JPH0523072U - フーリエ干渉縞のスペクトル測定装置 - Google Patents

フーリエ干渉縞のスペクトル測定装置

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JPH0523072U
JPH0523072U JP5668991U JP5668991U JPH0523072U JP H0523072 U JPH0523072 U JP H0523072U JP 5668991 U JP5668991 U JP 5668991U JP 5668991 U JP5668991 U JP 5668991U JP H0523072 U JPH0523072 U JP H0523072U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】フーリエ分光計により計測したフーリエ干渉縞
のスペクトルを多ビットのAD変換器を用いることなく
高ダイナミックレンジで測定するとともに、フーリエ変
換演算に要する時間を短縮化してほぼリアルタイムでス
ペクトルを得られるようにする。 【構成】移動鏡を備えたフーリエ分光計の検出器出力
を、デルタシグマ変調器に入力し、移動鏡の移動に連関
して作成されるナイキスト間隔より小さい間隔のクロッ
ク信号によりサンプリングするとともに、得られた1ビ
ットデータ列をフーリエ変換用の三角関数値に正負の符
号を与えるものとして利用し、このフーリエ干渉縞のデ
ータである1ビットデータ列に実質的に加算のみのフー
リエ変換演算を行いフーリエ干渉縞のスペクトルを求め
る装置である。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、フーリエ干渉縞のスペクトル測定装置に係り、詳しくは、スペクト ルを高いダイナミックレンジで測定できる装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
検出器を設けた2光線束干渉計(たとえば、マイケルソン干渉計)の移動鏡を移 動して2光線束の光路差を変化させ、フーリエ干渉縞を計測するフーリエ分光法 は、プリズムや回折格子などの分散光学素子を用いた通常の分光法と異なり、光 の干渉現象を利用した分光測光方式であり、赤外領域では信号の利用効率、SN 比、分解能などの点で従来の方法より優れ、最近とくに分析化学の分野で実用化 が進んでいる。この方式では、干渉光学系で得られるフーリエ干渉縞(インター フェログラムともよばれる)の信号波形をフーリエ変換することによって元の光 のスペクトルを再生する。
【0003】 上記のようなフーリエ分光計において、例えば、試料の吸収スペクトル測定等 には、広いスペクトル幅を持つ白色光源がよく用いられる。干渉計を走査し光路 差を変化させることによって測定される干渉縞強度は、白色光源であるために零 光路差時に大きなピークを持ち、光路差が零点からずれるに従いその強度は急激 に小さくなる。従来この種の装置は、干渉計の走査鏡を走査し、干渉縞強度をナ イキスト定理を満たすサンプル間隔でサンプルし、AD変換器で量子化した後コ ンピュータや専用のアレイプロセッサなどで処理を行っていた。この量子化の際 、零光路差での大きなピーク強度と他の光路差での微小な強度変化の両方の情報 を収集するために、出来るだけビット長の大きいAD変換器を用いていた。そし て、検出器やアンプ等に起因する雑音は、得られた干渉縞データの積算によって 減少させることが出来るが、量子化による誤差あるいは雑音は除去が困難である ため、干渉縞強度の精度は主にAD変換器のビット長で決定されていた。
【0004】 フーリエ干渉縞のスペクトルは、量子化されたデータを離散フーリエ変換 (D iscrete Fourier Transform ; 以下、これをDFTと略記する)する事に より求める。量子化時の誤差である量子化雑音は、全スペクトル域に一様に分布 する白色雑音として扱え、その量子化雑音のスペクトル強度は、干渉縞強度の量 子化精度、つまり、AD変換器のビット長によって決まる。スペクトルのダイナ ミックレンジは、信号の最大スペクトル強度と量子化雑音のスペクトル強度の比 で与えられるので、結局のところ、AD変換器のビット長によってスペクトルの ダイナミックレンジが決定されることになる。
