JP2006135292A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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達也 岸
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Abstract

【課題】スイッチング磁場の低減と書き込みディスターブの改善を図る。
【解決手段】本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムは、互いに交差する第1及び第2書き込み線WWLi,WBLjの交差部に配置される第1磁気抵抗効果素子Cに対するデータ書き込みに関して、第1書き込み線WWLiに第1書き込み電流IWLを流し、第2書き込み線WBLjに第2書き込み電流IBLを流すことにより、第1磁気抵抗効果素子Cの磁化を反転させ、かつ、データ書き込み中に、第1及び第2書き込み電流IWL,IBLのうちの1つにより発生する磁場のみが印加される第2磁気抵抗効果素子B1,B2の磁化パターンを第1磁気抵抗効果素子Cの磁化パターンとは異なる状態にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に、磁気ランダムアクセスメモリのデータ記憶媒体である磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムに関する。
固体磁気メモリは、従来より様々のタイプのものが提案されている。近年、巨大磁気抵抗効果を示す磁気メモリ素子を用いた磁気ランダムアクセスメモリの提案が行われ、これに起因して、磁気メモリ素子としては、強磁性トンネル接合を利用したものが主流になっている。
強磁性トンネル接合は、例えば、強磁性層/絶縁層(トンネルバリア層)/強磁性層の積層構造から構成される。ここで、絶縁層に電圧をかけると、その絶縁層にトンネル電流が流れる。この場合、強磁性トンネル接合の接合抵抗値(絶縁層のトンネルコンダクタンス)は、2つの強磁性層の磁化の相対的角度の余弦に応じて変化する。
従って、その接合抵抗値は、2つの強磁性層の磁化が同じ向き(平行状態)のときに最小値となり、反対向き(反平行状態)のときに最大値となる。
このような現象は、トンネル磁気抵抗(TMR: Tunneling Magneto Resistive)効果と呼ばれている。例えば、最近では、TMR効果によるMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子の抵抗値の変化率(MR比)は、常温において49.7%になることが報告されている。
強磁性トンネル接合を持つ磁気メモリ素子においては、2つの強磁性層のうちの一方を、磁化状態が固定された基準層(ピン層)とし、他方を、データに応じて磁化状態が変化する記憶層(フリー層)とする。そして、例えば、基準層と記憶層の磁化が平行状態にあるときを“0”とし、反平行状態にあるときを“1”とする。
データの書き込みは、例えば、書き込み線に流す書き込み電流により発生する磁場を磁気メモリ素子に与え、その磁気メモリ素子の記憶層の磁化の向きを反転させることにより行う。データの読み出しは、磁気メモリ素子の強磁性トンネル接合に読み出し電流を流し、TMR効果による強磁性トンネル接合の抵抗変化を検出することにより行われる。
このような磁気メモリ素子をアレイ状に配置することにより磁気メモリが構成される。実際の構成については、磁気メモリ素子をランダムアクセスできるように、例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)と同様に、1つの磁気メモリ素子に対して1つのスイッチングトランジスタを接続させる。
また、ワード線とビット線が交差する位置に、ダイオードと強磁性トンネル接合とが組み合わされた磁気メモリ素子を配置する技術も提案されている。
さて、強磁性トンネル接合を持つ磁気メモリ素子の高集積化を考えると、セルサイズを小さくしなければならないため、磁気メモリ素子の強磁性層のサイズが必然的に小さくなる。一般に、強磁性層のサイズが小さくなると、その保磁力は大きくなる。
保磁力の大きさは、磁化を反転するために必要なスイッチング磁場の大きさの目安となるため、保磁力が大きくなるということは、磁気メモリ素子のスイッチング磁場が大きくなることを意味する。
従って、磁気メモリ素子の微細化により強磁性層のサイズが小さくなると、データの書き込み時に大きな書き込み電流が必要となり、消費電力の増加という好ましくない結果をもたらす。
このようなことから、磁気メモリ素子の微細化とそれに用いる強磁性層の保磁力の低減とを同時に実現することが、大容量磁気メモリを実用化するに当たって必要不可欠な課題となっている。
一方、固体磁気メモリは、不揮発メモリとして動作するため、データを安定に記憶していなければならない。データを長時間安定に記憶できるか否かを判断するための目安として、熱揺らぎ定数と呼ばれるパラメータが存在する。熱揺らぎ定数は、強磁性層の体積と保磁力に比例することが一般的に知られている。
従って、消費電力の低減のために強磁性層の保磁力を低減すると、その分、熱安定性が悪化し、データを長期間記憶することができなくなる。つまり、熱安定性が高く、かつ、データを長期間記憶し続けることができる磁気メモリ素子を有する大容量磁気メモリを実用化することも重要な課題となっている。
ところで、磁気メモリ素子により磁気メモリを構成する場合、磁気メモリ素子の形状を長方形に設定する場合が多い。
しかし、磁気メモリ素子が微細化されてくると、磁気メモリ素子を構成する強磁性層の短辺側端部にエッジドメインと呼ばれる特殊な磁区が発生することが知られている。
ここで、エッジドメインとは、長方形の強磁性層の短辺側端部の磁区のことであり、その部分の磁化が短辺に沿うように渦状に回転している状態になっていることをいう。また、エッジドメイン現象とは、長方形の強磁性層の磁化が短辺側端部において短辺に沿うように渦状に回転する現象のことをいう。
エッジドメイン現象は、長方形の強磁性層の短辺側端部における反磁場エネルギーを低減するために生じる。このような磁気構造(磁区)の一例としては、例えば、図45に示すようになる。即ち、磁化領域の中央部においては、磁気異方性に従った方向、即ち、長辺に沿う方向に磁化が生じるが、その両端部においては、中央部とは異なる方向、即ち、短辺に沿う方向に磁化が生じる。
磁気メモリ素子の磁化反転について考える。磁場を長方形の強磁性層に印加すると、その強磁性層のエッジドメインが次第に大きくなる。ここで、強磁性層の短辺側両端部のエッジドメインを考えると、磁化が互いに平行方向を向いている場合と反平行方向を向いている場合の2通りが考えられる。
エッジドメインが互いに同じ方向(平行方向)を向いている場合、360°の磁壁が形成されるため、保磁力が大きくなる。
この課題を解決するために、記憶層として、楕円形の強磁性層を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
エッジドメインは、強磁性層の形状に対して大変敏感であるという性質を持っているため、例えば、記憶層を楕円形とすることにより、エッジドメインの発生を抑え、単磁区を実現することができる。これにより、強磁性層の全体にわたって、磁化の向きを一様に反転させることができ、スイッチング磁場(反転磁場)を小さくすることができる。
また、記憶層として、例えば、平行四辺形のように、短辺と長辺とが直角に交わらない形状の強磁性層を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この場合、エッジドメインは存在することになるが、長方形の場合ほど大きな領域を占めず、また、磁化反転の過程で複雑な微小ドメインを生成することがないため、磁化反転をほぼ一様に行うことができる。結果として、スイッチング磁場(反転磁場)を小さくすることができる。
