JP2006140065A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】起動時、または停止時に燃料電池スタックの劣化を抑制した燃料電池しシステムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムを起動する場合に、燃料極へ水素を供給した後に燃料電池スタック1(単位セル30)の電圧が所定電圧以上となった場合に、バッテリ5によって燃料電池スタック1に電圧を印加し、酸化剤極の触媒層32bの触媒表面に酸化被膜を形成し、酸化剤極の劣化を抑制する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池システムを起動する場合に、燃料極へ水素を供給した後に燃料電池スタック1(単位セル30)の電圧が所定電圧以上となった場合に、バッテリ5によって燃料電池スタック1に電圧を印加し、酸化剤極の触媒層32bの触媒表面に酸化被膜を形成し、酸化剤極の劣化を抑制する。
【選択図】 図1
Description
本発明は燃料電池システムに関するものであり、特に電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の触媒劣化の抑制に関するものである。
燃料電池システムにおいて、酸化剤極側に空気等の酸化剤ガスが存在し、燃料極側に空気等の酸化剤ガスが存在する領域と水素等の燃料ガスとが存在する領域とが形成される場合がある。例えば燃料極、酸化剤極共に空気が混入している状態からシステムを起動させる場合、燃料極側の燃料ガス流路への水素の供給を開始した初期には、燃料ガス流路内に水素が存在する領域と存在しない領域が形成される。燃料極に水素が存在する領域においては、通常の動作状態と同様の反応が起こり、酸化剤極側は1V以上の高電位にさらされる。一方、燃料極に水素が存在しない領域では、この領域と対峙する酸化剤極で、
C+2H2O→CO2+4H++4e- 式(1)
という反応が生じる。その結果、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こり、酸化剤極の電極触媒の機能が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このとき燃料極側の空気が存在する領域においては、
O2+4H++4e-→2H2O 式(2)
という反応が起こり、水が生成されている。
C+2H2O→CO2+4H++4e- 式(1)
という反応が生じる。その結果、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こり、酸化剤極の電極触媒の機能が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このとき燃料極側の空気が存在する領域においては、
O2+4H++4e-→2H2O 式(2)
という反応が起こり、水が生成されている。
従来の燃料電池システムにおいては、この現象による酸化剤極の劣化を防止するために、短時間(1秒以下)で、燃料極内の水素が存在する領域と存在しない領域の境界(以後、水素/空気フロントとする)が、燃料ガス流路中を通過するように水素を供給するものが特許文献1に記載されている。
米国特許出願公開第2002/0076582号明細書
しかし上記の発明では、短時間で水素/空気フロントを通過させるためには、燃料電池の流路の設計にもよるが、水素を燃料極ガス流路に供給する配管流路の途中にコンプレッサ等の追加装置を配置することや、燃料ガス流路の断面積を小さくして燃料ガス流路中の流速を速める方策等が必要となる。前者においては、追加の装置が必要となり、コストが高くなるとともに、燃料電池システムが大型化するという問題があり、後者では反応面が狭くなり、反応効率が著しく低下するという問題があった。
本発明ではこのような問題点を解決するために発明されたもので、起動時の酸化剤極の劣化反応を簡便かつ効率的に抑制することを目的とする。
本発明では、電解質膜を挟持し、電解質膜との間に触媒を担持する触媒層を有する燃料極と酸化剤極から構成する燃料電池と、燃料電池に印加する電圧印加手段と、燃料電池の起動時または停止時に、燃料電池に電圧を印加して触媒の表面を酸化し、触媒の活性を低下させる酸化被膜を形成する酸化被膜生成手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、酸化被膜生成手段は、燃料電池の起動時に燃料極へ水素を供給した後に、酸化剤極を正として第1所定電圧を印加し、触媒の表面に前記酸化被膜を形成する。
