JP2006136179A - 圧電アクチュエータの駆動装置、圧電アクチュエータの駆動方法、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動装置、圧電アクチュエータの駆動方法、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムおよび記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧電アクチュエータの駆動周波数が、高調波による共振状態でロックすることを防止し、フィルタ用の外付け部品を設ける必要も無く回路の小型化も容易な圧電アクチュエータの駆動装置を提供すること。
【解決手段】 駆動装置50は、振動体910の振動状態を検出する位相差−DC変換回路53、比較回路54と、振動体が高調波で共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出回路52と、振動体の圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57とを備える。積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57は、高調波検出信号が出力されていない時は比較回路54の出力に基づいて前記駆動信号の周波数を制御し、高調波検出信号が出力されている間は、比較回路54の出力に基づく駆動周波数の制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、圧電素子を有する振動体を備えた圧電アクチュエータの駆動装置、圧電アクチュエータの駆動方法、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムおよび記憶媒体に関する。
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率や、応答性に優れている。このため、近年、圧電素子の圧電効果を利用した各種の圧電アクチュエータが開発されている。
この圧電アクチュエータとしては、圧電素子を有する振動体を主要構成要素とするものであり、例えば、この振動体を、一端に被駆動体と当接する突起部を有する板状の補強板と、この補強板の両面に貼設された圧電素子と、これら圧電素子の上面に設けられた駆動用電極およびこの駆動用電極と電気的に絶縁する検出用電極とで構成したものがある。そして、振動体の駆動用電極に所定の交流電圧を印加し、振動体をその長手方向に伸縮させる縦振動で励振させるとともに、この縦振動の振動方向と直交する方向に揺動する屈曲振動を誘発させる圧電アクチュエータの駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような駆動装置による駆動制御により、圧電アクチュエータは、振動体の突起部が楕円軌道を描くように回転し、該突起部と当接する被駆動体を駆動する。ここで、被駆動体を高効率で駆動するためには、圧電アクチュエータの振動体に設計上の最適な駆動周波数を有する交流電圧を印加して所定の縦振動および屈曲振動を生じさせる必要がある。しかしながら、圧電アクチュエータの個体差や温度特性、負荷特性等により、常時設計上の最適な駆動周波数を印加することは困難である。このため、この駆動装置は、圧電素子に設けられた検出用電極から検出信号を検出し、この検出信号に基づいて駆動用電極に印加する交流電圧の駆動周波数を調整するフィードバック制御を実施している。
具体的には、駆動用電極に印加される交流電圧の位相と、検出用電極から検出される検出信号の位相との位相差、または、複数の検出用電極から検出される検出信号間の位相差が、駆動用電極に印加される交流電圧の駆動周波数に依存することを利用した駆動装置が知られている。
この圧電アクチュエータ91の駆動装置500は、図19に示すように、波形整形回路51と、位相差−DC変換回路53と、比較回路54と、積分回路55と、可変周波数発振回路56と、駆動回路57とを備えている。
そして、駆動回路から出力される駆動信号SDRと、圧電アクチュエータ91の検出電極912Bから検出される検出信号SD1とを波形整形回路51で波形整形し、位相差−DC変換回路53で各信号の位相差を検出し、その検出位相差を比較回路54で目標位相差と比較し、その比較情報を積分回路55で積算して可変周波数発振器56に出力する。
可変周波数発振回路56は、積分回路55からの比較情報に応じた周波数で発振し、その周波数信号を駆動回路57に出力し、その周波数に応じた駆動信号が駆動回路57から振動体910に出力される。
従って、圧電アクチュエータ91の駆動装置500では、位相差−DC変換回路53で検出した位相差が予め設定した基準位相差に近づくように、駆動用電極に印加する交流電圧の駆動周波数を調整する。このようなフィードバック制御を実施することにより、圧電アクチュエータ91の振動体910に最適な駆動周波数を有する交流電圧を印加することが可能となり、圧電アクチュエータ91を所定の縦振動および屈曲振動で励振させ、被駆動体を高効率で駆動させることを可能としている。
特開2002−291264号公報(図26)
ところで、圧電アクチュエータは形状等により、図6の駆動周波数に対するインピーダンス特性に示すように、設計上、最も効率的に駆動する駆動周波数(共振点)f1以外に、共振点f2が現れることがあった。
ここで、駆動信号として、駆動回路の簡略化や低電圧での駆動を実現できる矩形波を利用した場合、圧電アクチュエータの駆動周波数がf2の奇数分の1(例えば1/3)のとき、矩形波の3倍の高調波成分によりアクチュエータが共振することがある。そのときの駆動波形と検出波形の関係は、例えば、図8に示すようになる。すなわち、駆動周波数がf2の1/3(f2/3)であっても、振動体910は機械的には3倍の高調波成分により振動するため、検出波形も3倍の周波数のものが出力されてしまう。
このため、周波数を制御するための位相差の検出回路が誤動作して、本来の最適な駆動周波数とは異なる周波数(例えば、f2/3)にロックした状態(周波数のダウン、アップが交互に繰り返されている状態)となってしまい、圧電アクチュエータが動作しないという問題が生じることがあった。
一方、このような問題を解消するために、駆動回路や検出回路にフィルターを挿入する方法も考えられるが、その場合にはアナログ素子等の外付け部品が増えて回路が大型化したり、コストが高くなるという問題がある。また、検出信号にフィルターを付ける場合には、フィルター駆動電力が減衰してしまうという問題があった。
本発明の目的は、圧電アクチュエータの駆動周波数を制御する際に、高調波による共振状態で駆動周波数がロックされてしまうことを防止でき、かつ、外付け部品などを設ける必要も無く回路の小型化も容易な圧電アクチュエータの駆動装置、圧電アクチュエータの駆動方法、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムおよび記憶媒体を提供することにある。
本発明は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段と、を備え、前記周波数制御手段は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする。
本発明では、振動体が駆動信号の高調波で共振している場合に高調波検出信号を出力する高調波検出手段を設け、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段の結果に関係なく、駆動信号の周波数を変化し続けるため、駆動信号の周波数を高調波で共振する周波数から確実に外すことができる。従って、周波数制御手段によって駆動信号の周波数を制御する際に、高調波で共振する周波数にロックされてしまうことが無く、圧電アクチュエータが駆動されないという問題を確実に防止できる。
また、高調波検出手段を設けて制御しているので、フィルター用のコイルなどの外付け部品を不要にでき、回路を小型化できてIC化も容易に行うことができる。
さらに、検出信号の入力にフィルターを設けると検出特性に影響を与えるが、本発明ではフィルターを設ける必要がないため、検出特性への影響を無くすことができる。
また、駆動信号の出力にフィルターを設けると出力が減衰して駆動効率が低下するが、本発明では駆動信号の出力にフィルターを設ける必要がなく、出力の減衰も防止できて駆動効率を向上できる。
本発明において、前記振動状態検出手段は、圧電アクチュエータの検出信号の位相差特性、振幅特性、電流特性の少なくとも1つの特性値を検出し、その特性値が予め設定された目標値以上であれば第1検出信号を出力し、その特性値が予め設定された目標値よりも小さければ第2検出信号を出力し、前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数を所定範囲内で変化可能に設定され、かつ、前記範囲の最大周波数または最小周波数の一方から他方に向かう第1の方向に周波数を変化させるとともに、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の一方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させ、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の他方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向と逆方向の第2の方向にして周波数を変化させ、高調波検出信号が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させることが好ましい。
