(実装構造体、電気光学装置及びその製造方法の第1実施形態)
以下、本発明を電気光学装置の一例である液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、これ以降に説明する実施形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素をわかり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示している。
図1は、本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を示している。また、図2は、図1における1つの表示ドット近傍を拡大して示している。ここに挙げられた液晶表示装置は、2端子型のスイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode)素子を用いたアクティブマトリクス方式であって、半透過反射型の液晶表示装置である。
図1において、本実施形態の液晶表示装置1は、液晶パネル2と、この液晶パネル2に実装された半導体要素としての駆動用IC3と、照明装置4とを有する。照明装置4は、矢印Aが描かれている観察側から見て液晶パネル2の背面側に配設されてバックライトとして機能する。照明装置4は、液晶パネル2の観察側に配設してフロントライトとして機能させても良い。
照明装置4は、LED(Light Emitting Diode)等といった点状光源や、冷陰極管等といった線状光源等によって構成された光源6と、透光性の樹脂によって形成された導光体7とを有する。観察側から見て導光体7の背面側には、必要に応じて、光反射層8が設けられる。また、導光体7の観察側には、必要に応じて、光拡散層9が設けられる。導光体7の光入射面7aは図1の紙面垂直方向に延びており、光源6から発生した光はこの光入射面7aを通して導光体7の内部へ導入される。
液晶パネル2は、素子基板11とカラーフィルタ基板12とをシール材13で貼り合わせることによって形成される。シール材13は、矢印A方向から見て正方形又は長方形、すなわち方形の環状に形成されている。素子基板11とカラーフィルタ基板12との間に形成されたセルギャップG(図2参照)内には電気光学物質としての液晶、例えばTN液晶が封入されて液晶層14が形成されている。
図1において、素子基板11は第1の透光性の基板11aを有する。この第1透光性基板11aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成されており、その1辺がカラーフィルタ基板12の外側へ張り出して張出し部17を形成している。この張出し部17上には、駆動用IC3がACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)5を用いて実装される。
第1透光性基板11aの外側表面には、位相差板15a及び偏光板16aが貼着等によって装着される。他方、第1透光性基板11aの内側表面には、図2に示すように、ライン配線18が形成される。このライン配線18は図2の左右方向に延びている。そして、スイッチング素子として機能する非線形抵抗素子である複数のTFD素子19がそのライン配線18に接続して形成される。さらに、それらのTFD素子19およびライン配線18を覆うように絶縁層としてのオーバーレイヤ21が形成され、このオーバーレイヤ21上に複数のドット電極28aが形成される。ドット電極28aは、例えばITO等といった金属酸化物によって形成される。
各ドット電極28aの間には複数のフォトスペーサ20が形成される。このフォトスペーサ20は、例えば、感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成する。フォトスペーサ20は、立った状態の円柱形状に形成されており、セルギャップGが均一な寸法を維持するように機能する。また、フォトスペーサ20はギャップ材と呼ばれることがある。
フォトスペーサ20およびドット電極28aの上には配向膜29aが形成される。この配向膜29aは、例えばポリイミド等によって形成される。配向膜29aには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、素子基板11の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
図3に示すように、オーバーレイヤ21は、例えばアクリル樹脂等の透光性を有した絶縁材料によってライン配線18およびTFD素子19を覆うように形成される。このオーバーレイヤ21上にはドット電極28aが形成されている。このオーバーレイヤ21には、ドット電極28aとTFD素子19とを電気的に接続するためのコンタクトホール22が形成される。このコンタクトホール22は、TFD素子19とは重ならない位置であって、ドット電極28aと平面的に重なる位置に形成する。また、TFD素子19は、2つのTFD要素である第1TFD要素19aと第2TFD要素19bとを直列に接続することによって、いわゆるバック・ツー・バック(Back-to-Back)構造として形成されている。
TFD素子19は、例えば次のようにして形成される。すなわち、まず、Ta(タンタル)またはTa合金によってライン配線18の第1層31及びTFD素子19の第1電極34を形成する。次に、陽極酸化処理によってライン配線18の第2層32及びTFD素子19の絶縁膜35を形成する。次に、例えばCrによってライン配線18の第3層33及びTFD素子19の第2電極36を形成する。そして、このように形成したTFD素子19を覆うようにオーバーレイヤ21を形成する。
第1TFD要素19aの第2電極36はライン配線18の第3層33から延びている。
オーバーレイヤ21を、例えばフォトリソグラフィ処理によって形成する際、コンタクトホール22を第2TFD要素19bの第2電極36の先端の直上に形成する。そして、オーバーレイヤ21を挟んでTFD素子19の反対側にドット電極28aが形成され、コンタクトホール22を通してドット電極28aと第2電極36とが導通する。
上記のように、ドット電極28aの下にオーバーレイヤ21を設けることにより、ドット電極28aの層とTFD素子19の層とを別の層に分けている。この構造は、ドット電極28aとTFD素子19とを同じ層に形成する構造に比べて、図1の素子基板11上の表面を有効に活用できる。例えば、ドット電極28aの面積、すなわち画素面積を大きくすることができるので、液晶表示装置1において表示を見やすくできる。
なお、図3の第1電極34等が第1透光性基板11aから剥れることを防止したり、第1透光性基板11aから第1電極34等へ不純物が拡散しないようにする等のために、TFD素子19と第1透光性基板11aとの間及びライン配線18と第1透光性基板11aとの間に下地層37を設けることもできる。
図1において、素子基板11に対向するカラーフィルタ基板12は、観察側から見て長方形又は正方形の第2の透光性の基板12aを有する。この第2透光性基板12aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、この第2透光性基板12aの外側表面には、位相差板15b及び偏光板16bが、それぞれ、貼着等によって装着される。
