JP4438580B2 - 顔料塗工シート - Google Patents

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Description

本発明は、白紙品質ならびに印刷品質に優れる顔料塗工シートであって、カーテン塗工方式において、塗工欠陥の発生を効果的に抑制して効率的に製造された顔料塗工シートに関するものである。
商用印刷に用いられる印刷用顔料塗工シートの塗工方式としては、各種方法が知られており、カーテン塗工方式もその一形態である。カーテン塗工方式は、塗工幅方向に均一な流量・膜厚を持つ、自由落下する塗工液膜(以下、カーテン膜と言う)を塗工基材上に落下させ、その全量を基材上に転移する方式で、顔料塗工シートの製造方法としてよく利用されるブレード、ロッド、ロール塗工方式と比較した場合、塗料の掻き落としがないために塗料組成変化がほとんどなく品質変動が少ない、基材上に転移された塗料が全量基材上に塗工される前軽量タイプであるため塗工量管理が容易である、幅方向・流れ方向の塗工量均一性に優れる、塗工時の基材への物理的な接触は塗工液のみであり紙切れが少ない等、多くの優れた特徴を持っている。
カーテン塗工方式により塗工層を形成した場合、得られる顔料塗工シート全面にわたり塗工量が均一であり、また塗工時に塗料の基材への押し込みが非常に少ないため、塗工層厚みも均一である。従って、例えばブレード塗工方式によって得られた顔料塗工シートの場合に起こりやすい、塗工層厚みムラに起因するインキの吸収ムラが解消され、このためにアイムラ・印刷モトリングと呼ばれる印刷欠陥の発生が効果的に抑制される。
顔料塗工シートを得るのに、下塗り層を設けた後に上塗り層を設ける、いわゆるダブル塗工を行うことは、下塗り層に安価な塗工液を使用できること、同じ塗工量でも2回に分けて塗工することで得られる顔料塗工シートの白紙光沢や平滑性を向上できること、さらには同じ下塗り層に対して異なる上塗り層を設けることで、異なる外見や機能を有する顔料塗工シートを得られることから、近年では一般的な技術となっている。また、より高品質化、低コスト化のためにトリプル塗工を行うことも可能である。
しかしながら、一般印刷用顔料塗工シートの製造においては、カーテン塗工方式はほとんど用いられていないのが現状である。これは、近年の生産速度の高速化に伴い、1000m/分を超える塗工速度が一般的になりつつあるのに対し、カーテン塗工では高速塗工時に塗工欠陥が出やすいと言うことに起因していると考えられる。
これまで挙げられているカーテン塗工方式において発生する塗工欠陥の原因としては、3つに大別することができる。一つ目は自由落下するカーテン膜が、塗工される基材に接触する前に膜切れを起こし、基材上に幅方向に数cm以上、流れ方向に数十cm〜数m以上の楕円形に近い形状の、比較的大きな未塗工部を生じる現象であるが、これはデュニューイリング法やウィルヘルミープレート法にて測定される、塗工液の静的な表面張力を40mN/m程度以下とすることで、カーテン膜近傍の空気の動きや塗料中に残存した気泡が原因となって膜切れを起こすことを効果的に抑制できることが広く知られている。二つ目はパドリングと呼ばれる現象により、幅数mmから塗工全幅までにわたり、独特の縞状あるいはかすれたパターンで未塗工部が現れる現象、三つ目が空気同伴現象による、パドリングの場合と同様のパターン、あるいは局所的に大きさ数mm程度の紡錘状の未塗工部を生ずる現象である。これらの現象は、塗工速度1000m/分未満の比較的遅い塗工速度でも発生する現象であり、これまで各種の解決方法が提案されている。
一方、塗工速度の高速化に伴い、これまではさほど問題とならなかった四つ目の原因により、未塗工部が発生することが問題となってきた。カーテン塗工において、カーテン膜が基材に接触する際に、鉛直方向に数十m/分程度で自由落下していたカーテン膜が、基材進行方向に数百m/分〜1000m/分以上にて引き延ばされるため、特に直径数十μmのセルロース繊維を主成分とする紙基材のように、基材凹凸が大きい場合にカーテン膜が基材に接触した際、数〜数百μmの大きさで破断し、これが微小な未塗工部(以下、微小未塗工部という)の発生につながるという、新たな原因による塗工欠陥の発生である。
これまでカーテン塗工方式における塗工欠陥の抑制には、各種方法が提案されてきた。例えば、2層以上の塗工層を設ける場合に、最上層のカーテン塗工によって設けられる層が接する下塗り層の平滑度を特定値以下にした、平滑な下塗り層上にカーテン塗工を行う方法(例えば、特許文献1参照。)、下塗り層中の顔料の粗大粒子を特定量以下にした平滑な下塗り層上にカーテン塗工を行う方法(例えば、特許文献2参照。)、塗工液中に特定の増粘剤を添加し、カーテン膜落下速度と基材走行速度の比を特定範囲内とする方法(例えば、特許文献3参照。)、基材に同伴する空気をカーテン膜落下地点直前で除去する方法(例えば、特許文献4参照。)等が挙げられる。しかしながら平滑な下塗り層を設ける場合には微小未塗工部の発生を抑制するのには効果的であるが、基材上に衝突した自由落下する塗工液膜が、基材進行方向に急速に伸長される際に引っ張られる効果が低く、結果として高速塗工時に自由落下する塗工液カーテン膜が走行している基材に接触する動的接触線近傍に、過剰な塗工液が蓄積してパドリングが生じ、塗工欠陥が発生するいった問題を抱えている。下塗り層中の顔料の粗大粒子を特定量以下にした平滑な下塗り層上にカーテン塗工を行う方法では、上記と同様にパドリングが発生する問題点があると共に、さらに使用する顔料粒子の調整に破砕処理を行う方法が例示してあり生産効率が劣る。また、特定の増粘剤を添加し、カーテン膜落下速度と基材走行速度の比を特定範囲内とする方法では、開示されている増粘剤は塗工液の粘度が高い、あるいは伸長の際の伸びが不十分でカーテン膜が基材に接触した際の急激な伸長によりカーテン膜がμmレベルで破断し、微小未塗工部の発生につながる。さらに基材に同伴する空気をカーテン膜落下地点直前で除去する方法においては、空気同伴による塗工欠陥の発生抑制には効果があるが、パドリングや微小未塗工部の発生抑制には効果がない。
