗せ、1分間加温染色(60℃)する。
(6)スライドグラスの裏から洗瓶の流水で水洗する。
(7)試料の上に、ハッカーのクリスタル紫溶液を乗せ、1分間染色する。
(8)スライドグラスの裏から、洗瓶の流水で水洗する。
(9)試料の上にルゴール液を乗せ、1分間染色する。
(10)スライドグラスの裏から、洗瓶の流水で水洗する。
(11)95%エタノールで脱色する。
(12)サフラニンを乗せ、30分間染色する。
(13)スライドグラスの裏から、洗瓶の流水で水洗する。
(14)顕鏡すると、芽胞はグリーンに、栄養細胞はブルーにそれぞれ染色されているので、識別できる(図8)。
芽胞率の測定結果
芽胞率の測定は、顕微鏡の1視野中に栄養細胞と芽胞とがどの程度の比率でいるかを観察することにより、その割合を求める。
上記のような手法を用い、発酵開始から熟成までの間における納豆菌の芽胞率の割合、すなわち栄養細胞と芽胞との和に対する芽胞の比率を経時的に観察したところ、図9に示すように、発酵段階の納豆菌の芽胞および栄養細胞の状態は、発酵2時間後に芽胞の発芽が開始され、5時間後には総ての納豆菌が栄養細胞になった。そして発酵11時間後にはその内の50%が芽胞になり、発酵24時間後までは芽胞は存在し続けた。
発酵工程を終って熟成工程に移行し、4℃で熟成を開始すると、熟成1時間後には50%に、2時間後には30%以下に芽胞率が下がり、この後3時間後に60%、4時間後には80%と再び芽胞率が上昇した。この結果から明らかなように、4℃に温度を下げる熟成工程の開始時点から3時間の間に芽胞率が一時的に急激に低下する状態が発現することが確認された。本願発明はこのような熟成開始直後から3時間の間における芽胞率が低い状態を利用し、この間に納豆菌を殺菌し、これによって納豆菌が存在しない納豆を提供するものである。
殺菌力の測定
別のロットの納豆について、殺菌力の測定を行なったところ、発酵6時間後(栄養細胞100%、芽胞率0%)、熟成1時間後(栄養細胞80%、芽胞率20%)、熟成5日後、(栄養細胞38%、芽胞率62%)のそれぞれのポイントで、納豆の殺菌試験を行なった。試験区を表1に示す。評価は殺菌率と色の変化との測定によって行なっ
た。結果を表2に示す。
上記の表2の結果から明らかなように、各試験区ともに栄養細胞率が高い熟成1時間後(栄養細胞80%、芽胞率20%)のポイントが最も殺菌率が高く、熟成率が進み、芽胞率が高まるほど殺菌率が低下した。これは芽胞率が高まって表皮を有する芽胞に納豆菌が変質するほど殺菌が困難になり、これによって殺菌の効果が低下し、納豆菌の残存率が増加したことを意味する。また3つの処理法の中ではオゾン殺菌が最も殺菌率が高いことが判明している。
図10に示すように大豆に付着する納豆菌は、その種皮の外表面の部分に存在するとともに、一部の納豆菌は種皮と子葉との境界部分に存在する。そしてその割合は例えば外皮上に80%が、種皮と子葉との間に20%が存在する。加熱殺菌および紫外線殺菌の場合には、とくに種皮と子葉との境界層にいる納豆菌に対して殺菌効果が弱い。これに対してオゾン殺菌の場合には、外表面側の納豆菌のみならず種皮と子葉との境界層にいる納豆菌に対しても殺菌作用をもっているために殺菌率が高まり、高い殺菌率が得られる。
発芽処理とオゾン殺菌の併用
熟成後の一時的な芽胞の発芽をさらに促進し、これによって栄養細胞を増加させるために、発芽処理を行なった。芽胞の発芽にはヒートショックやアミノ酸、グルコースの添加が有効である。熟成直前に納豆の表面に0.1mMのL− アラニンを散布した。熟成1時間後に栄養細胞率と芽胞率とを測定し、オゾン濃度が0.5ppmの雰囲気下に入れ、10分間処理し、殺菌率を測定した。この結果、アミノ酸であるL−アラニンを処理するで、栄養細胞率100%、芽胞率0%ととなり、オゾンによる殺菌で殺菌率100%の好成績を得た。
この結果から明らかなように、殺菌の前に発芽処理を行なって、芽胞率をさらに低下させることがより効率的な殺菌を可能にする。
保存期間とアンモニアの発生
