以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るMRAMの構成を示す平面レイアウト図である。図2は、図1に示したII−II線に沿った断面図である。なお、図1に示したMRAMは、TMR素子19の下部に配置された書き込み配線を用い、この書き込み配線に接続された書き込み選択トランジスタにより選択的に書き込みを行う構造である。しかし、さらに上部の書き込み配線を用いて2軸で書き込みを行うように変更しても、本実施形態を実施することが可能であることはもちろんである。
書き込み配線より下層の構成は、本発明の趣旨を説明するのに重要でないため、図示及び説明は省略する。下層にTMR素子19及び書き込み配線を駆動する駆動回路が作りこまれた基板上には、例えばSiO2からなる絶縁層10が設けられている。
絶縁層10の表面内には、Y方向に延びるように、書き込み配線12とヨーク層13とからなるヨーク配線層11が設けられている。具体的には、絶縁層10の表面内には、Y方向に延びるように、書き込み配線12が設けられている。書き込み配線12には、書き込み配線12の底面と両側面とを覆うように、ヨーク層13が設けられている。
書き込み配線12は、後述するTMR素子19に情報を書き込むための磁界を発生させる配線であり、例えばCuにより構成される。ヨーク層13は、書き込み配線12から発生される磁界をTMR素子19に効率よく集中させるためのものである。ヨーク層13は、高透磁率を有する材料が望ましく、例えばNi−Feにより構成される。
磁束は、高透磁率を有する材料に集中する性質があるため、この高透磁率を有する材料を磁力線の牽引役として使用すれば、書き込み動作時、書き込み配線12に流れる書き込み電流により発生する磁界を、TMR素子19に効率よく集中させることができる。これにより、書き込み配線12に流す書き込み電流を低減することができる。
また、絶縁層10の表面内には、例えばCuからなる金属層14が設けられている。金属層14には、金属層14の底面と4つの側面とを覆うように、ヨーク層15が設けられている。金属層14は、複数のコンタクトプラグを縦に積み重ねるための中間層として機能する。
絶縁層10の上には、例えばSiNとSiO2とを積層した絶縁層16が設けられている。絶縁層16の膜厚は、例えば100nmである。この絶縁層16の膜厚を変えることにより、TMR素子19とヨーク層13との距離を調整することができる。
絶縁層16の上且つ書き込み配線12の直上には、TMR素子19が設けられている。TMR素子19は、磁化固着層19Bと、磁気記録層19Dと、これらの間に配置されたトンネルバリア層19Cとを備えている。TMR素子19の構造に関しては、特に限定されない。以下に一例を示す。
磁化固着層19Bは、強磁性層で構成することができる。この強磁性層を構成する材料は強磁性を示すものであれば特に制限はなく、Fe、Co、及びNiなどの金属或いはそれらの合金を用いることができる。強磁性層の厚さは、あまりに薄いと、超常磁性となってしまう。そこで、強磁性層の厚さは、少なくとも超常磁性とならない程度の厚さが必要である。具体的には、強磁性層の厚さは、0.1nm以上、好ましくは0.4nm以上100nm以下に設定される。
この強磁性層には、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Ir−Mn、NiO、及びFe2O3などからなる反強磁性層を積層して磁化の方向を固定することが好ましい。また、磁化固着層19Bとして、強磁性層と非磁性層との積層膜を用いてもよい。そのような積層膜として、強磁性層/非磁性層/強磁性層の三層膜を用いる場合、非磁性層を介して強磁性層間で反強磁性的な相互作用を生じさせることが好ましい。
特に、強磁性膜上にCo−Fe/Ru/Co−FeやCo−Fe/Ir/Co−Feなどの積層膜を介してFe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Ir−Mn、NiO、及びFe2O3などからなる反強磁性膜を設けた構造を採用することにより、磁化固着層19Bの磁化の方向が電流磁界に影響されにくくなる。すなわち、強磁性層の磁化の方向を強固に固定することができる。
トンネルバリア層19Cとしては、例えば、Al2O3、SiO2、MgO、AlN、Bi2O3、MgF2、CaF2、SrTiO2、及びAlLaO3などの誘電体を使用することができる。これらは、酸素欠損、窒素欠損、フッ素欠損などが存在していてもかまわない。トンネルバリア層19Cの膜厚は、できるだけ薄い方がよいが、特にその機能を実現するための決まった制限はない。但し、製造上、絶縁層の厚さは、10nm以下に設定される。
磁気記録層19Dは、単層構造であってもよく、或いは積層構造であってもよい。磁気記録層19Dを積層構造とする場合、例えば、ソフト強磁性層/強磁性層の2層膜や、強磁性層/ソフト強磁性層/強磁性層の3層膜とすることができる。
なお、図1及び図2に示すように、磁気記録層19Dと金属層19Eとからなる上層よりも、磁化固着層19Bとトンネルバリア層19Cと金属層19Aとからなる下層の方が平面形状が大きくなっている。
これは、下部端子としての金属層19Aへのコンタクトを形成しやすくする等の製造上の理由であり、もちろん下層が上層と同じ形状を有していてもよい。すなわち、磁化固着層19B及びトンネルバリア層19Cは、磁気記録層19Dと同じ平面形状であってもよい。磁気記録層19Dの平面形状を変えるだけで、TMR素子19の磁化方向や書き込み電流等を変えることができる。
TMR素子19は、例えば楕円形を有し、長手方向がY方向と直交するX方向に対応するように配置されている。TMR素子19は一軸磁気異方性を有し、磁化容易軸はX方向に沿った軸に対応する。なお、TMR素子19の磁化容易軸は、X方向である必要はなく、書き込み配線12が発生する磁界により磁化方向が反転できるのであれば、X方向に対して磁化容易軸が傾いていてもよい。
なお、TMR素子19の形状は、楕円形に限定されるものではなく、長方形や菱形等であってもよい。また、磁気材料を選択することで一軸磁気異方性を有するのであれば、正方形或いは円形等であってもよい。
また、TMR素子19は、磁化固着層19Bの下部に、TMR素子19の下部端子となる金属層19Aを備えている。また、TMR素子19は、磁気記録層19Dの上部に、TMR素子19の上部端子となる金属層19Eを備えている。金属層19Aは、例えばTaから構成される。金属層19Eは、例えば拡散防止のためのRuとTaとを積層して構成される。
ところで、TMR素子19の形状(すなわち、磁気記録層19Dの形状)は、書き込み配線12とヨーク層13とからなるヨーク配線層11の輪郭に対して、両側に夫々50nmはみ出るような大きさを有している。また、TMR素子19の短軸と長軸とは、例えば0.24μm×0.57μmである。
金属層14の直上には、中間層20が設けられている。中間層20は、複数のコンタクトプラグを縦に積み重ねるための層として機能する。中間層20は、Taからなる金属層20A、磁化固着層19Bと同じ材料からなる金属層20B、トンネルバリア層19Cと同じ材料からなる絶縁層20Cが積層されて構成されている。
書き込み配線12と金属層19Aとは、例えばCuからなるコンタクトプラグ18により接続されている。金属層14と金属層20Aとは、例えばCuからなるコンタクトプラグ17により接続されている。
TMR素子19及び中間層20の上には、SiO2からなる絶縁層21が設けられている。絶縁層21の上には、Alを主体とした配線24が設けられている。配線24と金属層19Eとは、例えばCuからなるコンタクトプラグ22により接続されている。配線24と金属層20Bとは、例えばCuからなるコンタクトプラグ23により接続されている。
