JP2006131959A - 真空脱ガス精錬を用いる高清浄鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストアップなどの製造工程への負荷を増加することなく、真空槽内に付着する地金などが、真空槽内の溶鋼清浄度に悪影響を及ぼす問題点、特に溶鋼清浄度のばらつきを低減させる高清浄鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】浸漬管1を介して真空槽2内に吸上げた溶鋼6を減圧した真空槽2内で攪拌して真空脱ガス精錬を行い、高清浄鋼を製造する方法である。前記真空脱ガス処理中に真空槽内を大気圧まで復圧し、一旦、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出する。その後、再び真空脱ガス処理を行う。
【効果】清浄度のばらつきが無い溶鋼を安定して製造できる。
【選択図】図1
【解決手段】浸漬管1を介して真空槽2内に吸上げた溶鋼6を減圧した真空槽2内で攪拌して真空脱ガス精錬を行い、高清浄鋼を製造する方法である。前記真空脱ガス処理中に真空槽内を大気圧まで復圧し、一旦、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出する。その後、再び真空脱ガス処理を行う。
【効果】清浄度のばらつきが無い溶鋼を安定して製造できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、真空脱ガス精錬を用いる清浄度が高い溶鋼の安定的製造方法に関するものである。
RH法やDH法に代表される真空脱ガス精錬法は、製鋼工程で広く採用されており、特に鋼の清浄性に関するニーズの高度化に対応してきている。そして、近年では、清浄度のばらつき、すなわち突発的な清浄度の異常を皆無とすることが求められている。
しかしながら、従来の清浄度のばらつきを抑制する技術は、処理コストがアップしたり、費用を要する設備改造を必要としたり、製造工程のスケジュールが規制されるなど、製造工程に何らかの負荷がかかることでしか対応できていなかった。
例えば、取鍋精錬炉(LF)により還元精錬を行った後に、取鍋スラグの表面にカーボン粒を添加し、ついで還元真空脱ガス処理(RH脱ガス処理)を行った後、再度LFに戻し、溶鋼をバブリングガスにより弱攪拌することで、スラグ中および溶鋼中の酸化物系介在物を低減し、清浄度の高い鋼材を得る技術が提案されている。
特開2003−253325号公報
また、取鍋低部より撹拌用ガスを吹き込んで浸漬管内のスラグを真空槽外に排出させると共に、脱炭精錬を行い、続いて脱酸剤を添加した後一旦復圧し、浸漬管を溶鋼上に存在するスラグ面よりも上方へ上昇させ、次いで浸漬管を溶鋼内に再び浸漬して取鍋低部より撹拌用ガスを吹き込みつつ浸漬管内を減圧処理することで、取鍋スラグ中の酸化鉄濃度を1質量%以下とする高清浄度溶鋼の製造方法が提案されている。
特開平6−212243号公報
一方、槽内の付着地金や真空槽内に吸い込まれた取鍋スラグが、脱ガス処理中、溶鋼清浄度に悪影響を及ぼすことが知られている。
その対策として、例えば上吹きランスから酸素と燃料ガスを真空槽内の付着地金に吹き付けて低減しようとする提案が広く知られている。
特開平7‐292411号公報
特開平6‐73434号公報
その対策として、例えば上吹きランスから酸素と燃料ガスを真空槽内の付着地金に吹き付けて低減しようとする提案が広く知られている。
また、真空脱ガス装置の浸漬管の先端に、取鍋のスラグ厚さより高い周壁高さの周壁板と前記浸漬管の管径より大きな内径の底板からなるタライ型容器を被せて、処理開始時の真空槽内への取鍋スラグ吸込みを低減する提案がなされている。
特開2002‐38213号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、カーボン添加と、合計3段階の二次精錬工程を要するという点で、コストアップとなると共に製造工程スケジュールが規制されて生産性の低下を招く。
