JP2006128413A - 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 同一基板上に形成される複数種類の薄膜トランジスタの特性をゲート長に応じて独立に制御可能とし、例えば、同一基板上に形成されるアナログ回路部の薄膜トランジスタ及びデジタル回路部の薄膜トランジスタの両方の性能を向上可能とする。
【解決手段】 絶縁基板12上にゲート長が異なる複数種類の薄膜トランジスタ11を有する薄膜トランジスタ基板1であって、前記複数種類の薄膜トランジスタ11を構成するゲート電極15は、ゲート長の長いゲート電極15aのテーパー角度θ1aがゲート長の短いゲート電極15bのテーパー角度θ1bより小さくなるように形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、同一絶縁基板上にゲート長の異なる複数種類の薄膜トランジスタを有する薄膜トランジスタ基板及びその製造方法に関する。
例えばアクティブマトリクス型液晶表示デバイス等に用いられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)基板は、画像表示を行う表示領域と、表示領域の周辺部にTFTで回路構成されたアナログスイッチやシフトレジスタ等の駆動回路とをガラス基板上に形成したものである。これまでに様々なタイプのTFT基板が提案されており、例えば同一基板上にnチャネル型薄膜トランジスタとpチャネル型薄膜トランジスタとを有し、それぞれの薄膜トランジスタに対応した半導体層上に絶縁層を介して配置された配線を有し、前記配線は、基板の主面に対する配線表面側のテーパ角度が絶縁層側より大きい断面形状を有する配線基板(例えば特許文献1等参照。)等が提案されている。さらに、これまでは液晶表示デバイスに外付けしているD/Aコンバータや電源回路等をもガラス基板上にポリシリコンTFTで作り込む場合もある。ガラス基板上へ回路の集積はさらに進む傾向にあり、今後はデジタル回路及びアナログ回路の両方を同一絶縁基板上に集積する技術が重要となると考えられる。
ところで、液晶表示デバイスを高性能化するには、回路を構成するTFTの特性を引き上げることが有効であり、デジタル回路部には例えばゲート長2.5μm以下の微細加工が要求される。
しかしながら、TFTの特性を向上させるためにゲート長を微細化すると、ドレイン領域端部への電界集中による素子の特性劣化の影響が大きくなるという問題が生じる。このようなTFT特性の劣化を回避するために、ポリシリコン膜のゲート電極端部近傍に低濃度不純物領域(LDD領域)を設けて電界を緩和した、いわゆるLDD(lightly doped drain)構造が一般的に採用されている。
また、例えばデジタル回路部を構成するTFT等、ゲート長を2.5μm以下に微細化したTFTにおいてさらなる特性向上を図るには、LDD領域の長さ(LDD長)を極力短くすることによりオン電流(Ion)を高くする必要がある。このような高性能なTFTは、デジタル回路部に用いられることを考慮すると、特性ばらつきの制御も重要である。一方で、アナログ回路部に用いられるTFTには、デジタル回路部ほどの高特性は要求されないものの、回路の不具合を防止するためにリーク電流を小さくするという別の特性が要求される。このように、使用される回路に応じてTFTに必要な性能は異なってくる。
LDD構造を持つTFTの形成方法としては、例えば以下のような方法が知られている。先ず、基板上にポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜上にゲート絶縁層及び金属膜を形成し、さらにレジストを塗布する。フォトリソグラフィによりレジストを所定形状にパターニングした後、レジストパターンをマスクとして金属膜をドライエッチングし、ゲート電極を形成する。次に、ゲート電極をマスクとして例えばリンを低濃度にドープし、LDD領域を形成する。次に、フォトリソグラフィにより所定形状にパターニングしたレジストパターンをマスクとし、リンを高濃度にドープして、ソース領域及びドレイン領域を形成する。これによってLDD構造が得られる。この方法で得られるゲート電極のテーパー角度は、いずれのTFTにおいても一定となる。
また、LDD領域を短く且つ精度良く形成するために、例えば以下のようにゲート電極とセルフアラインにLDD領域を形成する方法もある。この方法では、先ず、基板上にポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜上にゲート絶縁層及び金属膜を形成し、さらにレジストを塗布する。フォトリソグラフィによりレジストを所定形状にパターニングした後、このレジストをマスクとしてゲート電極の1回目のエッチングを行い、次に、例えばリンを高濃度にドープする。次に、1回目のエッチングで用いたレジストをマスクに再度エッチングを行い、ゲート電極をさらにエッチングする。次に、2回目のエッチングで形成されたゲート電極をマスクとしてリンを低濃度にドープし、LDD領域を形成する。