【0005】 上述の干渉縞測定の精度も踏まえてこれを逆に言うと、スペクトルを高いダイ ナミックレンジで測定するためには、よりビット長の大きいAD変換器が要ると いうことである。しかしながら、ビット長の大きな(例えば20ビットの)AD変 換器は、きわめて高価であるという経済性の難点があるうえ、技術的に重大な問 題点が存在する。すなわち、AD変換器は、2重積分型、電荷平行型、逐次比較 型、並列比較型のいずれのタイプのものにおいても、AD変換器を構成する各部 品それぞれの精度やバラツキによって16〜20ビットの精度が実用上の限界で あるという致命的な問題である。そして、また、このビット長の問題と関連して 、AD変換したデータ長が大きくなると、スペクトルを演算する際、掛け算に要 する時間が著しく増大するという問題が伴ってくる。
【0006】 一方、フーリエ干渉縞のスペクトルの高分解能測定は多方面で望まれている。 このスペクトル分解能は干渉計の最大光路長差によって決まり、所望の分解能が 得られる光路差までの干渉縞強度をサンプルしなければならない。よって、高分 解能のスペクトル測定には、最大光路差の増加に伴い大量のデータを量子化し、 それらのDFT計算をする必要がある。このDFT計算には時間がかかり実用的 でないため、従来のこの種装置では、高速にDFTを行う高速フーリエ変換 (F FT)アルゴリズムを用い、大型の高速コンピュータ上、あるいは、高価な専用 ハードウェアによって高速処理を行なっていた。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記の問題点、すなわち、スペクトルのダイナミックレンジがAD 変換器のビット長に制約され、高いあるいはより高いダイナミックレンジを実現 し得ないこと、及び、スペクトル演算における乗算時間の増加及び/またはデー タ量の増大に伴う演算時間の増大化の問題を解決することを課題とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
本考案は、光電検出器を設けた2光線束干渉計の移動鏡を移動してフーリエ干 渉縞を計測しこのスペクトルを求める装置において、前記光電検出器の出力が入 力されるデルタシグマ変調器と、前記移動鏡の移動に連関して動作し、ナイキス ト間隔より小さい間隔で前記デルタシグマ変調器にサンプリングクロックを供給 するクロック信号供給手段と、前記デルタシグマ変調器から出力されたデータに 対し実質的に乗算を伴わないフーリエ変換演算を行なう演算手段とを備えたこと を基本的な特徴とする。
【0009】
【作用】
上記干渉計で移動鏡を移動することにより得られるフーリエ干渉光は、検出器 によって電気信号に変換され、デルタシグマ変調器に入力される。デルタシグマ 変調器に入力された干渉縞強度信号は、干渉計の移動鏡の移動に応じて、クロッ ク信号供給手段から供給されるナイキスト定理で決まる間隔より小さい間隔のサ ンプリングクロックによりオーバーサンプルされる。オーバーサンプルされた信 号は、フィードバックと1ビット量子化器からなるデルタシグマ変調器で1ビッ トデータに量子化される。
【0010】 デルタシグマ変調器の量子化を、図1に示す最も単純な1次のデルタシグマ変 調器を例にとって説明する。本変調器は、入力信号x(n)と前回の変調器出力y(n- 1)との差を取り、その差信号{x(n)−y(n-1)}を積分器I1によって積分し、積分 器I1の出力を1ビット量子化器であるコンパレータC1によって高さΔの正負 符号を持つパルス信号y(n)に変換する。このパルス信号が、本変調器の量子化出 力y(n)となる。また、この1ビット量子化信号y(n)は、遅延器D1を通して次回 の量子化にフィードバックされる。図1の1次のデルタシグマ変調器の入出力特 性はz変換表示で次の様に表される。 Y(z)=X(z)+ (1−z-1)・Q(z) …… (1) ここで、Q(z)は1ビット量子化器であるコンパレータで発生する量子化雑音 で、全スペクトル域に一様に分布する。積分器を含むフィードバック系によって 、本変調器出力に含まれる量子化雑音 (1−z-1)・Q(z)は、低周波域で抑制さ れ、高周波域で増幅される。デルタシグマ変調器は高オーバーサンプル下で使用 されるため、低周波域に偏在する信号X(z)のスペクトル域では量子化雑音レベ ルが小さくなり実質の量子化ビット数が稼げる。図1の積分器を1個持つ1次の デルタシグマ変調器では、サンプルレートを2倍にする事により1.5ビット分 ダイナミックレンジが向上する。図2にフィードバック系に2個の積分器I21, I22を持つ2次のデルタシグマ変調器を示す。積分器を増やすことにより低周波 域での量子化雑音がより減少し、2倍のサンプルレートで2.5ビット分のダイ ナミックレンジが向上する。より高次のデルタシグマ変調器の使用によって、さ らに高いダイナミックレンジを得ることができる。