また、特許文献2に記載の技術は、取鍋低部より撹拌用ガスを吹き込むためには特別な装置が必要であり、また、取鍋スラグを積極的に溶鋼と接触させて還元処理するために、Alの歩留低下を招くことから、一般的な溶鋼処理に適する方法ではない。
また、特許文献3,4に記載の技術は、高温溶鋼を処理する過酷な環境下では、槽内地金を皆無とする事は事実上不可能である。また、これらの槽内地金が脱ガス処理中に落下し、溶鋼の清浄度を悪化させる事が回避できないという問題が有る。
また、特許文献5に記載の技術は、タライ型容器取付けのための暑熱作業を作業者に強いることになり、また、取付けのための装置を必要とするのみならず、上述の真空槽内に付着する地金に関する対策がなされていない。
本発明が解決しようとする問題点は、従来方法では、コストアップなどの製造工程への負荷を増加することなく、真空槽内に付着する地金などが、真空槽内の溶鋼清浄度に悪影響を及ぼす問題点、特に溶鋼清浄度のばらつきを低減させることができないという点である。
本発明の高清浄鋼の製造方法は、
コストアップなどの製造工程への負荷を増加することなく、溶鋼清浄度のばらつきを低減させるために、
浸漬管を介して真空槽内に吸上げた溶鋼を減圧した真空槽内で攪拌して真空脱ガス精錬を行う方法において、
前記真空脱ガス処理中に真空槽内を大気圧まで復圧し、
一旦、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出した後、
再び真空脱ガス処理を行う点を最も主要な特徴としている。
コストアップなどの製造工程への負荷を増加することなく、溶鋼清浄度のばらつきを低減させるために、
浸漬管を介して真空槽内に吸上げた溶鋼を減圧した真空槽内で攪拌して真空脱ガス精錬を行う方法において、
前記真空脱ガス処理中に真空槽内を大気圧まで復圧し、
一旦、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出した後、
再び真空脱ガス処理を行う点を最も主要な特徴としている。
本発明では、コストアップなどの製造工程上の負荷を増加することなく、真空槽内の溶鋼中に落下した地金が、環流溶鋼とともに攪拌しないようにできるので、清浄度のばらつきが無い溶鋼を安定して製造できるという利点がある。特に、溶鋼の清浄度が、従来問題であったRH脱ガス設備の真空槽内の地金に影響されなくなるので、その操業上の制約が解消できる。
以下に、発明に至った経緯も含め、本発明の実施の形態について説明する。
本発明方法を実施する際に使用する真空脱ガス精錬装置は、溶鋼精錬に一般的に使用されるもので良い。例えば、図1に示すような、上昇管1aと下降管1bからなる浸漬管1と、真空槽2および真空排気系へと繋がる排気ダクト(図示せず)が設置されたRH脱ガス装置を使用する。
本発明方法を実施する際に使用する真空脱ガス精錬装置は、溶鋼精錬に一般的に使用されるもので良い。例えば、図1に示すような、上昇管1aと下降管1bからなる浸漬管1と、真空槽2および真空排気系へと繋がる排気ダクト(図示せず)が設置されたRH脱ガス装置を使用する。
真空槽2の上部に、ガス、燃料、フラックス等を吹き込むランス等(図示せず)が設けられていても良いが、真空槽2内への地金3の付着を低減させるための例えばバーナーを備えていることが望ましい。
また、取鍋4の底吹き攪拌機能(図示せず)の有無や、昇降装置5が取鍋4側に設置されているか、真空槽2側に設置されているか(図1は、昇降装置5は取鍋4側に設置されているものを示している。)等は、本発明方法を実施するに際しては関係なく、いずれであっても良い。なお、図1中の6は真空脱ガス処理をする取鍋4内の溶鋼、7は取鍋4内の溶鋼6上面に供給された取鍋スラグを示す。
まず本発明者は、溶鋼の清浄度が、真空脱ガス処理中のどのような時に悪化し、清浄度のばらつきを生じさせるのかについて綿密に調査した。調査には一般的なRH脱ガス装置を使用し、特に溶鋼処理中の清浄度(例として全酸素量について調査した。)の推移に着目した。代表的な結果の例を図2に示す。図2の結果を得た試験条件の概要は以下の通りである。