微小未塗工部の発生は、基材上に付与する塗工液量を変えてもほとんど変化せず、これを抑制するためには平滑な基材を使用すると良いとの報告がある(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、平滑化しすぎた場合には、前述したパドリング現象による塗工欠陥が発生することも同時に報告されており、直径数十μmのセルロース繊維を主成分とする原紙を使用する場合、凹凸を特定の狭い範囲にコントロールするのは事実上困難であることから、基材の凹凸のコントロールだけでは微小未塗工部の発生を抑制するのは難しく、基材もしくは下塗り層を設けた基材を平滑化するだけではパドリングが発生し、パドリング回避のために基材もしくは下塗り層を設けた基材の平滑レベルを下げると得られる顔料塗工シートの平滑性も低下する問題を抱えており、白紙品質ならびに印刷品質に優れる顔料塗工シートを、カーテン塗工方式において、塗工欠陥の発生を効果的に抑制して効率的に製造する方法としては満足のいく方法がなく、さらなる製造技術の向上が望まれていた。
特許第3111106号公報 特許第3257720号公報 特開平5−117996号公報 特開2002−192046号公報 伊藤一聡ら「高速カーテン塗工による顔料塗工紙の検討」、第70回紙パルプ研究発表会講演要旨集、130−133頁(2003年6月)
本発明は、カーテンコーターにおいて高速塗工時に発生する微小未塗工部の発生を効果的に抑止し、白紙品質ならびに印刷品質に優れる顔料塗工シートを提供するものである。
シート状基材の少なくとも一面上に、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる顔料塗工シートにおいて、少なくとも1層以上の下塗り層を有し、最上層が、静的表面張力40mN/m以下の塗工液を用いたカーテン塗工方式で形成され、かつ最上層に接する下塗り層の顔料が、下記AまたはBの少なくとも1つを満足する顔料であり、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であり、かつ下塗り層としてCを満たすことを特徴とする。
A:90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である顔料。
B:平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子。
C:最上層に接する下塗り層が、1mmあたり10〜1000個の凸状部を有し、かつ前記凸状部の平均高さhが、最上層厚みdに対し、0.1d≦h≦0.8dである下塗り層。
シート状基材の少なくとも一面上に、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる顔料塗工シートにおいて、少なくとも1層以上の下塗り層を有し、最上層が、静的表面張力40mN/m以下の塗工液を用いたカーテン塗工方式で形成され、かつ最上層に接する下塗り層の顔料が、下記AまたはBの少なくとも1つを満足する顔料であり、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であり、かつ下塗り層としてCを満たすことを特徴とする。
A:90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である顔料。
B:平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子。
C:平均粒径2.0〜25.0μmである球状粒子を、前記下塗り層中の全顔料中、0.5〜10質量%含有する下塗り層。
前記最上層に接する下塗り層を設ける方法として、ブレード塗工方式を使用することが好ましい。
前記球状粒子が、球状炭酸カルシウムであることが好ましい。
さらに、前記最上層に接する下塗り層を設けるシートとして、平均粒径5.0〜40.0μmである球状粒子による、表面の凸状部を有するシートを使用することが好ましく、該下塗り層を設けるシートとして、表面に球状炭酸カルシウムによる凸状部を有するシートが好ましい。球状炭酸カルシウムとしては、カルサイト結晶、バテライト結晶のいずれかである軽質炭酸カルシウムであることがより好ましい。
本発明者らは上記の目的を達成するため、カーテン塗工における問題点の発生原因について鋭意研究した結果、特定の下塗り層を設けた後にカーテン塗工方式により塗工層を形成した場合、白紙品質ならびに印刷品質に優れる顔料塗工シートを、塗工欠陥の発生なく効率的に生産できることを見出した。