図2において、第2透光性基板12aの内側表面には、樹脂層23が形成され、その上に反射層24が形成され、その上に複数の着色要素25およびそれらを取り囲む遮光部材26が形成され、その上にオーバーコート層27が形成され、その上に紙面垂直方向へ直線的に延びる複数の帯状電極28bが形成され、さらにその上に配向膜29bが形成される。配向膜29bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、カラーフィルタ基板12の近傍における液晶分子の初期配向が決められる。
上記の樹脂層23の表面には凹凸形状が形成されている。このため、その樹脂層23上に積層された反射層24は同じ凹凸形状を有する。この凹凸形状により、反射層24で反射する光は拡散する。この反射層24は、例えば、Al(アルミニウム)、Al合金等によって形成される。なお、樹脂層23の表面に形成する凹凸形状を滑らかにしたい場合には、樹脂層23を第1層及び第2層の2層構造によって形成し、第1層の表面に粗い凹凸形状を形成し、そしてその上に第2層を積層して凹凸形状を滑らかにするという方法を用いることもできる。
着色要素25は、例えば、1つ1つが矢印A方向から見て長方形のドット状に形成され、1つの着色要素25は、B(青)、G(緑)、R(赤)の3原色のいずれか1つの光を通す材料によって形成されている。これら各色の着色要素25は、矢印A方向から見てストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列、その他適宜の配列となるように並べられている。なお、着色要素25は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色によって形成することもできる。
遮光部材26は、例えばCr(クロム)等といった遮光性の材料によって、複数の着色要素25の間を埋める状態に形成される。この遮光部材26は、ブラックマスクとして機能して着色要素25を透過した光によって表示される像のコントラストを向上させる。なお、遮光部材26は、Cr等といった特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色要素25を構成するB,G,Rの各着色要素を重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
オーバーコート層27は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性の樹脂によって形成される。図2の紙面垂直方向に帯状に延びる複数の電極28bは、例えばITO等といった金属酸化物によって形成される。また、その上に形成された配向膜29bは、例えばポリイミド等によって形成される。
図4は、図1の液晶表示装置1を矢印A方向から見た場合であって、第1透光性基板11aの図示を省略した状態の液晶表示装置1の平面構造を示している。なお、図4は、主に電極及び配線を示しており、それ以外の要素は図示を省略している。
図4に示すように、素子基板11に設けられる複数の直線状のライン配線18は全体としてストライプ状に設けられている。また、複数のTFD素子19は個々のライン配線18に適宜の間隔をおいて接続され、それらのTFD素子19にドット電極28aが接続されている。図4では、ライン配線18を少ない本数で模式的に描いてあるが、実際には多数本、例えば240本程度が形成される。
また、TFD素子19及びドット電極28aはシール材13の四隅部分に対応するものだけを部分的に示してあるが、実際には、シール材13によって囲まれる領域内の全域に設けられる。また、TFD素子19及びドット電極28aは、模式的に大きく描かれているため、数が少ないように描かれているが、実際には図4の縦方向、すなわち上下方向の1列に、それぞれ、例えば320個程度形成されている。つまり、ドット電極28aは、例えば、縦×横=320×240個の数だけ設けられている。
図1において素子基板11に対向するカラーフィルタ基板12に設けられる複数の帯状電極28bは、図4に示すように、全体としてストライプ状に形成されている。これらの帯状電極28bは、カラーフィルタ基板12と素子基板11とをシール材13によって貼り合わせたとき、ライン配線18に対して直角の方向に延び、さらに、横列を成す複数のドット電極28aに平面的に重なり合う。このように、帯状電極28bとドット電極28aとが重なり合う領域が、表示の最小単位である表示ドット領域を構成する。この表示ドット領域は図1および図2において符号Dで示す領域である。複数の表示ドット領域Dが縦方向及び横方向に複数個、マトリクス状に並べられた領域が表示領域Vである。この表示領域Vに文字、数字、図形等といった像が表示される。
図2において、反射層24には個々の表示ドット領域Dに対応して開口38が設けられる。これらの開口38は、観察側から平面的に見て長方形状に形成されている。個々の表示ドット領域Dの中で反射層24が設けられた部分Rが反射部であり、開口38が形成された部分Tが透過部である。観察側から入射した外部光、すなわち素子基板11側から入射した外部光Loは、反射部Rで反射する。一方、図1の照明装置4の導光体7から出射した光Lsは、透過部Tを透過する。
また、本実施形態のように、B,G,Rの3色から成る着色要素25を用いてカラー表示を行う場合は、B,G,Rの3色に対応する3つの着色要素25に対応する3つの表示ドット領域Dによって1つの画素が形成される。他方、白黒又は任意の1色でモノカラー表示を行う場合は、1つの表示ドット領域Dによって1つの画素が形成される。
図4において、素子基板11を構成する第1透光性基板11aの張出し部17上に実装される駆動用IC3は、走査信号を出力する駆動用IC3と、データ信号を出力する駆動用IC3とによって構成されている。第1透光性基板11aの第1辺11cすなわち入力側の辺には外部接続用端子39が形成され、これらの端子39は駆動用IC3及び3bの入力用端子につながる。
外部接続用端子39には、図示しない配線基板、例えば可撓性配線基板が、ハンダ付け、ACF、ヒートシール等といった導電接続手法によって接続される。この配線基板を介して、電子機器、例えば携帯電話機、携帯情報端末機から液晶表示装置1へ信号、電力等が供給される。
また、この第1辺11cに隣接する2つの辺11d及び11eの近傍に、それらの辺に沿って複数の配線45が形成されている。これらの配線45は、駆動用IC3に備えられた要素側端子としての出力用端子から出てシール材13を横切り、さらに、第1辺11cに対向する第2辺11fへ向かって延びている連続した配線である。これらの配線45は、シール材13の中に含まれる導通材46を介してカラーフィルタ基板12の帯状電極28bに接続している。また、素子基板11上に形成されたライン配線18は、シール材13を横切って駆動用IC3の実装領域Qまで延びている。