前述のように、デジタル回路部にはアナログ回路部に比べゲート長の短いTFTを用いるが、そのような微細なゲート長のばらつきを小さくするためには、ゲート電極のテーパー角度を90°に極力近い形状とする必要がある。ゲート電極のテーパー角度を小さくするとゲート長のばらつきが大となり、デジタル回路部を構成するTFTとして不適当となるためである。このような事情を考慮し、例えば前者の方法により同時に形成されるゲート電極のテーパー角度は、エッチング条件にも依存するが、いずれのTFTにおいても一定であり、通常例えば80°前後とされる。また、前者の方法により得られるLDD長は、ソース領域及びドレイン領域形成時のマスクサイズによって決定されるが、いずれのTFTにおいても一定であり、例えば1.5mm程度とされる。以上のように、製造上の多少のばらつきはあるものの、ゲート電極のテーパー角度及びLDD長はゲート長によらず一定となるようにしている。また、後者の方法によれば、LDD長を例えば0.5μm程度に短くすることができるが、前者の方法と同様に、やはり同時に形成されるゲート電極のテーパー角度及びLDD長は、ゲート長によらず一定となる。
特開2002−111001号公報
ところで前述のように、TFTに要求される特性はデジタル回路部とアナログ回路部とで異なり、例えばデジタル回路部を構成するTFTには高特性及び特性ばらつきの小さいことが要求され、アナログ回路部を構成するTFTにはリーク電流が小さいことが要求される。
しかしながら、前述のような方法により同一基板上に形成されるゲート電極のLDD長はゲート長によらず一定であるため、アナログ回路部を構成するTFTに求められる要求とデジタル回路部を構成するTFTに求められる要求とを同時に満足することは不可能である。例えば、デジタル回路部の特性に合せて、基板全体でLDD長を短くすると、アナログ回路部を構成するTFTのLDD長も同様に短くなり、オフ電流(Ioff)すなわちリーク電流の増大を招くという問題が生じる。逆に、アナログ回路部の特性に合せて基板全体でLDD長を長くすると、デジタル回路部を構成するTFTのLDD領域が長くなり、オン電流(Ion)の低下を招き、TFT特性の向上が見込めない。
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、同一基板上に形成される複数種類の薄膜トランジスタの特性をゲート長に応じて独立に制御可能とし、例えば、同一基板上に形成されるアナログ回路部の薄膜トランジスタ及びデジタル回路部の薄膜トランジスタの両方の性能を高めることが可能な薄膜トランジスタ基板を提供することを目的とする。また、本発明は、異なるゲート長を有し、ゲート長に応じて特性を独立に制御された複数種類の薄膜トランジスタを少ない工程数で同一基板上に形成することが可能な薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために本発明者らが検討を重ねた結果、ゲート長に応じてゲート電極端部のテーパー角度を変えることが、TFT毎にLDD長を制御し、TFTの特性を独立して制御するうえで有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る薄膜トランジスタ基板は、絶縁基板上にゲート長が異なる複数種類の薄膜トランジスタを有する薄膜トランジスタ基板であって、前記複数種類の薄膜トランジスタを構成するゲート電極は、ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度がゲート長の短いゲート電極のテーパー角度より小さくなるように形成されていることを特徴とする。また、本発明に係る薄膜トランジスタ基板の製造方法は、絶縁基板上にゲート長の異なる複数種類の薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、前記絶縁基板上に形成された半導体層上にゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上に、ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度がゲート長の短いゲート電極のテーパー角度より小さくなるようにゲート電極を形成することを特徴とする。
本発明では、ゲート電極を形成する際、ゲート長に応じてゲート電極のテーパー角度を変えることにより、例えばゲート電極をマスクとして不純物をドープして得られるLDD領域の長さを制御する。ここで、LDD領域の長さはゲート電極のテーパー角度により決定され、例えばマスクとなるゲート電極のテーパー角度が小さければLDD長は長くなり、ゲート電極のテーパー角度が大きければLDD長は短くなる。したがって、ゲート長が長くなるにつれてゲート電極端部のテーパー角度を小とすることにより、ゲート長毎にTFTの特性を独立して制御可能であり、ゲート長の長いTFTはリーク電流の低減、ゲート長の短いTFTはオン電流の向上がそれぞれ実現される。