本発明者らは、シート状基材の少なくとも一面上に、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる顔料塗工シートにおいて、少なくとも1層以上の下塗り層を有し、最上層を形成する方法が表面張力40mN/m以下の塗工液を用いたカーテン塗工方式であり、かつ最上層に接する下塗り層が、A:塗工層中の顔料が、90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である、B:塗工層中の顔料が平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子である、C:最上層に接する下塗り層が、1mmあたり10〜1000個の凸状部を有し、かつ該凸状部の平均高さhが、カーテン塗工にて形成される最上層厚みdに対し、0.1d≦h≦0.8dである、D:平均粒径2.0〜25.0μmである球状粒子を、前記下塗り層中の全顔料中、0.5〜10質量%含有する下塗り層という4条件に対し、最上層に接する下塗り層の顔料が、下記AまたはBの少なくとも1つを満足する顔料であり、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であり、かつ下塗り層としてCまたはDを満たすことにより、白紙品質ならびに印刷品質に優れる顔料塗工シートを、効率よく生産できることを見いだした。なお、平板粒子とそれ以外の粒子を併用する場合、平板状粒子としてAまたは/およびBの条件を満たし、平板粒子以外の粒子がAの条件を満たせばよい。
なお、顔料の平均粒径については、0.1%ナンカリン溶液中に顔料が1%となるようにミキサーで分散し、その後30分間超音波分散を行った。この試料溶液をMicromeritics社製SediGraph5100にて測定し、累積50%重量径をその粒子の平均粒径とし、併せて3.0μm以下および1.0μm以下の粒径割合を測定した。
また、平板状粒子のアスペクト比については、平板状粒子のみを含有する塗工層を作成し、これを電子顕微鏡にて長径aおよび厚みbを観察した結果により決定した。
顔料塗工紙において、下塗り層を設けることにより塗工紙の平滑性を向上させ、白紙品質・印刷品質が向上することは広く知られている。なかでもブレード塗工により設けられた塗工層表面は、同じ原材料を使用したロール塗工方式やエアナイフ塗工方式等、他の塗工方式で得られる顔料塗工シートと比較して、非常に平滑に仕上がっている。このため、下塗り層をブレード塗工方式で設けた後に上塗り層を設けることにより、得られる顔料塗工シートは白紙光沢・平滑性に優れた物となる。より白紙光沢・平滑性を向上させるためには下塗り層の平滑性を向上させればよいのであるが、上塗り層をブレード塗工方式にて設ける場合にはストリークと呼ばれる筋状の塗工欠陥が生じて生産効率に劣るため、平滑化には限界がある。カーテン塗工方式にて上塗り層を設ける場合、下塗り層の平滑性が非常に優れる場合でもストリークと呼ばれる塗工欠陥は発生しないという利点を有するものの、前述したようにパドリングと呼ばれる塗工欠陥が発生する。これを回避するには下塗り層の平滑性を下げなければならないが、この場合上塗り層を設けた後に得られる顔料塗工シートの白紙光沢・平滑性も低下する結果となってしまう。
本発明による顔料塗工シートは、下塗り層を設けて基材を平滑化し、好ましくは最も平滑な塗工層を得られるブレード塗工方式を用いるわけであるが、上塗り塗工層を設けた後に得られる顔料塗工シートの白紙光沢・平滑性を良好とするために、最上層に接する下塗り層中の顔料として、塗工層中の顔料が平板粒子であり、平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000であること、および/または塗工層中の顔料が平板粒子以外であり、90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下の顔料であり、かつ下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であることが重要である。
しかしながら、この条件では平滑性には優れるものの、最上層を設けるカーテン塗工時にパドリングによる塗工欠陥が発生してしまうため、これを回避するために動的接触線において過剰な塗工液の蓄積を防止すべく、下塗り後の塗工層表面に、1mmあたり10〜1000個の凸状部を有する必要がある。さらに、最上層を設けた後の平滑性低下を防止するため、該凸状部の平均高さhが、カーテン塗工にて形成される最上層厚みdに対し、0.1d≦h≦0.8dであることが必要となる。また、カーテン膜を安定して形成するためには、デュニューイリング法やウィルヘルミープレート法にて測定される、塗工液の静的な表面張力を40mN/m以下とすることも必要である。
本発明によって得られる顔料塗工シートは、カーテン膜が基材に接触した際に、最上層に接する下塗り層表面に存在する凸部がカーテン膜を基材の進行方向に引っ張る効果があり、動的接触線において過剰な塗工液が蓄積して発生するパドリングを効果的に防止することができると共に、上塗り層を設けることにより該凸部は上塗り層中に埋没し、かつ凸状部上の塗工液がレベリングにより平滑化するため、最終的に得られる顔料塗工シートは平滑性に優れる物となる。凸状部を形成する方法として球状粒子を用いた場合、カーテン塗工後の塗工液のレベリングによる塗工層平滑化効果が優れるために好ましい。