図5は、図4の液晶表示装置1の電気的な等価回路を示している。図5において、複数本の走査線41が行方向Xに延びるように形成され、さらに、複数本のデータ線42が列方向Yに延びるように形成されている。走査線41は図4の帯状電極28bによって実現され、データ線42は図4のライン配線18によって実現される。表示用ドット領域Dは走査線41とデータ線42との各交差部分に形成される。各表示用ドット領域Dにおいては、液晶層14と、TFD素子19とが直列に接続されている。
本実施形態では、液晶層14が走査線41の側に接続され、TFD素子19がデータ線42の側に接続されている。各走査線41は、走査線駆動回路43によって駆動される。一方、各データ線42は、データ線駆動回路44によって駆動される。走査線駆動回路43およびデータ線駆動回路44は、図4の駆動用IC3によって構成される。本実施形態では、図4に示すように、駆動用IC3を3個設置している。そして、3個の駆動用IC3のうちの1個を図5のデータ線駆動回路44に割り当て、他の2個を走査線駆動回路43に割り当てている。これに代えて、1個の駆動用ICによって走査線駆動回路43およびデータ線駆動回路44の両駆動回路を賄うこともできる。
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、図1において、液晶表示装置1が明るい室外や明るい室内に置かれる場合は、太陽光や室内光等といった外部光を用いて反射型の表示が行われる。一方、液晶表示装置1が暗い室外や暗い室内に置かれる場合は、照明装置4をバックライトとして用いて透過型の表示が行われる。
反射型表示を行う場合、図2において、観察側である矢印Aの方向から素子基板11を通して液晶パネル2内へ入射した外部光Loは、液晶層14を通過してカラーフィルタ基板12内へ入った後、反射部Rにおいて反射層24で反射して再び液晶層14へ供給される。他方、透過型表示を行う場合、図1の照明装置4の光源6が点灯し、それからの光が導光体7の光入射面7aから導光体7へ導入され、さらに、光出射面7bから面状の光として出射する。この出射光は、図2の符号Lsで示すように透過部Tにおいて開口38を通って液晶層14へ供給される。
以上のようにして液晶層14へ光が供給される間、素子基板11側のドット電極28aとカラーフィルタ基板12側の帯状電極28bとの間には、走査信号およびデータ信号によって特定される所定の電圧が印加され、これにより、液晶層14内の液晶分子の配向がTN構造と垂直配向との間で表示用ドット領域Dごとに制御され、この結果、液晶層14に供給された光が表示用ドット領域Dごとに変調される。この変調された光が、素子基板11側の偏光板16a(図1参照)を通過するとき、その偏光板16aの偏光特性に従って表示用ドット領域Dごとに通過を許容または通過を阻止され、これにより、素子基板11の表面に文字、数字、図形等といった像が表示され、これが、矢印A方向から視認される。
以下、本実施形態における液晶表示装置で用いる実装構造体について詳しく説明する。図6は、図4に示す第1透光性基板11aの張出し部17上における駆動用IC3の実装領域Qの近傍を示している。図6(a)は図1の観察側の反対側から平面的に見た図である。なお、図6(a)は、主に第1透光性基板11aの張出し部17上に形成された配線および端子を示しており、ACF5を破線で示し、駆動用IC3を鎖線で示している。また、図6(b)は、実装構造部分を図4の辺11c側から見た側面図である。また、駆動用IC3の実装構造をわかり易く示すためにACF5を破線で示している。ここで、図6(a)および図6(b)では、張出し部17上に実装された1つの駆動用IC3についての実装領域Qの構造を例示している。また、図7は、図6(a)に示すガイド部材47のうちの1つの近傍を示している。
図6(a)に示すように、それぞれの外部接続用端子39から駆動用IC3の実装領域Qの中へ延びた先端部分には、基板側端子としての端子48が形成される。また、それぞれの配線45の先端部分にも基板側端子としての端子48が形成される。そして駆動用IC3は、要素側端子としての複数のバンプ49を有する。図6(b)に示すように、駆動用IC3を張出し部17上に実装する場合、端子48とバンプ49とが、ACF5に含まれる導電粒子5aによって互いに接続される。
図6(a)において、張出し部17上には複数、本実施形態では4つのガイド部材47が設けられている。これらのガイド部材47は、位置的にみて、駆動用IC3が実装された状態のときにその駆動用IC3の四隅に対応して設けられている。また、これらのガイド部材47は、実装領域Q内に2列にわたって設けられた複数の端子48のうちの四隅に位置する4つの端子48のそれぞれの外側に位置するように設けられている。また、これらのガイド部材47は、それぞれが、複数の端子48を囲むようなL字形状に形成されている。
図7に示すように、L字形に形成されたガイド部材47において、配線45が延びる方向にある1辺部分47aの幅をW0とする。また、バンプ49において、配線45が延びる方向の幅をW1とする。本実施形態において、配線45が延びる方向にあるガイド部材47の1辺部分47aの幅W0は、バンプ49の幅W1の50%以上の幅に形成されている。
また、ガイド部材47は図6(b)に示すように、張出し部17上の端子48の高さより高く形成されている。そしてさらに、ガイド部材47は、端子48とバンプ49とがACF5の導通粒子5aを挟んで接触している状態でバンプ49まで届く高さ以上に形成されることが望ましい。このガイド部材47は、例えばアクリル樹脂等の絶縁材料によって形成できる。
上記のように、ACF5を用いて駆動用IC3を張出し部17上に実装する場合には、例えばボンディングツールを含んだ圧着機械を用いて熱圧着が行われる。具体的には、張出し部17上に予めACF5を貼り付けておき、そして、圧着機械によって、張出し部17上のIC実装領域Qに合わせて駆動用IC3を載置する。その後、圧着機械はACF5を加熱しながら駆動用IC3所定の圧力で張出し部17に押圧する。
ところで、駆動用IC3を第1透光性基板11a上の実装領域Qに載置する場合には、
駆動用IC3と第1透光性基板11aとのそれぞれに設けた位置決め用のマークを利用することがある。例えば、駆動用IC3のマークを基準にして駆動用IC3の位置を確認し、第1透光性基板11a側のマークを基準にして第1透光性基板11aの位置を確認し、確認したそれらの位置に基づいて第1透光性基板11aと駆動用IC3の位置合わせを行っている。このような場合には、位置決め精度のバラツキ等によって駆動用IC3の位置ずれが生じるおそれがあった。
このことに関し、本実施形態では、図6(a)および図6(b)に示したように、張出し部17のIC実装領域Qにガイド部材47を設けた。これらのガイド部材47は、駆動用IC3を第1透光性基板11aに圧着する際、駆動用IC3が圧着機械によって押圧されたときに、駆動用IC3のバンプ49を第1透光性基板11aの端子48に導くことができる。これにより、バンプ49は端子48に対する所定位置に位置ずれすることなく配置される。こうして、圧着ずれを生じることなく駆動用IC3を第1透光性基板11a上の実装領域に正確に実装できる。
また、図6(b)に示すように、ガイド部材47の高さは端子48の高さより高くなっている。こうすれば、駆動用IC3を第1透光性基板11aに圧着する際、バンプ49は端子48に接触するより前にガイド部材47によって端子48へ向けてガイドされる。従って、ガイド部材47はその機能を確実に果たすことができる。