なお、前述の特許文献1においては、テーパー角度の異なるゲート電極を有する配線基板が図示されているが、ゲート電極を複数回エッチングして配線間ショート等を防止することを趣旨としており、ゲート長に応じてゲート電極のテーパー角度を異ならせ、TFT毎に特性を制御することは全く想定外である。
本発明に係る薄膜トランジスタ基板によれば、同一基板上の複数の薄膜トランジスタの特性をゲート長に応じて独立に制御でき、例えばゲート長の長い薄膜トランジスタのリーク電流を低減し、ゲート長の短い薄膜トランジスタのオン電流を向上させることができる。したがって、本発明によれば、ゲート長の長い薄膜トランジスタで例えばアナログ回路部を構成し、ゲート長の短い薄膜トランジスタで例えばデジタル回路部を構成することにより、両回路部の性能を最大限に高め、例えば高性能な液晶表示デバイスを実現することが可能な薄膜トランジスタ基板を提供することができる。また、本発明によれば、ゲート長に応じて特性を独立に制御した薄膜トランジスタを同一絶縁基板上に同時に形成することが可能な薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を適用した薄膜トランジスタ基板及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明を適用した薄膜トランジスタ基板を備えたドライバ内蔵型液晶表示デバイスを示す。ドライバ内蔵型液晶表示デバイスは、薄膜トランジスタ基板1と、例えばカラーフィルタ、対向電極等が形成された対向基板2とを液晶層を挟んで対向配置してなるものである。薄膜トランジスタ基板1の画像表示領域3の周辺領域には、複数の薄膜トランジスタから形成され、例えばアナログ回路部及びデジタル回路部を含む駆動回路4が設けられる。図2に、駆動回路4の一部として、アナログ回路部を構成するnチャネル型薄膜トランジスタ(以下、第1のn型TFTと称する。)11a、デジタル回路部を構成するnチャネル型薄膜トランジスタ(以下、第2のn型TFTと称する。)11bを示す。駆動回路4がCMOS構造である場合、駆動回路4はさらにpチャネル型薄膜トランジスタ(以下、p型TFTと称する。)11cを有して構成される。
図2に示すように、第1のn型TFT11a、第2のn型TFT11b及びp型TFT11cは、ガラス基板等の絶縁基板12上に形成された半導体層としてのポリシリコン層13a、13b、13c、ゲート絶縁層14、例えばMoW等からなるゲート電極15a、15b、15cを有して構成される。第1のn型TFT11aを構成するゲート電極15aのゲート長L1aと第2のn型TFT11bを構成するゲート電極15bのゲート長L1bとを比較すると、ゲート電極15aのゲート長L1aが、ゲート電極15bのゲート長L1bより長くされる。高性能が要求されるデジタル回路部には、アナログ回路部に比べ微細なゲート長のTFTを用いる必要があるためである。
ポリシリコン層13a、13b、13cのゲート電極15a、15b、15cの両側には、一方がソース領域で他方がドレイン領域である高濃度不純物領域16a、16b、16cが設けられる。また、図2に示す第1のn型TFT11a、第2のn型TFT11bは、ポリシリコン層13a、13bのゲート電極15a、15bの端部近傍に高濃度不純物領域より不純物濃度の低いLDD領域17a、17bを設けた、いわゆるLDD構造であり、ドレイン領域端部の電界を緩和して特性劣化を抑制している。
また、ポリシリコン層13a、13b、13c上には層間絶縁膜18が重ねられ、さらに、層間絶縁膜18に設けられたコンタクトホールを介して高濃度不純物領域16a、16b、16cと電気的に接続する信号線19が形成される。信号線19の上には、さらにSiN等からなる保護膜20が形成される。
同じ導電型である第1のn型TFT11a及び第2のn型TFT11bとを比較すると、ゲート長が長くなるにつれてゲート電極端部のテーパー角度が小さくされており、ゲート電極15aのテーパー角度θ1aがゲート電極15bのテーパー角度θ1bより小さくされている。詳細は後述するが、ゲート電極のテーパー角度を変えることによりLDD領域の長さ(以下、LDD長と称する。)を制御することができ、具体的には、テーパー角度θ1a<テーパー角度θ1bであれば、LDD領域17aのLDD長L2aはLDD領域17bのLDD長L2bより必ず長くなる。
テーパー角度θ1aとテーパー角度θ1bとの差は、少なくとも同一基板上に形成されるゲート電極の製造ばらつきの範囲を超える程度あればよいが、LDD長に差をつけ、TFTの特性を独立に制御するという効果を確実に得るには、20°以上とすることが好ましい。
前述のような薄膜トランジスタ基板は、例えば以下に説明するように製造される。先ず、例えばガラス基板等の絶縁基板12上に、ポリシリコンを成膜し、次に、例えばフォトリソグラフィ等によりポリシリコンを所定の形状にパターニングして、半導体層としてのポリシリコン層13a、13b、13cを形成する。ポリシリコン層の膜厚は、例えば50nmとする。続いて、ポリシリコン層13a、13b、13c上にゲート絶縁層14を一面に成膜する。ゲート絶縁層14の膜厚は、例えば100nmとする。次に、ゲート絶縁層14上にMoW等のゲート配線材料をスパッタ等により堆積させ、ゲート配線材料層21を形成する。ゲート配線材料層21の膜厚は、例えば300nmとする(図3(a))。