【0011】 フーリエ干渉縞の波数νkでのスペクトルS(νk)は、次式(2)の通り、1ビッ トに量子化されたデータs(n)をDFT演算することにより求められる。なお、総 和Σはデータ総数をNとして n=1,2,3,……,Nでとる。 S(νk)=Σ s(n) exp{-j2πνkn } …… (2) このスペクトル演算は、DFTを高速フーリエ変換 (FFT)アルゴリズムを 用いても計算可能である。しかし、本考案者らは、データs(n)が1ビットである ことに着眼し、(2)式での掛け算 s(n)exp{-j2πνkn}が、1ビットデータs(n) の符号に応じてexp{-j2πνkn}の符号を変えることで達成できることを着想し、 デルタシグマ変調器から出力されたデータに対し実質的に乗算を伴わないフーリ エ変換演算を行なう演算手段を備えて、(2)式のDFTを加減算だけで処理す るものである。
【0012】
【実施例】
図3はこの考案の一実施例を示している。干渉計1は、白色光源としてのニク ロム光源2を備え、ビームスプリッタ3により分割された2光線束を固定鏡4に 対する移動鏡5を移動して、2光線束に光路差を与え、光電検出器6に干渉光を 作る。曲面ミラー7,8,9及び平面ミラー4,5等は光学的に所定の関係を充足 するように配置されており、検出器6には光路差を変数とした光源2のスペクト ルをフーリエ変換したフーリエ干渉光が入射する。ここで、検出器6は、赤外検 出器であり、干渉計1は、図示しない試料室に試料10を置き、この試料10の 吸収スペクトル等を測定できる赤外フーリエ分光計を構成している。
【0013】 HeNeレーザー11は、移動鏡5の位置をモニタするためのものである。He Neレーザー11の射出光をミラーを用いて干渉計1内に入射し、このレーザー 光の干渉光をフォトダイオード12で検出し、そのフリンジ信号によって移動鏡 5の位置をモニタする。
【0014】 フォトダイオード12で検出されるフリンジ信号は、デルタシグマ変調器13 にサンプリングクロックを供給するクロック回路14に入力される。クロック回 路14には、PLL回路を備え、入力されたフリンジ信号の整数倍の周波数をも ったクロック信号を生成する。
【0015】 干渉計1を始動し、たとえばエアベアリングにより支承された移動鏡5を作動 すると、検出器6からは光路差に基づくフーリエ干渉光の強度信号が出力される 。出力信号は、プリアンプ15によって増幅され、デルタシグマ変調器13に入 力される。デルタシグマ変調器13は、クロック回路14から供給されるナイキ スト間隔より小さい間隔のサンプリングクロックのタイミングで、フーリエ干渉 光強度信号を1ビットデータに量子化する。本例では、サンプリングクロックを 64倍のオーバーサンプル比とし、2個の積分器をもつ2次のデルタシグマ変調 器を用いている。
【0016】 スペクトルのダイナミックレンジは、デルタシグマ変調器のフィードバックル ープ内の積分器の数(次数)、及び/又は、ナイキスト間隔と実際のサンプリング 間隔との比であるオーバーサンプル比を高くすることにより向上できる。例えば 、積分器を4個もつ4次のデルタシグマ変調器をオーバーサンプル比256倍で 使用したとき、24ビット相当のダイナミックレンジを実現することができる。
【0017】 デルタシグマ変調器13から出力される1ビットデータ列は、いったんメモリ に記憶された後、DFT演算部16によってフーリエ変換演算が行なわれ、スペ クトルが求められる。
【0018】 図4は、DFT演算部16の好ましい一例を具体的に示したものである。この DFT演算部16は、フーリエ変換用の三角関数値を記憶させたテーブルメモリ 21と、選択入力SLに1ビットデータを入力させて入力Aと入力Bとを選択し て出力Xに出力するデータセレクタ22と、データセレクタ22の出力Xを累積 して加算する加算器23とを備える回路により構成されている。
【0019】 テーブルメモリ21は、例えばROMなどで構成され、複素三角関数exp{-j2 πνkn}の値が記憶されている。具体的には、cos(2πνkn)−jsin(2πνkn)で 、波数幅をΔνとして、νk=Δν・k (k=1,2,3,……,K)とし、cos(2πΔ νkn)とsin(2πΔνkn) (k=1,2,3,……,K)(n=1,2,3,……,N)の合計 2KNこの値データを記憶させたものである。もっとも、アドレスの与え方を工 夫すると、最小、コサイン関数波形の1/4周期分に相当するデータ量の格納で 済ますことが可能である。