また、図7に示すように、ガイド部材47の配線45と平行の方向の線状の一辺部分47aの幅W0はバンプ49の縦方向の幅W1の50%以上に形成した。駆動用IC3を第1透光性基板11aに圧着する際、仮に駆動用IC3の位置が第1透光性基板11aの実装領域に対してずれる場合であっても、実装工程における許容寸法誤差を考慮すれば、そのずれ量はバンプ49の幅W1の50%以上になることはないと考えられる。このため、ガイド部材47の幅W0がバンプ49の幅W1に対して50%以上であれば、ガイド部材47はバンプ49を確実にガイドすることができる。
また、ガイド部材47は、図6(a)および図6(b)に示すように、複数の端子48のうちの四隅にある端子48のそれぞれの外側に複数の端子48を囲むL字形状に形成されている。これにより、駆動用IC3を第1透光性基板11a上に実装する際、駆動用IC3の一辺部分と平行の方向、例えば図6(a)のX方向に関して駆動用IC3をガイドできる。また、前記一辺部分に直交する方向、例えば図6(a)のY方向に関しても駆動用IC3をガイドできる。また、駆動用IC3が回転する方向、例えば図6(a)のθ方向に関しても駆動用IC3をガイドできる。これにより、バンプ49は、端子48に対して位置がずれることなく配置され、導電粒子5aを介して確実に端子48に接触できる。つまり、圧着ずれを生じることなく第1透光性基板11a上の実装領域Qに駆動用IC3を正確に実装できる。
また、ガイド部材47は、例えばアクリル樹脂等の絶縁材料で形成される。特に、本実施形態では、このアクリル樹脂は、図3のオーバーレイヤ21を形成する材料と同じである。つまり、素子基板11上にオーバーレイヤ21を形成する際に、図6のガイド部材47を同時に形成することができる。このように、ガイド部材47とオーバーレイヤ21とを同時に形成すれば、新たに製造工程を増やすことなくガイド部材47を設けることができる。
次に、図10を用いて、図1の液晶表示装置1を製造するための製造方法について説明する。図10の工程P1〜工程P7に至る工程は図1の素子基板11を形成する工程である。また、工程P11〜工程P18に至る工程は図1のカラーフィルタ基板12を形成する工程である。また、工程P21〜工程P29に至る工程はそれらの基板を貼り合わせて製品である液晶表示装置を形成する工程である。
なお、本実施形態では、図1に示す素子基板11およびカラーフィルタ基板12を1つずつ形成するのではなく、素子基板11に関しては、複数の素子基板11を形成できる大きさの面積を有する素子側マザー透光性基板の上に素子基板11の複数個分の要素を同時に形成するものとする。また、カラーフィルタ基板12に関しては、複数のカラーフィルタ基板12を形成できる大きさの面積を有するカラーフィルタ側マザー透光性基板の上にカラーフィルタ基板12の複数個分の要素を同時に形成するものとする。素子側マザー透光性基板およびカラーフィルタ側マザー透光性基板は、例えば、透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成される。
まず、図10の工程P1において、素子側マザー透光性基板の表面にスイッチング素子である図3のTFD素子19、図4の配線18、配線45、および図6の端子48を同時に形成する。なお、配線18および配線45の第1層31は、TFD素子19の第1電極34と同時に、例えばTaによって形成する。また、配線18および配線45の第2層32は、陽極酸化処理によってTFD素子19の絶縁膜35と同時に形成する。また、配線18および配線45の第3層33は、TFD素子19の第2電極36と同時に、例えばCrによって形成する。
次に、工程P2において、絶縁層である図3のオーバーレイヤ21を、ポジ型感光性樹脂材料によって第1透光性基板11a上に形成し、同時に、図6のガイド部材47を同じ材料によって形成する。このとき、図3のオーバーレイヤ21の適所にコンタクトホール22も形成される。次に、工程P3において、図3のドット電極28aをITOを材料としてフォトエッチング処理、すなわち、フォトリソグラフィ処理とエッチング処理との組み合せから成る処理によって形成する。このとき、コンタクトホール22においてドット電極28aとTFD素子19の第2電極36との導通がとられる。
次に、工程P4において、図2のフォトスペーサ20が、例えば、ネガ型感光性樹脂材料を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成され、さらに工程P5において図2の配向膜29aが、例えばポリイミドを印刷することによって形成される。次に、工程P6において、配向膜29aにラビング処理が施され、さらに工程P7において、図1のシール材13が、例えばエポキシ系樹脂を印刷することによって形成される。以上により、素子側マザー透光性基板の上に素子基板11の複数個分の要素が形成されて大面積の素子側マザー基板が形成される。
次に図10の工程P11において、カラーフィルタ側マザー透光性基板の表面上に図2の樹脂層23を、例えば感光性レジスト材料を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。この処理の際に、平面内でランダムに分布する多数の窪みまたは突起によって形成される凹凸パターンが樹脂層23の表面に形成される。
次に、図10の工程P12において、図2の反射層24を、例えばAlやAl合金等を材料としてフォトエッチング処理によって形成する。このとき、表示用ドット領域Dごとに開口38を形成することにより、光反射部Rと透光部Tを形成する。樹脂層23の表面には凹凸パターンが形成されているので、その上に積層された反射層2にも同じ凹凸パターンが形成され、その反射層24に光が当たって反射する場合には、その反射光は散乱光となる。
次に、工程P13において、図2の遮光部材26を、例えばCrを材料としてフォトエッチング処理によって所定のパターン(例えば、複数の表示用ドット領域Dの周りを埋めるような格子状パターン)に形成する。次に、工程P14において、図2の着色要素25を形成する。着色要素25については、B,G,Rの各色ごとに順々に形成する。例えば、各色の顔料や染料を感光性樹脂に分散させて成る着色材料をフォトリソグラフィ処理によって所定の配列に形成する。次に、工程P15において、図2のオーバーコート層27を、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。
次に、図10の工程P16において、図2の帯状電極28bをITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成し、さらに工程P17において図2の配向膜29bを形成し、さらに工程P18において、配向処理としてのラビング処理を行う。以上により、カラーフィルタ側マザー透光性基板の上にカラーフィルタ基板12の複数個分の要素が形成されて大面積のカラーフィルタ側マザー基板が形成される。
