JP2006134894A - 非水電解液二次電池用負極及びその製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池用負極及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電時にリチウムが消費されてその枯渇が起こることを防止し得る非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】本発明の非水電解液二次電池用負極1は、一対の集電用表面層4間に活物質層5及び金属リチウム層3を有することを特徴とする。負極1は、集電用表面層4と、該集電用表面層4の一面に配された活物質層5とを備えた二つの負極前駆体2を有し、各負極前駆体2における活物質層5どうしが対向し且つ集電用表面層4が外方を向くように、金属リチウム層3が両負極前駆体2間に挟持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池に用いられる負極に関する。また本発明は、該負極の製造方法に関する。
非水電解液二次電池の負極に金属リチウムを貼付して、電池の耐過放電特性を高めることが提案されている。例えば、正極に遷移金属のリチウム含有複合酸化物を、負極に炭素材をそれぞれ用い、正極板、負極板をセパレータとともに渦巻状に巻回した非水電解液二次電池において、負極板の最外周に相当する部分で、なおかつ正極板と対向しない部分に金属リチウム箔を貼付することが提案されている(特許文献1ないし3参照)。
しかし前記の負極においては、非水電解液と接する面である最表面に活物質が露出しているので、リチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の膨張収縮によって該活物質の脱落が起こりやすい。その結果、電池のサイクル寿命が低下しやすい。また、金属リチウムも最表面に露出しているので、場合によってはリチウムのデンドライトが生成し、それが負極から脱落して、或いはセパレータを貫通して正極と接触し、内部短絡や発火の原因となるおそれがある。
ところで、非水電解液二次電池においては、その製造過程で微量の水分が混入することがしばしばある。電池内において水分は非水電解液と反応し、これを分解させる。そこで、非水電解液二次電池に含まれる水分を低減させて、充放電サイクル特性を向上させることが提案されている(特許文献4参照)。しかし、水分を満足すべきレベルにまで低減させるには、過大な手間と時間がかかり経済的でない。
水分とは別に、集電体や活物質には不可避的に微量の酸素が含まれている。酸素は、充放電時にリチウムとの化合物を形成する。Li−Oは比較的結合力が強いので、該化合物の形成によって可逆的に使用可能なリチウムの量が減少してしまう。つまり不可逆容量が大きくなってしまう。
特開平5−144472号公報 特開平5−144473号公報 特開平7−94211号公報 特開2001−223030号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る非水電解液二次電池用負極を提供することにある。
本発明は、一対の集電用表面層間に活物質層及び金属リチウム層を有することを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、前記負極の好ましい製造方法として、
キャリア箔上に電解めっきによって集電用表面層を形成し、
該集電用表面層上に活物質層を形成して、該キャリア箔上に該集電用表面層と該活物質層とをこの順で備えた負極前駆体を形成し、
各負極前駆体における前記活物質層どうしが対向するように、金属リチウム箔を両負極前駆体間に挟み込んで、該金属リチウム箔と両負極前駆体とを貼り合わせにより一体化させ、然る後、
前記キャリア箔を各負極前駆体から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる一対の集電用表面層間に活物質層を有し、
少なくとも一方の前記集電用表面層には、その表面において開孔していると共にその厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
前記活物質層が、リチウムを吸蔵したリチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含み、また該活物質層においては、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が該活物質層の厚み方向全域に亘って浸透しており、
芯材としての導電性金属箔層を備えていないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供するものである。
更に本発明は、前記負極の好ましい製造方法として、
キャリア箔上に電解めっきによって集電用表面層を形成し、
該集電用表面層上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成して、該キャリア箔上に該集電用表面層と該活物質層とをこの順で備えた負極前駆体を形成し、
各負極前駆体における前記活物質層どうしが対向するように、金属リチウム箔を両負極前駆体間に挟み込んで、該金属リチウム箔と両負極前駆体とを貼り合わせにより一体化させ、
リチウムが熱拡散するに十分な温度に加熱して、前記金属リチウム箔からリチウムを前記活物質層へ拡散させ、然る後、
前記キャリア箔を各負極前駆体から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法を提供するものである。
本発明の負極によれば、充放電時にリチウムが消費されても、金属リチウム層からリチウムが溶解して供給される。従って、負極活物質の量(容量)に比較して正極活物質の量(容量)を少なくするような電池設計時に懸念される、いわゆる「リチウム枯渇」の問題が解消される。これによって、初期不可逆容量を少なくすることができ、また各充放電サイクルでの充放電効率(サイクル特性)が向上する。また、充放電開始前に活物質がリチウムを吸蔵しているので、充電時にリチウムを吸蔵することに起因する体積増加を軽減することができる。このことは、サイクル寿命の向上に大きく貢献する。
また、負極を始めとする電池の構成部材に微量の水分や酸素が含まれている場合であっても、該水分や酸素は金属リチウムと反応して消費されるので、電池内の水分や酸素が減少する。このことによっても、初期不可逆容量を少なくすることができ、また各充放電サイクルでの充放電効率(サイクル特性)が向上する。
更に、リチウムが溶解した後の金属リチウム層には空間が生じ、該空間は、充放電時の活物質の膨張・収縮に起因する応力を緩和するので、それによって活物質の微粉化が抑えられる。その上、活物質の微粉化が進行したとしても、活物質が電極の表面に露出しておらず電極の内部に包埋されているので、活物質の脱落が防止され、また充放電を繰り返しても活物質の集電性が確保される。しかも金属リチウム層は負極の表面に露出しておらず、内部に位置しているので、リチウムのデンドライトが生成することが防止される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の負極の一実施形態の構造が模式的に示されている。本実施形態の負極1は、その基本構成部材として、二つの負極前駆体2及び金属リチウム層3を有している。金属リチウム層3は、負極前駆体2の間に挟持されている。