本発明では、駆動信号の周波数を所定の周波数範囲でスイープ(変化)させているので、周囲の温度や負荷等の影響で圧電アクチュエータの共振周波数が変動しても、確実に駆動させることができる。
また、周波数制御手段は、振動状態検出手段や高調波検出手段の検出結果に基づいて、周波数の変化方向を切り替えるだけでよいので、簡単に制御できる。
本発明において、前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれた場合に高調波検出信号を出力することが好ましい。
通常、検出信号は、駆動信号に対して所定の位相差を有し、かつ、略同じ周波数の信号となる。従って、駆動信号の半周期内には、検出信号の立ち上がりまたは立ち下がりはいずれか一方のみが含まれることになる。
これに対し、高調波による共振状態では、検出信号は高調波成分によって駆動信号よりも高い周波数(例えば3倍の周波数)となるため、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれることになる。従って、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
本発明において、前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力するものでもよい。
高調波による共振状態では、検出信号は高調波成分によって駆動信号よりも高い周波数(例えば3倍の周波数)となるため、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がりが含まれたり、複数回数の立ち下がりが含まれることになる。従って、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
また、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれるかを検出する高調波検出手段に比べて、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれるかを検出する高調波検出手段のほうが、回路を簡単にでき、かつ、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の基本波を高調波と誤検出する可能性を少なくできる。
一方、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれるかを検出する高調波検出手段に比べて、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれるかを検出する高調波検出手段のほうが、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の高調波を基本波と誤検出する可能性を少なくできる。
本発明において、前記高調波検出手段は、駆動信号のn周期内に、検出信号のn+1回以上の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とするものでもよい。
例えば、本発明の高調波検出手段では、n=3の場合、駆動信号の3(n)周期内に、検出信号の4(n+1)回以上の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力される。なお、nは1以上の整数である。
前述のとおり、通常、駆動信号と検出信号とは同じ周波数の信号となるため、駆動信号のn周期内に、検出信号の立ち上がり又は立ち下がりはn回である。従って、この回数がn+1以上であれば、高調波による共振状態が生じたと判断でき、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
また、n周期内での検出信号の立ち上がり等の回数で高調波による共振状態を検出しているので、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、駆動信号の半周期内で判断する場合に比べて、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
本発明において、前記高調波検出手段は、駆動信号の周波数と、検出信号の周波数とが一致しなかった場合に高調波検出信号を出力することを特徴とするものでもよい。
なお、駆動信号および検出信号の各周波数が一致するとは、完全に同一の場合のみに限定されるものではなく、一致とみなせる僅かな差を有する場合も含むものである。すなわち、本発明の高調波検出手段は、駆動信号および検出信号の各周波数の差が所定範囲内と小さければ、高調波検出信号を出力するものであればよい。
前述のとおり、通常、駆動信号と検出信号とは同じ周波数の信号となるため、各信号の周波数が不一致であれば、高調波による共振状態が生じたと判断でき、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
また、本発明の高調波検出手段も、駆動信号の半周期内で判断する必要がないため、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
本発明において、前記高調波検出手段は、検出信号の周波数が、駆動信号の周波数よりも大きい場合に高調波検出信号を出力することを特徴とするものでもよい。
前述のとおり、通常、駆動信号と検出信号とは同じ周波数の信号となり、高調波による共振状態の場合には検出信号の周波数が高くなる。従って、検出信号の周波数が、駆動信号の周波数よりも大きい場合には、高調波による共振状態が生じたと判断でき、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
また、本発明の高調波検出手段も、駆動信号の半周期内で判断する必要がないため、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
ここで、前記周波数制御手段は、単位時間当たりの駆動周波数の変化量である駆動周波数変化率を変更する周波数変化率変更手段を備え、周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力された場合には、高調波検出信号が出力されていない場合に比べて前記周波数変化率を大きくすることが好ましい。
例えば、周波数変化率変更手段は、駆動周波数変化率を低速度および高速度の2段階に変更可能に設定され、高調波検出信号が出力された場合には高速度に設定し、高調波検出信号が出力されていない場合には低速度に設定すればよい。
このような構成によれば、高調波検出信号が出力されている間は、周波数変化率変更手段によって周波数変化率が大きくされるので、駆動周波数の変化速度が速くなって高調波による共振状態が発生する周波数領域を迅速に通過させることができ、その分、目標とする駆動周波数にロックさせるまでの制御時間を短縮できる。
この際、検出信号の振幅が所定値以上であることを検出して振幅検出信号を出力する振幅検出手段を備え、前記周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されている場合には前記周波数変化率を小さくすることが好ましい。
なお、周波数変化率変更手段が、駆動周波数変化率を低速度および高速度の2段階に変更可能に設定されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合には高速度に設定し、それ以外の場合に低速度に設定すればよい。
また、周波数変化率変更手段が、駆動周波数変化率を低速度、中速度および高速度の3段階に変更可能に設定されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合には高速度に設定し、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されていない場合には中速度に設定し、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されている場合には低速度に設定してもよい。
このような構成によれば、高調波検出信号が出力されておらず、振幅検出信号が出力されている間は、周波数変化率変更手段によって周波数変化率が小さくされるので、駆動周波数の変化速度を遅くできる。このため、駆動周波数の変化速度が速すぎるために、目標とする駆動周波数を通り過ぎてしまうこともなく、所定の駆動周波数に確実にロックさせることができる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動方法は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動方法であって、前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出工程と、前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出工程と、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御工程と、を備え、前記周波数制御工程は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする。
