JP2006132016A - 塗工紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷用紙、白板紙においては印刷ムラ、電子写真用記録紙、インクジェット用紙、感熱紙、感圧紙などの塗工紙において良好な原紙被覆性を得る事により印刷ムラ、印字ムラなどの問題点を防止し、市場の要求に答える充分な品質を持つ塗工紙およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ウェブ上に塗工液を塗工するブレードコーターに用いられる塗工用ブレードが、ウェブと接して塗工液を掻き取る先端部と、該先端部をウェブに付勢する、先端部とは異なる素材のブレード母材とから構成されており、該先端部がショアAで50〜100の硬度を有する塗工用ブレードを用いてウェブ上に塗工液を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塗工紙の製造方法に関し、更に詳しくは、塗工用ブレードの寿命が長く、操業安定性に優れた塗工紙の製造を可能にし、かつ原紙被覆性に優れ、良好で安定した画像再現性を可能とする画像材料に適した塗工紙の製造方法に関するものである。
近年、印刷用塗工紙、電子写真用記録紙、白板紙、インクジェット用紙、感熱紙、感圧紙、圧着紙などの高性能化が進み、画像再現性や圧着の均一性などについて高いレベルの品質を求められるようになってきた。
しかしながら、従来の金属製ブレード、セラミックブレード(例えば、特許文献1参照)、メッキコーティングブレード(例えば、特許文献2参照)など硬度の高いブレードによる塗工では、原紙が持つ坪量の不均一さに影響され、不均一な原紙被覆性しか得られなかった。この為、印刷用紙、白板紙においては印刷ムラ、電子写真用記録紙、インクジェット用紙、感熱紙、感圧紙では印字ムラなどの問題点が発生し、市場の要求に応える充分な品質が得られなかった。
また、上記塗工紙をエアナイフ塗工やカーテン塗工した場合、いわゆる輪郭塗工となり、紙の面積が10〜100μm2程度の微視的な範囲のおいては均一な原紙被覆性が得られるが、エアナイフムラや塗工中の同伴空気によるカーテンムラ等の問題点が発生する為、紙の面積が10〜100mm2程度の範囲では不均一な原紙被膜性しか得られなかった。
特開平9−173943号公報 特開2002−254014号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、原紙被覆性に優れることから画像再現性に優れ、かつ安定した品質と操業性を併せ持つ塗工紙の製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、先端部とブレード母材の異なる素材から構成される塗工用ブレードを用いてウェブ上に塗工液を塗工する塗工紙の製造方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は、ウェブ上に塗工液を塗工するブレードコーターに用いられる塗工用ブレードが、ウェブと接して塗工液を掻き取る先端部と、該先端部をウェブに付勢する、先端部とは異なる素材のブレード母材とから構成されており、該先端部がショアAで50〜100の硬度を有する塗工用ブレードを用いてウェブ上に塗工液を塗工することを特徴とするものである。
また、第2の発明は、第1の発明によって得られる塗工紙のうち、その塗工側表面のISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフによる平滑度が5.0μm以下であることを特徴とするものである。
また、第3の発明は、第1の発明における塗工用ブレードの先端部がショアAで70〜80の硬度を有することを特徴とするものである。
また、第4の発明は、第1の発明における塗工用ブレードの先端部が先端角度で3〜40°の角度を有することを特徴とするものである。
また、第5の発明は、第2の発明によって得られる塗工紙のうち、その塗工側表面のISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフによる平滑度が2.0μm以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、原紙被覆性に優れることから画像再現性に優れ、かつ安定した品質と操業性を併せ持つ塗工紙を製造することができる。
以下、本発明に係る塗工用ブレードを使用した塗工紙の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の目的は、塗工層に関して品質上の利点を与える塗工用ブレードを用いた塗工紙を提供することにある。以下、移動するウェブ上へ塗工液を塗布することに関連して図を参照しながら説明を行う。