負極前駆体2は、集電用表面層4と、該集電用表面層4の一面に配された活物質層5とを備えている。図1に示すように、金属リチウム層3は、各負極前駆体2における活物質層5どうしが対向し且つ集電用表面層4が外方を向くように両負極前駆体2間に挟持されている。また図1から明らかなように負極1は、従来の負極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体(例えば厚さ8〜35μm程度の金属箔やエキスパンドメタル)を有していない。
集電用表面層4は集電機能を担っている。また集電用表面層4は、活物質層5に含まれる活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することによる該活物質の膨張収縮に起因して脱落することを防止するためにも用いられている。集電用表面層4は、非水電解液二次電池の集電体となり得る金属から構成されていることが好ましい。特にリチウム二次電池の集電体となり得る金属から構成されていることが好ましい。そのような金属としては例えば、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が挙げられる。具体的には銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。これらの金属のうち銅及びニッケル或いはそれらの合金を用いることが特に好適である。負極1の強度を高める観点からはニッケルを用いることが好ましい。2つの集電用表面層4は、その構成材料が同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。「リチウム化合物の形成能が低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
各集電用表面層4は、従来の電極に用いられている集電用の厚膜導電体よりもその厚みが薄いものである。具体的には0.3〜10μm程度、特に1〜5μm程度の薄層であることが好ましい。これによって、必要最小限の厚みで活物質層5をほぼ満遍なく連続的に被覆することができる。その結果、充放電に起因して微粉化した活物質の脱落を防止することができる。前記範囲の薄い集電用表面層4は、後述するように電解めっきによって形成されることが好ましい。なお2つの集電用表面層4はその厚みが同じでもよく、或いは異なっていてもよい。
各集電用表面層4は、その表面において開孔しており且つ活物質層5と通ずる多数の微細空隙6を有している。微細空隙6は集電用表面層4の厚さ方向へ延びるように該集電用表面層4中に存在している。微細空隙6が形成されていることで、非水電解液が活物質層5へ十分に浸透することができ、活物質との反応が十分に起こる。微細空隙6は、集電用表面層4を断面観察した場合にその幅が約0.1μmから約10μm程度の微細なものである。微細であるものの、微細空隙6は非水電解液の浸透が可能な程度の幅を有している。尤も非水電解液は水系の電解液に比べて表面張力が小さいことから、微細空隙6の幅が小さくても十分に浸透が可能である。微細空隙6は、好ましくは集電用表面層4を電解めっきで形成する際に同時に形成される。なお本実施形態においては、各集電用表面層4に微細空隙6が形成されているが、少なくとも一方の集電用表面層4に微細空隙6が形成されていれば、所望の効果が奏される。
集電用表面層4の表面を電子顕微鏡観察により平面視したとき、微細空隙6の平均開孔面積は、0.1〜50μm2であり、好ましくは0.1〜20μm2、更に好ましくは0.5〜10μm2程度である。この範囲の開孔面積とすることで、非水電解液の十分な浸透を確保しつつ、活物質の脱落を効果的に防止することができる。また充放電の初期段階から充放電容量を高めることができる。活物質が粒子である場合、該粒子の脱落を一層効果的に防止する観点から、前記の平均開孔面積は、活物質の粒子の最大断面積の0.1〜50%、特に0.1〜20%であることが好ましい。活物質の粒子の最大断面積とは、活物質の粒子の粒径(D50値)を測定し、該粒子を、D50値の直径を有する球とみなしたときの最大断面積をいう。
集電用表面層4の表面を電子顕微鏡観察により平面視したときに、観察視野の面積に対する微細空隙6の開孔面積の総和の割合(この割合を開孔率という)は、0.1〜20%であり、好ましくは0.5〜10%である。この理由は微細空隙6の開孔面積を前記の範囲内とすることと同様の理由である。更に同様の理由により、集電用表面層4の表面を電子顕微鏡観察により平面視したときに、どのような観察視野をとっても、100μm×100μmの正方形の視野範囲内に1個〜2万個、特に10個〜1千個、とりわけ50個〜500個の微細空隙6が存在していることが好ましい。
集電用表面層4のすぐ内側に位置する活物質層5は、リチウム化合物の形成能の高い活物質を含んでいる。該活物質としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料が挙げられる。各活物質層5は各集電用表面層4によって被覆されているので、活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することに起因して脱落することが効果的に防止される。活物質は微細空隙6を通じて電解液と接することができるので、電極反応が妨げられることもない。
活物質層5は、例えば図1に示すように、活物質の粒子7を含む導電性スラリーを塗布して形成されている。スラリーを塗布する手法に代えて、ガスデポジション法を用いてもよい。ガスデポジション法とは、活物質粒子粉(Siなど)を減圧空間にてキャリアガス(窒素、アルゴンなど)と混合し、エアロゾル化させた状態で、ノズル噴射することで基板(集電箔)表面に膜を圧着形成する手法である。常温での塗膜形成が可能なことから、以下に示す薄膜形成手段に比べ、多成分系の活物質粉を用いた場合でも組成変化が少ない。また、同法の噴射条件(活物質粒子径、ガス圧など)を調整することにより、多数の空隙を有した活物質膜層を形成することができる。また活物質層5は、各種薄膜形成手段によって形成された活物質の薄層から形成されていてもよい。薄膜形成手段としては、化学気相蒸着法(CVD)、物理気相蒸着法(PVD)、スパッタリング、電解めっきなどが挙げられる。
活物質層5が活物質の粒子7を含んで構成されている場合、該粒子7としては、例えばイ)シリコン単体又はスズ単体の粒子、ロ)少なくともシリコン又はスズと炭素との混合粒子、ハ)シリコン又はスズと金属との混合粒子、ニ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子、ホ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子、ヘ)シリコン単体又はスズ単体の粒子の表面に金属が被覆されてなる粒子、ト)それらの酸化物を含む粒子などが挙げられる。ロ)、ハ)、ニ)、ホ)及びヘ)の粒子を用いると、イ)のシリコン単体又はスズ単体の粒子を用いる場合に比べて、リチウムの吸脱蔵に起因するシリコン系材料の微粉化が一層抑制されるという利点がある。また半導体であり電子伝導性の乏しいシリコンに電子伝導性を付与できるという利点がある。
活物質の粒子7はその最大粒径が好ましくは50μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。また粒子7の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に1〜5μmであることが好ましい。最大粒径が50μm超であると、粒子7の脱落が起こりやすくなり、電極の寿命が短くなる場合がある。粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。粒子7の製造方法に鑑みると、下限値は0.01μm程度である。粒子7の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置、電子顕微鏡観察によって測定される。