最上層に接する下塗り層中の全顔料中、顔料の平均粒径が3.0μmを超える顔料が10質量%を超えると、得られる顔料塗工シートの平滑性が低下し好ましくない。また、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料という条件を満足し、かつ最上層に接する下塗り層中の顔料が、平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子を含有する場合は、顔料として、90質量%以上が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下であるという条件を満たさずとも、得られる塗工シートの平滑性は優れた物となるが、平均粒径が3.0μmを越える、あるいは該アスペクト比が1000を越える平板状粒子の場合、塗工紙表面に存在する該平板粒子の配向性が若干低下した場合でも平滑性が大きく低下するため、得られる顔料塗工シートの平滑性が低下する傾向が強く好ましくない。また、最上層に接する下塗り層中の顔料として、平均粒径が3.0μm以下であり、アスペクト比が10未満の平板状粒子の場合、その顔料の90質量%以上が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である場合には何ら問題とならないが、該粒径分布条件をはずれる場合には、平均粒径3.0μm以下の平板状粒子であっても下塗り層表面の平滑性を損ない、結果として得られる塗工紙の平滑性等の白紙品質が低下する。
最上層に接する下塗り層上の凸部の個数が1mmあたり10個未満である場合、凸部によるカーテン膜の引っ張り効果が低下してパドリング防止の効果が低下し、他方1000個を越えると平滑性が低すぎて得られる顔料塗工シートの平滑性が劣ることとなる。パドリングの防止効果と、得られる顔料塗工シートの平滑性との両立の観点から、最上層に接する下塗り層上の凸部の個数は、1mmあたり100〜600個であることがより好ましい。
最上層に接する下塗り層中の凸部の平均高さhが、カーテン塗工にて形成される最上層厚みdに対し0.1d未満の場合、パドリングを防止する効果が得られにくく、他方0.8dを越える場合には、凸部高さが高すぎて微小未塗工部の発生防止効果に劣る可能性があり、また上塗り層を設けた後にも凸部が観察されることがあるため、結果として得られる顔料塗工シートの平滑性が低下してしまったり、凸部上の上塗り塗工層厚みが極端に薄くなることから印刷品質が低下する。
最上層に接する下塗り層中に凸部を形成する手法としては、該下塗り塗工液中に平均粒径2.0〜25.0μmである球状粒子を、該下塗り層層中の全顔料中、0.5〜10質量%含有させることで達成できる。該球状粒子が球状炭酸カルシウムであると、他の原材料との相性が良く、また安価であることからさらに好ましい。また、炭酸カルシウム球状粒子としては、重質炭酸カルシウムよりも軽質炭酸カルシウムの方が真球性が高くできるために好ましい。さらに、軽質炭酸カルシウムのうち、カルサイト結晶およびバテライト結晶が好ましく、球状粒子表面の平滑性が高い方が最終的に得られる塗工シートの平滑性には優れるため、球状粒子表面の平滑性・真球性に優れるバテライト結晶の球状軽質炭酸カルシウムがより好ましい。
ちなみに、凸状部を形成するために含有される下塗り塗工層中に含有される球状粒子の平均粒径が2.0μm未満の場合、通常の塗工量では下塗り後に凸状部を形成することは難しく、他方25.0μmを越えると上塗り塗工層を設けた後でも一部の球状粒子が被覆されず、得られる顔料塗工シートの平滑性が低下してしまったり、粒子上の上塗り塗工層厚みが極端に薄くなることから印刷品質が低下するおそれがあるほか、本発明で最上層に接する下塗り層を形成する際に好ましく用いられるブレード塗工方式では、球状粒子がブレードにて掻き落とされてしまい、所望の量を該下塗り層中に含有せしめることが困難となる。
また、含有量として0.5質量%未満であると平均粒径2.0〜25.0μmである球状粒子を添加しても凸状部個数が少なく、パドリング防止効果に劣り、他方10質量%を越えると上塗り塗工層を設けた後に得られる顔料塗工シートの平滑性が低下するおそれがある。
なお、平均粒径が同じでも粒度分布が広い場合、微小粒子は塗工層中で他の顔料と同様の作用を持つことから問題とならないが、粗大粒子により平滑性の低下等の問題を起こす可能性がある。このため凸状部を形成するために含有される下塗り塗工層中の球状粒子の粒子径分布として、好ましくは平均粒径の2倍を超える粒子の割合が5質量%以下、好ましくは同割合が1質量%以下、更に好ましくは平均粒径の1.5倍を超える粒子の割合が5質量%以下である。また、塗工適性および塗工欠陥防止効果のバランスの観点から、凸状部を形成するために最上層に接する下塗り塗工層中に含有される球状粒子の平均粒径としては、5.0〜15.0μmがより好ましい。
本発明で言う球状粒子とは、有機・無機粒子を問わず、その粒子の最大直径daと最小直径dbの比率da/dbが1≦da/db≦1.6、好ましくは1≦da/db≦1.2を満たすものであり、例えば真球状およびそれに類する物、真球の球上に凹凸を有する形状、卵型で上記比率を満たすものおよびその表面に凹凸を有して上記比率を満たすもの等を言う。