また一方では、強磁性層の形状については長方形のままとし、強磁性層/非磁性層/強磁性層からなる基本構造をさらに複数積み重ねた構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この場合、積み重ねられた2つの強磁性層の磁気モーメント又は厚さを異ならせ、反強磁性結合により、両強磁性層の磁化を逆方向に向かせることができる。このため、実効的には、互いに磁化が相殺し合い、記憶層全体としては、磁化容易軸方向に小さな磁化を持った強磁性層と同等になる。
そして、記憶層の持つ磁化容易軸方向の小さな磁化の向きと逆向きに磁場を印加すると、記憶層の磁化は反強磁性結合を保ったまま反転する。ここで、磁力線が閉じていることから、反磁場の影響は小さく、記憶層のスイッチング磁場は、2つの強磁性層の保磁力により決まる。つまり、スイッチング磁場が小さく、磁化反転が容易に行える。
このように、記憶層の磁化を反転させるために必要な磁場(スイッチング磁場)を小さくし、かつ、熱安定性を向上させることは、磁気メモリにおいて必要不可欠な要素である。これを実現するために、現在まで、磁気メモリ素子に関しては、様々な形状、さらには、反強磁性結合する強磁性層を多層に積み重ねる構造などが提案されている。
しかしながら、高集積磁気メモリに用いられるような小さな磁気メモリ素子の強磁性層に関しては、例えば、短辺の長さが数ミクロン若しくはサブミクロン以下になると、磁化領域の端部においては、反磁場の影響により、その中央部の磁気構造とは異なる磁気構造(エッジドメイン)が生じる。
高集積磁気メモリに用いられるような微小な記憶層においては、その端部に生じるエッジドメインの影響が大きく、磁化反転における磁気構造(磁化パターン)の変化が複雑になる。その結果、保磁力が大きくなり、また、スイッチング磁場が増大する。
このような複雑な磁気構造の変化が生じることをできるだけ防ぐ方法として、エッジドメインを固定することが考えられている(例えば、特許文献4参照)。
この方法により、磁化反転の際の挙動が制御できるが、実質的には、スイッチング磁場の低減を図ることはできない。また、エッジドメインを固定するために別の構造を付加する必要があり、磁気メモリ素子の高密度化には適さない。
米国特許第5,757,695号 特開平11−273337号公報 米国特許第5,953,248号 米国特許第5,748,524号 特開2004−128067号
本発明の目的は、データ書き込みに必要なスイッチング磁場の低減、書き込みディスターブの改善、及び、熱的に安定な磁気構造を実現できる磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを提案することにある。
本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子は、第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に選択状態となっているときの磁化パターン及び前記磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンとは異なる。
本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子は、第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、C型磁区を構成し、前記磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンは、S型磁区を構成する。
本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子は、第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、少なくとも1つのC型磁区を構成する。
本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子の磁化反転方法は、互いに交差する第1及び第2書き込み線の交差部に対応して配置される第1磁気抵抗効果素子に対するデータ書き込みに関して、前記第1書き込み線に第1書き込み電流を流し、前記第2書き込み線に第2書き込み電流を流すことにより、前記第1磁気抵抗効果素子の磁化を反転させ、かつ、前記データ書き込み中に、前記第1及び第2書き込み電流のうちの1つにより発生する磁場のみが印加される第2磁気抵抗効果素子の磁化パターンを前記第1磁気抵抗効果素子の磁化パターンとは異なる状態にし、前記第2磁気抵抗効果素子の磁化の反転を禁止する。
本発明の例に関わる磁気ランダムアクセスメモリは、互いに交差する複数の第1及び第2書き込み線と、前記複数の第1及び第2書き込み線の複数の交差部に対応して配置される記憶素子としての複数の磁気抵抗効果素子とを具備し、第1書き込み電流が流れる選択された第1書き込み線と第2書き込み電流が流れる選択された第2書き込み線との交差部に対応して配置され前記第1及び第2書き込み電流により発生する磁場が印加される磁気抵抗効果素子を第1磁気抵抗効果素子とし、それ以外の交差部に対応して配置され前記第1及び第2書き込み電流のうちの1つにより発生する磁場のみが印加される磁気抵抗効果素子を第2磁気抵抗効果素子とした場合に、前記第1磁気抵抗効果素子のデータ書き込み中における磁化パターンは、前記第2磁気抵抗効果素子のデータ書き込み中における磁化パターンと異なる。
本発明の例によれば、データ書き込みに必要なスイッチング磁場の低減、書き込みディスターブの改善、及び、熱的に安定な磁気構造を実現できる磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを提案できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 概要
本発明の例に関わるスイッチングメカニズム(磁化反転方法)では、データ書き込みの前後及び最中における磁気抵抗効果素子の磁気構造(磁化パターン)を制御することにより、データ書き込みに必要なスイッチング磁場の低減、書き込みディスターブの改善、及び、熱的に安定な磁気構造を実現する。
2軸書き込みの場合、互いに交差する2本の書き込み線の交差部に磁気抵抗効果素子が配置される。磁気抵抗効果素子に、2本の書き込み線のうちの1つに流れる書き込み電流により発生する磁場が印加されるとき(半選択状態)、磁気抵抗効果素子の磁気構造は、磁化反転が生じ難いパターンとなる。
また、磁気抵抗効果素子に、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場が印加されるとき(選択状態)、磁気抵抗効果素子の磁気構造は、磁化反転が生じ易いパターンとなる。
このような磁化反転が生じ易い又は難い磁気構造は、磁気抵抗効果素子に対する磁場の与え方や、磁気抵抗効果素子の構造、材質、各層の厚さ、形状及び磁気異方性などにより実現する。
本発明の例によれば、メモリセルアレイを構成する全ての磁気抵抗効果素子の構造、材質、各層の厚さ、形状及び磁気異方性は、同じである。しかし、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場が印加される選択状態の磁気抵抗効果素子と、それらのうちの1つに流れる書き込み電流により発生する磁場が印加される半選択状態の磁気抵抗効果素子とでは、データ書き込み中における磁気構造(磁化パターン)が異なる。
例えば、磁気抵抗効果素子の残留磁化、即ち、データ書き込み前の磁気抵抗効果素子の磁化パターンについては、S型磁区を構成するように、磁気抵抗効果素子の構造、材質、各層の厚さ、形状及び磁気異方性などを決定する。