負極1全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質の量は負極1全体に対して好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%、一層好ましくは20〜50重量%である。活物質層5の厚みは、負極全体に対する活物質の量の割合等に応じて適宜調節することができ、本実施形態においては特に臨界的なものではない。活物質層5が活物質の粒子7を含んで構成されている場合の厚みは、一般には1〜100μm、特に3〜40μm程度である。
活物質層5に活物質の粒子7が含まれる場合、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が活物質層5の厚み方向全域に亘って浸透していることが好ましい。そして浸透した該材料中に活物質の粒子7が存在していることが好ましい。つまり活物質の粒子7は負極1の表面に実質的に露出しておらず集電用表面層4の内部に包埋されていることが好ましい。これによって、活物質層5と集電用表面層4との密着性が強固なものとなり、活物質の脱落が一層防止される。また活物質層5中に浸透した前記材料を通じて集電用表面層4と活物質との間に電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質が生成すること、特に活物質層5の深部に電気的に孤立した活物質が生成することが効果的に防止され、集電機能が保たれる。その結果、負極としての機能低下が抑えられる。更に負極の長寿命化も図られる。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。
活物質層5の厚み方向全域に亘って浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料は、集電用表面層4を構成する金属材料と同種の材料であることが好ましい。しかし、リチウム化合物の形成能が低ければ、集電用表面層4を構成する金属材料と異種の材料を用いても差し支えない。
リチウム化合物の形成能の低い金属材料は、活物質層5をその厚み方向に貫いていることが好ましい。それによって2つの集電用表面層4は前記金属材料及び金属リチウム層3を通じて電気的に導通することになり、負極1全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極1は、その全体が一体として集電機能を有する。リチウム化合物の形成能の低い金属材料が活物質層5の厚み方向全域に亘って浸透していることは、該材料を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。リチウム化合物の形成能の低い金属材料を、活物質層5中に浸透させるための好ましい方法は後述する。
活物質層5中には活物質の粒子7に加えて導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子8が含まれていることが好ましい。これによって負極1に電子伝導性が一層付与される。この観点から活物質層5中に含まれる導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子8の量は、活物質層5を基準として0.1〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。導電性炭素材料としては例えばアセチレンブラックやグラファイトなどの粒子が用いられる。これらの粒子の粒径は40μm以下、特に20μm以下であることが、電子伝導性の一層付与の点から好ましい。該粒子の粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、その下限値は0.01μm程度となる。
二つの活物質層5間に介在配置された金属リチウム層3は、非水電解液の存在下に、活物質(負極活物質)との間に局部電池を構成する。これによって金属リチウム層3から金属リチウムが近傍の活物質中に電気化学的にインターカレートする。或いはリチウムの濃度勾配に起因してリチウムが活物質中にインターカレートする。このように、金属リチウム層3はリチウムの供給源として作用する。その結果、充放電によってリチウムが消費されても、金属リチウム層3からリチウムが供給されるので、リチウム枯渇の問題が解消される。それによって負極1の長寿命化が図られる。また、負極1を始めとする電池の構成材料(例えば正極、電解液等)に微量の水分が存在していても、該水分は金属リチウムと反応して消費されるので、電池内の水分が減少する。更に、集電体や活物質に不可避的に含まれている微量の酸素が、金属リチウムに捕捉される。これらのことによって、初期不可逆容量を少なくすることができ、また各充放電サイクルでの充放電効率(サイクル特性)が向上する。その上、金属リチウム層3は、負極1の表面に露出しておらず、負極1の内部に位置しており、またリチウムは活物質中にインターカレートするので、内部短絡や発火の原因となるリチウムのデンドライトが生成するおそれも少ない。リチウムが溶解した後の金属リチウム層3には空間が生じ、該空間は、充放電時の活物質の膨張・収縮に起因する応力を緩和するので、それによって活物質の微粉化が抑えられるという利点もある。
金属リチウムの量は、負極活物質の初期充電理論容量に対して0.1%以上50%以下であることが、容量回復特性が良好になることから好ましい。更に好ましい範囲は5〜50%、一層好ましい範囲は10〜40%、とりわけ好ましい範囲は20〜40%である。負極活物質として例えばシリコンを用いる場合、理論的にはシリコンは組成式SiLi4.4で表される状態までリチウムを吸蔵するので、リチウムの吸蔵量が、シリコンの初期充電理論容量に対して100%であるとは、組成式SiLi4.4で表される状態までリチウムがシリコンに吸蔵されることをいう。
以上の構成を有する負極1全体の厚みは、負極1の強度維持やエネルギー密度を高めること考慮すると、2〜50μm、特に10〜50μm程度であることが好ましい。
次に図1に示す負極1の好ましい製造方法を、図2を参照しながら説明する。先ず、負極前駆体2を製造する。負極前駆体2の製造には、図2(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。キャリア箔11の材質に特に制限はない。キャリア箔11は導電性であることが好ましい。この場合、導電性を有していれば、キャリア箔11は金属製でなくてもよい。しかし金属製のキャリア箔11を用いることで、負極前駆体2の製造後にキャリア箔11を溶解・製箔してリサイクルできるという利点がある。リサイクルの容易性を考慮すると、キャリア箔11の材質は、後述する電解めっきによって形成される集電用表面層4の材質と同じであることが好ましい。キャリア箔11は、負極前駆体2を製造するための支持体として用いられるものであることから、製造工程においてヨレ等が生じないような強度を有していることが好ましい。従ってキャリア箔11は、その厚みが10〜50μm程度であることが好ましい。
キャリア箔11は例えば電解や圧延で製造することができる。圧延で製造することで、表面粗さの低いキャリア箔11を得ることができる。一方キャリア箔11を電解によって製造することで、キャリア箔11の製造から負極前駆体2の製造までをインラインで行うことができる。インラインで行うことは、負極前駆体2の安定製造及び製造コストの低減の点から有利である。電解によってキャリア箔11を製造する場合には、回転ドラムを陰極として用い、銅やニッケルなどの金属イオンを含む電解浴中で電解を行いドラム周面に金属を析出させる。析出した金属をドラム周面から剥離することでキャリア箔11が得られる。
