JP2006125971A - フーリエ変換分光光度計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 可動鏡28の速度と非同期で及び測距用干渉信号の1又は1/2周期よりも短い等周期の基本クロックにより自走的にインターフェログラム信号をAD変換するΔΣ型ADコンバータ42aを用い、また主干渉計14をデジタルドライブするデジタル制御機構40を備え、該デジタル制御機構40は、該基本クロックにより自走的に測距用干渉信号をAD変換するΔΣ型ADコンバータ42bと、該ΔΣ型ADコンバータ42bよりの測距用干渉信号に基づき該可動鏡28の位置をモニタする位置検出手段54と、該可動鏡位置のモニタに基づき該可動鏡28の速度が目標の一定速度となるように可動鏡駆動手段24による可動鏡走査を制御する可動鏡制御手段56と、を備えたことを特徴とするフーリエ変換分光光度計10。
【選択図】 図1
Description
フーリエ変換分光光度計は、干渉光発生手段と、主検出器と、ADコンバータと、信号処理手段と、を備える。そして、可動鏡の走査に伴う干渉光発生手段よりの干渉光を試料に照射し、試料よりの干渉光を主検出器により光電変換する。主検出器よりのインターフェログラム信号をAD変換器によりAD変換し、さらに信号処理手段によりスペクトルを得ている。
本発明者は、データのS/Nの改善のためには、インターフェログラム信号をオーバーサンプリングすることが重要であることを突き止めた。
しかしながら、フーリエ変換分光光度計において一般的な逐次比較型ADコンバータを用いたのでは、充分な変換速度が得られないので、従来はデータのS/Nの改善も充分に図れなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的はデータのS/Nを改善することのできる分光光度計を提供することにある。
まず本発明者は、データのS/Nの改善を図るため、フーリエ変換分光光度計に最適なADコンバータとして、数あるADコンバータの中からΔΣ型ADコンバータを選択した。さらに本発明者は、フーリエ変換分光光度計においてΔΣ型ADコンバータを用いるためには可動鏡の等速性を得ることが非常に重要であること、及び可動鏡の等速性を得るためには干渉計の制御にデジタルドライブ制御を用いることが非常に有効であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
(ΔΣ型ADコンバータとデジタル制御)
また、前記主検出器は、主干渉計よりの干渉光を試料に照射して得られた干渉光を光電変換し、インターフェログラム信号を出力する。
前記ADコンバータは、前記主検出器よりのインターフェログラム信号をAD変換する。
前記信号処理手段は、前記ADコンバータよりのインターフェログラム信号に基づいて、スペクトルを得るためのものとする。
前記可動鏡駆動手段は、前記可動鏡の走査を行うためのものとする。
前記インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータは、前記可動鏡の走査速度と非同期で及び前記測距用干渉信号の1周期又は1/2周期よりも短い等周期の基本クロックにより、自走的に前記主検出器よりのインターフェログラム信号のAD変換を行う。
前記測距用検出器は、前記コントロール干渉計よりの測距用干渉光を光電変換し、測距用干渉信号を出力する。
前記測距用ADコンバータは、前記測距用検出器よりの測距用干渉信号のAD変換を行う。
前記位置検出手段は、前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号に基づいて、前記可動鏡の位置をモニタする。
前記可動鏡制御手段は、前記位置検出手段よりの可動鏡位置のモニタに基づいて、前記可動鏡の走査速度が目標の一定速度となるように、前記可動鏡駆動手段による可動鏡走査を制御する。
なお、本発明において、前記測距用ADコンバータは、前記可動鏡の走査速度と非同期で及び前記測距用干渉信号の1周期又は1/2周期よりも短い等周期の基本クロックにより、自走的に前記測距用検出器よりの測距用干渉信号のAD変換を行うことが好適である。
(ΔΣ型ADコンバータ)
ΔΣ型ADコンバータは、ΔΣ型変調器により入力電圧を1ビットで量子化し時間情報をもつビットストリーム信号に変換し、これをデジタルフィルタで処理しデジタル値を出力するものである。
(デジタル制御)
(デジタル制御)
ここで、前記被検信号処理手段は、前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号に基づいて、被検矩形波信号を作る。
また前記基準信号発生手段は、前記可動鏡の目標速度に基づいて定められた周期を持つ基準矩形波信号を発生する。
(二の測距用干渉信号によるデジタル制御)
(誤差補正)
また前記ピーク値検出手段は、前記直流成分考慮後の第一測距用干渉信号による前記可動鏡の位相制御中に、該直流成分考慮後の第一測距用干渉信号のピーク強度及び前記直流成分考慮後の第二測距用干渉信号のピーク強度を求める。
前記位相差誤差取得手段は、前記第一測距用干渉信号のピーク強度をサンプリングした時の第二測距用干渉信号強度及び予め得ておいた第二測距用干渉信号のピーク強度に基づいて、前記位相差誤差を求める。
(インターフェログラムの内挿)
