JP2004258063A - 光量を調整可能な光学系 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学系において光量調整を行う利便性の高い技術の実現。
【解決手段】偏光板603,604,605は、所定の偏光方向を有する光のみを通過させる偏光子である。位相差板610は、光の偏光方向を一定の角度だけ回転させる機能を有する。位相差板610を保持する保持機構606は、光軸LAを軸として位相差板610の方向を回すことができる。これにより、位相差板610と偏光板603,604,605との相対的な角度を変更することで、クロスダイクロイックプリズム400まで入射する光束の光量を調整することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光量を調整可能な光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像の投写表示を行うプロジェクタは、水銀ランプ等が発する光束に液晶パネル等で所定の変調を施して画像を形成する。このとき、水銀ランプ等が発する白色光は、色光分離光学系によりRGB三色の光束に分解して各々変調に付される。変調後のRGBの各画像が、クロスダイクロイックプリズムにより1つの画像に合成されることで、カラー画像の投写表示を行うことができる。
【0003】
プロジェクタは、投写表示される画像の輝度や色調を調整する調整機構を有することが望ましい。輝度の調整は、投写に使用される光量の調整によって実現される。色調の調整は、RGB各色の光量を個別に調整することで実現される。このように、光量を調整する技術としては、光束の光路上にフィルタを設ける方法がある。この場合、光通過特性の異なるフィルタへの交換を行うことで画像の調整を行うことができる。また、光源の電力や、光路中の絞りの調整により画像を調整する技術も存在する。また、近年では、画像データを処理することで画像調整を行う技術も利用されている。また、プロジェクタに備えられた複数の偏光板の組合せにより画像調整を行う技術も実用となりつつある。この場合、光束の光軸を回転軸として、複数の偏光板の相対的な角度を変更することで画像調整を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−186539
【特許文献2】
特願平11−089196
【特許文献3】
特開平07−072450
【特許文献4】
特開平6−167717
【特許文献5】
特開平5−224155
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光束上にフィルタを設ける場合、フィルタの有り/無しで、段階的に光量を調整することができるに過ぎず微妙な調整が不可能であり、また、光路から外したフィルタを設置するスペースが必要になるという問題がある。光源の電力制御を行う場合には、大幅な調整変更を行うことが困難である点と、色調調整が不可能である点とで問題がある。また、絞りによる調整機構は、機構が複雑になってコストも増大する点で問題がある。また、画像データを処理する場合には、液晶パネルのダイナミックレンジが狭い範囲に限定されてしまう。このため、階調段階数が減少し、投写画像の表示階調が低下してしまう問題がある。また、複数の偏光板を組み合わせた機構を利用する場合には、その部品たる偏光板に起因する問題がある。偏光板は特殊な光学製品であるために、所望の光学特性を有する所定形状の偏光板を、所望のコストで入手することができない場合があるためである。また、偏光板は透過軸方向の偏光光の透過率も100%ではなく、位相差板の透過率より劣るため、偏光板によって光量を無駄に損失してしまう場合があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、光学系において光の光量を調整するための利便性の高い技術の実現を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、次の構成を適用した。
本発明の光学系は、
光量を調整可能な光学系であって、
偏光方向に偏りがある光束が入射され、該光束の偏光方向を回転させる位相差板と、
前記位相差板を通過した光束が入射する偏光子とを備え、
前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸のなす相対的な角度を、前記光束の光軸を回転軸として変更可能に、前記位相差板及び偏光子を保持する保持部を備えることを要旨とする。
【0008】
このようにすることで、本発明の調光機構は、位相差板と前記偏光子の相対的な軸角度に応じて、両者を透過する光量を調整することができる。位相差板はほぼ全光束を透過させるため、偏光板の組み合わせの調光機構と異なり、光量の損失が少ない調光機構を実現することができる。