本発明に係る塗工用ブレードは、図1に示すように、ウェブ3と接して塗工液6を掻き取る先端部2と、この先端部2をウェブ3に付勢する、先端部2とは異なる素材のブレード母材1とから構成されており、ブレード母材1はスチールその他の形状安定材料からなり、このブレード母材1には、ウェブ3に接触させて過剰の塗工液を掻き取ることを意図した、ブレード母材1とは異なる素材で構成される先端部2を備えている。この先端部2を備えたブレード母材1の先端部2とは反対部分をブレード保持部材であるクランプ7に設置し、このクランプ7をバッキングロール4の方向に向かって移動することによりブレード母材1がたわみ、その反力としてウェブ3に係接触した先端部2に押しつけ圧が発生して塗工液6を掻き落とし、塗工量の計量を行う。尚、5はファウンテン・アプリケーターであり、塗工液6をウェブ3に付着させる。
本発明によれば、先端部2を比較的低い硬度の材料、すなわち、50〜100のショアA硬度を有する材料で構成される塗工用ブレードを使用したときに、かなりの利点が得られることがわかった。尚、本発明でいうショアA硬度とは、JIS K6263に準拠するデュロメータタイプAによる硬度である。
本発明に係る塗工用ブレードは図2に示すように移動するウェブ3に接触している先端部2はその弾性と先端角度8によって変形し、或る程度まで、ウェブ3表面の凹凸に順応し、接触部分の圧力分布が均一になる。その結果、塗工層が、硬度の高い金属やセラミックのブレードに比べ均等にウェブ3の凹凸を覆うという望ましい効果を与える。特に、先端角度8が3〜40°であれば、より均一な原紙被覆性、ストリークの防止、ブリーディングやストラグマイト等の塗工欠陥の防止性に優れた効果が得られる。
上記塗工紙の原紙被覆性は、ISO 8791−4に準拠したパーカープリントサーフによる平滑度(単位;μm)、すなわち動的平滑度によって規定される。ここで、”動的平滑度”とは、単に塗工紙表面の平滑性を示す”平滑度”ではなく、印刷用塗工紙、白板紙、電子写真用記録紙、感熱紙、感圧紙などの情報用塗工紙がオフセット印刷やプリンター等の印字機器により画像を形成する際を想定して塗工紙の加圧下での平滑性を示す平滑度である。
従来のベック平滑やスムースター平滑はISO 8791−4に準拠したパーカープリントサーフによる平滑度(以下、動的平滑度と記載する。)と同様にエアのリークにより平滑性を評価しているが、これらはエアリークの背面からの圧力と弾性を考慮していないため、オフセット印刷や各種プリンターなどに発生する現象を充分再現できなかった。また原紙の凹凸に沿って均一な塗工層を有する塗工紙については原紙がもともと持つ凹凸の影響を受け、原紙被覆性を充分評価する事ができなかった。しかしながら、動的平滑度においては、測定物の背面からの圧力と弾性を規定し、原紙の凹凸によって背面が変形する事で、これに沿った塗工層の微視的な均一性を評価する事ができる。
このように測定された動的平滑度が印刷用塗工紙、白板紙、電子写真用記録紙、感熱紙、感圧紙などの情報用塗工紙がオフセット印刷やプリンター等の印字機器により画像を形成する際の挙動を良く再現する。
基材表面の動的平滑度は8〜20μm程度が好ましい。これは基材の動的平滑度が高すぎるとストリーク等の塗工欠陥を発生し、動的平滑度が低すぎると基材の凹凸による影響が大きくなりすぎ、ブレードの選択では修復できないレベルとなるからである。このような基材に従来の金属製ブレード、セラミックブレード、メッキコーティングブレードなど硬度の高いブレードを用いて塗工した場合、原紙の凹凸を十分被覆できないため不均一な原紙被覆性しか得られず、塗り上がりの塗抹見本における動的平滑度を5.0μm以下にする事が困難だった。
ここで注意しなければならないのは、動的平滑度は塗工機の設定条件によってある程度変化する点である。すなわち、ベントブレード塗工においてはブレード母材1をバッキングロール4の方向に向かって押しつけていき、ブレード母材1をたわませることで押しつけ圧を得、塗工液の計量を行うが、この押しつける位置によって先端部2がウェブ3に接触する圧力分布が変化する。この圧力分布が均一になるように調整する事で、結果として塗り上がりの塗工紙における動的平滑度は変化する。
ブレード母材1をバッキングロール4方向に押しつけていく一般的な方法としては、ブレード母材を保持するクランプ7にステッピングモーターで駆動する移動装置を取り付け、そのステッピングモーターのパルス数(1パルスあたり1〜10μm程度移動する。)が移動距離を示し、この数値がブレード母材1のたわみと対応する為、この数値(以下ステッピングパルスとする。)をもってたわみを制御する。