ここで、前記内挿手段は、前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号の角度変化が一定となるように、前記インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータよりのインターフェログラム信号を内挿する。
本発明にかかるフーリエ変換分光光度計によれば、前記デジタル制御機構を用いて可動鏡の等速制御を行うことにより、前記データのS/Nの改善を、さらに図ることができる。
本発明にかかるフーリエ変換分光光度計によれば、前記内挿手段を用いてインターフェログラム信号を内挿することにより、前記データのS/Nの改善を、さらに図ることができる。
ΔΣ型ADCとデジタル制御
図1には本発明の一実施形態にかかるフーリエ変換分光光度計の概略構成が示されている。
同図に示すフーリエ変換赤外分光光度計(フーリエ変換分光光度計)10は、赤外光源12と、マイケルソン干渉計(主干渉計)14と、赤外検出器(主検出器)16と、アンプ18a,18bと、ΔΣ型ADコンバータ20と、CPU又はコンピュータ(信号処理手段)22とを備える。
また同図において、フーリエ変換赤外分光光度計10は、可動鏡制御手段24と、He−Neレーザ(測距用光源)50と、前記マイケルソン干渉計(主干渉計)14と兼用のコントロール干渉計と、He−Ne検出器(測距用検出器)52とを備える。
マイケルソン干渉計(主干渉計)14は、固定鏡26、可動鏡28及びビームスプリッタ30を含み、可動鏡28の走査に伴い赤外光源12よりの赤外光の干渉光を発生させる。 赤外検出器16は、試料32よりの干渉光を光電変換し、インターフェログラム信号を出力する。
アンプ18aは、赤外検出器16よりのインターフェログラム信号を増幅する。
ΔΣ型ADコンバータ20は、2チャンネルのΔΣ型ADコンバータであり、A/D部42a(インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータ)と、A/D部42b(測距用ADコンバータ)とを備える。A/D部42aは、アンプ18aよりのインターフェログラム信号をAD変換する。
可動鏡駆動手段24は、例えばボイスコイル等を含み、可動鏡28の走査を行う。
He−Neレーザ50は、He−Neレーザ(単色光)を発生する。
前記コントロール干渉計は、可動鏡28の走査に伴いHe−Neレーザの干渉光(測距用干渉光)を生成する。
He−Ne検出器52は、干渉計14よりのHe−Neレーザ干渉光を光電変換し、He−Neレーザ干渉信号を出力する。
アンプ18bは、He−Ne検出器52よりのHe−Neレーザ干渉信号(測距用干渉信号)を増幅する。
A/D部42b(測距用ΔΣ型ADコンバータ)は、アンプ18bよりのHe−Neレーザ干渉信号をAD変換する。
(ΔΣ型ADC)
この基本クロックは、可動鏡28の走査速度と非同期で、及びHe−Neレーザ干渉信号の1周期又は1/2周期よりも短い等周期のクロックである。
(デジタル制御機構)
A/D部42bは、クロック発生回路44よりの基本クロックにより、自走的にHe−Ne検出器52よりのHe−Neレーザ干渉信号のサンプリング及びAD変換を行う。
位置検出手段54は、A/D部42bよりのHe−Neレーザ干渉信号に基づいて、可動鏡28の位置をモニタする。
可動鏡制御手段56は、位置検出手段54よりの可動鏡位置のモニタに基づいて、可動鏡28の走査速度が目標の一定速度となるように、可動鏡駆動手段24による可動鏡走査の制御を行う。
以下にその作用について詳細に説明する。
そこで、本実施形態においては、フーリエ変換分光光度計に最適なADコンバータとしてΔΣ型ADコンバータを採用している。
すなわち、フーリエ変換分光光度計においては、逐次比較型ADコンバータと干渉計のアナログドライブ制御との組み合わせが一般的である。通常は、He−Ne検出器よりのアナログ信号(He−Neレーザの干渉信号)をモニタし、その1周期間隔又は1/2周期間隔で、赤外検出器よりのインターフェログラム信号を逐次比較型ADコンバータを用いてサンプリングしていた。
このため、フーリエ変換分光光度計において一般的な逐次比較型ADコンバータと干渉計のアナログドライブ制御との組み合わせでは、可動鏡の走査速度(ドライブスピード)に多少のふらつきがあっても、サンプリング距離間隔が一定であるので、インターフェログラムの再現性は得られていた。
そこで、本実施形態において、ΔΣ型ADコンバータを用いるには、インターフェログラム形状の再現性を得るため、可動鏡の等速性が必須の条件となる。
しかしながら、一般的なアナログ制御を用いたのでは、可動鏡の速度にむらを生じることがある。この可動鏡の速度のむらをカバーするため、可動鏡の速度の監視をより短い時間間隔で行うことも考えられるが、より短い監視時間間隔をアナログ技術で作るのは困難である。
そこで、本実施形態においては、フーリエ変換赤外分光光度計のΔΣ型ADコンバータとの組み合わせの相性、及び可動鏡の等速性の面で優れた、例えば以下に示されるようなデジタル制御1〜3を用いることが好ましい。
(デジタル制御1)
すなわち、一の測距用干渉信号のピーク強度が判れば、所定サンプリング位置での理想強度が求められる。この理想強度とΔΣ型ADコンバータ20(A/D部42b)よりの実際の測距用干渉信号の強度とが同じとなるように、可動鏡の走査を制御することにより、可動鏡の等速性を向上させることができる。