次に図2(b)に示すように、キャリア箔11の一面上に、集電用表面層4を構成する材料と異質の材料からなる薄層の被覆体12を形成する。その後に集電用表面層4を電解めっきによって形成する。この操作によって、集電用表面層4に形成される微細空隙6の数や開孔面積を容易にコントロールすることができる。
被覆体12は、集電用表面層4の形成面の電子伝導性を不均一な状態にすることで、集電用表面層4に多数の微細空隙を形成するために用いられる。被覆体12は、その厚みが0.001〜1μm、特に0.002〜0.5μm、とりわけ0.005〜0.2μmとなるように形成されることが好ましい。この程度の薄さにすることで、被覆体12は、キャリア箔の表面を不連続に、例えば島状に被覆することになるからである。
被覆体12は、集電用表面層4の構成材料と異質の材料からなる。これによって剥離工程において、キャリア箔11から集電用表面層4を首尾良く剥離することができる。特に被覆体12は、集電用表面層4の構成材料と異質の材料であって、且つCu、Ni、Co、Mn、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Ag、Au、C、Al、Si、Ti及びPdのうちの少なくとも1種類の元素を含んで構成されていることが好ましい。
被覆体12の形成方法に特に制限はない。例えば、集電用表面層4の形成方法との関係で、被覆体12の形成方法を選択することができる。具体的には、集電用表面層4を電解めっきで形成する場合には、被覆体12も電解めっきで形成することが製造効率等の点から好ましい。尤も他の方法、例えば無電解めっき、スパッタリング法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法、ゾルゲル法又はイオンプレーティング法によって被覆体12を形成することも可能である。
電解めっきによって被覆体12を形成する場合には、被覆体12の構成材料に応じて適切なめっき浴やめっき条件が選択される。例えば被覆体12をスズから構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有するものや、ほうふっ化スズ浴を用いることができる。このめっき浴を用いる場合の浴温は15〜30℃程度であり、電流密度は0.5〜10A/dm2程度であることが好ましい。
・SnSO4 30〜70g/l
・H2SO4 60〜150g/l
・クレゾールスルホン酸 70〜100g/l
先に述べた通り、被覆体12は、集電用表面層4の形成面の電子伝導性を不均一な状態にするために用いられる。従って、被覆体12の構成材料の電子伝導性がキャリア箔11の電子伝導性と大きく異なれば、被覆体12を形成することで集電用表面層4の形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態になる。例えば被覆体12の構成材料としてカーボンを用いるような場合である。一方、被覆体12の構成材料として、キャリア箔11と同程度の電子伝導性を有する材料、例えばスズ等を始めとする各種金属材料を用いた場合には、被覆体12の形成によっては、集電用表面層4の形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態とはならない。そこで、そのような材料から被覆体12を構成する場合には、被覆体12が形成されたキャリア箔11を、乾燥状態下に含酸素雰囲気、例えば大気中にさらすことが好ましい。これによって被覆体12の表面(及びキャリア箔11の露出面)を酸化させる(図2(c)参照)。この操作によって、集電用表面層4の形成面の電子伝導性が不均一な状態になる。この状態下に後述する電解めっきを行うと、被覆体12の表面とキャリア箔11の露出面とで電析速度に差が生じ、微細空隙6を容易に形成することができる。酸化の程度は本発明において臨界的ではない。例えば、被覆体12が形成されたキャリア箔11を大気中に10〜30分程度放置しておけば十分であることが本発明者らの検討によって判明した。尤も被覆体12が形成されたキャリア箔11を強制的に酸化させることは妨げられない。
被覆体12が形成されたキャリア箔11を、含酸素雰囲気にさらすときにこれを乾燥状態にする理由は、酸化を効率的に行うためである。例えば電解めっきによって被覆体12を形成した場合には、キャリア箔11をめっき浴から引き上げた後にドライヤ等を用いてこれを乾燥させ、次いで所定時間大気中に放置すればよい。被覆体12の形成方法としてスパッタリング法や各種蒸着法等の乾式法を用いる場合には乾燥操作は不要であり、被覆体12の形成後、そのまま大気中に放置しておけばよい。
被覆体12を酸化させた後、図2(d)に示すように、その上に剥離剤13を施す。剥離剤13は、後述する剥離工程において、キャリア箔11から負極前駆体2を首尾良く剥離するために用いられる。剥離剤13としては有機化合物を用いることが好ましく、特に窒素含有化合物又は硫黄含有化合物を用いることが好ましい。窒素含有化合物としては、例えばベンゾトリアゾール(BTA)、カルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)、トリルトリアゾール(TTA)、N',N'−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア(BTD−U)及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール(ATA)などのトリアゾール系化合物が好ましく用いられる。硫黄含有化合物としては、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、チオシアヌル酸(TCA)および2−ベンズイミダゾールチオール(BIT)などが挙げられる。剥離剤13を施す工程は、あくまでも、後述する剥離工程において、キャリア箔11から負極前駆体2を首尾良く剥離するために行われるものである。従ってこの工程を省いても、多数の微細空隙6を有する集電用表面層4を形成することができる。
次に図2(e)に示すように、剥離剤13を施した上に、集電用表面層4の構成材料を電解めっきによって電析させて集電用表面層4を形成する。形成された集電用表面層4には、先に述べた直径の微細空隙6が、先に述べた存在密度で多数形成されている。なお図2(e)においては、被覆体12の頂点の位置に微細空隙6が形成されているように描かれているが、これは便宜的なものであり、実際には、被覆体12の頂点の位置に必ず微細空隙6が形成される訳ではない。めっき浴やめっき条件は、集電用表面層4の構成材料に応じて適切に選択される。例えば集電用表面層4をNiから構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有するワット浴やスルファミン酸浴を用いることができる。これらのめっき浴を用いる場合の浴温は40〜70℃程度であり、電流密度は0.5〜20A/dm2程度であることが好ましい。
・NiSO4・6H2O 150〜300g/l
・NiCl2・6H2O 30〜60g/l
・H3BO3 30〜40g/l