また、前記最上層に接する下塗り塗工層を設ける前のシートとして、あらかじめ表面に球状粒子による凸状部を有するシートを使用することも可能であり、この場合、平均粒径5.0〜40.0μmである球状粒子により形成された凸状部上に最上層に接する下塗り塗工層が設けられ、その結果、最上層に接する下塗り後の塗工層表面に、1mmあたり10〜1000個の凸状部を有し、かつ該凸状部の平均高さhが、カーテン塗工にて形成される上塗り層塗工層厚みdに対し、0.1d≦h≦0.8dであることで、本発明所望の結果を得ることができる。該シートとして表面に球状炭酸カルシウムによる凸状部を有するシートを使用することが好ましい。
前記最上層に接する下塗り塗工層の中に球状粒子を含有する場合、およびあらかじめ表面に凸状部を有するシートに前記最上層に接する下塗り塗工層を塗工する場合のいずれにおいても、球状粒子が球状炭酸カルシウムであると他の原材料との親和性が良いために好ましく、さらに、球状炭酸カルシウムがカルサイト結晶、バテライト結晶のいずれかである軽質炭酸カルシウムであると更に好ましい。球状粒子表面の平滑性が高い方が最終的に得られる塗工シートの平滑性には優れるため、球状粒子表面の平滑性・真球性に優れるバテライト結晶の球状軽質炭酸カルシウムが好ましい。
このようにして形成された下塗り層上の凸状部は、下塗り層に用いられる顔料粒径の調整に破砕処理等を必要とすることなく、さらにセルロース繊維を主成分とする紙基材の凹凸と比較した場合、非常に効果的に凸状部高さのばらつきを小さくすることができ、そのうえ凸状部の高さの分布が最上層に接する下塗り層に用いる特定の粒子径を持つ球状粒子により任意に調整できる事から、上塗り層をカーテン塗工にて設ける際にパドリングを効果的に防止できると共に、セルロース繊維を主成分とする紙基材のように大きな凹凸が原因となって発生する、カーテン膜のμmオーダーでの破断による微小未塗工部の発生を効果的に防止できる。
カーテン塗工においては、塗工速度の上昇に従って空気同伴現象による塗工欠陥の発生が懸念されるが、本発明においても、これまで各種提案されてきた空気同伴抑制装置が使用でき、例えばバー・ロール・ブレード等の形状の同伴空気遮断治具を走行している基材に接触、または数mm以下の距離に保ち動的接触線の直前に配置する方法、カウンターエアーまたは減圧装置にて同伴空気を遮断する方法、水蒸気により同伴空気を置換する方法などが使用できる。
本発明で用いられる球状粒子としては無機・有機球状粒子共に使用することができる。無機粒子としては、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、密実あるいは中空のガラス粒子、シリカビーズ、球状微粉末シリカ集合体等が挙げられる。また、有機粒子としては密実型・中空型・貫通孔型である、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等が挙げられる。無機粒子・有機粒子の中から必要に応じて1種以上が適宜選択して用いられる。
基材としては特に限定されず、セルロース繊維を主体とした紙基材、ポリプロピレン等を使用し填料等を混和/あるいは微細な気泡を含有する合成紙、表面をコロナ処理すること等により塗被層の定着性を向上させたポリオレフィン系フィルム等が使用できる。
紙基材を形成するパルプについては、製法や種類等について特に限定するものではなく、KP、SPのような化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、ECFパルプやTCFパルプ等の塩素フリーパルプ、脱墨パルプのような古紙パルプ、あるいはケナフ、バガス、竹、藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機質繊維も使用出来る。
また、紙基材中には、必要に応じて填料が配合出来る。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの密実型、微小中空型、貫通孔型の粒子である有機顔料が挙げられる。
なお、紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、定着剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤を、必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も紙の用途に応じて適宜添加することができる。
紙基材の抄紙方法については特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、また中性サイズ剤および/または炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み、抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等、全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機等の通常用いられている抄紙機を適宜使用することができる。