(1)一般的な転炉で、〔C〕濃度4.4質量%の溶銑70トンを酸素で吹錬し、吹止め〔C〕濃度を0.35〜0.40質量%の範囲、温度を1650℃±10℃の範囲とした。
(2)転炉出鋼中にAl、Mn等で脱酸を施し、RH到着時点ではS45Cの一般的な成分組成とした。
(3)RHでは、真空度を1.33×102Pa以下に調節し、環流ガスはArを60Nm3/hrとした。
(4)使用した溶鋼及び取鍋スラグの化学成分は下記表1に示した通りであり、数多い試験の中から、ほぼ同等な溶鋼成分、取鍋スラグ成分となったものを選択した。
(5)全酸素量の測定は、取鍋内溶鋼からボンブサンプル採取したものを分析に供した。
(2)転炉出鋼中にAl、Mn等で脱酸を施し、RH到着時点ではS45Cの一般的な成分組成とした。
(3)RHでは、真空度を1.33×102Pa以下に調節し、環流ガスはArを60Nm3/hrとした。
(4)使用した溶鋼及び取鍋スラグの化学成分は下記表1に示した通りであり、数多い試験の中から、ほぼ同等な溶鋼成分、取鍋スラグ成分となったものを選択した。
(5)全酸素量の測定は、取鍋内溶鋼からボンブサンプル採取したものを分析に供した。
図2に示したように、従来の知見通り、RH環流時間が長いほど全酸素量は低減する傾向にあったが、図2に矢印で示すように、ヒート例1(△印)、ヒート例2(○印)共に、RH還流時間が長くなっても全酸素量が増加する場合が発生した。そして、これら増加した全酸素量が元のレベルまで低減するのにかなりの時間を要することが判明した。
本発明者は、これらの知見と、従来より清浄度がばらつく要因が解明されていなかったことが深く相関していると推定し、なぜRH環流中に全酸素量の増加が発生するのかを解析した。解析には、一般的なRH脱ガス槽内監視カメラの映像をビデオ収録したものと、該当処理時の真空排ガス計(真空排気設備中に設置)で計測される排ガス濃度の推移を記録したチャートを用いた。この調査を、溶鋼環流用のArガス流量を一定とし、その他のガス(例えば酸素吹き、バーナー)は使用しない状態で行った。
その結果、以下の2点が判明した。
(A)全酸素量の増加時には、必ず排ガス中のCO濃度が増加する。前記ヒート例1では5.2%から10.8%に、また、ヒート例2では4.7%から8.5%に排ガス中のCO濃度が増加していた。
(B)全酸素量の増加時には、真空槽内の側壁に付着していた地金が真空槽内の溶鋼に落下する。
(A)全酸素量の増加時には、必ず排ガス中のCO濃度が増加する。前記ヒート例1では5.2%から10.8%に、また、ヒート例2では4.7%から8.5%に排ガス中のCO濃度が増加していた。
(B)全酸素量の増加時には、真空槽内の側壁に付着していた地金が真空槽内の溶鋼に落下する。
すなわち、真空槽内に付着した地金の不可避的な落下が、溶鋼清浄度に悪影響を及ぼしている、つまり清浄度のばらつきの原因となっていると推定できる。酸素ガスを使わない定常的な脱ガス処理中にも関わらず、排ガス中のCO濃度が増加したのは、地金中の酸素分が溶鋼中の炭素分と反応してCOガスが発生した結果と考えられ、このことからも真空槽内地金が溶鋼清浄度に悪影響を及ぼすことが推定できる。
そこで、本発明者は、前記地金が無い条件でRH脱ガス処理を試みた。つまり内張り煉瓦が新品の真空槽を使用して、RH脱ガス処理を行った。その一例として、下記表2のヒート例3に示す化学成分の溶鋼及び取鍋スラグでRH脱ガス処理を行い、その処理中の溶鋼全酸素量の推移を調査した結果を、図3に□印で示す。図3には比較として前述の図2を併せて示している。
その結果、
(a)RH脱ガス処理中に、全酸素量は増加せず、前述のヒート例1およびヒート例2よりも全酸素量が低い鋼が得られた。
(b)RH脱ガス処理中に、前記説明したCO濃度の増加や、当然のことながら地金の落下も無かった。
という結果が得られた。これらの結果から、本発明者は、真空槽内に付着する地金などが真空槽内の溶鋼中に落下することが、溶鋼清浄度のばらつきを招いていると確信するに至った。