そして、半選択状態の磁気抵抗効果素子に対しては、例えば、書き込み電流により発生する磁場が印加されることにより、中央部の磁化が困難軸方向に向き、素子内に2つのC型磁区が発生するように構成する。C型磁区は、素子内に蓄えられるエネルギーが大きく、磁化反転に必要な磁場が大きくなるため、実質的には、磁化反転が生じ難い磁気構造となる。
また、選択状態の磁気抵抗効果素子に対しては、例えば、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する合成磁場が印加されているため、素子内にC型磁区が発生することはなく、通常通りに、S型磁区からの磁化反転が行われる。つまり、選択状態の磁気抵抗効果素子に関しては、素子内に蓄えられるエネルギーが小さいために、小さい磁場、即ち、低電流で、磁化反転を容易に行うことができる。
このように、本発明の例に関わる磁気ランダムアクセスメモリによれば、選択状態の磁気抵抗効果素子と半選択状態の磁気抵抗効果素子とで、データ書き込み中における磁気構造(磁化パターン)が異なる。
これにより、半選択状態の磁気抵抗効果素子の書き込みディスターブを回避できる。また、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する合成磁場が印加される磁気抵抗効果素子については、スイッチング磁場(反転磁場)が小さいため、低消費電力を実現できる。それ以外の磁気抵抗効果素子については、スイッチング磁場(反転磁場)が大きいため、熱的安定性が増大し、不揮発性メモリとしての特性が向上する。
2. 実施の形態
以下、最良と思われる実施の形態について説明する。
(1) 磁化状態のスイッチングメカニズム
図1は、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムが適用される磁気ランダムアクセスメモリの主要部を示している。
MTJ素子MTJは、アレイ状に配置される。MTJ素子MTJの形状は、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行するに当たって、特に限定されない。なぜなら、磁化反転が生じ易い又は難い磁気構造は、磁気抵抗効果素子に対する磁場の与え方や、磁気抵抗効果素子の構造、材質、各層の厚さ、形状及び磁気異方性などにより制御できるからである。
MTJ素子MTJ下には、x方向に延びる書き込みワード線WWLi−1,WWLi,WWLi+1が配置される。書き込みワード線WWLi−1,WWLi,WWLi+1の一端には、書き込みワード線ドライバ11が接続され、他端には、書き込みワード線シンカー12が接続される。
MTJ素子MTJ上には、y方向に延びる書き込みビット線WBLj−1,WBLj,WBLj+1が配置される。書き込みビット線WBLj−1,WBLj,WBLj+1の一端には、書き込みビット線ドライバ/シンカー13Aが接続され、他端には、書き込みビット線ドライバ/シンカー13Bが接続される。
尚、本発明の例は、データ書き込み時における磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムに関するものであるため、図1のメモリにおいては、データ読み出しのための回路については、省略している。
本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムの特徴は、例えば、表1に示すように、書き込み中における磁化状態が、書き込み対象となる選択状態の磁気抵抗効果素子(選択セル)と書き込み対象とならない半選択状態の磁気抵抗効果素子(半選択セル)とで異なる点にある。
Figure 2006135292
データ書き込み前後の磁化状態(残留磁化)は、選択セル(C)及び半選択セル(B1,B2)を含む全てのメモリセルで同じ状態、即ち、S型磁区を構成する磁気構造(磁化パターン)となる。これに対し、データ書き込み中の磁化状態(残留磁化)は、半選択セル(B1,B2)に関しては、C型磁区を構成する磁気構造(磁化パターン)となる。
以下、データ書き込み時における磁気抵抗効果素子の磁気構造について具体的に説明する。
まず、図2及び図3に示すように、データ書き込み前の磁化状態(残留磁化)は、S型磁区を構成している。フリー層の中央部の磁化の向きとピン層の磁化の向きが平行状態のときは、“0”−データを記憶し(図2)、フリー層の中央部の磁化の向きとピン層の磁化の向きが反平行状態のときは、“1”−データを記憶している(図3)。
磁気抵抗効果素子の容易軸方向の両端部の磁化は、辺に沿う方向に渦状に回転しているため、全体としては、磁気抵抗効果素子の磁気構造(磁化パターン)は、S型磁区を構成している。
この後、書き込みワード線WWLiに書き込み電流IWLを流し、書き込みビット線WBLjに書き込み電流IBLを流すと、書き込み電流IWLにより磁場Hyが発生し、書き込み電流IBLにより磁場Hxが発生する。
この時、図4及び図5に示すように、半選択セルB1に対しては、書き込み電流IWLにより発生する磁場Hyのみが印加されるため、中央部の磁化が磁場Hyと同じy方向を向き、その結果、磁気抵抗効果素子の磁気構造(磁化パターン)は、2つのC型磁区を構成する。
これにより、半選択セルB1のアステロイド曲線が、非選択セルA及び選択セルCのアステロイド曲線と異なる形となり、スイッチング磁場(反転磁場)の値が大きくなるため、半選択セルB1については、磁化反転が生じ難い構造となる。
また、図6及び図7に示すように、半選択セルB2に対しては、書き込み電流IBLにより発生する磁場Hxのみが印加されるため、中央部の磁化がy方向を向き、その結果、磁気抵抗効果素子の磁気構造(磁化パターン)は、2つのC型磁区を構成する。
尚、このような半選択セルB2の磁化パターンは、印加される電流磁場の向きと記憶層の残留磁化の向きとが逆の場合に生じるものであり、印加される電流磁場の向きと記憶層の残留磁化の向きとが同じ場合には生じない。つまり、図6及び図7の磁化パターンは、印加される電流磁場の向きと記憶層の残留磁化の向きとが逆の場合の例である。
これにより、半選択セルB2のアステロイド曲線が、非選択セルA及び選択セルCのアステロイド曲線と異なる形となり、スイッチング磁場(反転磁場)の値が大きくなるため、半選択セルB2についても、磁化反転が生じ難い構造となる。
これに対し、図8及び図10に示すように、選択セルCに対しては、書き込み電流IWLにより発生する磁場Hyと書き込み電流IBLにより発生する磁場Hxとの合成磁場が印加されるため、S型磁区からC型磁区に変化することはなく、S型磁区からそのまま磁化反転が生じる。
これにより、選択セルCのスイッチング磁場(反転磁場)は、小さいままであるため、選択セルCについては、小さな書き込み電流により、容易に磁化反転が生じる構造となる。
尚、図9及び図11に示すように、データ書き込み後の磁化状態(残留磁化)は、S型磁区を構成している。
(2) 磁気抵抗効果素子の構造例
次に、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行するための磁気抵抗効果素子の構造例について説明する。
A. 構造例1
図12は、磁気抵抗効果素子の構造例1を示している。
磁気抵抗効果素子は、十字形を有し、かつ、容易軸方向に長くなっている。十字形の角部は、全て丸くなっている。尚、同図中、小さな三角は、磁化の向きを表している。
磁気抵抗効果素子の幅(困難軸方向の幅)は、例えば、中央部で約0.50μm(最大値)、容易軸方向の端部で約0.26μmに設定される。磁気抵抗効果素子の幅については、この例に限定されることはないが、その最大値については、素子の高集積化を考慮すると、1μm以下であるのが望ましい。
磁気抵抗効果素子の長さ(容易軸方向の最大の長さ)は、例えば、約0.8μmに設定される。磁気抵抗効果素子の厚さは、例えば、約5nmに設定される。磁気抵抗効果素子の長さ及び厚さについても、この例に限定されることはない。
