JP2006136179A - 圧電アクチュエータの駆動装置、圧電アクチュエータの駆動方法、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 駆動装置50は、振動体910の振動状態を検出する位相差−DC変換回路53、比較回路54と、振動体が高調波で共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出回路52と、振動体の圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57とを備える。積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57は、高調波検出信号が出力されていない時は比較回路54の出力に基づいて前記駆動信号の周波数を制御し、高調波検出信号が出力されている間は、比較回路54の出力に基づく駆動周波数の制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続ける。
【選択図】 図3
Description
この圧電アクチュエータとしては、圧電素子を有する振動体を主要構成要素とするものであり、例えば、この振動体を、一端に被駆動体と当接する突起部を有する板状の補強板と、この補強板の両面に貼設された圧電素子と、これら圧電素子の上面に設けられた駆動用電極およびこの駆動用電極と電気的に絶縁する検出用電極とで構成したものがある。そして、振動体の駆動用電極に所定の交流電圧を印加し、振動体をその長手方向に伸縮させる縦振動で励振させるとともに、この縦振動の振動方向と直交する方向に揺動する屈曲振動を誘発させる圧電アクチュエータの駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この圧電アクチュエータ91の駆動装置500は、図19に示すように、波形整形回路51と、位相差−DC変換回路53と、比較回路54と、積分回路55と、可変周波数発振回路56と、駆動回路57とを備えている。
可変周波数発振回路56は、積分回路55からの比較情報に応じた周波数で発振し、その周波数信号を駆動回路57に出力し、その周波数に応じた駆動信号が駆動回路57から振動体910に出力される。
ここで、駆動信号として、駆動回路の簡略化や低電圧での駆動を実現できる矩形波を利用した場合、圧電アクチュエータの駆動周波数がf2の奇数分の1(例えば1/3)のとき、矩形波の3倍の高調波成分によりアクチュエータが共振することがある。そのときの駆動波形と検出波形の関係は、例えば、図8に示すようになる。すなわち、駆動周波数がf2の1/3(f2/3)であっても、振動体910は機械的には3倍の高調波成分により振動するため、検出波形も3倍の周波数のものが出力されてしまう。
また、高調波検出手段を設けて制御しているので、フィルター用のコイルなどの外付け部品を不要にでき、回路を小型化できてIC化も容易に行うことができる。
さらに、検出信号の入力にフィルターを設けると検出特性に影響を与えるが、本発明ではフィルターを設ける必要がないため、検出特性への影響を無くすことができる。
また、駆動信号の出力にフィルターを設けると出力が減衰して駆動効率が低下するが、本発明では駆動信号の出力にフィルターを設ける必要がなく、出力の減衰も防止できて駆動効率を向上できる。
また、周波数制御手段は、振動状態検出手段や高調波検出手段の検出結果に基づいて、周波数の変化方向を切り替えるだけでよいので、簡単に制御できる。
通常、検出信号は、駆動信号に対して所定の位相差を有し、かつ、略同じ周波数の信号となる。従って、駆動信号の半周期内には、検出信号の立ち上がりまたは立ち下がりはいずれか一方のみが含まれることになる。
これに対し、高調波による共振状態では、検出信号は高調波成分によって駆動信号よりも高い周波数(例えば3倍の周波数)となるため、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれることになる。従って、このような状態を検出する高調波検出手段を用いることで、高調波による共振状態を容易に検出することができる。
また、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれるかを検出する高調波検出手段に比べて、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれるかを検出する高調波検出手段のほうが、回路を簡単にでき、かつ、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の基本波を高調波と誤検出する可能性を少なくできる。
一方、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれるかを検出する高調波検出手段に比べて、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれるかを検出する高調波検出手段のほうが、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の高調波を基本波と誤検出する可能性を少なくできる。
例えば、本発明の高調波検出手段では、n=3の場合、駆動信号の3(n)周期内に、検出信号の4(n+1)回以上の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力される。なお、nは1以上の整数である。
