JP2006136974A - ケーブルガイド - Google Patents

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Abstract

【課題】ロボットアーム、工作機械等の、移動する移動部材を備える機器のケーブルガイドにおいて、特別なスペースを必要とせず、ケーブル保護の信頼性が高いケーブルガイドを提供する。
【解決手段】ケーブル案内用貫通孔5を備えたケーブル保護部材8において、ケーブル案内用貫通孔5の、角部6および内周面に、自己潤滑材料をコーティングする。また、角部6の形状を略R面取り加工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材を貫通するケーブルを備えてなる機器において、前記ケーブルを前記移動部材から保護するためのケーブルガイドに関する。
従来、ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材を有する機器において、移動部材を貫通するケーブルが、移動部材と接触することにより損傷しないためのケーブルガイドの構造としては、移動部材にケーブル案内用貫通孔を設け、貫通孔の角部をR面取り加工することで、移動部材のケーブルに対する応力を軽減し、損傷を回避していた。
これを従来例として、図5にて説明する。図5は、ロボットアームの関節部を透視した斜視図を示している。移動部材A1と移動部材B2は、ロボットアームのアームケースを示している。移動部材A1には、複数の構成部材10、モータ3および構成部材10やモータ3からのケーブル4aが収納されており、移動部材B2には、モータ3aとモータ3aからのケーブル4が収納されている。以上の構成の場合、移動部材A1の内部に敷設されたモータ3によって、移動部材B2は駆動される。すなわち、移動部材B2は、移動部材A1に対して相対的に回転移動させられる。モータ3aは、図示しない他の移動部材を駆動するために敷設されており、モータ3aからのケーブル4は、移動部材A1に敷設されたケーブル案内用貫通孔5を貫通して、移動部材A1に収納されるため、移動部材A1には、移動部材B2の回転角度を考慮した形状のケーブル案内用貫通孔5が設けられている。図6は、図5におけるケーブル案内用貫通穴5の拡大断面図であり、移動部材A1の厚さ4mmに対し、角部6に半径1mmのR面取り加工が施されている。また、ケーブル案内用貫通孔5の角部6にR面取り加工が施されることで、ケーブル4を保護するためのケーブルガイドとして構成されている。
その他の従来例として、移動部材とは別部品で形成され、ケーブル案内用貫通孔を具備する樹脂製のケーブル保護部材が、移動部材に対してねじで取付けられ、ケーブルを保護するようにしたケーブルガイドの構成もある(例えば、特許文献1参照)。この構成を図7において説明する。図7において、8は柔らかくて滑りのあるふっ素樹脂等の材料で形成された樹脂製のケーブル保護部材で、ケーブル案内用貫通孔5が備えられ、前述の従来例と同様に、ケーブル案内用貫通孔5の角部6にはR面取り加工が施されている。ケーブル保護部材8は金属製の移動部材A1に対して、ねじ9にて取付けられ、ケーブル案内用貫通孔5を通過する図示しないケーブルを保護している。
図8(a)は、図7における樹脂製のケーブル保護部材8の拡大断面図を示しており、図8(b)は、さらにケーブル保護部材8のねじ固定用フランジを無くして、圧入または接着により、移動部材A1に対して固定されるようにした場合の、ケーブル保護部材8の拡大断面図を示している。
以上のように、特に人型ロボット、福祉機器等の分野では、人に優しいデザイン、小形軽量の機器が要求され、移動部材内部の少ないスペースに、可能な限り構成部材とケーブルを押し込んで組立てられている。
特開2001−309529号公報(図1)
ところが、従来例のように、金属製の移動部材に設けられたケーブル案内用貫通孔の角部がR面取り加工されただけのケーブル保護構造では、ケーブル案内用貫通孔の角部を均一の面粗さでR面取り加工を行うことが非常に難しいため、ケーブルと移動部材の間の摩擦が大きくて滑りが悪く、移動部材が移動した際、ケーブルが、ケーブル案内用貫通孔に引っ掛かって無理な力が働き、断線したり、ケーブルの外皮が擦れて損傷し、断線に至るといった問題があった。
そのため、移動部材とは別部品として、摩擦係数の小さい樹脂にてケーブル保護部材を製作し、ねじ等にて移動部材に取付けるといった、その他の従来例のケーブルガイドも実施されてきたが、フランジ部のようなねじを取付けるスペースが必要となり、ケーブル保護部材が大きくなるため、機器の小形軽量化に不適であり、部品点数も増え、加工、組立て等の生産性がよくなかった。