このたわみによってブレード母材1に設置された先端部2がウェブ3に接触する圧力分布が変化する。すなわち、たわみが少ない状態に制御された場合、先端部2の上端の角部が主にウェブ3と接触するため上端部の圧力が極端に高く下端部が低い状態となる。この状態ではウェブの凹凸に対応できず、良好な原紙被覆性を持つ塗工層は得られない。逆にたわみが大きすぎると下端部の圧力が極端に高くなり、先端部の圧力が下がるため、平滑な塗工層が得られないばかりか、塗りムラやストラグマイト、ブリーディングなどの塗工欠陥を発生してしまう。このためたわみを制御するステッピングパルスを適性な領域に制御する事によって良好な原紙被覆性と動的平滑度を得る事ができる。
従来の金属製ブレード、セラミックブレード、メッキコーティングブレードなど硬度の高いブレードにおいては上記制御を実施し、圧力分布の最適化を行っても、その硬度の高さにゆえに最適な制御範囲が狭く、塗り上がりの塗工紙における動的平滑度を5.0μm以下にする事が困難だった。
しかしながら、本発明に係る塗工用ブレードを使用した場合、その弾性により先端部2が変形するため、最適な制御範囲が広く、塗り上がりの塗工紙における動的平滑度を5.0μm以下、更に塗工機の設定条件を最適化する事で2.0μm以下にする事が可能となり良好な原紙被覆性による画像再現性を得る事ができる。
また、エアナイフ塗工やカーテン塗工した場合、いわゆる輪郭塗工となり紙の面積が10〜100μm2程度の微視的な範囲においては均一な原紙被覆性が得られるが、エアナイフムラや塗工中の同伴空気によるカーテンムラ等の問題点が発生する為、紙の面積が10〜100mm2程度の範囲では不均一な原紙被膜性しか得られない為、動的平滑度を5.0μm以下にする事が困難である。しかしながら、本発明に係る塗工用ブレードを使用した塗工紙では動的平滑度を5.0μm以下、塗工条件によっては2.0μm以下にする事が可能で、良好な原紙被覆性による画像再現性を得る事ができる。
本発明の塗工用ブレードに設置される先端部2はショアA硬度で50〜100であると好ましい。硬度については、硬度が高すぎると先端部の弾性に由来する原紙被覆性が悪化し、硬度が低すぎると先端部の耐久性に悪影響を及ぼし寿命が短くなる。従って、特にショアA硬度が70〜80の範囲内にあるのが更に好ましい。
本発明のコーティング・ブレードに設置される先端部2の先端角度8は3〜40°が好ましい。上記のように本発明に係る塗工用ブレードに設置される先端部2の先端角度8を3〜40°の形状としたブレードで製造した塗工紙は、先端部2とウェブ3の間にかかる圧力の最大値が減少しつつ全体の圧力分布が均一化される為、原紙被覆性が更に向上する効果を持つ。
また上記形状の塗工用ブレードはブレード塗工においてしばしば見受けられる“ストリーク”を減少する効果が認められる。“ストリーク”とは、ブレードの先端部とウェブの間に異物もしくは塗工液が脱水された固形化した凝集体等が堆積し、ウエブの流れ方向にスジ状の欠陥を生じる現象であり、塗工紙の画像再現性に大きな欠陥を生じる。
上記のように塗工用ブレードに設置される先端部2の先端の角度8を特に3°〜40°の形状としたブレードで製造した塗工紙は、先端部2とウェブ3の間にかかる圧力の最大値が減少しつつ全体の圧力分布がより均一化され、異物等が堆積しにくい為、“ストリーク”の発生の少ない良好な画像再現性を持つ塗工紙となる。
本発明における先端部2は、有機重合体によって構成することができる。有効な重合体の例としては、ポリウレタン類、スチレンブタジエン重合体類(すなわち、ラバータイプの重合体類)およびポリオレフィン類がある。
特に好ましいタイプの重合体はポリウレタン類である。ポリウレタンの先端部2の材料は、普通の方法で、ポリオール類およびジイソシアネート類によって構成される。ポリウレタン系用の普通のジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートである。また、普及度の低いジイソシアネート類も利用できるが、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネートがある。ポリウレタン類としては、たとえばエステルウレタン類、エーテルウレタン類およびヒドロキシル末端付きポリブタジエンに基づいたウレタン類が利用できる。
本発明において使用されるいかなるタイプのポリウレタンも、硬度が上記範囲内にある限り、実用上の結果に対して必須ではない。
本発明による塗工用ブレードで使用されるブレード母材1は、適切には0.2〜2mmの範囲内にある厚さを有する。設置した先端部2は、適切には0.5〜5mmの範囲内にある厚さを有する。また、ブレードの平面でその長手方向に対して直角に見た先端部2の幅は、適切には5〜25mmであるが、この寸法は特に必須ではない。
