JP2006126458A - 光学ユニット及びそれを用いた投写型映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
投写型映像表示装置において、輝度性能やコントラスト性能を確保しつつ視聴環境に対応できるようにする。
【解決手段】
光路上に、偏光板の他に、その偏光軸の方向に対応して赤、緑、青のいずれかの単色光を反射または透過させて偏光分離する反射型偏光素子を設ける。反射型偏光素子は、例えば、可視光の波長よりも微細なピッチで縞状にされたワイヤグリッドなどから成り、偏光軸方向を電動式に回転可能な構成とする。
【選択図】 図1
投写型映像表示装置において、輝度性能やコントラスト性能を確保しつつ視聴環境に対応できるようにする。
【解決手段】
光路上に、偏光板の他に、その偏光軸の方向に対応して赤、緑、青のいずれかの単色光を反射または透過させて偏光分離する反射型偏光素子を設ける。反射型偏光素子は、例えば、可視光の波長よりも微細なピッチで縞状にされたワイヤグリッドなどから成り、偏光軸方向を電動式に回転可能な構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光源側からの光を映像表示素子に照射し、映像信号に基づき変調して光学像を形成する投写型映像表示装置に関する。
従来の投写型映像表示装置は、例えば特開2002−277960号公報(特許文献1)の図5のように、光源より出射した光は、一対のレンズアレイから成るインテグレータで均一化され、色分離光学系であるダイクロイックミラーでR(赤)、G(緑)、B(青)の各単色光に分離されて、各色光用の映像表示素子に入射する。各映像表示素子は、入射した色光を、対応した色映像信号に応じて光強度変調を行い、光学像を形成する。そして、それぞれの光学像は、色合成ダイクロイックプリズムによって色合成され、投写レンズによってスクリーン上へと投写され、大画面映像を得る。
投写型映像表示装置の用途としては、プレゼンテーション等でPC等の画像を投写する業務用途が多かった。これに対し近年では、VTRやDVDなどの画像を投写するホームシアター等のホームユースとして用いられることが多くなってきている。
ホームユースとして投写型映像表示装置を使用する場合、2つの主な視聴環境が存在する。1つは、リビング等の照明下の明室空間で投写を行う視聴環境、もう1つは、専用ルーム等の暗室空間で投写を行う視聴環境である。上記リビング等の明室空間においては、明るい照明下でも鮮明な映像を得るため、G光の光量を多くし、輝度を高めている(以下、この視聴環境における映像モードを「リビングモード」という)。一方、専用ルーム等の暗室空間においては高い輝度は必要なく、G光の光量を下げて色再現性能を良くし、コントラスト感のある映像を得ている(以下、この視聴環境における映像モードを「シアターモード」という)。両モードの白色の色度は、リビングモードでは、x値は0.310以下、y値は0.350以下、シアターモードでは、x値は0.310以下、y値は0.330以下が望ましいとされる。
ホームユースとして投写型映像表示装置を使用する場合、2つの主な視聴環境が存在する。1つは、リビング等の照明下の明室空間で投写を行う視聴環境、もう1つは、専用ルーム等の暗室空間で投写を行う視聴環境である。上記リビング等の明室空間においては、明るい照明下でも鮮明な映像を得るため、G光の光量を多くし、輝度を高めている(以下、この視聴環境における映像モードを「リビングモード」という)。一方、専用ルーム等の暗室空間においては高い輝度は必要なく、G光の光量を下げて色再現性能を良くし、コントラスト感のある映像を得ている(以下、この視聴環境における映像モードを「シアターモード」という)。両モードの白色の色度は、リビングモードでは、x値は0.310以下、y値は0.350以下、シアターモードでは、x値は0.310以下、y値は0.330以下が望ましいとされる。
上記リビングモード、シアターモードの両モードを1台の投写型映像表示装置で実現させるには、一般的に、リビングモードではG光の光量を100%とし、シアターモードではG光の光量を下げる(例えば約70%程度に)方法がある。しかし、G光の光量低減を、入射光量を変えずに映像表示素子の制御で行う(例えば、G光用映像表示素子に印加する映像信号の大きさを下げて光量調整を行う)と、階調表示が犠牲となってしまい、高品位な画像を得ることができない。
これを解決する一方法として、上記特許文献1に記載されている技術がある。これは、G光の映像表示素子の入射側にメッシュ状のスクエアメッシュワイヤクロスを配置し、このスクエアメッシュワイヤクロスに外力を与えてスクエアメッシュワイヤクロスの開口率を変化させてG光の映像表示素子への入射光量(以下、単に「入射光量」という)を制御するものである。