【0020】 テーブルメモリ21は、この回路における高速の計算用クロックによりk毎に カウントアツプするアドレスカウンタ24によりアドレス指定され、所定の三角 関数値データが引き出される。引き出されたデータは、データセレクタ22のA 入力に入力される一方、補数器25により、符号反転されて、データセレクタ2 2のB入力に入力される。データセレクタ22の選択入力SLには、デルタシグ マ変調器13により得た1ビットデータ列s(n)の1ビットが前記計算クロックと 所定の関係のタイミングで入力される。このSL入力に入力されたデータに応じ て、入力Aと入力Bのいずれかが選択され、出力Xに出力される。
【0021】 加算器23は、出力Xの三角関数値データを1ビットデータ列s(n)のn=1,2 ,3,……,Nについて累算する。n=Nで終了すると、求めようとしたある波数ν k のスペクトルS(νk)のデータを出力する。以上の演算がνk(k=1,2,3,…… ,K)について行なわれ、スペクトル分布のデータが得られる。
【0022】 このように、本実施例では、上述の(2)式のDFT演算を量子化データs(n)が 1ビットデータであり、+1か−1の値しか取らないことを利用して、量子化デ ータs(n)が正(+1)なら(データセレクタ22のSL入力に「1」が入力される)、 本来的には被乗数である三角関数の値をそのままで、負(−1)なら(データセレ クタ22のSL入力に「0」が入力される)、三角関数の値の符号を反転させ(補数 器25によりビット反転させて値を負にし)、これらの総和をとることにより、 スペクトルを求めるためのフーリエ変換演算を乗算を全く行うことなく実行して いる。しかも、この演算を実質的に構成素子数が4つのハードウエア回路で実現 している。したがって、演算がきわめて高速に実行されるのは言うまでもなく、 また、データ量の増大に対しても、とくに乗算が介入しないことにより高速に実 行されるのも同様である。
【0023】 従来のこの種フーリエ分光計においては、フーリエ変換演算のために、電子計 算機を備えた形式においてフーリエ分光装置と称されてきたが、本考案に係る装 置においては、従来装置に言うところの電子計算機(大型機、いわゆるミニコン などの中型機、いわゆるパソコンと称される小型機)や専用のプロセッサといっ たものが必須ではない。図4の回路構成より明らかなように、1枚のプリント基 板で簡単に構成できるものである。したがって、フーリエ分光器にこの回路を付 設して、フーリエ分光計それ自体において、フーリエ干渉縞の計測と連携する形 でスペクトルを直ちに得ることができる。このように得られたスペクトル分布の データは、メモリに記憶させるなり、あるいはフーリエ分光器に付属させたディ スプレイや記録手段を用いて簡易に明示することができる。
【0024】 このスペクトル分布の可視化は、上記の理由で、フーリエ変換演算が高速に行 なわれることから、フーリエ干渉縞の計測後、ほとんどリアルタイムで行うこと ができる。スペクトル分布計測の本来的な目的である、物質含有の有無やその量 を分析したり追跡したりする用途においてこの計測結果の即時性はきわめて有意 義である。
【0025】 図5は本考案の他の実施例を示している。ここで、図3の実施例と同一符号の ものは同一ないし相当のものを示している。本実施例が図3のものと相違するの は、図3では移動鏡5の位置検出用にHeNeレーザー11を用いているのに対し 、図5の実施例では、移動鏡5の位置検出用にリニアエンコーダ31を用いてい る点、及びデルタシグマ変調器13に供給するサンプリングクロックをこのリニ アエンコーダ31の出力を直接的に利用している点である。
【0026】 リニアエンコーダ31は、磁気式または光学式のいずれの形式のリニアエンコ ーダを使用してもよい。本実施例では光学式リニアエンコーダを用いている。具 体的には、ミツトヨ社製・型番ST31A/32Aをスケールユニットと電装ユ ニットの組合わせで使用している。スケールユニットにおけるスケールの指示精 度は、±0.5〜2.0μmであり、電装ユニットにより光電変換された電気信号 を多数分割して数十〜数百nm程度の位置分解能が得られる。もっとも、電装ユニ ットを用いない場合には、スケールの出力をもって、これを図3のクロック回路 14と同様な回路手段によりデルタシグマ変調器13へのサンプリングクロック を作成することができる。上記のようなリニアエンコーダを用いると、図3に示 したような、安定な発振を得るために設けられる大型のHeNeレーザー装置、及 び干渉計にレーザー光を入射させるための光学系を不要とできるので、分光計の 小型化とともに、コスト低減の利点がある。