【0009】
なお、光量を調整する場合としては、光束の輝度を調整する場合や、光束の色調を調整する場合を挙げることができる。また、保持部は、位相差板を回転可能に保持する保持部であってもよいし、偏光子を回転可能に保持する保持部であってもよいし、両者を共に回転可能に保持する保持部であってもよい。
【0010】
本発明の光学系において、
前記位相差板は、λ/2板としてもよいし、λ/4板等としてもよい。
【0011】
本発明の光学系において、
前記偏光子は、反射型の偏光子であるものとしてもよい。
【0012】
このように、反射型の偏光子を利用することで、偏光子に吸収される光量を減らすことができる。これにより、偏光子や偏光子の周辺物の発熱を抑制でき、故障や劣化を抑制することができる。
【0013】
本発明の光学系において、
更に、前記反射型の偏光子と同方向の偏光を通過させる偏光子が前記光束の光路上に設けられているものとしてもよい。
【0014】
反射型の偏光子は、所定の偏光方向の光のみを通過させる性能が不十分であることがあるが、複数の偏光子を多段にして利用することで、全体として所望の機能を発揮させることができる。なお、反射型の偏光子は、複数の偏光子のうちで、光路上における最も光源に近い側に配置してもよい。このとき、反射型の偏光子の射出側に設けられる各偏光子は非反射型であるものとしてもよい。
【0015】
本発明の光学系において、
前記光束を絞って前記反射型の偏光子に入射させる光束変形系と、
前記絞られる光束を避けて設けられ、前記反射型の偏光子が反射する光の少なくとも一部を減衰させる遮断部とを備えるものとしてもよい。
【0016】
このようにすることで、反射型の偏光子により反射された光を減衰させることができる。これにより、反射された光が当たる部品の劣化・寿命低下を防ぐことができる。例えば、光束を生じさせる光源の劣化・寿命低下を防ぐことができる。
【0017】
なお、遮断部は、入射する光の少なくとも一部を反射するものであってもよい。また、遮断部は、いわゆるPBS(偏光変換素子)の形状に応じたものであってもよい。PBSの光入射面には通常、縞状に遮光部が設けられている。遮断部は、例えば、この遮光部の一部または全部とすることができる。
【0018】
ここに光束変形系は、光束を集約する凸レンズであるものとしてもよい。さらに光束変形系は、係る凸レンズを多数配列したレンズアレイであるものとしてもよい。ここに、レンズアレイは、PBSの前段に設けられたものであるものとしてもよい。
【0019】
本発明の光学系において、
ユーザ操作に基づく制御信号を入力する入力機構と、
該制御信号に応じて前記角度を変更する動力機構とを備えるものとしてもよい。
【0020】
このようにすることで、本発明の光学系を利用した光学機器のユーザは、所望の光量調整を簡便に行うことができる。各色に分離された光束に応じて複数の調光機構が設けられている場合、ユーザ操作に応じて、各色の調光機構を関連付けて制御してもよい。こうすれば、輝度および色調をそれぞれ容易に調整可能となる。
【0021】
本発明の光学系において、
前記光束を、波長に応じて複数の光束に分解する分解部を備え、
前記位相差板及び偏光子の少なくとも1つは、前記分解された各光束の光路上に設けられているものとしてもよい。
【0022】
このようにすることで、波長に応じて分解された複数の光束ごとに光量の調整を行うことができる。波長ごとに調整が行われることで、色調の調整等の多様な調整を実現することができる。
【0023】
なお、位相差板及び偏光子の少なくとも1つは、分解部が分解する前の光束や、分解部により分解された各光束がクロスダイクロイックプリズム等の合成手段により合成された後の光束の光路上に設けられるものとしてもよい。このようにすることで、位相差板や偏光子等の部品点数を減少させたり、容易に白色輝度の調整を行ったりすることができる。
【0024】
本発明の光学系において、
前記光束を射出する光源と、
該光源から射出される光量を制御する光源調整機構と、
該光学系から射出される光量の調整指示を入力する指示入力部と、
前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸の相対的な角度の制御よりも前記光源の制御を優先的に使用して、前記調整指示に応じた光量を実現する光量制御部を備えるものとしてもよい。
【0025】
このようにすることで、光源が発する光量を抑えつつ、光学系から射出される光量を所望の量に調整することができる。これにより、偏光板等の光学部品の劣化や光源の消耗を少なくすることができる。
【0026】
本発明の光学系において、
前記位相差板及び偏光子を通過する光束の少なくとも一部を減衰させることで、該光束の光量を制御する絞り機構と、
該光学系から射出される光量の調整指示を入力する指示入力部と、
