JP2009126170A - 流体輸送用チューブの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボイドの発生を防ぎつつ耐湿性及びガスバリア性に優れた流体輸送用チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を、減圧下で混練して得られたエラストマー組成物を用いることを特徴とする流体輸送用チューブの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は流体輸送用チューブの製造方法、さらに詳しくは、樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を素材として、ボイドの発生を防ぎつつ耐湿性及びガスバリア性に優れた流体輸送用チューブを製造可能とする方法に関する。
流体輸送用チューブの材料としては、環境保全、品質保持等の観点より、ガス透過率が低いもの、すなわち、ガスバリア性に優れたものが求められている。例えば、空調システムの冷媒輸送用チューブにおいては、環境問題の観点から、冷媒ガスの透過の抑制が重要である。その他、ガス輸送用、化学薬品用、医療用、飲料輸送用等に用いられる流体輸送用チューブは、安全性等の観点から、同様に高いガスバリア性が求められる。その他、耐湿性、耐ガス性、耐腐食性、耐薬品性、柔軟性等を有する高性能のものが求められている。
こうしたチューブ体の素材としては、これまで塩化ビニル樹脂系やシリコーン樹脂系などが用いられてきたが、これらは、いずれもなんらかの欠点を有しており、必ずしも充分に満足し得るものではない。例えば、塩化ビニル樹脂系チューブでは、可塑剤がブリードする問題があり、また耐久性が低いという問題があった。また、シリコーン樹脂系のチューブは、耐久性や耐薬品性等の性能は優れているものの、機械的強度(特に引き裂き強度)が低く、また価格が高いという問題があった。
近年、スチレン−エチレン/プロピレン−ブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)に代表されるポリスチレン系熱可塑性エラストマーが、チューブ材料として開発されている。
しかしながら、これらは、機械的強度、柔軟性に優れるが、ガスバリア性については、必ずしも十分ではないという問題があった。
一方、ゴムホースのガスバリア性を向上させる方法として、例えば(1)ゴムホース内面にナイロン膜をコーティングする方法(例えば、特許文献1参照)、(2)ナイロン製の内管にゴムを被せてホースを形成する方法(例えば、特許文献2参照)などが開示されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれもガスバリア性が十分ではなく、特に(1)の方法ではゴムホースを連続的に製造することは困難であるなどの問題があった。
また、ゴムホースではないが、プラスチックフィルムのガスバリア性を向上させるため、オルガノシランのコーティング膜をガスバリア膜として利用する方法(例えば、特許文献3及び4参照)が知られている。
しかしながら、この方法は、オルガノシランコーティング膜をガスバリア膜として、大きな変形を伴うホース用途などに応用することは困難であった。
特開昭59−123661号公報 特開昭60−11388号公報 特開昭62−112635号公報 特開平2−286331号公報
本発明者は、樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を含むエラストマー組成物からなる流体輸送用チューブは、上述の問題を解決し、特に耐湿性及びガスバリア性に優れることを見出した。しかしながら、エラストマー成分と充填材とは相溶せず、界面での相互作用も小さいため、得られる流体輸送用チューブにはボイド(空隙)が発生するという問題があった。また、ボイドの発生を防ぐために混練温度を上昇させたり、混練時間を長くしたりして混練条件を厳しくするとフィラーが損傷し、ガスバリア性が低下するという問題があった。
従って、本発明の目的は、ボイドの発生を防ぎつつ耐湿性及びガスバリア性に優れた流体輸送用チューブの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を減圧下で混練して得られたエラストマー組成物を用いることで、その目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を、減圧下で混練して得られたエラストマー組成物、又は常圧下で混練後、溶融状態で減圧下に置いたエラストマー組成物を成形する流体輸送用チューブの製造方法、
(2)前記エラストマー組成物を押出成形することで、チューブ状とする上記(1)に記載の流体輸送用チューブの製造方法、
(3)前記充填材が扁平形状のフィラーである上記(1)又は(2)に記載の流体輸送用チューブの製造方法、及び
(4)減圧条件が、絶対圧で0.1〜100KPaである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の流体輸送用チューブの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、ボイドの発生を防ぎつつ耐湿性及びガスバリア性に優れた流体輸送用チューブを製造することができる。
本発明において用いられる樹脂成分としては、種々のものを用いることができるが、得られるエラストマー組成物の加工性、耐熱性の向上を図る点から、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂などの樹脂を好適に挙げることができ、特にポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテン−1などを挙げることができる。ポリオレフィン樹脂としてアイソタクティックポリプロピレン又はその共重合体を用いる場合、そのメルトフローレート(MFR、JIS K7210)が0.1〜50g/10分、特に0.5〜30g/10分の範囲のものが好適に使用できる。