次に図2(f)に示すように集電用表面層4上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層5を形成する。スラリーは、活物質の粒子、導電性炭素材料や導電性金属材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。これらの成分のうち、結着剤としてはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の量は14〜40重量%程度とすることが好ましい。導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらの成分に希釈溶媒を加えてスラリーを調製する。なお、スラリーを塗布する手法に代えて、先に述べた通り、ガスデポジション法を用いて活物質層を形成してもよい。この手法によれば希釈溶媒を使用せずに活物質層を形成することが可能なので、後の乾燥工程を必要としないという利点がある。乾燥工程は、活物質粒子の酸化、及び結着剤やスラリー希釈溶媒へ影響を及ぼす。従って乾燥工程を必要としないガスデポジション法は、負極への影響を最小限に抑制できるので好ましい手法である。
スラリーの塗膜が乾燥して活物質層5が形成された後、該活物質層5が形成されたキャリア箔11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行う。めっき浴への浸漬によってめっき液が活物質層5内に浸入して、活物質層5と集電用表面層4との界面にまで達し、その状態下に電解めっきが行われる。その結果、(a)活物質層5の内部、及び(b)活物質層5の内面側(即ち集電用表面層4と対向している面側)において、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が析出して、該材料が活物質層5の厚み方向全域に亘って浸透する。このようにして、キャリア箔11上に負極前駆体2が形成される。
電解めっきの条件としては、例えばリチウム化合物の形成能の低い金属材料として銅を用いる場合、硫酸銅系溶液を用いるときには、銅の濃度を30〜100g/l、硫酸の濃度を50〜200g/l、塩素の濃度を30ppm以下とし、液温を30〜80℃、電流密度を1〜100A/dm2とすればよい。ピロ燐酸銅系溶液を用いる場合には、銅の濃度2〜50g/l、ピロ燐酸カリウムの濃度100〜700g/lとし、液温を30〜60℃、pHを8〜12、電流密度を1〜10A/dm2とすればよい。これらの電解条件を適宜調節することで、金属材料が活物質層5の厚み方向全域に亘って浸透する。
このようにしてキャリア箔11上に集電用表面層4と活物質層5とをこの順で備えた負極前駆体2を形成する。これを一対用い、図2(g)に示すように、各負極前駆体2における活物質層5どうしが対向するように、金属リチウム箔14を両負極前駆体2間に挟み込む。それによって金属リチウム箔14と両負極前駆体2とを貼り合わせにより一体化させる。この場合、金属リチウム箔14と両負極前駆体2とを単に重ね合わせて圧着させるだけの操作でこれら三者を貼り合わせることができる。貼り合わせを強固にしたい場合には、導電性ペースト等の導電性接着材料を用いてこれら三者を貼り合わせてもよい。
最後に、図2(h)に示すように、集電用表面層4とキャリア箔11との界面において、負極前駆体2をキャリア箔11から剥離分離する。これによって目的とする負極1が得られる。
このようにして得られた本実施形態の負極は、公知の正極、セパレータ、非水系電解液と共に用いられて非水電解液二次電池となされる。正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。セパレーターとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、リチウム二次電池の場合、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiC1O4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。
次に、本発明の第2〜第5の実施形態について図3〜図6を参照しながら説明する。これらの実施形態に関し、特に説明しない点については、図1に示す負極1に関して詳述した説明が適宜適用される。
図3に示す負極1は、図1に示す負極1の製造方法に関して説明した図2(a)〜(h)に示す工程図において、図2(g)に示す貼り合わせの工程後、貼り合わせ体を所定温度に加熱することによって、金属リチウム箔14からリチウムを活物質の粒子中に熱拡散させて得られたものである。加熱温度は、リチウムが熱拡散するに十分な温度であればよく、具体的には30〜160℃、特に60〜150℃であることが好ましい。
このようにして得られた負極1においては、充電開始前から、活物質の粒子がリチウムを充分に吸蔵した状態になっている。従って、充電時にリチウムを吸蔵することに起因する体積増加を、図1に示す負極1よりも一層軽減することができる。また、活物質の粒子がリチウムを吸蔵することに起因して、金属リチウム箔14(図2(g)参照)の部分に、図1に示す負極1よりも大きな空間が形成される。その結果、活物質粒子の膨張収縮に起因する応力の発生が一層緩和される。
図3においては、負極1に金属リチウム箔14(図2(g)参照)が残存しておらず、活物質粒子7にすべて吸蔵されたように描かれているが、これは便宜的なものであり、金属リチウム箔は負極1内に残存していてもよく、その場合であっても所望の性能を有する負極が得られる。金属リチウム箔が負極1中に残存するか否かは、使用する金属リチウム箔と活物質との相対的な量関係、熱拡散の温度や時間に依存する。充電前に金属リチウム箔の一部が負極1内に残存していたとしても、充放電を繰り返すうちにリチウムが消費されて、その量は次第に減少していく。
図4に示す負極1では、一対の集電用表面層4間に一つの活物質層5及び一つの金属リチウム層3が配置されている。本実施形態の負極1は、二つの活物質層5間に金属リチウム層3が介在配置されている図1に示す実施形態の負極1において、活物質層5を一層のみ用いたものに相当する。
図5に示す負極1は、図1に示す実施形態の負極1に多数の孔9が形成されたものである。孔9は、負極1の各表面において開孔し且つ活物質層5及び各集電用表面層4の厚み方向に延びている。活物質層5においては、孔9の壁面において活物質層5が露出している。孔9の役割は大別して次の2つである。
一つは、孔9の壁面において露出した活物質層5を通じて電解液を活物質層内に供給する役割である。従って、孔9を形成した場合には、集電用表面層4に、先に述べた微細空隙6を形成しなくてもよい。孔9の壁面においては、活物質層5が露出しているが、活物質層内の活物質の粒子7間に、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透しているので、該粒子7が脱落することが防止されている。
もう一つは、充放電に起因して活物質層内の活物質の粒子7が体積変化した場合、その体積変化に起因する応力を緩和する役割である。応力は、主として負極1の平面方向に生ずる。従って、充電によって活物質の粒子7の体積が増加して応力が生じても、その応力は、空間となっている孔9に吸収される。その結果、負極1の著しい変形が効果的に防止される。
孔9の他の役割として、負極内に発生したガスを、その外部に放出できるという役割がある。詳細には、負極中に微量に含まれている水分に起因して、H2、CO、CO2等のガスが発生することがある。これらのガスが負極内に蓄積すると分極が大きくなり、充放電のロスの原因となる。孔9を形成することで、これを通じて前記のガスが負極の外部に放出されるので、該ガスに起因する分極を小さくできる。更に、孔9の他の役割として、負極の放熱の役割がある。詳細には、孔9が形成されることによって負極の比表面積が増大するので、リチウムの吸蔵に伴い発生する熱が負極外部に効率よく放出される。また、活物質の粒子の体積変化に起因して応力が発生すると、それが原因で熱が発生する場合がある。孔9が形成されることで、その応力が緩和されるので、熱の発生自体が抑えられる。