また、光量を可変する別の方法として、特開平6−167717号公報(特許文献2)に記載されている技術もある。これは、映像表示素子入射側に偏光フィルタを配置し、偏光フィルタを回転させて入射光量を制御するものである。
上記特許文献1に記載された投写型映像表示装置においては、Gの映像表示素子の入射側に配置したメッシュ状のスクエアメッシュワイヤクロスに外力を付加し、スクエアメッシュワイヤクロスの開口率を約70%とし、G光の入射光量を約70%まで絞ってシアターモードとしている。しかし、このスクエアメッシュワイヤクロスの開口率は最大でも80%弱であるため、輝度優先のリビングモードにおいても約20%の光がスクエアメッシュワイヤクロスによって遮光されてしまうため、光源からの光を最大限に利用することができない。また、光路内に配置したスクエアメッシュワイヤクロスの影が投写映像に映り込むおそれがあるため、該スクエアメッシュワイヤクロスを、映像表示素子に対しフォーカスの合わない離れた位置に配置しなければならず、スクエアメッシュワイヤクロスの外形が大きくなってしまう問題がある。
また、上記特許文献2に記載された偏光フィルタを回転させて入射光量を制御する技術は、光源やダイクロイックミラーなどの光学部品のバラツキによって崩れた白色の色度を調整するためのものであり、数%程度の光量制御についてしか考慮されていない。さらに、入射光量を制御する偏光フィルタは、偏光方向が同一の光を透過させ、それ以外の光を吸収するタイプと記載されており、例えば、一軸延伸フィルム等のような吸収型偏光フィルタ(偏光板)を使用していると推定される。吸収型偏光フィルタ(偏光板)は、一般に、偏光作用を有する偏光基材と、これを間に挟んで保護する2枚のベース基板(例えばトリアセチルセルロース(TAC))から構成されており、該ベース基板は一般にわずかであるが複屈折性を持つ。従って、偏光フィルムの回転角度が小さく、白色の色度調整時の数%程度の光量制御では光量低下が少なく、上記吸収型偏光フィルタのベース基板で生じる複屈折の影響も小さいことから、表示性能的にはあまり問題にはならないが、シアターモードに対応させるために、特許文献2の技術を適用して偏光フィルタを大きく回転させ、例えば約30%と大きく光量を絞る場合には、光量低下が大きくなり、このために、ベース基板で生じる複屈折の影響を受け、コントラスト性能が劣化してしまうことになる。また、吸収型偏光フィルタは、透過光以外を吸収するため、発熱により偏光フィルタが劣化し易くなる。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、1台の投写型映像表示装置において、輝度性能やコントラスト性能を確保しつつ、また表示階調を犠牲にすることなく、リビングモードやシアターモードといった様々な視聴環境に対応した映像モードを実現できるようにすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、使い勝手性の優れた投写型映像表示技術を提供することにある。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、使い勝手性の優れた投写型映像表示技術を提供することにある。
上記課題点を解決するために、本発明では、光源側からの光を映像表示素子に照射し、映像信号に基づき変調して光学像を形成する投写型映像表示装置技術として、光路上に、偏光板の他に、その偏光軸の方向に対応して赤、緑、青のいずれかの単色光を反射または透過させて偏光分離する反射型偏光素子を設ける。反射型偏光素子は、例えば、可視光の波長よりも微細なピッチで縞状にされたワイヤグリッドなどから成り、偏光軸方向を電動式に回転可能な構成とする。
本発明によれば、1台の投写型映像表示装置において、輝度性能やコントラスト性能を確保しつつ、また表示階調を犠牲にすることなく、リビングモードやシアターモードといった様々な視聴環境に対応することが可能となる。
以下、本発明による最良の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例としての投写型映像表示装置の構成図である。図1において、一点鎖線で囲まれた部分が、光源からの光を映像表示素子で映像信号に応じて光強度変調して光学像を形成し、該光学像を投写レンズで拡大して投写する光学ユニットである。投写型映像表示装置は、該光学ユニットを回路基板(図示なし)とともに筐体(図示なし)内に収納して成る。