また、前述のスペースの問題を解決するため、ねじによる樹脂製ケーブル保護部材の固定の代わりに、移動部材に対して圧入固定するようにした構成では、移動部材とケーブル保護部材の材料が異種のため、つまり熱膨張係数が異なるために、温度変化が発生した場合、移動部材とケーブル保護部材の圧入結合部がゆるくなる、またはきつくなりすぎるという現象が発生し、当初の固定力が弱くなる、またはケーブル保護部材が破壊されるという問題があった。
また、樹脂製ケーブル保護部材が接着剤によって固定された構成についても、樹脂は接着性が悪く、確実な固定は難しかった。さらに、この構成では樹脂製のケーブル保護部材を取付ける個所においては、樹脂の機械的弱さにより、移動部材の強度が低下してしまうという問題もあった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、スペースを取らず、シンプルで確実なケーブル保護の構造を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明においては以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に敷設されたケーブル保護部材と、前記ケーブル保護部材に形成されたケーブル案内用貫通孔を具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、前記ケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料がコーティングされたケーブルガイドとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記ケーブル保護部材が前記移動部材と同種材料で形成され、前記移動部材に圧入により固定されたケーブルガイドとするものである。
請求項3に記載の発明は、前記ケーブル保護部材が前記移動部材と同種材料で形成され、前記移動部材に接着により固定されたケーブルガイドとするものである。
請求項4に記載の発明は、ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に形成されたケーブル案内用貫通孔とを具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、前記ケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料がコーティングされたケーブルガイドとするものである。
請求項5に記載の発明は、ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に形成されたケーブル案内用貫通孔とを具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、前記移動部材が、自己潤滑材料で形成されたケーブルガイドとするものである。
請求項6に記載の発明は、前記ケーブル案内用貫通孔の角部が、略R面取り加工されたケーブルガイドとするものである。
以上、本発明によれば以下の効果がある。
請求項1に記載の発明によると、ケーブル保護部材に形成されたケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料のコーティングを施す際、例えばふっ素樹脂を材料とする自己潤滑材料がコーティングできる前記ケーブル保護部材でよいため、簡単にケーブルガイドが構成できる。
請求項2に記載の発明によると、移動部材と同種材料で形成されたケーブル保護部材が、前記移動部材に対して、圧入により固定されれば、前記ケーブル保護部材を前記移動部材にねじ固定するためのフランジ部が不要となる。また、これらが同種材料であれば、熱膨張係数が同等のため、温度変化時においても圧入当初の固定力が変化することがない。すなわちケーブル保護部材が移動部材から外れることが極めて少ないため、信頼性の高いケーブルダクトを構成できる。また、これらが同種材料であれば、移動部材の強度を維持できる。
請求項3に記載の発明によると、移動部材と同種材料で形成された前記ケーブル保護部材が、前記移動部材に対して、接着により固定されれば、前記ケーブル保護部材を前記移動部材にねじ固定するためのフランジ部が不要となる。また、これらが同種材料であれば、異種材料のときと比較して接着剤の選定が簡単になり、かつ接着力の向上が期待できることから、請求項2に記載の発明と同様、信頼性の高いケーブルダクトを構成できる。
請求項4に記載の発明によると、移動部材そのものがケーブル案内用貫通孔を具備し、前記ケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料がコーティングされているため、移動部材とは別部品のケーブル保護部材を製作する必要がなくケーブルダクトを構成できる。また、ケーブル保護部材が存在しないため、移動部材の強度を維持できる。