磁気抵抗効果素子の長さについては、例えば、磁気抵抗効果素子の幅の最大値の1倍から10倍の範囲内の値(本例では、5分の8倍)に設定することが望ましい。また、磁気抵抗効果素子の厚さについては、例えば、3nm以上、50nm以下であることが望ましい。特に、磁気抵抗効果素子については、高集積化のため、できるだけ小さなサイズにすることが要求される。
磁気抵抗効果素子の強磁性層に用いる材料としては、本例では、Co9 Fe を想定しているが、これに限られることはなく、例えば、Fe、Co、Ni 、これら金属を積層したものや、これら金属を含む合金などを使用することができる。また、磁気抵抗効果素子は、 Cu、Au、Ru、Al などの非磁性金属材料からなる層を含んでいてもよい。
図13は、図12の磁気抵抗効果素子を基にしてシミュレーションにより計算された容易軸方向の磁化曲線を示している。
実線で示す曲線が容易軸方向の磁化曲線である。菱形の点は、残留磁化を表していて、磁場を印加して書き込みを行った後の零磁場での磁化状態を表している。この図から、容易軸の保磁力は、132 Oeとなる。
同図から分かることは、図12の磁気抵抗効果素子を用いることにより、スイッチング(磁化反転)がシャープに行われるということである。つまり、磁化反転過程において、微小な磁気ドメインが複雑な形で発生していないため、“0”状態及び“1”状態以外の中間的な磁化状態をとることがない。
図14及び図15は、図12の磁気抵抗効果素子のアステロイド曲線を示している。図14の菱形の点を結ぶことにより得られるアステロイド曲線は、図12の磁気抵抗効果素子のスイッチング磁界をプロットしたものであり、図15の菱形の点を結ぶことにより得られるアステロイド曲線は、図14のアステロイド曲線を容易軸方向の保磁力で規格化したものである。図15の実線は、アステロイド曲線の理想形を示している。
尚、図16は、図14に対応しており、磁気抵抗効果素子の形状を長方形にした場合のアステロイド曲線(三角の点を結ぶことにより得られる曲線)を示している。また、図17は、図15に対応しており、図16のアステロイド曲線を容易軸方向の保磁力で規格化したものである。図17の実線も、アステロイド曲線の理想形を示している。
図15と図17を比較すると分かるように、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行するための十字形磁気抵抗効果素子(図12)の場合には、理想形に近いアステロイド曲線を得ることができるが、長方形磁気抵抗効果素子の場合には、アステロイド曲線は理想形からかけ離れた形となる。
十字形磁気抵抗効果素子のスイッチング磁界は、長方形磁気抵抗効果素子のそれの約半分にまで減少するため、小さいスイッチング磁場で磁化反転を行うことが可能になる。
しかし、小さいスイッチング磁場で磁化反転を行うことができるということは、半選択状態の磁気抵抗効果素子に対して、磁化反転(誤書き込み)が発生し易くなることを意味している。
このようなことから、例えば、十字形磁気抵抗効果素子に対するデータ書き込みに関し、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを適用することにより、スイッチング磁場が低減されても、書き込みディスターブが悪化することなく、熱的に安定な磁気構造を実現することができる。
図18乃至図22に、図12の磁気抵抗効果素子を用いて本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行した場合のデータ書き込み前後及び途中の磁気構造(磁化パターン)を示す。
尚、図18は、図12の磁気抵抗効果素子を用いた場合のメモリセルアレイの状態を示している。
まず、図19に示すように、データ書き込み前の磁場が印加されていない状態では、磁気抵抗効果素子の磁気構造(残留磁化)は、S型磁区を構成している。これは、図18に示すメモリセルアレイを構成する全ての磁気抵抗効果素子について同じである。
この後、データ書き込みが実行されると、図20に示すように、データ書き込み中において、1本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場のみが印加されている磁気抵抗効果素子(半選択セル)の磁気構造は、S型磁区からC型磁区に変化する。
即ち、磁気抵抗効果素子の中心部の磁化(小さな三角の集合体)が困難軸方向を向き、その端部の磁化(小さな三角の集合体)が中心部のそれとは反対に向く形となる。このため、磁気抵抗効果素子の左半分と右半分には、大きな矢印で示すように、それぞれC型磁区(合計、2つのC型磁区)が発生し、磁化反転が生じ難い磁気構造(磁化パターン)となる。
また、図21に示すように、データ書き込み中において、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場が印加されている磁気抵抗効果素子(選択セル)の磁気構造は、S型磁区から磁化反転状態になり、最終的には、図22に示すように、磁化の向きが逆になる。
図20及び図21から明らかなように、データ書き込み中の選択セルの磁気構造は、半選択セルのそれとは異なっている。C型磁区から磁化反転が生じる場合のスイッチング磁界(反転磁界)は、S型磁区から磁化反転が生じる場合のそれよりも十分に大きいため、書き込み選択性が向上し、半選択セルに対する誤書き込みを防止できる。同時に、熱擾乱耐性も向上できる。
B. 構造例2
図23は、磁気抵抗効果素子の構造例2を示している。
磁気抵抗効果素子は、十字形を有し、かつ、容易軸方向に長くなっている。十字形の角部は、丸くなっている。尚、同図中、小さな三角は、磁化の向きを表している。
この例の磁気抵抗効果素子は、構造例1と比べると、容易軸方向のサイズが大きくなっている点が異なる。つまり、容易軸方向の長さの最大値と困難軸方向の幅の最大値との比が、構造例1におけるそれよりも大きい。
磁気抵抗効果素子の幅(困難軸方向の幅)は、例えば、中央部で約0.50μm(最大値)、容易軸方向の端部で約0.26μmに設定される。磁気抵抗効果素子の幅については、この例に限定されることはないが、その最大値については、素子の高集積化を考慮すると、1μm以下であるのが望ましい。
磁気抵抗効果素子の長さ(容易軸方向の最大の長さ)は、例えば、約1μmに設定される。磁気抵抗効果素子の厚さは、例えば、約5nmに設定される。磁気抵抗効果素子の長さ及び厚さについても、この例に限定されることはない。
磁気抵抗効果素子の長さについては、例えば、磁気抵抗効果素子の幅の最大値の1倍から10倍の範囲内の値(本例では、2倍)に設定することが望ましい。また、磁気抵抗効果素子の厚さについては、例えば、3nm以上、50nm以下であることが望ましい。特に、磁気抵抗効果素子については、高集積化のため、できるだけ小さなサイズにすることが要求される。
磁気抵抗効果素子の強磁性層に用いる材料としては、Fe、Co、Ni 、これら金属を積層したものや、これら金属を含む合金(例えば、Co9 Fe )などを使用することができる。また、磁気抵抗効果素子は、 Cu、Au、Ru、Al などの非磁性金属材料からなる層を含んでいてもよい。
図24乃至図27に、図23の磁気抵抗効果素子を用いて本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行した場合のデータ書き込み前後及び途中の磁気構造(磁化パターン)を示す。
データ書き込み前の磁場が印加されていない状態では、図24に示すように、磁気抵抗効果素子の磁気構造(残留磁化)は、S型磁区を構成している。これは、メモリセルアレイを構成する全ての磁気抵抗効果素子について同じである。
データ書き込み中において、1本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場のみが印加されている磁気抵抗効果素子(半選択セル)の磁気構造は、図25に示すように、S型磁区からC型磁区に変化する。