前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸の相対的な角度の制御よりも前記絞り機構の制御を優先的に使用して、前記調整指示に応じた光量を実現する光量制御部とを備えるものとしてもよい。
【0027】
このようにすることで、絞り機構による減衰を多くしつつ、光学系から射出される光量を所望の量に調整することができる。このとき、光束のうちで周辺部等の質が低い部分が絞り機構により減衰されること等で、質(あるいは有用性)が高い光束を利用することができる。これにより、投写画像のコントラストその他の表示品質を向上することができる。
【0028】
なお、絞り機構は、位相差板及び偏光子の少なくとも1つを通過した後の光を減衰させるものとしてもよいし、位相差板及び偏光子の少なくとも1つを通過する前の光を減衰させるものとしてもよい。ここに絞り機構は、光束の全断面にわたってその減衰を行うものとしてもよいし、光束断面の一部についてその減衰を行うものとしてもよい。また、絞り機構は、光束の少なくとも一部を完全に遮断するものであってもよいし、光束の少なくとも一部の光を一定割合だけ減少させるものであってもよい。
【0029】
なお、光量制御部は、絞り機構及び光源の制御とのいずれもを行うものとしてもよい。このとき、光量制御部は、前記相対的な角度の制御よりも、絞り機構の制御及び光源の制御を優先的に使用して調整指示に応じた光量を実現するものとしてもよい。
【0030】
なお、本発明の光学系は、上述した以外の種々の光量調整方法を、位相差板と偏光子との相対角度の変更による光量調整方法と組み合わせて利用するものとしてもよい。
【0031】
例えば、絞り機構の制御と光源の制御との間で順位付けを行い、順位が高いものを優先的に使用するものとしてもよい。絞り機構の制御を優先するれば、投写画像のコントラストその他の表示品質を向上することができる。また、光源の制御を優先すれば、偏光板等の光学部品の劣化や光源の消耗を少なくすることができる。
【0032】
また、本発明のプロジェクタは、画像を投写表示するプロジェクタであって、
前述の本発明の光学系と、
該光学系から射出される光束に所定の変調を施して画像を形成する変調部と、
該形成された画像を投写表示する投写部とを備えることを要旨とする。
【0033】
ここに、変調部は、透過型や反射型の種々の液晶パネルや、DMD(Digital Micromirror Device;米国TI社の登録商標)などを利用して実現するものとしてもよい。なお、前述の絞り機構は、投写部に設けられるものとしてもよい。
【0034】
本発明は、上述の光学系やプロジェクタとしての構成の他、光学系やプロジェクタ等における光量の調整方法として構成することもできる。また、これらの方法を実現するコンピュータプログラム、およびそれらのプログラムを記録した記録媒体、それらのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。
【0035】
ここで、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読みとり可能な種々の媒体を利用できる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.全体構成:
B.変調部:
C.機能ブロック:
D.輝度調整処理の詳細:
E.変形例(PBSスリット):
【0037】
A.全体構成:
図1は、プロジェクタ1001の概略構成を示す説明図である。プロジェクタ1001は、光学系1000と、光学系1000を制御する制御ユニット1003とを有する。
【0038】
光学系1000は、照明光学系100が射出する光束を、色光分離光学系200が赤色光束(R)、緑色光束(G)、青色光束(B)の各成分に分解し、それぞれの光束を3枚の液晶パネル411,421,431によって変調した後に各光束をクロスダイクロイックプリズム400で合成してカラー画像を生成し、投写光学系500によってスクリーンSC上に投写する。
【0039】
ここで、プロジェクタ1001は、図1に示さないレシーバ及び液晶パネル駆動部とを備える。レシーバは、パーソナルコンピュータ等の情報端末から供給されるアナログ画像信号あるいはディジタル画像信号や、AV機器等から供給される映像信号を入力する。液晶パネル駆動部は、入力データに基づいて液晶パネル411,421,431を駆動するための駆動信号を生成する。
【0040】