このように構成されたMRAMの製造方法について説明する。図3において、下層にメモリ部分の駆動回路などが作りこまれた基板上に、TEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)をプラズマ分解して生成したSiO2からなる絶縁層10を堆積する。そして、絶縁層10の表面に、配線形状の溝部を形成する。
次に、スパッタリング法によりTa(膜厚10nm)、Ni−Fe(膜厚30nm)、Ta(膜厚10nm)、Cu(膜厚100nm)を順次堆積し、その後Cuメッキにより溝部を完全に埋設する。このとき、下層のメモリ部分の駆動回路とヨーク層13,15とがコンタクトを取れるようにしておく。
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、表層からCu、Ta、Ni−Fe、Taを除去し、溝部にヨーク配線層11と中間層(金属層14及びヨーク層15)とを形成する。なお、ヨーク層13,15は、Ta、Ni−Fe及びTaを有する。
次に、図4において、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、SiN(膜厚10nm)、SiO2(膜厚100nm)を堆積し、絶縁層16を形成する。そして、書き込み配線12へ電気的に接続するためのコンタクトプラグ18、及び金属層14へ電気的に接続するためのコンタクトプラグ17を形成する。
コンタクトプラグ形成後のSiNとSiO2とからなる絶縁層16の膜厚は、90nmとなる。信頼性を向上するために、コンタクトプラグ17,18は、絶縁層16をCMPにより平坦化した後、例えばCuをダマシン法等で埋め込むとよい。また、カバレッジ性のよいスパッタ装置を用いるのであれば、コンタクトプラグの周囲にTaを埋め込んでもよい。この場合、表層のTaをCMPにより除去する。
次に、図5において、金属層19A、TMR素子となる積層膜(19B,19C,19D)及び金属層19Eを連続的にスパッタリング法により積層する。本実施例では、金属層19Aとして、Taを堆積した。磁化固着層19Bとして、Pt−Mnからなる反強磁性層、Co−Feからなる強磁性層、Ruからなる非磁性層、Co−Feからなる強磁性層を順に積層した。
トンネルバリア層19Cとして、Alをプラズマ酸化させたAl2O3を堆積した。磁気記録層19Dとして、Ni−Feからなる強磁性層を堆積した。磁気記録層19Dの膜厚は、4nmとした。金属層19EとしてRu、Taを積層した。金属層19Aからトンネルバリア層19Cまでの厚さは、およそ25nmである。
次に、TMR素子19を所望の形状にするために、金属層19Eからトンネルバリア層19Cの表層までエッチングする。前述したように、TMR素子19の形状(すなわち、磁気記録層19D)は、書き込み配線12とヨーク層13とからなるヨーク配線層11の輪郭に対して、両側に夫々50nmはみ出るような大きさを有している。
次に、図6において、トンネルバリア層19C保護用の絶縁膜(図示せず)を堆積したのち、TMR素子19の下層(金属層19A、トンネルバリア層19C及び磁化固着層19B)及び中間層20を所定の形状にエッチングする。
次に、図2において、全面に絶縁層21を堆積する。そして、金属層19Eへ電気的に接続するためのコンタクトプラグ22を形成する。また、金属層20Bへ電気的に接続するためのコンタクトプラグ23を形成する。信頼性を向上するために、コンタクトプラグ22,23は、絶縁層21をCMPにより平坦化した後、例えばCuをダマシン法等で埋め込むとよい。
その後、Alを主体とした配線24を堆積し、所定の形状にエッチングする。一般的には、信頼性を向上させるために、この後、SiN等の絶縁層を必要な部分に堆積するが、本発明の趣旨には必須ではない。
次に、このように構成されたMRAMのデータ書き込み及び読み出し動作について説明する。選択されたメモリセル(TMR素子19)へのデータの書き込みは、データ(“1”或いは“0”)に応じた書き込み電流をヨーク配線層11に流すことにより、メモリセル(TMR素子19)にデータを書き込む。
選択されたメモリセル(TMR素子19)からのデータの読み出しは、先ず、金属層14に読み出し電流を供給する。そして、この読み出し電流は、配線24とTMR素子19とを介してヨーク配線層11(具体的には、ヨーク配線層11に接続されたグランド線GND)へ流れる。そして、TMR素子19の抵抗に応じた電位差を検出することにより行う。
このように構成されたMRAMにおいて、ヨーク配線層11の配線幅Lは、磁気記録層19DのX方向の幅より狭くなっている。これにより、製造上のバラツキによって磁気記録層19Dとヨーク配線層11との位置がずれた場合でも、ヨーク層13から発生した磁束を磁気記録層19Dに確実に印加することができる。
図7は、ヨーク配線層11のX方向の配線幅Lと磁界発生効率との関係、及びヨーク配線層11のX方向の配線幅LとTMR素子19の磁化方向を反転させるのに必要な書き込み電流(スイッチング電流)との関係を示す図である。
図7において、ヨーク配線層11の配線幅Lが細くなるにしたがって、ヨーク配線層11が1mAあたり発生できる磁界強度が上がっている。また、配線幅Lが細くなるにしたがって、スイッチング電流が減少している。すなわち、配線幅Lを細くすることによりスイッチング電流を減少させることができ、且つ配線幅Lを細くした場合でもTMR素子19に十分な磁界を印加することができる。
本実施形態では、ヨーク配線層11の配線幅Lを磁気記録層19DのX方向の幅よりも両側で50nm(すなわち、全体で100nm)狭くしている。よって、磁気記録層19Dの長軸長さが0.57μmであるため、配線幅Lは、470nmである。図7に示すように、配線幅Lが470nm以下になると、スイッチング電流を低減できることが分かる。すなわち、ヨーク配線層11の配線幅Lを磁気記録層19DのX方向の幅よりも両側で50nm以上狭くすることで、スイッチング電流を低減することができる。
比率で表すと以下のようになる。磁気記録層19DのX方向の幅に対して、ヨーク配線層11を両側で夫々10%以上狭くすることで、スイッチング電流を低減することができる。本実施形態で示した磁気記録層19Dの外形(0.24μm×0.57μm)は一例である。磁気記録層19Dの外形が変化した場合でも、ヨーク配線層11を上記比率に対応する配線幅Lにすることで、スイッチング電流を低減することができる。
次に、磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mと、スイッチング電流との関係について説明する。前述したように、絶縁層16の厚さを変えることで、距離Mを変化させることができる。絶縁層16の厚さを変化させた場合のスイッチング電流を測定した。図8は、磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mとスイッチング電流との関係を示す図である。
図8において、距離Mを小さくしていくと、スイッチング電流が小さくなっていくのが分かる。さらに、距離Mが50nm以下になると、よりスイッチング電流を低減することができる。
さらに、TMR素子19の形状を工夫することで、スイッチング電流を低減することができる。図9は、形状を変形したTMR素子19の一例を示す平面図である。図9に示したTMR素子19は、楕円形状のX方向両端部に2つの突起部を有するように形成されている。そして、2つの突起部の一方は、ヨーク層13の上方且つY方向に突出している。また、2つの突起部の他方は、ヨーク層13の上方且つY方向と反対方向に突出している。