図1において、光源20より出射した光は、第1レンズアレイ31と第2レンズアレイ32とから成るインテグレータ30に入射する。該インテグレータ30は光源20からの光を均一化する。該インテグレータ30の第1レンズアレイ31はマトリックス状に複数のレンズセルが配列されて成り、入射した光を複数の光に分割し、効率的に第2レンズアレイ32、偏光変換素子40を通過するように導く。第2レンズアレイ32は、第1レンズアレイ31と同様にマトリックス状に複数のレンズセルが配列されて成り、レンズセルそれぞれが、対応する第1レンズアレイ31の各レンズセルの投影像を集光レンズ50、コンデンサレンズ110R、110G、第1リレーレンズ80、第2リレーレンズ81及びコンデンサレンズ110Bにより、例えば液晶パネル等の各映像表示素子140R、140G、140B上に重ね合わせる。このようにして、インテグレータ30は表示素子への照射光の均一化を行う。このとき、第2のレンズアレイ32を出射した光は、偏光変換素子40により所定方向の偏光光(ここでは、S偏光光とする)に揃えられ、後述する色分離光学系にて色分離され、各色対応の映像表示素子140R、140G、140Bに照射される。
次に、色分離光学系につき説明する。集光レンズ50を出射した光は、赤反射緑青透過ダイクロイックミラー(赤色光を反射し、緑色光と青色光を透過するダイクロイックミラー)60において、赤色光の成分(R光)は反射し、赤色光用全反射ミラー70を経て、映像表示素子140Rに入射する。赤反射緑青透過ダイクロイックミラー60において、透過した緑青色光の成分(GB光)は、緑反射青透過ダイクロイックミラー61に入射し、該緑反射青透過ダイクロイックミラー61を反射した緑色光の成分(G光)は映像表示素子140Gに入射する。緑反射青透過ダイクロイックミラー61を透過した青色光の成分(B光)は青色光用全反射ミラー71、72とリレーレンズ80、81を経て、映像表示素子140Bに入射する。図1に示すようにB光の光路は、R光、G光の光路に対して長いため、リレーレンズ80、81により、効率的に映像表示素子140BにB光が照射されるようにしている。
液晶パネル等のG光用映像表示素子140Gは、その入射側には、入射側偏光板120Gが配され、偏光変換素子40にてS偏光光に揃えられなかったP偏光光成分を除去している。該映像表示素子140Gは、素子駆動回路230により、G映像信号(図示せず)に応じて映像表示素子140Gの各画素に対応する透明電極に印加する電圧を制御することで、偏光の捩れ量を変化させている。映像表示素子140Gの出射側には出射側偏光板130Gが配置されており、該出射側偏光板130Gは、入射側偏光板120Gとは偏光方向が90°異なるようにされている。このため、各画素において偏光の捩れ量が変化しP偏光光となったもののみ、出射側偏光板130Gを透過する。このように、各画素に濃淡(偏光の捩れ量)を変える光強度変調を行うことで光学像を形成する。この結果得られた映像表示素子140G上の光学像は、色合成ダイクロイックプリズム150を透過し、投写レンズユニット160によってスクリーン170上に投写され、大画面映像が得られる。
映像表示素子140R、140B側も上記映像表示素子140G側と同様に構成されている。しかし、映像表示素子140R、140Bにおいては、透過した光が投写レンズユニット160によって投写されるためには、色合成ダイクロイックプリズム150内のプリズム面にて反射する必要がある。該プリズム面の反射効率は、S偏光光の方が効率が良いため、該プリズム面には映像表示素子140R、140BからS偏光光が入射するように、入射側偏光板120R、120Bの入射側にλ/2板115R、115Bを配してS偏光光をP偏光光に変換し、該P偏光光が映像表示素子140R、140Bに入射するようにしている。すなわち、入射側偏光板120R、120Bにおいては、S偏光光成分を除去するよう作用し、映像表示素子140R、140Bの各画素にて偏光が捩れS偏光光となったもののみ、出射側偏光板130R、130Bを透過し、その光は色合成ダイクロイックプリズム150内のプリズム面にて反射し、投写レンズユニット160によってスクリーン170上に投写される。
また、R光路には赤外線をカットするIRカットフィルタ90、B光路には紫外線をカットするUVカットフィルタ100が配置されている。
また、R光路には赤外線をカットするIRカットフィルタ90、B光路には紫外線をカットするUVカットフィルタ100が配置されている。
G光路には反射型偏光素子10Gが配されている。反射型偏光素子は透過軸に平行な偏光方向の偏光光(例えばS偏光光)を透過させ、透過軸に直交する偏光方向の偏光光(例えばP偏光光)を反射させる。該反射型偏光素子10Gは、回転手段180Gにより光軸を中心に、光軸に直交する面内で電動式に回転可能で、その回転角度は、回転駆動回路210により回転手段180Gを介して制御され、視聴環境に応じた映像モードに対応して設定された所定角度にされる。