その後、図10の工程P21において、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とを貼り合わせる。これにより、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とが個々の液晶表示装置の領域において図1のシール材13を挟んで貼り合わされた構造の大面積のパネル構造体が形成される。
次に、以上のようにして形成された大面積のパネル構造体に含まれるシール材13を、工程P22において熱硬化または紫外線硬化によって硬化させて両マザー基板を接着して大面積のパネル構造体を形成する。次に、工程P23において、そのパネル構造体を1次切断、すなわち1次ブレイクして、図1の液晶パネル2の複数が1列に並んだ状態で含まれる中面積のパネル構造体、いわゆる短冊状のパネル構造体を複数形成する。シール材13には予め適所に開口が形成されており、上記の1次ブレイクによって短冊状のパネル構造体が形成されると、そのシール材13の開口が外部に露出する。
次に、図10の工程P24において、上記のシール材13の開口を通して各液晶パネル部分の内部へ液晶を注入し、その注入の完了後、その開口を樹脂によって封止する。次に工程P25において、2回目の切断、すなわち2次ブレイクを行い、短冊状のパネル構造体から図1に示す個々の液晶パネル2を切り出す。
次に、図10の工程26において、図1の駆動用IC3を実装するための仮圧着を行う。この仮圧着は、駆動用IC3を基板上に確実に固定する前の段階である。ここでは、アライメント装置で駆動用IC3の基板に対する位置決めを行った後に、次の工程で行う本圧着に比べて弱い圧着力および低い温度で圧着を行う。次に、図10の工程P27において、図1の駆動用IC3を実装するための本圧着を行う。この本圧着は、駆動用IC3を基板上に最終的に固定するために必要な圧着力と温度で圧着を行う。
本実施形態において、仮圧着は、温度40度〜50度、押圧時間2秒〜3秒、押圧力100gf〜450gfの条件で行われる。また、本圧着は、温度250度〜270度、押圧時間10秒、押圧力6kgf〜9kgfの条件で行われる。なお、本圧着における押圧力は、圧着する駆動用IC3の大きさ、または圧着する駆動用IC3のバンプ49の大きさによって異なる。これにより、駆動用IC3が備える複数のバンプ49の1個あたりの押圧力を等しくすることができる。
次に、工程P28において、図1の液晶パネル2に位相差板15a,15bおよび偏光板16a,16bを貼着によって装着する。さらに工程P29において、図1の照明装置4を液晶パネル2に取付ける。これにより、液晶表示装置1が完成する。
以上のように、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法においては、図10の工程P2において図6のガイド部材47を形成した。これにより、図10の工程P27のICを本圧着する工程において、図6の駆動用IC3が第1透光性基板11aに押圧されたときに、バンプ49を端子48に導くことができる。その結果、バンプ49は、端子48に対して位置がずれることなく所定の位置に常に正確に配置され、導電粒子5aを介して確実に端子48に接触できる。つまり、圧着ずれを生じることなく第1透光性基板11a上の実装領域Qに駆動用IC3を正確に実装できる。
また、図10の工程P2において、図6のガイド部材47と図2のオーバーレイヤ21とを同時に形成した。これにより、新たに工程を増やすことなく図6のガイド部材47を設けることができる。
(実装構造体、電気光学装置及びその製造方法の第2実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置及びその製造方法を、スイッチング素子としてアモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)素子を用いるアクティブマトリクス方式であって、透過型であって、さらにカラー表示が可能である液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。また、図1に示した液晶表示装置1で用いられる要素と同じ要素については、説明の重複を避けるために詳しい説明を省略する。
図11において、本実施形態の液晶表示装置51は、液晶パネル52と、この液晶パネル52に実装された半導体要素としての駆動用IC53と、照明装置54とを有する。照明装置54は、矢印Aが描かれている観察側から見て液晶パネル52の背面側に配設されてバックライトとして機能する。
照明装置54は、LED等といった点状光源や、冷陰極管等といった線状光源等によって構成された光源56と、透光性の樹脂によって形成された導光体57とを有する。観察側から見て導光体57の背面側には、必要に応じて、反射層58が設けられる。また、導光体57の観察側には、必要に応じて、拡散層59が設けられる。導光体57の光入射面57aは図11の紙面垂直方向に延びており、光源56から発生した光はこの光入射面57aを通して導光体57の内部へ導入される。照明装置54は、矢印Aが描かれている観察側から見て液晶パネル52の背面側に配設されてバックライトとして機能する。
液晶パネル52は、素子基板61とカラーフィルタ基板62とをシール材63で貼り合わせることによって形成される。シール材63は、矢印A方向から見て正方形又は長方形、すなわち方形の環状に形成されている。素子基板61とカラーフィルタ基板62との間に形成されたセルギャップ内には電気光学物質としての液晶、例えばTN液晶が封入されて液晶層64が形成されている。セルギャップは、例えば円柱形状を有したフォトスペーサ70によって一定の間隔に保持される。
素子基板61は観察側から見て長方形または正方形の第1の透光性の基板61aを有する。この第1透光性基板61aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、この第1透光性基板61aの外側表面には、位相差板65aおよび偏光板66aが、それぞれ、貼着等によって装着される。
第1透光性基板61aの内側表面には、アクティブ素子又はスイッチング素子又は非線形抵抗素子としてのTFT素子69が複数個設けられ、さらに、個々のTFT素子69にドット電極73aが付設される。複数のドット電極73aは、例えばITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成され、観察側から見てドットマトリクス状に並ぶ。
TFT素子69及びドット電極73aの上には配向膜79aが形成される。そして、この配向膜79aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜79aの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。配向膜79aは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。
本実施形態で用いるTFT素子69はアモルファスシリコンTFTであり、このTFT素子69は、図12に示すように、ゲート電極86、ゲート絶縁膜87、a−Si(アモルファスシリコン)等によって形成された半導体層88、ソース電極89、そしてドレイン電極85を有する。ドレイン電極85は、その一端が半導体層88に接続し、その他端がドット電極73aに接続する。ソース電極89は図12の紙面垂直方向に延びるソース電極線89’の一部として形成されている。また、ゲート電極86は、ソース電極線89’と直角の方向すなわち図12の左右方向に延びるゲート電極線86’から延びている。