本発明によると、燃料電池システムの例えば起動時に水素を燃料極へ供給した後に触媒層の触媒表面に酸化被膜を構成し、触媒の活性状態を低下させる。これより燃料極に水素と空気が混在してる場合に起こる酸化剤極の触媒層の劣化を抑制することができる。
本発明の第1実施形態で用いる燃料電池スタック1を構成する単位セル30について図1を用いて説明する。図1は、単位セル30の概略構成図である。
単位セル30は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜(以下、電解質膜とする)31と、電解質膜31を挟持する酸化剤電極層32と燃料電極層33を備える。さらにその外側より、酸化剤ガスセパレータ34と、燃料ガスセパレータ35を備える。
酸化剤電極層32と燃料電極層33は、カーボン繊維などの多孔質体から構成したガス拡散層32a、33aと、触媒として白金を担持したカーボン担体から構成した触媒層332b、33bを備える。
また、酸化剤電極層32、燃料電極層33と酸化剤セパレータ34、燃料セパレータ35の間には、それぞれ酸化剤ガス流路36、燃料ガス流路37を備える。なお、酸化剤ガス流路36を流通する酸化剤ガスと燃料ガス流路37を流通する燃料ガスが略同一方向に流通するように酸化剤ガス流路36と燃料ガス流路37を設ける。なお、酸化剤ガス流路36に供給する酸化剤ガスとして空気を使用し、燃料ガスとして水素ガスを使用する。これによって、通常運転時には単位セル30の燃料極、酸化剤極で以下の反応を生じる。
燃料極側:H2→2H++2e- 式(3)
酸化剤極側:2H++1/2O2+2e-→H2O 式(4)
燃料極側では式(3)に示すように燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離される。プロトンは電解質膜3内部を拡散して酸化剤電極層33側に到達し、電子は図示しない外部回路を流れ、出力として取り出される。一方、酸化剤極側では、電解質膜3内を拡散してきたプロトン、図示しない外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で式(4)示す反応が生じる。
酸化剤極側:2H++1/2O2+2e-→H2O 式(4)
燃料極側では式(3)に示すように燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離される。プロトンは電解質膜3内部を拡散して酸化剤電極層33側に到達し、電子は図示しない外部回路を流れ、出力として取り出される。一方、酸化剤極側では、電解質膜3内を拡散してきたプロトン、図示しない外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で式(4)示す反応が生じる。
燃料電池スタック1を移動体、例えば自動車用の動力源として活用した場合には、起動/停止が頻繁に繰り返される。燃料電池スタック1の運転停止中には、燃料電池スタック1への水素および空気の供給が停止された状態で放置され、放置が長時間継続された場合には、燃料ガス流路37内に外部より空気が侵入し、存在している可能性がある。燃料ガス流路37内に空気が混入した状態から燃料電池システムを起動すると、起動初期に燃料電池スタック1内は、図2に示すような状態となる。
図2の状態では、酸化剤ガス流路36には空気が全領域において充満しているが、燃料ガス流路37には水素が存在している領域(領域A)と、空気が存在している領域(領域C)が形成される。また、領域Aと領域Cの間には水素と空気の界面Bが形成される(以下、この界面を水素/空気フロントBという)。
領域Aにおいては、式(3)、(4)の通常の発電時の反応が起こり、酸化剤極では1V以上の高電位となる。一方、水素/空気フロントBを境に領域Cにおいては、酸化剤電極層32で式(1)の反応が起こり、燃料電極層33で式(2)の反応が起こる。つまり酸化剤電極層32で白金を担持している触媒層32bのカーボンに腐食劣化が生じる。なお、式(1)の反応は白金の表面上でかつカーボンに接した部分で生じる。これにより酸化剤電極層32が劣化し、燃料電池スタック1の劣化が生じることになる。本発明は上記酸化剤電極32の劣化を抑制するものである。
本発明の第1実施形態の燃料電池システム概略図について図3を用いて説明する。この実施形態は、燃料電池スタック1と、酸化剤ガス流路36に空気を供給するコンプレッサ(空気供給手段)2と、燃料ガス流路37に水素を供給する水素ボンベ3と、燃料電池スタック1で発電した電力を消費する負荷4と、燃料電池スタック1で発電した電力を蓄える二次電池であるバッテリ(電圧印加手段)5と、燃料電池スタック1の発電電圧を検出する電圧計(電圧検出手段)27を備える。