殺菌処理をしていない納豆と、殺菌率95%の納豆と、殺菌率100%の納豆とをそれぞれ角ックに50gずつ入れ、常温で1日間保管し、納豆周辺の雰囲気のアンモニアの発生量を測定した。この結果表3に示すように、殺菌処理をしていない納豆は、100ppm以上のアンモニアを検出したのに対し、殺菌処理をした納豆は、アンモニア濃度が50ppm以下であった。従って殺菌処理することによって、腐敗が抑えられ、アンモニアが発生し難くなることが確認された。
納豆の外表面に付着している納豆菌の栄養細胞が大豆を食べる。そしてその際に納豆菌がアンモニアを発生する。アンモニアは悪臭を放つばかりか、腐敗原因物質であって、アンモニアそれ自体が納豆を腐敗させる。このことから、アンモニアの発生によって納豆自身の腐敗が生じ、品質の低下と賞味期限の短縮化とをもたらす。従ってアンモニアの発生を抑えることにより、納豆の腐敗を抑制し、その品質を維持して賞味期限を長期化することが可能になる。
実施の形態の作用・効果
本実施の形態によれば、発酵工程を完了して熟成工程の開始時点であって温度を約4℃に下げる熟成開始から3時間以内の間に殺菌処理を行なうことによって、風味を残したまま納豆菌を殺菌し、生きた納豆菌がいない納豆を製造することが可能になる。これによって保存期間中に腐敗の進行に伴うアンモニアの発生が減少し、賞味期間を延長することができる。また常温による保存が可能になり、低温での保存が必要でなくなる。またパンやピザなどの他の食材へのトッピングとして納豆を利用しても、生きた納豆菌によるイースト菌などへの汚染がなくなるために、利用用途が拡大される。
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態における殺菌のタイミングについては、用いる原料や工程の条件によって、最適なタイミングが異なるために、好ましくはロット毎に、栄養細胞と芽胞との割合を測定して最適なタイミングを設定することが好適である。この条件は本願発明の技術的思想を制限するものではなく、本願発明に包含される範囲内である。
本願発明は、風味を残したまま納豆菌を殺菌し、生きた納豆菌がいない納豆を提供するのに利用可能である。
納豆の製造工程を示す流れ図である。 蒸煮の状態を示す斜視図である。 蒸煮後の大豆の状態を示す斜視図である。 納豆菌の接種を示す斜視図である。 インキュベータでの発酵の状態を示す斜視図である。 完成した納豆の平面図である。 納豆の製造プロセスを示すフローチャートである。 栄養細胞と芽胞との混在を示す顕微鏡写真である。 時間に対する芽胞率の変化を示すグラフである。 納豆菌の分布を示す大豆の拡大断面図である。

Claims (7)

  1. 大豆に納豆菌を接種して発酵させた後に、納豆菌の栄養細胞率が高く芽胞率が低い状態のときに殺菌を行なうことを特徴とする納豆の殺菌方法。
  2. 発酵工程に次いで行なわれる熟成工程開始後から3時間の間に殺菌を行なうことを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 芽胞率が30%以下のときに殺菌を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の納豆の殺菌方法。
  4. 殺菌が加圧、オゾン、高周波、超音波、超臨界、蒸気、紫外線、赤外線の何れかの方法により行なわれることを特徴とする請求項1に記載の納豆の殺菌方法。
  5. 殺菌に先立って納豆に対して発芽処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の納豆の殺菌方法。
  6. 発芽処理がヒートショック、アミノ酸添加、グルコース添加の何れかの方法により行なわれることを特徴とする請求項5に記載の納豆の殺菌方法。
  7. 請求項1〜6の何れかの方法により殺菌された納豆。
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