JP2006136870A - 粉砕装置およびこの粉砕装置を用いた粉体製造方法 - Google Patents

粉砕装置およびこの粉砕装置を用いた粉体製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 粗粉砕(1次粉砕)とそれに続く微粉砕(2次粉砕)とを連続的に且つ良好に行うべく、粗粉砕機の機能と微粉砕機の機能とを兼ね備えた粉砕装置を簡素な構成により実現すること、およびこの粉砕装置を用いて繊維状物質から粉体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 粉砕室1を、円盤状の粉砕ロータ2によって、粉砕ロータ2の一方の面が面する第1粉砕室1aと、粉砕ロータの他方の面が面する第2粉砕室1bとに仕切り、粉砕ロータ2の一方の面に設けた第1粉砕部3で原料物質を粉砕して生成した1次粉砕物を、粉砕ロータ2の他方の面に設けた第2粉砕部4で粉砕して2次粉砕物を生成するよう、第1粉砕室1aと第2粉砕室1bとを構成し、第2粉砕室に連通させた状態で、第2粉砕物から所定粒度の微粉を分級して排出する分級部6を設けてある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種粉砕物(粉体)の製造に使用する粉砕装置およびこの粉砕装置を用いた粉体製造方法に関する。
粉砕物の製造方法の一つとして、原料物質を粉砕する方法がある。この方法では、様々な粉砕装置が使用される。粉砕装置の例としては、粉砕ロータの回転面に粉砕ピンを取付けたピン型粉砕機(例えば、特許文献1参照)、特に超硬合金材料からなる粉砕ピンを使用するピン型粉砕機(例えば、特許文献2参照)、回転面にブロック状の粉砕刃を取付けた粉砕機(例えば、特許文献3参照)などが従来から知られている。
また、従来から公知の粉砕技術を適用した例として、ジェットミルによる電子写真用トナーの製造方法(例えば、特許文献4参照)、カッターミルによるトナー粒子の製造方法(例えば、特許文献5参照)、パルべライザー(粉砕刃型粉砕機)による粉体塗料の製造方法(例えば、特許文献6参照)などがある。
特許文献1のピン型粉砕機は、複数の粉砕ピンを取付けたロータディスクをケーシング内に設け、ケーシングの中に原料物質が投入されるとロータディスクを回転させ、粉砕ピンによって粉砕を行うものであり、比較的粒径の大きい粉砕物を得ることができる。
特許文献2のピン型粉砕機も、ロータディスクに取付けたピンの高速回転によって、原料物質の粉砕を行うものである。このピン型粉砕機では、ピンに超硬合金材料を使用しており、粉砕工程中におけるピンの摩耗による異物の混入を防止することを目的としている。
特許文献3の粉砕機は、ロータディスクに複数のブロック状粉砕刃を放射状に取付け、粉砕刃と原料物質との衝突により粉砕を行う構成となっている。この種の粉砕機は、板状あるいはブロック状の粉砕刃によって原料物質に加える打撃作用によって粉砕を行うものであり、粒径の小さい粉砕物を得ることができる。
また、従来の微粉製造工程は、上述したような複数の粉砕機を組み合わせ、原料物質を目的の粒径になるまで粉砕するのが一般的であった。具体的には、まず初期粉砕としてピン型粉砕機等による原料物質の比較的粗い粉砕を行い、次いで、その粉砕物をブロック状粉砕刃等の粉砕刃を有する粉砕機によってさらに微粉化することが行われていた。特許文献4〜6においても、最終製品を得るまでには、粗粉砕および微粉砕を別々の粉砕機(あるいは、不連続に行う別々の粉砕工程)によって行っている。
特開平9−70548号公報(第1図) 特開2001−247906号公報(第1図) 特開平7−112138号公報(第1図) 特開平9−114133号公報 特開昭56−95246号公報 特開平11−12498号公報
ところで、上記従来技術で説明したように、粗粉砕機による粗粉砕の後、微粉砕機による微粉砕を実施しようとする場合、二つの別個の装置の間で粉砕物を搬送する必要が生じるため作業工程が煩雑になり、操作の手間も掛かるという問題があった。
従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、粗粉砕(1次粉砕)とそれに続く微粉砕(2次粉砕)とを連続的に且つ良好に行うべく、粗粉砕機の機能と微粉砕機の機能とを兼ね備えた粉砕装置を簡素な構成により実現すること、およびこの粉砕装置を用いて繊維状物質から粉体を製造する方法を提供することにある。
本発明に係る粉砕装置の特徴構成は、原料物質を粉砕する粉砕室を備えた粉砕装置であって、前記粉砕室を、円盤状の粉砕ロータによって、前記粉砕ロータの一方の面が面する第1粉砕室と、前記粉砕ロータの他方の面が面する第2粉砕室とに仕切り、前記粉砕ロータの一方の面に設けた第1粉砕部で前記原料物質を粉砕して生成した1次粉砕物を、前記粉砕ロータの他方の面に設けた第2粉砕部で粉砕して2次粉砕物を生成するよう、前記第1粉砕室と前記第2粉砕室とを構成し、前記第2粉砕室に連通させた状態で、前記2次粉砕物から所定粒度の微粉を分級して排出する分級部を設けた点にある。
本構成の粉砕装置においては、粉砕室を、円盤状の粉砕ロータによって、当該粉砕ロータの一方の面が面する第1粉砕室と、粉砕ロータの他方の面が面する第2粉砕室とに仕切り、粉砕ロータの一方の面に設けた第1粉砕部で1次粉砕して生成した1次粉砕物を、粉砕ロータの他方の面に設けた第2粉砕部に供給し、2次粉砕して2次粉砕物を生成するよう、一台の粉砕装置で第1粉砕室と第2粉砕室とを構成してある。このため、1次粉砕を行った後、直ちに連続して2次粉砕を実行することができる。これにより、1次粉砕と2次粉砕とを別々の粉砕機で行う場合のような手間の掛かる取扱いもなく、時間およびエネルギー消費の点においても無駄のない効率的な粉砕処理が可能となる。