本発明の顔料塗工シートに用いる塗工層中の顔料としては、本発明において好ましく使用される顔料の他に、本発明所望の効果を損なわないように一般的に使用される顔料が使用でき、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の密実型、中空型、あるいは貫通孔型樹脂等の有機顔料も用いることが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられる。
接着剤としては、水溶性および/または水分散性の高分子化合物を用いることができ、例えばカチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂等の合成高分子化合物等が例示でき、上記の中から目的に応じて1種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明に用いる塗工液中には、前述した顔料や接着剤の他に各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、保水剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、防腐剤、香料等を、本発明の所望の効果を失わないように、必要に応じて適宜使用することも可能である。
本発明の塗工層の乾燥後塗工量は、特に限定されるものではないが、下塗り層の塗工量としては、2〜20g/m程度、上塗り層の塗工量としては、1〜20g/m程度であり、下塗り層と上塗り層を合わせた塗工量としては、一般的に紙基材の片面に対し3〜40g/m、好ましくは4〜25g/mである。塗工量が3g/mに満たない場合、塗工層を原紙上に形成する効果が現れにくく、他方40g/mを超えると高速塗工時において急激な乾燥が必要となり、結果バインダーマイグレーションによりモトリング等の印刷障害の発生や印刷強度の低下が発生する可能性が高くなるため、上記にて規定する範囲の塗工量が好ましい。
塗工層の乾燥方法については特に限定されず、エアードライヤー、シリンダードライヤー、IRドライヤー等一般に使用される乾燥方法が使用できる。
顔料塗工シートの水分としては、紙基材を用いた場合、紙基材上に塗工層を設けて通常の乾燥工程後、または必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理された後、水分が3〜10%、好ましくは4〜8%程度となるように調整して仕上げられる。
また平滑化処理する際は、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ等の平滑化処理装置を用いてオンマシンやオフマシンにて行われ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節される。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが,本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」及び「%」は特に断わらない限り、「質量部(固型分)」及び「質量%」を示す。
実施例1
・シート状基材の作成
LBKP(フリーネス(CSF)=400ml)95部、NBKP(フリーネス(CSF)=410ml)5部のパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(PC:白石カルシウム製)を灰分が7部となるように添加し、対パルプ100部当り澱粉1.5部、アルケニル無水コハク酸0.1部、および硫酸バンド0.6部を添加した紙料を用いて長網抄紙機で抄紙し、その抄紙工程中で澱粉の塗工量が片面あたり乾燥重量で1g/mとなるよるようにサイズプレス装置で塗工・乾燥させ、マシンキャレンダで王研式平滑度が35秒になるように平滑化処理して、坪量が67g/mのシート状基材を得た。
・下塗り塗工液の調製
FMT−90(成分;重質炭酸カルシウム、粒径3.0μm以下97質量%、粒径1.0μm以下64質量%、株式会社ファイマテック製)100部に、平均粒径9μmの球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)2部、澱粉(商品名;エースB、王子コーンスターチ社製)10部、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名;0695、JSR社製)5部を添加・撹拌し、さらに水を加えて、固形分濃度が64%の下塗り塗工液を調製した。
・上塗り塗工液の調製
ミラグロス91(成分;カオリン、エンゲルハード社製)90部に、水および分散剤(商品名;アロンA−9、東亞合成社製)0.1部を加え、コーレス分散機にて分散し、固形分72%のカオリン分散液を得た。この分散液に固形分75%のFMT−97(成分;重質炭酸カルシウム、株式会社ファイマテック製)を固形分として10部を加え、顔料スラリーを調製した。この顔料スラリー100部に対して、澱粉(商品名;エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名;0619、JSR社製)12部、表面張力調整剤(商品名;ダプロW−77、サンノプコ社製)0.3部を添加・撹拌し、さらに水を加えて、固形分濃度が58%の上塗り塗工液を調製した。この上塗り塗工液の表面張力は33mN/mであった。
・顔料塗工シートの作成