即ち、磁気抵抗効果素子の中心部の磁化(小さな三角の集合体)が困難軸方向を向き、その端部の磁化(小さな三角の集合体)が中心部のそれとは反対に向く形となる。このため、磁気抵抗効果素子の左半分と右半分には、大きな矢印で示すように、それぞれC型磁区が発生し、磁化反転が生じ難い磁気構造(磁化パターン)となる。
また、データ書き込み中において、2本の書き込み線に流れる書き込み電流により発生する磁場のみが印加されている磁気抵抗効果素子(選択セル)の磁気構造は、図26に示すように、S型磁区から磁化反転状態になり、最終的には、図27に示すように、磁化の向きが逆になる。
図25及び図26から明らかなように、データ書き込み中の選択セルの磁気構造は、半選択セルのそれとは異なっている。S型磁区から磁化反転が生じる場合のスイッチング磁界(反転磁界)は、C型磁区から磁化反転が生じる場合のそれよりも十分に小さいため、書き込み選択性が向上し、同時に、熱擾乱耐性も向上させることができる。
C. 構造例3〜5
図28乃至図30は、磁気抵抗効果素子の構造例3〜5を示している。
図28の例では、磁気抵抗効果素子は、楕円に近い形となっている。但し、完全な楕円ではなく、困難軸方向の端部に凸部を持つ楕円となる。また、この例の形状は、図12の十字形磁気抵抗効果素子の困難軸方向の幅を小さくし、かつ、容易軸方向の幅も小さくした形と考えることもできる。
図29の例では、磁気抵抗効果素子は、菱形に近い形となっている。但し、完全な菱形ではなく、菱形の4つの辺がそれぞれ少し窪み、かつ、角部が丸くなっている。
図30の例は、図12の磁気抵抗効果素子の容易軸方向の端部に、困難軸方向に突出する凸部を設けた点に特徴を有する。この場合、データ書き込み中の半選択セルの磁化パターンが、より明確に2つのC型磁区から構成されるようになり、書き込み選択性がさらに向上する。
D. 構造例6
図31は、磁気抵抗効果素子の層構造の例を示している。
本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムは、磁気抵抗効果素子のフリー層の磁気構造(磁化パターン)に関するものであるが、ここでは、磁気抵抗効果素子の一般的な層構造について説明する。
磁気抵抗効果素子は、書き込みワード線WWLiと書き込みビット線WBLjの交差部に配置される。磁気抵抗効果素子は、例えば、反強磁性層/強磁性層(ピン層)/絶縁層(トンネルバリア層)/強磁性層(フリー層)の積層構造から構成され、かつ、上部電極と下部電極によって挟み込まれている。
この例では、ピン層がフリー層の下に配置されるボトムピン型磁気抵抗効果素子となっているが、ピン層がフリー層の上に配置されるトップピン型磁気抵抗効果素子であってもよい。
E. その他
磁気抵抗効果素子の構造例1〜6においては、強磁性層(フリー層、ピン層)がそれぞれ単層から構成されることを前提に説明したが、磁気抵抗効果素子の強磁性層は、それぞれ複数の層、例えば、2つの強磁性層と、これらの間に配置される非磁性金属層とから構成されていてもよい。
このような多層構造の強磁性層を用いても、保磁力を十分に低減でき、かつ、熱的に安定で、スイッチング磁場を大幅に低減できる。
磁気抵抗効果素子の強磁性層に用いる材料としては、Fe、Co、Ni 、これら金属を積層したものや、これら金属を含む合金(例えば、Co9 Fe )などを使用することができる。また、非磁性金属層としては、 Cu、Au、Ru、Al などを使用することができる。また、この積層構造において、非磁性金属層を挟んだ2つの強磁性層の間に磁気的な結合が存在していてもよい。
(3) 磁気抵抗効果素子の形状についての考察
書き込みマージンが大きいアステロイド曲線を実現するには、磁気抵抗効果素子の残留磁化を安定させることが重要である。そして、磁気抵抗効果素子の残留磁化の状態は、その形状に依存するところが大きい。
上述の構造例1〜5に関わる磁気抵抗効果素子のフリー層の形状は、十字形又はその変形、或いは磁化容易軸方向に延びる延在部と当該延在部の端部を除く側面から磁化困難軸方向に突出する突出部とを備える形であるが、構造例1〜4に関わる形状はいずれも容易軸方向に延びる中心軸及び困難軸方向に延びる中心軸に対して鏡映対称(reflection symmetry)となる対称性を有している。これに対し、上述の構造例5は、構造例1〜4とは異なり、鏡映対称とはなっていない。
しかし、構造例5の形状によれば、構造例1〜4に関わる形状よりも磁気抵抗効果素子の残留磁化を安定させることができる。
そこで、以下では、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行可能であると共に、残留磁化の状態が安定する磁気抵抗効果素子の形状について考察する。
尚、以下で考察する磁気抵抗効果素子のフリー層の形状は、十字形を基本形とする。本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムにより半選択セルの磁化反転を行い難くするには十字形を基本形とするのが最も簡単だからである。勿論、本発明の磁気抵抗効果素子のフリー層の形状は、十字形の変形、或いは磁化容易軸方向に延びる延在部と当該延在部の端部を除く側面から磁化困難軸方向に突出する突出部とを備える形であっても良い。
ここでは、このような十字形のことをS十字形(データ書き込み中に選択セルのみS型磁区を構成することに基づく)と称する。
A. 容易軸方向の端部形状
容易軸方向の端部は、容易軸方向に延びる中心軸X及び困難軸方向に延びる中心軸Yに対して非対称となる形状とする。
例えば、図32に示すように、磁気抵抗効果素子は、容易軸方向に長い平行四辺形(延在部)と、平行四辺形の長辺から困難軸方向に突出する突出部とから構成する。また、角部の全てを丸くする。
また、図33(a),(b)に示すように、磁気抵抗効果素子は、容易軸方向に長い長方形(延在部)と、長方形の長辺から困難軸方向に突出する突出部とから構成し、長方形の2つの対角線の少なくとも1つ上に存在する角を切り落とす。
例えば、同図(a)では、長方形の2つの対角線のうちの1つ上に存在する角が点線部分で切り落とされる。また、同図(b)では、長方形の2つの対角線上に存在する全ての角が点線部分で切り落とされる。この場合、2つの対角線のうちの1つ上に存在する角は、他の1つ上に存在する角よりも大きく削り取られる。角部については、図32と同様に丸くする。
このように、容易軸方向の端部形状を、容易軸方向に延びる中心軸X及び困難軸方向に延びる中心軸Yに対して非対称とすると、残留磁化(S型磁区)が安定するため、図34に示すような書き込みマージンが大きいアステロイド曲線を実現でき、書き込み選択性の向上による誤書き込み防止を達成できる。
B. 全体形状
全体形状は、2回回転対称性(two times-rotation symmetry)を有し、かつ、容易軸方向に延びる中心軸X及び困難軸方向に延びる中心軸Yに対して非対称である(鏡映対象でない)形状とする。
ここで、2回回転対称であるとは、磁気抵抗効果素子の中心点Oを中心に右回り又は左回りに360°/2だけ回転したときに初めの形状と合同になることである。つまり、2回回転対称性とは、磁気抵抗効果素子の中心点Oに対する点対称性(point symmetry)のことである。
尚、上述の図32及び図33に示す形状は、2回回転対称性を有し、かつ、容易軸方向に延びる中心軸X及び困難軸方向に延びる中心軸Yに対して非対称な形状を有している。
図35乃至図38は、上記要件を満たす形状の他の例を示している。
図35の形状は、図32の形状に近似する。
磁気抵抗効果素子は、容易軸方向に長い平行四辺形(延在部)と、平行四辺形の長辺から困難軸方向に突出する半円形(突出部)とから構成される。また、全ての角部には丸みが付される。