照明光学系100は、超高圧水銀ランプ111及び放物面鏡112を有する照明装置110と、第1のレンズアレイ120と、第2のレンズアレイ130と、PBS(偏光変換素子)140と、重畳レンズ150とを備えている。照明装置110が射出する光束は、第1のレンズアレイ120に有する複数の小レンズ131によって複数の分割光束に分割されて、第2のレンズアレイ130によってPBS140に入射される。PBS140は、光束の偏光をP偏光光またはS偏光光に統一する機能を奏する。PBS140の各部位から射出された光は、重畳レンズ150によって重畳され、液晶パネル全体を均一に照射する光束となる。ミラー160は、この光を色光分離光学系200の方向に反射する。
【0041】
色光分離光学系200は、ダイクロイックミラー210,220を有する。ダイクロイックミラー210は、赤(R)の色光を透過するとともに、緑(G)、青(G)の色光を反射する。ダイクロイックミラー220は、青(B)の色光を透過するとともに、緑(G)の色光を反射する。これにより、照明光学系100が射出する光束を、赤色光束(R)、緑色光束(G)、青色光束(B)の各成分に分解することができる。赤色光束(R)と緑色光束(G)とは、それぞれ、液晶パネル431,421に導入される。また、青色光束(B)はリレー光学系300によって迂回されて液晶パネル411に導入される。
【0042】
リレー光学系300は、入射レンズ310とリレーレンズ330とを備えている。リレー光学系300は、色光分離光学系200から射出する青色光束(B)を、クロスダイクロイックプリズム400に迂回させて入射させる機能を奏する。
【0043】
液晶パネル431,421,411は、液晶パネル駆動部で生成された駆動信号に応じて光束を変調する。液晶パネル431,421,411は透過型の液晶パネルであり、入射する光束を変調するライトバルブ(光変調器)として使用する。色光分離光学系200が射出する赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の各光束は、それぞれ、フィールドレンズ432,422,412を介して液晶パネル431,421,411に入射する。
【0044】
クロスダイクロイックプリズム400は、液晶パネル431,421,411によって変調された3色の光束を合成してカラー画像を生成する。
【0045】
投写光学系500は、クロスダイクロイックプリズム400が生成するカラー画像をスクリーンSC上に投写する。これにより、スクリーンSC上にカラー画像が表示される。投写光学系500は、投写される画像の光量を調整可能な絞り510を有する。ここに絞り510は、開閉可能な構成とされており、投写される画像の光量を動的に調整することができる。この絞り510は、絞り510を絞ることによって絞られた光がプリズム400側に戻らないようにされていることが望ましい。絞り510がスクリーンに投写しない光を吸収する場合は、絞り510を耐熱性のあるもので構成するとか放熱性を良くすることにより、吸収した熱による影響を緩和することができる。なお、絞り510は、絞り510を絞ることによって絞られた光の少なくとも一部を、プリズム400内部に入射させない方向に反射するものとしてもよい。
【0046】
B.変調部:
図2は、赤色光束の変調部600の構成の詳細を示す説明図である。変調部600は、液晶パネル431の他、ガラス基板601,602と、偏光板603,604と、反射型偏光板605と、位相差板610と、位相差板610の保持機構606とを有する。なお、以下では赤色光束の変調部600について説明するが、青色光束及び緑色光束の変調部600G,600Bについても同様である。
【0047】
ガラス基板601は偏光板603と接合されておりこれを固定する。また、ガラス基板602は偏光板604及び605と接合されておりこれらを固定する。
【0048】
なお、実施例における偏光板603,604,605は液晶パネル431との関係で利用される偏光板であるが、かかる場合に限定されることはない。
【0049】
ここで、偏光板605は反射型の偏光子である。反射型の偏光子たる偏光板605は、所定の偏光方向を有する光のみをクロスダイクロイックプリズム400側に通過させるとともに、それ以外の偏光方向の光をフィールドレンズ432側に反射させる。なお、3つの偏光板603,604,605は光路上でこの順に設けられているが、反射型偏光板605は最も水銀ランプ111に近い側に設けられている。
【0050】
位相差板610は、λ/2板であり、光の偏光方向を回転させる機能を有する。なお、位相差板610はλ/2板に限らず、λ/4板など、種々の素子を用いることができる。
【0051】
位相差板610は、保持機構606により保持される。保持機構606は、光軸LAを軸として位相差板610の遅相軸の方向を回転することができる態様で位相差板610を保持する。
【0052】
図2では、保持機構606が有する3つのローラーが位相差板610を保持する場合について示した。3つのローラの回転が位相差板610に伝達されることで、位相差板610は、光軸LAを中心として回転する。このように位相差板が回転することで、位相差板610の遅相軸と偏光板603,604,605の透過軸とのなす相対的な軸角度が変化する。この角度変化に応じて、3つの偏光板603,604,605を通過した後の光束の光量が増減する。