TMR素子19をこのような形状にすることで、ヨーク層13から発生した磁界を磁気記録層19Dに多く印加することができる。これにより、ヨーク配線層11に流すスイッチング電流を低減することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、TMR素子19を配置する方向を変えて書き込み電流を低減するようにMRAMを構成したものである。
図10は、TMR素子のアステロイド曲線を示す図である。X方向の磁界HxとY方向の磁界Hyとの合成磁界の大きさがアステロイド曲線の外側(例えば、図中の黒丸の位置)にある場合には、磁気記録層の磁化方向を反転させることができる。
逆に、磁界Hxと磁界Hyとの合成磁界の大きさがアステロイド曲線の内側(例えば、図中の白丸の位置)にある場合には、磁気記録層の磁化方向を反転させることができない。また、図から分かるように、磁化容易軸からおおよそ45度方向に磁界を印加した場合が、一番小さな磁界で磁気記録層の磁化方向を反転させることができる。
図11は、本発明の第2の実施形態に係るMRAMの主要部の構成を示す平面図である。TMR素子19は、磁気記録層19Dの磁化方向をヨーク配線層11の発生磁界方向(X方向)に対しておおよそ45度傾けるように配置されている。
また、TMR素子19は、書き込み配線12とヨーク層13とからなるヨーク配線層11の輪郭に対して、両側に夫々50nmはみ出るような大きさを有している。TMR素子19の短軸と長軸とは、例えば0.24μm×0.57μmである。その他の構成は、上記第1の実施形態で示したMRAMの構成と同じである。TMR素子19をX方向に傾けたことにより、ヨーク配線層11の配線幅Lは、第1の実施形態で示したMRAMに比べて細くなっている。
このように構成されたMRAMにおいて、スイッチング電流を測定したところ、磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mが115nmにおいて、1.8mAで書き込みが可能であった。アステロイド曲線に基づいてシュミレーションすると、第1の実施形態で示したMRAMに比べてスイッチング電流は0.7倍程度になることが予想された。しかし、実際には、ヨーク配線層11の配線幅Lが細くなったために磁界が強まる効果が付加され、スイッチング電流が0.6倍程度まで低減した。
また、TMR素子19の形状を工夫することで、アステロイド曲線を変形させる。これにより、磁化方向を反転させるのに必要な磁界(スイッチング磁界)を小さくすることで、スイッチング電流を更に低減することができる。図12は、形状を変形したTMR素子19の一例を示す平面図である。図12に示したTMR素子19は、長軸の略中央から短軸に沿った両方向に夫々突起部を有している。図13は、図12に示したTMR素子19のアステロイド曲線を示す図である。
図13に示すように、スイッチング磁界は、45度方向において小さくなっている。したがって、図11に示したTMR素子19に比べて、より小さい書き込み電流で磁気記録層19Dの磁化方向を反転させることができる。
次に、図11に示したMRAMにおいて、磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mと、スイッチング電流との関係について説明する。絶縁層16の厚さを変えることで、距離Mを変化させることができる。絶縁層16の厚さを変化させた場合のスイッチング電流を測定した。
図14は、図11に示した磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mとスイッチング電流との関係を示す図である。また、図14には、ヨーク配線層11が発生する磁界に基づいてスイッチング電流を計算した計算値(1)についても示している。
図14において、距離Mを小さくしていくと、スイッチング電流が小さくなっていくのが分かる。さらに、距離Mが50nm以下になると、よりスイッチング電流を低減することができる。
ここで、測定値と計算値(1)とを比較すると、距離Mが100nm以下のところで、計算値(1)よりも少ない電流で書き込みが行えることがわかる。計算で求めたスイッチング電流よりも実際に測定したスイッチング電流が小さいことについて考察したところ、書き込み時に磁気記録層19Dの磁化方向が反転する前から、磁気記録層19Dが書き込み磁界方向に透磁率を持ち、ヨーク層13と磁気記録層19Dとが磁気回路を形成する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、ヨーク層13と磁気記録層19Dとが形成する磁気回路を用いてスイッチング電流を低減するようにしたものである。
図15は、ヨーク層13と磁気記録層19Dとが形成する磁気回路を示す断面図である。図15に示したように磁気回路が形成されることにより、TMR素子19がないと仮定した場合よりも実際の磁界が強まり、スイッチング電流が小さくなると考えられる。
上記図14には、磁気記録層19Dの透磁率の効果を仮定した場合の磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mと、スイッチング電流との関係を表す計算値(2)についても示している。上記考察により、さらにスイッチング電流を低減するためには、磁気回路の磁気抵抗を下げることが重要であることが分かる。磁気回路の磁気抵抗を下げる方法の一つとして、磁気記録層19Dに透磁率を如何に持たせるかが重要となる。
図16は、ヨーク配線層11が発生する磁界の方向と磁気記録層19Dの磁化方向とを示す図である。図16に示した2本の破線矢印は、磁界方向のベクトル成分を有していない。一方、実線矢印は、磁界方向のベクトル成分を有している。磁気記録層19Dの透磁率は、磁気記録層19Dの磁化方向が磁界方向を向き始めたところから増大する。
したがって、より小さな磁界で磁気記録層19Dに透磁率を持たせるためには、磁気記録層19Dの磁化方向が磁界方向に対して90度になるように磁気記録層19Dを配置するとよい。しかし、90度では書き込み制御できないため、実際には少し傾けることが肝要となる。
次に、磁気記録層19Dに透磁率を持たせるための方法について説明する。前述したように、スイッチング電流を低減するためには、磁気記録層19Dとヨーク層13とで磁気回路を形成させることが重要である。そのためには、磁気記録層19Dの磁化困難軸が透磁率を持つことを利用する。
図17(a)〜図17(c)は、磁気記録層19Dの配置を変えた場合におけるMRAMの主要部の構成を示す平面図である。また、磁気記録層19Dは、第1の実施形態と同様に、ヨーク配線層11の輪郭に対して、X方向両側に夫々50nmはみ出るような大きさを有している。
なお、図中の線B及び線Cは、磁気記録層19Dの主体面に垂直な方向から投射した場合において、磁気記録層19Dの輪郭内に入るヨーク配線層11の2つの側辺部分を表している。図中の線Aは、線BのY方向と反対方向の端と、線CのY方向の端とを結んだ線である。すなわち、線Aは、線Bの両端のうち楕円の短軸に近い方の端と、線Cの両端のうち楕円の短軸に近い方の端とを結んだ線である。
この線Aと磁気記録層19Dの磁化方向との成す角度が90度以下であれば、ヨーク層13の一端から発生した磁束は、磁気記録層19Dの磁化困難軸方向に伸び、ヨーク層13の他端へ到達することができる。これにより、磁気記録層19Dとヨーク層13とは、磁気回路を形成することができる。