本発明において、「塗工液」とは、顔料塗被紙用塗布液として無機あるいは有機顔料を分散せしめたもの、インクジェット記録紙用塗布液、感熱記録紙用塗布液として発色剤と顕色剤を分散せしめたもの、感圧記録紙用塗布液として発色剤を含むマイクロカプセルあるいは顕色剤を分散せしめたものなどが挙げられる。
本発明において、塗工液に用いられる顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、各種カオリン、焼成カオリン、シリカ、アルミナ、タルク、粉砕炭酸カルシウムなどの精製した天然鉱物顔料、サチンホワイト、リトポンなどの複合合成顔料、酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、水酸化アルミナなどの半合成顔料、有機密実顔料、有機中空顔料などの合成樹脂顔料が挙げられる。
塗工液に用いられる澱粉としては、通常の澱紛、酸化澱紛、エーテル化澱紛、エステル化澱紛、酵素変性澱紛やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉が挙げられる。
また、塗工液に用いられる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。
塗工液に用いられる澱粉以外のバインダーとしては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、尿素またはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。
また、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、カチオン化剤、滑剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用いられる。
本発明において塗工液を塗布するウェブである塗工用基材としては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGWRMP、TMP、CTMP、CGPなどの機械パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプを含み、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アルカリ性のいずれかで抄造されたものを用いることができる。その他基材として合成紙、フィルム、不織布も用いられるが、好ましくはパーカープリントサーフによる平滑度が8μm以上20μm以下である。
本発明に係る原紙においては、ノーサイズプレス原紙、澱紛、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることができる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合も有る。また、一連の操業で、塗工、乾燥されたオフセット輪転印刷用塗工紙は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
本発明において、塗工量としては、乾燥質量として、1〜40g/m2であり、好ましくは2〜30g/m2である。
また、本発明において、塗工層の層構造は特に単層に限定されるものではなく、必要に応じて、2層以上の塗工層であってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例中の部および%は、特に指定のない限り、すべて質量部および質量%を示す。
実施例1
<原紙配合>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30部
<内添薬品>
炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *8部
カチオン化澱粉 1.0部
カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.03部
パルプ、内添薬品を上記の配合で調整し、坪量70g/m2の原紙を抄造した。
<塗工液の配合>
微粒カオリンクレー 20部
一級カオリンクレー 50部
重質炭酸カルシウム 30部
ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
ラテックスバインダー(スチレン・ブタジエン) 10部
燐酸エステル澱粉 5部
水酸化ナトリウム pH9.6に調製
<弾性体ブレードの仕様>
ブレード母材の幅 81mm
ブレード母材の厚さ 0.4mm
先端部の厚さ 0.2mm
先端部の幅 15mm
先端部の先端角度 10°
先端部の硬度(ショアA硬度) 75