コンプレッサ2の上流には空気中の不純物を取り除く空気フィルタ16を設け、コンプレッサ2から燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1で使用されなかった酸素を含む排出ガス(排出空気)は、後述する水素消費装置15に供給され、その後大気に排出される。
水素ボンベ3から燃料ガス流路37に供給される水素は、水素供給路9に設けた減圧弁6によって減圧され、流量コントローラ7によって流量を制御される。また、燃料電池スタック1で使用されなかった水素は水素循環流路10に設けたリサイクルコンプレッサ11によって三方弁12、水素供給路9を介して再び燃料電池スタック1に供給される。なお、燃料電池スタック1から排出される水素中に酸化剤極側から電解質膜30を通り空気中の窒素が多く混入した場合には、燃料電池スタック1から排出された水素は三方弁13によって水素循環流路10から分岐する水素排出流路14を通り、水素を消費する水素消費装置15に供給される。
水素消費装置15は水素を消費する触媒などを有しており、燃料電池スタック1の酸化剤極側から排出された排出ガスが供給され、この排出ガスによって水素を消費し、その後水素を含まないガスを燃料電池システムの外部へ排出する。
負荷4は燃料電池スタック1の酸化剤側電極板20と燃料側電極板21と電気的に接続しており、燃料電池スタック1で発電された電力を消費する。なお、燃料電池スタック1と負荷4の間には、燃料電池スタック1と負荷4の電気的な接続のON/OFFを切り換えるスイッチ22を設ける。
バッテリ5は燃料電池スタック1と負荷4に対して並列に設けられ、燃料電池スタック1と負荷4に電気的に接続しており、燃料電池スタック1によって発電された電力の一部(余剰電力)を蓄える。また、燃料電池スタック1または負荷4に電力を供給することも可能である。なお、燃料電池スタック1または負荷4と電気的な接続のON/OFFを切り換えるスイッチ23を設ける。すなわち、スイッチ22、23によって、燃料電池スタック1と負荷4とバッテリ5をそれぞれ電気的に接続、切断することができる。
また、コンプレッサ2、流量コントローラ6、三方弁12、13、リサイクルコンプレッサ11、スイッチ22、23を制御するコントローラ40を備える。
次にこの実施形態の燃料電池システム起動時の動作制御について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、燃料電池システムの運転停止時にはスイッチ22、23は共にOFFとなっている。すなわち燃料電池スタック1と負荷4とバッテリ5はいずれも電気的に接続していない。またコンプレッサ2とリサイクルコンプレッサ11は共に停止状態にある。
コントローラ40が燃料電池システムの起動指令を検知すると、ステップS100では燃料極に水素の供給を開始する。
ステップS101では、電圧計27によって燃料電池スタック1の発電電圧Vを検出し、発電電圧Vを所定電圧(第2所定電圧)V1を比較する。そして、発電電圧Vが所定電圧V1よりも高くなるとステップS102へ進む。
所定電圧V1は燃料極において水素/フロントBによるカーボンの腐食反応が生じるかどうかを判断する電圧である。ここで所定電圧V1について図5を用いて説明する。図5は燃料電池スタック1の単位セル30における水素供給開始からの電圧変化を示すマップである。単位セル30の電圧は水素供給開始時から約3秒で0.1Vとなる。単位セル30の電圧が0V以上を示すと単位セル30の燃料極に水素が供給され、単位セル30が発電を開始することを示す。また、燃料電池システムの制御のフィードバックをかける時間は3秒であれば十分であるので、この実施形態では所定電圧V1を0.1Vに基づいた値、つまり単位セル30を積層した場合の燃料電池スタック1の電圧(以下、所定電圧V2、V3も同様に定義する)とするが、この値に限られるものではなく、水素/空気フロントBの移動によって式(1)によるカーボンの腐食劣化が生じず、かつ後述する燃料電池スタック1への印加による白金の表面で酸化被膜を形成可能とする電圧であれば良い。
ステップS102では、スイッチ22、23をONとして、バッテリ5と燃料電池スタック1を酸化剤極が正となるように電気的に接続し、燃料電池スタック1に所定電圧(第1所定電圧)V2を印加する。燃料電池スタック1に所定電圧V2を印加することで、触媒層32bの電位が高くなり触媒層32b白金の表面に酸化被膜が形成される。所定電圧V2については後述する(ステップS102が酸化被膜生成手段を構成する)。
ここで触媒層32bの白金粒子の表面に形成される酸化被膜について説明する。燃料電池スタック1をバッテリ5によって印加すると触媒粒子である白金が、
Pt+xH2O→PtOx+2xH++2xe- 式(5)
の反応を示し、白金の表面に酸化被膜が形成された状態へ変化する。白金の表面に酸化被膜が形成されると白金は不活性状態となる、または活性状態が低下する。