【0053】
図3は、制御ユニット1003の構成の詳細を示す説明図である。
R光束用動力機構部606cは、モータや電力供給機構等により構成され、保持機構606に設けられたローラを回転させ、位相差板610を回転させることができる。なお、G光束用動力機構部606cG及びB光束用動力機構部606cBは、R光束用動力機構部606cと同様に、緑色光束及び青色光束に係る位相差板を回転させる。
【0054】
光源制御機構111cは、電源回路等により構成され、水銀ランプ111に供給される電気エネルギーを制御することで水銀ランプ111が発する光の光量を調整する。
【0055】
絞り制御機構510cは、モータや電源等により構成され、絞り510の開閉を制御することでスクリーンSCに投写される光束の光量を調整する。
【0056】
タッチパネル701は、ユーザが投写画像の調整を行うためのインタフェースを提供する。
【0057】
制御機構700は、CPU,ROM,RAM等を有するコンピュータである。制御機構700は、画像調整ソフトウェアをROMに蓄積しており、これを実行することで画像調整を行うことができる。制御機構700は、前述のレシーバ及び液晶パネル駆動部の制御も併せて実行可能である。
【0058】
C.機能ブロック:
図3には、画像調整ソフトウェアを実行することで制御機構700が実現する機能ブロック構成を併せて示している。なお、図示する各機能ブロックの全部又は一部はハードウェア的に実現されるものとしても構わない。
【0059】
制御部710は、他の各機能ブロックを制御することで、投写画像の色調や輝度の調整を実現する。
【0060】
ユーザ入力部715は、タッチパネル701を介してユーザによる色調の調整や輝度の調整の指示を入力する。
【0061】
色調調整部712は、R,G,Bの各光束用動力機構部606c,606cG,606cBを動作させることで、画像の色調を変化させる。
【0062】
色調記憶部714は、ユーザ入力と、その入力に対して実現すべき位相差板610等の遅相軸の角度とを対応付けて記憶している。色調調整部712は、記憶された角度に応じて各光束用動力機構部606c,606cG,606cBを動作させることで、ユーザが所望する色調調整を実現することができる。このとき、RGBの1色の光量の増減をユーザが色調調整部712に指定することで、対応する動力機構部606c,606cG,606cBの1つが動作されるものとしてもよい。また、色調調整部712は、動力機構部606c,606cG,606cBの2つ以上を関連付けて動作させることで色調を調整するものとしてもよい。
【0063】
輝度調整部711は、R,G,Bの各光束用動力機構部606c,606cG,606cBと、光源制御機構111c及び絞り制御機構510cとを連携して動作させることで画像の輝度を変化させる。すなわち輝度調整部711は、光束用動力機構部606c,606cG,606cBによる光量調整と、光源制御機構111c及び絞り制御機構510cによる光量調整とを組み合わせて利用することで、輝度調整処理を実現する。
【0064】
ここで、光束用動力機構部606c,606cG,606cBによる光量調整で輝度調整部711は、動力機構部606c,606cG,606cBの3つの機構部を同時に作動させる。例えば、輝度調整部711は、3つの機構部での回転方向や回転角度が同じとなるように作動させる。
【0065】
また、光源制御機構111c及び絞り制御機構510cとによる光量調整で輝度調整部711は、水銀ランプ111の発光量を減少させつつ、絞り510による遮光量を増大させることで、調整後の光量を減少させる。また、水銀ランプ111の発光量を増大させつつ、絞り510による遮光量を減少させることで、調整後の光量を増加させる。
【0066】
輝度記憶部713は、実現すべき輝度レベルに応じて、位相差板610等の角度と水銀ランプ111の発光量と絞り510の閉じ具合とを記憶している。輝度調整部711は、輝度記憶部713の記憶内容を参酌することで、ユーザの所望に応じた輝度調整を実現することができる。
【0067】
D.輝度調整処理の詳細:
図4は、輝度記憶部713の記憶内容を示す説明図である。
図4で横軸は、投写画像の所望の輝度を示している。
【0068】
一方縦軸は、位相差板610等の光量調整と、光源制御機構111c及び絞り制御機構510cの光量調整との調整レベルを示している。位相差板610等の遅相軸の角度による光量調整と、光源制御機構111c及び絞り制御機構510cによる光量調整とは、光量を最小とする調整から、光量を最大とする調整までの所定の調整可能範囲を有している。図4の縦軸は、この調整レベルを示している。なお、図4のグラフでは、位相差板610等の光量調整の調整レベルを一点鎖線で、光源制御機構111c等の光量調整の調整レベルを二点鎖線で各々示している。