このような圧電アクチュエータの駆動方法によれば、振動状態検出工程、高調波検出工程、周波数制御工程を備えているので、前述の圧電アクチュエータの駆動装置と同様の作用効果を奏することができる。
本発明の電子機器は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部を有する圧電アクチュエータと、前述の駆動装置と、を備えたことを特徴とする。
このような構成の電子機器では、高調波による共振状態で駆動周波数がロックされてしまうことを防止できるので、特に腕時計などの小型で携帯に適した電子機器において、安定かつ確実な駆動を実現できる。その上、駆動信号として矩形波を利用できるので、駆動回路の簡略化や低電圧での駆動を実現でき、特に腕時計などの小型で省エネルギー化が必要な各種の電子機器に適している。
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムは、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムであって、前記駆動装置に組み込まれたコンピュータを、前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、前記高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることで圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段として機能させることを特徴とする。
また、本発明の記憶媒体は、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
このような本発明によれば、駆動装置に組み込まれたコンピュータを前記各手段として機能させることで、前述と同様に、高調波による共振状態で駆動周波数がロックされてしまうことを防止できる。
そして、各手段をコンピュータで構成すれば、プログラムを変更するだけで、容易に条件を変更できるため、駆動対象等に応じた適切な制御を容易に行うことができる。
本発明によれば、圧電アクチュエータの駆動周波数を制御する際に、高調波による共振状態で駆動周波数がロックされてしまうことを防止でき、かつ、外付け部品などを設ける必要も無く回路の小型化も容易に実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、電子機器の実施形態として、圧電アクチュエータによって駆動される日付表示機構を備えた電子時計を例示する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態にかかる電子時計1の日付表示機構90を示す平面図である。この図1において、日付表示機構90の主要部は、圧電アクチュエータ91と、この圧電アクチュエータ91によって回転駆動される駆動対象(被駆動体)としてのロータ92と、ロータ92の回転を減速しつつ伝達する減速輪列と、減速輪列を介して伝達される駆動力により回転する日車93とから大略構成されている。減速輪列は、日回し中間車94と日回し車95とを備えている。これらの圧電アクチュエータ91、ロータ92、日回し中間車94、および日回し車95は、底板9Aに支持されている。
日付表示機構90の上方には、円盤状の文字板(図示せず)が設けられており、この文字板の外周部の一部には日付を表示するための窓部が設けられ、窓部から日車93の日付を覗けるようになっている。また、底板9Aの下方(裏側)には、ステッピングモータに接続されて指針を駆動する運針輪列(図示せず)や、電源としての二次電池9B等が設けられている。二次電池9Bは、ステッピングモータや圧電アクチュエータ91、印加装置(図示せず)の各回路に電力を供給する。なお、二次電池9Bに、ソーラ(太陽光)発電や回転錘の回転を利用した発電を行う発電機が接続され、この発電機によって発電した電力が二次電池9Bに充電される構造であってもよい。また、電源は、発電機で充電される二次電池9Bに限らず、一般的な一次電池(例えば、リチウムイオン電池)でもよい。
日回し中間車94は、大径部941と小径部942とから構成されている。小径部942は、大径部941よりも若干小径の円筒形であり、その外周面には、略正方形状の切欠部943が形成されている。この小径部942は、大径部941に対し、同心をなすように固着されている。大径部941には、ロータ92の上部の歯車921が噛合している。したがって、大径部941と小径部942とからなる日回し中間車94は、ロータ92の回転に連動して回転する。
日回し中間車94の側方の底板9Aには、板バネ944が設けられており、この板バネ944の基端部が底板9Aに固定され、先端部が略V字状に折り曲げられて形成されている。板バネ944の先端部は、日回し中間車94の切欠部943に出入可能に設けられている。板バネ944に近接した位置には、接触子945が配置されており、この接触子945は、日回し中間車94が回転し、板バネ944の先端部が切欠部943に入り込んだときに、板バネ944と接触するようになっている。そして、板バネ944には、所定の電圧が印加されており、接触子945に接触すると、その電圧が接触子945にも印加される。従って、接触子945の電圧を検出することによって、日送り状態を検出でき、日車93の1日分の回転量が検出できる。
なお、日車93の回転量は、板バネ944や接触子945を用いたものに限らず、ロータ92や日回し中間車94の回転状態を検出して所定のパルス信号を出力するものなどが利用でき、具体的には、公知のフォトリフレクタ、フォトインタラプタ、MRセンサ等の各種の回転エンコーダ等が利用できる。
日車93は、リング状の形状をしており、その内周面に内歯車931が形成されている。日回し車95は、五歯の歯車を有しており、日車93の内歯車931に噛合している。また、日回し車95の中心には、シャフト951が設けられており、このシャフト951は、底板9Aに形成された貫通孔9Cに遊挿されている。貫通孔9Cは、日車93の周回方向に沿って長く形成されている。そして、日回し車95およびシャフト951は、底板9Aに固定された板バネ952によって図1の右上方向に付勢されている。この板バネ952の付勢作用によって日車93の揺動も防止される。
図2には、圧電アクチュエータ91およびロータ92の拡大図が示されている。この図2に示されるように、圧電アクチュエータ91は、略矩形板状の補強板911と、補強板911の両面に接着された圧電素子912とを備えている。
補強板911の長手方向略中央には、両側に突出する腕部913が形成されており、これらの腕部913の一方がビスなどによって底板9Aに固定されている。なお、他方の腕部913は、底板9Aには固定されず、フリーの状態となっており、圧電アクチュエータ91が振動する場合に振動のバランスをとる錘となっている。
補強板911の対角線上両端には、補強板911の長手方向に沿って突出する略半円形の凸部914がそれぞれ形成されている。これらの凸部914のうち一方は、ロータ92の側面に当接されている。
圧電素子912は、略矩形板状に形成され、補強板911両面の略矩形状部分に接着されている。圧電素子912の両面には、めっき層によって電極が形成されている。圧電素子912の表面には、溝でめっき層が絶縁されることにより略矩形状の検出電極912Bが形成されている。この検出電極912Bは、圧電素子912の長手方向中央よりもロータ92側で、かつ、圧電素子912の短手方向中央よりも凸部914側に形成されている。検出電極912B以外の部分は駆動電極912Aとなっている。ここで、検出電極912Bの面積は、駆動電極912Aの面積の30分の1以上7分の1以下に設定されており、より望ましくは15分の1以上10分の1以下に設定されている。
このような圧電アクチュエータ91の駆動電極912Aに所定周波数の電圧を印加すると、圧電素子912が長手方向に沿って伸縮する縦一次振動モードの振動を励振する。このとき、圧電アクチュエータ91の対角線上両端には凸部914が設けられているので、圧電アクチュエータ91は全体として長手方向中心線に対して重量がアンバランスとなる。このアンバランスにより、圧電アクチュエータ91は長手方向に略直交する方向に屈曲する屈曲二次振動モードの振動を励振する。したがって、圧電アクチュエータ91は、これらの縦一次振動モードおよび屈曲二次振動モードを組み合わせた振動を励振し、凸部914は、略楕円軌道を描いて振動する。このとき、圧電アクチュエータ91が片側の腕部913のみで固定されていること、および凸部914が対角線上端部に設けられてロータ92からの反力を受けることなどにより、縦一次振動モードの振動の節と、屈曲二次振動モードの振動の節とは、圧電素子912の中央からずれた位置となる。つまり、検出電極912Bは、圧電アクチュエータ91において、縦一次振動モードの振動の節を含み、かつ屈曲二次振動モードの振動の節を含んだ位置に形成されている。従って、本実施形態では、補強板911、圧電素子912により振動体910が構成され、凸部914により当接部が構成されている。