また、n周期内での検出信号の立ち上がり等の回数で高調波による共振状態を検出しているので、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、駆動信号の半周期内で判断する場合に比べて、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
なお、駆動信号および検出信号の各周波数が一致するとは、完全に同一の場合のみに限定されるものではなく、一致とみなせる僅かな差を有する場合も含むものである。すなわち、本発明の高調波検出手段は、駆動信号および検出信号の各周波数の差が所定範囲内と小さければ、高調波検出信号を出力するものであればよい。
また、本発明の高調波検出手段も、駆動信号の半周期内で判断する必要がないため、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
また、本発明の高調波検出手段も、駆動信号の半周期内で判断する必要がないため、検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性を小さくできる。
例えば、周波数変化率変更手段は、駆動周波数変化率を低速度および高速度の2段階に変更可能に設定され、高調波検出信号が出力された場合には高速度に設定し、高調波検出信号が出力されていない場合には低速度に設定すればよい。
なお、周波数変化率変更手段が、駆動周波数変化率を低速度および高速度の2段階に変更可能に設定されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合には高速度に設定し、それ以外の場合に低速度に設定すればよい。
また、周波数変化率変更手段が、駆動周波数変化率を低速度、中速度および高速度の3段階に変更可能に設定されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合には高速度に設定し、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されていない場合には中速度に設定し、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されている場合には低速度に設定してもよい。
また、本発明の記憶媒体は、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
そして、各手段をコンピュータで構成すれば、プログラムを変更するだけで、容易に条件を変更できるため、駆動対象等に応じた適切な制御を容易に行うことができる。
まず、電子機器の実施形態として、圧電アクチュエータによって駆動される日付表示機構を備えた電子時計を例示する。
図1は、本実施形態にかかる電子時計1の日付表示機構90を示す平面図である。この図1において、日付表示機構90の主要部は、圧電アクチュエータ91と、この圧電アクチュエータ91によって回転駆動される駆動対象(被駆動体)としてのロータ92と、ロータ92の回転を減速しつつ伝達する減速輪列と、減速輪列を介して伝達される駆動力により回転する日車93とから大略構成されている。減速輪列は、日回し中間車94と日回し車95とを備えている。これらの圧電アクチュエータ91、ロータ92、日回し中間車94、および日回し車95は、底板9Aに支持されている。
日回し中間車94の側方の底板9Aには、板バネ944が設けられており、この板バネ944の基端部が底板9Aに固定され、先端部が略V字状に折り曲げられて形成されている。板バネ944の先端部は、日回し中間車94の切欠部943に出入可能に設けられている。板バネ944に近接した位置には、接触子945が配置されており、この接触子945は、日回し中間車94が回転し、板バネ944の先端部が切欠部943に入り込んだときに、板バネ944と接触するようになっている。そして、板バネ944には、所定の電圧が印加されており、接触子945に接触すると、その電圧が接触子945にも印加される。従って、接触子945の電圧を検出することによって、日送り状態を検出でき、日車93の1日分の回転量が検出できる。
なお、日車93の回転量は、板バネ944や接触子945を用いたものに限らず、ロータ92や日回し中間車94の回転状態を検出して所定のパルス信号を出力するものなどが利用でき、具体的には、公知のフォトリフレクタ、フォトインタラプタ、MRセンサ等の各種の回転エンコーダ等が利用できる。
補強板911の長手方向略中央には、両側に突出する腕部913が形成されており、これらの腕部913の一方がビスなどによって底板9Aに固定されている。なお、他方の腕部913は、底板9Aには固定されず、フリーの状態となっており、圧電アクチュエータ91が振動する場合に振動のバランスをとる錘となっている。
補強板911の対角線上両端には、補強板911の長手方向に沿って突出する略半円形の凸部914がそれぞれ形成されている。これらの凸部914のうち一方は、ロータ92の側面に当接されている。
ロータ92には、板ばね922が取り付けられており、ロータ92が圧電アクチュエータ91側に付勢されている。これにより凸部914とロータ92側面との間に適切な摩擦力が発生し、圧電アクチュエータ91の駆動力の伝達効率が良好となる。
ロータ92の回転運動は、日回し中間車94に伝達され、切欠部943に日回し車95の歯が係合すると、日回し中間車94によって日回し車95が回転し、日車93を回転させる。この回転により日車93が表示する日付が変更される。
次に、圧電アクチュエータ91の駆動装置50の構成を図3に基づいて説明する。
図3において、駆動装置50は、波形整形回路51、高調波検出回路52、位相差−DC変換回路53、比較回路54、積分回路55、可変周波数発振回路56、駆動回路57を備えて構成されている。