次に、ポリスチレン樹脂としては、従来公知の製造方法で得られたもの、例えば、ラジカル重合法、イオン重合法のいずれで得られたものも好適に使用できる。
ここで使用するポリスチレン樹脂の数平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲から選択でき、分子量分布は5以下のものが好ましい。
ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン単位含有量60質量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらは一種または二種以上を併用してもよい。
更に、これらポリマーを構成するモノマーの混合物を重合して得られる共重合体も用いることができる。
また、上記ポリオレフィン樹脂とポリスチレン樹脂とを併用することもできる。ポリオレフィン樹脂単独を添加する場合に比較して、ポリスチレン樹脂を併用すると、得られる流体輸送用チューブの硬度が高くなる傾向にある。
従って、これらの配合比率を選択することにより、得られる流体輸送用チューブの硬度を調整することもできる。
この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹脂の比率は95/5〜5/95(質量比)の範囲から選択することが好ましい。
本発明において用いられるエラストマー成分としては特に制限はなく、従来公知のエラストマーの中から適宜選択され、中でも熱可塑性エラストマーが好ましい。この熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
本発明において、これらのエラストマー成分は、一種を単独で用いてもよいし、また二種以上を組み合わせて使用してもよいが、物性及び加工性のバランスなどの点から、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル系重合体ブロック(ハードセグメント)とゴムブロック(ソフトセグメント)とを有し、芳香族ビニル系重合体部分が物理架橋を形成して橋かけ点となり、一方、ゴムブロックが弾性を付与する。
芳香族ビニル系重合体ブロックを形成する芳香族ビニル系化合物の例としては、スチレン;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シクロヘキシルスチレン等の核アルキル置換スチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン等の核ハロゲン化スチレン;1−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン誘導体;インデン誘導体;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
これらの中で、スチレン、α−メチルスチレン、及びp−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好適である。
これらの芳香族ビニル化合物は、一種を単独で用いてもよいし、また二種以上を組み合わせて使用してもよい。
このポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、その中のソフトセグメントの配列様式により、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−ブロック共重合体(SEPS)、ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体などがある。
これらの中で、機械的強度、耐熱安定性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、柔軟性、加工性などの点から、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、及びスチレン−エチレン/プロピレン−ブロック共重合体(SEPS)が好ましい。これらのスチレン系エラストマーにおけるスチレンブロックの含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、さらには20〜40質量%の範囲が好ましい。
上記エラストマー成分の硬度は、JIS−A規格で80度以下が好ましい。硬度が80度以下であると、成形体としての十分な柔軟性が得られる。以上の点から、硬度がJIS−A規格で70度以下がさらに好ましく、60度以下が特に好ましい。
また、上記エラストマー成分の重量平均分子量については特に制限はないが、ガスバリア性、機械的特性、及び成形性などの面から、40,000〜120,000の範囲であることが好ましく、さらには60,000〜100,000の範囲が好ましい。
なお、成物中に含まれるエラストマー成分は、一種単独で、また二種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における充填材としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどの無機系充填材、各種の金属粉、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等の固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。本発明における充填材としては、クレー、アルミニウム粉、グラファイト等の扁平形状のフィラーがガスバリア性の点で好ましく、グラファイトがより好ましい。