図11に戻って、素子基板61に対向するカラーフィルタ基板62は、観察側から見て長方形または正方形の第2の透光性の基板62aを有する。この第2透光性基板62aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、この第2透光性基板62aの外側表面には、位相差板65bおよび偏光板66bが、それぞれ、貼着等によって装着される。
第2透光性基板62aの内側表面には、遮光部材76が矢印A方向から見て格子状に設けられる。そして、この遮光部材76によって囲まれる複数の空間内に着色要素75が設けられる。複数の着色要素75はB,G,R又はC,M,Yのいずれかに着色され、それらの着色要素75は矢印A方向から見て所定の配列、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列に配列されている。
遮光部材76及び着色要素75の上にはオーバーコート層77が設けられ、その上に共通電極73bが設けられ、さらにその上に配向膜79bが設けられる。共通電極73bは、例えば、ITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成される。この共通電極73bは第2透光性基板62a上に一様な厚さで形成された面状電極である。上記の配向膜79bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜79bの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。
オーバーコート層77は、例えば、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料を塗布及び焼成して形成したり、あるいは、必要に応じて、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料にフォトリソグラフィー処理を施すことによって形成される。また、配向膜79bは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。
次に、図11において、素子基板61上に形成された複数のドット電極73aは矢印A方向から見てドットマトリクス状に配列する。これらのドット電極73aは矢印A方向から見て共通電極73bと重なっている。このようにドット電極73aと共通電極73bとが重なる領域は表示のための最小領域である表示用ドット領域Dを構成する。カラーフィルタ基板62上の個々の着色要素75は表示用ドット領域Dに対応して設けられている。着色要素75を用いない白黒表示の場合は1つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成されるが、本実施形態のように3色の着色要素69を用いてカラー表示を行う構造の場合には、B,G,Rの3色の着色要素75の集まりによって1つの画素が形成される。
図11において、素子基板61はカラーフィルタ基板62の外側へ張り出して、張出し部67を構成している。液晶駆動用IC53はこの張出し部67の表面に実装されている。この実装は、例えば、ACF55を用いたCOG技術を用いて行うことができる。張出し部67の表面には、複数の配線68及び複数の外部接続端子81がフォトエッチング処理によって形成される。複数の配線68の一部は、素子基板61上のソース電極線89’(図12参照)及びゲート電極線86’に直接につながっている。また、複数の配線68の残りの一部は、シール材63の内部に分散されている導通材96を介してカラーフィルタ基板62側の共通電極73bにつながっている。
図13は、図11の液晶表示装置51の電気的な等価回路を示している。図13において、複数本の走査線86’が行方向Xに延びるように形成される。また、複数本のデータ線89’が列方向Yに延びるように形成されている。走査線86’は図12のゲート電極線86’によって実現され、データ線89’は図12のソース電極線89’によって実現される。表示用ドット領域Dは走査線86’とデータ線89’との各交差部分に形成される。各表示用ドット領域Dにおいては、TFT素子69とドット電極73aとが直列に接続されている。各走査線86’は、走査線駆動回路53aによって駆動される。一方、各データ線89’は、データ線駆動回路53bによって駆動される。走査線駆動回路53a及びデータ線駆動回路53bは図11の液晶駆動用IC53によって構成される。液晶駆動用IC53は、共通のICによって両駆動回路53a及び53bを賄うものであっても良いし、あるいは、両駆動回路53a及び53bを個別のICに割り当てても良い。
走査信号はTFT素子69のゲートへ送られ、データ信号はTFT素子69のソースへ送られる。TFT素子69がON状態になると、対応するドット電極73aへの通電が成されて対応する表示用ドット領域D内の液晶への書き込みが行われる。また、引き続いてTFT素子69がOFF状態になると、書き込まれた状態が保持される。この一連の書き込み動作及び保持動作により、液晶分子がTN構造と垂直配向との間で制御される。
以上のように構成された液晶表示装置51によれば、図11において、照明装置54の光源56が点灯すると、それからの光が導光体57の光入射面57aから導光体57へ導かれ、さらに、光出射面57bから面状の光として出射する。そして、この出射光が素子基板61を透過して液晶層64へ供給される。
こうして液晶層64へ光が供給される間、素子基板61側のドット電極73aとカラーフィルタ基板62側の共通電極73bとの間には、走査信号及びデータ信号によって規定される所定の電圧が表示用ドット領域Dごとに印加され、これにより、液晶層64内の液晶分子の配向がTN構造と垂直配向との間で表示用ドット領域Dごとに制御され、この結果、液晶層64に供給された光が表示用ドット領域Dごとに変調される。この変調された光が、偏光板66bを通過するとき、偏光板66bの偏光特性に従って表示用ドット領域Dごとに通過を許容又は通過を阻止され、これにより、カラーフィルタ基板62の表面に文字、数字、図形等といった像が表示され、これが、矢印A方向から視認される。このとき、遮光部材76は、表示ドット領域Dの間から光が漏れることを防止するためのブラックマスクとして機能する。
以上に説明した液晶表示装置51において、張出し部67上の駆動用IC53の実装領域は図6に示す図1の液晶表示装置1における駆動用IC3の実装領域と同じである。すなわち、図6(a)に示すように、それぞれの外部接続用端子81から駆動用IC53の実装領域内へ延びた先端部分およびそれぞれの配線45の先端部分には、端子48が形成される。そして駆動用IC53は、複数のバンプ49を有する。図6(b)に示すように、駆動用IC53を張出し部67上に実装する場合には、端子48とバンプ49とが、ACF55に含まれる導電粒子55aによって互いに接続される。
