JP2006137152A - 複合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高分子化合物が有する柔軟性や作業性の良さと、金属が有する導電性、ガスバリア性、水分バリア性及び電磁波シールド性などの特性を有する複合材を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に、室温で超塑性を有する合金からなる薄膜を積層してなる複合材である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂又はその組成物と、室温で超塑性を有する合金との組み合わせからなる複合材に関する。詳しくは、高分子化合物が有する柔軟性や作業性の良さと、金属が有する導電性、ガスバリア性、水分バリア性及び電磁波シールド性などの特性を有する複合材に関する。
従来から、合成樹脂からなる基材に金属薄膜を積層してなる複合材として、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、このような複合材のほとんどは、金属薄膜部の延性が低く、かつ高分子化合物からなる基材の弾性率が高いため、外力に対する変形量が小さいものであった。例えばエンジニアリングプラスチックからなる基材に金属薄膜を積層した場合は、複合材としての機能を有するが、ゴムや低硬度の樹脂のような、外力に対する変形量が大きい基材に金属薄膜を積層した場合は、変形時に金属薄膜部にクラックが入るなどの問題が生じ、実用に耐えるものではなかった。室温で延性の高い金属である鉛や金と高分子化合物との複合材には、この問題を解決し得る可能性があるが、鉛には環境負荷の問題があり、金は高価であるという問題があった。
特許第3194185号公報 特許第2972481号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高分子化合物が有する柔軟性や作業性の良さと、金属が有する導電性、ガスバリア性、水分バリア性及び電磁波シールド性などの特性を有する複合材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に室温で超塑性を有する合金からなる薄膜を積層した複合材により、上記目的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の複合材を提供するものである。
1. 熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に、室温で超塑性を有する合金からなる薄膜を積層してなる複合材。
2. 熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマーである上記1に記載の複合材。
3. 熱可塑性樹脂組成物が、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物である上記1に記載の複合材。
4. 熱可塑性樹脂組成物が、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、イソブチレン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物である上記1に記載の複合材。
5. 室温で超塑性を有する合金からなる薄膜の厚さが10nm〜5μmである上記1〜4のいずれかに記載の複合材。
6. 室温で超塑性を有する合金が、Zn:30〜80質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金である上記1〜5のいずれかに記載の複合材。
7. 室温で超塑性を有する合金が、Zn:75〜99質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相及びβ相を主要組織とし、該α相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金である上記1〜5のいずれかに記載の複合材。
本発明によれば、高分子化合物が有する柔軟性や作業性の良さと、金属が有する導電性、ガスバリア性、水分バリア性及び電磁波シールド性などの特性を有する複合材を得ることができる。
本発明の複合材は、熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に、室温で超塑性を有する合金からなる薄膜を積層してなるものである。本発明の複合材で用いる熱可塑性樹脂としては、一般の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。この熱可塑性エラストマーには、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素熱可塑性エラストマーなどがある。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物(熱可塑性樹脂組成物I)、あるいは芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、イソブチレン系重合体ブロックの少なくとも一つからなるイソブチレン系ブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物(熱可塑性樹脂組成物II)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物Iにおいて使用する熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含むものである。この熱可塑性エラストマーとしては、例えば
(1) ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、
(2) ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、及びポリイソプレンとポリスチレンとのブロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンのトリブロック共重合(SEPS)など、中でも、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体又はスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、