別の表現で言い換えると、以下のようになる。磁気記録層19Dは、磁化困難軸に沿った方向に透磁率を持つ。したがって、ヨーク層13の一端から発生した磁束が、磁化困難軸に沿って磁気記録層19Dを通り、ヨーク層13の他端へ到達することができればよい。すなわち、磁化困難軸方向のベクトルが、始点で線Bに交わり、且つ終点で線Cに交わればよい。なお、この条件を満たす場合であっても、前述したように、磁気記録層19Dの磁化方向が磁界方向に対して90度になる場合は除かれる。
図17に示した3つの場合では、図17(a)と図17(b)とに示したMRAMは、磁化困難軸方向に磁気回路を形成することができる。図17(c)に示したMRAMは、磁化困難軸方向に磁気回路を形成することができない。
このように配置された磁気記録層19Dを有するMRAMについて、スイッチング電流を測定した。なお、磁気記録層19Dの外形(短軸と長軸)を例えば0.24μm×0.57μm、磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mを100nmとした。この場合のスイッチング電流は、1.3mA程度まで低減することができた。
図18は、磁気記録層19Dにおける磁化容易軸と磁化困難軸との磁化曲線を示す図である。図18において、横軸は磁場の強さ、縦軸は磁化の強さを表している。図18に示すように、磁気記録層19Dは、磁化困難軸方向に透磁率を持つことが分かる。しかし、磁界が極端に小さなところでは、1以上の透磁率を持たない領域がある。
磁気記録層19Dのアスペクト比が小さい形状では、この領域が本発明の構造で問題となる場合があるが、例えばアスペクト比を2程度以上とることで、問題なく本発明の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
磁気回路の抵抗は、磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mが大きな部分を占める。磁気記録層19Dが透磁率を持つまで磁気記録層19Dに印加される磁界強度を上げるためにも、この距離Mは短いほうがよい。第4の実施形態は、磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mを近づけることに主眼を置いたものであり、TMR素子19とヨーク配線層11とを電気的に接触するまで近づけるようにしたものである。
図19は、本発明の第4の実施形態に係るMRAMの構成を示す平面レイアウト図である。図20は、図19に示したXX−XX線に沿った断面図である。
下層にメモリ部分の駆動回路などが作りこまれた基板上には、例えばSiO2からなる絶縁層10が設けられている。絶縁層10の表面内には、Y方向に延びるように、書き込み配線12とヨーク層13とからなるヨーク配線層11が設けられている。具体的には、絶縁層10の表面内には、Y方向に延びるように、書き込み配線12が設けられている。書き込み配線12には、書き込み配線12の底面と両側面とを覆うように、ヨーク層13が設けられている。
また、絶縁層10の表面内には、例えばCuからなる金属層14が設けられている。金属層14には、金属層14の底面と4つの側面とを覆うように、ヨーク層15が設けられている。金属層14は、複数のコンタクトプラグを縦に積み重ねるための中間層として機能する。
ヨーク配線層11の上には、TMR素子19が設けられている。すなわち、TMR素子19の下部端子である金属層19Aは、ヨーク配線層11に電気的に接続されている。TMR素子19の配置は、第3の実施形態と同じであり、磁気記録層19Dとヨーク層13とが磁気回路を形成するように配置されている。また、TMR素子19の材料は、第1の実施形態で説明した材料と同じである。
TMR素子19及び金属層14の上には、SiO2からなる絶縁層21が設けられている。絶縁層21の上には、Alを主体とした配線24が設けられている。配線24と金属層19Eとは、例えばCuからなるコンタクトプラグ22により接続されている。配線24と金属層14とは、例えばCuからなるコンタクトプラグ25により接続されている。
このように構成されたMRAMの製造方法について説明する。書き込み配線12及び金属層14を堆積するまでの製造方法は、第1の実施形態と同じである。
次に、CMPにより、表層からCu、Ta、Ni−Fe、Taを除去し、溝部に配線を形成する。このCMP工程の際、最終のポリッシング工程で表層ができるだけ平坦になるように、CMP工程及び使用するスラリーを選んだ。具体的には、Cu表面を荒らさず、且つ端部のCu/Ta/Ni−Fe/Taができるだけ平坦になるように、これらの材料ができるだけ等速で削れる工夫をした。
次に、下部端子となる金属層19A、TMR素子となる積層膜、上部端子となる金属層19Eをスパッタリング法により積層する。そして、これらの積層膜を所定の形状にエッチングして、TMR素子19を形成する。
次に、全面に絶縁層21を堆積する。そして、金属層19Eへ電気的に接続するためのコンタクトプラグ22を形成する。また、金属層14へ電気的に接続するためのコンタクトプラグ25を形成する。信頼性を向上するために、コンタクトプラグ22,25は、絶縁層21をCMPにより平坦化した後、例えばCuをダマシン法等で埋め込むとよい。その後、Alを主体とした配線24を堆積し、所定の形状にエッチングする。
ところで、上記CMP工程の際、最終のポリッシング工程で表層が出来るだけ平坦になるような工程を選んだが、このTMR素子19が配置される層のモフォロジー荒れは、極薄のトンネルバリア層19Cの信頼性やスイッチング磁界のバラツキ等に大きく影響する。よって、TMR素子19が配置される層の表面は、できるだけ平坦なことが望まれる。
磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mを小さく保ちながら、TMR素子19が配置される層の表面を平坦にすることができるように工夫した例を以下に説明する。図21乃至24は、ヨーク配線層11の製造方法を説明するための断面図である。
図21において、スパッタリング法によりTa(膜厚10nm)、Ni−Fe(膜厚30nm)、Ta(膜厚10nm)、Cu(膜厚100nm)を順次堆積し、その後Cuメッキにより溝部を完全に埋設する。
次に、図22において、CMPにより、表層からCu、Ta、Ni−Fe、Taを除去し、溝部に配線を形成した後、酸化剤と酸とを用いてCuの表面をエッチングする。次に、図23において、エッチングしたCuの厚み以上にTaを堆積する。次に、図24において、再度CMPにより、表層を平坦化して金属層26を形成する。
このような製造方法を用いることで、磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mを小さく保ちながら、TMR素子19が配置される層の表面を平坦に加工することができる。また、金属層26を設けることで、配線材料であるCuの熱等による粒界の変化等による変形を防ぐ効果もある。
上記実施例ではCuをエッチングした後に、CMPで平坦化しやすい材料としてTaを用いた。しかし、ヨーク層13端部の凸凹部にTaをスパッタ法で成膜した場合、その後CMPで平坦にしようとしても凸凹部の膜質によって完全に平坦にできないことがある。その場合には、薄いTaを成膜した後、一旦アモルファス材料であるSiO2等をプラズマCVDで形成した後、TMR素子19が配置される層の表面を平坦化するといい。