比較回路54は、位相差−DC変換回路53から出力される位相差信号の電圧値と、予め設定されている目標位相差に応じた電圧レベルを有する目標位相差信号の電圧値とを比較して積分回路55に比較情報を出力する。
従って、本実施形態では、位相差−DC変換回路53および比較回路54により、振動体910の振動状態を検出する振動状態検出手段が構成されている。
従って、本実施形態では、積分回路55、可変周波数発振器56、駆動回路57により、圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段が構成されている。
次に、本実施形態の高調波検出回路52に関し、図4を参照して説明する。
高調波検出回路52は、フリップフロップ521,522,523と、ANDゲート524、NOTゲート525,526とを備えて構成されている。この高調波検出回路52は、入力端子IN1に入力される駆動信号の半周期の間、具体的には駆動信号がLレベルとなっている間に、入力端子IN2に入力される検出信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化)および立ち下がり(HレベルからLレベルへの変化)の両方が含まれる場合に、高調波検出信号である出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
次に、圧電アクチュエータ91の駆動方法に関し、図5〜9を参照して説明する。
駆動装置50は、圧電アクチュエータ91の駆動制御を開始すると、駆動信号の周波数を予め設定された駆動信号の周波数範囲の上限値(fmax)に設定して駆動回路57から圧電素子912に入力する(ステップ1、以下、ステップを「S」と略す)。
なお、駆動信号の周波数範囲(fmaxからfmin)は、図6の駆動周波数と振動体910のインピーダンスの関係を示すグラフで表すと、次のように設定される。
ここで、f1は、振動体910の駆動に有効な共振点であり、f2は、圧電アクチュエータ91の形状等の影響で発生してしまう駆動には有効でない共振点である。また、f1<f2/3とされている。
この場合、fmaxは、f2/3<fmax<f2であり、fminは、fmin<f1である。
S1で高調波が検出されていない場合、駆動信号と検出信号とは、図7に示すように、ある位相差を有する同周波数の信号となる。このため、駆動装置50は、位相差−DC変換回路53で求めた各信号の位相差が目標位相差(目標値)以上であるか否かを比較回路54で判断する(S3)。
一方、駆動信号および検出信号の位相差が目標値未満であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の発振周波数(駆動周波数)がダウンされる(S5)。
以上の制御を行うことで、通常は、駆動周波数がfmaxから順次ダウンし、f1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、つまり周波数のダウン、アップが交互に繰り返されている状態とされて、圧電アクチュエータ91の正常な駆動が実行される。
一方、前記駆動周波数の制御において、駆動周波数がf2の1/3(=f2/3)になると、駆動信号の3次成分により振動体910が共振を起こす場合がある。このような駆動信号の3次成分(高調波)による共振が発生すると、検出波形は図8に示すようになる。
本実施形態では、この高調波による共振状態を、高調波検出回路52によって検出している。高調波検出回路52は、図7に示す状態では、駆動信号の半周期の間に、検出信号は1回の立ち上がり、または、立ち下がりしか発生しないのに対し、図8に示す状態では、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりが発生することに基づいて高調波による共振状態を検出する。
一方、フリップフロップ521,522のデータ入力Dには、常時、Hレベル信号が入力されている。また、フリップフロップ521のクロック入力Cには入力端子IN2に入力される検出信号がそのまま入力され、フリップフロップ522のクロック入力CにはNOTゲート526を介して検出信号が反転して入力される。
そして、Hレベルとなった各出力Q1,Q2は、駆動信号(IN1)がHレベルに変化してフリップフロップ521,522がリセットされると、HレベルからLレベルに変化する。
なお、フリップフロップ523の出力Qは、ANDゲート524の出力D3がLレベルになっている際に、駆動信号が立ち上がるとLレベルに切り替わる。つまり、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりの両方が含まれていない場合、つまり高調波による共振状態ではない場合には、Lレベルになる。
従って、高調波検出回路52の高調波検出信号OUTによって振動体910が高調波による共振状態であるか否かを検出することができる。
このような制御により、駆動周波数はf2/3を通り過ぎてf1に近づくため、その後は、高調波による共振状態も解除され、駆動周波数がf1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、正常な駆動が実行される。
本実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態の圧電アクチュエータ91の駆動装置50は、高調波検出回路52を備え、高調波による共振状態を検出した場合には、駆動信号と検出信号の位相差による駆動周波数制御を行わずに、駆動周波数を変更(ダウン)し続けるように制御するため、高調波の共振状態で駆動周波数がロックしてしまい、圧電アクチュエータ91の駆動が実行されないことを確実に防止できる。