また、第2粉砕室に設けた分級部は所定粒度の微粉だけを分級して排出し、その他の粉砕がまだ不十分な2次粉砕物は第2粉砕室で粉砕を続けることができる。このため、目標とする粒径の揃った微粉を得ることができるとともに、原料物質の無駄が無くなり、歩留まりを向上させることができる。
本発明の粉砕装置では、前記第2粉砕部と前記分級部との間に前記2次粉砕物を循環させる循環手段を設けることも可能である。
本構成の粉砕装置においては、分級部で分級されなかった粉砕が不十分な2次粉砕物を、循環手段により第2粉砕部に確実に戻すことができる。
さらに、粉砕工程においては、例えば、第2粉砕室の隅部分に2次粉砕物が溜まり易い。しかし、循環手段を設けたことによって2次粉砕物の循環が促進され、2次粉砕物が第2粉砕室中で滞ることがなくなるため、原料の歩留まりが良い粉砕を行うことできる。
本発明の粉砕装置では、前記粉砕ロータの回転軸に沿う方向において前記第2粉砕部に対向する位置に、前記循環手段による前記2次粉砕物の循環を規制する循環規制部材を設けることも可能である。
本構成のように、循環規制部材を設けることにより、第2粉砕物の循環が規制されて第2粉砕部に衝突する頻度が増大し、第2粉砕部による粉砕を促進できる。特に、繊維状等の嵩高い粉砕物の場合において粉砕性能及び品質の向上に有効となる。そして、循環規制部材は、循環手段による2次粉砕物(特に嵩高い粉砕物)の分級部への過剰な循環を抑制するので、粉砕処理の能力の向上を図りながらも、分級部における分級の処理能力に見合った循環量とすることで良好で安定した分級が行える。
本発明の粉砕装置では、前記第1粉砕部を、前記原料物質に剪断力を付与するピン状部材で構成し、前記第2粉砕部を、前記1次粉砕物に打撃力を付与する粉砕刃で構成することも可能である。
本構成の粉砕装置においては、初めに原料物質を比較的粗く粉砕するべく、第1粉砕部であるピン状部材で剪断力を主とする粉砕を実行する。次いで、1次粉砕で得られた1次粉砕物をさらに細かく粉砕するべく、第2粉砕部である粉砕刃で打撃力を主とする粉砕を実行する。このように、ピン状部材と粉砕刃とを使用することにより、粉砕を効率よく且つ確実に実施することが可能となる。特に、原料物質の形状が、例えば繊維状である場合において、1次粉砕部としてピン状部材を有する本構成の粉砕装置は有効である。
本発明の粉砕装置では、前記粉砕ロータの回転軸を水平方向に延出して設けることも可能である。
本構成のように、粉砕ロータの回転軸を水平方向に設定すると、回転軸を回転自在に拘束支持する支持部が同時に回転軸に作用する重力を負担することができる。このため、回転軸周りの構成が簡単になり、粉砕ロータの高速回転が可能となる。よって、原料物質の粉砕範囲が広くなり、2次粉砕物のさらなる微粉化が可能となる。
本発明の粉砕装置では、前記第2粉砕室を形成する内壁の下部領域を、前記粉砕ロータの側に下向きに傾斜させることも可能である。
本構成の粉砕装置においては、粉砕が十分でない2次粉砕物が、第2粉砕部の側に下向きに傾斜した第2粉砕室の内壁を伝って第2粉砕部に集まり易くなるので、第2粉砕部による粉砕が効果的に行われ、より効率的な2次粉砕を行うことができる。
本発明の粉砕装置では、前記粉砕ロータの径方向外側部と対向する粉砕室内壁側に前記粉砕ロータの回転方向に沿って複数の凹凸を有する粉砕ライナを設けることも可能である。
本構成のように、複数の凹凸を有する粉砕ライナを設けることにより、粉砕物に対して粉砕のための力をより効果的に与えることができる。したがって、粉砕処理の能力を向上できる。
本発明の粉砕装置では、前記粉砕ロータとその回転軸との締結部分を覆い、かつ、前記2次粉砕物を前記第2粉砕部が存在する側に案内可能な締結カバーを設けることも可能である。
本構成のように、締結カバーを設けることにより、循環手段にて循環された2次粉砕物を第2粉砕部が存在する側に案内することができ、循環手段にて循環された2次粉砕物に対する第2粉砕部による粉砕を的確に行うものとなる。また、締結カバーの内部空間を大きくすることにより、粉砕ロータの回転に伴って発生する熱を逃がすことができ、締結カバーの外周部に2次粉砕物が融着するのを抑制できる。
本発明の粉砕装置では、前記分級部を、前記粉砕ロータに対して上方位置に設けることも可能である。
本構成のように、分級部を第2粉砕室の上方に位置させることで、重量が比較的大きく粉砕が不十分な2次粉砕物が落下する勢いで分級部に吸引されるのを防止して、十分に粉砕することができる。
本発明の粉砕装置では、前記分級部として複数の分級羽根を有する分級ロータを設け、前記粉砕ロータの回転軸と前記分級ロータの回転軸とが水平方向に沿う姿勢で前記粉砕ロータと前記分級ロータとを水平方向に並べて配置し、前記粉砕ロータの回転方向と前記分級ロータの回転方向とを逆方向にすることも可能である。
本構成のように、粉砕ロータと分級ロータとを水平方向に並べて配置したものにおいて、粉砕ロータと分級ロータとを逆方向に回転することにより、両ロータから発生する反対向きの流れが打ち消し合って、粉砕室内で偏った旋回流が発生するのを抑制でき、第1粉砕部、第2粉砕部の周辺および分級ロータの周辺において局部的に粉体濃度が変動するのを抑制できる。したがって、粉砕室内での粉砕物の移動を円滑にできる。
このように、粉砕室内での粉砕物の移動を円滑にすることによって、粉砕物の滞留量の増減を抑えて粉砕物の滞留状態を安定させることができるとともに、変動の少ない安定した運転が行える。
また、粉砕物の円滑な移動によって、粉砕処理を行うために必要となる動力を抑えることができ、エネルギー効率を向上できる。しかも、粉砕物の円滑な移動によって、粉砕物の滞留量の増加や滞留時間に伴う粉砕物の温度上昇を抑えることもできる。したがって、粉砕物の融着を防止するために粉砕室内を冷却する際の必要エネルギーも抑えることができ、この点からも、エネルギー効率を向上できる。