本発明におけるエラストマー組成物中の樹脂成分の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であると好ましく、0.1〜50質量部であるとより好ましい。樹脂成分の配合量が100質量部以下であると、得られる流体輸送用チューブの硬度が高くなり過ぎることがなく好ましく、0.1質量部以上であると、成形のしやすさという点で好ましい。
本発明におけるエラストマー組成物中の充填材の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であると好ましく、0.1〜50質量部であるとより好ましい。充填材の配合量が100質量部以下であると、チューブの硬度が高くなりすぎることがないため好ましく、0.1質量部以上であると、チューブの耐湿性、ガスバリア性の面で好ましい。
本発明におけるエラストマー組成物中には、さらに軟化剤を添加することができる。軟化剤としては、通常、室温で液体又は液状のものが好適に用いられる。
このような性状を有する軟化剤としては、例えば、鉱物油系、合成系などの各種ゴム用又は樹脂用軟化剤の中から適宜選択することができる。
ここで、鉱物油系としては、ナフテン系、パラフィン系などのプロセス油が挙げられ、なかでも、非芳香族系オイル、特に鉱物油系のパラフィン系オイル、ナフテン系オイル又は合成系のポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であって、その数平均分子量が450〜5,000であるものが好ましい。
なお、これらの軟化剤は一種を単独で用いてもよく、互いの相溶性が良好であれば二種以上を混合して用いてもよい。
軟化剤の配合量は、特に制限はないが、エラストマー成分100質量部に対し、通常1〜1000質量部、好ましくは1〜500質量部の範囲で選ばれる。
配合量が、1質量部以上であると低硬度化することができ、流体輸送用チューブとした場合に十分な柔軟性が得られる。一方、1,000質量部以下であると軟化剤のブリードが抑えられ、また、流体輸送用チューブの十分な機械的強度が得られる。
なお、この軟化剤の配合量は、エラストマー成分の分子量及び該エラストマーに成分添加される他の成分の種類に応じて、上記範囲で適宜選定することができる。
また、本発明におけるエラストマー組成物には、得られる成形体の圧縮永久歪みを改善するなどの目的で、所望によりポリフェニレンエーテル樹脂を配合することができる。
ポリフェニレンエーテル樹脂としては、公知のものを用いることができ、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、又、2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体も用いることができる。
なかでも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)や2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、更に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して10〜250質量部の範囲で好適に選択することができる。
この配合量が250質量部以下であると得られる流体輸送用チューブの硬度が高くなりすぎず適度のものとなり、10質量部以上であると得られる流体輸送用チューブの圧縮永久歪みの改善効果が十分となる。
また、本発明におけるエラストマー組成物には、他の添加剤として、必要に応じて、難燃剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、シリコーンオイル、シリコーンポリマー、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマーB(商品名:リケンテクノス(株)製)などの各種接着性エラストマー、ハイブラー(商品名:(株)クラレ製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン(株)製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)などの他の熱可塑性エラストマー又は樹脂などを併用することができる。
上記シリコーンポリマーは、重量平均分子量が10,000以上、好ましくは100,000以上であるものが望ましい。上記シリコーンポリマーは、当該エラストマー組成物を用いた流体輸送用チューブの表面粘着性を改善する。
該シリコーンポリマーは、取扱い性を良くするために、汎用の熱可塑性ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどに高濃度で配合されたものを用いることができる。
特に、ポリプロピレンとの配合品が作業性、物性ともに良好である。
このような材料は、例えば、東レダウコーニングシリコーン(株)より市販されている、シリコーンコンセントレートBY27シリーズ汎用タイプとして容易に入手できるものを使用してもよい。
本発明の流体輸送用チューブの製造方法では、上述の樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を、減圧下で混練し、得られたエラストマー組成物を成形して流体輸送用チューブを製造する。
樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を混練する方法は、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、上記の各成分及び所望により用いられる添加剤成分を加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、プラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサーなどを用いて溶融混練し、更に、所望により有機パーオキサイドなどの架橋剤、架橋助剤などを添加したり、又はこれらの必要な成分を同時に混合し、加熱溶融混練することができる。