図2は、上記反射型偏光素子10Gを回転させる回転手段の構造例を示す図である。反射型偏光素子10Gは、回転手段180Gにより、該反射型偏光素子10Gの光軸を中心に(z軸回りに)、z軸に直交するxy平面内で、入射側偏光板120Gの偏光軸(透過軸)120Gaに対し角度αを回転可能にされている。回転手段180Gは、モータ181Gと、該モータ181Gの回転軸に設けたウォームギヤ182Gと、反射型偏光素子10G側に設けられ該ウォームギヤ182Gに噛合うウォームホイールギヤ190Gから成る。ウォームホイールギヤ190Gは、反射型偏光素子10G側にあって保持機構手段200Gの一部も構成する。回転手段180Gでは、ウォームギヤ182Gとウォームホイールギヤ190Gとが噛合うことで、モータ181Gの回転駆動力がウォームホイールギヤ190Gに伝達され、該ウォームホイールギヤ190Gは所定角度回転する。回転手段180Gは、回転駆動回路210により駆動される。該回転駆動回路210は映像調整手段220により制御される。
映像調整手段220は、映像モードに応じて、回転駆動回路210、回転手段180Gを介して、反射型偏光素子10Gを回転させ、映像表示素子140Gに入射する光量を可変するとともに、必要に応じ、該映像表示素子140Gの入射光量の可変に同期して、映像表示素子140Bによる光量制御を、表示素子駆動回路230を介して行う。なお、B光の光量低減を、映像表示素子の制御で行う(例えば映像表示素子に印加する映像信号の大きさを下げて光量調整を行う)と、階調表示が犠牲となるが、青色については視感度が低いために、階調表示が低下しても一般には実用上問題とならない。
再び図1において、メモリ310は、上記したそれぞれの視聴環境に応じた映像モード(例えばリビングモードやシアターモード)にそれぞれ対応した反射型偏光素子10Gの回転角度αを格納しておくメモリである。メモリ310には、G光の光量調整を行う反射型偏光素子10Gの回転角度αとともに、信号処理手段(図示なし)で視聴環境に応じて用いられるγ特性を対応させて記憶させてもよい。また、B光の光量調整をB光用の映像表示素子140Bで行う場合、この調整値も対応させて記憶させてもよい。
入力手段300は、映像モードの選択を映像調整手段220に指示するもので、映像調整手段220は、入力手段300で選択された、視聴環境に応じた映像モードに従って、メモリ310から、対応するG光の光量調整を行う反射型偏光素子10Gの回転角度α、γ特性,B光用映像表示素子140Bによる光量調整値を読み出し、回転駆動回路210、回転手段180Gを介して反射型偏光素子10Gの回転角度αを制御するとともに、信号処理手段(図示なし)に対応するγ特性を設定し、また、表示素子駆動回路230を介して、B光用映像表示素子140Bに対応する光量調整値を設定する。このように、様々な視聴環境に応じた複数の回転角度α、γ特性、B光用映像表示素子140Bによる光量調整値を、それぞれの映像モードに対応させて予めメモリ310に設定しておけば、映像調整手段220を介してなされる入力手段300による映像モードの選択だけで、視聴環境に最適な色度を有する投写映像が得られる。
視聴者がそれぞれの視聴環境に応じた最適な回転角度αを映像調整手段220でメモリ310にそれぞれの視聴環境に対応させてメモリできるようにして、入力手段300で所望の視聴環境(映像モード)を選択すれば、容易に該所望の回転角度αを再現できるようにしてもよい。
視聴者がそれぞれの視聴環境に応じた最適な回転角度αを映像調整手段220でメモリ310にそれぞれの視聴環境に対応させてメモリできるようにして、入力手段300で所望の視聴環境(映像モード)を選択すれば、容易に該所望の回転角度αを再現できるようにしてもよい。
上記では、映像モードを視聴環境に対応させている。しかし、視聴する映像ソフトにも様々なジャンルがあり、ジャンルで映像の特性が異なる。従って、視聴環境とともに、ジャンルにも対応させて映像特性を選択できるようにするのが好ましい。すなわち、例えばテレビモード、スポーツモード、ミュージックモードといった映像モードも設ける方が好ましい。このようにすれば、視聴環境や映像ジャンルに対応した映像モードを1台の投射型映像表示装置により実現することができる。
図3は、反射型偏光素子10Gの回転角度αと、映像表示素子140Gに入射する光量との関係を示す図である。図3において、横軸は、反射型偏光素子10Gの回転角度αであり、反射型偏光素子10Gの偏光軸(透過軸)10Gaと、入射側偏光板120Gの偏光軸(透過軸)120Gaとのずれ量を示す。また、縦軸は、反射型偏光素子10Gに入射する光量に対する映像表示素子140Gに入射する光量の比(%)である。曲線240が示すように、反射型偏光素子10Gの回転角度αを変化させ、入射側偏光板120Gとの偏光軸(透過軸)のずれを変化させることにより、映像表示素子140Gに入射する光量を0%から100%まで変化させることができる。