本発明の粉砕装置では、前記分級部として複数の分級羽根を有する回転自在な分級ロータを設け、前記粉砕室に供給する原料物質の供給方向を前記粉砕ロータの回転円に対する接線方向とし、かつ、前記分級部にて排出する微粉の排出方向を前記分級ロータの回転円に対する接線方向とすることも可能である。
本構成のように、原料物質を粉砕ロータの回転円に対する接線方向に供給することにより、原料物質を粉砕室内に円滑に供給することができる。また、微粉を分級ロータの回転円に対する接線方向に排出することにより、微粉の排出を円滑に行うことができる。したがって、原料物質の供給と微粉の排出とが円滑になり、粉砕処理の能力を向上できるとともに、変動の少ないより安定した運転が行える。
本発明の粉砕装置では、前記分級部として複数の分級羽根を有する分級ロータを、所定粒度の微粉を排出する排出用開口を有する取り付け面に対して、当該取り付け面と前記分級ロータとの間に微小な間隔を隔てる状態で回転自在に設け、前記取り付け面に対向する前記分級ロータの端部側部材を前記分級ロータの径方向外側位置まで延設し、前記取り付け面と前記端部側部材との隙間に対して前記取り付け面側からエアーを供給するエアー吹出口を前記隙間において前記端部側部材の径方向外側寄りの位置に配置することも可能である。
本構成のように、取り付け面に対向する分級ロータの端部側部材を分級ロータの径方向外側位置まで延設することにより、取り付け面と端部側部材との隙間を分級ロータの径方向外側位置まで延出する。そして、エアー吹出口を前記隙間において端部側部材の径方向外側寄りの位置に配置することによって、当該隙間におけるエアー吹出口からのエアーの流出を分級ロータの径方向の内側よりも外側への流出量を多くすることになり、隙間への2次粉砕物の流入を防止できる。したがって、分級部で分級されなかった2次粉砕物が取り付け面と分級ロータとの隙間から排出用開口に通り抜けるのを的確に防止できる。
本発明の粉砕装置では、前記2次粉砕物が前記取り付け面と前記分級ロータとの隙間へ侵入するのを規制する侵入規制部を設けることも可能である。
本構成のように、侵入規制部を設けることにより、分級部で分級されなかった2次粉砕物が取り付け面と分級ロータとの隙間へ侵入すること自体を抑制できる。したがって、エアー吹出口における流出エアー量を少なくしても、分級部で分級されなかった2次粉砕物が取り付け面と分級ロータとの隙間から排出用開口に通り抜けるのを的確に防止できる。
本発明の粉体製造方法に係る特徴構成は、原料物質を繊維状化した後、上記の粉砕装置によって切断および粉砕して所定粒度の粉体を製造する点にある。
本構成の粉体製造方法においては、原料物質を繊維状化した後、本発明の粉砕装置で切断および粉砕して粉体の製造を行っているため、粒径の揃った粉体を高い歩留まりで且つ安定的に製造することができる。
本発明の粉体製造方法では、前記原料物質を、樹脂または樹脂を含む低融点物質とすることも可能である。
本構成の粉体製造方法は、熱の発生が比較的少ない切断工程を含むため、原料物質が樹脂または樹脂を含む低融点物質であっても粉砕物が融着することがない。このため、かかる低融点の原料物質から粒径の揃った粉体を高い歩留まりで且つ安定的に製造することができる。
本発明の粉体製造方法では、前記原料物質を、トナーまたは粉体塗料の原料とすることも可能である。
本構成の粉体製造方法は、熱の発生が比較的少ない切断工程を含むため、原料物質がトナーまたは粉体塗料の原料のような比較的融点が低い物質であっても粉砕物が融着することがない。このため、粒径の揃ったトナーまたは粉体塗料を高い歩留まりで且つ安定的に製造することができる。
本発明の粉体製造方法では、前記繊維状化を溶融紡糸法によって行うことも可能である。
本構成の粉体製造方法においては、粉体原料物質の繊維状化を溶融紡糸法によって行っているので、繊維状化した粉体原料物質を切断するだけで粉体粒径をある程度揃えることができる。そして、切断後の粉体原料物質をさらに粉砕処理することで、粒径の揃った粉体を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態について説明すると、図1は、第1実施形態における本発明の粉砕装置100の断面図である。粉砕装置100には、その内部に原料物質を粉砕する粉砕室1が備えられている。また、粉砕室1には、原料物質に当接してこの原料物質を粉砕する円盤状の粉砕ロータ2が備えられている。そして、この粉砕ロータ2は、粉砕室1を、粉砕ロータ2の一方の面が面する第1粉砕室1aと、他方の面が面する第2粉砕室1bとに仕切っている。
この第1実施形態では、投入口5に投入された原料物質が導入される側を第1粉砕室1aとし、第1粉砕室1aで粉砕された1次粉砕物が供給される側を第2粉砕室1bとする。そして、第1粉砕室1aに面する粉砕ロータ2の回転面を第1回転面2aとし、第2粉砕室1bに面する粉砕ロータ2の回転面を第2回転面2bとする。
図2に、粉砕ロータ2を(a)第1回転面2a側、および(b)第2回転面2b側からそれぞれ見た場合の斜視図を示す。粉砕ロータ2の第1回転面2aには、原料物質の1次粉砕が行われる第1粉砕部3が設けられている。また、粉砕ロータ2の第2回転面2bには、第1粉砕部3で原料物質を粉砕して生成した1次粉砕物が供給されて2次粉砕が行われる第2粉砕部4が設けられている。そして、この第1粉砕部3および第2粉砕部4は、第1粉砕室1aと第2粉砕室1bとの間で連設するように配置され、粉砕物の1次粉砕から2次粉砕への粉砕工程を連続して行うことができる。このような構成により、本発明の粉砕装置100では、1次粉砕の後、直ちに連続して2次粉砕を行うことができる。これにより、1次粉砕と2次粉砕とを別々の粉砕機で行う場合のような手間の掛かる取扱いもなく、時間およびエネルギー消費の点においても無駄のない効率的な粉砕処理が可能となる。そして、第1粉砕部3と第2粉砕部4とは、共通の円盤状の粉砕ロータ2の両面にそれぞれ設けられているので、粉砕装置の構成を簡素化することができる。