【0027】 図5において、リニアエンコーダ31の出力は、波形成形回路32に入力され 、図示の如きクロック信号に変換されてデルタシグマ変調器13に与えられ、検 出器6からのフーリエ干渉光強度信号は1ビットデータ列の信号に量子化される 。なお、波形成形回路32に付属させる形で、デルタシグマ変調器13に与える サンプリングクロックの周波数を可変にするための、PLL回路を含む逓倍回路 や分周回路を設けておくとよい。オーバーサンプル比の選択に都合がよいからで ある。
【0028】 デルタシグマ変調器13から出力された1ビットデータ列はいったんメモリさ れた後、DFT演算部16においてフーリエ変換演算され、スペクトル分布のデ ータを得る。
【0029】 DFT演算部16は、図4に示した回路と同じものを用いている。なお、上記 の二つの実施例で適用したDFT演算のための回路16に替えて、図4の回路の 機能と同等の処理を行うソフトウェア・プログラムによっても同様に高速にスペ クトル分布のデータを得ることができる。例えば、ステップ的に、まず、予めフ ーリエ変換用の三角関数値のテーブルを作成する。テーブル作成は一回だけでよ い。1ビット量子化データs(n)の取り込んだ1ビットデータの正負の符号により 、テーブルを参照して得た値の符号を反転させ、これらの値を累算する。三角関 数値のテーブルは、演算の実行ごとに作る必要はないので、上記の処理ステップ は、高級言語で7〜8行程度の記述で済む。もっとも、BASICやFORTR AN、あるいはC言語で作成するよりは、より高速処理の目的で、アセンブリ言 語や機械語で作成するのが好ましい。
【0030】 また、デルタシグマ変調器によって得られたデータ列s(n)を高速フーリエ変換 (FFT)アルゴリズムを用いても演算が可能である。しかしながら、従来のよう にナイキスト間隔をもって得たデータ群に比較すると、データ量は増加している と共に、FFTアルゴリズムでのバタフライ演算において、前段のバタフライ演 算結果と三角関数値との乗算プロセスを回避することは不可能である。従って、 FFT演算といえども多くの時間を要することは否めない。よって、本考案のよ うに、フーリエ干渉縞の計測を終了するとほぼ同時的にスペクトル分布を可視化 できる効用を指向する場合においてはFFTによる演算はなじみにくい一面をも つものと考えられる。
【0031】 さらに、従来のこの種装置では、検出器及び多ビットAD変換器で得た信号の SN比を向上させるために、干渉縞のデータを積算することによりランダムなノ イズの低減を図っていた。しかし、本考案に係る測定装置においては、干渉縞の データは1ビットに量子化されているため、従来と同様な積算によるノイズの低 減は適用し得ない。そこで、本考案に係る測定装置においては、好ましくは、複 数回の測定に対してDFT演算によって求められた複素スペクトルを積算するこ とによってノイズの低減を図るようにする。具体的には、1ビットデータ列s(n) をフーリエ変換して得た値を複素数のままで、すなわち実部と虚部のそれぞれに 分けて得た値をそれぞれのフーリエ面で積算する。これによって、従来の方法と 同等なSN比の向上が達成される。
【0032】 図6に、本考案の装置で測定したスペクトル分布の一例を示す。図3に示した 構成の測定装置を使用した例である。干渉計1を空気中に置き、ニクロム光源2 の赤外スペクトルを測定したものである。検出器6は、TGS赤外検出器を用い 、2次のデルタシグマ変調器13のオーバーサンプル比は64倍である。
【0033】 図6のスペクトル分布の波数分解能は、4cm-1で、多ビットAD変換器を使 用したとすれば12ビット相当のダイナミックレンジが得られている。
【0034】 これと比較するため、第3図に示した干渉計1と同一の構成を持つ従来形式の 赤外フーリエ分光計で計測し(検出器はTGS赤外検出器で先と同様)、16ビッ トのAD変換器により量子化したときの測定結果を図7に示す。フーリエ干渉縞 のスペクトルは、16ビット長の量子化データをFFT演算することにより求め た。