従って、矩形波の駆動信号を用いた際に高調波での共振状態が生じても、駆動周波数を所定の目標位相差となるように制御でき、正常かつ効率的に圧電アクチュエータ91の駆動制御を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態に関し、図10〜12を参照して説明する。
第2実施形態では、図10に示すように、前記第1実施形態の構成に加えて、振幅検出回路58およびクロック制御回路59を追加したものである。
クロック制御回路59は、振幅検出信号および高調波検出信号に基づいて単位時間当たりの駆動周波数の変化量(周波数変化率)を高速または低速に切り替えるものである。
従って、本実施形態では、振幅検出回路58およびクロック制御回路59により周波数変化率変更手段が構成されている。
クロック制御回路59は、発振回路61、分周回路62、ANDゲート63、クロック選択回路64を備えて構成されている。
この際、高調波検出信号は反転して入力されるため、高調波検出信号がHレベルであれば、ANDゲート63の出力は必ずLレベルとなり、クロック選択回路64ではハイクロック信号が選択される。
また、高調波検出信号がLレベルであり、かつ、振幅検出信号がLレベルの場合も、ANDゲート63の出力はLレベルとなり、クロック選択回路64ではハイクロック信号が選択される。
一方、高調波検出信号がLレベルであり、かつ、振幅検出信号がHレベルの場合には、ANDゲート63の出力はHレベルとなり、クロック選択回路64ではロークロック信号が選択される。
ANDゲート71〜73は、アップダウンカウンタ74のカウンタ値をアップするかダウンするかを選択する回路である。
すなわち、ANDゲート71からHレベル信号が出力されると、クロック制御回路59から出力されるクロック信号がANDゲート72を介してアップクロックとしてアップダウンカウンタ74に入力され、カウンタ値がアップする。
一方、ANDゲート71からLレベル信号が出力されると、クロック制御回路59から出力されるクロック信号がANDゲート73を介してダウンクロックとしてアップダウンカウンタ74に入力され、カウンタ値がダウンする。
可変周波数発振器56は、D/A変換器75から出力される電圧に応じた周波数信号を駆動回路57に出力し、駆動回路57は入力された信号の周波数に応じた周波数の駆動信号を圧電素子912に出力する。
この際、D/A変換器75は、アップダウンカウンタ74のカウンタ値がアップすると駆動信号の駆動周波数が上がり、カウンタ値がダウンすると駆動周波数が下がるように設定されている。
すなわち、駆動装置50は、圧電アクチュエータ91の駆動制御を開始すると、駆動信号の周波数を予め設定された駆動信号の周波数範囲の上限値(fmax)に設定して駆動回路57から圧電素子912に入力する(S21)。
ここで、振幅検出があれば、クロック制御回路59によりロークロック信号が選択される(S24)。
駆動信号および検出信号の位相差が目標値以上であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の周波数がアップされる(S26)。
一方、駆動信号および検出信号の位相差が目標値未満であれば、それに応じた信号が比較回路54から出力され、積分回路55および可変周波数発振器56を介して駆動回路57から出力される駆動信号の周波数がダウンされる(S27)。
以上の制御を行うことで、駆動周波数がf1の近辺で検出位相差が目標値となり、駆動周波数がロックされて、正常な駆動が実行される。
(2-1)さらに、振幅検出回路58、クロック制御回路59からなる周波数変化率変更手段を設けて、ハイクロック信号とロークロック信号とを選択できるため、高調波による共振状態が検出された場合や、振幅が所定値未満である場合、つまり現在の駆動信号の周波数が目標となる駆動周波数から離れている場合には、駆動周波数の変化速度を高速にできる。このため、正常な動作を行う駆動周波数まで高速で周波数を変化でき、駆動周波数のロック状態に移行するまでの時間を短縮することができる。
次に、本発明の第3実施形態に関し、図13,14を参照して説明する。
第3実施形態は、前記第1,2実施形態の高調波検出回路52の構成を変更したものであり、それ以外の構成は前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
この高調波検出回路150は、入力端子IN1に入力される駆動信号の半周期の間、具体的には駆動信号がLレベルとなっている間に、入力端子IN2に入力される検出信号の立ち上がり(LレベルからHレベルへの変化)が複数回あった場合に、出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
また、IN1に入力される駆動信号がHレベルになるとカウンタ151、フリップフロップ152は共にリセットされるので、出力Q1はLレベルに変更され、出力Q2はLレベルのままとされる。
すると、フリップフロップ153の出力Qは、前記実施形態のフリップフロップ523と同様にLからHレベルに変化する。従って、このフリップフロップ153の出力Qを高調波検出回路150の高調波検出信号OUTとすれば、高調波検出信号は、駆動信号の半周期の間に、検出信号の立ち上がりが2回あった際に、その2回目の立ち上がりに合わせてHレベル信号となる。