反射型偏光素子10Gとしては、本発明では、例えば特開2003−502708号公報に記載されたワイヤグリッド型偏光素子を用いる。該偏光素子は、所定方向に沿って周期的に形成された微細構造体を備える。該微細構造体のピッチは、入射する光の波長よりも小さい。なお、該微細構造体の材質やピッチ等を調整することにより、所望の屈折率分布や光学異方性を実現することができ、この結果、所望の偏光特性を実現することができる。
図4は、ワイヤグリッド型偏光素子の一例を示す。
図4において、ワイヤグリッド型偏光素子は、透光性基板(例えばガラス基板)17上に、ストライプ状の金属薄膜(以下、「ワイヤグリッド」という)15を、溝16を介して周期的に配列したもので、該ピッチは光の波長より小さい(例えば光の波長の数分の一から十分の一程度)。ワイヤグリッド型偏光素子に入射光12が入射すると、ワイヤグリッド15に平行な偏光方向の偏光光101は反射されて反射光14となり、また、ワイヤグリッドに直交する偏光方向の偏光光102は透過して透過光13となる。すなわち、ワイヤグリッド15に直交する方向の偏光光102は透過し、ワイヤグリッド15に平行な偏光光101は反射される。すなわち、ワイヤグリッド15に直交する方向はワイヤグリッド型偏光素子の透過軸(偏光軸)方向、ワイヤグリッド15に平行な方向はワイヤグリッド型偏光素子の吸収軸方向となる。例えば、MOXTEK社のProFlux(商品名)がこの一例である。
図4において、ワイヤグリッド型偏光素子は、透光性基板(例えばガラス基板)17上に、ストライプ状の金属薄膜(以下、「ワイヤグリッド」という)15を、溝16を介して周期的に配列したもので、該ピッチは光の波長より小さい(例えば光の波長の数分の一から十分の一程度)。ワイヤグリッド型偏光素子に入射光12が入射すると、ワイヤグリッド15に平行な偏光方向の偏光光101は反射されて反射光14となり、また、ワイヤグリッドに直交する偏光方向の偏光光102は透過して透過光13となる。すなわち、ワイヤグリッド15に直交する方向の偏光光102は透過し、ワイヤグリッド15に平行な偏光光101は反射される。すなわち、ワイヤグリッド15に直交する方向はワイヤグリッド型偏光素子の透過軸(偏光軸)方向、ワイヤグリッド15に平行な方向はワイヤグリッド型偏光素子の吸収軸方向となる。例えば、MOXTEK社のProFlux(商品名)がこの一例である。
ワイヤグリッド型偏光素子の透光性基板17にはガラス基板が用いられるため、複屈折はなく、ワイヤグリッド型偏光素子を反射型偏光素子10Gに適用して、これを回転させてG光の入射光量を減少させても、従来の吸収型偏光板(偏光フィルム)と異なり、コントラストの低下を招くおそれがない。また、ワイヤグリッド型偏光素子は透過軸に直交する偏光波を反射させるため、熱の発生が少なく、発熱による劣化を低減することができる。さらに、ワイヤグリッド型偏光素子を用いても、コントラスト低下を招くことがなく、映像表示素子への入射光量の低減が可能となるため、光量低減を映像表示素子で制御する必要がなく、階調表示を犠牲とすることもない。
以上の構成により、リビング等の明室空間や専用ルーム等の暗室空間において、その視聴環境に応じた映像調整を視聴者が選択的に行う場合、映像調整手段220を介して入力手段300によって視聴環境に応じた映像モード(例えばシアターモードやリビングモード)を選択すれば、回転駆動回路210および回転手段180Gによって、反射型偏光素子10Gが光軸を中心に回転し、映像表示素子140Gに入射するG光の光量を変化させ、選択した映像モードに最適な白色の色度を有する投写映像を得ることができる。
図5は、本実施例の特性例として、上記反射型偏光素子10Gの回転角度αと白色の色度及び明るさとの関係を示す特性例をに示す図である。
図5において、横軸は色度x、縦軸は色度yで、各プロット点は反射型偏光素子10Gの回転角度αである。図5に示すように、反射型偏光素子10Gの回転角度αが入射側偏光板120Gと同じ偏光軸角度の0°の場合の白色の色度、x=0.310、y=0.350(リビングモード)に対して、視聴者が、映像調整手段220によりシアターモードを選択することによって、回転駆動回路210及び回転手段180Gにより、反射型偏光素子10Gの回転角度αがシアターモードの設定値である反射型偏光素子10Gの回転角度α=30°に制御され、映像表示素子140Gに入射するG光の光量を約30%減少させることで、視聴者が選択した映像モードに最適な白色の色度、x=0.308、y=0.307(シアターモード)を有する投写映像を得ることができる。