このために本実施形態においては、ΔΣ型ADコンバータ20(A/D部42b)よりの測距用レーザ干渉信号として一の測距用レーザ干渉信号を用いている。またデジタル制御機構40は、理想強度取得手段60を備える。
想強度を保持している。すなわち、理想強度取得手段60は、可動鏡駆動手段24による
可動鏡28の走査中に、ΔΣ型ADコンバータ20(A/D部42b)よりの測距用干渉
信号のピーク強度を検出する。そして、理想強度取得手段60は、該検出された測距用干
渉信号のピーク値、及び可動鏡の目標速度に対応する周期に基づいて求められた、所定サ
ンプリング位置での理想強度を保持している。
そして、可動鏡制御手段56は、基本クロックにより定められた所定サンプリング位置でのΔΣ型ADコンバータ20(A/D部42b)よりのHe−Neレーザ干渉信号強度が、理想強度取得手段60に保持している該サンプリング位置での理想強度と同じとなるように、可動鏡駆動手段24による可動鏡28の走査の制御を行う。
このようなデジタル制御1により、可動鏡28の等速性を向上させることができる。
(デジタル制御2)
このために本実施形態においては、図2に示されるような構成を用いることも好ましい。なお、前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図において、デジタル制御機構140は、被検信号処理手段162と、基準信号発生手段164とを備える。
被検信号処理手段162は、ΔΣ型ADコンバータ122(A/D部142b)よりの
デジタル信号(He−Neレーザ干渉信号)に基づいて、図3に示されるような正弦波信号であるHe−Neレーザ干渉波形(S1)を作る。被検信号処理手段162は、これを波形整形し、被検矩形波信号(S2)を作る。
そして、可動鏡制御手段156は、被検信号処理手段162よりの被検矩形波信号と基準信号発生手段164よりの基準矩形波信号との位相差がゼロとなるように、可動鏡128の等速制御を可動鏡駆動手段124に行わせる。
このようなデジタル制御2によっても、可動鏡128の等速性を向上させることができる。
(デジタル制御3)
すなわち、一のHe−Neレーザ干渉信号(S1)を用いた場合、位相差を検出しているのは基準波長の1/2毎であり離散的である。このため位相差を検出する時刻以外には、速度の変化を検出することができない。可動鏡の走査速度をより一定速度とするため、可動鏡の走査速度を制御する間隔をさらに短くすることが考えられる。これにより、どの位置に対しても、より一定速度とすることができる。
この結果、90度位相のずれた第一He−Neレーザ干渉信号(SA)及び第二He−Neレーザ干渉信号(SB)を作ることができる。該二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)を用いて、周波数がn倍に変換された被検逓倍波信号(SC)を作ることができる。
被検信号処理手段162は、前述のようにして作られた二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)を用いて、周波数がn倍に変換された被検逓倍波信号(SC)を作る。
デジタル制御3において、基準信号発生手段164は、可動鏡の目標速度に対応する周波数に対し逓倍の周波数を持つ基準逓倍波信号を発生する。
デジタル制御3において、可動鏡制御手段156は、被検信号処理手段162よりの被検逓倍波信号(SC)と基準信号発生手段164よりの基準逓倍波信号との位相差がゼロとなるように、可動鏡128の等速制御を可動鏡駆動手段124に行わせる。
このようなデジタル制御3によっても、可動鏡128の等速性をより向上させることができる。
(位相差誤差)
しかしながら、位相板のような光学素子を正確に90度に合わせるのは難しいため、本実施形態においては、二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)の持つ実際の位相差と本来の位相差とのずれである位相差誤差を補正することにより、正確な90度の位相差に合わせている。
位相差誤差の補正を正確に行うためには、前記位相差誤差を正確に知ることが必要である。本実施形態においては、二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)に、以下に示されるようなデジタル処理を行うことにより、位相差誤差を求めている。
(位相差誤差の補正済みデジタル制御3)
補正手段166は、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)と第二He−Neレーザ干渉信号(SB)との持つ実際の位相差が本来の位相差となるように、位相差誤差取得手段168よりの位相差誤差を用いて、例えば第一He−Neレーザ干渉信号(SA)を基準に、第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の位相を調整する。
被検信号処理手段162は、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)と、位相差誤差補正済みの第二He−Neレーザ干渉信号とを波形整形し、逓倍の周波数を持つ被検矩形波信号を発生する。