シート状基材上に下塗り塗工液を片面当たり乾燥重量で10g/mとなるようにロールコーターを用いて1000m/minにて両面塗工、熱風乾燥し、ついで上塗り塗工液を片面当たり乾燥重量で9g/mとなるようにカーテンコーターを用いて1000m/minにて両面塗工、熱風乾燥して、坪量が105g/mの顔料塗工シートを得た。
実施例2
実施例1において、下塗り塗工液の塗工方法をロールコーターからブレードコーターに変更した以外は、実施例1と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例3
実施例2において、下塗りおよび上塗り塗工液の塗工速度を1300m/minとした以外は、実施例2と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例4
実施例3において、下塗り塗工液中の球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)を、平均粒径10μmの球状軽質炭酸カルシウム(商品名;ED−X、米庄石灰工業社製)に変更した以外は、実施例3と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例5
実施例4において、下塗り塗工液中のFMT−90の部数を50部とし、コントラスト(成分;カオリン、平均粒径0.6μm、アスペクト比25、エンゲルハード社製)50部および分散剤(商品名;アロンA−9)0.05部を別途分散してカオリンスラリーとして加えて下塗り塗工液を調製した以外は、実施例4と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例6
実施例4において、下塗り塗工液中のFMT−90を、コントラストに変更して分散剤(商品名;アロンA−9)0.1部を加えてカオリンスラリーとした後に下塗り塗工液を調製した以外は、実施例4と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例7
実施例3において、下塗り塗工液中の球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)を、平均粒径15μmの球状粒子(商品名;MX−1500H、成分;架橋アクリル粒子、綜研化学社製)に変更し、添加部数を2部から3部に変更し、下塗り塗工量を15g/m、上塗り塗工量を14g/mとして得られる顔料塗工シートの坪量を125g/mとした以外は、実施例3と同様に顔料塗工シートを得た。
実施例8
・シート状基材の作成
実施例1において、サイズプレス装置で澱粉100部に対して平均粒径20μmの球状軽質炭酸カルシウム(商品名;ED−XX、米庄石灰工業社製)15部を加えた澱粉塗工液を、片面あたり1.5g/mとなるように塗工・乾燥し・マシンキャレンダ処理し、坪量が68g/mのシート状基材を得た。
・顔料塗工シートの作成
シート状基材に、実施例1の下塗り塗工液の平均粒径9μmの球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)2部を0部とした下塗り塗工液を、片面当たり乾燥重量で10g/mとなるようにロールコーターを用いて1000m/minにて両面塗工、熱風乾燥し、ついで実施例1の上塗り塗工液を片面当たり乾燥重量で9g/mとなるようにカーテンコーターを用いて1000m/minにて両面塗工、熱風乾燥して、坪量が106g/mの顔料塗工シートを得た。
比較例1
実施例2において、下塗り塗工液中のFMT−90をFMT−60(成分;重質炭酸カルシウム、粒径3.0μm以下79質量%、粒径1.0μm以下42質量%、株式会社ファイマテック製)に変更した以外は、実施例2と同様に顔料塗工シートを得た。
比較例2
実施例2において、下塗り塗工液中の球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)添加部数を2部から0部とした以外は、実施例2と同様に顔料塗工シートを得た。得られた下塗り層表面には、凸状部は観察されず、カーテンコーターによる上塗り塗工液を塗工時にパドリングが発生し、得られた顔料塗工シートの表面性は、著しく低下した。
比較例3
実施例2において、下塗り塗工液中の球状架橋アクリル粒子(商品名;MR−10G、綜研化学社製)添加部数を2部から20部とした以外は、実施例2と同様に顔料塗工シートを得た。
比較例4
実施例2において、表面張力調整剤ダプロW−77の添加部数を0.3部から0部に変更した以外は、実施例2と同様に顔料塗工シートを得ようとしたが、カーテン膜の膜切れにより大きな塗工欠陥が発生した。この際の上塗り塗工液の表面張力は52mN/mであった。
比較例5
実施例4において、ED−Xを異なる球状粒子(商品名;MR−60G、平均粒径60μm、成分;架橋アクリル粒子、綜研化学社製)に変更した以外は実施例4と同様にして顔料塗工シートを得た。得られた下塗り層表面には、凸状部はほとんど観察されず、カーテンコーターによる上塗り塗工液を塗工時にパドリングが発生し、得られた顔料塗工シートの表面性は、著しく低下した。
上記実施例および比較例で得られた顔料塗工シートは、同一条件にて金属ロールと弾性ロールで構成された加圧ニップで通紙して、各評価用顔料塗工シートを得た。かくして得られた顔料塗工シートについて下記の評価試験をおこない、得られた結果を表1に記載した。なお、平均粒径および粒子径分布の測定法、下塗り層表面凸状部個数、下塗り層表面凸状部平均高さおよび上塗り層厚みの測定法も併せて記載した。