また、上記実施例では、Cuのエッチング工程に溶液系を使用した。しかし、溶液系の場合、Cuの粒界に沿って凸凹部が発生する。これもTMR素子19の下地荒れに影響するため、溶液系ではなく、真空装置内でArスパッタリング法等を用いる。すなわち、Cuのスパッタリング率が大きいことを利用して、Cuをエッチングする。これにより、Cuの粒界の影響を無くすことができる。
図25は、本実施形態のMRAMにおける磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離Mとスイッチング電流との関係を示す図である。また、図25には、ヨーク配線層11が発生する磁界に基づいてスイッチング電流を計算した計算値についても示している。
図25において、距離Mを小さくしていくと、スイッチング電流が小さくなっていくのが分かる。さらに、距離Mが100nm以下になると、計算値よりスイッチング電流が小さくなる。また、顕著な効果を得るには、距離Mを50nm以下まで近づけることが望ましい。距離Mを50nmまで近づけた場合、スイッチング電流は、おおよそ0.8mAとなる。
さらに、本実施形態のMRAMは、ヨーク配線層11から磁気記録層19Dまでの距離Mを、35nmまで近づけることができた。書き込みに要するスイッチング電流は、おおよそ0.5mAとなり、第3の実施形態に比べて極端に低減することができた。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離をさらに近づけるようにMRAMを構成したものである。TMR素子19の積層順を変更することで、磁気記録層19Dとヨーク配線層11との間の距離を第4の実施形態に比べてさらに近づけることができる。一般にトップピン構造とよばれるTMR構造を有するMRAMの実施例を以下に説明する。
図26は、本発明の第5の実施形態に係るMRAMの構成を示す断面図である。ヨーク配線層11の上には、TMR素子27が設けられている。TMR素子27は、下部端子となる金属層27A、TMR素子となる積層膜(磁気記録層27B,トンネルバリア層27C,磁化固着層27D)、上部端子となる金属層27Eを連続的にスパッタリング法で積層して形成される。
金属層27Aは、Ta(膜厚5nm)と、拡散防止のためのRu(膜厚2nm)とが積層されて構成される。金属層27Eは、Taにより構成される。
本実施形態のTMR素子27は、下層側に磁気記録層27B、上層側に磁化固着層27Dを有している。具体的には、TMR素子27は、Ni−Fe(膜厚4nm)からなる磁気記録層27Bと、Alをプラズマ酸化させたAl2O3からなるトンネルバリア層27Cと、磁化固着層27Dとを積層して形成されている。また、磁化固着層27Dとして、Co−Feからなる強磁性層、Ruからなる非磁性層、Co−Feからなる強磁性層、Pt−Mnからなる反強磁性層を順に積層した。ヨーク配線層11から磁気記録層27Bまでの厚さは、おおよそ7nmである。
TMR素子27の形状は、第4の実施形態と同じであり、磁気記録層27Bとヨーク層13とが磁気回路を形成するように形成されている。TMR素子27をこのような形状にするために、磁気記録層27Bをエッチングする。このとき、磁気記録層27Bをエッチング後、金属層27Aまでエッチングした。
この際、下地のCuが露出すると素子分離時にCuのリデポがTMR素子27の側壁等に付着してしまう。これにより、TMR素子27が短絡する確率が高くなる。これを防止するために、前述のCMPによって表面を平坦化するプロセスを用いて、Cu上にTa等のキャップを形成しておくとよい。
このように構成されたMRAMにおいて、磁気記録層27Bとヨーク配線層11との間の距離Mを第4の実施形態に比べて極端に小さくすることができる。すなわち、距離MをTMR素子27の下部端子である金属層27Aの厚さまで小さくすることができる。これにより、磁気記録層27Bとヨーク層13とにより形成される磁気回路の抵抗を小さくできるため、スイッチング電流を低減することが可能となる。
(第6の実施形態)
第1の実施形態で説明したように、ヨーク配線層11の配線幅を磁気記録層19DのX方向の幅よりも狭くすることで、スイッチング電流を低減することができる。ところが、ヨーク配線層11の配線幅を極端に狭くすると、TMR素子19にデータを書き込む効率が悪化してしまう。第6の実施形態は、ヨーク配線層11の配線幅と磁気記録層19DのX方向の幅との関係について示したものである。
図27は、本発明の第6の実施形態に係るMRAMの主要部の構成を示す平面図である。図27において、ヨーク配線層11の配線幅をLmwで表す。また、TMR素子19(具体的には、磁気記録層19D)のX方向の幅をLtmrで表す。
TMR素子19は、磁気記録層19Dの磁化方向をヨーク配線層11の延伸方向(すなわち、Y方向)に対しておおよそ55度傾けるように配置されている。また、TMR素子19の短軸と長軸との長さは、例えば300nm×1000nmである。磁気記録層19Dとヨーク層13との間の距離Mは、例えば100nmである。この条件での幅Ltmrは、590nmである。
このように構成されたMRAMにおいて、ヨーク配線層11の配線幅Lmwを変化させてスイッチング電流を測定した。図28は、ヨーク配線層11の配線幅Lmwに対するTMR素子19の幅Ltmrの比率(Ltmr/Lmw〔%〕)とスイッチング電流との関係を示す図である。
図28に示すように、配線幅Lmwを幅Ltmrに対して狭くしていくと、スイッチング電流が低減していくのが分かる。比率Ltmr/Lmwが60%以下では、スイッチング電流がより低減している。
ところが、比率Ltmr/Lmwが30%以下あたりから、スイッチング電流が大きくなっている。そして、比率Ltmr/Lmwが20%未満では、スイッチング電流が0.8mAを超えてしまう。
図28より、60%以下でTMR素子19の透磁率の寄与によるヨーク配線層11の磁場効率上昇が顕著に見えている。しかし、20%未満になるとその効果が見えなくなり、電流低減効果がなくなる。したがって配線幅Lmwとしては、比率Ltmr/Lmwが20%以上であることが望ましい。
なお、図28に示したスイッチング電流は、本実施形態で示したTMR素子19の寸法での値であるが、TMR素子19の外形や配置する角度を変えても、図28に示した曲線と類似する関係が得られる。
以上詳述したように本実施形態によれば、比率Ltmr/Lmwを小さくするとスイッチング電流を低減することができる。
また、TMR素子19の一部に磁界を印加するだけでは、書き込み効率が悪化してしまう。よって、比率Ltmr/Lmwは、20%以上であることが好ましい。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、TMR素子19にデータを書き込む際に、誤書き込みを防止するようにしたものである。
図29は、TMR素子19とヨーク配線層11とを示す平面図である。TMR素子19は、磁気記録層19Dの磁化方向がヨーク配線層11の延伸方向と一致するように配置されている。
図30は、ヨーク配線層11に流す書き込み電流によってTMR素子19に印加される困難軸方向の磁界とTMR素子19のMR比との関係を示す図である。なお、図30には、図29に示すように配置されたTMR素子19を有するMRAMを複数個製造した場合のそれぞれの測定値が示してある。また、図30に示したHkは、異方性磁界を示している。なお、異方性磁界Hkとは、TMR素子19の困難軸方向に磁界を印加した場合に磁化が飽和する磁界の大きさをいう。
TMR素子19の磁性的バラツキや、製造上のTMR素子19とヨーク配線層11との位置バラツキ等により、困難軸方向(図29のX方向)のRH(抵抗−磁界)カーブがバラつく。図31は、図30に示した破線で囲んだ領域の拡大図である。図31に示すように、困難軸方向の異方性磁界Hkのバラツキは、素子の異方性磁界Hkに対して0.15Hk程度見込まれることが分かった。