このような全体形状によれば、データ書き込み後の初期状態としての残留磁化が安定し、書き込み特性のばらつきが低減するため、書き込み選択性の向上を実現できる。
図36の形状は、図33の形状に近似する。
磁気抵抗効果素子は、容易軸方向に長い長方形(延在部)と、長方形の長辺から困難軸方向に突出する半円形(突出部)とから構成され、長方形の2つの対角線上の角が切り落とされている。
長方形の2つの対角線のうちの1つ上に存在する角は、他の1つ上に存在する角よりも大きく削り取られている。全ての角部には丸みが付される。
このような全体形状においても、データ書き込み後の初期状態としての残留磁化が安定し、書き込み特性のばらつきが低減するため、書き込み選択性の向上を実現できる。
図37の形状は、図35の形状にさらに次の特徴を追加したものである。
磁気抵抗効果素子の容易軸方向の端部には、困難軸方向に突出する凸部JUTが設けられる。磁気抵抗効果素子の容易軸方向には2つの端部が存在するが、それぞれについて1つの凸部JUTが設けられる。また、磁気抵抗効果素子の容易軸方向の端部の一方に設けられる凸部JUTが突出する方向は、他方に設けられる凸部JUTが突出する方向とは逆である。
また、全ての角部には丸みが付される。
このような全体形状によれば、データ書き込み後の初期状態としての残留磁化が安定し、書き込み特性のばらつきが低減すると共に、データ書き込み中の半選択セルの磁化パターンがより明確に2つのC型磁区から構成されるようになるため、書き込み選択性の向上がさらに期待できる。
図38の形状は、図36の形状にさらに次の特徴を追加したものである。
磁気抵抗効果素子の容易軸方向の端部には、図37の形状と同様に、困難軸方向に突出する凸部JUTが設けられる。磁気抵抗効果素子の容易軸方向の2つの端部のそれぞれについて1つの凸部JUTが設けられる。また、磁気抵抗効果素子の容易軸方向の端部の一方に設けられる凸部JUTが突出する方向は、他方に設けられる凸部JUTが突出する方向とは逆である。
また、図37の形状と同様に、全ての角部には丸みが付される。
このような全体形状においても、データ書き込み後の初期状態としての残留磁化が安定し、書き込み特性のばらつきが低減すると共に、データ書き込み中の半選択セルの磁化パターンがより明確に2つのC型磁区から構成されるようになるため、書き込み選択性の向上がさらに期待できる。
図39の形状は、図36の形状においてさらに丸みの度合いを増したものである。容易軸方向に延びる延在部の長辺から困難軸方向に突出する突出部は、三角形の角部が丸まった形状を有する。
このような全体形状においても、残留磁化はS型磁区で安定し、また、半選択セルの磁化パターンは2つのC型磁区から構成される。
図40は、従来形とS十字形とを比較して示している。
従来形としては、ここでは、十字形(従来形1)、楕円形(従来形2)、ビーンズ形(従来形3)の3つを掲げている。
十字形及び楕円形は、2回回転対称性を有するが、容易軸方向に延びる中心軸及び困難軸方向に延びる中心軸に対して鏡映対称である。また、ビーンズ形は、2回回転対称性を有しないし、困難軸方向に延びる中心軸に対しては鏡映対称である。
これに対し、S十字形は、2回回転対称性を有すると共に、容易軸方向に延びる中心軸及び困難軸方向に延びる中心軸に対して非対称、即ち、鏡映対称でない。
C. サイズ
S十字形を有する磁気抵抗効果素子の困難軸方向の幅の最大値は1μm以下であることが好ましく、また、容易軸方向の長さは、困難軸方向の幅の最大値の1倍から10倍の範囲内の値であることが好ましい。
磁気抵抗効果素子のフリー層は、単層でも、例えば、SAF(synthetic anti-ferroelectric)構造などのように、複数の強磁性層を含んでいてもよい。磁気抵抗効果素子の厚さは、3nm以上、50nm以下であることが好ましい。
D. まとめ
以上のように、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行可能であることを条件に、さらに、磁気抵抗効果素子の形状を工夫するにより、誤書き込みのない安定した動作を実現できる。
(4) 製造方法
次に、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行できる磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。
磁気抵抗効果素子は、一般的には、光、電子ビーム及びX線のいずれかを用いてレジストを露光し、かつ、現像によりレジストパターンを形成し、この後、このレジストパターンをマスクにして、イオンミリング又はエッチングにより磁性材料及び非磁性材料を加工することにより形成される。
大きなサイズ、例えば、ミクロンオーダーの磁気抵抗効果素子を形成する場合には、レジストパターンを転写したハードマスク(例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなど)を形成し、このハードマスクをマスクにして、反応性イオンエッチング(RIE)により磁性材料及び非磁性材料を加工し、磁気抵抗効果素子を得る。
小さなサイズ、例えば、2〜3 μm から 0.1μmまでのサブミクロンサイズの磁気抵抗効果素子を形成する場合には、光リソグラフィを用いることができる。この場合は、光リソグラフィによりレジストパターンを形成し、このレジストパターンをハードマスクに転写する。このハードマスクをマスクにして、反応性イオンエッチング(RIE)により磁性材料及び非磁性材料を加工し、磁気抵抗効果素子を得る。
微細なサイズ、例えば、0.5μm以下のサイズを持つ磁気抵抗効果素子を形成する場合には、電子ビーム露光を用いることができる。この場合は、電子ビーム露光によりレジストパターンを形成し、このレジストパターンをハードマスクに転写する。このハードマスクをマスクにして、反応性イオンエッチング(RIE)により磁性材料及び非磁性材料を加工し、磁気抵抗効果素子を得る。
しかし、電子ビーム露光を用いる場合、磁気抵抗効果素子のサイズが非常に小さいため、本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子のエッジドメイン領域におけるサイズはさらに小さくなり、正確な形状の磁気抵抗効果素子を形成することが大変に難しくなる。
そこで、電子ビームの近接効果補正を利用する。
通常、近接効果補正は、電子ビームの基板からの後方散乱により生じる図形内近接効果を補正し、正確なパターンを形成するために用いられる。
例えば、長方形のパターンを形成する場合、長方形の角では、蓄積電荷量が不足し、長方形の角が丸くなるという現象がみられる。角をはっきりさせるために、角付近、特に、 0.5μm 以下の素子の場合には、輪郭の外側に補正点ビームを打ち込んで蓄積電荷量を増やすことで正確なパターンを得ることができる。
ここでは、この方法を用いて十字形の磁気抵抗効果素子を形成する。例えば、長方形を基本パターンとし、相対する2つの角付近にそれぞれ補正点ビームを打ち込むことで正確な十字形を得ることができる。
この時、通常の近接効果補正の場合に比べて打ち込む電荷量を多くするか、又は、補正点ビームの打ち込み位置を適当に調節するか、又は、その両方を用いることにより形状を補正することができる。
その結果、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを実行できる十字形の磁気抵抗効果素子を形成できる。さらに、例えば、十字形を得るために、複数点の補正点ビームを照射することも可能である。
(5) メモリセルアレイの例
次に、本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムが適用される磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレイの例について説明する。