次に、1次粉砕および2次粉砕について、詳しく説明する。1次粉砕を行う第1粉砕部3は、例えば、図2(a)に示すようなピン状部材で構成される。なお、ここでは径方向に間隔をあけて並んだ3個の粉砕ピン3が8列放射状に配置された例を示す。この粉砕ピン3の配列については、隣接する粉砕ピン3の間隔を略均等になるように配置することも可能である。この粉砕ピン3は、粉砕装置100の投入口5から投入され、第1粉砕室1aに導入された原料物質を最初に比較的粗く粉砕するための粉砕部であり、主として剪断力による粉砕(以下、剪断粉砕という)を実行する。剪断粉砕は、後述する打撃力を主とする粉砕(以下、打撃粉砕という)に比べ、粉砕時の熱の発生が少なく、例えば、熱可塑性樹脂のような低融点物質の粉砕に適している。本実施形態の粉砕装置100では、粉砕ロータ2が回転軸20の周りを回転すると、粉砕ピン3と、第1粉砕室1a中に前記粉砕ピン3とは別に設けた固定の補助ピン13との間で粉砕が行われる。このため、原料物質の形状が例えば、繊維状である場合においても有効に粉砕を行うことができる。
2次粉砕を行う第2粉砕部4は、例えば、図2(b)に示すような板状あるいはブロック状の粉砕刃(ハンマ4a)で構成される。なお、ここでは、8個のブロック状のハンマ4aが外周部に配置された例を示す。このハンマ4aは、粉砕ピン3で粉砕されて生成した1次粉砕物をさらに細かく粉砕するための粉砕部材であり、主として打撃粉砕を実行する。打撃粉砕とは、粉砕ロータ2の回転に伴ってハンマ4aが回転し、第2粉砕室1b内に送り込まれた1次粉砕物に打撃力を与え、粉砕物粒子が割られることによって行われる微粉砕である。なお、図4に示すように、ハンマ4aの回転経路の外側に対向させてライナ10を設けると、1次粉砕物はハンマ4aに衝突した後、さらにライナ10にも衝突するので、粉砕の頻度が増加し、2次粉砕を促進することができる。また、ハンマ4aとライナ10との隙間を微小にすると、粉砕された2次粉砕物がこの微小隙間に入り込み、ハンマ4aとライナ10との間で摩砕作用を受けて、さらに微粉化が可能になる。なお、摩砕作用とは、粉砕物がハンマ4aおよびライナ10と擦れて、あるいは粉砕物どうしが擦れて角が削られる等して微粉化が進行することである。また、摩砕は、ロータ2の回転中は常に行われるものであるから、2次粉砕された粉砕物が、さらに第2粉砕室1b内を循環してハンマ4aとライナ10との間に入り込むことで、繰り返し摩砕が行われる。
2次粉砕を行う第2粉砕部4として使用するハンマ4aは、図2(b)に示したハンマ4aに代えて、例えば、図3に示した縦溝状凹部付き粉砕刃4bを用いることが好適である。このような形状の粉砕刃4bであれば、縦溝状凹部の存在によって、ライナ10と縦溝状凹部の当たり面との間で粉砕物が反発衝突を繰り返すことになるから、粉砕刃表面に対する粉砕物の衝突頻度を大きくすることができる。しかも、粉砕刃4bの縦溝状凹部とライナ10との間には粉砕物が移動するための通路が形成されるので、粉砕物の循環が促進されるとともに、粉砕物の過熱を抑える空気の流通が促進される。これにより、低融点物質に対してもより効率的に微粉化を行うことができる。また、縦溝状凹部付き粉砕刃4bは、当該粉砕刃4bとライナ10との間に挟まれた粉砕物に対して、より摩擦力を増大させた状態で外力を加えることができるので、この点においても効率的な微粉化を促進することができる。
ハンマ4aや粉砕刃4b(以下、まとめてハンマ4と称する)は、粉砕ロータ2の第2回転面2bに全て同じ種類のものを取り付けて使用してもよいし、種類の異なるもの(本明細書において例示したハンマ4以外の形状のものも含む)を複数個取り付けて使用してもよい。ハンマ4は、粉砕する原料物質の種類や性状等により、適宜使い分けることが有効である。
第2粉砕室1bには、これに連通させた状態で分級部6が設けられる。ここで、分級部6の例としては、複数の分級羽根6aを放射状に配置させた分級ロータ6を示す。この分級ロータ6は、その両端を二枚の円板で支持する構成であり、一方の円板6bは回転軸30に取り付けられ、他方は環状のカバー円板6cである。この分級ロータ6は、回転軸30によって回転することで、ハンマ4で粉砕されて生成した2次粉砕物のうち目標の所定粒度にまで粉砕されたものだけを選別し取り分ける。そして、まだ所定粒度に達成していない粉砕物を第2粉砕室に戻して再粉砕を続けることができる。これにより、原料物質が無駄なく粉砕され、歩留まりを向上させることができる。
分級部6で分級した所定粒度の微粉は、取出口7から取り出すことができる。ここで、取出口7は、分級部6の回転円に対してタンジェンシャル方向に延出させておくことが好ましい。このような構成とすれば、取出口7からの微粉の排出をより円滑に行うことができる。
さらに、第2粉砕部であるハンマ4と分級部6との間に、2次粉砕物を循環させる循環手段として、ガイドリング8を設けることも可能である。ガイドリング8は、分級部6を全周にわたって取り囲むように設置された筒状の部材であり、第2粉砕室の内壁に取付けられている数箇所の取付ステー8aによって保持されている。このガイドリング8は、分級部6によって選別され粉砕が不十分な2次粉砕物に対しては、ハンマ4に確実に戻すように作用する。これにより、粉砕物の製造における歩留まりをさらに向上させることができる。
また、粉砕工程中に粉砕物の一部が滞ることがある。例えば、第2粉砕室1bの隅部分1cに2次粉砕物が溜まり易いが、このような場合にもガイドリング8を設けることによって、2次粉砕物の循環が促進され、2次粉砕物が第2粉砕室中で滞ることがなくなるため、原料の歩留まりが良い粉砕を行うことできる。