したがって、実際の書き込みの際、磁化容易軸方向に困難軸のバラツキである0.15Hk以上印加されるようにしてTMR素子19にデータを書き込めば、誤書き込みを防止することができる。
図32は、アステロイド曲線において誤書き込みをしない領域を説明するための図である。なお、図中のHcは、X方向のスイッチング磁界を表している。
アステロイド曲線の外側且つX方向の磁界が0.15Hk以上である領域が誤書き込みをしない領域となる。したがって、0.15Hk以上の方向性をつける場合、TMR素子19の磁化困難軸を磁界方向(X方向)に対して15度以上傾ければよい。
換言すると、図33に示すように、ヨーク配線層11の延伸方向(Y方向)に対してTMR素子19の磁化方向を15度以上傾ければよい。このように構成することで、TMR素子19の磁性的バラツキや、製造上のTMR素子19とヨーク配線層11との位置バラツキ等により、TMR素子19へのデータ誤書き込みを防止することができる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、複数のメモリセルを有するMRAMにおいて、メモリセル毎に書き込み配線を配置し、メモリセル毎に独立して書き込み電流を制御するようにしたものである。
図34は、本発明の第8の実施形態に係るMRAMの構成を示す回路図である。TMR素子19の下部端子は、配線39B(GND/WBL1)に接続されている。TMR素子19の上部端子は、読み出し選択トランジスタTr2のドレインに接続されている。読み出し選択トランジスタTr2のゲートは、読み出しワード線RWLに接続されている。読み出し選択トランジスタTr2のソースは、配線37B(RBL/WBL2)に接続されている。
ヨーク配線層11の一方の端子は、配線39B(GND/WBL1)に接続されている。ヨーク配線層11の他方の端子は、書き込み選択トランジスタTr1のドレインに接続されている。書き込み選択トランジスタTr1のゲートは、書き込みワード線WWLに接続されている。書き込み選択トランジスタTr1のソースは、配線37B(RBL/WBL2)に接続されている。
なお、符号の後に示した文字は、配線の用途及び機能を表している。配線39B(GND/WBL1)は、接地電位を供給するグランド線GND、或いは書き込みビット線WBL1として機能する。具体的には、データ書き込み時、配線39B(GND/WBL1)は、書き込み電流を流すための書き込みビット線WBL1として機能する。データ読み出し時、配線39B(GND/WBL1)は、読み出し電流を流すためのグランド線GNDとして機能する。
配線37B(RBL/WBL2)は、読み出しビット線RBL、或いは書き込みビット線WBL2として機能する。具体的には、データ書き込み時、配線37B(RBL/WBL2)は、書き込み電流を流すための書き込みビット線WBL2として機能する。データ読み出し時、配線37B(RBL/WBL2)は、読み出し電流を流すための読み出しビット線RBLとして機能する。
なお、本実施形態では、TMR素子19にデータを書き込むための書き込み配線として、ヨーク配線層11を用いている。しかし、これに限定されるものではなく、ヨーク層13を有していない書き込み配線であってもよい。
次に、このように構成されたMRAMの動作について説明する。選択されたメモリセル(TMR素子19)へのデータの書き込みは、書き込みワード線WWLを活性化する。そして、書き込みビット線WBL1から書き込みビット線WBL2へ、或いは書き込みビット線WBL2から書き込みビット線WBL1へ書き込み電流を流すことにより、メモリセル(TMR素子19)にデータを書き込む。
選択されたメモリセル(TMR素子19)からのデータの読み出しは、読み出しワード線RWLを活性化する。そして、読み出しビット線RBLからグランド線GNDへ電流を流し、TMR素子19の抵抗に応じた電位差を検出することにより行う。
次に、図34に示したMRAMの構造について説明する。図35は、図34に示したMRAMの上層部を示す平面レイアウト図である。図36は、図34に示したMRAMの下層部を示す平面レイアウト図である。図37は、図35及び図36に示したXXXVII−XXXVII線に沿った断面図である。なお、MRAMの上層部とは、コンタクトプラグ38A,38Bより上の層を表している。MRAMの下層部とは、コンタクトプラグ38A,38Bより下の層を表している。
半導体基板30には、書き込み選択トランジスタTr1と読み出し選択トランジスタTr2とが設けられている。具体的には、半導体基板30には、拡散層31A,31B,31Cが設けられている。拡散層31Aと拡散層31Bとの間且つ半導体基板30の上には、ゲート絶縁膜32を介してゲート電極33(書き込みワード線WWL)が設けられている。拡散層31Bと拡散層31Cとの間且つ半導体基板30の上には、ゲート絶縁膜34を介してゲート電極35(読み出しワード線RWL)が設けられている。
拡散層31Aは、書き込み選択トランジスタTr1のドレインとして機能する。拡散層31Bは、書き込み選択トランジスタTr1のソース、及び読み出し選択トランジスタTr2のソースとして機能する。拡散層31Cは、読み出し選択トランジスタTr2のドレインとして機能する。
半導体基板30の上方には、第1金属層として、中間層37A、配線37B(RBL/WBL2)及び中間層37Cが設けられている。中間層37Aは、コンタクトプラグ36Aを介して拡散層31Aに接続されている。配線37B(RBL/WBL2)は、コンタクトプラグ36Bを介して拡散層31Bに接続されている。中間層37Cは、コンタクトプラグ36Cを介して拡散層31Cに接続されている。
第1金属層の上方には、第2金属層として、中間層39A、配線39B(GND/WBL1)及び中間層39Cが設けられている。中間層39Aは、コンタクトプラグ38Aを介して中間層37Aに接続されている。中間層39Cは、コンタクトプラグ38Bを介して中間層37Cに接続されている。
第2金属層の上方には、第3金属層として、ヨーク配線層11及び金属層14が設けられている。ヨーク配線層11の一方の端子は、コンタクトプラグ40Aを介して中間層39Aに接続されている。ヨーク配線層11の他方の端子は、コンタクトプラグ40Bを介して配線39B(GND/WBL1)に接続されている。
金属層14は、コンタクトプラグ40Cを介して中間層39Cに接続されている。なお、前述した各中間層及び金属層14は、複数のコンタクトプラグを縦に積み重ねるための層として機能する。
ヨーク配線層11の上には、電気的に接続するように、TMR素子19が設けられている。TMR素子19は、例えば第3の実施形態で説明した形状を有している。しかし、これに限定されるものではなく、TMR素子であれば形状或いは構成等はどんなものでもよい。
TMR素子19の上には電気的に接続するように、配線24が設けられている。TMR素子19と配線24とは、コンタクトプラグ22(図示せず)により接続されている。また、配線24は、コンタクトプラグ23を介して金属層14に接続されている。なお、TMR素子19とヨーク配線層11、或いはTMR素子19と金属層14とは、コンタクトプラグを用いて接続されていてもよい。半導体基板30の上且つ配線24の下には、絶縁層41が設けられている。
次に、ヨーク配線層11の構成について説明する。図38は、図37に示したヨーク配線層11の構成を示す平面図である。ヨーク配線層11は、書き込み配線12とヨーク層13とにより構成されている。ヨーク層13は、強磁性層(例えばNi−Fe)により構成されている。