図5において、横軸は色度x、縦軸は色度yで、各プロット点は反射型偏光素子10Gの回転角度αである。図5に示すように、反射型偏光素子10Gの回転角度αが入射側偏光板120Gと同じ偏光軸角度の0°の場合の白色の色度、x=0.310、y=0.350(リビングモード)に対して、視聴者が、映像調整手段220によりシアターモードを選択することによって、回転駆動回路210及び回転手段180Gにより、反射型偏光素子10Gの回転角度αがシアターモードの設定値である反射型偏光素子10Gの回転角度α=30°に制御され、映像表示素子140Gに入射するG光の光量を約30%減少させることで、視聴者が選択した映像モードに最適な白色の色度、x=0.308、y=0.307(シアターモード)を有する投写映像を得ることができる。
さらに、映像表示素子140Bを駆動する素子駆動回路230は、映像調整手段220の制御に対応して動作するため、上記の反射型偏光素子10Gの回転によるG光の光量制御による白色の色度調整による効果に加え、映像表示素子140Bを駆動する素子駆動回路230に印加する電圧を制御し、入射する光の光量調整をすることで、より視聴環境に最適な投写映像が得られる。例えば、上記のシアターモードに加え、映像表示素子140Bを駆動する素子駆動回路230に印加する電圧制御により、映像表示素子140Bに入射する光量を、10%減少させることで、白色の色度を、x=0.316、y=0.319に変化させることができ、上記反射型偏光素子10Gの回転によるG光の光量調整による白色の色度調整よりも、色温度が低く、シアターモードにとってより最適な投写映像を得ることができる。なお、映像表示素子140Bを駆動する表示素子駆動回路230の電圧制御による光量調整により、B光の階調劣化が懸念されるが、B光に関しては視感度が低いため、階調の劣化は実用上問題とならない。
なお、上記では反射型偏光素子10Gの回転角度αが30°の場合をシアターモード、0°をリビングモードとして設定しているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば映像表示素子や光源などの特性により種々の値に設定されてもよい。
なお、上記では反射型偏光素子10Gの回転角度αが30°の場合をシアターモード、0°をリビングモードとして設定しているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば映像表示素子や光源などの特性により種々の値に設定されてもよい。
以上述べたように、本発明の第1の実施例によれば、映像表示素子への光路上に配した反射型偏光素子は、透光性基板にガラスを用いているため、複屈折がなく、これに起因するコントラスト低下を招くおそれがない。また、上記反射型偏光素子は透過軸に直交する偏光波を反射させるため、熱の発生が少なく、発熱による劣化が低減される。さらに、映像表示素子への入射光量の低減が可能となり、光量低減を映像表示素子で制御する必要がなく、階調表示を犠牲とすることもない。
なお、上記実施例では、反射型偏光素子としてワイヤグリッド型偏光素子を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばガラスやこれと同等の複屈折のない透光性基板上に反射型偏光子が設けられて成る射型偏光素子であればよい。また、上記実施例では、回転可能な反射型偏光素子をG光用映像表示素子の光路上にのみ配したが、これに限定されるものではなく、R光用映像表示素子やB光用映像表示素子の光路上に配してもよい。
図6は、本発明の第2の実施例としての投写型映像表示装置の構成図である。図6では、G光の光路のみを示し、他のR光の光路、B光の光路については図示を省略している。また、色分離光学系や光路を折り曲げるミラーを省略し、直線光路として示している。なお、図6において、図1と同じ機能を有する要素には、同一符号を付し、煩雑さを避けるためにその説明を省いている。
図6において、ワイヤグリッド型の反射型偏光素子10Gは、上記第1の実施例の場合とは異なり、G光路の光軸105Gに対し、角度βだけ傾けて配されている。該角度βは、偏光変換素子40や光源20に戻る光量を低減し、発熱を十分に抑えるためには、+5°以上あるいは−5°以上とすることが望ましく、また、反射型偏光素子10Gの面積を小さく保つためには、角度βは+30°以下または−30°下とすることが望ましい。さらに、該反射型偏光素子10Gは、上記第1の実施例の場合と同様、回転手段180Gにより、光軸105Gとの交点を中心に電動式に回転可能で、その回転角度は映像調整手段220により回転駆動回路210を介して制御されるものとする。