駆動電極912A、検出電極912B、および補強板911は、それぞれリード線などにより図示しない駆動装置(印加装置)に接続されている。駆動装置の具体的構成は後述する。
ロータ92には、板ばね922が取り付けられており、ロータ92が圧電アクチュエータ91側に付勢されている。これにより凸部914とロータ92側面との間に適切な摩擦力が発生し、圧電アクチュエータ91の駆動力の伝達効率が良好となる。
このような時計1では、駆動装置が圧電アクチュエータ91への駆動信号を制御することにより、所定の周波数の駆動信号が印加されると、圧電アクチュエータ91は、縦一次振動モードと屈曲二次振動モードとを組み合わせた振動を励振する。凸部914は、これらの振動モードを組み合わせた略楕円軌道を描いて振動し、その振動軌道の一部でロータ92を押圧することによりロータ92を回転駆動する。
ロータ92の回転運動は、日回し中間車94に伝達され、切欠部943に日回し車95の歯が係合すると、日回し中間車94によって日回し車95が回転し、日車93を回転させる。この回転により日車93が表示する日付が変更される。
[2.圧電アクチュエータの駆動装置の構成]
次に、圧電アクチュエータ91の駆動装置50の構成を図3に基づいて説明する。
図3において、駆動装置50は、波形整形回路51、高調波検出回路52、位相差−DC変換回路53、比較回路54、積分回路55、可変周波数発振回路56、駆動回路57を備えて構成されている。
波形整形回路51は、駆動回路57および振動体910の検出電極912Bと電気的に接続され、駆動回路57から出力される駆動信号SDRと、検出電極912Bから出力される検出信号SD1の波形を例えば矩形波等に整形して位相差-DC変換回路53に出力する回路である。
高調波検出回路52は、振動体910が駆動信号の高調波で共振しているか否かを検出し、高調波で共振している場合には、高調波検出信号を出力するように構成されている。従って、本実施形態では、高調波検出回路52により高調波検出手段が構成されている。この高調波検出回路52の具体的構成は後述する。
位相差-DC変換回路53は、波形整形回路51で整形された駆動信号SDRおよび検出信号SD1の位相差に応じた信号を出力する回路である。具体的には、前記位相差に応じた電圧レベルの直流信号(位相差信号)を出力する。
比較回路54は、位相差−DC変換回路53から出力される位相差信号の電圧値と、予め設定されている目標位相差に応じた電圧レベルを有する目標位相差信号の電圧値とを比較して積分回路55に比較情報を出力する。
従って、本実施形態では、位相差−DC変換回路53および比較回路54により、振動体910の振動状態を検出する振動状態検出手段が構成されている。
積分回路55は、比較回路54から出力される比較情報を積算し、積算情報を可変周波数発振回路56に出力する。また、高調波検出回路52から高調波検出信号が出力されている場合には、積分回路55は、比較回路54からの比較情報の積算処理を行わずに駆動信号の周波数をダウンする信号を可変周波数発振器56に出力する。
可変周波数発振器56は、積分回路55から出力される信号の電圧値に応じた周波数信号を駆動回路57に出力する。そして、駆動回路57は、入力された信号の周波数に応じた周波数の駆動信号を圧電素子912に出力する。
従って、本実施形態では、積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57により、圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段が構成されている。
[3.高調波検出回路の構成]
次に、本実施形態の高調波検出回路52に関し、図4を参照して説明する。
高調波検出回路52は、フリップフロップ521,522,523と、ANDゲート524、NOTゲート525,526とを備えて構成されている。この高調波検出回路52は、入力端子IN1に入力される駆動信号の半周期の間、具体的には駆動信号がLレベルとなっている間に、入力端子IN2に入力される検出信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化)および立ち下がり(HレベルからLレベルへの変化)の両方が含まれる場合に、高調波検出信号である出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
[4.圧電アクチュエータの駆動方法]
次に、圧電アクチュエータ91の駆動方法に関し、図5〜9を参照して説明する。
駆動装置50は、圧電アクチュエータ91の駆動制御を開始すると、駆動信号の周波数を予め設定された駆動信号の周波数範囲の上限値(fmax)に設定して駆動回路57から圧電素子912に入力する(ステップ1、以下、ステップを「S」と略す)。
なお、駆動信号の周波数範囲(fmaxからfmin)は、図6の駆動周波数と振動体910のインピーダンスの関係を示すグラフで表すと、次のように設定される。
ここで、f1は、振動体910の駆動に有効な共振点であり、f2は、圧電アクチュエータ91の形状等の影響で発生してしまう駆動には有効でない共振点である。また、f1<f2/3とされている。
この場合、fmaxは、f2/3<fmax<f2であり、fminは、fmin<f1である。
駆動装置50は、駆動信号の入力が開始されると、図5に示すように、波形整形回路51を介して駆動信号および検出信号を高調波検出回路52に入力し、高調波が検出されるか否かを判定する(S2)。
S1で高調波が検出されていない場合、駆動信号と検出信号とは、図7に示すように、ある位相差を有する同周波数の信号となる。このため、駆動装置50は、位相差−DC変換回路53で求めた各信号の位相差が目標位相差(目標値)以上であるか否かを比較回路54で判断する(S3)。
駆動信号および検出信号の位相差が目標値以上であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の発振周波数(駆動周波数)がアップされる(S4)。
一方、駆動信号および検出信号の位相差が目標値未満であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の発振周波数(駆動周波数)がダウンされる(S5)。
以上の制御を行うことで、通常は、駆動周波数がfmaxから順次ダウンし、f1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、つまり周波数のダウン、アップが交互に繰り返されている状態とされて、圧電アクチュエータ91の正常な駆動が実行される。
[5.高調波検出回路の動作]
一方、前記駆動周波数の制御において、駆動周波数がf2の1/3(=f2/3)になると、駆動信号の3次成分により振動体910が共振を起こす場合がある。このような駆動信号の3次成分(高調波)による共振が発生すると、検出波形は図8に示すようになる。
本実施形態では、この高調波による共振状態を、高調波検出回路52によって検出している。高調波検出回路52は、図7に示す状態では、駆動信号の半周期の間に、検出信号は1回の立ち上がり、または、立ち下がりしか発生しないのに対し、図8に示す状態では、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりが発生することに基づいて高調波による共振状態を検出する。
具体的には、高調波検出回路52では、入力端子IN1に波形整形回路51から出力された駆動信号が入力され、入力端子IN2に波形整形回路51から出力された検出信号が入力される。入力端子IN1は、直列に接続された3個のNOTゲート525を介してフリップフロップ521,522のリセット入力Rに入力されている。従って、駆動信号がLレベルの際に、各フリップフロップ521,522のリセット入力RにHレベル信号が入力されてリセットが解除される。
一方、フリップフロップ521,522のデータ入力Dには、常時、Hレベル信号が入力されている。また、フリップフロップ521のクロック入力Cには入力端子IN2に入力される検出信号がそのまま入力され、フリップフロップ522のクロック入力CにはNOTゲート526を介して検出信号が反転して入力される。
従って、図9のタイミングチャートに示すように、駆動信号(IN1)がLレベルつまりフリップフロップ521,522がリセット解除状態の際に、検出信号(IN2)がLレベルからHレベルに変化すると、フリップフロップ521の出力Q1がLレベルからHレベルに変化する。また、フリップフロップ521,522がリセット解除状態の際に、検出信号がHレベルからLレベルに変化すると、フリップフロップ522の出力Q2がLレベルからHレベルに変化する。
そして、Hレベルとなった各出力Q1,Q2は、駆動信号(IN1)がHレベルに変化してフリップフロップ521,522がリセットされると、HレベルからLレベルに変化する。
ここで、ANDゲート524は、出力Q1,Q2の両方が、Hレベルの場合のみHレベル信号を出力する。フリップフロップ521,522の各出力Q1,Q2が共にHレベルとなるのは、図9に示すように、駆動信号の半周期の間、具体的には駆動信号がLレベルとなっている間に、検出信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化であり出力Q1がHレベルとなる)および立ち下がり(HレベルからLレベルへの変化であり出力Q2がHレベルとなる)の両方が含まれる場合である。