ヨーク層13は、書き込み配線12の底面及び全ての側面を覆うように設けられている。すなわち、ヨーク層13は、書き込み配線12の上面以外を全て覆うように設けられている。
ヨーク層13を構成する強磁性層は、書き込み配線12の形状異方性によって磁化方向を一方向に向かせている。このため、ヨーク配線層11のアスペクト比はある程度大きいほうがよく、本実施形態では、平面形状が0.24μm×1μm、高さが0.3μmでヨーク配線層11を作製した。これにより、各平面に設けられたヨーク層13の磁化方向を、各平面の長手方向に向かせることができる。
このように構成されたMRAMは、メモリセル(TMR素子19)毎にヨーク配線層11を配置するようにしている。さらに、ヨーク配線層11毎に書き込み選択トランジスタTr1を配置するようにしている。
よって、各メモリセルに対して独立に書き込み電流を制御することができる。また、各ヨーク配線層11を小さくできるので、書き込み電流を低減することができる。本実施形態のMRAMの書き込み電流を測定したところ、1mAよりも小さい電流でデータを書き込むことが可能であった。
また、書き込み電流が低減できることにより、書き込み選択トランジスタTr1を小さくできるため、MRAMの高集積化を実現できる。また、メモリセル毎に書き込み選択トランジスタTr1を設置することで、書き込み配線を2本用いて2軸で書き込みを行うMRAMに比べて、誤書き込みを極端に低減できる。
また、図37に示したように、TMR素子19の下部にトランジスタを配置することで、メモリセルが占有するセル面積が非常に有効活用できる。具体的には、書き込み選択トランジスタTr1に必要な電流量によって、書き込み選択トランジスタTr1のチャネル長を適時調整することが可能である。さらに、書き込み選択トランジスタTr1に必要な電流量によって、書き込み選択トランジスタTr1を並列接続した複数のトランジスタで構成することも可能である。
なお、前述したように、ヨーク層13を用いずに、書き込み配線12のみメモリセル毎に配置するようにしても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、ヨーク配線層11の他の構成について説明する。ヨーク層13を構成する強磁性層の磁気異方性は、ヨーク配線層11の平面形状に大きく影響される。できるだけヨーク層13の磁気異方性を大きくし、ヨーク層13の磁化方向を揃えることが、書き込み電流のバラツキを低減するのに効果がある。
図39は、ヨーク配線層の一例を示す平面図である。図39に示したヨーク配線層11Aは、長手方向両側が丸みを帯び且つ尖った形状になっている。具体的には、書き込み配線12Aは、長手方向両側が丸みを帯び且つ尖った形状になっている。このような形状の書き込み配線12Aの底面及び全ての側面をヨーク層13Aが覆っている。
図40は、ヨーク配線層の他の一例を示す平面図である。図40に示したヨーク配線層11Bは、長手方向両側が尖った形状になっている。具体的には、書き込み配線12Bは、長手方向両側が尖った形状になっている。このような形状の書き込み配線12Bの底面及び全ての側面をヨーク層13Bが覆っている。
図39及び図40に示したように、ヨーク配線層は、一般にTMR素子19と同様に長手方向に尖った形状にすることが望ましい。ヨーク配線層を上記のような形状にすることで、ヨーク層13A,13Bの形状異方性が大きくなるため、ヨーク層13A,13Bの磁化方向を揃えることができる。これにより、書き込み電流のバラツキを小さくできるため、書き込み電流の低減が図れる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、書き込み配線をTMR素子の上方に配置するようにしたものである。
図41は、本発明の第9の実施形態に係るMRAMの上層部の構成を示す平面レイアウト図である。図42は、本発明の第9の実施形態に係るMRAMの下層部の構成を示す平面レイアウト図である。図43は、図41及び図42に示したXXXXIII−XXXXIII線に沿った断面図である。なお、図41に示すMRAMの上層部とは、コンタクトプラグ58A,58Bより上の層を表している。図42に示すMRAMの下層部とは、コンタクトプラグ58A,58Bより下の層を表している。なお、回路図は、第8の実施形態で示した図34と同じである。
半導体基板50には、書き込み選択トランジスタTr1A,Tr1Bと読み出し選択トランジスタTr2とが設けられている。具体的には、半導体基板50には、拡散層51A,51B,51C,51Dが設けられている。拡散層51Aと拡散層51Bとの間且つ半導体基板50の上には、ゲート絶縁膜52Aを介してゲート電極53A(書き込みワード線WWL)が設けられている。拡散層51Bと拡散層51Cとの間且つ半導体基板50の上には、ゲート絶縁膜52Bを介してゲート電極53B(書き込みワード線WWL)が設けられている。
すなわち、書き込みワード線WWLに接続される書き込み選択トランジスタは、2つのトランジスタが並列に接続されて構成されている。書き込み選択トランジスタを構成する並列接続されたトランジスタの数は、2つに限らず、3つ以上でもよい。或いは並列にせずに、1つトランジスタで書き込み選択トランジスタを構成してもよい。
拡散層51Cと拡散層51Dとの間且つ半導体基板50の上には、ゲート絶縁膜54を介してゲート電極55(読み出しワード線RWL)が設けられている。
拡散層51Aは、書き込み選択トランジスタTr1Aのソースとして機能する。拡散層51Bは、書き込み選択トランジスタTr1A及びTr1Bのドレインとして機能する。拡散層51Cは、書き込み選択トランジスタTr1B及び読み出し選択トランジスタTr2のソースとして機能する。拡散層51Dは、読み出し選択トランジスタTr2のドレインとして機能する。
半導体基板50の上方には、第1金属層として、配線57A(RBL/WBL2)、中間層57B及び中間層57Cが設けられている。配線57A(RBL/WBL2)は、コンタクトプラグ56Aを介して拡散層51Aに接続されている。また、配線57A(RBL/WBL2)は、コンタクトプラグ56Cを介して拡散層51Cに接続されている。中間層57Bは、コンタクトプラグ56Bを介して拡散層51Bに接続されている。中間層57Cは、コンタクトプラグ56Dを介して拡散層51Dに接続されている。
第1金属層の上方には、第2金属層として、接続配線59A、配線59B(GND/WBL1)及び中間層59Cが設けられている。接続配線59Aは、コンタクトプラグ58Aを介して中間層57Bに接続されている。中間層59Cは、コンタクトプラグ58Bを介して中間層57Cに接続されている。
第2金属層の上方には、第3金属層として、中間層61A、接続配線61B及び中間層61Cが設けられている。中間層61Aは、コンタクトプラグ60Aを介して接続配線59Aに接続されている。接続配線61Bは、コンタクトプラグ60Cを介して中間層59Cに接続されている。中間層61Cは、コンタクトプラグ60Bを介して配線59B(GND/WBL1)に接続されている。
接続配線61Bの上には、電気的に接続するように、TMR素子19が設けられている。TMR素子19は、例えば第3の実施形態で説明した形状を有している。しかし、これに限定されるものではなく、TMR素子であれば形状或いは構成等はどんなものでもよい。
TMR素子19の上には、電気的に接続するように、ヨーク配線層63が設けられている。また、ヨーク配線層63は、コンタクトプラグ62Aを介して中間層61Aに接続されている。さらに、ヨーク配線層63は、コンタクトプラグ62Bを介して中間層61Cに接続されている。