本第2の実施例によれば、上記第1の実施例の場合の効果に加え、反射型偏光素子10Gを光軸に対し、角度βだけ傾けることによって、反射型偏光素子10Gによって反射した光が、偏光変換素子40や光源20に入射することを防止あるいは減少させることが可能となる。このため、偏光変換素子40や光源20における発熱が抑えられ、光学特性の劣化を防止することが可能となる。従って、冷却構造を不要にするなどにより、投写型映像表示装置を静音化かつ簡素化した構造にでき、小型化も可能となる。
なお、上記第2の実施例でも、反射型偏光素子としてワイヤグリッド型偏光素子を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばガラスやこれと同等の複屈折のない透光性基板上に反射型偏光子が設けられて成る射型偏光素子であればよい。また、上記第2の実施例では、回転可能な反射型偏光素子をG光用映像表示素子の光路上にのみ配したが、これに限定されるものではなく、R光用映像表示素子やB光用映像表示素子の光路上に配してもよい。
1…光学ユニット、
10R、10G、10B…反射型偏光素子、
10Ga…偏光軸(透過軸)、
12…入射光、
13…透過光、
14…反射光、
17…透光性基板、
20…光源、
30…インテグレータ、
31…第1レンズアレイ、
32…第2レンズアレイ、
40…偏光変換素子、
50…集光レンズ、
51…伝達レンズ、
60…赤反射緑青透過ダイクロイックミラー、
61 緑反射青透過ダイクロイックミラー、
70 赤色光用全反射ミラー、
71、72…青色光用全反射ミラー、
80…第1リレーレンズ、
81…第2リレーレンズ、
90…IRカットフィルタ、
100…UVカットフィルタ、
105G…光軸、
110R、110G、110B…コンデンサレンズ、
115R、115B…λ/2板、
120R、120G、120B…入射側偏光板、
130R、130G、130B…出射側偏光板、
140R、140G、140B…映像表示素子、
150…色合成ダイクロイックプリズム、
160…投写レンズユニット、
170…スクリーン、
180R、180G、180B…回転手段、
200G…保持機構手段、
210…回転駆動回路、
220…映像調整手段、
230…表示素子駆動回路、
300…入力手段、
310…メモリ。
10R、10G、10B…反射型偏光素子、
10Ga…偏光軸(透過軸)、
12…入射光、
13…透過光、
14…反射光、
17…透光性基板、
20…光源、
30…インテグレータ、
31…第1レンズアレイ、
32…第2レンズアレイ、
40…偏光変換素子、
50…集光レンズ、
51…伝達レンズ、
60…赤反射緑青透過ダイクロイックミラー、
61 緑反射青透過ダイクロイックミラー、
70 赤色光用全反射ミラー、
71、72…青色光用全反射ミラー、
80…第1リレーレンズ、
81…第2リレーレンズ、
90…IRカットフィルタ、
100…UVカットフィルタ、
105G…光軸、
110R、110G、110B…コンデンサレンズ、
115R、115B…λ/2板、
120R、120G、120B…入射側偏光板、
130R、130G、130B…出射側偏光板、
140R、140G、140B…映像表示素子、
150…色合成ダイクロイックプリズム、
160…投写レンズユニット、
170…スクリーン、
180R、180G、180B…回転手段、
200G…保持機構手段、
210…回転駆動回路、
220…映像調整手段、
230…表示素子駆動回路、
300…入力手段、
310…メモリ。
Claims (10)
- 光源側からの光を映像表示素子に照射し映像信号に基づき変調して光学像を形成する投写型映像表示装置用の光学ユニットであって、
上記光源側からの光の偏光方向を揃え、所定の偏光光を形成する偏光変換手段と、
上記偏光光から赤、緑、青の各単色光を分離する色分離手段と、
偏光軸方向を回転可能な状態で支持され、上記色分離された少なくともいずれかの単色光が入射され、偏光軸方向に対応して該単色光を反射または透過させる反射型偏光素子と、
上記映像表示素子の入射側、出射側のいずれか一方または両方に配され、所定の偏光方向の光を通す偏光板と、
上記映像表示素子で形成された各単色光の光学像を色合成する色合成手段と、
上記色合成された光学像を拡大投写する投写レンズユニットと、
を備えた構成を特徴とする光学ユニット。 - 光源側からの光を映像表示素子に照射し映像信号に基づき変調して光学像を形成する投写型映像表示装置用の光学ユニットであって、
上記光源側からの光の偏光方向を揃え、所定の偏光光を形成する偏光変換手段と、
上記偏光光から赤、緑、青の各単色光を分離する色分離手段と、
偏光軸方向を回転可能な状態で支持され、上記色分離された少なくともいずれかの単色光が入射され、偏光軸方向に対応して該単色光を反射または透過させる反射型偏光素子と、
上記映像表示素子の入射側、出射側のいずれか一方または両方に配され、所定の偏光方向の光を通す偏光板と、
上記映像表示素子で形成された各単色光の光学像を色合成する色合成手段と、