そして、ANDゲート524の出力D3がHレベルの際に、駆動信号が立ち上がると、フリップフロップ523の出力QもLからHレベルに変化する。従って、このフリップフロップ523の出力Qを高調波検出回路52の高調波検出信号OUTとすれば、高調波検出信号は、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりの両方が含まれるとHレベル信号となる。
なお、フリップフロップ523の出力Qは、ANDゲート524の出力D3がLレベルになっている際に、駆動信号が立ち上がるとLレベルに切り替わる。つまり、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりの両方が含まれていない場合、つまり高調波による共振状態ではない場合には、Lレベルになる。
従って、高調波検出回路52の高調波検出信号OUTによって振動体910が高調波による共振状態であるか否かを検出することができる。
そして、図5のフローチャートに示すように、駆動装置50の積分回路55は、S2で高調波による共振状態が検出された場合(高調波検出信号がHレベルの場合)には、比較回路54での比較結果に関係無く、発振周波数をダウンさせるように制御する(S5)。
このような制御により、駆動周波数はf2/3を通り過ぎてf1に近づくため、その後は、高調波による共振状態も解除され、駆動周波数がf1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、正常な駆動が実行される。
なお、駆動周波数がf1近辺でロックされずに、下限値(fmin)に達した場合には、再度、上限値(fmax)に戻して制御を続行すればよい。
[6.実施形態の効果]
本実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態の圧電アクチュエータ91の駆動装置50は、高調波検出回路52を備え、高調波による共振状態を検出した場合には、駆動信号と検出信号の位相差による駆動周波数制御を行わずに、駆動周波数を変更(ダウン)し続けるように制御するため、高調波の共振状態で駆動周波数がロックしてしまい、圧電アクチュエータ91の駆動が実行されないことを確実に防止できる。
従って、矩形波の駆動信号を用いた際に高調波での共振状態が生じても、駆動周波数を所定の目標位相差となるように制御でき、正常かつ効率的に圧電アクチュエータ91の駆動制御を行うことができる。
(2)駆動装置50は、従来の構成に加えて、論理回路で構成された高調波検出回路52を追加するだけで構成できるので、コイル等の外付け部品を設けて高調波の共振状態で駆動周波数がロックすることを防止する場合に比べて、回路を小型化でき、IC化も容易に行え、コストも低減できる。従って、特に、腕時計等の小型の電子機器への組み込みに適している。
(3)高調波検出回路52は、波形整形回路51から出力される各信号を分岐させて入力することで高調波の共振状態を検出できる。このため、検出信号の入力にフィルターを設ける必要がないため、検出特性に影響を与えることがなく、特性を正確に検出して高精度の制御を実現できる。また、駆動信号の出力にフィルターを設ける必要もないため、出力を減衰させることもなく、圧電アクチュエータ91を効率的に駆動することができる。
(4)電子時計を、圧電素子912を有する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される凸部914を有する圧電アクチュエータ91と、前述の構成の駆動装置50と、圧電アクチュエータ91によって駆動される日付表示機構90と、を備えて構成したので、消費電力が少なく、駆動対象を確実に駆動することができる電子時計を提供することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に関し、図10〜12を参照して説明する。
第2実施形態では、図10に示すように、前記第1実施形態の構成に加えて、振幅検出回路58およびクロック制御回路59を追加したものである。
振幅検出手段である振幅検出回路58は、検出信号の振幅が所定値以上であるか否かを検出し、所定値以上であればHレベル信号を出力し、所定値未満であればLレベル信号を出力するものであり、従来から公知の振幅検出手段が利用できる。
クロック制御回路59は、振幅検出信号および高調波検出信号に基づいて単位時間当たりの駆動周波数の変化量(周波数変化率)を高速または低速に切り替えるものである。
従って、本実施形態では、振幅検出回路58およびクロック制御回路59により周波数変化率変更手段が構成されている。
ここで、本実施形態のクロック制御回路59および積分回路55の構成に関し、図11に基づいて説明する。
クロック制御回路59は、発振回路61、分周回路62、ANDゲート63、クロック選択回路64を備えて構成されている。
分周回路62は、発振回路61から出力されるクロック信号を分周して出力するため、発振回路61から直接出力されるクロック信号よりも低速のクロック信号を出力する。従って、発振回路61からは周波数の高い信号(ハイクロック信号)が出力され、分周回路62からは前記ハイクロック信号よりも周波数の低い信号(ロークロック信号)が出力される。
クロック選択回路64は、2つのANDゲート641と、ORゲート642に相当する複合ゲートで構成され、ANDゲート63からの出力に応じてハイクロック信号またはロークロック信号を選択して出力するものである。本実施形態では、ANDゲート63からHレベル信号が出力されるとロークロック信号が選択され、Lレベル信号が出力されるとハイクロック信号が選択されることになる。
ANDゲート63には、振幅検出回路58から出力された振幅検出信号と、高調波検出回路52から出力された高調波検出信号とが入力される。
この際、高調波検出信号は反転して入力されるため、高調波検出信号がHレベルであれば、ANDゲート63の出力は必ずLレベルとなり、クロック選択回路64ではハイクロック信号が選択される。
また、高調波検出信号がLレベルであり、かつ、振幅検出信号がLレベルの場合も、ANDゲート63の出力はLレベルとなり、クロック選択回路64ではハイクロック信号が選択される。
一方、高調波検出信号がLレベルであり、かつ、振幅検出信号がHレベルの場合には、ANDゲート63の出力はHレベルとなり、クロック選択回路64ではロークロック信号が選択される。
すなわち、クロック制御回路59は、検出信号の振幅が所定値以上であり、かつ、高調波による共振状態が検出されなかった場合のみ、ロークロック信号を積分回路55に出力し、それ以外の場合にはハイクロック信号を積分回路55に出力する。
積分回路55は、前記ANDゲート63と、ANDゲート71〜73と、アップダウンカウンタ74と、D/A変換器75を備えて構成されている。
ANDゲート71〜73は、アップダウンカウンタ74のカウンタ値をアップするかダウンするかを選択する回路である。
すなわち、ANDゲート71からHレベル信号が出力されると、クロック制御回路59から出力されるクロック信号がANDゲート72を介してアップクロックとしてアップダウンカウンタ74に入力され、カウンタ値がアップする。
一方、ANDゲート71からLレベル信号が出力されると、クロック制御回路59から出力されるクロック信号がANDゲート73を介してダウンクロックとしてアップダウンカウンタ74に入力され、カウンタ値がダウンする。
D/A変換器75は、内部にアップダウンカウンタ74のカウンタ値に応じた周波数制御電圧値が設定されている。そして、このD/A変換器75は、アップダウンカウンタ74から出力されるカウンタ値を入力すると、このカウンタ値に応じた周波数制御電圧値に相当する周波数制御電圧を可変周波数発振器56に出力する。
可変周波数発振器56は、D/A変換器75から出力される電圧に応じた周波数信号を駆動回路57に出力し、駆動回路57は入力された信号の周波数に応じた周波数の駆動信号を圧電素子912に出力する。
この際、D/A変換器75は、アップダウンカウンタ74のカウンタ値がアップすると駆動信号の駆動周波数が上がり、カウンタ値がダウンすると駆動周波数が下がるように設定されている。
ANDゲート71の出力は、ANDゲート63の出力がHレベルの場合、つまり検出信号の振幅が所定値以上であり、かつ、高調波による共振状態が検出されなかった場合には、比較回路54からの出力に応じてHレベルまたはLレベルが設定される。従って、この条件の場合には、駆動周波数のアップまたはダウンは、比較回路54の結果に応じて制御される。また、この条件の場合、クロック制御回路59ではロークロック信号が選択されるので、駆動周波数のアップ又はダウンの変化率は低速になり、検出位相差が目標位相差となる周波数に容易にロックさせることができる。
一方、検出信号の振幅が所定値未満であったり、高調波による共振状態が検出されてANDゲート63の出力がLレベルの場合には、比較回路54の出力に関係なく、アップダウンカウンタ74にはダウンクロックが入力され続けることになる。
従って、第2実施形態の駆動装置50による駆動周波数制御は、図12のフローチャートに示すようになる。