なお、CMOS構造で回路を構成する場合には、図3(b)に示すように、所定の領域にp型TFT11cを形成しておく。先ず、レジスト材料を塗布し、露光工程及び現像工程を経ることにより、n型TFT形成領域及びp型TFT11cのゲート電極の大きさに対応させたレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンを介してゲート配線材料層21のエッチングを行い、p型TFT11cのゲート電極15cを形成する。次に、ポリシリコン層13cに不純物としてB等をドープし、ゲート電極15cとセルフアラインに高濃度不純物領域16cを形成し、p型TFT11cを形成する。
次に、図3(c)に示すように、レジスト材料を塗布し、露光及び現像することにより、ゲート電極15a及びゲート電極15bに対応したレジストパターン22a、22bを形成する。このとき、p型TFT形成領域にレジストパターン22cを形成し、p型TFT11cを被覆しておく。レジスト材料としては、1.5μmで解像可能であり、熱収縮率の大きいレジスト材料、例えばi線ステッパで露光可能なi線レジストを使用することが好ましい。レジスト材料として例えばノボラック系のi線レジストを使用し、ゲート配線材料層21等上に塗布、露光、現像後、例えば温度130℃でポストベークを行い焼結させると、形成しようとするレジストパターンの体積が大きいほど、テーパー角度の小さいレジストパターンが得られる。つまり、体積の大きいレジストパターン、すなわちゲート長の長いゲート電極15aに対応するレジストパターン22aのテーパー角θ2aは、ゲート長の短いゲート電極15bに対応するレジストパターン22bのテーパー角θ2bより小となる。前記条件でレジストパターンを形成すると、ゲート電極15aに対応するレジストパターン22aのテーパー角度θ2aは45°となり、ゲート電極15bに対応するレジストパターン22bのテーパー角度θ2bは70°となった。
次に、レジストパターン22a、22bをマスクとしてゲート配線材料層21をエッチングし、図3(d)に示すように、ゲート電極15a及びゲート電極15bを形成する。このとき得られるゲート電極のテーパー角度は、マスクとして用いたレジストパターンのテーパー角度に依存して変化し、レジストパターンのテーパー角度が小さいとテーパー角度の小さいゲート電極が形成される。したがって、テーパー角度の小さいレジストパターン22aをマスクとして形成されたゲート電極15aのテーパー角度θ1aは、ゲート電極15bのテーパー角度θ1bより小さくなる。例えば、エッチングガスとしてSFガス及びOガスの混合ガスを用い、エッチング時の条件を例えばSF/O=250/550sccm、ソースパワーPs/バイアスパワーPb=2500W/750W、圧力を70mTorrとしてリアクティブ・イオン・エッチング法によりゲート配線材料層21のエッチングを行った結果、ゲート電極15aのテーパー角度θ1aは40°となり、ゲート電極15bのテーパー角度θ2aは75°となった。また、ゲート電極15bではエッチング中のレジスト後退量が少ないため、加工ばらつきが抑えられ、例えば以上の条件でエッチングを行ったときのそれぞれのゲート長のばらつき(3σ)は、ゲート電極15aで0.25μm、ゲート電極15bで0.4μmであった。
ゲート配線材料層21のエッチングとしては、例えばリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)等のドライエッチングを行うことが好ましい。RIE装置としては、例えばイオンの引き込み電圧とプラズマ生成のための電圧発生装置とを分離した2周波の電源を有する装置を使用することができ、例えば誘導結合型RIE装置やECRプラズマRIE装置等が挙げられる。
次に、図3(e)に示すように、p型TFT11a形成領域をレジストパターン23で被覆した状態で、ポリシリコン層13a、13bに不純物として例えばリン(PH等)をドープする。ポリシリコン層13a、13bのソース領域及びドレイン領域に対応する領域にはリンを高濃度にドープし、ゲート電極端部近傍にはリンを低濃度にドープするように、リンのドーズ量及び加速電圧を適宜調整する。この結果、LDD形成予定領域と、ソース・ドレイン形成予定領域とで最終的な不純物濃度に差が生じ、LDD領域17a、17bと高濃度不純物領域16a、16bとが同時に形成される。