上記色合成された光学像を拡大投写する投写レンズユニットと、
上記反射型偏光素子の上記偏光軸方向を回転させる回転手段と、
を備えた構成を特徴とする光学ユニット。 - 上記反射型偏光素子は、複屈折のない透光性基板上に反射型偏光子が設けられて成り、入射側偏光板に対し上記色分離手段側に配される請求項1または請求項2に記載の光学ユニット。
- 上記反射型偏光素子は、可視光の波長よりも微細なピッチで縞状にされたワイヤグリッドから成り、入射光を偏光分離する構成である請求項1または請求項2に記載の光学ユニット。
- 上記回転手段は、モータに結合されたウォームギヤと、上記反射型偏光素子側に結合されたウォームホイールギヤとが互いに係合され、電動式に駆動される構成である請求項2に記載の光学ユニット。
- 上記反射型偏光素子は、その入射面を光軸に対し傾斜させて配される請求項1から5のいずれかに記載の光学ユニット。
- 上記反射型偏光素子は、その入射面を光軸に対し、+5から+30°の範囲または−5から−30°の範囲で傾斜させて配される請求項1から5のいずれかに記載の光学ユニット。
- 光源側からの光を映像表示素子に照射し映像信号に基づき変調して光学像を形成する投写型映像表示装置であって、
上記光源側からの光の偏光方向を揃え、所定の偏光光を形成する偏光変換手段と、
上記偏光光から赤、緑、青の各単色光を分離する色分離手段と、
偏光軸方向を回転可能な状態で支持され、上記色分離された少なくともいずれかの単色光が入射され、偏光軸方向に対応して該単色光を反射または透過させる反射型偏光素子と、
上記映像表示素子の入射側、出射側のいずれか一方または両方に配され、所定の偏光方向の光を通す偏光板と、
上記映像表示素子で形成された各単色光の光学像を色合成する色合成手段と、
上記色合成された光学像を拡大投写する投写レンズユニットと、
映像信号に基づき上記映像表示素子を駆動する表示素子駆動回路と、
上記反射型偏光素子の上記偏光軸方向を上記偏光板に偏光軸方向に対し回転させる回転手段と、
上記回転手段を駆動する回転駆動回路と、
少なくとも上記表示素子駆動回路及び上記回転駆動回路とを制御し、投射映像の画質を調整する映像調整手段と、
を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。 - 上記反射型偏光素子は、その入射面を光軸に対し傾斜させて配される請求項8に記載の投写型映像表示装置。
- 上記映像調整手段は、上記回転手段による上記反射型偏光素子の回転動作と、上記表示素子駆動回路による映像表示素子の駆動とが同期して行われるように、上記回転駆動回路と上記表示素子駆動回路とを制御する構成である請求項8に記載の投写型映像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004314015A JP2006126458A (ja) | 2004-10-28 | 2004-10-28 | 光学ユニット及びそれを用いた投写型映像表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011059158A (ja) * | 2009-09-07 | 2011-03-24 | Seiko Epson Corp | プロジェクター |
JP2012008186A (ja) * | 2010-06-22 | 2012-01-12 | Seiko Epson Corp | プロジェクター |
WO2013094016A1 (ja) * | 2011-12-20 | 2013-06-27 | Necディスプレイソリューションズ株式会社 | 投写型液晶表示装置 |
US8643793B2 (en) | 2011-03-14 | 2014-02-04 | Seiko Epson Corporation | Projector |
JP2014123140A (ja) * | 2014-02-07 | 2014-07-03 | Seiko Epson Corp | プロジェクター |
CN103941413A (zh) * | 2013-01-23 | 2014-07-23 | 岩崎电气株式会社 | 光照射装置 |
-
2004
- 2004-10-28 JP JP2004314015A patent/JP2006126458A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014142439A (ja) * | 2013-01-23 | 2014-08-07 | Iwasaki Electric Co Ltd | 光照射装置 |
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