すなわち、駆動装置50は、圧電アクチュエータ91の駆動制御を開始すると、駆動信号の周波数を予め設定された駆動信号の周波数範囲の上限値(fmax)に設定して駆動回路57から圧電素子912に入力する(S21)。
次に、高調波による共振状態が検出されたか否かを判定する(S22)。S22で高調波が検出されていない場合、振幅検出があるか否かを判定する(S23)。
ここで、振幅検出があれば、クロック制御回路59によりロークロック信号が選択される(S24)。
次に、駆動装置50は、位相差−DC変換回路53で求めた各信号の位相差が目標位相差(目標値)以上であるか否かを比較回路54で判断する(S25)。
駆動信号および検出信号の位相差が目標値以上であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の周波数がアップされる(S26)。
一方、駆動信号および検出信号の位相差が目標値未満であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の周波数がダウンされる(S27)。
以上の制御を行うことで、駆動周波数がf1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、正常な駆動が実行される。
一方、S22で高調波による共振状態が検出された場合、または、S23で振幅検出が無しと判定された場合には、クロック制御回路59でハイクロック信号が選択される(S28)。そして、駆動装置50は、位相差の比較を行わずに、発振周波数のダウン処理を行う(S27)。
従って、本実施形態では、高調波による共振状態の検出が無く(S22でNo)、検出信号の振幅が所定値以上であり(S23でYes)、駆動信号および検出信号の位相差が目標値以上である(S25でYes)場合のみ、駆動周波数(発振周波数)がアップされ、それ以外の場合には駆動周波数のダウンが継続することになる。このため、駆動周波数がf2/3になっても駆動周波数は高速(ハイクロック)で下がり続けてロックせず、駆動周波数がf1に近づいて検出信号の振幅が所定値以上になると、駆動周波数は低速でアップあるいはダウンされ、駆動信号および検出信号の位相差が目標値になると駆動周波数がロックして正常な駆動が実行されることになる。
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
(2-1)さらに、振幅検出回路58、クロック制御回路59からなる周波数変化率変更手段を設けて、ハイクロック信号とロークロック信号とを選択できるため、高調波による共振状態が検出された場合や、振幅が所定値未満である場合、つまり現在の駆動信号の周波数が目標となる駆動周波数から離れている場合には、駆動周波数の変化速度を高速にできる。このため、正常な動作を行う駆動周波数まで高速で周波数を変化でき、駆動周波数のロック状態に移行するまでの時間を短縮することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に関し、図13,14を参照して説明する。
第3実施形態は、前記第1,2実施形態の高調波検出回路52の構成を変更したものであり、それ以外の構成は前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
第3実施形態の高調波検出回路150は、図13に示すように、カウンタ151と、フリップフロップ152,153と、NOTゲート154、155とを備えている。
この高調波検出回路150は、入力端子IN1に入力される駆動信号の半周期の間、具体的には駆動信号がLレベルとなっている間に、入力端子IN2に入力される検出信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化)が複数回あった場合に、出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
図14のタイミングチャートに示すように、カウンタ151は、IN1に入力される駆動信号がLレベルの際にリセットが解除され、このリセット解除時に入力端子IN2に入力される検出信号の立ち上がりがあると、出力Q1がLレベルからHレベルに変更される。この際、フリップフロップ152のクロック入力は、HレベルからLレベルへの変更のため、出力Q2はLレベルのまま変化しない。
また、IN1に入力される駆動信号がHレベルになるとカウンタ151、フリップフロップ152は共にリセットされるので、出力Q1はLレベルに変更され、出力Q2はLレベルのままとされる。
一方、高調波による共振状態の場合、駆動信号の半周期内に検出信号の立ち上がり(または立ち下がり)が複数回発生する。そして、カウンタ151のリセット解除時(駆動信号の半周期内)に検出信号の立ち上がりが2回あると、出力Q1は1回目の立ち上がりでLレベルからHレベルに変更され、2回目の立ち上がりでHレベルからLレベルに変更される。この2回目の立ち上がりのタイミングに合わせて、フリップフロップ152のクロック入力は、LレベルからHレベルに変更されるため、出力Q2はデータ入力Dの入力レベル、つまりHレベルとなる。
すると、フリップフロップ153の出力Qは、前記実施形態のフリップフロップ523と同様にLからHレベルに変化する。従って、このフリップフロップ153の出力Qを高調波検出回路150の高調波検出信号OUTとすれば、高調波検出信号は、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりが2回あった際に、その2回目の立ち上がりに合わせてHレベル信号となる。
従って、本実施形態の高調波検出回路150によっても、第1,2実施形態の高調波検出回路52と同様に、高調波による共振状態を検出できるため、第1,2実施形態の高調波検出回路52に換えて高調波検出回路150を用いても、前記第1,2実施形態と同じ駆動周波数制御を実現できる。
このため、第3実施形態においても、前記第1,2実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
また、本実施形態の高調波検出回路150は、前記高調波検出回路52に比べて回路が若干簡単にできるとともに、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の基本波を高調波と誤検出する可能性が前記実施形態の高調波検出回路52に比べて低いという効果もある。
但し、前記実施形態の高調波検出回路52は、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の高調波を基本波と誤検出する可能性が本実施形態の高調波検出回路150に比べて低いという利点がある。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に関し、図15,16を参照して説明する。
第4実施形態も、前記第1,2実施形態の高調波検出回路52の構成を変更したものであり、それ以外の構成は前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
第4実施形態の高調波検出回路250は、n=3の場合の例であり、図15に示すように、1/nカウンタである1/3カウンタ251と、1/2カウンタ252と、1/(n+1)カウンタである1/4カウンタ253と、フリップフロップ254,255と、NOTゲート256、257とを備えている。
この高調波検出回路250は、入力端子IN1に入力される駆動信号のn周期の間、例えば3周期の間に、入力端子IN2に入力される検出信号において、n+1回以上、例えば4回以上の立ち上がりや立ち下がりがあった場合に、出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
図16のタイミングチャートに示すように、1/3カウンタ251は、IN1に入力される駆動信号を、その3周期で1周期となるように分周している。具体的には、IN1の入力を1/2に分周してQ11とし、この出力Q11を利用して1/3に分周したQ12を出力する。
1/2カウンタ252は、Q12の出力波形の2周期で1周期となるように分周してQ13の信号を出力している。従って、出力Q13の半周期は、駆動信号(IN1)の3周期と等しくなる。
出力Q13は、3個のNOTゲート256を介して1/4カウンタ253およびフリップフロップ254のリセット端子に入力されている。従って、Q13がLレベルの期間は、1/4カウンタ253およびフリップフロップ254はリセットが解除された状態になる。
1/4カウンタ253は、IN2に入力される検出信号を、その4周期で1周期となるように分周している。すなわち、まず検出信号を1/2に分周してQ21とし、この出力Q21を利用して1/4に分周したQ22を出力する。
フリップフロップ254には、1/4カウンタ253の出力Q22がNOTゲート257で反転してクロック入力とされる。フリップフロップ254は、データ入力DにHレベル信号が入力されているので、リセット解除時にクロック入力がLレベルからHレベルに変化すると、出力Q31からHレベル信号を出力する。
ここで、リセット解除時に出力Q22がHレベルからLレベルに変化するのは、図16に示すように、高調波による共振状態となって、Q13の半周期の間に検出信号の立ち上がりが4回あった場合である。つまり、駆動信号の3(=n)周期の間に、検出信号の立ち上がりが4(=n+1)回あった場合に出力Q31はHレベルに変化する。