などを挙げることができる。
これらの中で、特に(2)に挙げられた、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つ(1セグメント)と、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水添して得られるものが好ましいが、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも二つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つとを有するブロック共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等)を水添して得られる水添ブロック共重合体が更に好ましい。
また、この水添ブロック共重合体に類似した水添ブロック共重合体として、カルボン酸基若しくは無水マレイン酸基又はこれらの誘導体基を含有する分子単位が結合した変性芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体も好ましい。上記ブロック共重合体の非晶質スチレンブロックの含有量は、10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%の範囲のものが望ましい。また、非晶質スチレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上であるものが望ましい。また、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の重合体としては、やはり非晶質のものが好ましく、例えば、エチレン−ブチレン共重合体、ブタジエン重合体、イソプレン重合体等を挙げることができ、これらはブロックあるいはランダム共重合体であってもよい。なお、これらの各種熱可塑性エラストマーは主に単独で用いられるが、二種以上をブレンドして用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物IIにおいて使用する熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、イソブチレン系重合体ブロックの少なくとも一つからなるイソブチレン系ブロック共重合体を含むものであり、このイソブチレン系ブロック共重合体は、例えば特開平8−301955号公報や特開平11−246733号公報などにより既に知られているものである。
熱可塑性樹脂組成物IIに係るイソブチレン系ブロック共重合体における、芳香族ビニル系重合体ブロックを形成する芳香族ビニル系化合物の例としては、スチレンをはじめ、α−メチルスチレン;α−エチルスチレン;α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン;m−メチルスチレン;p−メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレン;エチルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレン;o−t−ブチルスチレン;p−t−ブチルスチレン;p−シクロヘキシルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、o−クロロスチレン;m−クロロスチレン;p−クロロスチレン;p−ブロモスチレン;2−メチル−4−クロロスチレンなどの核ハロゲン化スチレン、さらには、1−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン誘導体、インデン誘導体、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの中で、スチレン;α−メチルスチレン及びp−メチルスチレンが好適である。これらの芳香族ビニル化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物IIに係るイソブチレン系ブロック共重合体における、イソブチレン系重合体ブロックは、イソブチレン単位を60質量%以上、好ましくは80質量%以上含有するブロックを意味し、芳香族ビニル系重合体ブロックは、芳香族ビニル系化合物単位を60質量%以上、好ましくは80質量%以上含有するブロックを意味する。
また、上記イソブチレン系ブロック共重合体における、イソブチレン系重合体ブロックと芳香族ビニル系重合体ブロックとの質量割合は、60:40〜80:20が適当である。
熱可塑性樹脂組成物IIにおいて使用する熱可塑性エラストマーとして、上記イソブチレン系ブロック共重合体以外のスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の熱可塑性エラストマーを併用することができ、かかる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記熱可塑性樹脂組成物Iにおいて例示した(1) 及び (2) などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂組成物IIにおいて、上記イソブチレン系ブロック共重合体以外の熱可塑性エラストマーの使用量は、イソブチレン系ブロック共重合体100質量部に対してこの熱可塑性エラストマー100質量部以下とするのが適当である。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物I及びII(以下、単に「熱可塑性樹脂組成物」と称する。)においては、熱可塑性エラストマーを低硬度化する目的で、軟化剤を配合する。この軟化剤としては特に制限はなく、従来プラスチックやゴムの軟化剤として慣用されているものの中から、任意のものを選択して用いることができるが、数平均分子量が20000未満の低分子物質が好ましく、物性的には、100℃における粘度が5×102Pa・s以下、特に、1×102Pa・s以下であるものが好ましい。また、分子量の観点からは、数平均分子量は20000未満、特に10000以下、とりわけ5000以下であるものが好ましい。このような軟化剤としては、通常、室温で液体または液状のものが好適に用いられる。