・平均粒径および粒子径分布
0.1%ナンカリン溶液中に顔料が1%となるようにミキサーで分散し、その後30分間超音波分散を行った。この試料溶液をMicromeritics社製SediGraph5100にて測定し、累積50%重量径をその粒子の平均粒径とし、また必要に応じて3.0μmおよび1.0μm以下の粒径割合を測定した。
・下塗り層表面凸状部個数
電子顕微鏡により、観察倍率100倍もしくは500倍にて塗工紙表面100mmを観察し、1mmあたりの凸部個数としてまとめた。
・下塗り層表面凸状部平均高さ
白色光干渉型顕微鏡(Zygo社NewView200型)を用い、凸部100個当たりの平均高さを求めた。
・上塗り層厚み
得られた顔料塗工シートの断面について、電子顕微鏡により観察倍率1000倍にて観察し、上塗り層厚みを計測した。
・白紙光沢度評価
TAPPI試験法:T 480 om−92(TAPPI Test Method T 480 om−92)に準じて、光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定した。
・微小未塗工部評価
塗工紙の微小未塗工部発生状態を、電子顕微鏡により、観察倍率100倍にて観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:微小未塗工部の発生が全くなく、優れている。
○:微小未塗工部の発生がごくわずか認められるが、問題のないレベルである。
△:微小未塗工部が発生しており、実用上問題となるレベルである。
×:微小未塗工部が多く発生しており、実用上大きな問題となるレベルである。
・顔料塗工シートの印刷条件
三菱重工業社製オフセット4色印刷機を用い、下記条件で印刷した。
環境 :20℃、65%RH
印刷速度:8000枚/分
印刷量 :8000枚
乾燥条件:ガスヒーターを用い、紙面温度150℃に調整
パウダー:シリコーンコーティング澱粉、粒径25μm
・印刷仕上がり
上記により得られたオフセット印刷物の、印刷平滑性・アイムラ印刷仕上がりについて、目視で総合的に評価した。結果は10段階評価で示し、点数が高いほど印刷物の仕上がりが良好であることを示す。一般印刷用紙としては、上記評価にて8点以上が必要である。
Figure 0004438580

Claims (7)

  1. シート状基材の少なくとも一面上に、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる顔料塗工シートにおいて、少なくとも1層以上の下塗り層を有し、最上層が、静的表面張力40mN/m以下の塗工液を用いたカーテン塗工方式で形成され、かつ最上層に接する下塗り層の顔料が、下記AまたはBの少なくとも1つを満足する顔料であり、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であり、かつ下塗り層としてCを満たすことを特徴とする顔料塗工シート。
    A:90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である顔料。
    B:平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子。
    C:最上層に接する下塗り層が、1mmあたり10〜1000個の凸状部を有し、かつ前記凸状部の平均高さhが、最上層厚みdに対し、0.1d≦h≦0.8dである下塗り層。
  2. シート状基材の少なくとも一面上に、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けてなる顔料塗工シートにおいて、少なくとも1層以上の下塗り層を有し、最上層が、静的表面張力40mN/m以下の塗工液を用いたカーテン塗工方式で形成され、かつ最上層に接する下塗り層の顔料が、下記AまたはBの少なくとも1つを満足する顔料であり、下塗り層の全顔料中、90質量%以上が平均粒径3μm以下の顔料であり、かつ下塗り層としてCを満たすことを特徴とする顔料塗工シート。
    A:90質量%以上の粒子が粒子径3.0μm以下であり、かつ55質量%以上が1.0μm以下である顔料。
    B:平均粒径が3.0μm以下であり、かつ長径aおよび厚みbに対して計算されるアスペクト比a/bが10〜1000である平板状粒子。
    C:平均粒径2.0〜25.0μmである球状粒子を、前記下塗り層中の全顔料中、0.5〜10質量%含有する下塗り層。
  3. 前記最上層に接する下塗り層が、ブレード塗工方式により設けられた請求項1または2記載の顔料塗工シート。
  4. 前記球状粒子が、球状炭酸カルシウムである請求項2記載の顔料塗工シート。
  5. 前記最上層に接する下塗り層を設けるシートが、平均粒径が5.0〜40.0μmの球状粒子による、表面の凸状部を有するシートである請求項1または3記載の顔料塗工シート。
  6. 前記球状粒子が、球状炭酸カルシウムである請求項5記載の顔料塗工シート。
  7. 球状炭酸カルシウムが、カルサイト結晶、バテライト結晶のいずれかである軽質炭酸カルシウムである請求項4または6記載の顔料塗工シート。
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