すなわち、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)を用いて所定サンプリング個数毎にΔΣ型ADコンバータ120(A/D部142b)の読取値がゼロとなるように可動鏡128の走査速度を制御し、また第二He−Neレーザ干渉信号(SB)を用いて所定サンプリング位置の読取値が前記位相差誤差を考慮した値となるように可動鏡128の走査速度を制御している。
また本実施形態において可動鏡制御手段は、一のHe−Neレーザ干渉信号を利用した時よりも短い間隔で可動鏡の速度制御が行える。また可動鏡制御手段は、位相差誤差が得られた第一及び第二He−Neレーザ干渉信号(SA,SB)の四則演算により求められた正弦波信号を用いることにより、さらに短い間隔で可動鏡の等速制御を行うことができる。
(位相差誤差の測定機構)
同図に示されるように、本実施形態においては、前記二のHe−Neレーザ干渉信号の持つ位相差誤差を求めるため、誤差測定機構を備える。該誤差測定機構は、直流成分検出手段170a,170bと、ピーク値検出手段172a,172bと、モニタ手段174a,174bと、位相差誤差取得手段168とを備える。また可動鏡制御手段156は、位相制御部176を含む。
ここで、直流成分検出手段170a,170bは、それぞれΔΣ型ADコンバータ120(A/D部142b)よりの第一He−Neレーザ干渉信号(SA)及び第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の直流成分の位置を求める。
ピーク値検出手段172aは、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)による可動鏡128の位相制御を行いながら、第一He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク値を検出する。各ピーク強度の平均値を第一He−Neレーザ干渉信号(SA)のピーク強度とする。
ピーク値検出手段172bは、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)による可動鏡128の位相制御を行いながら、第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク値を検出する。各ピーク強度の平均値を第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク強度とする。
位相差誤差取得手段168は、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)のピーク強度をサンプリングした時の第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の強度を読取る。その時の第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の強度、及び予め得ておいた第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク強度に基づいて、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)と第二He−Neレーザ干渉信号(SB)との持つ、実際の位相差と本来の位相差とのずれである位相差誤差を求める。
以下に前記位相差誤差の測定について、より具体的に説明する。
図6に示されるように、ΔΣ型ADコンバータ(A/D部142b)よりの二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)は、直流成分を含むので、後述するような二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)の交流成分のゼロクロス点の検出を行うためには、まず二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)の直流成分の位置を知ることが重要である。
このためにボイスコイルに一定電圧を加え可動鏡を動かし、90度位相のずれた二のHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)を、例えば10μsec毎にサンプリングする。各サンプリングデータの平均値を計算し、それぞれHe−Neレーザ干渉信号(SA,SB)の直流成分とする。
図7に示されるように可動鏡の目標速度に対応する目標波長を160μsecとすると、サンプリング個数が16個毎に、He−Neレーザ干渉信号(SA)の交流成分の位相がゼロとなるように、位相制御を行う。
図8に示されるような第一He−Neレーザ干渉信号(SA)による位相制御を行いながら、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)のピーク−ピーク値を求める。このピーク−ピーク値の求め方は、ピークトップ位置になるサンプリング時刻の値を読取り、平均をその値とする。このようにピーク−ピーク値を求めるのに平均を用いるのは、サンプリング位置に第一He−Neレーザ干渉信号(SA)のピークが必ずしも位置しないからである。