更に、当該エラストマー組成物においては、有機パーオキサイドなどの架橋剤、架橋助剤などを添加して架橋することも可能である。
本発明の製造方法では、上述の各成分を、上述の加熱混練機を用いて、減圧下で溶融混練を行っても良く、また、常圧下で混練後に溶融状態のエラストマー組成物を減圧下に置いても良い。減圧方法は特に限定されないが、溶融混練して得られたエラストマー組成物が溶融状態を保った状態で減圧することが好ましい。さらに、減圧時溶融したエラストマー組成物をポンプ系に吸い込まない構造が好ましい。
混練後に溶融状態のエラストマー組成物を減圧下に置く場合には、例えば、混練機の先端にカスケードとよばれるボックスと混練機が一体となった設備であり、カスケードからポンプで空気を排出し、系内を減圧して連続して生産する方法がある。また、混練機により混練冷却した後、混練物を加熱して溶融させ、その後減圧下に置く方法も可能である。
減圧下で溶融混練したり、混練機で溶融混練したエラストマー組成物を、該エラストマー組成物が溶融状態に保たれた状態で減圧すると、該エラストマー組成物中の水分、有機揮発成分が効率的に除去できたり、各成分を混練する際に生じる空気の巻き込みを防止できたり、または巻き込まれた気泡の除去ができたりする為、成形時のボイドの発生が大きく低減される。本発明の製造方法においては、ボイド発生の低減効果の点から、上述の各成分を減圧下で溶融混練することが好ましい。
減圧条件としては、絶対圧で0.1〜100KPaの条件が好ましく、80〜100KPaの条件がより好ましい。減圧条件が100KPa以下であると、成形時に十分なボイドの低減効果を得ることができ、80KPa以上であると、混練機等の装置に補強等を施す必要がない。
このようにして得られたエラストマー組成物を成形してなる厚さ0.5mmのシートを用いて測定した空気透過度[JIS K7126;A法(差圧法)、40℃]は、通常、200×10-5cm3/m2・24hr・Pa以下であり、優れたガスバリア性を有している。該空気透過度は、好ましくは100×10-5cm3/m3・24hr・Pa以下、より好ましくは5×10-5cm3/m2・24hr・Pa以下、更に好ましくは1×10-5cm3/m2・24hr・Pa以下である。
さらに、上記厚さ0.5mmのシートを用いて測定した水蒸気透過度〔JIS Z0208;40℃、90%RH)は、通常、2.0g/m2・24hr以下であり、水蒸気に対するバリア性にも優れている。該水蒸気透過度は、好ましくは1.5g/m2・24hr以下、より好ましくは1.2g/m2・24hr以下、更に好ましくは1.0g/m2・24hrである。
本発明の製造方法では、前述の樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を含むエラストマー組成物を用い、従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、インフレーションなどの成形方法、好ましくは押出成形によりチューブ状とすることで流体輸送用チューブを製造する。このようにして得られる流体輸送用チューブの内径は、用途により適宜選択されるが、通常0.1〜3mm程度、好ましくは0.5〜2mmである。また、その肉厚は、内径にもよるが、通常0.1〜2mm程度、好ましくは0.5〜1.5mmである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
ボイドの発生;得られた流体輸送用チューブを押出方向にカットし、断面を光学顕微鏡にて観察した。評価は以下の基準で行った。
○ ; ボイドの発生が多く確認された
× ; ボイドの発生はほとんど確認されなかった
実施例1
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体〔SIBS:重量平均分子量Mw=約70,000、スチレンブロック含有量30質量%〕100質量部、ポリプロピレン〔出光興産株式会社製「H−700」〕5質量部及びグラファイト〔株式会社エス・イー・シー製、「SGP−10」〕20質量部をヘンシェルミキサーに投入し、室温下20分間予備混合し、次いで真空ポンプにより−730mmHgに系内を減圧にした条件で二軸混練機用いて溶融混練し、エラストマー組成物を得た。
得られたエラストマー組成物を用い、押出成形により流体輸送用チューブを作製し、ボイドの発生を評価した。
比較例1
実施例1において、溶融混練を常圧下で行ったこと以外は、実施例1と同様にして流体輸送用チューブを作製した。得られた流体輸送用チューブについて、上記評価を実施した。結果を第1表に示す。
Figure 2009126170
本発明の製造方法は、ボイドの発生を防ぎつつ、耐湿性及びガスバリア性に優れた流体輸送用チューブを製造することができ、得られた流体輸送用チューブは、冷媒輸送用・ガス輸送用・化学薬品用・医療用・飲料輸送用などの用途に好適である。

Claims (4)

  1. 少なくとも樹脂成分、エラストマー成分及び充填材を、減圧下で混練して得られたエラストマー組成物、又は常圧下で混練後、溶融状態で減圧下に置いたエラストマー組成物を成形する流体輸送用チューブの製造方法。
  2. 前記エラストマー組成物を押出成形することでチューブ状とする請求項1に記載の流体輸送用チューブの製造方法。
  3. 前記充填材が扁平形状のフィラーである請求項1又は2に記載の流体輸送用チューブの製造方法。
  4. 減圧条件が、絶対圧で0.1〜100KPaである請求項1〜3のいずれかに記載の流体輸送用チューブの製造方法。
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