【0069】
図4における「最大輝度」は、位相差板610等の調整レベルと光源制御機構111c等の調整レベルの両方が最大の場合の輝度である。また、図4における「最小輝度」は、位相差板610等の調整レベルと光源制御機構111c等の調整レベルの両方が最小の場合の輝度である。さらに、図4中で示す「制御変更輝度」は、位相差板610等の調整レベルが最大で、光源制御機構111c等の調整レベルが最小である場合の輝度である。
【0070】
輝度記憶部713は、最大輝度から制御変更輝度までの範囲の輝度では、位相差板610等の調整レベルを最大にすることを記憶している。一方、光源制御機構111c等の調整レベルとしては、最大輝度から制御変更輝度まで漸減するレベルが記憶されている。なお、輝度記憶部713は、光源制御機構111c等の調整レベルとして、最大輝度に対して最大レベルを記憶し、制御変更輝度に対して最小レベルを記憶している。
【0071】
また、輝度記憶部713は、制御変更輝度から最小輝度までの範囲では、光源制御機構111c等の調整レベルを最小にすることを記憶している。一方、位相差板610等の調整レベルとしては、制御変更輝度から最小輝度まで漸減するレベルが記憶されている。なお、輝度記憶部713は、位相差板610等の調整レベルとして、最小輝度に対して最小レベルを記憶している。
【0072】
なお、図4では、輝度記憶部713の記憶内容を調整レベルにより示したが、輝度記憶部713はかかる調整レベルを、その調整レベルを実現する位相差板610等の遅相軸の角度と、水銀ランプ111の発光量と、絞り510の閉じ具合とにより記憶する。
【0073】
図5は、輝度調整部711が行う輝度調整処理を示すフローチャートである。
ステップSa1で輝度調整部711は、ユーザ入力部715が入力するユーザ入力に応じて、調整目標の目標輝度を決定する。
【0074】
ステップSa2で輝度調整部711は、目標輝度に応じて輝度記憶部713を参酌する。これにより輝度調整部711は、目標輝度を実現するための、位相差板610等の角度と水銀ランプ111の発光量と絞り510の閉じ具合とを特定することができる。
【0075】
ステップSa3で輝度調整部711は、ステップSa2での特定結果に応じて位相差板610等の角度と水銀ランプ111の発光量と絞り510の閉じ具合とを設定する。これにより輝度調整部711は目標輝度を実現することができる。
【0076】
本実施例における光学系1000によれば、利便性の高い光量調整機能を有する光学系を実現することができる。
【0077】
なお、実施例では、位相差板610等の調整レベルと光源制御機構111c等の調整レベルとのいずれか一方は最大又は最小にしつつ光量調整を実現する場合を示したが、係る場合に限定されることはない。例えば、位相差板610等の調整レベルと光源制御機構111c等の調整レベルとのいずれもを中間的なレベルに設定する場合があっても構わない。
【0078】
E.変形例(PBSスリット):
図6は、PBSスリット800を示す説明図である。
第2のレンズアレイ130は、水銀ランプ111から発せられた光束の断面形状を変化させることで光束を絞る。図6では光束が絞られる態様を破線により示している。かかる断面形状で光が入射されることで、PBS140は所定の機能を奏することができる。
【0079】
図6に示す各PBSスリット800は、レンズアレイ130により絞られる光束を避けた部位に設けられている。水銀ランプ111から発せられてレンズアレイ130を通過した光は、PBSスリット800に遮られることなくPBS140に入射する。また、PBSスリット800は、反射型の偏光子605により反射されて光路上を逆流してきた光を遮断する(図6中の一点鎖線)。なお、PBSスリット800は、λ/2板141により偏光方向が変化させられた光の遮断も行う。また、図6では、反射型の偏光子605により反射されて光路上を逆流してきた光がP偏光光である場合について示したが、S偏光光である場合も同様である。
【0080】
なお、PBSスリット800は、反射型の偏光子605により反射されて光路上を逆流してきた光を完全に遮断するものとしてもよいし、少なくとも一部の光を通過等させたり、少なくとも一部の光を反射等させたりしてもよいし、
【0081】
以上説明したPBSスリット800を用いることで、反射型の偏光子605により反射された光を減衰させることができる。これにより、反射された光が当たることによる種々の部品の劣化・寿命低下を防ぐことができる。例えば、水銀ランプ111の劣化・寿命低下を防ぐことができる。
【0082】