【0035】 示された両スペクトル分布から明らかなように、空気中のH2OとCO2気体の 微小な吸収ピークわも測定できていることが分かる。これによって、本考案にか かるフーリエ干渉縞のスペクトル測定の有用性が示される。なお、スペクトル分 布において、波数2350cm-1と668cm-1は、CO2の吸収によるもの、 1850cm-1から1350cm-1及び3900cm-1から3500cm-1付近 はH2Oの吸収によるものである。
【0036】 上記の例証でも明らかな通り、フーリエ干渉縞の量子化を行うデルタシグマ変 調器は、従来の多ビットAD変換器と同等の機能を発揮する上、1チップのデル タシグマ変調器(モジュール化していないモノリシック形式のもの)でも高ダイナ ミックレンジの量子化が可能であるので、従来の多ビットAD変換器では必須で あり、また調整に煩雑さを強いていた信号増幅回路系を実質的になくすことがで き、取扱いの簡易さ、測定装置の小型化、低価格化の諸点で大きな利点を有する ものである。そして、なによりも重要な点は、多ビットAD変換器では実質的に 不可能である18〜20ビット以上の高ダイナミックレンジのスペクトル測定が デルタシグマ変調器によって技術的に可能になったということである。高次のデ ルタシグマ変調器で高いオーバーサンプル比での使用により容易に実現すること ができる。
【0037】
【考案の効果】
以上のように、本考案に係るフーリエ干渉縞のスペクトル測定装置によれば、 フーリエ干渉縞をデルタシグマ変調器によって量子化するので、スペクトルを高 ダイナミックレンジで測定できるとともに、フーリエ変換演算を実質的に乗算を 伴わない演算手段によって行うので、たとえスペクトルの高分解能測定等により 演算のデータ量が増大したとしても、スペクトル演算を高速に行え、従来装置で は必須であった大型電子計算機ないしは専用のハードウェア(フーリエ変換用ア レイプロセサなど)を付属させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】1次のデルタシグマ変調器のブロック回路図で
ある。
【図2】2次のデルタシグマ変調器のブロック回路図で
ある。
【図3】本考案の一実施例の構成を示す説明図である。
【図4】DFT演算部の具体例を示すブロック回路図で
ある。
【図5】本考案の他の実施例の構成を示す説明図であ
る。
【図6】図3に示した実施例による測定結果のグラフで
ある。
【図7】従来の構成・手法による測定結果のグラフであ
る。
【符号の説明】
1、1' 2光線束干渉計 6 検出器 5 移動鏡 13 デルタシグマ変調器 11 HeNeレーザー 12 フォトダイオード 14 クロック回路 31 光学式リニアエンコーダ 16 DFT演算部 21 三角関数値テーブルメモリ 22 データセレクタ 23 加算器 25 補数器。

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光電検出器を設けた2光線束干渉計の移
    動鏡を移動してフーリエ干渉縞を計測しこのスペクトル
    を求める装置において、 前記光電検出器の出力が入力されるデルタシグマ変調器
    と、 前記移動鏡の移動に連関して動作し、ナイキスト間隔よ
    り小さい間隔で前記デルタシグマ変調器にサンプリング
    クロックを供給するクロック信号供給手段と、 前記デルタシグマ変調器から出力されたデータに対し実
    質的に乗算を伴なわないフーリエ変換演算を行なう演算
    手段とを備えたことを特徴とするフーリエ干渉縞のスペ
    クトル測定装置。
  2. 【請求項2】 前記クロック信号供給手段は、前記移動
    鏡の位置を検知するリニアエンコーダを含む、請求項1
    記載のフーリエ干渉縞のスペクトル測定装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段は、フーリエ変換用の三角
    関数値を記憶させたメモリと、前記デルタシグマ変調器
    の出力データにより前記メモリ上の値の符号を決めるセ
    レクタと、このセレクタの出力を累積して加算する加算
    器とを備える回路である、請求項1または2記載のフー
    リエ干渉縞のスペクトル測定装置。
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