Pt+xH2O→PtOx+2xH++2xe- 式(5)
の反応を示し、白金の表面に酸化被膜が形成された状態へ変化する。白金の表面に酸化被膜が形成されると白金は不活性状態となる、または活性状態が低下する。
燃料電池システムの起動時において燃料極に空気が存在している場合に水素を供給した後に、バッテリ5によって燃料電池スタック1を印加すると、図2の領域Cの燃料極では式(2)の反応が起きる。一方、水素/空気フロントBが生じていると領域Cの酸化剤極では式(5)の反応が起こりプロトンが生成され、このプロトンが燃料極へ電解質膜3を介して移動するので、式(1)のカーボン腐食反応を抑制することができる。さらに酸化剤極の触媒層32bの白金の表面に酸化被膜が形成されるので、カーボン腐食反応をより抑制することができる。
ここで所定電圧V2について説明する。バッテリ5によって燃料電池スタック1に印加する電圧は高い程、触媒活性を低くすることができる。しかし、印加電圧が高すぎる場合には燃料電池スタック1の温度にもよるが、単位セル30で1.5V〜2.0V程度まで印加電圧を高くすると、印加電圧によって触媒層32のカーボンが腐食劣化する。そのためこの実施形態ではバッテリ5による印加電圧である所定電圧V2を1.0Vとする。なお、電解質膜30の材料(分子構造)にもよるが、水分を失うと乾燥によって電解質膜30の抵抗が大きくなり、電解質膜30を劣化させる恐れがある。そのため所定電圧V2を水が電気分解する電圧よりも低い電圧とする。なお、所定電圧V2は1.0Vに限るものではなく、酸化被膜を形成し、燃料電池スタック1の劣化を引き起こさない電圧であればよい。
ステップS103では、スイッチ22、23をONとしてから所定時間T1が経過したかどうか判定する。そして所定時間T1が経過するとステップS104へ進む。なお、所定時間T1は予め設定された時間であり、式(5)による白金の表面に酸化被膜が形成され、後述する燃料極へ水素を供給した場合に式(1)のカーボン腐食反応が生じない状態となる時間である。なお、所定時間T1は触媒の材料や触媒層32、33の材料によって異なり、長くなる程酸化被膜の量は増えるが、起動時間が長くなるために、ここでは1秒とするが、この時間に限定されることはない。
ステップS104では、スイッチ23をOFFとしてバッテリ5から燃料電池スタック1への印加を終了する。
ステップS105では、電圧計27によって燃料電池スタック1の発電電圧Vを検出し、発電電圧Vが所定電圧V3よりも大きいかどうか判断する。そして発電電圧Vが所定電圧V3よりも大きい場合はステップS106へ進む。所定電圧V3は水素/空気フロントBが下流へ移動し、燃料電池スタック1の全体で通常の発電反応が生じている場合の開放端電圧であり、0.92Vとする。この電圧は0.92Vに限られず、水素/空気フロントBが燃料極からパージされたことを示す電圧であれば良い。
ステップS106では、コンプレッサ2から酸化剤極へ空気の供給を開始し、燃料電池システムが要求する発電を開始する。
以上の制御により、水素の供給を開始した後にバッテリ5によって燃料電池スタック1に印加することで、式(1)の代わりに式(5)によるプロトンの生成によって酸化剤極の触媒層32bのカーボン腐食反応を抑制し、さらに白金の表面に酸化被膜を形成することで、白金の活性を低下させカーボン腐食反応をより抑制することができる。
なお、燃料極、酸化剤極の白金の表面にはバッテリ5によって印加していない場合でも形成されることがあるが、ステップS102においてバッテリ5によって印加することで、酸化剤極の酸化被膜の厚さが厚くなり、さらに活性状態が低下する。また白金の表面の酸化被膜は燃料電池スタック1の通常の運転によって徐々に乖離し、白金は不活性状態から元の状態に戻り、各燃料極、酸化剤極の電位が0.8Vまで下がると白金の不活性状態は完全に元に戻る。つまり、燃料極の白金に酸化被膜が形成された場合でも、水素が供給されることで燃料極の酸化被膜は乖離する。
次にこの実施形態の燃料電池システム停止時の動作制御について図6のフローチャートを用いて説明する。燃料電池システムの運転中には、スイッチ22はONとなり、スイッチ23は燃料電池スタック1からの充電時にはONとなり、それ以外の場合にはOFFとなっている。またコンプレッサ2とリサイクルコンプレッサ11は共に運転中の状態にある。
燃料電池システムの運転停止信号を検知すると、ステップS200ではコンプレッサ2を停止する。
ステップS201では、リサイクルコンプレッサ11を停止し、水素ボンベ3からの水素供給を停止する。