(a)RH脱ガス処理中に、全酸素量は増加せず、前述のヒート例1およびヒート例2よりも全酸素量が低い鋼が得られた。
(b)RH脱ガス処理中に、前記説明したCO濃度の増加や、当然のことながら地金の落下も無かった。
という結果が得られた。これらの結果から、本発明者は、真空槽内に付着する地金などが真空槽内の溶鋼中に落下することが、溶鋼清浄度のばらつきを招いていると確信するに至った。
次に本発明者は、真空槽内の地金付着を皆無とする事を検討した。しかしながら、RH脱ガス設備は製鋼工程上重要な設備であり、日々連続的に脱ガス処理を行わなければならず、例えば真空槽内を保温加熱するバーナーを非処理中に使用しても、真空槽内の地金を完全に溶解除去するには至らなかった。また、高清浄度鋼を製造する度に、真空槽内の煉瓦を新品として地金付着が皆無となる条件をつくることは非現実的である。
よって、本発明者は、RH脱ガス処理中に真空槽内の付着地金が溶鋼中に落下しても、その悪影響を回避する手段が必要であるとの認識に至った。
そこで、本発明者はさらに以下のことを行った。
真空脱ガス処理の開始10分後に真空槽内の地金が落下した時点で、脱ガスを中断して真空槽内を大気圧に復圧し、一旦溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出し、その後再び真空脱ガス処理を行った(ヒート例4)。これが請求項1及び請求項2に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法である。
真空脱ガス処理の開始10分後に真空槽内の地金が落下した時点で、脱ガスを中断して真空槽内を大気圧に復圧し、一旦溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出し、その後再び真空脱ガス処理を行った(ヒート例4)。これが請求項1及び請求項2に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法である。
すなわち、請求項1及び請求項2に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法では、真空槽内の溶鋼中に落下した地金が、環流溶鋼とともに攪拌されないようにするため、真空槽内の溶鋼を落下地金と共に取鍋内に一旦排出して、落下地金を取鍋内上部に浮かすことで、溶鋼清浄度への悪影響を回避しようとしたのである。
その結果、図3に●印で示したように、全酸素量は増加せずに極めて低い鋼が得られた。真空脱ガスを中断して再度真空脱ガスを開始する迄の時間は、わずか92秒しか要しなかったが、これは図3によれば、真空槽内の付着地金の落下によって全酸素量が増加した場合と比較して極めて短い時間であり、また、真空槽の煉瓦を新品にした場合(ヒート例3:□印)と同等の、清浄度が高い鋼が得られている。
さらに、全酸素量の低減速度を向上させるべく、取鍋スラグの脱酸を行った。すなわち、真空槽内から排出した地金およびその付着スラグが取鍋スラグ上へ落下した部分は、当然、所謂低級酸化物濃度が高いと考えられるが、その部分にのみ金属Alを20質量%以上含有する材料を10kg(溶鋼1トン当り0.14kg)投入して低級酸化物の改質を行い、真空脱ガス処理を再開した。その一例を、表2および図3にヒート例5として示す。このヒート例5では、RH環流処理開始後11分に地金落下が観察されたため、その時点で脱ガス処理を中断して、一旦溶鋼を真空槽内から排出した。その後直ちに、地金が落下した部分へ金属Alを30質量%含有する材料を10kg(溶鋼1トン当り0.14kg)投入し、その後真空脱ガス処理を再開した。