図9に示されるような第一He−Neレーザ干渉信号(SA)による位相制御を行いながら、第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク−ピーク値を求める。ピークの求め方は、ピークトップ位置になるサンプリング時刻の値を読み取り、平均をその値とする。このようにピーク−ピーク値を求めるのに平均を用いるのは、第一ピーク値の場合と同様、サンプリング位置に第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピークが必ずしも位置しないからである。
図10に示されるような第一He−Neレーザ干渉信号(SA)による速度制御を行いながら、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)のピークトップをサンプリングした時の第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の値を読取る。その時の第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の値、及び予め得ておいた第二He−Neレーザ干渉信号(SB)のピーク強度に基づいて、第一He−Neレーザ干渉信号(SA)と第二He−Neレーザ干渉信号(SB)の持つ、実際の位相差と本来の位相差とのずれである位相差誤差を求めることができる。
このようにして求められた位相差誤差を考慮し、前記デジタル制御3を行うことにより、可動鏡の等速制御を行うことができる。
すなわち、図11に示されるように第一He−Neレーザ干渉信号(SA)を用いて所定サンプリング個数毎にΔΣ型ADコンバータ(A/D部142b)の読取値がゼロとなるように可動鏡の走査速度を制御する。また第二He−Neレーザ干渉信号(SB)を用いて所定サンプリング位置の読取値が前述のようにして求められた位相差誤差を考慮した値となるように可動鏡の走査速度を制御する。
このように可動鏡制御手段は、一のHe−Neレーザ干渉信号を利用した時よりも短い1/2の間隔で可動鏡の速度制御が行える。
また本実施形態においては、2チャンネルのΔΣ型ADコンバータを用いているので、インターフェログラム用と測距用とで、それぞれ別個のADコンバータを設けたものに比較し、構成の簡略化が図られる。
従来、フーリエ変換分光光度計においては、赤外検出器からのインターフェログラム信号のサンプリングを、He−Neレーザ干渉信号のゼロクロス点でのみ行っている。
しかしながら、フーリエ変換分光光度計のインターフェログラム信号のサンプリング時に発生する光学的光路差、サンプリング間隔にずれがあり、データのS/Nの改善のためには、このずれを補正することが重要である。
そこで、本実施形態においては、図12に示されるような構成を用いることも好ましい。なお、前記図1と対応する部分には符号200を加えて示し説明を省略する。
角度変化検出手段282は、A/D部242bよりのHe−Neレーザ干渉信号の角度変化を検出する。
この結果、本実施形態においては、フーリエ変換分光光度計において、赤外検出器よりのインターフェログラム信号のサンプリング時に発生する光学的光路差、サンプリング間隔を補正することができる。
したがって、本実施形態にかかるフーリエ変換分光光度計において、測定スペクトルの再現性が向上する。特にベースライン平坦性と波数精度とが向上する。
なお、前記各構成では、測距用ADコンバータとして、ΔΣ型を用いた例について説明したが、ΔΣ型以外のADコンバータも使用可能である。
12 赤外光源
14 マイケルソン干渉計(主干渉計,コントロール干渉計)
16 赤外検出器(主検出器)
22,122,222 CPU又はコンピュータ(信号処理手段)
40,140,240 デジタル制御機構
42a,142a,242a A/D部(インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータ)
42b,142b,242b A/D部(測距用ADコンバータ)
54,154,254 位置検出手段
56,156,256 可動鏡制御手段
280 内挿手段
Claims (7)
- 可動鏡の走査に伴い干渉光を生成させる主干渉計と、
前記主干渉計よりの干渉光を試料に照射して得られた干渉光を光電変換し、インターフェログラム信号を出力する主検出器と、
前記主検出器よりのインターフェログラム信号をAD変換するADコンバータと、
前記ADコンバータよりのインターフェログラム信号に基づいて、スペクトルを得るための信号処理手段と、
前記可動鏡の走査を行うための可動鏡駆動手段と、
前記可動鏡の走査に伴い測距用単色光の干渉光を生成するコントロール干渉計と、
前記コントロール干渉計よりの測距用干渉光を光電変換し、測距用干渉信号を出力する測距用検出器と、
を備えたフーリエ変換分光光度計において、
前記ADコンバータとして、前記可動鏡の走査速度と非同期で及び前記測距用干渉信号の1周期又は1/2周期よりも短い等周期の基本クロックにより、自走的に前記赤外検出器よりのインターフェログラム信号のAD変換を行うインターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータを用い、
また前記主干渉計のデジタルドライブ制御を行うデジタル制御機構を備え、
前記デジタル制御機構は、前記測距用検出器よりの測距用干渉信号のAD変換を行う測距用ADコンバータと、