なお、本発明の粉砕装置100は、本体の締結部11の締結具11aを外すことにより、粉砕装置100を分割できるように構成されている。このような構成により、仮に粉砕室1内に粉砕物が残留していたとしても、その清掃作業やハンマ4の交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、本発明の粉砕装置100は、稼動中においても残留粉砕物や難粉砕物等を粉砕室1から強制的に外部に排出することができるように、内壁1dの一部に負圧吸引またはスクリュー付設による第2取出口(図示せず)を設けることも可能である。この第2取出口から残留粉砕物や難粉砕物等を排出することにより、粉砕装置100内の粉砕物の滞留量が一定に維持され、粉砕装置100の運転時の過負荷を防止するとともに、粉砕および分級作用の変動を抑えることができる。
また、本発明の粉砕装置100には、冷却用媒体を供給するジャケット9を備えることも有効である。このジャケット9に冷却水等を供給することで、原料物質の粉砕に伴う温度上昇が抑えられるので、例えば、熱可塑性樹脂のような融点の低い物質を粉砕する場合であっても、粉砕物の熱融着を確実に防止することができる。
さらに、本発明の粉砕装置100では、粉砕ロータ2の回転軸20の設置方向を適宜設定することができる。最も典型的には、図1のように、粉砕ロータ2の回転軸20を水平方向に延出して設けておく。このような水平配置とすれば、回転軸20を回転自在に拘束支持する支持部が同時に回転軸20に作用する重力を負担することができる。このため、回転軸20周りの構成が簡単になり、粉砕ロータ2の高速回転が可能となる。よって、原料物質の粉砕範囲が広くなり、2次粉砕物のさらなる微粉化が可能となる。
一方、粉砕ロータ2の回転軸20を傾斜させたり、あるいは垂直方向に配置することも可能である。具体的には、第2粉砕室1bを形成する内壁1dの下部領域を粉砕ロータ2の側に下向きに傾斜させる(図1において、右側を上げ、左側を下げる)ことで、粉砕装置100全体を傾斜させる。このように傾斜させると、内壁1dに堆積している2次粉砕物が、内壁を伝って粉砕ロータ2側に集まり易くなるので、第2粉砕部4によって再度粉砕され、歩留まりのよい効率的な粉砕を行うことができる。
また、上記傾斜配置と同様の効果を得る別の方策として、図4の粉砕装置の一部拡大断面図に示すように、内壁1dの下部領域を粉砕ロータ2の側に下向き傾斜するように、第2粉砕室1bを形成する内壁1dをテーパー状に構成させることも可能である。この場合においても、粉砕が十分でない2次粉砕物が内壁を伝って粉砕ロータ2側に集まり易くなるので、第2粉砕部4によって再度粉砕され、歩留まりのよい効率的な粉砕を行うことができる。
本発明の粉砕装置100全体を垂直に立てた構成も可能であり、このような竪型配置にすることにより、分級部6を粉砕ロータ2の上方位置に設けた構成となる。このような構成では、分級部6を第2粉砕室1bの上方の空間に位置させることで、粒径の比較的大きい原料や粉砕が不十分な2次粉砕物が落下する勢いで分級部6に吸引されるのを防止することができ、粉砕物の粉砕時間を十分に取ることができるので、効率よく且つ確実に粉砕を実行することができる。
第1実施形態における本発明の粉砕装置100を用いた原料物質の粉砕についての代表的な試験結果について説明する。本実施例で使用した粉砕装置の仕様および試験条件は、次のとおりである。
<粉砕装置の仕様>
ロータ 第1粉砕部:粉砕ピン(図2aに記載のもの)
第2粉砕部:粉砕刃(図2bに記載のもの)
モータ :11kW
回転速度 :8000rpm
分級部 分級精度 :16μmカット
モータ :5.5kW
回転速度 :7000rpm
<試験条件>
原料物質 :繊維状トナー原料
処理時間 :120分
処理量 :30kg
図5は、本発明の粉砕装置100によって生成したトナーの粒径分布を示したグラフである。図5のうち、(a)は粒度分布を個数ベースで表したもの、(b)は粒度分布を質量ベースで表したものである。
図6に、本発明の粉砕装置100によって生成したトナーの電子顕微鏡写真を示す。このトナーは、繊維状化したトナー原料物質から粉砕開始後、約20分経過したものであり、この時の粉砕装置の処理能力は、約15kg/時間である。このように、本発明の粉砕装置100を使用すれば、繊維状のトナー原料物質から粒径の揃ったトナー粒子を容易に得ることができる。
なお、図6に示したトナーは、以下の工程によって製造した。
(1)トナー原料物質を繊維状化する工程
(2)本発明の粉砕装置100によって、繊維状化したトナー原料物質を切断および粉砕して所定粒度のトナー粒子を生成する工程
上記トナー製造方法は、原料物質を繊維状化した後、本発明の粉砕装置100で切断および粉砕して粉体の製造を行うものであるため、粒径の揃った粉体を高い歩留まりで且つ安定的に製造することができる。
また、上記トナー製造方法において、トナー原料物質の繊維状化を溶融紡糸法で行うことが好ましい。溶融紡糸法とは、溶融高分子等の繊維材料を細孔を有するノズルから冷却気流中に押出して、冷却固化させることにより繊維を形成する方法である。溶融紡糸法では均一な繊維径を有する繊維を生成することが容易であるので、この方法で得られた繊維状化したトナー原料物質を切断するだけでトナーの粒径をある程度揃えることができる。そして、切断後のトナー原料にさらに粉砕処理をすることで、粒径の揃ったトナーを容易に得ることができる。
なお、上記で説明したトナー製造方法は、原料物質をトナー以外の原料、例えば、粉体塗料等を原料とする粉体製造方法に対しても同様に適用できる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明するが、上記第1実施形態と異なる構成について説明し、上記第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。図7は、第2実施形態における本発明の粉砕装置101の断面図である。
この粉砕装置101は、上記第1実施形態と同様に、粉砕ロータ2の回転軸20と分級ロータ6の回転軸30とが水平方向に沿う姿勢で粉砕ロータ2と分級ロータ6とを水平方向に並べて配置した横型の粉砕装置である。この横型配置の粉砕装置において、粉砕ロータ2の回転方向と分級ロータ6の回転方向とを逆方向にしてある。