上記により得られた原紙(動的平滑度;9μm)に対して、塗工液を上記の配合により調製し、ファウンテンアプリケーション/ベントブレード方式塗工機を用いて、塗工速度350m/分で塗工液を片面10g/m2塗工し、乾燥して塗工紙を得た。
この状態で塗工後の塗工紙(カレンダー処理の前)をサンプリングし、ISO8791−4に準拠して測定したエアリーク式紙平滑度試験器パーカープリントサーフで動的平滑度(単位はμm)を測定した。この値を確認し、塗工装置のステッピング・パルスの条件を調整して動的平滑度が2μm程度となるよう条件を設定した上で再度塗工し、塗工紙を得た。
得られた塗工紙に対し、オフラインでスーパーカレンダー装置(段数:10段、剛性ロール:外径400mmのチルドロール、弾性ロール:外径400mmのコットンロール、線圧:220kN/m)を用いてカレンダリング処理を施し、実施例1の塗工紙を製造した。
実施例2
実施例1において、塗工装置のステッピング・パルスの条件を調整して動的平滑度が3μm程度となるよう条件を設定した以外は実施例1と同様にして、実施例2の塗工紙を製造した。
実施例3
実施例1における、先端部の先端角度を1°にした以外は実施例1と同様にして、実施例3の塗工紙を製造した。
実施例4
実施例1における、先端部の先端角度を43°にした以外は実施例1と同様にして、実施例4の塗工紙を製造した。
実施例5
実施例1における塗工用ブレードの先端部硬度を85にした以外は実施例1と同様にして、実施例5の塗工紙を製造した。
実施例6
実施例1における塗工用ブレードの先端部硬度を55にした以外は実施例1と同様にして、実施例6の塗工紙を製造した。
比較例1
実施例1における塗工用ブレードに替えて以下に示す仕様の金属ブレードを使用し、塗工装置の条件を調整して動的平滑度が最も小さくなるよう条件を設定した以外は実施例1と同様にして、比較例1の塗工紙を製造した。
<金属ブレードの仕様>
ブレードの幅 81mm
ブレードの厚さ 0.4mm
先端角度 10°
比較例2
実施例1における塗工用ブレードに替えて以下に示す仕様の塗工用ブレードを使用し、塗工装置の条件を調整して動的平滑度が最も小さくなるよう条件を設定した以外は実施例1と同様にして、比較例2の塗工紙を製造した。
<塗工用ブレードの仕様>
ブレード母材の幅 81mm
ブレード母材の厚さ 0.4mm
先端部の厚さ 0.2mm
先端部の幅 15mm
先端部の先端角度 0°
先端部の硬度(ショアA硬度) 45
比較例3
実施例1におけるファウンテンアプリケーション/ベントブレード方式塗工機に替えてエアナイフ塗工機を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2の印刷用塗工紙を製造した。
<エアナイフ塗工機の条件>
塗工速度 300m/分
エアナイフ圧力 3000mmAq
上記実施例1〜6および比較例1〜3により得られた印刷用塗工紙について、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
<評価方法>
(1)印刷光沢
RI印刷適性試験機を用い、藍色、紅色、黄色(インキ量各0.2cc)の重色ベタ印刷を施した後、グロスメーターにて、光沢を60°−60°反射率で評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):印刷光沢が70%以上
○(良好) :印刷光沢が65%以上で70%未満
△(普通) :印刷光沢が55%以上で65%未満
×(不良) :印刷光沢が55%未満
(2)動的平滑度
塗工後の塗工紙(カレンダー処理の前)をエアリーク式紙平滑度試験器パーカープリントサーフで測定した。単位はμmである。
(3)燃焼テスト
燃焼テストは、塗工紙を約10%塩化アンモニウム溶液で湿らせ、炉内で塗工紙を300〜400℃まで加熱したときに、この化学薬品によってセルロース繊維が黒くなる。それ故、黒い基体とは対照的に白い塗工層が現れ、この均一性を官能評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):白い塗工層がほぼ完全に均一
○(良好) :黒い繊維部分が若干認められるが全体的に均一
△(普通) :黒い繊維部分が全面積の約1/3を占め、部分的に不均一
×(不良) :黒い繊維部分が全面積の半分以上を占め全面不均一
(4)印刷ムラ
印刷光沢の評価時と同様に単色印刷を施して製造した印刷用塗工紙における印刷ムラを目視観察した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):印刷ムラが全く観察されない。
○(良好) :印刷ムラがごく僅かに観察されるが、製品として良好。
△(普通) :印刷ムラが観察されるが製品として可のレベル。