活物質層内に電解液を十分に供給する観点及び活物質の粒子の体積変化に起因する応力を効果的に緩和する観点から、負極1の表面において開孔している孔9の開孔率、即ち孔9の面積の総和を、負極1の表面の見掛けの面積で除して100を乗じた値は0.3〜30%、特に2〜15%であることが好ましい。同様の理由により、負極1の表面において開孔している孔9の開孔径は5〜500μm、特に20〜100μmであることが好ましい。また、孔9のピッチを好ましくは20〜600μm、更に好ましくは45〜400μmに設定することで、活物質層内に電解液を十分に供給でき、また活物質の粒子7の体積変化による応力を効果的に緩和できるようになる。更に、負極1の表面における任意の部分に着目したとき、1cm×1cmの正方形の観察視野内に平均して100〜250000個、特に1000〜40000個、とりわけ5000〜20000個の孔9が開孔していることが好ましい。
孔9は負極1の厚さ方向に貫通していてもよい。しかし、活物質層内に電解液を十分に供給し、また活物質の粒子の体積変化に起因する応力を緩和するという孔9の役割に鑑みると、孔9は負極1の厚さ方向に貫通している必要はなく、負極1の表面において開孔し且つ少なくとも活物質層5にまで達していればよい。
本実施形態の負極1は、図2に示す製造方法に準じて製造できる。詳細には、図2(a)〜図2(f)に示す工程を行い負極前駆体を得る。次いで所定の孔あけ加工によって負極前駆体に孔9を形成する。その後、図2(g)及び(h)に示す工程を行う。孔9の形成方法に特に制限はない。例えばレーザー加工によって孔9を形成することができる。或いは針やポンチによって機械的に穿孔を行うこともできる。両者を比較すると、レーザー加工を用いる方が、サイクル特性及び充放電効率が良好な負極を得やすい。この理由は、レーザ加工の場合、加工によって溶解・再凝固した金属材料が孔9の壁面に存在する活物質粒子の表面を覆うので、活物質が直接露出することが防止され、それによって活物質が孔9の壁面から脱落することが防止されるからである。レーザー加工を用いる場合には、例えば図2(f)に示す工程の後、活物質層5に向けてレーザーを照射すればよい。なお、孔9の他の形成手段として、サンドブラスト加工を用いたり、フォトレジスト技術を利用して孔9を形成することもできる。孔9は、実質的に等間隔に存在するように形成されることが好ましい。そうすることによって、電極全体が均一に反応を起こすことが可能となるからである。
図5に示す負極の変形例として、図6に示す負極1が挙げられる。図6に示す負極においては、金属箔などの導電性箔10の各面に金属リチウム層3が形成されたものが、一対の負極前駆体2によって挟持されている。本実施形態の負極1によれば、図5に示す負極と同様の効果が奏され、それに加えて、導電性箔10によって負極1に一層高い強度が付与されるという効果が奏される。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図3及び図4に示す実施形態の負極に、図5及び図6に示す実施形態の負極に形成されている孔9と同様の孔を形成してもよい。また、図6に示す負極は、これに孔9を形成せずに用いてもよい。
また、前記の各実施形態の負極は、これを単独で用いることも可能であり、或いは複数個を重ねて使用することも可能である。後者の場合、隣り合う負極間に、芯材となる導電性箔(例えば金属箔)を介在配置することも可能である。
また前記の各実施形態においては、集電用表面層4は単層構造であったが、これに代えて、少なくとも一方の表面層を2層以上の多層構造にしても良い。例えば少なくとも一方の表面層をニッケル(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びリチウム化合物の形成能の高い元素からなる下層と、銅(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びリチウム化合物の形成能の高い元素からなる上層の2層構造とすることで、活物質の体積変化に起因する負極の著しい変形を一層効果的に防止することができる。集電用表面層が多層構造である場合、該集電用表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料の少なくとも1種を、活物質層5に浸透したリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異種の材料とすることができる。或いは各集電用表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料のすべてが、活物質層5に浸透したリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異種の材料でもよい。
また集電用表面層の構成材料と、活物質層5中に浸透している材料とが異なる場合には、活物質層5中に浸透している金属材料は、活物質層5と集電用表面層との境界部まで存在していてもよい。或いは、活物質層5中に浸透している金属材料は、当該境界部を越えて集電用表面層の一部を構成していてもよい。逆に、集電用表面層の構成材料が、当該境界部を越えて活物質層5内に存在していてもよい。
また、活物質層5中に、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を析出させる操作を、異なる2種以上のめっき浴を用いて行うことで、活物質層5中に析出される金属材料を、異なる2種以上の多層構造とすることができる。
また図2に示す製造方法においては、活物質層5を活物質の粒子を含む導電性スラリーから形成したが、これに代えて、化学気相蒸着法、物理気相蒸着法、スパッタリング、電解めっきなどの薄膜形成手段を用いて、活物質の薄層からなる活物質層5を形成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
図5に示す負極を製造した。電解によって得られた銅製のキャリア箔(厚さ35μm)を室温で30秒間酸洗浄した。引き続き室温で30秒間純水洗浄した。次いで以下の浴組成を有するすずめっき浴にキャリア箔を浸漬させて電解めっきを行いすずからなる被覆体を形成した。電流密度は2A/dm2、浴温は30℃とした。陽極にはすず電極を用いた。電源は直流電源を用いた。被覆体は20nmの厚さに不均一に形成した。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥後、15分間放置して被覆体の酸化を行った。
・SnSO4 50g/l
・H2SO4 100g/l
・クレゾールスルホン酸 100g/l
被覆体が形成されたキャリア箔を、40℃に保たれた3g/lのCBTA溶液中に30秒間浸漬した。これにより剥離層形成処理を行った。剥離層形成処理後、溶液から引き上げて15秒間純水洗浄した。
次にキャリア箔を、H2SO4/CuSO4系のめっき浴に浸漬させて電解めっきを行った。これによって銅からなる集電用表面層を、キャリア箔における被覆体が形成された面上に形成した。めっき浴の組成は、CuSO4が250g/l、H2SO4が70g/lであった。電流密度は5A/dm2とした。集電用表面層は5μmの厚さに形成した。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥させた。
次に、集電用表面層上に負極活物質の粒子を含むスラリーを膜厚20μmになるように塗布し活物質層を形成した。活物質粒子はSiからなり、平均粒径はD50=2μmであった。スラリーの組成は、活物質:アセチレンブラック:スチレンブタジエンラバー=98:2:1.7であった。
活物質層が形成されたにキャリア箔を、以下の浴組成を有するワット浴に浸漬させ、電解により、活物質層に対してニッケルの浸透めっきを行った。電流密度は5A/dm2、浴温は50℃、pHは5であった。陽極にはニッケル電極を用いた。電源は直流電源を用いた。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥させた。このようにしてキャリア箔に支持された負極前駆体を得た。電子顕微鏡像観察の結果、この負極前駆体における集電用表面層に、微細空隙が多数形成されていることを確認した。
・NiSO4・6H20 250g/l
・NiCl2・6H20 45g/l
・H3BO4 30g/l
負極前駆体に向けてYAGレーザを照射し、該負極前駆体を貫通する孔を規則的に形成した。孔の直径は24μm、ピッチは100μm(10000孔/cm2)、開孔率は4.5%とした。
次に、負極前駆体とは別に用意しておいた厚さ30μmの金属リチウム箔を、一対の負極前駆体で挟み込んだ。挟み込みは、各負極前駆体における活物質層どうしが対向するように行った。これによって各負極前駆体と金属リチウムとを貼り合わせて一体化させた。最後に、キャリア箔と集電用表面層とを剥離して目的とする負極を得た。負極における金属リチウムの量は、負極に含まれる活物質の初期充電理論容量に対して30%であった。
得られた負極を用い、以下の方法で非水電解液二次電池を作製した。この電池の1サイクル後の放電容量、負極厚み変化率、及び100サイクル後の容量維持率を以下の方法で測定、算出した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔非水電解液二次電池の作製〕
実施例及び比較例で得られた負極を作用極とし、対極としてLiCoO2を用いた。対極は、4mAh/cm2となるように、LiCoO2を厚み20μmのAl箔上に塗工して製造した。正極容量と負極容量との比率(前者:後者)は1:2とした。両極を、セパレータを介して対向させた。非水電解液としてLiPF6/エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作製した。
〔1サイクル後の放電容量〕
負極の単位面積当たりの放電容量を測定した。
〔負極厚み変化率〕
宝泉株式会社製HS変位セルを用いて、1サイクルにおける充電に伴う負極の厚み変化を測定した。この変位セルでは、負極+セパレーター+正極LiCoO2の、全体の厚み変化が測定される。しかし、正極は充放電によってほとんど膨張せず、負極の厚み変化の寄与率が大きいので、測定している厚み変化は実質的に負極の厚み変化とみなせる。
〔100サイクル後の容量維持率〕
100サイクル後の放電容量を測定し、その値を最大負極放電容量で除し、100を乗じて算出した。
〔比較例1〕
金属リチウム箔を用いず、一対の負極前駆体を、それらの活物質層どうしが対向するように重ね合わせた以外は実施例1と同様の方法により負極を得た。得られた負極について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006134894
表1に示す結果から明らかなように、実施例1の負極を用いた電池は、放電容量及び容量維持率が高いことが判る。更に、負極厚みの変化率が小さいことが判る。これに対して、リチウム箔を用いない比較例1の負極を用いた電池は、負極厚みの変化率が大きく、また容量維持率が低いことが判る。
〔実施例2〜4及び比較例2〕
本実施例及び比較例では、負極に含まれる金属リチウムの量の違いによる負極の性能の違いを評価した。YAGレーザを用いた孔あけ加工を負極前駆体に施さず、且つ金属リチウムの量を表2に示す値とした以外は実施例1と同様にして負極を作製した。得られた負極は、図1に示す構造を有するものであった(但し比較例1を除く)。電子顕微鏡像観察の結果、集電用表面層に微細空隙が多数形成されていることを確認した。
得られた負極について、1サイクル後の充電容量及び放電容量を測定した。その結果を表2に示す。表2には、1サイクル後の容量可逆性も併せて記載されている。1サイクル後の容量可逆性は、1サイクル後の放電容量を、1サイクル後の充電容量で除し、それに100を乗じた値である。なお、対極には金属リチウムを用いた。従って、対極由来の不可逆容量を含まず、負極由来の不可逆容量を主として見積もることができる。また、対極による容量規制を行わないので、負極の全容量が充放電される。
Figure 2006134894
表2に示す結果から明らかなように、各実施例の負極は、比較例の負極に対して1サイクル後の容量可逆性が大きいことが判る。この理由は、各実施例の負極に含まれる金属リチウムによって、負極の性能に悪影響を及ぼす水分が除去され、また酸素が捕捉されたからであると考えられる。なお、実施例3及び4において、1サイクル後の容量可逆性が100を超えている理由は、予め添加した金属リチウムが、充放電反応に寄与しているためである。
〔実施例5及び6並びに比較例3及び4〕
本実施例及び比較例では、負極に含まれる水分率の違いによる負極の性能の違いを評価した。YAGレーザを用いた孔あけ加工を負極前駆体に施さず、且つ金属リチウムの量をシリコンの初期充電理論容量に対して40%とする以外は実施例1と同様にして負極を作製した。得られた負極は、図1に示す構造を有するものであった。電子顕微鏡像観察の結果、集電用表面層に微細空隙が多数形成されていることを確認した。得られた負極を、160℃の条件下、真空チャンバ内で1週間乾燥させて、水分率を390ppmとした(実施例5)。また、得られた負極を、160℃の条件下、真空チャンバ内で3時間乾燥させて、水分率を870ppmとした(実施例6)。
実施例5及び6とは別に、比較例2で得られた負極を、160℃の条件下、真空チャンバ内で1週間乾燥させて、水分率を390ppmとした(比較例3)。また、得られた負極を、160℃の条件下、真空チャンバ内で3時間乾燥させて、水分率を870ppmとした(比較例4)。
得られた負極を用いて電池を作製し、サイクル特性を測定した。結果を図7及び図8に示す。なお、実施例5については100サイクルまで測定を行った。その他は50サイクルまで測定を行った。電池における対極としては、LiCoO2を、厚み20μmのAl箔上に塗工したものを用いた。非水電解液としては、LiPF6/エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合液(1:1容量比)を用いた。充放電条件は、次の通りである。
・初回充電:定電流・定電圧モード、電流密度0.4mA/cm2、カットオフ4.15V、0.04mA/cm2
・2サイクル目以降充電:定電流モード、電流密度1.0mA/cm2、カットオフ3.95V
・初回放電:定電流・定電圧モード、電流密度0.4mA/cm2、カットオフ2.7V
・2サイクル目以降放電:定電流モード、電流密度1.0mA/cm2、カットオフ2.7V
図7及び図8に示す結果から明らかなように、各実施例の負極は、充放電を繰り返した後も容量の低下が観察されないことが判る。これに対して各比較例の負極は、充放電の繰り返しによって次第に容量が低下していくことが判る。
〔実施例7及び比較例5〕