このように粉砕ロータ2と分級ロータ6とを逆方向に回転することにより、粉砕室1内で偏った旋回流が発生するのを抑制できるとともに、第1粉砕部3、第2粉砕部4の周辺および分級ロータ6の周辺において局部的な粉体濃度の変動を抑制できる。したがって、粉砕室1内での粉砕物の移動を円滑に行うことができるので、粉砕物の滞留量の増減を抑えて粉砕物の滞留状態を安定させることができ、かつ、変動の少ない安定した運転ができる。
粉砕ロータ2の径方向外側部と対向する粉砕室内壁側には、粉砕ロータ2の回転方向に沿って複数の凹凸を有する粉砕ライナ12を設けている。この粉砕ライナ12の形状としては、例えば、図8(a)に示すノコギリ刃型の粉砕ライナ12a、図8(b)に示す三角刃型の粉砕ライナ12b、図8(c)に示す波型の粉砕ライナ12cなど各種の形状を適応することが可能である。
ノコギリ刃型の粉砕ライナ12aは、粉砕ロータ2の回転方向に対して順目と逆目との2つの設置方向がある。順目とは、ノコギリ刃の斜部が粉砕ロータ2の回転方向に対して対向する場合である。逆目とは、ノコギリ刃の角部が粉砕ロータ2の回転方向に対して対向する場合である。図8(a)は、ノコギリ刃型の粉砕ライナ12aの設置方向を逆目とした場合を示している。
このような形状の粉砕ライナ12を設けることにより、粉砕物に対して粉砕のための力をより効果的に与えることができ、粉砕処理の能力を向上できる。
図7に示すように、粉砕ロータ2の回転軸20に沿う方向において粉砕ロータ2の外周部に配置した第2粉砕部であるハンマ4に対向する粉砕室内壁側に、ガイドリング8による2次粉砕物の循環を規制する循環規制部材としての堰14を設けている。
この堰14を設けることにより、第2粉砕物が循環側、すなわち分級ロータ6のある分級領域に移動するのを抑制することになり、その結果、第2粉砕物がハンマ4に衝突する頻度が増大してハンマ4による粉砕を促進することができる。こうして、粉砕処理の能力の向上を図りながら、循環によって分級ロータ6で分級されなかった2次粉砕物を的確にハンマ4に戻すことができる。
堰14は、環状に形成され、第2粉砕室1bの内壁から内側に突出する姿勢で設けている。そして、堰14の先端部とガイドリング8との間には間隔を設け、第2粉砕物が滞留することなく移動するようにしている。堰14の固定については、粉砕室1を形成するための第1ケーシング15および第2ケーシング16のフランジ間に挟み込んで固定してある。
堰14の高さ(内壁1dからの突出寸法)は粉砕物の量や運転条件に応じて設定可能である。また、必要により堰14の一部を切り欠いたり、堰14に1つ又は複数の適度な開孔を設けてもよい。そして、堰14の断面形状については、矩形状の他、三角山状や傾斜状に形成することができる。
粉砕ロータ2とその回転軸20とをボルトナットなどの粉砕ロータ用締結具17にて締結し、この粉砕ロータ用締結具17が存在する部分を締結部分17aとしている。そして、その締結部分17aを覆い、かつ、2次粉砕物を第2粉砕部であるハンマ4が存在する側に案内可能な締結カバー18を設けている。
この締結カバー18は、分級ロータ6と同じまたはほぼ同じ径を有する筒状に形成している。そして、締結カバー18は、分級ロータ6の外周部と締結カバー18の外周部とがほぼ一直線になるように配置している。このように締結カバー18を配置すると、循環気流が流れ込んだり、2次粉砕物等が滞留する不必要な空間を無くすと共に、ガイドリング8などで循環された2次粉砕物が締結カバー18の外周部側へ案内され、ハンマ4が存在する側へ2次粉砕物を円滑に移動させることができる。
また、締結カバー18の内部には、比較的大きな中空空間19が形成される。この中空空間19により粉砕ロータ2の回転に伴って発生する熱を逃がすことができ、締結カバー18の外周部に2次粉砕物が融着するのを抑制できる。
締結カバー18の形状については、適宜変更が可能であり、例えば、図7中一点鎖線で示すように、コーン型としてもよい。
分級ロータ6は、複数の分級羽根6aを放射状に配置し、その両端を二枚の円板で支持する構成であり、一方の円板6bは回転軸30に取り付けられ、他方は環状のカバー円板6cであって、カバー円板6cの中心の開口は排出用開口21に連通される。該分級ロータ6は、所定粒度の微粉を排出する排出用開口21や取出口7などを備えた排出側ケーシング26に回転軸30を介して支持されて設置されている。この排出側ケーシング26は、分級ロータ6のカバー円板6cに対向する内壁面を取り付け面22とし、その取り付け面22の中央部に排出用開口21を形成している。そして、分級ロータ6は、排出用開口21を有する取り付け面22との間に微小な間隔を隔てる状態で回転自在に設けている。
図9に示すように、取り付け面22に対向する分級ロータ6の端部側部材としてのカバー円板6cを分級羽根6aよりも分級ロータ6の径方向外側位置まで延設している。このようにして、取り付け面22と分級ロータ6のカバー円板6cとの隙間23を分級羽根6aよりも分級ロータ6の径方向外側位置まで延出する。そして、取り付け面22とカバー円板6cの隙間23に対して取り付け面22側から取り付け面22とカバー円板6cとが対向する方向に沿ってエアー吹出口24を設けている。このエアー吹出口24は、隙間23に対してエアーを噴出することにより、該隙間23部分にエアーシール部を構成し、所定粒度に達していない粉砕が不十分な2次粉砕物が隙間23を通り抜けて排出用開口21に流入するのを防止する。
そして、エアー吹出口24は、分級ロータ6の径方向において分級ロータ6のカバー円板6cの径方向外側寄りの位置、具体的には中央位置よりも少なくとも外側寄りに配置している。このようにエアー吹出口24を配置することにより、隙間23におけるエアーシール部で分級ロータ6の径方向外側から2次粉砕物が隙間23へ流入するのを防止でき、2次粉砕物の排出用開口21への流入を的確に防止できる。