×(不良) :印刷ムラが観察され、製品として使用不可。
(5)ブレード耐久性試験
使用したブレードが塗工紙の動的平滑度に悪影響を及ぼさず塗工可能だったウエブ長さで評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):100000m以上
○(良好) :50000m以上、100000m未満
△(普通) :20000m以上、50000m未満
×(不良) :20000m未満
(6)ストリーク特性
操業中、10000mあたりに発生したストリークの本数。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):1本未満
○(良好) :1本以上、3本未満
△(普通) :3本以上、10本未満
×(不良) :10本以上
(7)ブリーディング特性
操業中、ブレード背面に発生したブリーディングの程度を目視評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):全く発生なし。
○(良好) :一部分もしくはごく僅かに発生する。
△(普通) :部分的に発生する。
×(不良) :全面に発生する。
Figure 2006132016
評価:
実施例1では、動的平滑度が1.1μmと請求項5の条件を満たす事により、非常に良好な印刷光沢、原紙被覆性を示すと共に、ブレード耐久性、ストリーク特性などの操業性についても非常に良好であった。実施例2は動的平滑度が2.4μmと請求項2の条件に該当するが、良好な印刷光沢、原紙被覆性を示すと共にブレード耐久性などの操業性についても良好であった。実施例3は先端部の先端角度が1°と低くなった為、ストリークでやや評価が下がるが、充分良好な原紙被膜性、操業性を示した。実施例4は先端部の先端角度が43°と高くなった為、ブリーディングでやや評価が下がるが、充分良好な原紙被膜性、操業性を示した。実施例5は請求項1の条件に該当し、先端部の硬度が上がったため、燃焼テスト、印刷ムラの評価がやや下がるが、充分良好な原紙被膜性、操業性を示した。実施例6は請求項1の条件に該当し、弾性体ブレードの硬度が下がったため、ブレード耐久性の評価がやや下がるが、充分良好な原紙被膜性、操業性を示した。比較例1は金属ブレードを使用した以外は実施例1と同様の条件で実施したが、動的平滑度が塗工装置の条件を最適化しても7.2μmとなり、印刷光沢、原紙被覆性、操業性ともに明らかに実施例1〜6に劣っていた。比較例2は先端部硬度が45の塗工用ブレードを使用した以外は実施例1と同様の条件で実施したが、ブレード耐久性を含む操業性が明らかに実施例1〜6に劣っていた。比較例3は実施例1におけるファウンテンアプリケーション/ベントブレード方式塗工機に替えてエアナイフ塗工機を使用した以外は実施例1と同様に実施したが、エアナイフムラに起因する比較的大きな面積のムラが発生し動的平滑度が7.6μmとなり、印刷光沢、原紙被覆性ともに明らかに実施例1〜6に劣っていた。
本発明は、塗工紙において均一な原紙被覆性を持つことから良好で安定した画像再現性を有するので、印刷用塗工紙、白板紙、電子写真用記録紙、インクジェット用紙、感熱紙、感圧紙など塗工紙に利用可能である。
塗工用ブレードがブレードコーターに設置され塗工している状態を示す断面図。 塗工用ブレードに設けられた先端角度を示す断面図。
符号の説明
1 ブレード母材
2 先端部
3 ウェブ
4 バッキングロール
5 ファウンテン・アプリケーター
6 塗工液
7 クランプ
8 先端角度

Claims (5)

  1. ウェブ上に塗工液を塗工するブレードコーターに用いられる塗工用ブレードが、ウェブと接して塗工液を掻き取る先端部と、該先端部をウェブに付勢する、先端部とは異なる素材のブレード母材とから構成されており、該先端部がショアAで50〜100の硬度を有することを特徴とする塗工用ブレードを用いてウェブ上に塗工液を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
  2. 上記塗工紙表面のISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフによる平滑度が5.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗工紙の製造方法。
  3. 上記先端部がショアAで70〜80の硬度を有する請求項1記載の塗工紙の製造方法。
  4. 上記先端部に先端角3〜40°の角度を有する請求項1記載の塗工紙の製造方法。
  5. 上記平滑度が2.0μm以下であることを特徴とする請求項2記載の塗工紙の製造方法。
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