このとき、マスクとなるゲート電極のテーパー角度に応じてLDD長が変わってくる。マスクとなるゲート電極のテーパー角度が小さければLDD長が長くなり、テーパー角度が大きければ相対的にLDD長が短くなる。すなわち、テーパー角度の小さいゲート電極15aをマスクとして形成されたLDD領域17aのLDD長L2aは、テーパー角度の大きいゲート電極15bをマスクとして形成されたLDD領域17bのLDD長L2bより長くなる。例えば、ゲート電極15a又はゲート電極15bをマスクとしてリンをドープすることによりLDD領域17a及びLDD領域17bを形成し、これらのLDD長を比較したところ、ゲート長6μm、テーパー角度75°のゲート電極15aをマスクとして得られたLDD領域17aのLDD長L2aは、ゲート長1.5μm、テーパー角度40°のゲート電極15bをマスクとして得られたLDD領域17bのLDD長L2b(0.1μm〜0.2μm程度)に比べ、片側で0.2μm〜0.3μm程度拡大していた。
次に、基板を熱処理してポリシリコン層3を熱活性化し、高濃度不純物領域16の抵抗を低下させた後、図3(f)に示すように、層間絶縁膜18を例えば膜厚500nmにて成膜する。
次に、層間絶縁膜18の所定位置にフォトリソグラフィ及びエッチングによりコンタクトホールを形成し、例えば金属等の信号線材料を例えばスパッタ等により層間絶縁膜18及びコンタクトホール表面に成膜し、続いてフォトリソグラフィ及びエッチングにより信号線19とする。信号線19の膜厚は、例えば500nmとする。そして、これら駆動回路用の第1のn型TFT11a、第2のn型TFT11b及びp型TFT11c上にSiN等の保護膜20を重ねる。これにより図2に示すような薄膜トランジスタ基板1が得られる。
以上のように、ゲート長の長いゲート電極15aのテーパー角度θ1aをゲート長の短いゲート電極15bのテーパー角度θ1bより小さくすることにより、ゲート長の異なる第1のn型TFT11a及び第2のn型TFT11bの特性をそれぞれ独立して制御することができる。例えば、ゲート長の長いゲート電極15aをマスクとして得られたLDD長L2aはゲート電極15bをマスクとして得られたLDD長L2bより長くなるので、第1のn型TFT11aにおいてはリーク電流の低減が実現される。したがって、第1のn型TFT11aを用いて構成した回路は、不具合の発生が抑制され、アナログ回路部として最適なものとなる。一方、ゲート長が短く、LDD長L1bの短い第2のn型TFT11bにおいては、充分に大きなオン電流が実現される。また、ゲート長の短いゲート電極15bは、テーパー角度の大きいレジストパターンをマスクとしたドライエッチングによって形成されるため、レジストパターンの後退量が小さく、その結果加工ばらつきが小さくなる。したがって、第2のn型TFT11bを用いて構成した回路は、高性能化を実現するとともに特性ばらつきが低減され、デジタル回路部として最適なものとなる。以上のように、同一絶縁基板上に集積されたアナログ回路部及びデジタル回路部の両性能を同時に向上させることができる。
また、これまで説明してきたように、LDD長の異なるLDD領域は、異なるテーパー角度を有するゲート電極をマスクとして不純物をドープすることにより同時に形成される。ゲート長に応じて異なるテーパー角度を有するゲート電極は、レジストパターンのテーパー角度を異ならせることにより、同時に形成される。以上のように、本発明によれば、ゲート長に応じてTFTの特性を独立して制御し、例えばアナログ回路部及びデジタル回路部の両方の性能を高めた薄膜トランジスタ基板を省工程で製造できる。
なお、回路の駆動電圧が高くドレイン領域端部への電界集中による信頼性劣化が問題となる場合等、例えば以下のようにしてゲート電極15bに対応するLDD領域17bを拡大し、LDD長を長くしても構わない。この場合、ゲート長に応じてテーパー角度の異なるゲート電極15a、15bを形成した後、ゲート電極15a、15bをマスクとしてポリシリコン層13a、13bにリンを低濃度にドープする。次に、高濃度不純物領域に対応する形状の開口を有するようにレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてポリシリコン層13a、13bにリンを高濃度にドープする。以上のような方法によっても、例えばアナログ回路部のLDD長がデジタル回路部より長くなるように、LDD長をTFT毎に独立して制御できる。
また、前述の説明では、ゲート長の異なる2種類のnチャネル型TFTを例に挙げたが、ゲート長の異なる3種類以上のnチャネル型TFTを有する場合であっても、ゲート長が長くなるにつれてゲート電極のテーパー角度を小とすることで、各nチャネル型TFTのLDD長を制御でき、TFT特性を独立に制御することができる。また、前述の説明では、nチャネル型TFTにおいてゲート長を異ならせた薄膜トランジスタ基板を例に挙げたが、pチャネル型TFTにおいてもnチャネル型TFTと同様の効果を得られることは言うまでもない。
本発明を適用した薄膜トランジスタ基板を備えるドライバ内蔵型液晶表示デバイスの斜視図である。 本発明を適用した薄膜トランジスタ基板の一例を模式的に示す断面図である。 図2に示す薄膜トランジスタ基板の製造方法を説明するための断面図である。(a)はゲート配線材料層形成工程、(b)はp型TFT形成工程、(c)はn型TFTのゲート電極形成用レジストパターン形成工程、(d)はn型TFTのゲート電極形成工程、(e)はリンドーピング工程、(f)は層間絶縁膜形成工程を示す。
符号の説明