また、図7に示すように、所定粒度に達していない2次粉砕物が取り付け面22と分級ロータ6のカバー円板6cとの隙間23へ侵入するのを規制する侵入規制部としての規制ガイド25を設けている。この規制ガイド25は、環状に形成され、分級ロータ6の回転方向において隙間23の全周にわたって設けている。そして、規制ガイド25の断面形状は、排出側ケーシング26の内壁に沿って分級ロータ6の径方向内側に延びその先端部が屈曲してガイドリング8側に傾斜する形状としている。
規制ガイド25は、2次粉砕物が隙間23へ向けて移動すること自体を抑制することができ、エアー吹出口24より供給するエアー量を軽減しても隙間23への2次粉砕物の流入を防止できる。
侵入規制部について、図7では、排出側ケーシング26とは別の規制ガイド25を設けているが、例えば、図10に示すように、排出側ケーシング26に、隙間23の径方向外側に位置する部分を延長形成することにより、排出側ケーシング26にて侵入規制部を構成することもできる。
この粉砕装置101でも、上記第1実施形態と同様に、投入口5から粉砕室1内へ原料物質を供給しかつ取出口7から所定粒度の微粉を取り出すようにしているが、図11(a)に示すように、投入口5から粉砕室1に供給する原料物質の供給方向を粉砕ロータ2の回転円に対する接線方向(タンジェンシャル方向)としている。このようにすると、粉砕室1内への原料物質の供給を円滑に行える。
また、図11(b)に示すように、取出口7から排出する微粉の排出方向を分級ロータ6の回転円に対する接線方向(タンジェンシャル方向)としている。このようにすると、取出口7からの微粉の排出を円滑に行える。
このように、原料物質の供給と微粉の排出とを円滑に行うことができ、粉砕処理の能力を向上できるとともに、変動の少ないより安定した運転を行える。
第2実施形態における本発明の粉砕装置101を用いた試験結果に基づいて説明する。
まず、粉砕ロータ2の回転方向と分級ロータ6の回転方向とを逆方向にした場合と粉砕ロータ2の回転方向と分級ロータ6の回転方向とを同じ方向にした場合との試験結果について、図12に基づいて説明する。図12において、d50とは体積平均径であり、CVとは変動係数である。
このときの粉砕装置の仕様および試験条件は、次のとおりである。
<粉砕装置の仕様>
第1粉砕部:図2(a)に示す粉砕ピン
第2粉砕部:図3に示す粉砕刃
粉砕ロータの回転速度:8000rpm
分級ロータの回転速度:7000rpm
(分級精度:10μmカット)
粉砕ライナ:図8(a)に示すノコギリ刃型でその設置方向を逆目とする
第2粉砕部と粉砕ライナとの間隔:0.8mm
<試験条件>
原料物質:繊維状トナー原料
処理時間:120分
処理量:40kg
外気温度:20℃
図12によると、粉砕ロータ2の回転方向と分級ロータ6の回転方向とを逆方向にした方が同じ方向とするよりも、粉砕動力が小さく、排気温度が低く、収率が良い。ここで、空転時動力は5.8kWである。
粉砕ロータ2の回転方向と分級ロータ6の回転方向とを逆方向にした場合には、収率が良く粉砕動力が小さいので、粉砕処理を効率よく行うことができ処理能力の向上を図ることができる。そして、粉砕動力が小さいので、小さな動力で粉砕処理を行うことができ、それだけエネルギー効率を向上できる。また、排気温度が低いので、粉砕室1などを冷却するために必要なエネルギー量を抑えてエネルギー効率を向上できるとともに、粉砕物が粉砕室1の内壁などに融着するのを抑制できる。
次に、粉砕ライナ12の形状および設置方向を変更した試験結果について、図13に基づいて説明する。図13の粉砕ライナ形状において、ノコギリ刃型とは図8(a)に示す形状であり、三角刃型とは図8(b)に示す形状であり、スムースとは凹凸の無い平らな形状である。
このときの粉砕装置の仕様および試験条件は、粉砕ライナについての仕様以外を、上述の粉砕ロータ2と分級ロータ6とを逆方向と同じ方向に回転させたときの仕様および試験条件と同様とし、粉砕ロータ2と分級ロータ6との回転方向については逆方向としている。
粉砕ライナ12の形状をノコギリ刃型または三角刃型とすると、スムースよりもd50(体積平均径)とCV(変動係数)とが低くなり、処理粉体の品質(粒度分布)が向上する。また、粉砕ライナ12をノコギリ刃型とした場合には、その設置方向を逆目とする方が純目とするよりもd50(体積平均径)とCV(変動係数)とが低くなり、処理粉体の品質(粒度分布)が向上する。したがって、粉砕ライナ12の形状はノコギリ刃型または三角刃型とするのが好ましく、ノコギリ刃型とする場合にはその設置方向を逆目にするのが良い。
次に、第2粉砕部であるハンマ4と粉砕ライナ12との間隔を変更した実験結果について、図14に基づいて説明する。
このときの粉砕装置の仕様および試験条件は、第2粉砕部と粉砕ライナとの間隔についての仕様以外を、上述の粉砕ロータ2と分級ロータ6とを逆方向と同じ方向に回転させたときの仕様および試験条件と同様とし、粉砕ロータ2と分級ロータ6との回転方向については逆方向としている。
ハンマ4と粉砕ライナ12との間隔を0.5〜1.5mmとすると、2.0mmの場合よりもd50(体積平均径)とCV(変動係数)とが低くなり、処理粉体の品質(粒度分布)が向上する。したがって、ハンマ4と粉砕ライナ12との間隔を0.5〜1.5mmとするのが好ましい。
本発明の粉砕装置は、トナーや粉体塗料の製造をはじめ、例えば、医薬品、農薬、化粧品、食品、工業薬品、一般化学製品など種々の分野における粉体の製造に用いることができる。