その結果、図3に▲印で示したように、最も全酸素量の低減速度が大きいという結果が得られた。これは、真空脱ガス処理の再開後に真空槽内へ吸引されるスラグの酸化度が低減しているため、溶鋼環流時に清浄度への悪影響が無くなったものと考えられる。この方法では、真空槽内から排出した溶鋼およびスラグが取鍋スラグ上へ落下した部分へのみスラグ脱酸材を添加すれば良いため、その添加量は溶鋼1トン当り0.14kg以上と少なく、コストがかからないメリットが有る。これが請求項4に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法である。
この請求項4に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法において、金属Alを20質量%以上含有する材料を投入するのは、金属Alの含有量が20質量%未満であれば、還元剤としてのAl投入量に比べてAl2O3などの混入不純物の量が多くなり、還元剤の使用効率が低くなってしまうほか、取鍋スラグ組成に及ぼす影響も現れて高清浄鋼の安定溶製に好ましくない場合も生ずるからである。
また、金属Alを20質量%以上含有する材料を溶鋼1トン当り0.14kg以上投入するのは、落下地金に付着しているFeOやMnOなどの低級酸化物を還元するためのAl量が少なすぎると、還元剤の添加効果が十分に認められないからである。
なお、前述のように全酸素量の増加時には、必ず排ガス中のCO濃度が増加するので、真空槽内の大気圧への復圧を、真空脱ガス処理中に真空槽内の地金が落下した場合に行うことに代えて、真空脱ガス処理中に排ガス中CO濃度が上昇した場合に行うようにしても良い。これが請求項3に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法である。
この様に、本発明方法によれば、コストアップや製造工程スケジュールの規制など、製造工程の負荷を増加させずに、RH処理後の溶鋼中全酸素量が10ppm以下である高清浄度鋼を、RH還流処理時間が20分間以内の短時間で、安定して得られるようになった。
容量70トンのRH脱ガス装置を用いて、従来の操業と本発明に係る方法を用いた操業を行い、その効果を比較した。従来法、本発明法ともに、例示したヒートのRH到着までの条件は以下の通りである。
A)炭素濃度が4.4質量%の溶銑を上吹き転炉に装入して脱炭精錬を行い、炭素濃度を0.05〜0.06質量%の溶鋼とした。酸素吹錬後の温度は、1660〜1670℃である。
B)取鍋への出鋼の際に、脱酸剤および合金鉄を添加した。
C)取鍋をRH脱ガス装置に搬送した。
B)取鍋への出鋼の際に、脱酸剤および合金鉄を添加した。
C)取鍋をRH脱ガス装置に搬送した。
また、従来法、本発明法ともにRH真空脱ガス処理の条件は以下の通りである。
a)取鍋昇降装置を用いて、RHの浸漬管を溶鋼に浸漬し、真空度を1.33×102Pa以下とした。浸漬管の溶鋼への浸漬深さは、400〜450mmの間で調節した。
b)環流のための不活性ガスはArを用い、常時60Nm3/hrとした。ガス吹き込み管は上昇管に12個設置したものを使用した。
a)取鍋昇降装置を用いて、RHの浸漬管を溶鋼に浸漬し、真空度を1.33×102Pa以下とした。浸漬管の溶鋼への浸漬深さは、400〜450mmの間で調節した。
b)環流のための不活性ガスはArを用い、常時60Nm3/hrとした。ガス吹き込み管は上昇管に12個設置したものを使用した。
c)RH脱ガス設備は、煉瓦が新品でないもの、すなわち真空槽内には、地金付着が有る条件下で行った。
d)脱ガス処理中は、真空槽内や溶鋼を加熱しなかった。真空脱ガス処理中の真空槽内の状況を監視カメラの映像で、また、排ガス濃度計による排ガス濃度の推移も常時観察した。
e)脱ガス処理中の取鍋内溶鋼から、数分間隔でボンブサンプルを採取し、全酸素量の分析に供した。
d)脱ガス処理中は、真空槽内や溶鋼を加熱しなかった。真空脱ガス処理中の真空槽内の状況を監視カメラの映像で、また、排ガス濃度計による排ガス濃度の推移も常時観察した。
e)脱ガス処理中の取鍋内溶鋼から、数分間隔でボンブサンプルを採取し、全酸素量の分析に供した。