本実施例及び比較例では、負極に含まれる酸素の量の違いによる負極の性能の違いを評価した。実施例5で得られた負極(水分率390ppm)を、大気中での熱処理によって酸化させ、酸素濃度を4000ppmとした(実施例7)。また、比較例4で得られた負極を更に乾燥させて水分率を390ppmとした後に、大気中での熱処理によって酸化させ、酸素濃度を4000ppmとした(比較例5)。
実施例7及び比較例5で得られた負極の充放電特性を評価した。その結果を図9(a)に示す。図9(b)は、図9(a)における充放電曲線の立ち上がり部を拡大して示す図である。図9(a)及び図9(b)に示す結果、特に図9(b)に示す結果から明らかなように、比較例5の負極では、酸化された負極に特有のショルダー部が観察されるのに対し、実施例7の負極では、該ショルダー部が消失していることが判る。この理由は、実施例7の負極では、それに含まれている金属リチウムが酸素を捕捉したからであると考えられる。
図1は、本発明の負極の一実施形態の構造を示す模式図である。 図2(a)〜図2(h)は、図1に示す負極を製造する方法を示す工程図である。 図3は、本発明の負極の第2の実施形態の構造を示す模式図である。 図4は、本発明の負極の第3の実施形態の構造を示す模式図である。 図5は、本発明の負極の第4の実施形態の構造を示す模式図である。 図6は、本発明の負極の第5の実施形態の構造を示す模式図である。 図7は、実施例5及び6で得られた負極を用いた電池の充放電特性を示すグラフである。 図8は、比較例3及び4で得られた負極を用いた電池の充放電特性を示すグラフである。 図9は、実施例7及び比較例5で得られた負極を用いた電池の充放電特性を示すグラフである。
符号の説明
1 非水電解液二次電池用負極
2 負極前駆体
3 金属リチウム層
4 集電用表面層
5 活物質層
6 微細空隙
7 活物質の粒子
9 孔

Claims (14)

  1. 一対の集電用表面層間に活物質層及び金属リチウム層を有することを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 前記集電用表面層と、該集電用表面層の一面に配された前記活物質層とを備えた二つの負極前駆体を有し、
    各負極前駆体における前記活物質層どうしが対向し且つ前記集電用表面層が外方を向くように、前記金属リチウム層が両負極前駆体間に挟持されている請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  3. 少なくとも一方の前記集電用表面層に、その表面において開孔していると共にその厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されている請求項1又は2記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 前記微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%である請求項3記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 前記活物質層においては、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が該活物質層の厚み方向全域に亘って浸透しており、負極全体が一体として集電機能を有している請求項1ないし4の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 前記活物質層が、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して形成されている請求項1ないし5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 前記活物質層が、薄膜形成手段によって形成されたリチウム化合物の形成能の高い活物質の薄層からなる請求項1ないし5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 前記集電用表面層が、電解めっきによって形成されている請求項1ないし7の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 前記集電用表面層がリチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる請求項1ないし8の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  10. 請求項2記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法であって、
    キャリア箔上に電解めっきによって集電用表面層を形成し、
    該集電用表面層上に活物質層を形成して、該キャリア箔上に該集電用表面層と該活物質層とをこの順で備えた負極前駆体を形成し、
    各負極前駆体における前記活物質層どうしが対向するように、金属リチウム箔を両負極前駆体間に挟み込んで、該金属リチウム箔と両負極前駆体とを貼り合わせにより一体化させ、然る後、
    前記キャリア箔を各負極前駆体から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
  11. リチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる一対の集電用表面層間に活物質層を有し、
    少なくとも一方の前記集電用表面層には、その表面において開孔していると共にその厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
    前記活物質層が、リチウムを吸蔵したリチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含み、また該活物質層においては、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が該活物質層の
    厚み方向全域に亘って浸透しており、
    芯材としての導電性金属箔層を備えていないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  12. 前記微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%である請求項11記載の非水電解液二次電池用負極。
  13. 前記集電用表面層が、電解めっきによって形成されている請求項11又は12記載の非水電解液二次電池用負極。
  14. 請求項12記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法であって、
    キャリア箔上に電解めっきによって集電用表面層を形成し、
    該集電用表面層上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成して、該キャリア箔上に該集電用表面層と該活物質層とをこの順で備えた負極前駆体を形成し、
    各負極前駆体における前記活物質層どうしが対向するように、金属リチウム箔を両負極前駆体間に挟み込んで、該金属リチウム箔と両負極前駆体とを貼り合わせにより一体化させ、
    リチウムが熱拡散するに十分な温度に加熱して、前記金属リチウム箔からリチウムを前記活物質層へ拡散させ、然る後、
    前記キャリア箔を各負極前駆体から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
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