第1実施形態における本発明の粉砕装置の断面図 本発明の粉砕装置に使用する粉砕ロータの斜視図 縦溝状凹部付き粉砕刃を取り付けた粉砕ロータの斜視図 第2粉砕室を形成する内壁をテーパー状に構成した粉砕装置の一部拡大断面図 本発明の粉砕装置によって生成したトナーの粒径分布を示したグラフ 本発明の粉砕装置によって生成したトナーの電子顕微鏡写真 第2実施形態における本発明の粉砕装置の断面図 本発明の粉砕装置に使用する粉砕ライナを示す断面図 本発明の粉砕装置に使用する分級ロータの要部の断面図 本発明の粉砕装置に使用する侵入規制部の断面図 本発明の粉砕装置における原料物質の供給方向および微粉の排出方向を示す断面図 本発明の粉砕装置にて行った試験結果を示す表 本発明の粉砕装置にて行った試験結果を示す表 本発明の粉砕装置にて行った試験結果を示す表
符号の説明
1 粉砕室
1a 第1粉砕室
1b 第2粉砕室
2 粉砕ロータ
2a 第1回転面
2b 第2回転面
3 第1粉砕部(粉砕ピン)
4 第2粉砕部(ハンマ)
5 投入口
6 分級部(分級ロータ)
6a 分級羽根
6c 端部側部材(カバー円板)
7 取出口
8 循環手段(ガイドリング)
12 粉砕ライナ
14 循環規制部材(堰)
17a締結部分
20 粉砕ロータの回転軸
21 排出用開口
22 取り付け面
23 取り付け面と端部側部材との隙間
24 エアー吹出口
25 侵入規制部(規制ガイド)
30 分級ロータの回転軸

Claims (17)

  1. 原料物質を粉砕する粉砕室を備えた粉砕装置であって、
    前記粉砕室を、円盤状の粉砕ロータによって、前記粉砕ロータの一方の面が面する第1粉砕室と、前記粉砕ロータの他方の面が面する第2粉砕室とに仕切り、
    前記粉砕ロータの一方の面に設けた第1粉砕部で前記原料物質を粉砕して生成した1次粉砕物を、前記粉砕ロータの他方の面に設けた第2粉砕部で粉砕して2次粉砕物を生成するよう、前記第1粉砕室と前記第2粉砕室とを構成し、
    前記第2粉砕室に連通させた状態で、前記2次粉砕物から所定粒度の微粉を分級して排出する分級部を設けてある粉砕装置。
  2. 前記第2粉砕部と前記分級部との間に前記2次粉砕物を循環させる循環手段を設けてある請求項1に記載の粉砕装置。
  3. 前記粉砕ロータの回転軸に沿う方向において前記第2粉砕部に対向する位置に、前記循環手段による前記2次粉砕物の循環を規制する循環規制部材を設けている請求項2に記載の粉砕装置。
  4. 前記第1粉砕部が、前記原料物質に剪断力を付与するピン状部材で構成され、前記第2粉砕部が、前記1次粉砕物に打撃力を付与する粉砕刃で構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  5. 前記粉砕ロータの回転軸を水平方向に延出して設けてある請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  6. 前記第2粉砕室を形成する内壁の下部領域を、前記粉砕ロータの側に下向きに傾斜させてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  7. 前記粉砕ロータの径方向外側部と対向する粉砕室内壁側に前記粉砕ロータの回転方向に沿って複数の凹凸を有する粉砕ライナを設けている請求項1〜6のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  8. 前記粉砕ロータとその回転軸との締結部分を覆い、かつ、前記2次粉砕物を前記第2粉砕部が存在する側に案内可能な締結カバーを設けている請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  9. 前記分級部が、前記粉砕ロータに対して上方位置に設けてある請求項1〜8のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  10. 前記分級部として複数の分級羽根を有する回転自在な分級ロータを設け、前記粉砕ロータの回転軸と前記分級ロータの回転軸とが水平方向に沿う姿勢で前記粉砕ロータと前記分級ロータとを水平方向に並べて配置し、前記粉砕ロータの回転方向と前記分級ロータの回転方向とを逆方向にしてある請求項5〜8のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  11. 前記分級部として複数の分級羽根を有する回転自在な分級ロータを設け、前記粉砕室に供給する原料物質の供給方向を前記粉砕ロータの回転円に対する接線方向とし、かつ、前記分級部にて排出する微粉の排出方向を前記分級ロータの回転円に対する接線方向としている請求項1〜10のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  12. 前記分級部として複数の分級羽根を有する分級ロータを、所定粒度の微粉を排出する排出用開口を有する取り付け面に対して、当該取り付け面と前記分級ロータとの間に微小な間隔を隔てる状態で回転自在に設け、前記取り付け面に対向する前記分級ロータの端部側部材を前記分級ロータの径方向外側位置まで延設し、前記取り付け面と前記分級ロータの端部側部材との隙間に対して前記取り付け面側からエアーを供給するエアー吹出口を前記隙間において前記端部側部材の径方向外側寄りの位置に配置している請求項1〜11のいずれか一項に記載の粉砕装置。
  13. 前記2次粉砕物が前記取り付け面と前記分級ロータとの隙間へ侵入するのを規制する侵入規制部を設けてある請求項12に記載の粉砕装置。
  14. 原料物質を繊維状化した後、請求項1〜13のいずれか一項に記載の粉砕装置によって切断および粉砕して所定粒度の粉体を製造する粉体製造方法。
  15. 前記原料物質は、樹脂または樹脂を含む低融点物質である請求項14に記載の粉体製造方法。
  16. 前記原料物質は、トナーまたは粉体塗料の原料である請求項14に記載の粉体製造方法。
  17. 前記繊維状化を溶融紡糸法によって行う請求項14〜16のいずれか一項に記載の粉体製造方法。
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