請求項5に記載の発明によると、ケーブル案内用貫通孔を具備する移動部材が、自己潤滑材料で形成されているため、前記移動部材とは別部品のケーブル保護部材を製作する必要がないうえ、前記ケーブル貫通孔の角部と内周面に自己潤滑材料をコーティングする必要がない。これにより、シンプルで信頼性の高いケーブルダクトを構成できる。
請求項6に記載の発明によると、ケーブル案内用貫通孔の角部に略R面取り加工を施せば、以上のケーブルガイドについて、さらに信頼性の高いケーブルダクトを構成できる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1のケーブルガイドを採用したロボットアームの関節部を透視した斜視図である。移動部材A1と移動部材B2は、ロボットアームのアームケースを示している。移動部材A1には、構成部材10、モータ3および構成部材10やモータ3からのケーブル4aが収納されており、移動部材B2には、モータ3aとモータ3aからのケーブル4が収納されている。この構成の場合、移動部材A1に敷設されたモータ3によって、移動部材B2は駆動される。すなわち、移動部材B2は移動部材A1に対して、相対的に回転移動する。移動部材B2に敷設されたモータ3aからのケーブル4は、移動部材A1に敷設されたケーブル保護部材8のケーブル案内用貫通孔5を貫通して、移動部材A1に収納される。従ってケーブル保護部材8には、移動部材B2の回転角度を考慮した形状のケーブル案内用貫通孔5が設けられている。ケーブル案内用貫通孔5の角部6にはR面取り加工が施されることで、ケーブル4を保護するためのケーブルガイドが構成されている。
また、図2(a)、(b)、(c)は、本発明の実施例1におけるケーブル保護部材8の断面形状例を示す拡大図である。7はふっ素樹脂コーティングである。
ここでケーブル保護部材8は、移動部材A1と別部品の構成とされ、移動部材A1と同種の材料にて製作されている。例えば、移動部材A1がアルミニウム合金製の場合、ケーブル保護部材8も同種の材料で製作されている。また、ケーブル保護部材8は、ケーブル案内用貫通孔5の角部6に、自己潤滑材料として代表的なふっ素樹脂コーティング7が施され、移動部材A1に対して、圧入により取り付けられている。自己潤滑材料は、ふっ素樹脂に限られたものではないが、本発明の目的のためには、低摩擦係数をもち、アルミニウム合金などにもコーティングが可能なふっ素樹脂によるコーティングが最適である。
特に人型ロボットのアームなどでは、デザインが優先されるため、移動部材は通常複雑な形状となり、ケーブル案内用貫通孔の角部へのR面取り、半円状の加工、およびふっ素樹脂コーティングが行いにくく、完成までにかなりの時間を要することがあるが、この構成によれば、加工およびコーティングの作業性が改善され、ケーブル保護の品質確保、製造時間短縮を実現できる。
また、ケーブル保護部材8は移動部材A1と同種の材料にて製作されているため、圧入による固定が確実にでき、移動部材A1の機械的強度も低下せしめず、小形軽量化に適した構造であるといえる。圧入による固定が確実にできるのは、ケーブル保護部材8と移動部材A1を同種の材料で形成すると、熱膨張係数が同等のため、温度変化が発生しても圧入当初の結合力が保持されやすいためである。
また、ケーブル保護部材8を移動部材A1に対して、接着固定する場合においても、同種の材料同士であるため、異種の材料を接着する際と比較して、接着材を容易に選択でき、特に上記の部品同士が金属同士の場合、接着剤による固定でも十分な強度を確保できる。
また、例えば移動部材がセラミックスにて形成される場合は、ケーブル保護部材もセラミックスにて製作し、上記と同様にケーブル保護部材のケーブル案内用貫通孔の角部に、自己潤滑材料であるふっ素樹脂コーティングを施せばよい。
また、移動部材A1の材料、形状、大きさによって、ケーブル保護部材8の形状を図2(a)から(c)のいずれかより選択すれば、ケーブル保護部材8のスペースの問題、および外れやすさの問題が解決できる。
図3は、本発明の実施例2のケーブルガイドを説明する図である。図3は、図1と同様、ロボットアームの関節部を透視した斜視図を示しており、その構成は、図1とほぼ同様であるが、移動部材A1には、移動部材B2の回転角度を考慮した形状のケーブル案内用貫通孔5が直接設けられている。すなわち、実施例1のようにケーブル保護部材が用いられず、移動部材A1にケーブル案内用貫通孔5が敷設されることによって、移動部材A1にケーブルガイドが構成されている。
図4(a)は、この実施例2のケーブル案内用貫通孔5の拡大断面図であり、ケーブル案内用貫通孔5の角部6には、移動部材A1の厚さ4mmに対して半径1mmのR面取り加工が施され、角部6に自己潤滑材料であるふっ素樹脂コーティング7が約40μmの厚さで施されている。