図41は、クロスポイント型メモリセルアレイを示している。
読み出し/書き込みワード線WLと読み出し/書き込みビット線BLとは、互いに交差しており、その交差部に磁気抵抗効果素子Cが配置される。磁気抵抗効果素子Cは、読み出し/書き込みワード線WL及び読み出し/書き込みビット線BLに電気的に接続される。
磁気抵抗効果素子Cと読み出し/書き込みワード線WLとの間には、ダイオードDが配置される。ダイオードDは、クロスポイント型メモリセルアレイに特有の読み出し/書き込み時におけるいわゆる回り込み電流を防止する機能を有する。回り込み電流は、例えば、このダイオードDと、非選択の読み出し/書き込みワード線WL及び非選択の読み出し/書き込みビット線BLにバイアス電圧を与えることにより回避する。
読み出し/書き込みワード線WLには、例えば、選択トランジスタSTwを経由してセンスアンプSAが接続される。読み出し/書き込みビット線BLには、例えば、選択トランジスタSTBを経由して電源が接続される。
図42は、はしご型メモリセルアレイを示している。
書き込みビット線BLwと読み出しビット線BLrとの間には、はしご状に複数の磁気抵抗効果素子Cが配置される。書き込みビット線BLwと読み出しビット線BLrは、同一方向に延びている。
磁気抵抗効果素子Cの直下には、書き込みワード線WLが配置される。書き込みワード線WLは、磁気抵抗効果素子Cから一定距離だけ離れて配置され、書き込みビット線BLwに交差する方向に延びる。
読み出しビット線BLrには、例えば、選択トランジスタSTを経由して抵抗素子Rが接続される。センスアンプSAは、抵抗素子Rの両端に発生する電圧を検出することにより読み出しデータをセンスする。書き込みビット線BLwの一端には、電源が接続され、他端には、例えば、選択トランジスタSTを経由して接地点が接続される。
図43及び図44は、それぞれ1トランジスタ−1MTJ型メモリセルアレイを示している。
書き込みワード線WLと読み出し/書き込みビット線BLとは、互いに交差しており、その交差部に磁気抵抗効果素子Cが配置される。磁気抵抗効果素子Cは、読み出し/書き込みビット線BLに電気的に接続される。磁気抵抗効果素子Cの直下には、書き込みワード線WLが配置される。書き込みワード線WLは、磁気抵抗効果素子Cから一定距離だけ離れている。
磁気抵抗効果素子Cの一端は、例えば、選択トランジスタST2を経由してセンスアンプSAに接続される。読み出し/書き込みビット線BLは、選択トランジスタST1を経由して電源に接続される。
尚、図44の構造では、磁気抵抗効果素子Cの一端は、引き出し線としての下部電極Lに接続される。このため、磁気抵抗効果素子Cの直下に選択トランジスタST2が配置されても、書き込みワード線WLを磁気抵抗効果素子Cの近傍に配置することができる。
3. その他
本発明の例に関わる磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズム(磁化反転方法)においては、書き込み中の選択セルの磁化パターンと半選択セルの磁化パターンとが異なり、半選択セルについては、磁化反転が生じ難い状態になるため、書き込みディスターブを改善できる。また、熱安定性を高くでき、スイッチング磁場を小さくできる。
この磁化状態のスイッチングメカニズムを磁気ランダムアクセスメモリに適用することにより、データ書き込み(磁化反転)に必要な磁場を生成する書き込み電流の値を小さくできるため、低消費電力化に有利となる。また、熱安定性が高いため、メモリセルの大きさを小さくすることができる。
従って、高集積化が可能で、かつ、高速書き込みが可能な低消費電力の磁気ランダムアクセスメモリを提供できる。
本発明の例は、上述の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、構成要素を変形して具体化できる。また、上述の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の例に関わる磁気ランダムアクセスメモリを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 本発明の例に関わる磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例1を示す図。 容易軸方向の磁化曲線を示す図。 十字形磁気抵抗効果素子のアステロイド曲線を示す図。 十字形磁気抵抗効果素子のアステロイド曲線を示す図。 長方形磁気抵抗効果素子のアステロイド曲線を示す図。 長方形磁気抵抗効果素子のアステロイド曲線を示す図。 図12の磁気抵抗効果素子からなるメモリセルアレイを示す図。 図12の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図12の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図12の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図12の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例2を示す図。 図22の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図22の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図22の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 図22の磁気抵抗効果素子の磁化状態のスイッチングメカニズムを示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例3を示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例4を示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例5を示す図。 磁気抵抗効果素子の構造例6を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形と従来形のアステロイド曲線を比較して示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形の例を示す図。 S十字形と従来形について2回回転と鏡映の対称性を比較する図。 磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレイの例を示す図。 磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレイの例を示す図。 磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレイの例を示す図。 磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレイの例を示す図。 長方形磁気抵抗効果素子を示す図。
符号の説明
11: 書き込みワード線ドライバ、 12: 書き込みワード線シンカー、 13A,13B: 書き込みビット線ドライバ/シンカー、 MTJ: 磁気抵抗効果素子、 WWLi−1,WWLi,WWLi+1: 書き込みワード線、WBLj−1,WBLj,WBLj+1: 書き込みビット線。

Claims (22)