このような性状を有する軟化剤としては、例えば鉱物油系,合成系などの各種ゴム用又は樹脂用軟化剤の中から適宜選択することができる。ここで、鉱物油系としては、ナフテン系,パラフィン系などのプロセス油が挙げられ、なかでも、非芳香族系オイル、特に鉱物油系のパラフィン系オイル,ナフテン系オイル又は合成系のポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であって、その数平均分子量が450〜5000であるものが好ましい。
なお、これらの軟化剤は一種を単独で用いてもよく、互いの相溶性が良好であれば二種以上を混合して用いてもよい。
これらの軟化剤の配合量は特に制限はないが、熱可塑性エラストマー100質量部に対し、通常1〜1000質量部、好ましくは1〜500質量部の範囲で選ばれる。この量が1質量部未満では充分な低硬度化が達成できず熱可塑性材料の柔軟性が不充分となるおそれがあり、また1000質量部を超えると軟化剤がブリードしやすくなり、かつ熱可塑性材料の機械的強度が低下する原因となる。なお、この軟化剤の配合量は、熱可塑性エラストマーの分子量及び該エラストマーに添加される他の成分の種類に応じて、上記範囲で適宜選定することが好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、材料の圧縮永久歪みを改善するなどの目的で、所望によりポリフェニレンエーテル樹脂を配合することができる。
このポリフェニレンエーテル樹脂としては公知のものを用いることができ、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、また、2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体も用いることができる。なかでも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)や2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらに、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して10〜250質量部の範囲で好適に選択することができる。この配合量が250質量部以下であると熱可塑性樹脂組成物の硬度が高くなりすぎず適度のものとなり、10質量部以上であると配合して得られる圧縮永久歪みの改善効果が十分となる。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂又はその組成物には、クレー,珪藻土,シリカ,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物,マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウムなどのりん片状無機系添加剤、各種の金属粉,ガラス粉,セラミックス粉,粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填剤,その他の各種の天然または人工の短繊維,長繊維(各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン,シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。更に軽量化などの各種物性の改善のために、各種発泡剤を混入することも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。
本発明に係る熱可塑性樹脂又はその組成物には、上記成分のほか、諸特性の改良のため、公知の樹脂成分などの添加剤を併用することができる。
樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂などを単独使用あるいは併用することができる。これらを添加することにより、本発明に係る熱可塑性樹脂又はその組成物の加工性、耐熱性の向上を図ることができる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン,アイソタクティックポリプロピレン,プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体,プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテン−1などを挙げることができる。ポリオレフィン樹脂としてアイソタクティックポリプロピレン又はその共重合体を用いる場合、そのMFR(JIS K7210)が0.1〜50g/10分、特に0.5〜30g/10分の範囲のものが好適に使用できる。
また、ポリスチレン樹脂としては、公知の製造方法で得られたものであれば、ラジカル重合法、イオン重合法のいずれで得られたものも好適に使用できる。ポリスチレン樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000〜500000、より好ましくは10000〜200000の範囲から選択でき、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)〕は5以下のものが好ましい。
このポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン単位含有量60質量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらは一種または二種以上を併用してもよい。さらに、これらポリマーを構成するモノマーの混合物を重合して得られる共重合体も用いることができる。