なお、TMR素子19とヨーク配線層63、或いはTMR素子19と接続配線61Bとは、コンタクトプラグを用いて接続されていてもよい。半導体基板50の上且つヨーク配線層63の下には、絶縁層67が設けられている。
次に、ヨーク配線層63の構成について説明する。ヨーク配線層63は、書き込み配線64とヨーク層65,66とにより構成されている。ヨーク層65,66は、強磁性層(例えばNi−Fe)により構成されている。
ヨーク層65,66は、書き込み配線64の上面及び全ての側面を覆うように設けられている。すなわち、ヨーク層65,66は、書き込み配線64の底面以外を全て覆うように設けられている。
以下に、図44乃至46を参照して、ヨーク配線層63の製造方法の一例を示す。図44において、書き込み配線64となるTi/Al/Taをスパッタリング法により堆積する。次に、ヨーク層65となるNi−Fe(膜厚30nm)/Ta(膜厚10nm)をスパッタリング法により堆積する。そして、これらを所定の形状に加工して、書き込み配線64とヨーク層65とを形成する。
次に、図45において、ヨーク層66となるTa/Ni−Fe/Taをスパッタリング法により堆積する。そして、図46において、平坦部のTa/Ni−Fe/Taをエッチングする。この際、異方性の強いRIE(Reactive Ion Etching)や垂直に近い入射のArミリング等を用いることで、書き込み配線64の側壁のNi−Feを残すことができる。このようにして、ヨーク層66を形成する。
ヨーク層65,66を構成するの強磁性層は、書き込み配線64の形状異方性によって磁化方向を一方向に向かせている。このため、ヨーク配線層63のアスペクト比はある程度大きいほうがよく、本実施形態では、平面形状が0.24μm×1μm、高さが0.3μmでヨーク配線層63を作製した。これにより、各平面に設けられたヨーク層の磁化方向を、各平面の長手方向に向かせることができる。
ヨーク層13の磁化方向を所定の方向に向かせることができる。
以上詳述したように、本実施形態では、書き込み配線64をTMR素子19の上部に配置するようにしている。このように構成しても図34に示した回路からなるMRAMを実現することができる。その他の効果は、第8の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、TMR素子19にデータを書き込むための書き込み配線として、ヨーク配線層63を用いている。しかし、これに限定されるものではなく、ヨーク層を有していない書き込み配線であってもよい。また、ヨーク配線層の平面形状は、図39或いは図40に示した形状であってもよい。
(第10の実施形態)
第10の実施形態は、ヨーク配線層11に流れる読み出し電流に起因するTMR素子19への誤書き込みを防止するようにしたものである。
図47は、本発明の第10の実施形態に係るMRAMのうちTMR素子19とヨーク配線層11との構成を示す平面レイアウト図である。図48は、図47に示したXXXXVIII−XXXXVIII線に沿ったMRAMの断面図である。なお、回路図は、第8の実施形態で示した図34と同じである。
ヨーク配線層11とTMR素子19の下部端子である金属層19Aとは、コンタクトプラグ70により接続されている。また、コンタクトプラグ70は、データ読み出し時に読み出し電流を流すためのグランド線GNDとして機能する配線39B(GND/WBL1)の上方に配置されている。具体的には、コンタクトプラグ70は、配線39Bが配置される側のヨーク配線層11端に配置されている。
図48に示すように、TMR素子19の下部端子(金属層19A)は、コンタクトプラグ70を配線39B(GND/WBL1)の上方に配置できるように、ヨーク配線層11の端付近まで引き延ばしてある。なお、TMR素子19の下部端子は、第1の実施形態と同様に、金属層19A、磁化固着層19B及びトンネルバリア層19Cを含んでいてもよい。また、磁気記録層とトンネルバリア層と磁化固着層との積層順は、第5の実施形態で示した積層順であってもよい。
TMR素子19の上部端子である金属層19Eと配線24とは、コンタクトプラグ22により接続されている。なお、図48では、コンタクトプラグ22の図示を省略している。
次に、本発明者等が本実施形態のMRAMを開発する過程において製造したMRAM(比較例)について説明する。図49は、比較例に係るMRAMのうちのTMR素子19とヨーク配線層11との構成を示す平面レイアウト図である。図50は、図49に示したXXXXX−XXXXX線に沿ったMRAMの断面図である。
ヨーク配線層11とTMR素子19の下部端子である金属層19Aとは、コンタクトプラグ71により接続されている。また、コンタクトプラグ71は、データ読み出し時に読み出し電流を流すための読み出しビット線RBLとして機能する配線37B(RBL/WBL2)に電気的に接続されたコンタクトプラグ40Aの上方に配置されている。具体的には、コンタクトプラグ71は、配線39Bが配置される側のヨーク配線層11端に対して反対側の端に配置されている。
読み出し電流は、配線37B(RBL/WBL2)から配線24を介して配線39B(GND/WBL1)へ流れる。よって、比較例では、読み出し電流は、ヨーク配線層11にも流れてしまう。
本発明のように非常に小さな書き込み電流でTMR素子19にデータが書き込めるようになると、ヨーク配線層11を流れる読み出し電流により誤書き込みが発生することがある。
ところが、本実施形態のMRAM(図47及び図48に示したMRAM)では、読み出し電流により生じる磁界をTMR素子19に印加しないようにしている。すなわち、読み出し時に接地電位が供給される配線39B(GND/WBL1)側のヨーク配線層11端に、コンタクトプラグ70を配置している。
したがって、TMR素子19直下付近のヨーク配線層11に読み出し電流が流れないため、この読み出し電流によるTMR素子19への誤書き込みを防止することができる。
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形して実施可能である。
Tr1,Tr1A,Tr1B…書き込み選択トランジスタ、Tr2…読み出し選択トランジスタ、RWL…読み出しワード線、WWL…書き込みワード線、GND…グランド線、RBL…読み出しビット線、WBL1…書き込みビット線、WBL2…書き込みビット線、10,16…絶縁層、11,11A,11B,63…ヨーク配線層、12,12A,12B,64…書き込み配線、13,13A,13B,15,65,66…ヨーク層、14,26…金属層、17,18,22,23,25…コンタクトプラグ、19,27…TMR素子、19A,19E,27A,27E…金属層、19B,27D…磁化固着層、19D,27B…磁気記録層、19C,27C…トンネルバリア層、20…中間層、20A,20B…金属層、20C,21…絶縁層、24…配線、30…半導体基板、31A,31B,31C…拡散層、32,34…ゲート絶縁膜、33,35…ゲート電極、36A,36B,36C,38A,38B,40A,40B,40C…コンタクトプラグ、37B,39B…配線、37A,37C,39A,39C…中間層、41…絶縁層、50…半導体基板、51A.51B…拡散層、51A,51B,51C,51D…拡散層、52A,52B,54…ゲート絶縁膜、53A,53B,55…ゲート電極、56A,56B,56C,56D,58A,58B,60A,60B,60C,62A,62B,70,71…コンタクトプラグ、57A,59B…配線、57B,57C,59C,61A,61C…中間層、59A,61B…接続配線、67…絶縁層。