そして、フリップフロップ255は、データ入力であるQ31がHレベルの際に、クロック入力であるQ13がLレベルからHレベルに変化した場合に出力QがHレベルに変化する。従って、この出力Qを高調波検出信号OUTとすれば、駆動信号のn周期の間に、検出信号の立ち上がりがn+1回あった場合にHレベル信号を出力でき、高調波による共振状態を検出できる。
従って、本実施形態の高調波検出回路250によっても、前記実施形態の高調波検出回路52,150と同様に、高調波による共振状態を検出できるため、前記実施形態の高調波検出回路52に換えて高調波検出回路250を用いても、前記第1,2実施形態と同じ駆動周波数制御を実現できる。
このため、第4実施形態においても、前記第1,2実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
また、本実施形態の高調波検出回路250は、前記高調波検出回路52,150が駆動信号の半周期の期間で判断しているのに対し、駆動信号のn周期の間の検出信号の変動(立ち上がりや立ち下がりの回数)を測定して判断しているので、より長い期間での検出信号の変動に基づいて判断することができる。このため、高調波で共振していても検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性が前記各高調波検出回路52,150よりも小さくできる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、高調波検出手段としては、前記各実施形態に記載したものに限らない。高調波検出手段としては、例えば、図17に示すような高調波検出回路350を用いてもよい。
高調波検出回路350は、駆動信号および検出信号の立ち上がりまたは立ち下がりに応じてカウント値をアップするカウンタ351,352と、各カウンタ351,352のカウンタ値が一致しているか否かを判定する一致検出回路353とを備える。
このような高調波検出回路350によれば、駆動信号と検出信号が所定の位相差を有する同周波数の信号であれば、各カウンタ351,352のカウンタ値は一致し、検出信号が高調波によって共振状態となっていて各信号の周波数が異なれば、各カウンタ351,352のカウンタ値は不一致となる。従って、各カウンタ値が一致検出回路353で不一致であると判断された場合に、高調波検出回路350の高調波検出信号OUTをHレベルとし、一致していると判断された場合にはLレベルにすれば、前記各高調波検出回路52,150,250と同様に、高調波による共振状態を検出して、高調波検出信号を出力することができる。
なお、各カウンタ351,352は、駆動信号の所定周期毎(例えば1〜10周期程度毎)にリセットし、その都度、各信号の周波数が一致しているかを検出すればよい。
また、各信号の周波数を比較する場合、カウンタ351,352を用いずに、各信号の周波数を測定し、その測定値を比較してもよい。
また、高調波検出回路としては、図18に示すような高調波検出回路450を用いてもよい。高調波検出回路450は、駆動信号および検出信号の立ち上がりまたは立ち下がりに応じてカウント値をアップするカウンタ451,452と、検出信号をカウントするカウンタ452のカウンタ値が、駆動信号をカウントするカウンタ451のカウンタ値よりも大きいか否かを判定する比較回路453とを備える。
このような高調波検出回路450によれば、検出信号の周波数が駆動信号の周波数よりも大きい場合に、前記比較回路453からの出力、つまり高調波検出回路450の高調波検出信号OUTをHレベルとし、それ以外の場合にLレベルにすれば、前記各高調波検出回路と同様に、高調波による共振状態を検出して、高調波検出信号を出力することができる。
なお、各カウンタ451,452は、駆動信号の所定周期毎にリセットし、その都度、各信号の周波数を比較すればよい。また、各信号の周波数を比較する場合、カウンタ451,452を用いずに、各信号の周波数を測定し、その測定値を比較してもよい。
また、本発明において、振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段は、前記各実施形態のように、検出信号と駆動信号の位相差を検出し、この位相差と目標位相差との比較によって振動状態を検出するものに限定されない。例えば、振動状態検出手段としては、振動体に2つの検出電極を設け、各検出信号の位相差に基づいて検出するものでもよいし、検出信号の電圧値や電流値に基づいて検出するものでもよいし、検出信号の電圧値や電流値と、駆動信号の電圧値や電流値とを比較して検出するものでもよい。要するに、振動状態検出手段は、駆動周波数のアップ又はダウンを制御するために、振動体の振動状態を検出するものであればよい。
また、周波数変化率変更手段は、前記第2実施形態のように、検出信号の振幅を検出し、その振幅値および高調波による共振状態の有無に基づいて周波数変化率を変更するものに限定されない。例えば、周波数変化率変更手段は、高調波による共振状態の有無のみに基づいて周波数変化率を変更するものでもよい。
さらに、周波数変化率変更手段は、検出信号の振幅を検出する代わりに、検出信号や駆動信号の位相差や、電流値などを検出し、それらの検出結果と高調波による共振状態の有無に基づいて周波数変化率を変更してもよい。
要するに、周波数変化率変更手段は、振動体910がロックする目標となる周波数近傍に達したことを検出し、その際に周波数変化率を低速に変更でき、それ以外の状態では周波数変化率を高速に変更できるものであればよい。
また、周波数変化率変更手段は、周波数変化率を高速および低速の2段階に変更するものに限らず、振動体910の振動状態等に応じて3段階以上に変更可能に構成してもよい。
さらに、前記実施形態では、駆動周波数をfmaxからfminに向かって変更していたが、逆にfminからfmaxに向かって変更してもよい。
前記第3実施形態では、駆動信号のn周期内に、検出信号のn+1回以上の立ち上がりが含まれた場合に高調波による共振状態を検出したと判定していたが、検出信号のn+1回の立ち下がりが含まれた場合に検出したと判定してもよい。
前記第2実施形態では、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりが複数回含まれる場合に高調波による共振状態を検出したと判定していたが、検出信号の立ち下がりが複数回含まれた場合に検出したと判定してもよい。
さらに、第1〜3実施形態では、論理回路を用いて駆動信号の周期や、検出信号の立ち上がり、立ち下がりを検出していたが、駆動信号や検出信号の周期、周波数などを測定し、そのデータに基づいて検出してもよい。
また、駆動装置50の各手段等は、各種論理素子等のハードウェアで構成されたものでもよいし、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータを時計や携帯機器内に設け、このコンピュータに所定のプログラムやデータ(各記憶部に記憶されたデータ)を組み込んで各手段を実現させるように構成したものでもよい。
ここで、前記プログラムやデータは、時計や携帯機器内に組み込まれたRAMやROM等のメモリに予め記憶しておけばよい。また、例えば、時計や携帯機器内のメモリに所定の制御プログラムやデータをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールしてもよい。そして、メモリに記憶されたプログラムでCPU等を動作させて、各手段を実現させればよい。なお、時計や携帯機器に所定のプログラム等をインストールするには、その時計や携帯機器にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで時計や携帯機器に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を時計や携帯機器に接続して通信によってプログラム等を供給しインストールしてもよいし、無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される制御プログラム等を時計や携帯機器に組み込めば、プログラムの変更のみで前記各発明の機能を実現できるため、工場出荷時あるいは利用者が希望する制御プログラムを選択して組み込むこともできる。この場合、プログラムの変更のみで制御形式の異なる各種の時計や携帯機器を製造できるため、部品の共通化等が図れ、バリエーション展開時の製造コストを大幅に低減できる。
また、本発明は、前記実施形態の電子時計に適用されるものに限らない。すなわち、本発明の圧電アクチュエータの駆動方法や、駆動装置を採用した電子機器としては、腕時計、置時計、柱時計等の電子時計に限らず、各種の電子機器に本発明が適用可能であり、特に小型化が要求される携帯用の電子機器に好適である。ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた電話、携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の駆動手段を用いることができる。さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、可動玩具の駆動機構、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、超音波モータ等に本発明の駆動手段を用いてもよい。