また、上記ポリオレフィン樹脂とポリスチレン樹脂とを併用することもできる。例えば、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物にこれらの樹脂を添加する場合、ポリオレフィン樹脂単独を添加する場合に比較してポリスチレン樹脂を併用すると、得られる材料の硬度が高くなる傾向にある。したがって、これらの配合比率を選択することにより、得られる熱可塑性材料の硬度を調整することもできる。この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹脂の比率は95/5〜5/95(質量比)の範囲から選択することが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物においてこれらの樹脂成分を併用する場合、配合量は熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0〜100質量部程度であることが好ましく、例えばポリオレフィン樹脂の場合は、特に0.1〜50質量部がより好ましい。樹脂成分の配合量が100質量部を超えると得られる熱可塑性材料の硬度が高くなり過ぎるため好ましくない。なお、樹脂成分としてポリオレフィン樹脂を使用する場合、共重合体(熱可塑性エラストマー)100質量部に対して、特に上述の軟化剤を1〜500質量部の範囲で配合することがより好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂又はその組成物には、他の添加剤として、必要に応じて、難燃剤,抗菌剤,ヒンダードアミン系光安定剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,着色剤,シリコーンオイル,シリコーンポリマー,クマロン樹脂,クマロン−インデン樹脂,フェノールテルペン樹脂,石油系炭化水素,ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマーB(商品名:理研ビニル社製)などの各種接着剤性エラストマー、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)などの他の熱可塑性エラストマー又は樹脂などを併用することができる。
上記シリコーンポリマーは、重量平均分子量が10000以上、好ましくは100000以上であるものが望ましい。上記シリコーンポリマーは、組成物を用いた成形品の表面粘着性を改善する。該シリコーンポリマーは、取扱い性を良くするために、汎用の熱可塑性ポリマー、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレンなどに高濃度で配合されたものを用いることができる。特に、ポリプロピレンとの配合品が作業性,物性ともに良好である。このような材料は、例えば東レダウコーニングシリコーン(株)より市販されている、シリコーンコンセントレートBY27シリーズ汎用タイプとして容易に入手できるものを使用してもよい。シリコーンポリマーを配合することにより、成形体の表面状況を改善することができるのであるが、シリコーンポリマーと、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロック又はイソブチレン系重合体ブロックからなる共重合体との混和性は、必ずしも良好ではない。これは、各々のポリマーの化学的な組成が、著しく異なっていることからも容易に想像できる。従って、配合物の内容、成形体の成形条件によっては、シリコーンポリマーの分離が生じる可能性がある。その際、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロック又はイソブチレン系重合体ブロックからなる共重合体に対して比較的混和性の良好なポリマー、例えばポリオレフィン樹脂に、シリコーンポリマーを化学的に結合させたグラフトポリマーを使用することにより、その状態を改善することができる。このような材料としては、例えば、東レダウコーニングシリコーン(株)よりBY27シリーズグラフトタイプとして市販されているもの等を使用してもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、上記の各成分及び所望により用いられる添加剤成分を加熱混練機、例えば、一軸押出機,二軸押出機,ロール,バンバリーミキサー,プラベンダー,ニーダー,高剪断型ミキサーなどを用いて溶融混練りし、さらに、所望により有機パーオキサイドなどの架橋剤、架橋助剤などを添加したり、又はこれらの必要な成分を同時に混合し、加熱溶融混練りすることにより、容易に製造することができる。
また、高分子有機材料と軟化剤とを混練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料を、ここに用いたものと同種か若しくは種類の異なる一種以上の高分子有機材料に更に混ぜ合わせて製造することもできる。
さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物においては、有機パーオキサイドなどの架橋剤,架橋助剤などを添加して架橋することも可能である。
本発明で使用する室温で超塑性を有する合金(以下、「室温超塑性合金」と称する。)としては、特に制限はなく、従来公知の室温超塑性合金の中から任意のものを適宜選択することができる。ここで、超塑性とは以下のことをいう。すなわち、Al−33%Cu(共晶)、Zn−22%Al(共析)、Sn−38%Pb(共晶)など多くの共晶、共析あるいはそれに近い合金は、結晶粒が微細な状態では、破断するまでの伸びが1000%程度の大きな塑性変形を示すことがある。これを超塑性とよぶ。大変形を担うのは結晶粒界の粘性的ずれ変形、及び粒界近傍における拡散移動あるいは粒界転位の運動であるといわれている。注塑性合金は絞り加工など大変形を必要とする場合の素材として活用される。
本発明で用いる室温超塑性合金としては、例えば、以下の合金が挙げられる。
(1) 亜鉛30〜80質量%を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金。
(2) 亜鉛75〜99質量%を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相、及びβ相を主要組織とし、該α相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金。