ステップS202では、スイッチ23をONとして、バッテリ5から燃料電池スタック1を所定電圧V1で印加する。ステップS201において水素の供給を停止すると、燃料極に外部より空気が混入する可能性がある。燃料極に空気が混入すると燃料電池システムの起動時と同じように燃料極に水素/空気フロントBが形成される。ステップS202では、バッテリ5によって燃料電池スタック1に所定電圧V1を印加することで、酸化剤極の触媒層32bにおいて白金の表面に酸化被膜を形成する(ステップS202が酸化被膜生成手段を構成する)。
ステップS203では、スイッチ23をONとして、バッテリ5によって印加した時間が所定時間T1を経過したかどうか判断する。そして所定時間T1が経過するとステップS204へ進む。
ステップS204では、スイッチ23をOFFとしてバッテリ5から燃料電池スタック1への印加を終了する。
以上の制御によって、燃料電池システムを停止する場合に触媒層32bの白金の表面に酸化被膜を形成を形成することで、燃料極に空気が混入した場合でも、酸化剤極のカーボンの腐食を抑制することができる。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
この実施形態では燃料電池システムの起動時に水素を燃料極へ供給した後に、燃料電池スタック1の発電電圧が所定電圧V1以上となると、バッテリ5によって燃料電池スタック1を印加することで、酸化剤極で式(1)に示すカーボン腐食反応の代わりに、触媒層32bの白金の表面に酸化被膜を形成することで、カーボン腐食反応を抑制する。更に白金を不活性状態とすることでカーボン腐食反応を更に抑制することができる。
また、燃料電池システムの運転停止時にもバッテリ5によって酸化剤極の触媒層32の白金に酸化被膜を形成することで、燃料極内に空気が混入した場合でも酸化剤極のカーボン腐食反応を抑制することができる。
バッテリ5によって燃料電池スタック1を印加することで、酸化剤極の触媒層32の白金に酸化被膜を素早く形成することができ、酸化剤極のカーボン腐食反応を抑制し、燃料電池の起動時間を短くすることができる。また、バッテリ5によって印加する電圧を水の電気分解よりも低くすることで、電解質膜3の乾燥を防止し、電解質膜3による抵抗の増加を抑制し、電解質膜3の劣化を防止することができる。
燃料電池スタック1を印加する手段として燃料電池スタック1の余剰電力を蓄えるバッテリ5を用いることで、燃料電池システムを小型にすることができる。
次に本発明の第2実形態について図7を用いて説明する。この実施形態ではコンプレッサ2の下流に三方弁26を設ける。この構成によってコンプレッサ2から水素供給路9に空気可能とする。なお、三方弁26は燃料電池システムの通常の運転時にはコンプレッサ2から燃料電池スタック1の酸化剤極を連通する。その他の構成については第1実施形態と同じ構成なので、ここでの説明は省略する。また、燃料電池システム起動時の制御動作については第1実施形態と同じなので、ここでの説明は省略する。
燃料電池システム停止時の制御動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
燃料電池システムの運転停止信号を検知すると、ステップS300ではコンプレッサ2を停止する。
ステップS301では、リサイクルコンプレッサ11を停止し、水素ボンベ3からの水素供給を停止する。
ステップS302では、三方弁26を切り換えてコンプレッサ2と水素供給路9を連通する。これによってコンプレッサ2から水素供給路9を介して燃料電池スタック1の燃料極へ空気を供給可能とする。また、三方弁13によって燃料電池スタック1と水素排出流路14を連通させて、燃料極と外部を連通させる。
ステップS303では、コンプレッサ2を起動し、燃料極に空気を供給し、スイッチ23をONとしてバッテリ5から燃料電池スタック1に所定電圧V1を印加する。電圧を印加することで、式(5)によるプロトンの生成によって酸化剤極のカーボン腐食反応を抑制し、酸化剤極の触媒層32bの白金表面に酸化被膜を形成することができる。さらにコンプレッサ2から空気を供給することで、燃料極に残っている水素をパージする。なお、パージされた水素は水素消費装置15によって消費される。燃料電池システムが長い時間放置されると燃料極に水素と空気が混在し、燃料極での水素/空気フロントBが長い時間存在することになる。この場合白金の酸化被膜が時間の経過と共に乖離するので、カーボン腐食反応が生じる可能性があるが、コンプレッサ2によって燃料極の水素をパージする際に水素/空気フロントBを燃料極から外部へ移動させながら酸化剤極の白金に酸化被膜を形成することで、燃料電池システムの長時間の停止時における燃料電池スタック1の劣化をより抑制することができる。
ステップS304では、コンプレッサ2の起動により燃料極をパージした時間が所定時間T2を経過したかどうか判断する。そして所定時間T2を経過するとステップS305へ進む。所定時間T2は燃料極の水素を燃料極からパージする時間であり、ここでは10秒とするが、この時間に限られることはなく、燃料極から水素をパージ可能な時間である。