また、前記実施形態では、圧電アクチュエータを電子時計1の日付表示機構の駆動に用いていたが、これに限らず、電子時計1の時刻表示針(指針)の駆動に用いてもよい。このようにすれば、通常、指針を駆動するステッピングモータを圧電アクチュエータに置き換えることで、電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエータがステッピングモータよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計の高耐磁化をも図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る電子時計における日付表示機構の主要部の構成を示す平面図である。 前記電子時計で用いられる圧電アクチュエータを示す平面図。 圧電アクチュエータの駆動装置の内部構成を示すブロック図。 第1実施形態の高調波検出回路を示す回路図。 第1実施形態の駆動周波数の制御処理を示すフローチャート。 圧電アクチュエータにおける駆動周波数とインピーダンスの関係を示すグラフ。 通常の制御状態における駆動信号波形と検出信号波形とを示す図。 高調波による共振状態における駆動信号波形と検出信号波形とを示す図。 第1実施形態の高調波検出回路の処理を示すタイミングチャート。 第2実施形態の駆動装置の内部構成を示すブロック図。 第2実施形態の積分回路およびクロック制御回路を示す回路図。 第2実施形態の駆動周波数の制御処理を示すフローチャート。 第2実施形態の高調波検出回路を示す回路図。 第2実施形態の高調波検出回路の処理を示すタイミングチャート。 第3実施形態の高調波検出回路を示す回路図。 第3実施形態の高調波検出回路の処理を示すタイミングチャート。 高調波検出回路の変形例を示す回路図。 高調波検出回路の他の変形例を示す回路図。 従来の圧電アクチュエータの駆動装置の内部構成を示すブロック図。
符号の説明
1…電子時計、50…駆動装置、51…波形整形回路、52…高調波検出回路、53…位相差−DC変換回路、54…比較回路、55…積分回路、56…可変周波数発振回路、57…駆動回路、58…振幅検出回路、59…クロック制御回路、61…発振回路、62…分周回路、64…クロック選択回路、74…アップダウンカウンタ、75…D/A変換器、90…日付表示機構、91…圧電アクチュエータ、150…高調波検出回路、151…カウンタ、152,153…フリップフロップ、250…高調波検出回路、251…1/3カウンタ、253…1/4カウンタ、254,255…フリップフロップ、350…高調波検出回路、351,352…カウンタ、353…一致検出回路、450…高調波検出回路、451,452…カウンタ、453…比較回路、910…振動体、912…圧電素子、912A…駆動電極、912B…検出電極、914…凸部。

Claims (13)

  1. 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
    前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、
    前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、
    前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段と、を備え、
    前記周波数制御手段は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記振動状態検出手段は、圧電アクチュエータの検出信号の位相差特性、振幅特性、電流特性の少なくとも1つの特性値を検出し、その特性値が予め設定された目標値以上であれば第1検出信号を出力し、その特性値が予め設定された目標値よりも小さければ第2検出信号を出力し、
    前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数を所定範囲内で変化可能に設定され、かつ、前記範囲の最大周波数または最小周波数の一方から他方に向かう第1の方向に周波数を変化させるとともに、
    高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の一方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させ、
    高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の他方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向と逆方向の第2の方向にして周波数を変化させ、
    高調波検出信号が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記高調波検出手段は、駆動信号のn周期内に、検出信号のn+1回以上の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  6. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記高調波検出手段は、駆動信号の周波数と、検出信号の周波数とが一致しなかった場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  7. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記高調波検出手段は、検出信号の周波数が、駆動信号の周波数よりも大きい場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    前記周波数制御手段は、単位時間当たりの駆動周波数の変化量である駆動周波数変化率を変更する周波数変化率変更手段を備え、
    周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力された場合には、高調波検出信号が出力されていない場合に比べて前記周波数変化率を大きくすることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  9. 請求項8に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
    検出信号の振幅が所定値以上であることを検出して振幅検出信号を出力する振幅検出手段を備え、
    前記周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合に比べて前記周波数変化率を小さくすることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
  10. 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動方法であって、
    前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出工程と、
    前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出工程と、
    前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御工程と、を備え、
    前記周波数制御工程は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出工程で出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出工程で出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  11. 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部を有する圧電アクチュエータと、請求項1から請求項9のいずれかに記載の駆動装置と、を備えたことを特徴とする電子機器。
  12. 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムであって、
    前記駆動装置に組み込まれたコンピュータを、
    前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、
    前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、
    前記高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることで圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段として機能させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム。
  13. 請求項12に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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