図6(a)において、張出し部67上にはガイド部材47が設けられている。このガイド部材47は複数の端子48のうちの四隅にある端子48のそれぞれの外側に複数の端子48を囲むL字形状に形成される。これにより、駆動用IC53を第1透光性基板61a上に実装する際、駆動用IC53の一辺方向、例えば図6(a)のX方向に関して駆動用IC53をガイドできる。また、前記一辺に直交する方向、例えば図6(a)のY方向に関して駆動用IC53をガイドできる。また、駆動用IC53が回転する方向、例えば図6(a)のθ方向に関して駆動用IC53をガイドできる。これにより、バンプ49は、端子48に対して位置がずれることなく配置され、導電粒子55aを介して確実に端子48に接触できる。つまり、圧着ずれを生じることなく第1透光性基板61a上の実装領域Qに駆動用IC53を正確に実装できる。
次に、図14を用いて、図11の液晶表示装置51を製造するための製造方法について説明する。図14の工程P41〜工程P46に至る工程は図11の素子基板61を形成する工程である。また、工程P51〜工程P56に至る工程は図11のカラーフィルタ基板62を形成する工程である。また、工程P61〜工程P69に至る工程はそれらの基板を貼り合わせて製品である液晶表示装置を形成する工程である。この工程P61〜P69は、図10の工程P21〜P29と同じ工程である。
なお、本実施形態では、図11に示す素子基板61およびカラーフィルタ基板62を1つずつ形成するのではなく、素子基板61に関しては、複数の素子基板61を形成できる大きさの面積を有する素子側マザー透光性基板の上に素子基板61の複数個分の要素を同時に形成するものとする。また、カラーフィルタ基板62に関しては、複数のカラーフィルタ基板62を形成できる大きさの面積を有するカラーフィルタ側マザー透光性基板の上にカラーフィルタ基板62の複数個分の要素を同時に形成するものとする。素子側マザー透光性基板およびカラーフィルタ側マザー透光性基板は、例えば、透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成される。
まず、図14の工程P41において、図12のTFT素子69をフォトエッチング処理等を用いて所定の積層構造に形成する。このとき、TFT素子69のゲート絶縁膜87を形成すると同時に、図6のガイド部材を形成する。次に、工程P42において、図12のTFT素子69のドレイン電極85に重なるようにドット電極73aをITOを材料としてフォトエッチング処理によって所定の形状に形成する。
次に、図14の工程P43において、図11のフォトスペーサ70が、例えば、ネガ型感光性樹脂材料を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成され、工程P44において、図11の配向膜79aをポリイミド等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。次に、工程P45において、図11の配向膜79aにラビング処理を施して配向性を付与する。次に、工程P46において、図11のシール材63をエポキシ系樹脂を料として印刷等によって形成する。以上により、大面積の素子基板用マザー透光性基板の上に素子基板61の複数個分の膜要素が形成されて、素子基板61側の大面積のマザー基板が形成される。
他方、図14の工程P51において、大面積である図11のカラーフィルタ側マザー透光性基板上に、図11の遮光部材76をCrを材料としてフォトエッチング処理によって所定のパターン、本実施形態の場合は表示用ドット領域Dの周りを埋めるような格子状パターン、に形成する。次に、工程P52において、図11の着色要素75をB,G,Rの各色ごとに順々に形成する。例えば、各色の顔料や染料を感光性樹脂に分散させて成る着色材料をフォトリソグラフィ処理によって所定のドット配列に形成する。
次に、工程P53において、遮光部材76及び着色要素75の上にオーバーコート層77をアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。次に、工程P54において、図11の共通電極73bをITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成する。次に、工程P55において、配向膜79bをポリイミド等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成し、さらに、工程P56において配向処理としてのラビング処理を行う。以上により、大面積のカラーフィルタ基板側マザー透光性基板の上にカラーフィルタ基板62の複数個分の膜要素が形成されて、カラーフィルタ基板62側の大面積のマザー基板が形成される。
その後、図14の工程P61において、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とを貼り合わせる。これにより、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とが個々の液晶表示装置の領域において図11のシール材63を挟んで貼り合わされた構造の大面積のパネル構造体が形成される。
次に、以上のようにして形成された大面積のパネル構造体に含まれるシール材63を、工程P62において熱硬化または紫外線硬化によって硬化させて両マザー基板を接着して大面積のパネル構造体を形成する。次に、工程P63において、そのパネル構造体を1次切断、すなわち1次ブレイクして、図11の液晶パネル52の複数が1列に並んだ状態で含まれる中面積のパネル構造体、いわゆる短冊状のパネル構造体を複数形成する。シール材63には予め適所に開口が形成されており、上記の1次ブレイクによって短冊状のパネル構造体が形成されると、そのシール材63の開口が外部に露出する。
次に、図14の工程P64において、上記のシール材63の開口を通して各液晶パネル部分の内部へ液晶を注入し、その注入の完了後、その開口を樹脂によって封止する。次に工程P65において、2回目の切断、すなわち2次ブレイクを行い、短冊状のパネル構造体から図11に示す個々の液晶パネル52を切り出す。
次に、図14の工程66において、図11の駆動用IC53を実装するための仮圧着を行う。さらに、図14の工程67において、図11の駆動用Ic53を実装するための本圧着を行う。
次に、工程P68において、図11の液晶パネル52に偏光板66a,66bを貼着によって装着する。さらに工程P69において、図11の照明装置54を液晶パネル52に取付ける。これにより、液晶表示装置51が完成する。
以上のように、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法においては、図14の工程P42において図6のガイド部材47を形成した。これにより、図14の工程P67のICを本圧着する工程において、図6の駆動用IC53が第1透光性基板61aに押圧されたときに、バンプ49を端子48に導くことができる。その結果、バンプ49は、端子48に対して位置がずれることなく配置され、導電粒子55aを介して確実に端子48に接触できる。つまり、圧着ずれを生じることなく第1透光性基板61a上の実装領域Qに駆動用IC53を正確に実装できる。