1 薄膜トランジスタ基板、2 対向基板、3 画像表示領域、4 駆動回路、11薄膜トランジスタ(TFT)、13 ポリシリコン層、14 ゲート絶縁層、15 ゲート電極、16 高濃度不純物領域、17 低濃度不純物領域(LDD領域)、18 層間絶縁膜、19 信号線、20 保護膜

Claims (12)

  1. 絶縁基板上にゲート長が異なる複数種類の薄膜トランジスタを有する薄膜トランジスタ基板であって、
    前記複数種類の薄膜トランジスタを構成するゲート電極は、ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度がゲート長の短いゲート電極のテーパー角度より小さくなるように形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 前記薄膜トランジスタは絶縁基板上に形成された半導体層とゲート絶縁層を介して前記半導体層上に形成された前記ゲート電極とを有し、前記半導体層は、前記ゲート電極の端部近傍に設けられ、ソース領域及びドレイン領域の不純物濃度より不純物濃度の低くされたLDD領域を有し、
    ゲート長の長いゲート電極に対応するLDD領域の長さはゲート長の短いゲート電極に対応するLDD領域の長さより長いことを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記LDD領域が、ゲート電極をマスクとして不純物をドープすることにより形成されることを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度と前記ゲート長の短いゲート電極のテーパー角度との差が20°以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 絶縁基板上にゲート長の異なる複数種類の薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
    前記絶縁基板上に形成された半導体層上にゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上に、ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度がゲート長の短いゲート電極のテーパー角度より小さくなるようにゲート電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  6. 前記ゲート電極を形成した後、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体層に不純物をドープし、前記ゲート電極の端部近傍にソース領域及びドレイン領域と前記ソース領域及びドレイン領域の不純物濃度より不純物濃度の低くされたLDD領域とを形成することを特徴とする請求項5記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  7. 前記ゲート長の長いゲート電極に対応するLDD領域の長さを前記ゲート長の短いゲート電極に対応するLDD領域の長さより長くすることを特徴とする請求項6記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  8. 前記ゲート長の長いゲート電極のテーパー角度と前記ゲート長の短いゲート電極のテーパー角度との差を20°以上とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  9. 前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート配線材料層上にレジストパターンを形成した後、前記レジストパターンを介して前記ゲート配線材料層をエッチングして形成され、
    前記ゲート長の長いゲート電極に対応するレジストパターンのテーパー角度を前記ゲート長の短いゲート電極に対応するレジストパターンのテーパー角度より小さくすることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  10. 前記ゲート長の長いゲート電極に対応するレジストパターンのテーパー角度と前記ゲート長の短いゲート電極に対応するレジストパターンのテーパー角度との差を20°以上とすることを特徴とする請求項9記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  11. 前記エッチングはドライエッチングであることを特徴とする請求項9又は10記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
  12. 前記レジストパターンは、前記ゲート配線材料層上に塗布したi線レジストを露光、現像及び焼結することにより形成されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
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