また、本実施形態の高調波検出回路150は、前記高調波検出回路52に比べて回路が若干簡単にできるとともに、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の基本波を高調波と誤検出する可能性が前記実施形態の高調波検出回路52に比べて低いという効果もある。
但し、前記実施形態の高調波検出回路52は、駆動信号と検出信号の位相差が小さい場合に、検出信号の高調波を基本波と誤検出する可能性が本実施形態の高調波検出回路150に比べて低いという利点がある。
次に、本発明の第4実施形態に関し、図15,16を参照して説明する。
第4実施形態も、前記第1,2実施形態の高調波検出回路52の構成を変更したものであり、それ以外の構成は前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
この高調波検出回路250は、入力端子IN1に入力される駆動信号のn周期の間、例えば3周期の間に、入力端子IN2に入力される検出信号において、n+1回以上、例えば4回以上の立ち上がりや立ち下がりがあった場合に、出力OUTがHレベル信号となり、それ以外の場合にLレベル信号となるように構成されている。
1/2カウンタ252は、Q12の出力波形の2周期で1周期となるように分周してQ13の信号を出力している。従って、出力Q13の半周期は、駆動信号(IN1)の3周期と等しくなる。
ここで、リセット解除時に出力Q22がHレベルからLレベルに変化するのは、図16に示すように、高調波による共振状態となって、Q13の半周期の間に検出信号の立ち上がりが4回あった場合である。つまり、駆動信号の3(=n)周期の間に、検出信号の立ち上がりが4(=n+1)回あった場合に出力Q31はHレベルに変化する。
また、本実施形態の高調波検出回路250は、前記高調波検出回路52,150が駆動信号の半周期の期間で判断しているのに対し、駆動信号のn周期の間の検出信号の変動(立ち上がりや立ち下がりの回数)を測定して判断しているので、より長い期間での検出信号の変動に基づいて判断することができる。このため、高調波で共振していても検出波形に基本波の成分が大きく、高調波によるゼロクロスが起きにくい場合でも、高調波を基本波と誤検出する可能性が前記各高調波検出回路52,150よりも小さくできる。
すなわち、高調波検出手段としては、前記各実施形態に記載したものに限らない。高調波検出手段としては、例えば、図17に示すような高調波検出回路350を用いてもよい。
高調波検出回路350は、駆動信号および検出信号の立ち上がりまたは立ち下がりに応じてカウント値をアップするカウンタ351,352と、各カウンタ351,352のカウンタ値が一致しているか否かを判定する一致検出回路353とを備える。
また、各信号の周波数を比較する場合、カウンタ351,352を用いずに、各信号の周波数を測定し、その測定値を比較してもよい。
なお、各カウンタ451,452は、駆動信号の所定周期毎にリセットし、その都度、各信号の周波数を比較すればよい。また、各信号の周波数を比較する場合、カウンタ451,452を用いずに、各信号の周波数を測定し、その測定値を比較してもよい。
さらに、周波数変化率変更手段は、検出信号の振幅を検出する代わりに、検出信号や駆動信号の位相差や、電流値などを検出し、それらの検出結果と高調波による共振状態の有無に基づいて周波数変化率を変更してもよい。
要するに、周波数変化率変更手段は、振動体910がロックする目標となる周波数近傍に達したことを検出し、その際に周波数変化率を低速に変更でき、それ以外の状態では周波数変化率を高速に変更できるものであればよい。
さらに、前記実施形態では、駆動周波数をfmaxからfminに向かって変更していたが、逆にfminからfmaxに向かって変更してもよい。
ここで、前記プログラムやデータは、時計や携帯機器内に組み込まれたRAMやROM等のメモリに予め記憶しておけばよい。また、例えば、時計や携帯機器内のメモリに所定の制御プログラムやデータをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールしてもよい。そして、メモリに記憶されたプログラムでCPU等を動作させて、各手段を実現させればよい。なお、時計や携帯機器に所定のプログラム等をインストールするには、その時計や携帯機器にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで時計や携帯機器に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を時計や携帯機器に接続して通信によってプログラム等を供給しインストールしてもよいし、無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
Claims (13)
- 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、
前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段と、を備え、
前記周波数制御手段は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記振動状態検出手段は、圧電アクチュエータの検出信号の位相差特性、振幅特性、電流特性の少なくとも1つの特性値を検出し、その特性値が予め設定された目標値以上であれば第1検出信号を出力し、その特性値が予め設定された目標値よりも小さければ第2検出信号を出力し、
前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数を所定範囲内で変化可能に設定され、かつ、前記範囲の最大周波数または最小周波数の一方から他方に向かう第1の方向に周波数を変化させるとともに、