ステップS305ではスイッチ23をOFFとしてバッテリ5から燃料電池スタック1への印加を終了する。
ステップS306ではコンプレッサ2を停止して、三方弁26を切り換えてコンプレッサ2と酸化剤極が連通するように、または三方弁26を全閉として燃料電池システム停止制御を終了する。
以上の制御によって、酸化被膜が形成し、燃料極の水素をパージすることで、燃料電池システムの長時間の停止時における燃料電池スタック1の劣化をより抑制することができる。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
この実施形態では第1実施形態の効果に加えて、燃料電池システムの停止時にコンプレッサ2から空気を燃料極へ供給し、バッテリ5によって電圧を印加して酸化剤極の白金に酸化被膜を形成し、燃料極に残った水素をパージすることで、パージする際に式(1)の反応の代わりに式(5)によってプロトンを生成し、さらに酸化剤極の白金の活性状態を低下させるので、燃料電池システムを長時間停止した場合でも酸化剤極のカーボン腐食反応を更に抑制し、燃料電池スタック1の劣化を抑制することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
燃料電池を搭載した燃料電池車両に使用することができる。
1 燃料電池スタック
2 コンプレッサ
3 水素ボンベ
4 負荷
5 バッテリ(電圧印加手段)
20 酸化剤側電極板
21 燃料側電極板
22 スイッチ
23 スイッチ
27 電圧計(電圧検出手段)
30 単位セル
31 電解質膜
32b、33b 触媒層
40 コントローラ
2 コンプレッサ
3 水素ボンベ
4 負荷
5 バッテリ(電圧印加手段)
20 酸化剤側電極板
21 燃料側電極板
22 スイッチ
23 スイッチ
27 電圧計(電圧検出手段)
30 単位セル
31 電解質膜
32b、33b 触媒層
40 コントローラ
Claims (6)
- 電解質膜を挟持し、前記電解質膜との間に触媒を担持する触媒層を有する燃料極と酸化剤極から構成する燃料電池と、
前記燃料電池に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記燃料電池の起動時または停止時に、前記燃料電池に電圧を印加して前記触媒の表面を酸化し、前記触媒の活性を低下させる酸化被膜を形成する酸化被膜生成手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、
前記酸化被膜生成手段は、前記燃料電池の起動時に前記燃料極へ水素を供給した後に、前記酸化剤極を正として第1所定電圧を印加し、前記触媒の表面に前記酸化被膜を形成することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池の発電電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記燃料電池への電圧の印加は、前記燃料極へ水素を供給し、前記燃料電池の発電電圧が前記第1所定電圧よりも低い第2所定電圧以上となった後に行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記酸化被膜生成手段は、前記燃料電池の停止時に前記酸化剤極を正として前記第1所定電圧を印加し、前記触媒の表面に前記酸化被膜を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料極に空気を供給する空気供給手段を備え、
前記燃料電池の停止時に、前記電圧印加手段によって前記燃料電池に電圧を印加した後に、前記空気供給手段によって前記燃料極を前記空気によってパージすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池システム。 - 前記第1所定電圧は、水が電気分解を起こす電圧よりも低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
- 前記電圧印加手段は、前記燃料電池において発電した電力の一部を蓄える二次電池であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004329633A JP2006140065A (ja) | 2004-11-12 | 2004-11-12 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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