図4(b)は、この実施例2において、ケーブル案内用貫通孔5の角部6が、移動部材厚さ4mmに対して半径2mmの半円状に加工され、ふっ素樹脂コーティング7が施されたものである。
以上によれば、移動部材A1において、ケーブル4との接触部である角部6のR面取り加工の面粗さが均一でなくても、ふっ素樹脂コーティング7により、摩擦係数が減少し、ケーブル4と移動部材A1の滑りがよくなるため、従来のように、ケーブル案内用貫通孔5とのひっかかりによりケーブル4が断線したり、ケーブル4の外皮が擦れて損傷し断線に至るといった問題を解決することができる。また、ケーブルガイドのための特別なスペースを必要とせず、移動部材A1の強度を維持するシンプルな構造であるため、小形軽量、低コストをも実現できる。
図4(b)は、図4(a)の実施例よりも移動部材A1の加工に手間がかかるが、ケーブルが接触する面積を減少できることから、ケーブル保護の信頼性がより高くなるため、加工が行いやすい移動部材形状の場合には、これを適用するとよい。
また、実施例3として、移動部材が自己潤滑材料で製作されてもよいことを説明しておく。すなわち、実施例2と同様、移動部材にケーブル案内用貫通孔が敷設され、移動部材にケーブルガイドが構成されているとともに、移動部材を自己潤滑材料で形成されるようにしたものである。当然、ケーブル案内用貫通孔の角部には、R面取り加工を施しておく。
これは、移動部材自体を軽量に製作したい場合、および移動部材に機械的強度が要求されない場合、すなわち移動部材を金属やセラミックスで製作しない場合に適している。自己潤滑材料は、やはりふっ素樹脂を主体とした材料で形成するのがよい。
なお、本発明においては、ケーブル案内用貫通孔5の角部6に施すR面取りは、ケーブルにかかる応力集中を避ければよいため、R面取りの半径や形状にこだわらず、加工のしやすさを考慮して、略R面取り形状にされていればよい。
この発明によれば、特別なスペースを必要としないシンプルな構造で、確実にケーブル保護が行え、また、デザインを優先したケーブルガイドの形状にすることができる。これにより、産業用ロボット、工作機械の分野はもとより、デザイン、小形軽量化が重視される人型ロボット、福祉機器、マイクロ・デバイスなど種々の用途に適用できる。
本発明第1実施例のケーブルガイドをもつロボットアーム関節部の透視斜視図 図1におけるケーブル案内用貫通孔の拡大断面図 本発明第2実施例のケーブルガイドをもつロボットアーム関節部の透視斜視図 図3におけるケーブル案内用貫通孔の拡大断面図 従来のケーブルガイド実施例をもつロボットアーム関節部の透視斜視図 図5におけるケーブル案内用貫通孔の拡大断面図 従来の他のケーブルガイド実施例をもつ移動部材の斜視図 図7におけるケーブル案内用貫通孔の拡大断面図
符号の説明
1 移動部材A
2 移動部材B
3 モータ
3a モータ
4 ケーブル
4a ケーブル
5 ケーブル案内用貫通孔
6 角部(面取り部)
7 ふっ素樹脂コーティング
8 ケーブル保護部材
9 ねじ
10 構成部材

Claims (6)

  1. ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に敷設されたケーブル保護部材と、前記ケーブル保護部材に形成されたケーブル案内用貫通孔を具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、
    前記ケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料がコーティングされたことを特徴とするケーブルガイド。
  2. 前記ケーブル保護部材が前記移動部材と同種材料で形成され、前記移動部材に圧入により固定されたことを特徴とする請求項1記載のケーブルガイド。
  3. 前記ケーブル保護部材が前記移動部材と同種材料で形成され、前記移動部材に接着により固定されたことを特徴とする請求項1記載のケーブルガイド。
  4. ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に形成されたケーブル案内用貫通孔とを具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、
    前記ケーブル案内用貫通孔の角部と内周面に、自己潤滑材料がコーティングされたことを特徴とするケーブルガイド。
  5. ロボットアーム、工作機械等の移動する移動部材と、前記移動部材に形成されたケーブル案内用貫通孔とを具備する配線用のケーブルを保護するケーブルガイドにおいて、
    前記移動部材が、自己潤滑材料で形成されたことを特徴とするケーブルガイド。
  6. 前記ケーブル案内用貫通孔の角部が、略R面取り加工されたことを特徴とする請求項1、4または5のケーブルガイド。
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