  1. 第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に選択状態となっているときの磁化パターン及び前記磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンとは異なることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、C型磁区を構成し、前記磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンは、S型磁区を構成することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 第1及び第2強磁性層とこれらの間に配置される非磁性層とを備えた積層構造を有し、前記第1及び第2強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果素子がデータ書き込み中に半選択状態となっているときの磁化パターンは、少なくとも1つのC型磁区を構成することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 互いに交差する第1及び第2書き込み線の交差部に対応して配置される第1磁気抵抗効果素子に対するデータ書き込みに関して、前記第1書き込み線に第1書き込み電流を流し、前記第2書き込み線に第2書き込み電流を流すことにより、前記第1磁気抵抗効果素子の磁化を反転させ、かつ、前記データ書き込み中に、前記第1及び第2書き込み電流のうちの1つにより発生する磁場のみが印加される第2磁気抵抗効果素子の磁化パターンを前記第1磁気抵抗効果素子の磁化パターンとは異なる状態にし、前記第2磁気抵抗効果素子の磁化の反転を禁止することを特徴とする磁気抵抗効果素子の磁化反転方法。
  5. 前記データ書き込み中の前記第2磁気抵抗効果素子の磁化パターンは、C型磁区を構成することを特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗効果素子の磁化反転方法。
  6. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンは、S型磁区を構成することを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気抵抗効果素子の磁化反転方法。
  7. 互いに交差する複数の第1及び第2書き込み線と、前記複数の第1及び第2書き込み線の複数の交差部に対応して配置される記憶素子としての複数の磁気抵抗効果素子とを具備し、第1書き込み電流が流れる選択された第1書き込み線と第2書き込み電流が流れる選択された第2書き込み線との交差部に対応して配置され前記第1及び第2書き込み電流により発生する磁場が印加される磁気抵抗効果素子を第1磁気抵抗効果素子とし、それ以外の交差部に対応して配置され前記第1及び第2書き込み電流のうちの1つにより発生する磁場のみが印加される磁気抵抗効果素子を第2磁気抵抗効果素子とした場合に、前記第1磁気抵抗効果素子のデータ書き込み中における磁化パターンは、前記第2磁気抵抗効果素子のデータ書き込み中における磁化パターンと異なることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  8. 前記第1及び第2書き込み電流が流れているときの前記第2磁気抵抗効果素子の磁化パターンは、C型磁区を構成することを特徴とする請求項7に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  9. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の残留磁化のパターンは、S型磁区を構成することを特徴とする請求項7又は8に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  10. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の各々は、トンネルバリア層を2つの強磁性層で挟み込んだ構造を有し、前記2つの強磁性層の磁化の相対的角度により前記トンネルバリア層のトンネルコンダクタンスが変化することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  11. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の各々は、第1方向に延在する延在部と、前記延在部の側面から前記第1方向に対して垂直な第2方向に突出する突出部とを有することを特徴とする請求項7に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  12. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の各々は、2回回転対称性を有し、かつ、前記第1方向に延びる中心軸及び前記第2方向に延びる中心軸に対して非対称であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  13. 前記延在部は、前記第1方向に長い平行四辺形を有し、前記突出部は、前記平行四辺形の長辺から前記第2方向に突出することを特徴とする請求項11に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  14. 前記延在部は、前記第1方向に長い長方形を有し、前記突出部は、前記長方形の長辺から前記第2方向に突出し、前記長方形の2つの対角線の少なくとも1つの上に存在する角が切り落とされていることを特徴とする請求項11に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  15. 前記2つの対角線のうちの1つの上に存在する角は、他の1つの上に存在する角よりも大きく削り取られていることを特徴とする請求項14に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  16. 前記延在部の前記第1方向の2つの端部には、それぞれ前記第2方向に突出する凸部が設けられていることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  17. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の磁化困難軸方向の幅の最大値は、1μm以下であることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  18. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の磁化容易軸方向の長さは、前記磁化困難軸方向の幅の最大値の1倍から10倍の範囲内の値であることを特徴とする請求項17に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  19. 前記延在部及び前記突出部の角部は、全て丸くなっていることを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  20. 前記第1及び第2磁気抵抗効果素子の厚さは、3nm以上、50nm以下であることを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  21. 前記第1及び第2書き込み電流が流れているときの前記第2磁気抵抗効果素子の磁化パターンは、2つのC型磁区を構成することを特徴とする請求項7乃至20のいずれか1項に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  22. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を記憶素子として備えることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
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