高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の一方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させ、
高調波検出信号が出力されておらず、かつ、前記第1検出信号または第2検出信号の他方が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向と逆方向の第2の方向にして周波数を変化させ、
高調波検出信号が出力されている場合には、前記周波数の変化方向を第1の方向に維持して周波数を変化させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の立ち上がりと立ち下がりの両方が含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記高調波検出手段は、駆動信号の半周期内に、検出信号の複数回数の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記高調波検出手段は、駆動信号のn周期内に、検出信号のn+1回以上の立ち上がり又は立ち下がりが含まれた場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記高調波検出手段は、駆動信号の周波数と、検出信号の周波数とが一致しなかった場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記高調波検出手段は、検出信号の周波数が、駆動信号の周波数よりも大きい場合に高調波検出信号を出力することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記周波数制御手段は、単位時間当たりの駆動周波数の変化量である駆動周波数変化率を変更する周波数変化率変更手段を備え、
周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力された場合には、高調波検出信号が出力されていない場合に比べて前記周波数変化率を大きくすることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 請求項8に記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
検出信号の振幅が所定値以上であることを検出して振幅検出信号を出力する振幅検出手段を備え、
前記周波数変化率変更手段は、高調波検出信号が出力されておらず、かつ、振幅検出信号が出力されている場合には、高調波検出信号が出力されている場合に比べて前記周波数変化率を小さくすることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。 - 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動方法であって、
前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出工程と、
前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出工程と、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御工程と、を備え、
前記周波数制御工程は、高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出工程で出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出工程で出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。 - 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部を有する圧電アクチュエータと、請求項1から請求項9のいずれかに記載の駆動装置と、を備えたことを特徴とする電子機器。
- 所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムであって、
前記駆動装置に組み込まれたコンピュータを、
前記振動体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、
前記振動体が駆動信号の高調波によって共振していることを検出して高調波検出信号を出力する高調波検出手段と、
前記高調波検出信号が出力されていない場合には、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づいて前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御し、かつ、高調波検出信号が出力されている間は、振動状態検出手段から出力される検出信号に基づく駆動信号の周波数制御を実行せず、駆動信号の周波数を変化し続けることで圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段として機能させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム。 - 請求項12に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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