前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号に基づいて、前記主干渉計の可動鏡位置をモニタする位置検出手段と、
前記位置検出手段による可動鏡位置のモニタに基づいて、前記可動鏡の走査速度が目標の一定速度となるように、前記可動鏡駆動手段による可動鏡走査の制御を行う可動鏡制御手段と、
を備えたことを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項1記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記測距用ADコンバータは、前記可動鏡の走査速度と非同期で及び前記測距用干渉信号の1周期又は1/2周期よりも短い等周期の基本クロックにより、自走的に前記測距用検出器よりの測距用干渉信号のAD変換を行うことを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項1又は2記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記可動鏡制御手段は、前記基本クロックにより定められた所定サンプリング位置での前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号強度が、該測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号のピーク強度及び前記可動鏡の目標速度に対応する周期に基づいて予め得ておいた該サンプリング位置での理想強度と同じとなるように、前記可動鏡の等速制御を前記可動鏡駆動手段に行わせることを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項1又は2記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記デジタル制御機構は、前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号に基づいて被検矩形波信号を作る被検信号処理手段と、
前記可動鏡の目標速度に基づいて定められた周期を持つ基準矩形波信号を発生する基準信号発生手段と、
を備え、前記可動鏡制御手段は、前記被検信号処理手段よりの被検矩形波信号と前記基準信号発生手段よりの基準矩形波信号との位相差がゼロとなるように、前記可動鏡の等速制御を前記可動鏡駆動手段に行わせることを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項4記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記主干渉計の光路中に設けられ、位相差のある二の測距用干渉光を作る位相板を備え、
前記被検信号処理手段は、前記測距用ADコンバータよりの前記位相差のある二の測距用干渉信号に基づいて、周波数が逓倍に変換された被検逓倍波信号を作り、
前記基準信号発生手段は、前記可動鏡の目標速度に対応する周波数に対し逓倍の周波数を持つ基準逓倍波信号を発生し、
前記可動鏡制御手段は、前記被検信号処理手段よりの被検逓倍波信号と前記基準信号発生手段よりの基準逓倍波信号との位相差がゼロとなるように、前記可動鏡の等速制御を前記可動鏡駆動手段に行わせることを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項5記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記デジタル制御機構は、前記二の測距用干渉信号の持つ実際の位相差と本来の位相差とのずれである位相差誤差を考慮し、前記可動鏡の等速制御を前記可動鏡駆動手段に行わせるものであり、
前記測距用ADコンバータよりの二の測距用干渉信号の持つ位相差誤差を求めるための誤差測定機構を備え、該誤差測定機構は、該測距用ADコンバータよりの二の測距用干渉信号である第一測距用干渉信号及び第二測距用干渉信号の直流成分を求める直流成分検出手段と、
前記直流成分考慮後の第一測距用干渉信号による前記可動鏡の位相制御中に、該第一測距用干渉信号のピーク強度、及び前記直流成分考慮後の第二測距用干渉信号のピーク強度を求めるピーク値検出手段と、
前記第一測距用干渉信号のピーク強度をサンプリングした時の第二測距用干渉信号強度及び予め得ておいた該第二測距用干渉信号のピーク強度に基づいて、前記位相差誤差を求める位相差誤差取得手段と、
を備えたことを特徴とするフーリエ変換分光光度計。 - 請求項2〜6のいずれかに記載のフーリエ変換分光光度計において、
前記基本クロックにより前記インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータよりのインターフェログラム信号と前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号とを同時にサンプリングし、
また前記測距用ADコンバータよりの測距用干渉信号の角度変化が一定となるように、前記インターフェログラム用ΔΣ型ADコンバータよりのインターフェログラム信号を内挿する内挿手段を備えたことを特徴とするフーリエ変換分光光度計。
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