以上、実施例に基づき本発明にかかる光学系やプロジェクタを説明してきたが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロジェクタ1001の概略構成を示す説明図である。
【図2】赤色光束の変調部600の構成の詳細を示す説明図である。
【図3】制御ユニット1003の構成の詳細を示す説明図である。
【図4】輝度記憶部713の記憶内容を示す説明図である。
【図5】輝度調整部711が行う輝度調整処理を示すフローチャートである。
【図6】PBSスリット800を示す説明図である。
【符号の説明】
1001…プロジェクタ
1000…プロジェクタの光学系
1003…制御ユニット
100…照明光学系
110…照明装置
111…水銀ランプ
112…放物面鏡
120…第1のレンズアレイ
130…第2のレンズアレイ
131…小レンズ
140…PBS
141…λ/2板
150…重畳レンズ
200…色光分離光学系
210,220…ダイクロイックミラー
300…リレー光学系
310…入射レンズ
330…リレーレンズ
500…投写光学系
510…絞り
400…クロスダイクロイックプリズム
432,422,412…フィールドレンズ
411,421,431…液晶パネル
160,230,320,340…反射ミラー
SC…スクリーン
LA…光軸
600…赤色光束の変調部
600G…緑色光束の変調部
600B…青色光束の変調部
601,602…ガラス基板
603,604…偏光板
605…反射型偏光板
610…位相差板
606…保持部
1002…画像調整を実現するための機構
606c…R光束用動力機構部
606cG…G光束用動力機構部
606cB…B光束用動力機構部
701…タッチパネル
700…制御機構
111c…光源制御機構
510c…制御機構
710…制御部
711…輝度調整部
712…色調調整部
713…輝度記憶部
714…色調記憶部
715…ユーザ入力部

Claims (10)

  1. 光量を調整可能な光学系であって、
    偏光方向に偏りがある光束が入射され、該光束の偏光方向を回転させる位相差板と、
    前記位相差板を通過した光束が入射する偏光子とを備え、
    前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸の相対的な角度を、前記光束の光軸を回転軸として変更可能に、前記位相差板及び偏光子を保持する保持部を備える光学系。
  2. 請求項1記載の光学系であって、
    前記位相差板にλ/2板を用いた光学系。
  3. 請求項1記載の光学系であって、
    前記偏光子は、反射型の偏光子である光学系。
  4. 請求項3記載の光学系であって、
    更に、前記反射型の偏光子と同方向の偏光を通過させる偏光子が前記光束の光路上に設けられている光学系。
  5. 請求項3記載の光学系であって、
    前記光束を絞って前記反射型の偏光子に入射させる光束変形系と、
    前記絞られる光束を避けて設けられ、前記反射型の偏光子が反射する光の少なくとも一部を減衰させる遮断部とを備える光学系。
  6. 請求項1記載の光学系であって、
    ユーザ操作に基づく制御信号を入力する入力機構と、
    該制御信号に応じて前記角度を変更する動力機構とを備える光学系。
  7. 請求項1記載の光学系であって、
    前記光束を、波長に応じて複数の光束に分解する分解部を備え、
    前記位相差板及び偏光子の少なくとも1つは、前記分解された各光束の光路上に設けられている光学系。
  8. 請求項1記載の光学系であって、
    前記光束を射出する光源と、
    該光源から射出される光量を制御する光源調整機構と、
    該光学系から射出される光量の調整指示を入力する指示入力部と、
    前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸の相対的な角度の制御よりも前記光源の制御を優先的に使用して、前記調整指示に応じた光量を実現する光量制御部とを備える光学系。
  9. 請求項1記載の光学系であって、
    前記位相差板及び偏光子を通過する光束の少なくとも一部を減衰させることで、該光束の光量を制御する絞り機構と、
    該光学系から射出される光量の調整指示を入力する指示入力部と、
    前記位相差板の遅相軸と前記偏光子の透過軸の相対的な角度の制御よりも前記絞り機構の制御を優先的に使用して、前記調整指示に応じた光量を実現する光量制御部とを備える光学系。
  10. 画像を投写表示するプロジェクタであって、
    請求項1〜9いずれか記載の光学系と、
    該光学系から射出される光束に所定の変調を施して画像を形成する変調部と、
    該形成された画像を投写表示する投写部とを備えるプロジェクタ。
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