上記合金(1)及び(2)は、特開平11−222643号公報に記載のZn−Al合金であり、室温での伸び率は、160%超の値を示す。
本発明の複合材において、室温超塑性合金からなる薄膜の厚さは、所望の要求特性、繰り返し変形に対する追従性及び経済性のバランスなどの面から、通常10nm〜5μm程度、好ましくは50nm〜1μmである。
また、熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材の厚さは、得られる複合材の用途にもよるが、通常0.1〜10mm程度、好ましくは0.5〜5mmである。
本発明の複合材は、熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に、室温超塑性合金からなる薄膜を積層して得られる。基材の製造方法としては特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などを採用することができる。
また、室温超塑性合金からなる薄膜の積層方法は特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法、溶射法、インジェクション法など、従来公知の金属薄膜積層法を適用することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜5
表1に示す組成からなる成分を混練して熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を用い、金型温度80℃、樹脂温度170℃の製造条件にて射出成形し、厚さ2mmのシートを作製した。このシートに、78%Zn−22%Al合金を加熱プロセスにより微細結晶組織としたものをターゲットとし、汎用の蒸着装置を用いて、厚さ100nmの合金薄膜を形成し、複合材を作製した。なお、上記Zn−Al合金は、「槙井;日本建築学会講演論文集、A−1、pp255〜2565(2000年)」に記載のものである。
得られた複合材について下記の評価を行った。結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)空気透過性
JIS K7126Aに準拠した方法で複合材の空気透過度を求め、樹脂シートの空気透過度を100として指数表示し、空気透過性を求めた。
(2)電磁波シールド性
社団法人関西電子工業進行センターのKEC法で複合材の電磁波シールド性を求め、樹脂シートの電磁波シールド性を100として指数表示し、電磁波シールド性を求めた。
(3)変形時のクラック発生の有無
複合材を10%引張り変形させた後、変形を解いて金属層のクラック発生の有無を観察した。また、変形を解いた後の空気透過性も求めた。
比較例1
実施例1において、Zn−Al合金の代わりに純アルミニウムを用いた以外は実施例1と同様にして複合材を作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1における合金薄膜を設けないシートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006137152
(注)
ポリマーA:数平均分子量10万のSEPSポリマー
ポリマーB:数平均分子量7万のSEPSポリマー
ポリプロピレン樹脂:チッソ(株)製,商品名:ポリプロCF3031
軟化剤A:パラフィン系オイル〔出光興産(株)製,商品名:ダイアナプロセスオイルPW380〕(数平均分子量750)
添加剤A:シリコーンポリマーとポリプロピレン樹脂が等量混合されたもの
添加剤B:ポリプロピレン樹脂にグラフとされたシリコーンポリマー
添加剤C:変性ポリフェニレンエーテル〔旭化成(株)製,商品名:ザイロンX0108〕
1)金属薄膜を設けないシート(比較例2)の空気透過性を100としたときの空気透過性を相対値で示した。
2)金属薄膜を設けないシート(比較例2)の電磁波シールド性(100MHz)を100としたときの電磁波シールド性を相対値で示した。
本発明の複合材は、電磁波吸収材、電磁波シールド成形品、ガスバリア性フィルム、水分バリア性フィルム、電子機器用のガスケット、シールあるいは封止剤、液体用流路、チューブ類、液体封止剤などの用途に好適である。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂又はその組成物からなる基材に、室温で超塑性を有する合金からなる薄膜を積層してなる複合材。
  2. 熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の複合材。
  3. 熱可塑性樹脂組成物が、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物である請求項1に記載の複合材。
  4. 熱可塑性樹脂組成物が、芳香族ビニル系重合体ブロックの少なくとも一つと、イソブチレン系重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂0.1〜50質量部及び軟化剤1〜500質量部を配合した組成物である請求項1に記載の複合材。
  5. 室温で超塑性を有する合金からなる薄膜の厚さが10nm〜5μmである請求項1〜4のいずれかに記載の複合材。
  6. 室温で超塑性を有する合金が、Zn:30〜80質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金である請求項1〜5のいずれかに記載の複合材。
  7. 室温で超塑性を有する合金が、Zn:75〜99質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相及びβ相を主要組織とし、該α相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有するZn−Al合金である請求項1〜5のいずれかに記載の複合材。


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