また、図14の工程P41において、図6のガイド部材47と図12のゲート絶縁膜87とを同時に形成した。これにより、新たに工程を増やすことなく図6のガイド部材47を設けることができる。
(実装構造体、電気光学装置及びその製造方法に関するその他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記実施形態では、図6(a)に示すように、複数の端子48のうちの四隅にある端子48の外側にガイド部材47をL字形状に形成した。これに代えて、ガイド部材47は、図8に示すように、第1透光性基板11a上に複数の端子48を囲む無端の枠形状に形成することもできる。こうすれば、駆動用IC3を第1透光性基板11a上に実装する際、駆動用IC3の一辺方向、例えば図6(a)のX方向に関して駆動用IC3をより一層正確にガイドできる。また、前記一辺に直交する方向、例えば図6(a)のY方向に関して駆動用IC3をより一層正確にガイドできる。また、駆動用IC3が回転する方向、例えば図6(a)のθ方向に関して駆動用IC3をより一層正確にガイドできる。
また、ガイド部材47は、そのガイド部材47の一部が端子48から延びる配線45および外部接続用端子39の上に形成される。そのガイド部材47が形成された部分の配線45および外部接続用端子39に関しては、腐蝕が発生したり異物が付着することを防止できる。
また、第1実施形態において、図6のガイド部材47は、図2のオーバーレイヤ21と同じ材料を用いて形成した。そしてさらに、これらガイド部材47とオーバーレイヤ21とを、図10の工程P2において同時に形成した。また、第2実施形態において、図6のガイド部材47は、図12のゲート絶縁膜87と同じ材料を用いて形成し、さらに、これらガイド部材47とゲート絶縁膜87とを図14の工程41において同時に形成した。
これらに代えて、ガイド部材47は、上記以外の材料を用いて形成することができる。例えば、ガイド部材47は、図2のオーバーコート層27と同じ材料を用いて、図10の工程P15においてそのオーバーコート層27と同時に形成することもできる。この場合には、駆動用IC3は図1のカラーフィルタ基板12上に実装される。また、図12のオーバーコート層77と同じ材料を用い、図14の工程P53においてそのオーバーコート層77と同時に形成することもできる。この場合には、駆動用IC53は図11のカラーフィルタ基板62上に実装される。
さらに、第1透光性基板上および第2透光性基板上に形成される他の要素、例えば図1のフォトスペーサ20および図11のフォトスペーサ70と同じ材料を用いることもできる。また、図2の着色要素25および図12の着色要素75と同じ材料を積層して形成することもできる。しかしながら、これらの場合においても、ガイド部材47を形成する材料は第1実施形態および第2実施形態と同様に絶縁材料であることが望ましい。
また、第2実施形態では、図12に示すように、スイッチング素子としてアモルファスシリコンTFT素子を例示したが、アモルファスシリコンに限らずポリシリコンを用いたTFT素子でも良い。
また、上記実施形態では電気光学装置として液晶表示装置を例示したが、本発明は、有機EL装置、無機EL装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、フィールドエミッションディスプレイ装置(すなわち、電界放出表示装置)等といった各種の電気光学装置にも適用できる。
(電子機器の実施形態)
以下、本発明に係る電子機器を実施形態を挙げて説明する。なお、この実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図15は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。ここに示す電子機器は、液晶表示装置121と、これを制御する制御回路120とを有する。制御回路120は、表示情報出力源124、表示情報処理回路125、電源回路126及びタイミングジェネレータ127によって構成される。そして、液晶表示装置121は液晶パネル122及び駆動回路123を有する。
表示情報出力源124は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ127により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路125に供給する。
次に、表示情報処理回路125は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路123へ供給する。ここで、駆動回路123は、走査線駆動回路やデータ線駆動回路と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路126は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
液晶表示装置121は、例えば、図1に示した液晶表示装置1や、図11に示した液晶表示装置51等を用いて構成できる。液晶表示装置1,51等においては、駆動用ICの端子をガイドするガイド部材を基板上に設けることにより、圧着ずれを生じることなく基板上の実装領域に半導体要素を正確に実装できるので、端子間における接触不良や短絡を防止できる。従って、この液晶表示装置を用いた電子機器においても端子間における接触不良や短絡がない安定した表示を行うことができる。
図16は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機130は、本体部131と、これに開閉可能に設けられた表示体部132とを有する。液晶表示装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置133は、表示体部132の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部132において表示画面134によって視認できる。本体部131には操作ボタン136が配列されている。
表示体部132の一端部にはアンテナ137が伸縮自在に取付けられている。表示体部132の上部に設けられた受話部138の内部には、図示しないスピーカが配置される。また、本体部131の下端部に設けられた送話部139の内部には図示しないマイクが内蔵されている。表示装置133の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部131又は表示体部132の内部に格納される。
表示装置133は、例えば、図1に示した液晶表示装置1や、図11に示した液晶表示装置51等を用いて構成できる。液晶表示装置1,51等においては、駆動用ICの端子をガイドするガイド部材を基板上に設けることにより、圧着ずれを生じることなく基板上の実装領域に半導体要素を正確に実装できるので、端子間における接触不良や短絡を防止できる。従って、この液晶表示装置を用いた図16の携帯電話機130においても端子間における接触不良や短絡がない安定した表示を行うことができる。
(変形例)
なお、電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。