そして、真空槽内の付着地金が真空槽内の溶鋼へ落下した場合(この場合、必ず数秒後に排ガス中のCO濃度の増加をともなった)にも、真空脱ガス処理を継続したものを従来法とし、一旦真空槽内を大気圧に復圧し、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内の溶鋼を取鍋へ排出し、さらに再度真空脱ガス処理を継続した本発明法とを比較した。真空脱ガス処理中に地金の落下が無いヒートも有った。これも、本発明法の中で行った例として、参考のために後述する。
図4は、下記表3に示す化学成分の溶鋼を、従来法によりRH脱ガス処理を行った場合の、脱ガス処理中の溶鋼中全酸素量の推移を示した例である。従来法では、図4に矢印で示すように、ヒートA、ヒートB共に全酸素量が増加している部分がある。これらはいずれも、真空槽内の付着地金の落下および排ガス中のCO濃度の上昇(ヒートAでは5.0%から11.2%に上昇、ヒートBでは4.1%から9.9%に上昇)が観察された時期に相当した。
図5は、下記表4に示す化学成分の溶鋼を、本発明法によりRH脱ガス処理を行った場合の、脱ガス処理中の溶鋼中全酸素量の推移を示した例である。
図5に◇印で示したヒートcでは、真空脱ガス処理開始から終了までの間、真空槽内の付着地金の落下が全く認められず、全酸素量は停滞なく低減した。
また、図5に▲印で示したヒートaでは、真空脱ガス処理開始から11分の時点で地金落下が確認されたため、本発明に従い、一旦処理を中断して再開するまでの手段を採用した。真空脱ガス再開までに89秒を要した。
また、図5に●印で示したヒートbでは、真空脱ガス処理開始から6分の時点で地金落下が確認されたため、本発明に従い、一旦処理を中断して取鍋表面へ真空槽内溶鋼およびスラグが落下した部分に金属Alを25質量%含む材料を12kg(溶鋼1トン当たり0.17kg)添加したのち、真空脱ガス処理を再開するまでの手段を採用した。真空脱ガス再開までに94秒を要した。
図4、図5に示す実施例データは、典型的な例を抜粋したものである。
このように、本発明法では、RH脱ガス設備の真空槽内に付着している地金に影響されることなく、安定して清浄度の高い溶鋼を製造することが可能であることが判る。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
本発明は、同様の形態で精錬するものであればRH法だけでなくDH法等にも適用できる。
1 浸漬管
2 真空槽
3 地金
4 取鍋
6 溶鋼
7 取鍋スラグ
2 真空槽
3 地金
4 取鍋
6 溶鋼
7 取鍋スラグ
Claims (4)
- 浸漬管を介して真空槽内に吸上げた溶鋼を減圧した真空槽内で攪拌して真空脱ガス精錬を行い、高清浄鋼を製造する方法において、
前記真空脱ガス処理中に真空槽内を大気圧まで復圧し、
一旦、溶鋼を真空槽から切り離して真空槽内から溶鋼を排出した後、
再び真空脱ガス処理を行うことを特徴とする高清浄鋼の製造方法。 - 前記真空槽内の大気圧への復圧は、真空脱ガス処理中に真空槽内地金が落下した際に行うことを特徴とする請求項1に記載の高清浄鋼の製造方法。
- 前記真空槽内の大気圧への復圧は、真空脱ガス処理中に排ガス中CO濃度が上昇した際に行うことを特徴とする請求項1に記載の高清浄鋼の製造方法。
- 前記真空槽内の大気圧への復圧後、溶鋼を真空槽から切り離して槽内から溶鋼を排出した際に、取鍋上面の真空槽内の溶鋼およびスラグが落下した部分に、金属Alを20質量%以上含む材料を溶鋼1トン当り0.14kg以上投入し、再び真空脱ガス処理を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高清浄鋼の製造方法。
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JP2004322476A JP2006131959A (ja) | 2004-11-05 | 2004-11-05 | 真空脱ガス精錬を用いる高清浄鋼の製造方法 |
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